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2025年11月11日 (火)

島田洋一氏、独自核武装を言い出す

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百田党政調会長の島田洋一氏が、先日のNHK日曜討論で突如「島田無双」になったそうです。なんだかなぁ。
どんなことを言っているのかと思えばあんがい古臭い独自核武装論です。

「現在では、極超音速で変速軌道をとる核ミサイルが飛んできた場合、迎撃不可能だ。通常ミサイルであっても飽和攻撃をされれば全部を打ち落とすのは不可能だ。
その中で二度と広島、長崎の惨禍を日本の地にもたらさない為には、日本独自の核抑止力を持たねばならないと考えている。具体的には同じ島国のイギリスが採用している様な原潜四隻からなる抑止力。仮にイギリス本土が核攻撃で壊滅状態になっても海上から反撃できる態勢を持つ事によって相手の核攻撃を抑止する。因みにフランスも原潜四隻からなる核抑止システムを持っている。こういう物を持つ事によって初めて核保有国との間で核軍縮交渉もできる。
こっちが持たずに、持っている国に「無くせ」と言っても聞く訳が無い。お互いに平時に於いても相手国を照準から外すといった軍備管理交渉も可能になる。こういった現実的な政策を考えるべきだと思っている」

特に驚くに値しない古典的な自主核武装論で、半世紀前からあったよなぁ。
小泉大臣が原潜を匂わせたので、冬眠から醒めて一気に現実味を帯びて再登場です。
かならずこのテの議論で引き合いに出されるのはフランスで、おいおいゴーリズム(ドゴール主義)にありたいのかよと思っちゃいます。
日本はゴーリズムにどうやってもなれないのです。

だってフランスにとって米国はしょせん大西洋の向こうの国ですが、日本にとっては「世界で唯一日本を軍事支配可能な国」なのです。
だから米国と正面切って大戦争をして大敗し、米国の核の傘に収まったのです。

それなのにそれなのに、島田さんは巧みに米国という巨大な存在を隠してしゃべっています。あんた米国政治の研究者でしょうが。
日本が核武装すること、それは米国の核の傘(拡大抑止)から出て行くこととイコールですから、米国の敵に回ると解釈されます。
米国と戦争する気なら独自核武装でもなんでもしなさい。
いうまでもなく、それは亡国の道ですよ。

お互いが核を持っていても戦争は起きます。
それはインドとパキスタン、あるいはイスラエルとイランを見ればわかるように、核をもっていても攻撃されます。
核さえあればなんとかなるというのはロマンチックな夢にすぎません。
仮に日本が島田氏がいうように英仏のように戦略原潜4隻分の核ミサイルを保有できたとしても、中国は核軍縮のテーブルにすらつかないでしょう。
ましてや核の照準からはずすなんてご冗談を。
抑止力となるような核とは、世界全体を滅亡させる規模のものなのです。

クールダウン、クールダウン。百田党みたいな無責任な所に引きづられると大火傷しますよ。
現在の日本を囲む軍事情勢はこのようになっています。
私なんぞが説明するより、プロ中のプロ伊藤俊幸元海自海将の説明に耳を傾けましょう。

「伊藤氏は「中国海軍の行動範囲が海自の予想を超える勢いでどんどん広がっている今、日本も原潜の保有を真剣に検討しなければならない時代になりました」と語ります。今年6月には中国空母「遼寧」と「山東」の2隻が、九州から沖縄、台湾などを経て南シナ海を囲むように延びる第1列島線を越え、初めて同じ時期に太平洋に進出しました。その後、遼寧は、小笠原諸島からグアム、パラオを経てパプアニューギニアに向けて延びる第2列島線を初めて越えました。伊藤氏は「中国空母を抑止できるのは、航空機と潜水艦しかありません」と語ります」
日本が原子力潜水艦を保有する日は来るのか? 廃絶論VS抑止論を超えた議論が必要な時代が到来も

ここでご注意願いたいのは、前々回でも書きましたが、伊藤氏がここで論じている「原潜」とは、核ミサイルを積んだ戦略原潜ではなく、原子炉を動力とした攻撃型原潜を指します。
ここをゴッチャにして、島田氏は一気に戦略原潜の保有を主張しているのです。
まったく次元が違いますから。

原潜なら水中速度30ノット(時速約55キロ)以上の高速で何の制限もなく長時間連続航走できます。
これに対し、海自が保有する通常型潜水艦は、水中速度20ノット(時速約37キロ)程度で、リチウム電池に充電するため、たびたび海面の上にシュノーケル(吸気筒)を出してディーゼル発電機を使う必要があります。
現代戦では、わずかな時間でも海面上にシュノーケルを出せば、たちまち発見されてしまいます。
通常型潜水艦は遅いので、空母を長時間追尾することに限界がありますし、仮に中国の攻撃原潜が魚雷を発射しても回避するには限界があります。

だからマイクロ炉や小型モジュール炉を搭載した攻撃型原潜保有は現実性があります。
ただしこれも一隻あたりの建造コストが通常動力型の10倍もすることや、そのための要員の教育訓練、設備に膨大な時間と費用がかかることがあるために、実現は非常に難しいことは頭に入れておいて下さい。

さて今日は、日本が中国や北朝鮮、さらにはロシアの核搭載弾道ミサイルの脅威に対して対抗抑止を持つために、どのようなことが可能なのか、今日はもう少し踏み込んでみることにします。
米ハドソン研究所の村野将氏が優れた論考を書いています。
※村野将・岩間陽子 『日本の「抑止力」とアジアの安定と日本に欠けている戦略的コミュニケーション』)
日本の「抑止力」とアジアの安定 | 政策シンクタンクPHP総研

下図は中国軍の弾道ミサイル発射基地の分散状況を示しています。

図表3:中国の潜在的な重要軍事施設と地上発射型中距離ミサイルの位置関係
村野氏による

一見してお分かりのように、中国軍の弾道ミサイル基地の大半は沿岸部に集中して配置されています。
大陸奥深く配備されているのは、彼らが全面戦争に備えた大陸間弾道ミサイルだけですからわが国はこれを無視してよいでしょう。
また同様に、航空基地、海軍基地、潜水艦基地、陸軍基地なども捨象します。
わが国にはそこまで広範囲を攻撃する力はないし、その必要もないからです。
私たちは中国と全面戦争するのではなく、私たちの頭上の刃を取り除くだけに集中すればよいのです。
長距離弾道ミサイルは米国に届くが故に、米軍の領域と割り切りましょう。

したがって、わが国が対抗せねばならないのは、この中国の軍事施設・重要拠点5万箇所のうち約70%が集中する沿岸から400km地点以内の弾道ミサイル発射基地群です。
具体的にはこれらは、日本から2000㎞以内に納まっています。
仮に九州に射程2000kmの準中距離弾道ミサイルを配備すれば、中国沿岸から約1000km以内の弾道ミサイル基地を13分以内に攻撃することが可能となります。
まず日本は、この沿岸部の中国ミサイル基地を攻撃可能な準中距離弾道ミサイルを保有すべきです。

結論からいえば、米国と中距離ミサイル戦力を共に作り、日米が一体化した対抗抑止システムを作る必要があります。
独自核武装は実現できないのか、という疑問もあるでしょうが、米国から独立した核武装をすることは米国の核の傘からはずれること、すなわち日米同盟の終焉を意味する現在、それをするのは今ではありません。

現時点において、日米同盟なくして日本の防衛を語ることは不可能である以上、米国と共同して対抗抑止力を獲得するほうがはるかにメリットがあります。

私たちが考える以上に日米防衛の一体化は多方面で進んでいて、たとえば海自がもっとも力を入れている対潜水艦作戦においては完全な米海軍との共同作戦が前提となっています。
むしろ日本が対中防衛構想を牽引している部分すらあって、宮古島など島しょ部への対艦ミサイル部隊の展開に米海兵隊のほうが触発されて、同様の対艦ミサイル部隊を作り、第1列島線に展開する構想もあります。
これは従来の敵前上陸・ヘリボーン作戦から、今やウクライナの救世主となったハイマース(HIMARS)への転換です。

この海兵隊の改変構想は、自衛隊の対艦艇ミサイル部隊との共同が大前提となっています。
ですから、新たな中距離弾道ミサイルシステムというと一見唐突に聞こえますが、現場においては先行して基盤が作られているのです。
このように日米が協調して対抗抑止を作ることが最善の道であるのです。
日本が限られた予算と時間しか持たない対抗手段の中で、島田氏の主張するような独自核武装はもっとも実現不可能な行き止まりにすぎません。ただ、こういう核談義自体が抑止力となっているので、意義はあったのかもしれません。
また誤解なきように言っておきますが、私は岸田氏のような「核なき世界」の信者ではありません。
仮に米国が極端なトランピズムに陥って日本の防衛を捨て去った場合、わが国はいかにカネがかかろうが、技術的障壁があろうが、直ちに核武装すべきです。
今はその時でしょうか。否。
そうではないから、議論を尽くして難点を洗い出して、時を待てというのが私のかんがえです。

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コメント

極端や急進には別な極端や急進が返って来る。
外交・安全保障政策を始め、その現実的な解決策は誰かが快哉を叫ぶようなものではなく、極側にいる人ほど「華が無い」と怒りすら感じ、中道な人は「やはり地味で平凡で不満な点もある」と感じるような事なのだ、と社会の大半が受け容れるまでには混乱や破壊の過程もあり得ると、常々考える。
以下に置くアゴラに転載された論考は、細部まで全て私の考えと同じではないが、私にとって「では混乱と破壊を出来るだけ避け・抑え、それらすら意味のあるものにしながら現実的・効果的に先へ進むために、立場を問わず押さえておくべき要素は何か」を考える点で参考になったので、ご興味がお有りの方はどうぞ。
アゴラ11月10日掲載
倉本圭造氏
「日本が属国っぽいのは高市さんのせいじゃないですから!」
https://agora-web.jp/archives/251109093115.html

島田氏の唱える「日本核武装論」は所謂「限界保守の、現実無視の極論」ですが、議論自体ある種の「抑止力」になるので様々な意見を競わせるのは有意義ですね。かつては「日本核武装論」を口にしただけで叩かれる理不尽な時もありましたが、被爆者の二世三世も日本核武装の可能性に肯定的な意見を表明するなど、時代も変わりましたが、冷戦時代のダブスタ体質から抜け出せない反核団体はどう思っているのやら。

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