高市は世界で孤立しているって?
習近平は高市氏の発言に対して、欧米を仲間に引きずりこもうとやっきです。
トランプには電話をかけ、英国にはすり寄り、マクロンはわざわざ呼び寄せて下にも置かないおもてなしをして見せました。
その結果はいかに。
まず米国から。
「[台北/北京 3日 ロイター] - トランプ米大統領は2日、米国と台湾の公的な交流に関する指針を定期的に見直し、更新することを義務付ける「台湾保証実施法案」に署名した。
法案成立を受け、台湾は謝意を表明。中国は不快感を示した。
法案は米国務省に対し、台湾との交流に関する指針を少なくとも5年に1度は見直すよう定めている。
台湾総統府の報道官は声明で「(この法律は)米国と台湾との交流の価値を再確認し、より緊密な米台関係を支持するものであり、民主主義、自由、人権尊重という共通の価値観を堅持する揺るぎないシンボルだ」と述べた」
(ロイター12月3日)
トランプ氏が台湾保証実施法案に署名、台湾が謝意 中国反発 | ロイター
これはキツイ。習近平は中南海でごみ箱のひとつも蹴飛ばしたんではないでしょうか。
これがトランプのマーブルチョコというヤツです。
あの男はいくつも色の違う玉を持っていて、その都度出したり引っ込めたりするのです。
WSJが高市氏にトランプが自制を要求したなんてほぼほぼ「誤報」を出して、それを受けて一部のコメンテーターは大喜びで、サナエはゴマすったがトランプは米中G2時代に備えて、台湾を見捨てた、やーいやーい、梯子に上ってはずされぞ、見たことかという発言が出ました。
そう思って習近平もニンマリしたでしょうが、こんどはなんとこの「台湾保証実施法案」により、現在行われている「実質的外交関係」は「公式な外交関係」に引き上げてしました。
米台断交以降、自粛されていた米国と台湾の公式な高官交流が可能となる法的条件が整ったことになります。
この法律は国務省の判断次第で、トランプ大統領をはじめとする現役高官が台湾を訪問できるようになり、逆に米国として台湾高官を受け入れることも可能にする法律です。
この先はもう台湾との国交正常化しか残っていませんから、それのための準備法というわけです。
提案議員はすっきりと、これは中国が台湾の主権を奪うことを阻止するためだと言っています。
「この法案を提出したミズーリ州共和党上院議員のアン・ワグナーによれば、「この法案は中国に対して明確なシグナルを送るのだ」と言います。「つまり米国は中国共産党が台湾の主導権を奪おうとたくらむことに断固反対し、同時のグローバルな影響力を拡張することにも反対だ、と」(福島香織12月8日中国趣聞)
また台湾南華大学国際事務企業学部の孫国祥教授氏はこう言っています。
「中国共産党が長年台湾問題を内政問題とし、頼政権を分裂勢力と位置付けてきました。ですが、今回、米国がこの法律によって米台間の公式接触の深めていくと、その中共の政治的ナラティブが弱められていくことになります。これは、中国が国内にむけて「国際社会が一つの中国枠組みを承認している」と主張することをより困難にしていくでしょう。
中国にとって、この法案は、米国が台湾に武器を販売よりも、長期的構造的な課題となる、ということです」
(福島前掲)
つまり中国がいままで主張して止まなかった「ひとつの中国」というナラティブは否定され、諸外国を従わせていた軛がはずれようとしているということになります。
これは大きい、実に大きい一歩です。たぶん英国はこれに追随するでしょうし、自由世界も追随するかもしれません。
高市氏の台湾有事は日本の「存立危機事態」だという勇気あるひとことが、世界に及ぼした巨大なインパクトです。
現に英国のスターマー首相はこのような発言をしました。
対中外交は安保確保と協力推進の両輪で、英首相が演説 | ロイター
「英政府は世界第2位の経済大国である中国との関係修復を試みているが、中国によるスパイ疑惑や旧植民地である香港の行方をめぐり、両国関係は依然として緊張状態にある。
スターマー氏は2024年11月、中国の習近平国家主席と会談。英中首脳の直接会談は2018年以来で、両国関係の改善の兆候を示すものだった。だが、1日に行われたシティ・オブ・ロンドン市長主催の毎年恒例の晩さん会で、中国について、「真の国家安全保障上の脅威」であり、引き続き同国政府に対し人権問題を提起していくと述べた。
これに対し在英中国大使館は2日の声明で、「根拠なく中国を非難し、内政に干渉する英国側の発言に断固反対する」と述べた」
(AFP12月3日)
中国、英首相に「真の国家安全保障上の脅威」と呼ばれ猛反発 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
英国は中国を「国家安全保障上の脅威」と認定ですか、踏み込みましたね。
以前から英国は、国防大臣が「台湾有事があれば英国艦隊を出動させる」と明言していたのです。
また新しいデカイ大使館を中国がロンドンに建てる計画にも了承を与えていません。
新大使館問題とは、2018年に中国政府がロンドン中心部に広大な計画地を購入した、完成目論見ではヨーロッパ最大の大使館となる計画でしたが、英国政府は待ったをかけています。
英国政府は、この建設許可の承認決定を複数回延期しています。
当初は2025年9月上旬に予定されていましたが、10月21日、そして12月10日へと再延期されました。
理由は、英国政府が「中国は真の国家安全保障上の脅威」と認識しているので、広大な新大使館がスパイ活動に利用される可能性があるからです。
英国では、すでに中国製監視カメラの公共施設への設置や通信インフラにおける中国企業の関与が問題視されており、その元締めに新大使館が使われるのは必至です。
スターマー首相は、加えて「香港における自由の制限」を含む人権問題について、引き続き中国政府に問題提起していくと述べています。
先日行われた香港立法会選挙で、親中国派がすべてを占有しました。
香港の議会(立法会および区議会)の選挙では、選挙制度の変更や政府による「愛国者」認定の必要性から、親中派の候補者が議席を占める傾向にあります。
2021年の立法会選挙において、中国政府主導で選挙制度が変更されました。
これにより、立候補には政府機関からの「愛国者」認定が必要となり、民主派の候補者は候補すら擁立できない事態となりました。
また、2023年の区議会議員選挙でも同様の制度変更があり、市民の投票で決まる議席が全体の2割以下に減少しました。
英国は、今後香港の民主主義に大いに介入していくことでしょう。
これは返還条件にあった一国二制度を公然と破るものだからです。
そしてこのような中国の民主主義潰しが続くなら、もはや「香港を返せ」という話です。
またヨーロッパ最大の親中国であったフランスは、マクロンがこれで4回目で、今年12月3日から5日の日程で中国を国賓訪問しました。
今回は、マクロン氏にとって4度目の訪中となります。
人民日報はこう嬉しそうに書いていました。
「現在、国際情勢は混迷している。中国側は仏側と共に、今回の訪問を契機として、中仏国交樹立の精神を発揚し、戦略的な意思疎通を強化し、実務協力を深化させ、多国間の調整を緊密化し、中仏の包括的な戦略的パートナーシップの新たな進展を後押しし、中国EU関係の健全かつ安定的な発展の促進、多国間主義と世界の平和・安定・繁栄の維持に、一層の貢献を果たすことを望んでいる」
(人民網2月3日)
外交部がマクロン仏大統領の訪中について説明--人民網日本語版--人民日報
そりゃ嬉しいでしょうよ。
小賢しい小日本が生意気にも逆らったために台湾問題が大きくクローズアップされてしまい国際問題化した時期に、年来の友人のマクロンが駆けつけてくれたのですから諸手を上げて大歓迎でした。
「中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は4日、訪中しているフランスのマクロン大統領と北京の人民大会堂で会談した。習氏は台湾問題を念頭に「それぞれの核心的利益と重大な関心事について相互の理解と支持を深めるべきだ」と述べた」
(日経12月4日)
習近平氏「核心的利益に理解と支持を」 台湾念頭、マクロン氏に提起 - 日本経済新聞
「核心的利益と重大な関心事」って、もちろん台湾問題のことです。
しかし帰国するやマクロンはこう述べて、中国に冷や水をかけました。
[パリ 7日 ロイター] - フランスのマクロン大統領は、中国を先週訪問した際に、同国が欧州連合(EU)に対する貿易黒字を削減する措置を取らなければ関税を課すと警告したことを明らかにした。
マクロン氏は訪中時、中国に対し「持続不可能」な世界貿易の不均衡、地政学、環境問題での協力を強化するよう求めた。
同氏は仏紙レゼコー日曜版に掲載されたインタビューで「中国は特にわれわれからの輸入を大幅に減らしたことで自国の顧客をつぶしているため、中国の貿易黒字は持続不可能だと彼らに説明しようとした」と述べた。
「彼らが対応しなければ、われわれ欧州は今後数カ月で、米国に倣って中国製品に関税を課すなど強力な措置を取らざるを得なくなると伝えた」と語った。
中国に対するEUのモノの貿易赤字は2019年以降60%近く拡大している」
(ロイター12月8日)
仏大統領、中国に関税警告 対EU貿易黒字巡り=仏紙 | ロイター
このように米英仏の意見は出揃いました。
さて、どちらが孤立しているのでしょうね。
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