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2026年1月

2026年1月31日 (土)

オール沖縄、最後のとどめ

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オール沖縄の内部抗争が激化しました。そりゃなるわな、無節操に中革連に乗り替えていまつで言ってきたことを覆せば。

「米軍普天間基地や嘉手納基地を抱える衆院沖縄2区では、社民党を昨年離党した前職の新垣邦男氏が新党「中道改革連合」(中道)から立候補した。これに対し、社民党は元職の瑞慶覧(ずけらん)長敏(ちょうびん)氏を擁立。普天間基地の名護市辺野古移設反対で結束してきた「オール沖縄」勢力は割れた」
(産経1月30日)
「オール沖縄」かつてない危機 衆院選で「分裂状態」に 玉城知事「今後の影響を注視」 - 産経ニュース

同じ選挙区で、かつてのオール沖縄同士が激突するんですから目も当てられません。
デニーさんから見れば足元の地盤が真っ二つに割れてこのこのくぬくぬと大喧嘩しているのですからたまったもんじゃありません。
ちょっと前までは天国でした。
わざわざこんなラチもないことを言いにジュネーブまで行けたんですから。

「(略)玉城氏は18日、国連人権理の本会議場で開催された「国際秩序」の会議に出席した。演説で「沖縄は日本の総面積の0・6%しかないが、日本にある米軍基地の70%がこの小さな島に集中している」と指摘。「米軍基地が集中し、平和や意思決定への平等な参加が脅かされる沖縄の状況を世界中から関心を持ってもらうために、私はここにきた」と訴えた。
また、普天間飛行場の名護市辺野古への移設に関する平成31年(2019年)の県民投票に触れ、「民主的に行われた県民投票で沖縄の有権者が明確に反対したにもかかわらず、埋め立て工事は進んでいる」と言及。「私たちは軍事力の増強が日本の周辺地域の緊張を高めることを恐れている」とした上で、「沖縄県民の平和を希求する思いとは相いれない」との見方を示した。
「私たち沖縄県民は、2016年の国連総会で採択された『平和への権利』を私たちの地域において具体化するよう、関係政府による外交努力の強化を要請する」とも述べた。
沖縄県知事が国連人権理に出席し、発言するのは2回目。15年には翁長雄志前知事が辺野古移設反対を訴え、「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている。自国民の自由、平等、人権、民主主義、そういったものを守れない国が、どうして世界の国々とその価値観を共有できるだろうか」とスピーチした。
国連の理事会にNGOが意見表明する会合があり、関係者によると玉城氏はNGOの発言枠を譲り受ける形で演説した」

(産経2023年9月19日)
 沖縄知事「平和脅かされている」 国連で辺野古「反対」演説(産経新聞) - Yahoo!ニュース

なにが辺野古移設が「軍事力の増強で周辺地域の緊張を高める」でしょうか。
翁長氏の頃はまだそんなことを言っても通用しましたが、いまここまで台湾有事が現実化している中で、同じことを平気で言える神経の粗雑さがたまらない。
こんな台詞を聞いて、そうだ、日本こそがアジアの緊張を高めているんだ、日本の軍拡を止めさせよう、なんて感じる人って、今何人いますか。
ウクライナ戦争の後は、いまや中坊でもだまされませんよ。

翁長演説の時は、英文テキストまで手に入れて論じたもので、翁長氏の反基地闘争は長期に渡って論じ尽くしました。
しかしこの2代目翁長の劣化コピーなんぞ、ただひたすら寒いだけです。

ついに国連人権理事会で「民族自決権」を主張し始めた翁長氏と、それをブロックした我那覇真子氏: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)
沖縄県民は「先住少数民族」ではない: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)

デニー氏の目的は、オレはこれだけのことをやっているんだという内向きの演説にすぎませんから、平気で手垢のついたことをくりかえしてはばかりません。

たとえば、臆面もなく「米軍基地70%集中論」ですか、もう飽き飽きします。
沖縄の人々も薄々感じておられるように「70%」という数字は虚構です。
これは日米共同使用施設を排除した数字だからです。

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出典不明

もしそんな算定方法が許されるのなら、普天間や嘉手納、キャンプ・ハンセンに小規模でもいいから自衛隊を配備すればよくなってしまいますが、それをすると今度は「先軍政治ハンターイ」なんて言い出す人らがいますけどね。
現にキャンプ ハンセン共同使用は、かつて在沖海兵隊司令官が口にしたことがありますし、陸自の水陸機動団の一部が前進配備される可能性はあります。
嘉手納基地も、那覇基地は非常に手狭ですから、その一部の機能を移転することは可能でしょう。
そもそも接受国の日本が民間共用で、提供されるほうの米軍が広々っていうのもヘンなのです。
こんなふうに日米共同使用施設が沖縄で増えると、基地負担70%説はどうなるんでしょうかね。
実態は変わらなくても、数字のトリックを根拠にしているからおかしくなるのです。

面積でいえば、北部訓練場が大きな面積を占めていたために負担が多く見えましたが、ここも面積の過半に相当する4千ヘクタールが既に返還されています。
その時、返還に大反対して、防衛施設庁職員リンチ事件まで引き起こしたのはいったい誰でしたかね。オール沖縄でしょうが。

「0.6%の沖縄に」という面積比率の言い方もさんざん聞きました。
では、人口比率ではどうなんでしょうか。
私は神奈川県の厚木基地の近くで育ちましたが、神奈川を中心として国道16号線沿いの1都3県には、日本の人口の実に約3割弱、約3千600万人が住んでいます。 
もし、沖縄が0.6%の面積比率にというならば、人口比率の約3割も見なければ公平さを欠くというものではありませんか。

そこで、神奈川県だけに限って米軍基地をみてみましょう。
その多さと面積の大きさに驚くはずです。 
まさに沖縄並です。
しかもその重要度において沖縄とは比較になりません。
神奈川県こそ、米国の世界戦略の根幹の一部であって、沖縄は前進基地にすぎないのです。

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出典不明

簡単に神奈川の米軍基地群を見てみましょう。
国道16号線の起点近くには米海軍横須賀基地があり、ここには2008年9月から原子力空母が母港としています。
沖縄にも那覇軍港(現在は移動)やホワイトビーチがありますが、輸送船や潜水艦などの停泊地にすぎません。

横須賀基地の巨大さを理解するには、単に軍港施設に限らず付随する膨大な付随する施設群をみねばなりません。
第7艦隊の補給を受け持つ弾薬貯蔵施設(秋月、広、川上、嘉手納)の貯蔵能力は実に12万トンを越えます。 
米国防総省が自ら「ペンタゴン最大のオイルターミナル」と呼んだのは、在日米軍燃料タンク施設(鶴見、佐世保、八戸)です。
鶴見オイルターミナルは国防総省管内のうち米本土まで含めて第2位の備蓄量、第3位は佐世保で、八戸(航空燃料)と合わせると1107万バレルを備蓄しています。 
これは米海軍最強の第7艦隊全体の10回分の満タン量に相当します。米海軍は日本における高い技術力と、本土に蓄えられた燃料・弾薬、装備に支えられて初めて展開可能なのです。

沖縄が過剰な基地負担で苦しんでいるのは事実ですが、沖縄だけが苦しんでいる、本土は基地負担していないと叫ぶのはお止しなさい。
デニー氏のように、あたかも沖縄だけが米軍基地を引き受けて苦吟しており、本土はそのうえにあぐらをかいているという言い方はいいかげんお止めなさいということです。
「0.6%の土地に70%の米軍基地が集中」という言い方は、正確でないばかりか沖縄と本土を隔てる壁だからです。

次に、やっぱり言うだろうなと思っていたら言ったことは「2019年の民主的に行われた県民投票で沖縄の有権者が明確に反対したにもかかわらず」という言い方です。
この言い方は、「オール沖縄」の定番ですが、ただの数字のトリックにすぎません。
得票率は52%にすぎず、さらに移設反対は5割の投票率のうちの7割ですから、実体は約35%にすぎません。
しかもその「反対」は県内の別の地域・水域案も含めた数字ですから、オール沖縄のように「あらゆる県内移設反対」となると、さらにそれから割り引いて考えねばなりません。
たぶん県民のうち3割前後が「オールl沖縄」の真水といわれていますから、彼らが精一杯動員をかけててこの数字ということなのです。
ところがこの「移設に県民の7割が反対」というプロパガンダに利用してしまいました。
これも数字のトリックです。

こういう虚構の上に乗ってきたオール沖縄も、完全に分解しきったということになりました。
次の知事選が楽しみです。

2026年1月30日 (金)

いいかげんにしろ、統一教会騒ぎ

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心底くだらないと思います。
高市首相が統一教会の文書に何十カ所出たの出ないのと騒いだと思ったら、一転してこんどはブーメランで野田氏を直撃です。

しかも今度は勝手に文書に名をだしたなんてもんじゃなくて,統一教会に応援してもらっていたことまで証拠写真つきででてしまいました。

「中道改革連合の野田佳彦共同代表は26日夜、日本テレビ系の番組に出演し、インターネット番組「デイリーWiLL(ウィル)」が野田氏が25年前に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係者との会合に参加していたとして公開した写真を巡り、「写っている写真は私で間違いない」と野田氏自身であることを認めた。その上で「どのような形であのような会食になったのかよく調べたい」と述べた。(略)
会合を巡っては旧統一教会関係者が産経新聞の取材に、教団系政治団体「国際勝共連合」による野田氏の後援会「佳勝会(かしょうかい)」の発会式だと証言した。

複数の関係者によると、国際勝共連合は平成12~21年の衆院選で野田氏を支援したという」
(産経1月27日)
中道・野田佳彦代表「写っているのは私で間違いない」 旧統一教会関係者との写真報道に - 産経ニュース

高市バッシッグに利用しなけりゃ、どーでもいいのです。
そりゃあるでしょうよ、議員であんたを支援しますって来られたら会合にでるくらいのことは。

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デイリーWILL

裏金、裏金と蒸し返していたと思ったら、今度は統一教会ですか。
スキャンダルこそが政治、政治はワイドショーというのが、うちの国の野党とメディアですが、必ずブーメランとなるのは笑わせます。
やってられません。どうにかしてください。
今の占拠で議論すべきは、いっそう好戦的な姿勢を明らかにした習の中国からどうわが国を守るのか、エネルギー問題をどうしていくのか、財政金融政策を今後どうするのかなど山積みのはずです。
それがあんなチャチな詐欺集団にかまけて、まるで天下の一大事と追及すべきことではありません。

この根っこは岸田氏にあります。
初めに原則を立てて対応しないと、ズルズルどこまでも後退していってしまうって。

岸田氏が自民内の調査なんかを始めれば、必ず不備がでるのは分かりきっていました。
だってそうでしょう。
たとえば、辻本女史と旧統一教会との「つながり」が、たかだかナントカ市の歴史サークルを名乗っていたように、別名でこられたら分かるわけはないのです。
選挙ボランティアも同じです。信徒は頭を赤いモヒカン刈りにでもしているとか。(笑)

いっそ信徒に全員に、「統一教会」と書いた大きなバッチでも着けさせますか。
自民党諸氏の場合も、別に旧統一教会側が信徒であることを隠していたというわけではなく、信徒とてフツーの国民ですからいろいろと社会活動をしていれば政治家とも「接点」が生じた、というだけのことにすぎません。
ですから、そもそも「旧統一教会とのつながり」を洗いざらい調べろ、と言うこと自体がナンセンスな要求だったのです。

政治家は、あなたの意見を話してくれと依頼されれば、どこにでも行き、誰とでもしゃべる、それがあたりまえの職業です。
基本的に断れない。

統一教会が騒がれたのは、自民党の政策に近い部分を持っている保守系だったからにすぎません。
だから左翼メディアは、ここぞと叩いただけのこと。

それすら昨今の旧統一教会は、慰安婦問題や北朝鮮援助にみられるように、恐ろしく反日的な姿勢を示していましたから、かなり双方の違いが鮮明になってきていました。

そもそもたかだか2万人くらいの小教団に、自民党を操れるはずがありませんがな。
政権を操って来た宗教集団とは創価学会みたいな存在を言うのです。
ですから、当時二階のジィ様が言っていたように、「政治家には支持者を選べない」と言ってピシリと言って、お終いにすべき事案だったのです。

それをケンカに弱い岸田氏は、「聞く力」とばかりにハイハイと野党とメディアの言うことに従うから、とうとう首が回らなくなりました。
しかも弱者の悪智恵で、統一教会問題を安倍派潰しの下心でりようしてしまったので、大騒動に発展しました。

果ては、宗教法人の解散請求に必要な教団への質問書で、民法的上の不法行為は入れないといったもんだから、ここぞとメディアと野党に責めたてられています。
それも初めは国が宗教法人請求は憲法の信教の自由に抵触するので慎重に、と言っていたのです。

「岸田首相「宗教法人の法人格を剥奪するという極めて重い対応であり、解散命令の請求については、信教の自由を保障する観点から、判例も踏まえ、慎重に判断する必要があると考えてはおります」
その上で、岸田首相は「社会的に問題が指摘されている団体については、関係法令等を確認しながら厳正に対応していく」と述べました」
(日テレ 10月6日)
悪質な宗教法人の“解散”岸田首相「慎重に判断」(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース

この線で持ちこたえればいいものを、ズルズルと後退し解散請求のための調査をするに変わり、それも民法上の不法行為が入っていないと噛みつかれると、今度はそれを一夜で変えるという日替わり定食ぶりです。
ひとつ譲れば、次を譲ることになり、あとは以下同文の底無し沼、ホント弱いお人。呆れてモノがいえません。
結局、旧統一教会の霊感商法が、サリンを撒いたオウム以上だったということですから、ずいぶんと統一教会を持ち上げたものです。

統一教会はオウムと違って、ただの詐欺団体にすぎません。
アムウエイのほうがよほど悪質です。
とまれ、ここまでこの旧統一教会騒動を大きくした責任の半分はメディア、そして半分は岸田氏自身でした。
野田氏も統一教会に引っかかっていた、ただそれだけです。
野田氏は「記憶にない」なんて政治家の常套句で逃げようとしているようですが、きちんと選挙期間中に徹底調査しなさいよ。
ある意味、たいした問題ではないんですから。

2026年1月29日 (木)

習近平「ひとり独裁」の完成か

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多摩っこさんからコメントを頂戴しました。
「26日の朝に劉振立が率いる82軍が中南海地域を封鎖し習近平や側近を探している」という情報についてですが、だと非常に面白い展開になるのですが、たぶんこれがソースでしょうか。

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たぶん元タネはInconvenient TruthsというSNSです。

「1. 張有侠事件の基本判断。 この事件は、普通の組織の取り扱いや懲戒調査ではありませんでした。
II. 軍は非常に緊張している。習近平は内部の反乱に備えている。繰り返しキーワード:習近平は反乱を防いでいる。
北京地域では、この件に関連してすでに5,000人以上が拘束されています。
張有霞は軍内部に広範なコネクションを持ち、体系的な影響力を持っています。
習近平は軍の反乱を引き起こすことを恐れ、軍の家族施設に住む劇場司令官や職員の移動や移動に厳しい制限を課している。
この事件に関連して、中堅および高レベルの幹部間の連携に対する警戒が強化されています。
一部の司令部は、上級将校の通信機器を一時的に中央集権的に管理していました。
張有侠の逮捕作戦は他の場所ではなく北京地域内で行われた。
その過程は平和的ではありませんでした。実質的な武力衝突は確かに存在しました。
習近平はすでに景西ホテルを先に出ており、現在の所在は不明のままです。
張有霞本人は景西ホテルの紛争現場にはいなかった。これは外部から主張されるような通常の手続きではなく、高リスクの内部強制行為でした。張友霞も一部の主張のように会議中や中央軍事委員会の建物で逮捕されたわけではない。
III. 習近平と軍は長らく相互信頼を欠いてきた 一つの評価:習近平は軍の真の支配権を握ったことがない。
彼の権威は主に威信よりも粛清と恐怖に基づいています。
習近平の個人的能力と軍内での正当性の認識は限られている。
私的な場では、習近平の軍事的背景や軍事能力の欠如を疑問視する議論がなされている。習近平の長年の粛清はむしろ不安を強めている。
現在の状況は、極度の相互不信のもとで爆発し、その後強制的な支配が続くものです。これはすでに歴史的な極端な個人支配者たちの後期段階に見られる特徴に似ています」
XユーザーのInconvenient Truths — Jennifer Zeng Reportsさん:  X

残念ですが、BBCなども含めてこれといった情報はありません。
なにか追加情報があればアップします。

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 Jennifer Zeng Reports

さて、習近平はなにをしたいのでしょうか。
元朝日の北京特派員だった峯村健司氏がこんな暗い読みをしていたことがあります。

「いま中国は社会主義現代化計画、というのをしていまして。2035年までにすばらしい国をつくるんだ、と習近平氏が言っている。そのとおりにいったらアメリカも余裕で抜いてナンバーワンの国になると。日本は10位以下に落ちている、となると中国の影響下に入らないといけなくなるかな、と思っていましたけど(略)
(その2035年には習は)82歳になります。じつは毛沢東が亡くなった年齢なんですね。2035年って突然、習近平氏が言い出した。これまで『目標は2049年』と言っていたんです。中国ができて100年なので、これはわかりやすい。なぜ2035年かと中国共産党の幹部に聞いたら『簡単だ。毛沢東が亡くなった歳だから、そのときまでに習近平氏は自分の国をつくる』と。『それまで続けるつもり?』と聞いたら『もちろんそうだ』という答えが返ってきました」
(文化放送2024年12月12日)
「アメリカの傘が破れかけている」日本の安全保障のリスクは高まる?

そして2027年には、つまり来年ですが、習近平氏の3期目の任期が終わるわけですが、ここまでに習は権力の集中を完了しておきたいのではないかと思います。
この「2027年」というのがキイワードで、それまでに「台湾を解放するのだ」というのが、CIAなどの米国情報機関の共通の見方です。
そのためには軍を完全掌握せねばならないのは常識です。

ところで中国においては「軍」は一般の民主主義国家とは違った意味を持っています。
それは人民解放軍という名称どおりこれは国軍ではなく、中国共産党の「私兵」なのです。


「共産主義の中国で建国の父とされる毛沢東が「政権は銃口から生まれる」と言ったのは、よく知られている。
毛は1949年に中華人民共和国を建国すると、人民解放軍(PLA)を統制するのは国家ではなく党であることを徹底させた。以来、中国共産党の指導者が、中央軍事委員会(CMC)の主席を兼務している。
習は即座にCMC主席に就任した点で、前総書記の胡錦濤よりも幸運だった。すぐに軍内の反対勢力の排除に乗り出したゃ」
(BBC2022年10月17日)
【解説】 習近平氏の絶対性、どうやって自ら作り出したのか - BBCニュース

しかも習近平は共産党の軍隊」をさらに純化して「習の軍隊」にしようとしています。
習近平体制になるまでは、中国は集団指導体制でした。
胡錦濤政権まではその集団指導のルールは厳密に守られており、最高指導部の常務委員会メンバー9人もしくは7人はそれぞれの職務を持っていました。
例えば警察担当とか、経済担当などとのが全部分かれており、その中でトップの常務委員が責任を持ってやっていたわけです。
そしてこの常務委員は、お互いの業務に干渉しないという暗黙のルールがあって、越権行為は許されていませんでした。
しかしこのルールを習近平は破ったのです。

習は総書記となり権力を取るや、すぐに軍内の反対勢力の排除に乗り出しました。

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郭伯雄 徐才厚晋升上将军衔仪式1999 09 29


「最も衝撃的だったのは、2014年と2015年に、元共産党中央軍事委員会(CMC)副主席の徐才厚と元PLA上将の郭伯雄が汚職で訴追されたことだ。
「おのが振り下ろされたとき、二人はすでに引退していた。だが、習が彼らを狙い撃ちにしたことで、中国元指導者の江沢民のPLAに残っていた影響力が低下した」。米国防総省が資金を出す米国防総合大学のシニアフェロー、ジョエル・ウスノウは、そう話す。
「そして、習の支配に抵抗する者は危害を免れないという強力なシグナルを、現役将校たちに送った」
習は2015年、軍の抜本的な構造改革も進めた。参謀、政治、後勤(兵たん)、装備の「4総部」を廃止。15の小さな機関に置き換えた。
この新体制により、CMCは軍の各部門に直接命令できるようになった。財務監査官までもが現在、CMCの直接的な指揮下に置かれていると、ウスノウは付け加える」
(BBC前掲)

徐才厚と郭伯雄を粛清することで江沢民の軍への影響力は抹殺されました。
そして次なるステップは治安機関の掌握です。

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中国当局、周永康氏らの資産900億元超差し押さえ=関係筋 | ロイター


「銃口を確保した後は、ナイフ(国内の治安組織)を完全に統制することが重要になる。
習政権の誕生から2年後、当局は「虎」と呼ばれた元公安部長の周永康を汚職で逮捕したと明らかにした。周は、習のライバルで「太子党」だった薄熙来と密接な関係にあった。
この捜査は、最も強力な意思決定機関である政治局常務委員会のメンバーは刑事罰の対象にはならないという暗黙のルールを打ち砕き、政治的衝撃を与えた」
(BBC前掲)

また習は、北京、上海、重慶などの主要都市の党書記など、地域の重要なポストにも彼に忠誠を誓う人たちを起用しました。

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北京による軍トップの粛清 安定性に疑問符 専門家の見解 | 張又侠 | 劉振立 | 習近平 | 大紀元 エポックタイムズ

そしてその仕上げが張又侠と劉振立・軍統合参謀部参謀長ふたりの粛清です。
これですべての軍事委員が粛清され、習近平は完全に中国のすべてを掌握したことになります。
もはやこの男を排除するには暗殺かクーデター以外にないということになります。

 

2026年1月28日 (水)

統治がわからない哀れな野田さん

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もう見ていて気の毒になってきます。こんな党の「共同代表」やらされている野田氏です。
なにも決めていないのに「新党」を作ってしまった、なにひとつまとまらないまま立憲をそれに合体させてしまったのがバレバレです。
肝心要の安全保障が決まっていないのに「新党」はないもんんです。
いつもは追及する一方で済むのですが、政権選択選挙ですから高市さんにさっそく「辺野古はどうするのか」と突っ込まれました。

「中道改革連合の野田佳彦共同代表は25日のフジテレビの討論番組で、衆院選(27日公示、2月8日投開票)では米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を名護市辺野古に移設する計画に関する党方針を示せないとの認識を示した。
中道を構成する勢力のうち、立憲民主党は辺野古移設に反対だったが、自民党と連立を組んでいた公明党は移設支持の立場だ。
野田氏は番組で、高市早苗首相(自民総裁)から「新しい政党(中道)がどうなのかはっきりしていただかないと、日米同盟の信頼に関わる」と迫られ、「早急に、選挙が終わった後に結論を出したい」と答えた。
立民と公明の政調会長間で整合性を協議してきたものの「衆院解散には間に合わなかった。引き続き党内でしっかり議論する」とも述べた」
(産経1月25日)
中道・野田氏、辺野古移設の党方針は「衆院選後」に結論 高市首相「日米の信頼に関わる」 - 産経ニュース

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野田氏、辺野古移設に慎重 「沖縄の感情踏まえ対応」 | NEWSjp

たぶん野田さんは移設一択しかないのは、よーくわかっているはずです。
彼が民主党政権の3人目の首相になった時、初代ルーピーの「国外、最低でも県外」という方針をひっくり返して当時の仲井真知事にこうお詫びしています。
いつもぶれない、言い換えれば政権取る気などみじんもない共産党はこう報じています。

「知事との会談で首相は、昨年の田中聡前沖縄防衛局長による暴言に加え、民主党政権が普天間基地の「県外移設」の公約を裏切って「県内移設」に逆戻りした経緯について「大変ご迷惑をおかけしました」と述べました。
同時に、「(普天間基地の)辺野古崎への移転が唯一の有効な方法だ。安全保障環境は厳しくなっており、一定の海兵隊が沖縄に駐留し、抑止力を維持しないといけない」と強調。「海兵隊=抑止力」論を盾に、沖縄に基地をおしつける考えを正当化しました」
(しんぶん赤旗2012年2月28日)
新基地おしつけ 怒る沖縄/首相訪問、「辺野古が唯一有効」/県民の総意に背く

共産党はカンカンに怒っていますが、野田氏は統治者として常識的なことを言ったにすぎません。
野田氏自身に説明してもらいましょう。

「日米同盟は安全保障の基軸であることはゆるがせにできない。この点を総合的に踏まえて現実的に対応していきたい」
(産経1月26日)
中道に見た「トラスト・ミー」の悪夢 党首討論会、鳩山元首相を彷彿 阿比留瑠比 - 産経ニュース

そう、まったくそのとおり。さすが松下政経塾で、受験に来た高市さんを審査した人だけあります。(ウソみたいですがホント)
いま、埋め立てが終了しつつある段階で辺野古移設ハンタイなんて言うことがいかに空論で、県民もそんなことを望んでいないのは、先日の名護市長選のオールおきなわの惨敗を見ればよくわかるはずです。
しかもこれはいまさらですが、国と国の約束ですから、国内政治を超越するのです。
政権党になるというのは統治者としての覚悟がいるのです。

野党時代の空理空論ではどうにもならないし、強いてできることを探すとすれば普天間の跡地計画を県と共に構想するくらいのものです。

それなのに、立憲の極左部分に配慮して煮え切らないからこう言ってしまうのですから情けない。

「野田氏は24日のインターネット放送「ニコニコ生放送」でも辺野古への移設に賛否を明らかにせず、25日のフジテレビ番組ではこう語った。
「早急に選挙が終わった後に結論を出したい」
(産経前掲)

なにを言っているのか、この人は。安全保障問題を明らかにせずに「新党」に合流したこと自体がぶっ飛んでいるのですよ。
あいまいなことを言って逃げを打てるのは野党の間だけ。
仮に間違って政権をとってしまったらどうするのでしょうか、もう逃げられない。
宗教政党と一緒になっても政権を取ると大見得を切った以上、その覚悟を持ちなさい。

それともまたデニー知事の所に行って2012年のように「野党時代はご迷惑をおかけしました。移設促進にご協力を」とでもやるんでしょうかね。
デニーさんに塩まかれるよ。

既報のように、中革連の比例名簿が出ましたが、比例上位は旧公明党が独占してしまいました。
さぁもう比例復活はできませんよ。どうします。もう後ろがありません。
また業界団体は野党には振り向きもしないでしょう。
つまり公明だけが合体の甘い汁を吸える構造なのです。
これならいっそ元のまま立憲でやればよかった。まぁ負けるのを見越して参院だけは残して公金の受皿としたんでしょうがね。 

とまれ保守からはナニ言ってんだかこのフーテン野郎と相手にされず、ヒダリからは裏切りモノめと罵倒される、それが中道というヌエです。

 

 

2026年1月27日 (火)

そして誰もいなくなった

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習近平が軍トップを粛清しました。
なんとこれで軍指導部は全員が粛清されたことになります。

「米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は25日、規律違反などの疑いで調査対象となった中国人民解放軍制服組トップ、張又侠(ちょう・ゆうきょう)中央軍事委員会副主席について、中国の核兵器に関する技術的なデータを米国に漏洩した疑いが持たれていると報じた。
中国軍の最高幹部らが出席して24日午前に開かれた疑惑に関する説明会の内容に詳しい関係者が明らかにしたとしている。中国軍は同日午後、張氏と、中央軍事委の委員である劉振立・軍統合参謀部参謀長を重大な規律違反と法律違反の疑いで調査すると発表した。

同紙によると、張氏の核兵器データ漏洩に関する疑いは、中国の国有企業、中国核工業集団の元幹部への調査と関連している。漏洩した情報の詳細は明らかになっていない。また、軍内の昇進に便宜を図った見返りに賄賂を受け取った疑いも持たれているという」
(産経1月26日)
中国軍制服組トップが核兵器データ米国に漏洩か 昇進見返りに賄賂の疑いも、米紙が報道 - 産経ニュース

中央軍事委員会副主席の張又侠(ちょう・ゆうきょう)と劉振立・軍統合参謀部参謀長でのふたりで、このふたりは軍のトップとナンバー2ですが、共に粛清されて消えたわけです。

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北京による軍トップの粛清 安定性に疑問符 専門家の見解 | 張又侠 | 劉振立 | 習近平 | 大紀元 エポックタイムズ

福島香織氏は端的にこう述べています。

「この事実が意味することは二つ。解放軍の中央軍事委員会集団指導体制は完全に崩壊し、習近平独裁軍隊になったこと。今後、中央軍事委員会集団指導体制が復活することはないと思われます。
もう一つは、習近平の台湾統一戦争への野心に歯止めをかける制服組(現実の戦争を知っている)がいなくなった、ということです 」
(福島香織中国趣聞1月26日) 

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XユーザーのTatsushi Tomiokaさん: 「これが意味するものは?中央軍事委員会の主席、副主席、委員は習近平と張又侠しか残っていない。」 / X

それ以前から習は、軍を根こそぎ粛清してきました。

「一昨年から苗華閥が徹底粛清されました。で、現在解放軍に残るのは張又侠派閥のみ。習近平は中央軍事委員会主席になってから、徐才厚の東北閥、郭伯雄の西北閥、房峰輝ら胡錦濤閥(国軍化推進閥)をつぶし、そのあとロケット軍、装備発展部、軍工系の軍人を大粛清、これらの多くは張又侠が推薦し習近平が抜擢した人物で、苗華閥が彼らの汚職追及の主導を握りました。そのあと、苗華閥が粛清されました。で、張又侠直系派閥だけが生き残った…。そしたら、習近平は張又侠を粛清した、ということです」
(福島前掲)

福島氏はスターリンの赤軍に対する歴史的大粛清を上回るとしています。

「単に、習近平ご乱心、というのが理由だったりします。苗華とその子分である何衛東が失脚し、残る張又侠とその腹心といわれた劉振立が逮捕され、中央軍事委員会は主席の習近平(シビリアン)と張昇民(軍事規律検査委員会主任)の2人だけ。第20回党大会で選出された7人の軍事委員のうち5人が失脚(制服組は6人中5人が失脚)。
スターリンは旧ソ連軍元帥の5人中3人を粛清しましたが、習近平のやっていることはそれより過酷な粛清です。しかも習近平とスターリンでは、軍事統率力はスターリンの方が上。だって、スターリン、本物の実践派のたたき上げの革命家で軍人ですから。

スターリンと同等の革命家は毛沢東ぐらいで、習近平は毛沢東のファン程度のレベル。
それが、毛沢東レベル、スターリンレベルの大粛清をやってしまっている、ということです」
(福島前掲)

たとえば東部戦区は司令官と政治委員を粛清しましたが、ここはもっとも重要な軍管区(戦区)です。
それは東部戦区は旧南京軍区という名が現すように、江蘇、福建の両省と上海市などを管轄し、台湾侵攻作戦で中心的役割を担う予定の軍管区です。
さらに軍内の習派は、彼がかつて福建省の政治トップだった関係で南京軍区に属していた旧第31集団軍(福建省)の出身者が多いとされています。
つまり、習の軍の基盤そのものだったわけです。

この自身の政治基盤を文字どおり根こそぎ粛清してしまったわけで、かつての文革期の林彪事件を彷彿とさせます。
しかもいかにも中共流なのは、妻や兄弟までまるごと親族が逮捕されているようです。
また張又侠は軍トップだったためかその指揮系統に連なる17人も丸ごと粛清されたようです。

かつての林彪事件では、林が毛沢東を暗殺するクーデターを計画して失敗したとされていますが、今回も同様にそのあまりの粛清の規模の大きさからクーデター計画があったのではないかという噂が立っています。
確かめるすべがありませんが、張又侠らは、1月18日、習近平が京西賓館に滞在しているときに、拉致する計画を立てていたが、実行2時間前に、情報がもれて失敗した、ということのようですが、真偽は不明です。
過去の林彪事件とのあまりの相似から、そのような噂がまことしやかに流れているのかもしれません。

毛にとって林彪がそうであったように、習近平と張又侠は父親の代からの強い関係でした。
繋がりの深さは、毛と林以上の関係でした。
習は熱烈な親思いで有名ですが、張又侠の父親である張宗遜(軍人)と習の父・習仲勲は親友で、伜の代も子供の時からの親友だったといわれています。

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父への手紙――習近平氏と父親の物語

「張又侠の父親は著名な軍人・張宗遜で、軍内紅二代。そして習近平とは竹馬の友。張孫遜と習近平の父、習仲勲も親友で、どもに革命を戦いぬいてきた関係です。1947年、西北野戦軍の政治委員兼書記が習仲勲、司令委員が彭徳懐、その下に張宗遜がいました。
中国共産党政権ができて、習仲勲がその副首相になったとき、張宗遜は中央軍事委員。
そういう関係だから2012年、習近平が総書記になったとき、張又侠も中央軍事委員会入り(装備発展部主任)し、習近平を支えることになったのでした」
(福島前掲)

そして当然のようにして張又侠は習近平を中央軍事委員会に加わってナンバー2として支え続けます。
これは当時、習近平が個人独裁を完成させるために軍制改革の名の下に粛清を繰り返してきていたからです。
習にはカリスマ性が欠落しているうえに軍歴がなく、ひとりでは軍人たちの強い反発を抑えきれず、軍の英雄であった張又侠のサポートが必要だったからです。

張が英雄と目されていたのはその軍歴にあります。
張は軍内部でいまや希少となった実戦経験をもっているからです。

「張又侠は解放軍内でも少数派の実践経験ある将軍。1979年の中越戦争に参戦しています。この時の活躍で師団参謀に出世。1984年の中越国境紛争にも参戦し、昇進。解放軍軍人のほとんどが戦争経験がありません。その中で、あの過酷の極み、激戦中の激戦といわれたベトナムとの戦争で息抜き、功績をあげた軍人は、今なお解放軍の英雄です。
(中越戦争で解放軍兵士たちは、戦争なれしたベトナムゲリラ兵に返り討ちにあって、そろこそ6人の小部隊中平均5人が死亡、と言われるぐらいぼこぼこにやられた恐怖の戦争でした)」
(福島前掲)

実戦を知る張は今の中国軍には台湾侵攻する能力はないと見ていました。
仮に習が台湾侵攻を命じても、張は同意しなかっただろうと言われています。
この唯一、最大の止め男が消滅したいま、習はどうするのでしょうか。
いずれにしても習王朝は末期です。

 

2026年1月26日 (月)

名護市長選でオール沖縄が敗北

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名護市長選でオール沖縄がまた敗北しました。

「任期満了に伴う沖縄県名護市長選挙は25日午後8時で投票が締め切られた。琉球新報の事前の情勢取材や出口調査によると、無所属現職の渡具知武豊氏(64)=自民、公明、国民、維新推薦=が無所属新人の2人を破り、3期目の当選を確実にした。無所属新人で、辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」勢力が支援した、前市議の翁長久美子氏(69)=共産、立民、社民、社大推薦=との事実上の一騎打ちを制した。(略)
辺野古新基地問題を巡っては、明確に建設反対を訴えた翁長氏に対し、渡具知氏は「久辺三区の生活環境を守ることが大事だ」と述べ、賛否を示さなかった。新基地問題が選挙で明確な争点とならず、翁長氏の訴えは及ばなかった。県内の首長選では、新基地建設反対を訴え、玉城デニー知事を支える「オール沖縄」勢力の敗戦が続いている」
(琉球新報1月25日)
【速報】名護市長選挙、渡具知武豊氏が3期目の当選確実

得票数において渡久知市長は、オール沖縄の翁長久美子氏に倍の得票差をつけました。

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「オール沖縄」また敗北 辺野古抱える沖縄・名護市の市長選で現職・渡具知氏が3選確実 - 産経ニュース

渡具知 武豊   20,009 票(65.0 %)
翁長 久美子   10,543 票(34.3 %)

今回の選挙は、自公協力が崩れる一方、「オール沖縄」も立憲が沖縄でどのように振る舞うのか不明な状況でおこなわれましたが、結果はご覧のとおり容認派の圧勝に終わりました。
明瞭になったのは、辺野古問題はもはや争点たりえない、終わったテーマだということです。

公明と合体した瞬間、オール沖縄だった立憲は辺野古移設反対の立場をいとも簡単に投げ捨てました。

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 琉球朝日放送

「立憲民主党 安住幹事長「政権をいざ担うということになれば、いま(辺野古新基地を)ストップするというのは現実的ではない」
会見で、立憲民主党の安住幹事長は辺野古新基地の建設中止について「現実的ではない」と述べたうえ「沖縄の人たちの心情をよく聞き、安全保障との整合性を作ることが大事」としています」
 琉球朝日放送 報道制作局  2026年1月19日

たったひとりの社民党衆院議員で、先日立憲に鞍替えしたばかりの新垣邦男氏は、中革連に参加した矢先に梯子をはずされました。

「新垣邦男衆院議員「しっかり議論しないといけない、沖縄の問題を置き去りにして与党で突っ走るのは難しい」
新垣議員は、安住幹事長の辺野古を巡る発言について問われ「与党になったから政策を変えるという話にはならない」とけん制しました」
(琉球朝日前掲)

おいおい、それは禁止されているのですよ、新垣さん。
しかしなんと安住氏のほうが翌日には「言葉足らずだった」と釈明してしまいました。
この出たとこ勝負の対応ぶりはさすが立憲です。
原発再稼働しかり、安全保障しかり、改憲しかり、すべからくこの調子でしょう。

立憲が左翼政党だと思って支持してきた支持者の皆さんは、かつての村山社会党の自社さ連立の時と同じ気分を味合わされているようです。
公明なんかと理念も政策も共有できっこないという非合流組が、一定の勢力を形成し分裂することを心密かに願っていたかもしれません。
しかしあいにくですが、合流が決定するとごくわずかの議員を除いて「中道の理念に共感」「人民戦線のようなものだ」「中から変えていためがんばる」などという自分でも信じていない言辞を並び立てて合流に走っていきました。
彼らにとって眼中にあるのは、「理念」ではなく目先の選挙で得られる創価学会の組織票小選挙区2万なのです。

須田慎一郎氏は創価学会の内部文書から、こう冷やかに見ています。

「今回、中道改革連合は立憲民主党の衆議院議員と公明党の衆議院議員が離党して新しい政治勢力、新党を結成した。そして、公明党に所属していた衆議院議員は比例区に、立憲民主党に所属していた衆議院議員は小選挙区と住み分けをすることになるなかで、公明党の支援組織である創価学会が重点的に選挙活動を行うのは基本的に比例のみだということだ。
中道改革連合に所属したからといって、立憲民主党系の候補者を創価学会員が自動的に応援するわけではないのだ。これまでどういう活動をしてきたのか、どのような抱負があるのか、今後の方針はどのようなものか。あくまで人物本位、「中身」次第なのである。組織としては、小選挙区について意思統一は図らないということを明言しているのだ」
(須田慎一郎1月21日)
「比例はよろしく、小選挙区は知らんけど」が本音…創価学会の内部文書で分かった公明と立憲出身議員の距離感 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

中革連の候補者選定では、すでに公明は全部比例に回って上位を独占したことが明らかになっています。
小選挙区で勝とうが負けようが、いままでの議席数は安泰なのです。
しかし立憲の議員が恥も外聞も忘れて飛びついた小選挙区の創価学会票は望み薄のようです。
そうそう、自社さ連合は大敗して雲散霧消しましたっけね。

 

 

2026年1月25日 (日)

日曜写真館 若芦や空に従ふ湖の色

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鳥帰る合せ鏡の湖と空 藤本末尾

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蘆刈や湖に日は太古より 長谷川櫂

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湖の寒さを知りぬ翁の忌 高浜虚子

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湖の芯をおぼえて鳥引けり 小島健

 

 

2026年1月24日 (土)

今回の選挙の影の主役中国

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今回の選挙の影の主役は中国です。
オールドメディアは「大義がない」なんてとぼけたことを言っていますが、ナニをおっしゃることやら。
「政権交代」は既に起きているのです。
自民党内で、親中派から対中原則派に交代しました。これを政権交代と言わずしてしてナニをそう呼ぶのでしょうか。

そのことについて福島香織氏がこう言っています。

「29日のABCテレビ「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」では、高市早苗首相が台湾有事の最悪ケースを想定し「存立危機事態になり得る」と国会発言し、中国側が猛反発している問題を特集した。
解説役で出演したジャーナリスト福島香織氏は、衆院予算委での高市首相の台湾発言について聞かれると「私は、よくぞ言ってくれた高市総理と思ってます。反省する必要もなければ撤回する必要もありません」と断じた。
「日本の外交はずっと中国の顔色を伺って、ことなかれ主義でやってきた」と指摘した。
中国側が「レッドラインを越えてきた」と怒っているとし「それは中国が勝手に引いたレッドラインなんですよ。今回初めて日本側が日本にとってのレッドラインを明確に示した」と語った。
高市首相が絶対にやってはいけないことは「発言の撤回」だとし「はじめてアメリカ追従ではなく、中国忖度でない、日本が日本の国益に立って日本の立場を日本の総理自身の言葉で国際発信できるリーダーが誕生した。これ物凄くうれしい」とも語った」
(デイリー2025年11月29日)

まさにそのとおり。「レッドラインを勝手に引いたのは中国」なのです。ここがポイントです。
今回の日中のフリクションを招いたのをあたかも高市氏の過激な言辞にあるかのにうに言うモノが絶えませんが、とんでもないアチラが招いたのです。

「「台湾有事によって、2つキーワードがありますね、海上封鎖、戦艦を出す。これが日本にとってのレッドライン。それさえしなければ日中関係は穏便にできますよという、日本側からレッドラインを引いた。これ今までにない日本の外交で、私はこういう外交を待ってました」と述べた」
(福島前掲)

日本の政治が陥ってきたズブズブの中国融和外交と一線を引いたのが高市氏でした。
そう思って見れば、今回の選挙は見事に中国を分水嶺にして二分されています。
今の中革連の源流である民主党時代は、中革連劇の背後にもうごめく小沢氏が絶対権力者でした。

2015年1月8日の記事をスクラップしておきます。
「野戦軍司令官」小沢氏と中国の利害の一致: 農と島のありんくりん

 

中国が尖閣を「係争地」にすべく猛然と日本を攻めまくっていた時期の、民主党政権の事実上の支配者は小沢一郎氏でした。 
小沢氏は、素人政治家の選挙互助会でしかないかった民主党を政権に導いた功績を背景にして、幹事長職につきます。
(中略)

たとえばODAがあれば、必ずコンサルタント会社があり、それが政治家を仲介して外務省を動かし、その3~5%をコミッションとして政治家が自分のポッポに入れたと言います。
この数ある利権の中で、最大かつ闇に包まれていたのが中国ODA利権でした。
この中国利権は伝統的に、田中角栄が「井戸を掘った」(中国側の表現)ことにより、旧田中派が一元的に握ってきました。
田中-金丸-橋本と連綿と続く中国ODAの利権のやり口を、田中の愛弟子、金丸の側近としてもっとも知悉していたのは、他でもない直系本流の小沢一郎その人だったはずです。

そう考えると、色々なことが見えてきます。
なぜこの男が野党時代から毎年几帳面に年末北京詣でを続けたてきたのか、
そして日本の最高権力者になった時、国会会期を調整してまで、なぜ160名の現職議員、随行合わせて600人もの北京参拝団を従えたのか、
あるいは、なぜ中国共産党の御曹司・習近平を天皇陛下に強引に会見させる必要があったのか、
はたまた、なぜ李克強(現国務院総理)を自宅にホームスティさせていたのか・・・、
それらの理由の一端が分かってくるでしょう。

ダム利権、道路利権、土地改良、ODA利権など、古い自民党がなしてきたすべての談合構造を知り尽くした小沢氏の野望は、自民党の持てるすべての利権を自らに吸い寄せること、そっくり自らの下に移植することでした。
そして利権の全面的な移し替えのためには、「政権交替」が必須で、ある意味、旧民主党もその小沢氏の野望に利用されたのかもしれません。
しかし、小沢氏という「昭和の悪霊」に乗っ取られ、それなくしては何も出来ない素人集団は、乗っ取られてあたリまえなのかもしれません。ハトさんのあの虚ろな目を見ると、ああこりゃ憑依されているなと・・・(苦笑)。

そして、民主党を乗っ取った小沢氏がしたことは、与党の政治資金の金庫を握り、党の政策決定を一手に掌握し、かつ党への国民の声もすべて自分に一元化するという、ひとり独裁体制を作ることでした。
このように、共産党よろしく党執行部、それも幹事長個人にすべての権限が集中する仕組みを、民主中央集権制、別名全体主義といいます。
先日、菅直人氏を「輝け!日本のヒトラー大賞」に推薦しておいたのですが、すいません、小沢氏のほうかはるかに大物でした。謹んで、新たに「輝け!日本のヒトラー大賞」は小沢一郎氏に贈りたいと思います。おめでとうございます。皆様、拍手を。

もっとも福島事故の折、菅氏がデタラメな指揮をしていた時に、この「野戦軍司令官」ときたら、女性と京都に逃げて、奥さんに逃げられたんですが(爆)。
さてこの小沢氏が、政権をとるやいなや最初にやったことは、高校生の修学旅行のような民主党議員160名、総勢600名の民主党議員たち引き連れて北京詣をしたことです。
多数のリムジンを連ねて、それは見事な朝貢使のご一行だったそうです。国権の最高機関たる国会開催期間を無理矢理変えてまで行ったのですから、もはや国家行事と言うべきで、とうぜん税金が多額に投入されています。
小沢氏は得意満面で、小沢チルドレンを率いる校長よろしく、胡錦濤主席と握手させては、記念写真に収まらせていました。

下の写真を見てください。右端の胡氏は惜しいことに消えてしまっていますが、もう嬉しさ一杯で笑み崩れている小沢チルドレン諸君がいます。

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滑稽を通り越してなにやらもの哀しくなってくるような光景ですが、一国の与党が、ここまで自尊心と羞恥心を捨てて堕ちるのはなかなか難しいことです。 
この北京詣を小沢氏は「長城計画」と名付けていましたが、長城とは中国を夷狄から守るためのもの、ならば彼は何を何から護ろうとしていたのかよく分かります。
実はこの年の朝貢は、彼の資金疑惑が浮上したためにて、中国側か開催を渋っていたようです。 
それを押して、「権力を取ったオレ様の顔を立ててくれ」とネジ込んだ、というのが舞台裏だったようです。 

ですから、小沢氏が日本ではゼッタイに見せない追従笑いを浮かべて、揉み手をせんばかりにして「(人民解放軍)野戦軍司令官として頑張っていま~す」などと殊勝なことを、胡に伝えたようてす。
え~、「野戦軍」という呼称は方面軍をのことですが、その統帥権者は中国共産党軍事委員会主席たる胡氏です。
つまりは、「胡総司令官様。ワタクシめは、あなた様の部下でございます。日本方面軍司令官としてよしなにお使いくださいませませ」ということです(爆笑)。

やれやれ。この男はとどこの国の政治家なのかしらね。

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 おそらく胡は、「日本の議員なんぞ、皇帝に使える奴婢のようなもの。写真一枚で大喜びする。手応えひとつない卑屈な奴らだ」と内心思ったことでしょう。 
実際に、この民主党議員ご一行様の「修学旅行」に立ち会った中国政府の下級官僚は、「小沢一郎は胡錦濤主席にじゃれつく子犬」とまで言って、口を歪めたそうです。
小沢氏からすれば、オレはカネの成る木のODA利権をゲットし、中国は日本の与党を間接支配できたのだからwin-winだろう、「この素晴らしき日中友好に幸あれ」といったところでしょう。

これを「日中友好」と呼ぶならば、ないほうがよほどましです。

 

2026年1月23日 (金)

ヨーロッパと米国、グリーンランド問題で初期合意

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グリーンランドをめぐる問題で、一定の合意がなされたようです。
ただとっかかりができたていどの話のようで、解決にはまだ時間がかかるでしょう。


「アメリカのドナルド・トランプ大統領は21日、領有に意欲を示しているデンマーク自治領グリーンランドに関して合意を模索しているとし、アメリカの野望に反対してきた欧州諸国に対する関税の脅しを引っ込めた。
トランプ氏はこの日、北大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長と会談。終了後、「非常に生産的な会談」をし、「グリーンランド、そして実際のところ、北極圏地域全体に関して、将来の合意の枠組みを形成した」と、自らのソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルで説明した。
そして、「この解決策が実現すれば、アメリカ合衆国、そしてすべてのNATO加盟国にとって、素晴らしいものになる」とした」
(BBC2026年1月22日)
トランプ氏、グリーンランドに関し「合意の枠組み」を協議と 関税の脅し引っ込める - BBCニュース

内容的には明らかにされていませんが、NATOと米国が戦うという最悪の事態は避けられたようです。
まぁ、あたりまえだといえばあたりまえなんですが、NATOの拠出金の約3分の2は米国が出していますし、現実の軍事力も大部分は米軍に依存しています。
米国あってのNATOなのですが、それをいいことに今回のような横車を兵器でおすのがトランプのタチの悪さです。

そのうえ悪いことには、ヨーロッパにおいて常に仏独の間に入ってなんとかまとめている英国が、労働党政権になって弱体化しているといわれています。
ですから、いきなりガチンコでヨーロッパと米国が真正面から衝突するというありえない光景を見せられたわけです。

トランプの要求は、島を丸ごと寄こせというメチャクチャを置けば、要はゴールデンドームミサイル防衛システムとレアアース鉱脈への米企業参加のようです。
おいおいトランプよ、こんなていどのことでいちいち世界一巨大な米軍を動かすかね、あんたにとっての軍隊ってディールのダシなのかい、といいたくもなります。

そもそもこのゴールデンドームミサイル防衛システムを構築するのにグリーンランドは必須ではありません。

「ゴールデン・ドーム」計画は新しいミサイル防衛システムの構築ですが、その中核となるのは宇宙配備迎撃システムです。低軌道の衛星軌道上に数千から万単位の迎撃ミサイル衛星を配備して、敵の弾道ミサイルを上昇段階で撃墜します。
上昇段階では極超音速兵器も弾道ミサイルに類似した挙動をするので一緒に纏めて対処できます。つまり宇宙配備が主体のゴールデンドーム構想にとってグリーンランドはまったく重要ではありません」
(JSF1月18日)
トランプ大統領の主張「ゴールデンドーム計画の為にグリーンランドが必要だ」が全て嘘である根拠(JSF) - エキスパート - Yahoo!ニュース

ですから、資源利権からの中国の排除と米国企業の参入が最大目的のはずです。
ただし米国の資源会社は、世界どこにでも利権があるところに首を突っ込み、実力で利権を守ろうとして紛争をおこす存在です。
エクソン・モービルは、石油メジャー「セブンシスターズ」の一角だったエクソンとモービルが合併して誕生した企業で、エネルギーセクターの時価総額で首位に立っており、石油・ガスの探査から生産、輸送、精製、販売まで一貫して手掛けています。
シェブロンも同様にカリフォルニア州に本社を置く国際的な石油会社で、スーパーメジャーの一角として知られています。
また米国の資源メジャーには、ニューモント・マイニング(金)、フリーポート・マクモラン(銅)、アルコア(アルミニウム)などがあります。これらの企業は、地中や海中に存在するエネルギーや鉱物資源を探索し、権益を確保する資源開発を行っています。

天然ガス生産会社EQTは、天然ガス資源の発掘だけでなく、パイプライン・貯蔵・処理などの関連業務も手広く展開しています。
サザンウエスタン・エナジーも、1929年創業の天然ガス関連企業です。
【米国株:銘柄発掘】S&P500エネルギーセクター、トップ3はエネルギー産業を支える石油のスーパーメジャー企業 | 米国株、業界動向と銘柄解説 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア

これらの資源会社が国外の危険地帯で採掘をする場合、自前の民間軍事会社(PMC)を持つことがあります。
PMCとは俗にいう傭兵ですが、元特殊部隊出身の猛者が銃器を所持しているというモノ騒がせな存在で、米国内でも問題視されています。
また米国は自国の権益が犯されれば、米軍を派遣することを厭いません。
つまりグリーンランドが米国の資源会社を受け入れるということは、このようなことなのです。

なお、このグリーンランド領有をそそのかしたのは、億万長者のロナルド・ローダーだったようです。
あの大手化粧品会社のエスティローダーのオーナーで、トランプの友人のようです。
第1期の安全保障大統領補佐官だったボルトンはガーディアンにこう言っています。

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「ボルトンが知ったところによると、その実業家はロナルド・ローダーだった。彼はメイクアップ財産である世界的な化粧品ブランド、エスティローダーの相続人であり、同じく裕福なニューヨーカーであるトランプと60年以上の付き合いがあった。
ボルトンはローダーとグリーンランド案について話し合ったと述べた。億万長者の介入後、ホワイトハウスのチームはデンマークが支配する広大な北極圏におけるアメリカの影響力拡大の方法を模索し始めました。
ボルトンは、トランプが2期目中にローダーのアイデアを再び追求したのは、大統領の典型的なやり方だと述べた。「友達から聞いた断片的な情報は、彼はそれを真実として受け取っていて、その意見は変わらないんだ。」
(ガーディアン1月15日)
グリーンランドに利害関係を持つ億万長者がトランプに領土取得を促した方法 |ドナルド・トランプ |ガーディアン

こういう億万長者同士の内輪のおもいつきが現実の世界に衝撃を与えているというのも、いかにもいかにもです。
トランプは悪ふざけのようなAI画像をアップするのが好きですが、こんな悪趣味な画像も自分のSNSに投稿しています。
金ピカのトランプタワーをグリーンランドにぶっ建てようというものです。(笑)
ガザでも似たことをやってたよね。

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ここではやらないと言っていますが、どんなもんですか。なんせ思いつきの人ですから。

 

2026年1月22日 (木)

トランプとグリーンランド

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ほんとうにどーしようもない人物だと思います。トランプです。
第1期の時から欲しがっていたグリーンランドを、本気で欲しがってヨーロッパ諸国と対立しています。
軍事力行使も匂わせていましたが、それはとりあえず引っ込めたようです。(あたりまえだ)

「北極圏にあるデンマーク自治領グリーンランドをめぐりアメリカのドナルド・トランプ大統領が取得の意向を繰り返す事態の中、複数の欧州諸国が「偵察任務」だとして小規模の部隊を現地に派遣している。
フランス当局によると、15日には小規模な部隊がグリーンランドの首都ヌークに到着した。ドイツ、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、オランダ、イギリスも、限定的に部隊をグリーンランドへ派遣している。デンマークは北大西洋条約機構(NATO)加盟国。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、この先遣部隊は近く「陸・空・海の戦力」で増強すると述べた」
(BBC1月16日)
欧州の兵員、グリーンランドに到着 トランプ氏はアメリカにはグリーンランドが必要と主張 - BBCニュース 

それに対してドランプは大好きな関税をかけると息巻いています。

「トランプ氏はSNS上でデンマーク、イギリス、フランス、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、オランダの製品に10%の関税を課すと警告し、合意に至るまで段階的に最大25%に引き上げる考えを示した。これはグリーンランドの自主性を支持し、同島の軍事演習に参加した欧州各国への「報復」として位置づけられている」
(KWPニュース1月21日)
トランプ・グリーンランド購入計画、EUが怒りと抵抗示す、NATO崩壊へ - KWP News/九州と世界のニュース

今どきはやらない19世紀型の力づくの帝国主義政策をとっておいて、なにが報復だというかんじです。

現在、グリーンランドはデンマーク王国の自治領であり、広範な自治権を持っています。

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トランプ氏、グリーンランドになぜ執着 安保要衝に触手 - 日本経済新聞

「かつてはグリーンランドは1721年から1953年までデンマークの植民地でしたが、1953年の憲法改正によりデンマーク王国の一部となり、植民地としての扱いは終了しました。
その後、1979年に自治権を獲得し、2009年には自治協定が締結され、政治的な権限と責任がデンマーク政府からグリーンランド政府に移譲されました」
グリーンランド - Wikipedia

EUにはデンマークを通じて参加しています。
日本にはこういう地域はないので理解が難しいのですが、グリーンランドは1回は独自に参加し、その後脱退してデンマークとして加わっています。
ですからヨーロッパ議会の選挙権は独自には持っていません。

さて、今回のトランプの意図ですが、世評ではこういうことのようです。
第1に、安全保障と軍事拠点です。 グリーンランドは北米対立の右肩にあたる重要な戦略的要衝ですが、中国はここにロシアと共同で「氷上シルトロード」として一帯一路を作ろうとしています。

「氷上シルクロード」構想が明らかになったのは、2017年の習近平主席のロシア訪問の旅でした。プーチン大統領との会談の中で習首席はこの氷上シルクロード構想を提示し、両国は北極海航路開発における協力推進に合意しました。
同年11月には北京を訪問したロシアのメドヴェージェフ首相と習主席が会談。習主席は「ロシアと共同で北極海航路の開発・利用協力を推進し、氷上シルクロードをつくり上げなければならない」と、二国間協力の推進を確認します」
(石原敬浩 海自幹部学校教官)
グリーンランドを独立させて親中国家に…中国が密かに進める「氷上シルクロード」構想の恐ろしさ 現地の自治政府は中国からの投資を歓迎 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) 

 これは中国がかつてやったような南シナ海への進出と同様のことを意味するものでした。
中国は一帯一路政策の下、アジアやインド洋諸国における海外インフラ整備をに邁進してきました。
その特徴は「債務の罠」と呼ばれる手法で、たとえばパキスタンのグワダル港やスリランカのハンバントタ港では、インフラ整備の名目で到底返済が難しい債務を負わせ、それが返済不能となるや債務軽減と引き換えに、港湾の運営権を99年間のリース物件として中国に譲渡する事態となりました。
そしてその後はお定まりに民間港湾が軍事基地化していくことになります。

いまグリーンランドにも同じ手法で接近しており、2018年には「北極科学ステーション」という名目で600万ドルを中国が負担し、160平方キロもの土地を99年の期間で租借しました。
これにグリーンランド自治政府はまんまと乗りました。それは自治政府が財政難だったことを見透かされたからです。

中国の意図は、グリーンランドを独立させて準同盟国に仕立て上げて北極航路の拠点港を置き、ゆくゆくは軍港や航空基地を建設することです。
そうすることに成功すれば、中国は北米の心臓部である東海岸を扼することができます。
かつてのキューバ危機のような喉元に匕首を突きつけられる危険をトランプが感じたとしても不思議ではありません。

また、グリーンランドは開発が遅れていますが、いまをときめくレアアースの豊富な鉱床を有しています。

特に、グリーンランド南部にはジスプロシウムやテルビウムのような重希土類を豊富に含む鉱床があり、その地質的なポテンシャルは中国に匹敵すると評価されています。
地球温暖化によって氷床が後退し、資源探査や開発が可能な地域が広がっていることも、中国の関心を高めています。

「グリーンランドは、レアアースなどの豊富な資源に恵まれているため、中国にとって非常に魅力的です。特に、グリーンランド南部にはジスプロシウムやテルビウムのような重希土類を豊富に含む鉱床があり、その地質的なポテンシャルは中国に匹敵すると評価されています。地球温暖化によって氷床が後退し、資源探査や開発が可能な地域が広がっていることも、中国の関心を高めています」
(石原前掲)

 まぁ、このような理由で「欲しい」という気分は充分に理解できます。
しかし「欲しい理由がある」ということと、現実に札束で頬を叩くようにして「買う」、ましてや軍事力で脅すとはまったく別次元です。
19日、米国はグリーンランドで軍事訓練をしたようです。


「こうしたなか、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は19日、複数の航空機がグリーンランドのピツフィック宇宙基地に向かっていると発表した。
アメリカとカナダの合同軍事防衛組織であるNORADは、今回の作戦について、「NORADのさまざまな長期計画の活動を支援するための」日常的な作戦の一部だと強調。デンマークとは調整済みで、グリーンランド自治政府にも報告済みだとした。
同基地では2022、2023、2025年にも、NORADの同様の作戦が実施されている」
(BBC1月20日)
トランプ氏、グリーンランドめぐる関税の脅しは「100%」実行に移すと  EUは利益堅持の構え - BBCニュース

米国は既にグリーンランド北西部にピツフィク宇宙軍基地をもっています。
ここは米国宇宙軍の主要な施設ですから、もう軍事拠点はあるのです。
これ以上を望むならグリーンランドを丸ごと欲しいなんていう不動産業者特有の発想ではなく、地道に借款を与え、経済協力や科学協力をするといういう方法で時間をかけたらどうですか。
意図は邪悪ですが、やり方においては中国のほうがよほどましです。

 

 

 

 

2026年1月21日 (水)

イラン攻撃があるかもしれない

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まったく馬鹿ですね。中革連じゃなくてイランのほうです。
トランプはイランの民主化デモに対して実力で支援することをためらっていましたが、気分が変わったようです。
ハメネイが、よしゃあいいのにトランプを犯罪者だ、この騒乱はトランプのせいだと非難したからです。

「イランの最高指導者ハメネイ師(86)は17日、国内で2週間あまり続いた騒乱で数千人が死亡したことを認めた。トランプ米大統領が「軍事支援」を約束し、デモ隊を「公然と扇動した」とも述べ、死者が出た責任はトランプ氏にあるとの認識を示した。
ハメネイ師は自身のウェブサイトに掲載された国民向けの演説で、トランプ氏を「犯罪者」と形容。深刻な経済状況への国民の怒りをきっかけに12月下旬に始まった反政府デモを巡り、「犠牲者と損害の両方」に関してトランプ氏に責任があると断じた」
(CNN1月18日)
デモで数千人死亡、イラン最高指導者が認める 「犯罪者」トランプ氏が支援と主張 - CNN.co.jp

おいおい、トランプはこのハメネイの挑発的発言があるまで、イランに軍事介入するのは手控えようかと思っていたのです。
このハメネイの発言の前日にトランプはこう言っていました。

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AP

「トランプ大統領は、記者団から「アラブ諸国やイスラエルからの説得でイランへの攻撃を見送ったのか」との質問に対し、「自分で決断した。イランが800人以上の処刑を中止したことが大きな影響を与えた」と語り、攻撃を一時的に見送ったとの考えを示唆しました。
ニュースサイトアクシオスは、複数の関係者の話として14日に行われたトランプ氏との会談で、イスラエルのネタニヤフ首相が「イランの報復に備える時間をイスラエルに与えるため、軍事行動の延期をトランプ氏に要請した」と報じました。アクシオスは「この要請が、トランプ氏がイランへの攻撃命令を延期する決断をした理由の一つだった」と伝えています」
(FNN1月17日)
「自分で決断した、イランの処刑中止が大きな影響を与えた」トランプ大統領がイランへの軍事攻撃を一時的に見送ったとの考えを示唆(FNNプライムオンライン(フジテレビ系)) - Yahoo!ニュース

それ以外にも湾岸諸国、特にサウジがイラン攻撃に対して反対し続けていました。
サウジはイスラエルや米国の核施設攻撃前段から、止めてくれるようにとトランプに伝えていました。

「サウジの事実上の最高権力者ムハンマド皇太子やカタールのタミム首長らは、イラン核施設が攻撃されれば、自国が巻き込まれる可能性を警戒。サウジとカタールは、イランを敵視するイスラエルが攻撃に踏み切る事態を懸念しているという」
(· )

まぁ、制止されてもやっちゃったんですがね。
また政権内でもバンスが反対をしていたと伝えられています。

[ワシントン 12日 ロイター] - 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は12日、イランに関しバンス副大統領をはじめとするホワイトハウス高官が軍事攻撃に踏み切る前に外交努力をするようトランプ大統領に進言していると、米政府関係者の話を引用して報じた。イランは米に核開発プログラムに関する協議を申し入れたとされる」
(ロイター1月12日)
米副大統領ら、対イランで外交努力進言 WSJ報道 | ロイター

こういう慎重論に包囲されて、それでなくてもベネズエラだ、グリーンランドだと四方八方に敵をつくって大忙しのトランプは、イランが民衆弾圧をしなくなったようだし、今回は許してやろうかという気分になっていたようです。
ここで冒頭にもどりますが、それをこともあろうにハメネイが一蹴してしまったわけです。馬鹿だね。

「犯罪者」とまで言われたトランプは、当然のこととしてこれに怒ったようです。
なめやがって、このイスラム坊主め、というわけです。
で、軍事介入のオプションもテーブルに載せて、そのための兵力の集中を開始しました。

一気に空母を中東水域に送り込む決断をしました。
空母「エイブラハム・リンカーン」空母打撃群が中東に今日明日中には到着して、作戦可能となりました。

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XユーザーのFaytuks Newsさん: 「The USS Abraham Lincoln strike carrier group is expected to enter the CENTCOM area of responsibility in 5-7 days. It is currently sailing through the Strait of Malacca. h/t @andynovy https://t.co/Tvdq5VEBlI」 / X

また、インド洋上の軍事拠点であるディエゴガルシアにC-17が向かっているそうです。
地上戦力を投入するとは思えませんが、当然大規模な兵員を載せているはずです。
海兵隊や空挺の兵士をジャラジャラとグローブマスターから降ろす姿をみせたいのでしょう。

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XユーザーのサテライトTV 大森道雄さん X

今後どうなるのかは予断をゆるしませんが、トランプと「気が変わった」のはたしかなようです。

 

 

 

2026年1月20日 (火)

「希望の党」の二番煎じです

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首相が正式に解散宣言しました。
いかにも首相らしいきっぱりとした男前のものでした。
これに対抗して立憲と公明は「中革連」を作るつもりらしいですね。
これもこれであの人たちらしい。

これはよく思われているように両党の「合併」ではありません。
立憲、公明という政党はそれぞれ存続します。ええっという声が上がりそうですが、両党の「衆議院議員のみの党」です。
ですから近日中にいま中革連は新たな「綱領」(なのか?)を出すと言っていますが、これも有効範囲は衆院のみでということになります。
負けたら責任なすり合って、元のサヨク政党と宗教政党に戻るつもりでしょうが、ムシのいいことです。

しかも内容は公明が言う通りに「安保法制容認・原発容認」が基準だそうで、これが賛同する者のみが加盟するということのようです。
ここだけ見ていると、かつて安保法制白紙化法案まで出した立憲は180度転換ですし、原発ゼロという公約はどうなっちまったんだいと思いますが。

そもそも肝心要の憲法改正はどうでしょうか。
9条に関して公明党は自衛隊を憲法上に位置付ける「加憲」方針ですが、立民は9条改正そのものに強く反対し続けています。
エネルギー政策についても、原発に対して立憲は「原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会」という幻想的公約をしてきていますが、公明は、安全性が確認されれば再稼働を容認するとしています。
沖縄では、辺野古移設に公明は容認でしたが、立憲は断固阻止でした。沖縄の立憲はどうするんでしょうか。
これでオール沖縄は粉々ですが、今年の知事選、どーするんでしょうか。知ったこっちゃないけど。
もう水と油。まがりなりとも与党だった公明の現実主義路線に対して、立憲は無責任な左派路線をあたふたと一緒にするというんですから大笑いですが、でも大丈夫。

今回の衆院選の手足となるべき参院と地方議会議員は別枠で、いままでどおりですから党がふたつに分解するわけです。
つまり純粋に「衆院選だけのための党」で、こういうのを選挙互助会というんじゃないですかね。
朝日の世論調査でも7割が期待しないですから、推して知るべしです。

「朝日新聞社が1月17、18の両日に実施した全国世論調査で、立憲民主党公明党が立ち上げた新党「中道改革連合」(中道)が高市早苗政権に対抗できる勢力になると思うかどうか質問した。対抗できる勢力に「ならない」が69%を占め、「なる」は20%だった」
(朝日1月19日)
新党は政権に対抗できる勢力に「ならない」69% 朝日世論調査 [中道改革連合][衆院選(衆議院選挙)2026]:朝日新聞

実はこれと同じ合併方法は2017年に民進党が衆院選を前に、小池百合子・東京都知事が設立した「希望の党」への抱き着きを図ったときにすでに実践済みです。
あのときも、参院や地方組織などは民進党という組織を残したまま、衆議院議員のみが「希望の党」に移籍するという方式を取りました。
ただし、抱きつかれた「希望の党」の小池氏は、これではダメだと踏み絵をだしました。
これがいわゆる「排除の理論」です。

当時の状況を2017年10月20日にアップした記事を見てみましょう。

                                              ~~~

9月28日宣言と共に前原民進党代表は、「希望」に合流を申し出ました。
前代未聞です。聞いたことがありません。
大が小に向かって、自分は解体するからどうぞ合併させてくれないか、なんて申し出をしたなんて聞いたことがありません。 

Photo_2朝日新聞http://www.asahi.com/articles/DA3S13179146.html 

まがいなりとも衆参100を越える議席を擁し、100億円超といわれる豊富な政治資金を持つかつて政権党だった野党第1党が、まだ出来て3日目の新党というのもおこがましい「希望」に合流を申し出たのですから、日本全国がたまげました。 
なんせ、「希望」には公約も党執行部も決まっておらず、地方組織もないというないない状態で、あるのは小池女史のカリスマ性だけというていたらくでしたから、ぶっ飛んでいるというかナンと言うか。 
前原氏としては、小池女史と日本新党当時の同窓という気安さもあって、合流してしまえば、数でも経験でも一枚上の民進で乗っ取りができるという読みでもあったのでしょうか。 
そしてジャンヌ小池を神輿に担いで、都議会議院選挙のミラクルがもう一回再現できたら政権交替も夢ではない、まぁ、こんなことが前原氏の腹の中にあっても不思議ではありません。

こんな重大事はもう少し熟考して周囲に諮ってから決めたらよさそうなものを、前原氏は思い立ったら吉日の人なのです。政治評論家の誰かが言っていましたが「タメがない」。
これを前原氏が言った瞬間、民進党は自己解体したと認知されました。 

ここで皮肉にも前原氏の解体・合流構想に立ちはだかったのは、8月に既に民進党を見限って離党していた細野氏でした。 

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細野氏は仮執行部の若狭氏と諮って、解散当日の9月28日に「三権の長を経験した方々は(希望の党への合流を)遠慮してもらいたい」と述べています。
三権の長とは首相職にあった者を指しますから、直接には菅、野田両氏を指すものですが、言いたいことは「こちらで選ばしてもらう」ということです。
選ぶのは「希望」、合流したければ土下座して踏み絵を踏みなさい、というわけです。 
先に逃げた者と、逃げ損なったその他大勢の間の近親憎悪ほどコワイものはありません。 

そしてこの細野発言は、小池女史の考えでもあったことがすぐに分かります。翌29日朝、いまや有名となってしまった小池女史のあの排除宣言が飛び出します。

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小池女史の「排除」宣言それ自体は正論にすぎず、政党が初めから民進党のような左右のチャンコ鍋でいいわけはありません。
「様々な観点から絞り込みたい。全員受け入れるようなことはさらさらない」というのは受け入れ側としてしごくもっとも言い分なのですが、いままで「百合子、イケイケ、ドンドン」をしていたメディアが一斉に青ざめました。 
なぜなら小池女史は直ちに、民進党の合流希望者に「政策協定書」へのサインを義務づけたからです。 

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この協定書は結局後に実施されたものはハードルが落ちていましたが、当時は改憲・安全保障法制の容認・外国人参政権反対など、左派としてはとうてい呑めないものが含まれているとみられていました。 
その上ご丁寧にも、この協定書には「公認候補となるに当たり、党に資金提供をする」と、明確に持参金を持ってこないと入れてやらないとする条項つきですから、信条を捨てた上に大枚な金(一説1500万)むしられるというエグサです。 
当時、小池女史自身は国政に出馬する気ムンムンでした。
「希望の党」というネーミングは既に春から登録されていたそうで、そもそも彼女は都知事はただの腰掛けにすぎないと考えていたふしがあります。 
それはこの一年間の知事としてやってきたことは、ひたすら「小池百合子」の売り出しだけで、内実はただの都政の停滞だったことを振り返ればお分かりになるでしょう。 
彼女は都政に専念する気はまったくなかったし、自分さえ売り込めれば、さっさと知事など辞めたかったはずです。
ですから、秘かに都知事の後任探しや、衆院選後の知事選の日程も想定していたようです。 
後任には、今になると失笑しますが、小泉進次郎氏をあてこんでいたようです。 

ところが、その進次郎氏に小泉女史は力一杯批判されてしまいます。 

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進次郎氏は、10月1日に街頭演説で、「小池さんは選挙に出ても無責任、出なくても無責任のジレンマに陥った。どちらの無責任か取りましょうよ」と演説しました。
いやー、父親譲りの天才的アジテーターの素質を感じますね。これで財務省のティーチャーズペットでなければほんとうに素晴らしいのに。
この発言ひとつで風向きは180度変わります。選挙戦は短い期間に風を読み、風をつけた者が勝つと政治の訳知りはいいますが、その通りのようです。 
よせばいいのに小池女史は2日後の10月3日の記者会見で、「進次郎さんがキャンキャンはやし立てているが、お父さん(小泉純一郎元首相)と約束しているので出馬はありません」などとやってしまいました。 
そして即座にそのパパ小泉からも、「私は進次郎に投票するに決まっているじゃないですか」と突きはなされる始末。 
小池氏を焚きつけたひとりと目されるパパ小泉から、こう冷たくあしらわれてしまっては立つ瀬がありません。

そしてこの空気を敏感に読んだメディアは、一斉に見事なまでの掌返しをします。 
「安倍退陣 小池氏首相に」と連日囃し立てていたメディアは、一夜で小池女史の敵に回ります。 私も予測していましたが、これほどまでとは思いませんでした。

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各種の世論調査でも都知事を放棄することを批判する結果が多く、小池女史は遂に国政進出を断念しました。 
すると、今度は政党代表が不出馬ということになり別な問題が生じます。 
まずは自分が「希望」を立ち上げた時の「政権選択選挙」という目標を否定することになったうえに、憲法67条「内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決で指名する」という条項に抵触することが明らかになったのです。

関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/10/post-34c7.html 

これは既に書きましたが、仮に「希望」が首尾よく政権党になった場合、国会の「外」にもうひとつ司令部がある状態を意味します。 
小池女史が「選挙後に決める」と言うならば、執行部すら満足に作られていない「希望」の現況では、国会議員でもない小池女史が「ひとりで決める」という意味となってしまいます。
一国の首相を国会の外の人物が少数の者と諮って決めてしまうわけですから、おいおいこれでは民主主義の根幹を否定しかねない密室政治ではありませんか。 
しかも彼女は一度も党代表選という手続きを踏んでいないのですから、二重に民主的手続を無視しています。
ここで一気に「希望」は地表に向けて急降下を始め、寄り合い所帯すら固まっていない「希望」は、選挙結果が出る前に既に空中分解を開始します。 

メディアバッシングが始まると、なまじキャスター上がりでメディアを自在に操ってきた自信があった小池女史はこれに危機感を感じて、今度は左にブレます。
10月6日、野党と一緒になって選挙後も「モリカケを追及する」と言い出したのですからまったくやれやれです。
これでこの1年間都政の惨状を「小池さんも保守なんだから」と忍び、半年間のやくたいもないモリカケ騒動に耐えてきた保守世論が小池女史を見放しました。
かくして「排除」で左から、「モリカケ」で右から、まんべんなく嫌われてしまったことになります。
空気を読む勝負勘が命のバクチ打ちとは思えません。右顧左眄(うこうさべん)するからです。
ま、失礼ながら政治家としての芯になる政策がないんですから仕方がない。
百合子姐さん、これだけブレると今回ばかりはちっと挽回は厳しいでしょう。

さて最後はひとつ、今回の選挙戦の立役者だった進次郎氏に締めていただきましょう。
沖縄県南風原での10月18日の演説です。これは聞く価値があります。
https://www.youtube.com/watch?v=uqhEaOb53tQ


「自民党が優勢に戦いを進めているという報道もあるが、仮にそうだとしても、それは、野党が分裂して、お互い食い合っているだけであって、私たち自民党が皆さんから完全に信頼を回復できたわけでもない。
8年前に失った私たち自民党の信頼は、まだまだ回復の道半ばにある。決して私たち自民党が、得点を挙げてきたわけではなく、野党があまりにもひどすぎた。ものごとに反対することは簡単で、言うことも簡単だ。しかし、それを形にするのはそう簡単なことではない。」

「自民党は信頼を回復していない」「野党がひどすぎる」、「反対することは簡単だ、形にするのは簡単ではない」。
翁長氏は県庁で苦虫を噛み潰して、進次郎氏の演説を聞いていたことでしょう。
自民党がもし仮に今回の衆院選に勝つことがあれば、それは「野党がひどすぎた」たために他なりません。
こうして野党は小池女史の野望に引っかき回されて分断されたあげく、野党同士で食い合う結果になりました。
小池が作り、小池が壊した反安倍政局だったようです。

 

2026年1月19日 (月)

原発絶対危険神話

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「珊瑚を大切に」さんから「この時は活断層の上に原発は建てるべきでない、という考えのようですが、12年の間に何があって考えが変わったのですか?」という質問を頂いております。
私は福島事故の直後は穏やかな脱原発に傾いておりました。
そしてその直後からわが地は大変な風評被害に襲われ、それをまき散らしていたのがいわゆる反原発派たちでした。
かれらと約1年近く戦った記憶があります。
私の中にわずかに残っていた「サヨクの尻尾」がこれで完全に切れました(苦笑)。
自主避難というディストピアを自ら選んだ人たち: 農と島のありんくりん
福島事故において武田邦彦と山本太郎がしたこと: 農と島のありんくりん

その後、原子力規制委員会の事故最終報告が出て事故原因が福島第1が損傷をおった原因は地震そのものによる振動ではなく、津波による予備電源水没であることが確定しました。
今でも原発ゼロとかいう連中は事故調も読まないでわーわー言っているだけです。
福島第1は地震で壊れていない: 農と島のありんくりん

地震と原発を書いた記事はいくつもありますが、とりあえずこれを再掲載しておきます。
ひさしぶりに震度5。でも地震は予知できません: 農と島のありんくりん

日本は活断層だらけの土地です。
三つのプレートが集まって、その上に浮いているわが列島に活断層なんぞつきものなのです。

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日本全国の活断層マップ (imart.co.jp)

活断層があるから立入禁止にするわけにはいかず、その上で普通に暮らして、生産を営んでいます。
問題は活断層があるかないかではなく、あるとしてもそれに万全の備えが出来ているかどうかなのです。

原発施設の地震の揺れの基準値は、個々の原発によって異なっています。
え、全国一律ではないのかって。はい、違います。
原発施設が立っている場所の地層は、場所により異なっていますからね。  
地層が軟弱な場所では、地震の揺れは大きいでしょうし、岩盤の上に立てられれば地震には強いわけです。
したがって、個別の原発によって想定される最大震度は違っています。  

原発建屋を設計する場合、基準値に数倍をかけた値を基にして安全基準を定めます。
いわば崖の10メートル先が基準値だとすれば、そこから4、5倍先の4、500メートル先にテープを張っておくのです。
耐震設計の専門家の入倉孝次郎氏はこう述べています。


「仮に基準地震動を策定しても、それを上回る強さの限界的地震動が来る可能性は否定できない。だから、そのような『残余のリスク』を想定して耐震設計している」 
原子力発電所の耐震設計のための基準地震動 - 入倉孝次郎研究所

つまり、基準値地震動=耐震限界値ではなく、実際の原発施設は必ず倍数の安全率をかけて耐震設計されているわけです。
これを知らない裁判官や訴訟団は、「基準地震動にあってはならない地震が来たらどうするんだ。だから、新安全基準は緩すぎる」と言うのですが、ソンナことはただの素人考えにすぎません。
入倉氏は、いかにもその道のプロらしく淡々とこう答えています。


「基準地震動は計算で出た一番大きな揺れの値のように思われることがあるが、そうではない」
「平均からずれた地震はいくらでもあり、観測そのものが間違っていることもある」
(福井新聞2015年4月15日)

そのとおりで、予想された以上の震度が原子力施設を襲ったことは何度かあります。
たとえば、東日本大震災時の福島第1原発においても、基準地震動を越える揺れが襲っていたことをご存じでしょうか。 

 

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宮野廣法政大学教授による 単位ガル クリックすると大きくなりますhttp://www.gepr.org/ja/contents/20140630-02/

上図は、宮野廣法政大学教授『福島原発は地震で壊れたのか』から引用したものですが、最大の加速度は、いずれも基準値地震動の平均460ガルを超えています。 
最大に超えたものは、2号機で南西方向に550ガル、3号機で507ガル、5号機で548ガルです。
さらにもっとも震源域に近かった女川では基準値580に対して636ガルで、ここも実測値が基準地震動を上回っています。

東日本大震災以上の大きな振動が発電所を襲ったケースに、2007年の中越沖地震動があります。
東電は地層の褶曲構造によって、施設内に大きな影響が出たと説明しています。

Photo_2 地質調査と基準地震動|柏崎刈羽原子力発電所|東京電力

実際に柏崎刈羽原発を襲った実測震度です。カッコ内が基準地震動です。比較してみてください。

002_3宮野教授による 前掲

いずれの原子炉も基準地震動に対して約50%、最大の2号炉では273ガルの基準値に対して、実に3倍の680ガルが襲っています。
この激震に対して、各原子炉は正常にスクラム(緊急運転停止)しています。後の配管の調査でも破断は認められていません。
つまり原子力施設は、基準値を大きく上回る振動に耐えていたのです。

しかし後に起きる東日本大震災をみれば、東電はこの柏崎刈羽の教訓にもっと学ぶべきでした。
柏崎刈羽では、2700カ所以上の機器類の破損があり、3号機の起動変圧器は炎上し、外部電源も一時的に失われています。
ただし、非常用ディーゼル発電機が正常に起動したために、事なきを得ています。 
しかし起動後も電力不足状態が続き、タービン駆動給水ポンプを動かすために補助ボイラーが起動しましたが、1から5号機と6,7号機でそれぞれ一台しか使用できないようなシビアな状況でした。
そのため4号機の冷温停止には、丸2日かかっています。

東電はこの柏崎刈羽で経験した地震による全交流電源の停止(ステーション・ブラックアウト) という事態を、もっとシビアに総括して、今後に生かすべきでした。
そうしていれば、福島第1で簡単に水没する場所に予備電源エンジンを置くなどという失態をせずに済み、福島事故は起きなかったことでしょう。

福島第1では大事故になったものの、その隣の女川では高台に施設があったために事なきを得て、津波にあった被災者を施設内に避難させています。
双方共に外部電源を喪失しましたが、福島第1は予備電源水没によって事故に至り、女川は無事でした。
ここは強調しすぎてしすぎることはありません。東日本大震災クラスの地震でも、原発は壊れておらず、破壊されたのはその後の津波による非常用電源の水没による冷却機能の喪失です。

福島第1原発の事故調査報告は、こう記しています。


① 政府事故調報告書では、原子炉圧力容器、格納容器、非常用復水器(IC)、原子炉隔離時冷却系、高圧注入系等の主要設備被害状況を検討している。津波到達前には停止機能は動作し、主要設備の閉じ込め機能、冷却機能を損なうような損傷はなかったとしている。

② 民間事故調報告書では、津波来襲前に関して、地震により自動停止し未臨界を維持したこと、外部電源を喪失したが非常用ディーゼル発電機(EDG)により電源は回復したこと、その間にフェールセーフ(安全装置)が働きMSIV(非常用炉心冷却装置)が閉止したこと等、正常であったことが述べられている。

③東電最終報告書では、1号機~3号機について地震による自動停止と、自動停止から津波来襲までの動きに分けて評価している。前者は各プラントとも地震により正常にスクラムしたこと、外部電源喪失したがEDGにより電圧を回復したこと、EDG起動までの間に原子炉保護系電源喪失しMSIVが自動閉したこと等の結論を得ている。
(宮野論文前掲)

よく地震で原子力施設が壊れた、などと言うガサツなことを言う人がいますが、それについて規制委員会は正式に否定しています。
福島第1の事故原因は、ひとえに屋上に予備電源を設置していなかったから起きたのです。

このことを忘れて、揺れるからアブナイ、津波が来たらアブナイ、という札幌地裁的発想は誤った認識であるばかりか、現実にはなんの解決にもなりません。
だからこそその「残余のリスク」をいかにして減らしていくか、「想定外」が来た場合それをどのようにして極小化できるのか、というリスク管理を欠落させているからです。

これが工学系の考える、万が一事故が起きてもさまざまな方法でシビアアクシデントにならないようにブロックする深層防御の考え方です。
この方針に沿ってできたのが、規制委員会の安全基準で、これをクリアしていないと、原発の再稼働は不可能です。

だから営々と福島事故以来、各電力会社はほとんど採算を度外視して、高い防波堤を作り、施設を強靱化し、予備電気を津波が到達しない高台に移設してきました。
それがどうみても法律のプロであっても、原子力工学や耐震設計のプロではない裁判官の鶴の一声で打ち消されてしまうからイヤになります。
この国の再稼働の権限者は、いつから地裁になかったのですか。
このような判決によっては、日本の原発の安全性は一歩も進化しないどころか、後退してしまいました。
なぜなら、それはかつてあった「原発は絶対に事故を起さない」という原発安全神話の、単純な裏返しとしての「原発絶対危険神話」でしかないからです。

2026年1月18日 (日)

日曜写真館 冬夕焼をいま記憶する赤ん坊

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冬夕焼空に森あり牧場あり 石田あき子

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冬夕焼くちびる乾くまで見つむ 鎌倉佐弓 

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冬夕焼わが失ひし血のごとく 木下夕爾

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むらさきの冬夕焼を掌にすくふ 古舘曹人

 

 

2026年1月17日 (土)

空自、中国空母を想定した対艦攻撃訓練をしていた

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先日の「遼寧」空母打撃群の日本接近に際して、空自が興味深い訓練をしていたことがわかっています。

「中国海軍の空母2隻が6月に日本周辺の太平洋上などに展開した際、自衛隊が、沖縄県・尖閣諸島周辺の海域で、空母に対する攻撃訓練を行っていたことが分かった。日本や台湾の近海で軍事的威圧を強める中国海軍に対し、対抗する用意ができていることを明確に示す意味合いがある。
複数の政府関係者によると、自衛隊による訓練は6月に行われ、航空自衛隊のF2戦闘機が複数参加した。訓練場所は尖閣諸島北方の海域で、中国空母2隻のうちの「遼寧」が通過した地点にあたる」
(読売8月14日)
中国空母を想定、自衛隊が攻撃訓練…「遼寧」「山東」太平洋展開の6月に : 読売新聞

この訓練は空自単独でしたが、それをさかのぼる4カ月前には同様の日米共同訓練が行われています。

「自衛隊と米軍が昨年2月に実施した日米共同指揮所演習「キーン・エッジ」で、台湾に侵攻する中国軍艦艇に対し、自衛隊機がミサイル攻撃を行う判断が下されたことなど演習の概要が6日、判明した。日米共同演習で本格的に台湾有事を想定したのは初めて。演習の結果は有事の際に自衛隊や米軍が行動する際の指針となる作戦計画に反映されているとみられる」
(産経4月6日)

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<独自>台湾有事を想定、空自戦闘機が中国艦を攻撃 日米共同演習の概要判明 - 産経ニュース

対艦ミッションの場合、F2は国産の対艦ミサイル ASM-2 を4発搭載し、さらに航続距離を延長するために600ガロン増槽2本と自衛用の短射程ミサイル2発も装備します。
大変な重量で、これを翼下に吊るして行動できる機種は世界でも限られています。

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空自

このF2によるる訓練を行った水域は普段訓練でつかわれていない地域で、明確に中国に対しての政治的シグナルです。

「訓練場所は尖閣諸島北方の海域で、中国空母2隻のうちの「遼寧」が通過した地点にあたる。日本の排他的経済水域(EEZ)内とみられる。遼寧は周辺海域を既に離れていた。この地点は普段、自衛隊による訓練が行われていない海域だという。F2に搭載した空対艦ミサイルで、空母を攻撃する手順などを確認した。 
F2は高い対艦攻撃能力を持つ機体である一方、ステルス性能は限定的だ。最新鋭戦闘機ではなくF2をあえて投入することで、中国側に見せるように訓練を実施した。政府関係者は「時期、場所、内容からして、対抗措置とのメッセージを中国に確実に伝える訓練だった」と明らかにした」
(読売前掲)

また地上から発射する対艦ミサイルの防衛網も一段と強化されています。

「湯布院駐屯地には25年3月までに第8連隊を設ける。九州の戦力は第5連隊と合わせて2個連隊体制となり、有事の際は南西諸島への速やかな増援が可能になる」
(読売2024年1月29日)
南西諸島の地対艦ミサイル防衛網を強化、火力3倍に…陸上自衛隊が大分県・沖縄県に連隊新設:地域ニュース : 読売新聞

よく日本は中国の勝手放題な空母の動きに遺憾としか言わないと揶揄されていますが、なんの自衛隊はしっかりとこれ以上なめたまねをすれば全部海の藻屑にできる能力を持っていることを示しています。
今回の遼寧艦隊もいったんは北上しながらもそれを諦めたように見えるのも、このような背景がありそうです。

 

 

2026年1月16日 (金)

立憲公明党は1年前から協議していたそうな

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唐突に見えた立憲と公明の合体は、総裁選前から進行していたことを、野田氏が明らかにしてしまいました。

「立憲民主党と公明党が衆院選に向けて新党結成で合意した。急転直下の展開となったが、両党関係者は半年近く前からひそかに接触を重ねてきた。衆院解散報道の2日後にあった極秘の党首会談を契機に、決断に至った。
「(自民党が昨年秋に)総裁選挙をやってる最中ぐらいから、公明党とは水面下で協議を進めてきた。急に浮き上がってきた話ではない」
立憲の野田佳彦代表は、15日の公明との党首会談に先立つ両院議員総会で、連携に向けた準備を進めてきたことを明らかにした」
(毎日1月15日)
読む政治:半年前から水面下で交渉、極秘会談 立憲・公明が新党結成に至るまで | 毎日新聞

やれやれ毎日新聞によればこの協議は、「両党の関係者によると、昨年7月の参院選で自民、公明両党が大敗した直後の夏ごろ」からだったそうで、なんだ石破政権のかなり初期からじゃないですか。
公明は連立離脱交渉を水面下でしながら連立を組んでいたわけで、堂々たる面従腹背ってヤツですな。
たまたま高市政権が誕生したために、この時期になっただけのようです。

となると、連立離脱は高市氏の保守的傾向に反発したといままで言われていましたが、どうやら石破政権というだれが見ても泥船に乗ったままだとこれ以上の議席を失うという読みがあったからのようです。
自民党内の反高市氏の議員諸公よ、今回の公明連離脱は立憲の工作なんですぜ、いいんでしょうか。

では、公明党の思うような展開となるでしょうか。
どんなもんでしょうか、数字的にはなる可能性があります。

「次期衆院選は、公明候補が比例代表に回り、立民候補が小選挙区で公明支持者の支援を受ける態勢となる。一昨年の衆院選での政党別の得票数で単純計算すると、比例代表の獲得票数は立民1156万票、公明596万票で、合計すると自民1458万票を上回ることになる」
(産経1月15日)
立民・公明、昨年末から接触 新党結成も「野合」批判は免れず 不信と警戒感も渦巻く - 産経ニュース

公明党の獲得票数は2025年7月の参院選で全国比例で521万票を獲得していますから、この得票数を衆院289選挙区に単純に分配すれば、1選挙区当たり約1.8万票となります。
俗に「公明2万票」という根拠がこれで、立憲はこれを大いにアテにして連立に手を突っ込んでいたわけです。

政治ウォッチャーの新田哲史氏はこんな連立組み換えの裏には「あの人」がいると見ています。

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Xユーザーの新田 哲史さんX

でしょうね。
こういう二極対立型政界再編ってあの「昭和の妖怪」こと小沢氏の大好物ですからね。
この御歳83歳の妖怪さんはこれを主食にしてこの半世紀生きてきたんですからコワイ。
ああ、いやだ、立憲の支持層がシルバーになっているのは有名ですが、党の脳味噌まで超高齢化してたんですね。

では今回公明が立憲に寝返ったことによってどのような変化が生まれるでしょうか。
公明は長い期間にわたって連立を組んで得たのは国交省利権でした。
2004年から実に国交大臣6人。もう完全な指定席です。
公明新聞にやたらと大手ゼネコンの広告が目立つのはこのせいです。

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赤旗

「東京都築地市場の豊洲移転計画が大問題になるなか公明党の機関紙「公明新聞」が、豊洲新市場(江東区、東京ガス豊洲工場跡地)の工事を受注したゼネコン14社から、市場施設建設工事が始まった2014年以降の3年半だけでも計190回余の広告を掲載し、推定8732万円の広告料収入をえていたことが17日、本紙の調べで明らかになりました」
(しんぶん赤旗2017年6月18日)
公明新聞に広告190回/豊洲受注ゼネコン14社/8700万円(推定)“事実上献金”

この他にも副大臣などを多数送り込んできましたが、こうやって陳情案件の窓口となることで利権を握ってきました。
これは大きな公明党の資金源だったはずですし、選挙などでもなにかと協力関係にあったはずです。
さぞかし斎藤代表はこの利権すべて失うことは悔しかったことでありましょう。

そして母体の創価学会がカリスマだった池田教祖亡き後に求心力を喪失し、分解過程に入ったと噂されています。
それでなくとも高齢化が進み、中央と地方の乖離は激しくなる一方なところに、それを縫い合わせてきた国交省利権がなくなればどうなることやら。
そのうえにまったく考え方が違う立憲との統一ですから、いままでやってきたことの正反対です。
まともな公明党員はたまったもんじゃありませんな。

よく連立の力をみせつけたのは選挙協力だといわれていますが、これにも濃淡があるといわれています。
公明党の手足となっている創価学会員が本気で自民候補に協力するのは、自民党内左派だけに限られていました。
公明党沖縄に顕著ですが、知事選、辺野古移設問題などことごとく連立政権の政策に反発して、翁長・デニーに馳せ参じていたことは知られています。
ですから、今回公明が連立離脱したとしても、その余波をもろに被るのは反高市派の自民党リベラルなのです。

なお、新党名は「中道改革連合」、略して中カク派だそうです。ぎゃはは。

2026年1月15日 (木)

首相やっと解散を決断

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高市首相がようやく解散の決断をしました。
選挙の洗礼をうけずに連立を組み換えたのですからむしろ遅いくらいで、補正予算がなければ去年のうちにやってもよかったくらいです。
野党はとぼけて私利解散だなんて吠えていますが、もっとも有利なタイミングで解散するのは首相だけに許された「特権」です。

もう野党はパニックです。
れいわ新撰組の山本太郎がこんなことを叫んでいました。

「れいわ新選組の山本太郎代表が14日、高市早苗首相が通常国会冒頭で解散に踏み切ることに言及した。
高市首相はこの日、与党幹部に解散意思を伝えた。これまで解散風にも沈黙していた山本氏だが、「物価高と倒産のさなか、国民生活を無視して解散をやらかすバカどもを日本から叩き出そう。消費税は廃止だ」と怒りをにじませ、初めて所感を表明した5
(東京スポーツ1月14日)
れいわ・山本太郎代表が怒り表明「解散をやらかすバカどもを日本から叩き出そう」 | NEWSjp

もう完全にパニくっているといったかんじね。追い出されるのは君ら。
れいわみたいな鼻クソ政党は置くとして、立憲と公明がなんと統一するそうだというのにはさすがその節操のなさにたまげました。
方や野党第一党というのか唯一のうたい文句、そして方やつい去年の秋までは紛れもない連立与党、これが衆院だけとはいえ統一しちゃうというのですからハレンチも極まれり。

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立憲民主党の野田代表 公明党の斉藤代表が会談 両党間のより緊密な連携検討へ | NHKニュース | 高市内閣、衆議院選挙、衆議院

「立憲民主党と公明党は14日、新党を結成する方針を固めた。23日召集の通常国会冒頭での衆院解散が迫る中、15日に両党首が会談し、合意を目指す。ともに「中道」を掲げる両党が新党を結成することで、衆院選の構図を変え、将来的な政界再編につながる可能性がある。
複数の両党関係者が明らかにした。両党は早期の解散・総選挙に危機感を募らせており、新党結成で与党に対抗し、巻き返しを図る。立憲と公明両党の参院議員は残したまま、衆院議員のみで新党を立ち上げる方向だ」
(朝日1月14日)
立憲と公明が新党結成へ、15日に党首会談 公明は小選挙区撤退方針(朝日新聞) - Yahoo!ニュース

立憲は「解散には大義がない」なんて言っていますが、宗教政党とたんなる提携ではなく「新党」まで進むとは、さすがというかなんというか。
朝日は「政界再編につながる」なんて期待感をこめていますが、どうみてもこれは自滅の道です。
立憲の現有議席は、ゲル政権の派手な自壊によって得た棚ぼたに過ぎないのは誰でも知っています。
いわばアブクのようなもので、自前の政策で勝ったわけじゃありません。

公明党も自民というジンベイザメにコバンイタダキよろしくくっついて、利権とポストを享受してきただけの政党です。
それをナニを切れたのか、連立離脱すれば困ったことになるだろう、サナエを降ろしたらまた連立復帰してもいいぞ、なんて策謀をしていたらなんと高市政権はロケット発射して手の届かない所に行ってしまいました。
いまや政権支持率は75%。若年層の支持率に至っては実に92.4%。

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産経

「産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)が20、21両日に実施した合同世論調査で、高市早苗内閣の支持率は75・9%と、政権発足以来の高水準を維持した。その要因の一つが、新たな支持層の獲得だ。高市内閣は、今まで新興政党がよりどころとしてきた若年層や、自民の勢力が比較的弱かった地域で支持を獲得しており、重層的な支持が強みとなっている」
(産経2025年12月22日)
高市内閣、18~29歳の支持率92% 若者世代で圧倒人気…全世代65%超 政策も好感 - 産経ニュース

統計数字で92.4%というのは、ほぼ全員という意味です。
こんな特出した数字を見たのははじめてです。

では、政党支持率を見てみます。NHKの今年1月13日のものです。

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各党支持率 自民32.2% 立民7.0% 国民4.6% 支持なし37.0% NHK世論調査 | NHKニュース | 選挙、国会

政権支持率と政党支持率を足したいわゆる青木率はこれまた仰天の107%ですから、これで高市さんが選挙に負けたらそのほうがビックリです。
ちなみに較べちゃ可哀相ですが、石破政権の去年参院選時の政権支持率は31%、自民の政党支持率は25%でした。
したがって青木率は56%。だいたい高市政権の半分です。
青木率が50%を下回ると政権運営が厳しくなったり、政権が倒れたりする可能性が高いとされていますwy、そのとおりとなりました。
石破内閣支持率31% 発足以来“最低”【NNN・読売新聞 世論調査】(2025年3月16日掲載)|日テレNEWS NNN
野党や与党の中でもふーブー言っていますし、メディアは矛先を揃えて攻撃をしていますが、もっともクールに見ているのは市場です。
日経平均先物を見てみましょう。
20260115-042808 日経平均先物1限月:チャート - Yahoo!ファイナンス
54340円で、とうとう5万4千の壁を突破しました。
もうお分かりですね、市場は高市政権勝利を完全に既成事実として折り込んでいるということです。


2026年1月14日 (水)

トランプはイランを攻撃するか?

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米国はイランに介入するでしょうか。
The Atlanticはこのように述べています。

「イランの石油輸出の90%を占める中国は、捕食的なパートナーであることが証明されている。ドナルド・トランプはイランの核施設の上に16発のバンカーバスター爆弾を投下し、沈没費用、制裁、石油収入の損失で国に5兆ドル以上の損失をもたらした企業をほぼ破壊した。さらに、過去の米大統領がイランの政治的争いに関与することをためらっていたのに対し、トランプ大統領はイスラム共和国に対し、抗議者を虐殺すれば米国は「対応の準備が整っている」と警告している」
(The Atlantic 2026年1月10日)
Is the Iranian Regime About to Collapse? - The Atlantic 

そして現実に米国は介入を「検討を開始している」と伝えられています。

「米政府当局者によると、ドナルド・トランプ米大統領は13日、イランでの反政府抗議活動への対応に関する具体的な選択肢について説明を受ける予定だ。これはトランプ氏が、これまで繰り返し警告してきたように、イラン政権によるデモ弾圧への対抗策を検討している兆候だ。大統領と政権高官との会議では次のステップについて協議される予定で、その中にはオンラインでの反政府勢力の支援強化、イランの軍事・民間施設に対する秘密サイバー兵器の展開、政権への追加制裁、軍事攻撃などが含まれる可能性があると、当局者らは述べた。マルコ・ルビオ国務長官、ピート・ヘグセス国防長官、ダン・ケイン統合参謀本部議長がこの会議に出席する見込みだという
(ウォールストリートジャーナル 2026年1月12日)
米、イラン介入計画を本格化 軍事攻撃も選択肢 | The Wall Street Journal発 | ダイヤモンド・オンライン

トランプは1月9日、米国はイランの「もっとも弱いところを非常に激しく」攻撃すると述べていますが、同時に「地上部隊の投入」はないとも明言しています。
元来、トランプは戦争を嫌います。戦争は富の浪費であり、わけのわからない取り返しがつかない事態を招くからです。
軍事的オプションはディールに箔をつける重しにすぎないと思っています。
ベネズエラを空爆したのは、場所がカリブ海を挟んで一衣帯水の場所であったからで、遠い国に介入してなんになるショーモーじゃねぇか、と思っているはずです。

ですから介入するとしても、そのやり方としては限定的です。
ざっとこういうところでしょうか。

①口だけの反政府勢力支援
②イランの軍事・民間施設に対する秘密サイバー兵器の展開
③政権への追加制裁
④空爆などの直接軍事攻撃
⑤ソレイマニ暗殺型攻撃

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日経

①はタダですから大いにやるでしょう。得意のビッグマウスでイランを罵倒するのはおてのものです。
ただ、いくら罵倒してもイランは痛くも痒くもないばかりか、ほら見ろ、民主化デモの背後には米国がいるんだぜと国内宣伝するでしょう。
実際に似たようなことをハメネイは言っているようです。
ある意味、トランプが言えば言うほど神権体制を利することになるという側面があります。

②はもっともやりそうなオプションです。ペネズエラ攻撃の前段で激しい電子妨害やサイバーアタックがあり、その結果ベネズエラ軍は手足をもがれてしまいました。
しかしこれは形を変えた軍事的攻撃です。

③追加制裁も得意中の得意で、追加関税をかけるというのはいまも口にしていますから現実性がもっとも高いオプションです。
実際にやるみたいです。


「アメリカのドナルド・トランプ大統領は12日、イランと商取引をしている国の物品に25%の関税を課したと発表した。イランで反政府の抗議行動が3週目に入るなか、同国にとって圧力となり得る。
トランプ氏は自らのソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に、「イラン・イスラム共和国とビジネスをしているどの国も、アメリカ合衆国とのあらゆるビジネスに対して25%の関税を支払うことになる」と書き込んだ。イランと「ビジネスをしている国」の意味は、詳しくは説明していない」
(BBC1月15日)
トランプ氏、イランのビジネス相手国に25%の関税を課すと発表 - BBCニュース 

関税はもっともイージーですが、やった気分だけ味わえるという便利なツールです。
ここに止まっている限りは、イランの現体制が潰れることはありません。

④の空爆はないとはいえませんが、かぎりなく可能性は低いでしょう。
昨年6月、イスラエルとイランの間で行われたいわゆる「12日間戦争」の終盤に、米国は「ミッドナイト・ハンマー作戦を実施し、100機を超える軍用機を投入し、戦闘機に護衛されたステルス爆撃機B-2スピリットでイランの中核的な核施設を爆撃しました。
検証されていませんが、これにより核施設は事実上崩壊しました。

これが、今回のイラン体制のぐらつきのきっかけとなっています。
あれほどまでにカネと人材をつぎ込んで国是のように邁進してきた核保有があっさりと一回の攻撃で挫折したことは、たとえようもない衝撃をイラン国内にもたらしたはずです。
ハメネイとそれを支える神権体制の権威はボロボロになり、それが今回の民主化デモが起きるきっかけを与えています。

ただし、もう一度軍事攻撃をするかといえばどうでしょうか。
やるとした場合ありえるのは、パーレビが主張している「都市部を掌握し維持」しようとする民衆に対して、攻撃をしかける革命防衛隊を軍事的に排除することですが、都市部をピンポイントで空爆するのは地上からの指示がないと難しい上に、失敗すれば多数の民衆も巻き込みます。
これはイスラエル軍のガザ攻撃をみればわかるでしょう。
象徴的に革命防衛隊の司令部を爆撃するくらいはできるでしょうが、効果は限定的です。

すると出てくるのは⑤の個人をターゲットとした攻撃です。
これはトランプ1期目の2020年1月、イラクの首都バグダッドでイラン革命防衛隊の最高指揮官だったソレイマニをドローン攻撃により暗殺した経験があります。
ただしこれで、今のイラン体制が転覆するかといえば、しないでしょう。

イランの神権支配は最高指導者を拘束したり殺害しても終焉しません。
かつてのイスラム原理主義革命が成功したのは、パーレビ国王に代わってホネイニというカリスマが存在したからです。
このような存在がなければ、国民をまとめる指導者が不在です。
今のイランの神権体制は、抵抗する国民を殺すことは朝飯前ですから虐殺をし続けます。
2019年の反体制デモのときには1500人を虐殺し、1988年には反対制派の国民を5000人から3万人も拘束して処刑したとされています。
彼らにとってデモをするような者は許しがたい背教者であり、殺してよいのです。
いやむしろ抹殺するのが正しいくらいに考えているはずです。

さてどうトランプが決断するかわかりません。
今のトランプにベネズエラとイランを同時進行で解決するのはちと難しいんじゃないでしょうか。

 

 

2026年1月13日 (火)

イラン神権政治のゆくえ

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ようやく日本のメディアも恐る恐る報道を始めたようです。
いまやらなきゃ特落ちですからね。
BBCもCNNも支局をイラン国内にはもてないはずですが、唯一テヘランに支局を持つという特権を享受しているNHKはなにをしているんでしょうか。
いや逆に、今のイランの神権政権との癒着がひどくて、かえって報道できないのでしょうね。
たぶん中国とやっているような報道協定でも結んでいるのでしょうが、ならば支局などないほうがまし。
一貫してイラン情勢を報じ続けているBBCはこう伝えています。

「通貨下落を発端とした反体制デモが続くイランは11日、アメリカから攻撃されれば報復措置を取ると警告した。これは、イラン当局が抗議者を殺害するような事態になれば軍事的に対応するという、アメリカの警告に対するもの。
BBCが取材した複数情報筋や活動家によると、イラン政府はデモへの弾圧を激化させており、これまでに数百人の抗議者が死亡している。
首都テヘランの情報筋は11日、「ここの状況は本当に、非常に悪い」と話した。「私の友人の多くが殺害された。(当局は)実弾を撃っていた。戦場みたいで、通りは血だらけだ。(当局は)遺体をトラックで運び出している」
(BBC1月12日)
イラン、アメリカに攻撃されたら報復すると警告 反体制デモの死者500人超と人権団体 - BBCニュース

いままで体制派だったバザール商人の抗議デモから始まった反政府デモは直ちに大学にも波及し、テヘラン市内の7つの大学でデモが行われました。
欧米の人権団体からの情報によると、抗議デモは現在、イランの185都市に拡大し、さらに増えています。

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どうやら「治安部隊」こと革命防衛隊は実弾を使用しているようです。
BBCは、テヘラン近郊の遺体安置所を捉えた映像に、約180の遺体袋が映っているのを確認し、米国に拠点を置く人権活動家通信社(HRANA)は、イラン各地で抗議者495人と治安要員48人の死亡を確認したとしています。

「AFPが撮影場所を特定したこの動画は、テヘラン南郊カフリザクにある遺体安置所で撮影されていた。黒い袋に包まれた遺体が屋外の地面に並べられ、遺族とみられる人々が行方不明の家族を捜す様子が映っている。施設は「テヘラン州法医学鑑定・検査センター」として知られている。
ノルウェーに拠点を置く人権団体「イラン人権(IHR)」は、このカフリザクの動画に言及し「イラン全土で起きている抗議デモの中で殺害された多数の人々」だと述べた。

同じくノルウェーを拠点とする人権団体「ヘンガウ」は、「カフリザク遺体安置所の内外で血まみれの遺体が数十体ある映像を自ら確認した」とし、「広範かつ深刻な犯罪」を示していると述べた。
活動家らは、インターネットが遮断される中で治安部隊が実弾を使用し、2週間にわたる抗議活動を弾圧していると非難。すでに数百人が殺害されている可能性があると懸念を表明している」
(AFP1月12日)
イラン首都南部の遺体安置所、遺体多数映る動画をAFPが検証 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News

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AFP

わずか2週間の騒乱で約500人が殺害され、1万600人が拘束されたといいます。
数字は流動的で推測ですが、おそらくこれを上回る犠牲者がでているはずです。

バザールの商人は1979年のイスラム革命において重要な役割を果たし、長年にわたりイスラム共和国の中核的基盤かつ経済的基盤として機能しました。

「しかし近年、政権はイスラム革命防衛隊を軍産複合体に築き上げ、そこから富と権力のネットワークが流れ込んでいる。8年間政権に人質にされたイラン系アメリカ人実業家シアマク・ナマジは、イラン国家を「IRGCとその卒業生が支配する競合するマフィアの集合体」に例え、彼らの最大の忠誠は国家、宗教、イデオロギーではなく個人的な富にある。この制度は政権のイデオロギー的結束を弱めただけでなく、伝統的な商人階級を追い出し、バザールを支えの柱から異議申し立ての源へと変えてしまった」
(The Atlantic 2026年1月10日)
Is the Iranian Regime About to Collapse? - The Atlantic

彼らが政権を見放して反政府側についたことが、致命的な力関係のシフトにつながったようです。
既得権益層が分解し、国民をひとつに結びつけていたはずの説得力のあるナラティブが消滅してしまったのです。

「国家崩壊の第四の条件は、国の社会経済的、地理的、イデオロギー的な溝を橋渡しする説得力のある共有された物語である。今日のイランでは、政権の建国原則である汎イスラム革命イデオロギーは、激しい矯正的なナショナリズムに取って代わられています。国家の使い古されたマントラ「アメリカに死を」「イスラエルに死を」は、国家の自己利益の要求にかき消されつつある。「イラン万歳」だ。
これは単なるトーンの変化ではなく、今や広く使われている抗議のシュプレッション「ガザにノー」という抗議の唱和が際立つ、政権の地域的冒険主義への完全な拒否です。レバノンには反対;私の命はイランのためだけに。」
(The Atlantic前掲)

既存のナラティブはイスラム原理主義でした。
しかし女性のブルカ拒否運動に見られるように、それはいまや大きな桎梏でしかなく、それに代わって「イランのために」に転換したとThe Atlantic は見ています。
つまりいままでうんざりするほど注入され続けてきた「反米・反イスラエル」よりも、自らの生活を大事にするイランファースト、「普通の生活を返せ」という主張が支持を集めているそうです。

では、今の神権政治に代わる政体はなんでしょうか。

「イラン人が1979年からよく知っているように、無慈悲な戦いが革命を定義する傾向がある。約半世紀にわたり海外で過ごしたパフラヴィーは、そのような選挙で勝つための現地の勢力をまだ整えていない。彼はまた、より深い問いに直面している。
イランの君主主義者たちはどのような秩序を築こうとしているのか?パフラヴィーは一貫して、イランの民主化を支援し、国民に選ばれれば立憲君主として仕えることも目標だと述べている。しかし、彼の最も熱心な支持者の多くは絶対的な独裁体制の復活を声高に主張しています。この緊張は、不満を抱くエリート層を政権に反発させる能力を妨げている」
(The Atlantic前掲)

もしかつての皇太子であるレザ・パーレヴィが、親政にこだわらず開明的な立憲君主制を選ぶのなら西側諸国の支持をえられるでしょうが、。レの支持者はThe Atlantic によればもっと強力な親政を臨んでいるようです。
この次の政権の受皿が明確になって、なんらかの指導部ができなければ、今の騒乱は一時的なものに終わるでしょう。

 

2026年1月12日 (月)

イラン情勢いっそう加速化

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イラン情勢がわずか数日いっそう炎上しています。
イランと「伝統的友好関係」があるそうな日本のメディアは、ナニに忖度しているのか無関心を決め込んでいて、読売も朝日も外信にわずかに小さな記事を申し訳ていどに乗せているだけです。
一方欧米系メディアは、連日一面トップ扱いで大きく取り上げています。
BBCを見てみましょう。


「通貨下落を発端としたイラン各地の反体制デモは10日にも各地で続き、100以上の都市や町へと広がり、近年で最大規模のものになっている。多数の抗議者が殺傷されている様子で、さらに多くが拘束されている。イラン国内の医療機関の医師たちは9日夜、BBCに対して、眼科病院をはじめ病院が死傷者であふれていると話した。抗議ではイスラム共和国の終わりを求める声が上がる一方、イランの治安当局はそろって抗議参加者に強い警告を発している。
イラン発のさまざまな映像には、首都テヘランで9日夜に抗議者たちが大勢で通りに出て車両を燃やすなどしている様子や、首都近郊カラジで政府庁舎が放火された様子などが映っている。
イラン革命防衛隊は10日、治安当局と共に「国益と国の戦略インフラおよび公共の資産を守る」活動に参加すると表明した」
(BBC1月10日)
イランの医療関係者、死傷者が病院にあふれていると話す 反体制デモ続く - BBCニュース

CNNはこう伝えています。

(CNN) イランで行われている抗議活動に参加した複数の人々が、首都テヘランの路上に多くの群衆が集まり、残忍な暴力が振るわれたと証言した。ある女性は、病院で「遺体が積み重なっている」のを見たと話した。
身の安全を理由に匿名で証言した60代半ばの女性と70歳の男性は、8日と9日にテヘランで行われたデモには、あらゆる年齢層の人々が参加したと語った。だが、9日夜には、軍用ライフルを持った治安部隊が「多くの人」を殺害したという」
(CNN1月11日)
イラン各地で抗議デモ、病院には「遺体が山積み」 インターネット遮断は逆効果に - CNN.co.jp

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BBC

直接に自分が取材したのではない情報に対しては、必ず検証を入れるBBCはこのように述べています。


「デモはイランの国内各地で行われている。BBCヴェリファイ(検証チーム)は67カ所の映像を確認した。
南東部ザヘダンで9日、金曜の礼拝後にデモ参加者が集まった様子の映像を、BBCペルシア語とBBCヴェリファイが検証した。
映像の一つでは、ハメネイ師を指して「独裁者に死を」と叫ぶ声が聞こえる。別の映像では、地元のモスク付近にデモ参加者が集まっている状況で、複数の大きな破裂音が聞こえる。
8日に撮影され検証された別の映像には、中部イスファハンにある国営放送IRIBの子会社事務所が燃えている様子が映っていた。火災の原因や負傷者の有無は不明」
(BBC前掲)

詳細な分析も出始めています。
ボストンの伝統ある月刊誌The Atlanticはこのような署名記事を掲載しています。
Is the Iranian Regime About to Collapse? - The Atlantic

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The Atlantic

「47年前、イランはアメリカと同盟していた君主制を反米神権政治に置き換える革命を起こしました。今日、イラン・イスラム共和国は反革命の瀬戸際に立っているかもしれない。
歴史は、体制が単一の失敗からではなく、致命的なストレス要因の重なりによって崩壊することを示唆しています。私たちの一人、ジャックは、革命が成功するために必要な5つの具体的な条件について長い記事を書いています」
(The Atlantic 2026年1月10日)

イランの体制が倒れる5つの条件とはなんでしょうか。
まず第1に深刻な財政危機です。

「これらは財政危機への対応として始まりました。国家通貨の暴落、財政が空っぽの国家です。アメリカの政治では、3%を超えるインフレ率は政権を失脚させる傾向があります。イランのインフレ率は全体的に50%以上、食料は70%で、世界でも高い水準の一つです。過去1年間で、イランの通貨はドルに対して80%以上下落しています。
1979年には1米ドルが70イラン・リアルの価値がありました。現在、その価値は147万リアルで、99%以上の減価償却となっています。イラン通貨は単なる交換手段というよりも、国民的絶望の日々の指標となっています。そして過去の経済危機とは異なり、今回の崩壊は階級を超え、バザールの商人や裕福な人々、貧困層にも影響を及ぼしています」
(The Atlantic 前掲)

実にインフレ率が平均で50%、特に重要な食料は実に70%にも達しています。
そして比例してイラン通貨はドルに対して80%も下落しています。
ベネズエラがそうであるように、ハイパーインフレは国民各層をまんべんなく直撃し、生活を破壊します。
結果、いままで政権を支えてきた富裕層、バザール商人までもがデモに立ち上がっています。

唯一の外貨を稼ぎだしていた原油輸出は、経済制裁を食らって過去1年で20%下落しました。
イランは中国にダンピング価格で石油を売ってどうにか糊口を凌いでいるありさまです。
電気や水の配給は途切れがちで、若者の失業率は青天井で、外国に人材流出が絶えません。

もう一つの重要な崩壊の予兆は支配階層が分裂していることです。

「国家崩壊の第二の条件であるエリートの疎外もイランで広く見られます。
1979年に広範なイデオロギー連合として始まったものは、2026年までに一人政党、すなわちアリ・ハメネイ政党に縮小した。
イスラム共和国の建国の父であり元首相の一人であるミール・ホセイン・ムサヴィは、現在15年目の自宅軟禁状態にあります。
存命の元大統領は全員沈黙または排除されている。モハンマド・ハタミは完全なメディア禁止下にあり、マフムード・アフマディネジャドは周縁化され監視され、ハッサン・ロウハニは88名からなる専門家会議(次の最高指導者を選ぶ聖職者)への議席獲得を禁じられた」
(The Atlantic 前掲)

いまやイランはハメネイひとりの独裁国家と成り果て、かつて共にイスラム革命を指導した元大統領や首相らは全員が自宅軟禁されています。
また国家の行政基盤を作っていたテクノクラートや技術官僚たちも、なんの専門知識もないハメイニの取り巻きに取って代わられてしまいました。
かくしてかつてのソ連と同様に、イスラム共和国は核心となるべき信念を喪失し、権力を取り巻くのは富と特権に動機づけられた者たちだけになてしまいました。

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死亡したソレイマニ司令官とハメネイ師
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58855

ハメネイは革命防衛隊を直接の指揮下に置き、数々のテロをソレイマニにやらせてきました。
典型的なのはシリアで、市民虐殺を繰り返してきたと言われています。
イラクも大半を掌中にしていますし、パレスティナのハマスやレバノンのヒズボラも革命防衛隊の別動隊にすぎません。
イエメンのフーシー派武装集団も同様です。
ソレイマニが率いるコッズ部隊に操られて中東全域がイラン化しつつあったのです。
この総指揮を執っていたのがソレイマニで、彼を抹殺したのがトランプです。

革命防衛隊(IRGC)がハメネイを支持しているのは利権のためで、いま燃え上がるデモ隊弾圧の前面に出ているのは彼らです。
メディアが「治安部隊」と言っているのは、ほぼすべてがこの革命防衛隊です。
彼らだけがハメイニ体制に忠誠を誓って国民に銃口をむけています。
彼らの暴力だけがハメネイを支えています。
長くなりましたので、明日に続けます。

 

2026年1月11日 (日)

日曜写真館 オリオンのかたむき消えぬ冬の朝

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曉光に射し貫かれ地の一切 高澤良一

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大声をひとこゑ発す冬暁 小池文子

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冬暁の雲を映しぬ高瀬川 宮武寒々

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冬曙ふうてん犬を愛しをり 山田素雁

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鳥ばかり静かにならぬ冬の朝 曽 良

2026年1月10日 (土)

デモ隊、これが最後の闘いだ! パーレヴィは戻ってくる

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もう少し情報が集まってきてから書こうと思っていたのですが、イランが急速に煮詰まってきているようです。
イラン情勢がいま一つ見えないのは、あの国が外国人記者の入国を一切禁じているためです。
SNSが唯一の外部とのツールで、そこからは多くの情報が送られてきます。
私が常々ウォッチしているのはMasih Alinejadという女性ジャーナリストからの発信です。
今年1月8日には。

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XユーザーのMasih Alinejad 🏳️さん:X

またGoldie Ghamarの1月7日の発信も大規模デモと治安部隊の衝突を伝えています。

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また、BBCはこのように伝えています。
北東部マシュハドで撮影され、BBCペルシャ語が実際のものだと確認した抗議行動の映像では、主要道路沿いを大群衆が移動している。「シャー(国王)万歳」、「これが最後の闘いだ! パーレヴィは戻ってくる」という声も聞こえる。数人が陸橋によじ登り、監視カメラらしきものを取り外す場面も映っている。
テヘラン東部で撮影された別の動画では、主要道路に沿って大群衆が歩いている。
同市の北部からBBCペルシャ語に送られた映像では、群衆が「これが最後の闘いだ! パーレヴィは戻ってくる」と声を上げている。北部の別の場所の動画では、抗議者らが治安部隊と衝突し、「恥を知れ」、「恐れるな、私たちは皆一緒だ」と叫んでいる。
中部の都市イスファハンの動画では、抗議者らが「独裁者に死を」と反ハメネイ師のメッセージを唱えている。北部バーボルでも、「シャー万歳」北西部タブリーズでは「恐れるな、私たちは皆一緒だ」と唱える抗議者らの姿がそれぞれ撮影された」
(BBC2026年1月9日)
イランの反体制抗議、首都などで規模が拡大 多くの映像が示す - BBCニュース

これらの大規模デモがイラン政権側の官製ものでないことは、「アメリカに死を!」とか「イスラエルに死を!」とシュプレヒコールがまったくなく、「これが最後の闘いだ! パーレヴィは戻ってくる」ということを叫んでいることです。
ちなみに、かつて亡命先で死亡したパーレヴィ国王の息子は帰国すると発言しています。

「参加者らは、最高指導者アリ・ハメネイ師の失脚と、1979年のイスラム革命で追放されたかつての国王の息子で、現在はアメリカで暮らすレザ・パーレヴィ氏の帰国を求めて声を上げている。同氏はこの少し前、支持者らに対し、「街頭に出て、一致団結し、要求を叫ぼう」と呼びかけていた」
(BBC前掲)

レザ・パーレヴィの 呼びかけです。

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XユーザーのReza Pahlaviさん X

王政復古をイラン国民が臨んでいるとは思えませんし、そうなって欲しくもありませんが、レザ・パーレヴィが帰国すれば大きな政治的シンボルとなることは確かです。

トランプはデモが武力鎮圧されれば介入すると言っています。

「ドナルド・トランプ米大統領は、イランが抗議デモを暴力的な手段で弾圧しようとした場合は介入する構えを示した。イラン政府は景気悪化への国民の不満を封じ込めようとする中、さらなる圧力をかけられた形だ。
イランでは1週間近くにわたり抗議デモが繰り広げられ、デモ隊と警察の衝突で数人の死者が出ている。トランプ大統領は「イランが銃撃し、平和的に抗議している人々を暴力的に殺害した場合、米国は救助に行く」とソーシャルメディアに投稿。「我々は臨戦態勢にあり、出発する用意ができている」と述べた。
ただ、米国がどのような行動を取るかは不明だ。米国は過去にもイランが情勢不安に陥った際、人権侵害を理由に同国関係者に制裁を科してきた。トランプ大統領はパレスチナ自治区ガザなどでの和平努力を推進する一方、昨年夏にはイランの核施設を爆撃するなど、より強硬な外交政策をとっている」
(ウォールストリードジャーナル2026年1月2日)
トランプ氏、イラン政府がデモ弾圧なら介入の構え | The Wall Street Journal発 | ダイヤモンド・オンライン

イラン情勢を注視しましょう。

 

 

2026年1月 9日 (金)

国際法はもはや「魔法の剣」ではない

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正直に言って、今回のベネズエラ攻撃ほど書くのに苦しんだテーマはありませんでした。いまだ苦しんでいます。
判断すべき軸が見えないからです。
今回の場合は、国連憲章第2章第4項にある「武力行使の禁止原則」がそれに当たるでしょう。

国連憲章は、1945年6月26日に締結されたサンフランシスコで採択され、同年10月24日に発効した当時の状況に拘束されています。
つまり「時代の産物」でした。
この当時に想定された情勢は、戦勝国が戦後秩序を管理していけるという国連の仕組みを反映しています。
この仕組みがあって、はじめて「武力による威嚇や武力行使の原則的な禁止」や「国際紛争の平和的解決」「国境線の実力による変更の禁止」などといったいわゆる国際法の枠組みが出来ていくわけです。

では、いま国連が生きているでしょうか?
ウクライナでも、ガザでも、南シナ海においても、そして今回のベネズエラでもまったく無力でした。
たとえば2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、この武力行使禁止原則に対する重大な違反と認識されています。
国連総会では、この侵略に対し非難決議が採択されています。
しかしなんの効果もありません。ロシアは平然と侵略を続けて、止める気配もありません。

なぜでしょうか。答は非常に簡単です。
本来、世界平和と秩序維持のために作られた安全保障理事会がまったく機能していないからです。
常任理事国に拒否権が与えられているために、紛争解決のための決議が絶対に採択されないからです。
そしてこの常任理事国であるロシア、中国、米国こそが、常に世界の秩序の破壊者だというアイロニーです。
結果、国連は各国が口々に意見を言うだけの学級委員会と化しており、一切の実効性のある決議やましてや国際行動を取ることができません。
かといって常任理事国から拒否権を取り上げれば、即座に脱退することでしょう。

つまり、「国際法」はその違反を罰する主体を欠落させた「法のようなもの」にすぎないのです。
だからいくらハーグの国際司法裁判所が南シナ海の中国の軍事要塞を不法なものだと裁いたところで、中国が無視すればそれまでです。
いくら国際法が「法」と呼ばれても、それを司る司法権を持つ国内法とは根本的に異なるのです。

今回のベネズエラ侵攻においても、「法」の解釈が常に統一されているわけではないことが暴露されました。
国連のグテーレス事務総長は、米国の行動を国際法違反して強く批判しましたが、トランプは歯牙にもかけませんでした。
トランプはとうに国際法と国連を見限っているからです。

トランプは、2026年1月7日に大統領令を発表し、米国が66の国際組織から脱退し、これらの組織への資金拠出を打ち切る方針を示しました。トランプは、これらの66の国際組織が「米国の利益に反している」とし、マルコ・ルビオは、これらの組織を「反米的で、役に立たず、あるいは無駄だ」と非難しています。

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アメリカ、66の国際協定・団体から離脱 気候変動対策など - BBCニュース

「ドナルド・トランプ米大統領は、気候変動問題に取り組むために設立された国連委員会や主要機関を含む66の国際的な組織から米国が脱退すると表明した。トランプ氏は7日夕に大統領令を発表し、66の国際的な団体および機関について、「米国の利益に反する」として、それらから脱退し、資金拠出を打ち切る方針を示した。
そのリストには、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や国際自然保護連合(IUCN)などが含まれている。トランプ大統領は、この変更により米国は対象団体への参加を終了し、全ての資金拠出を打ち切ると述べた。マルコ・ルビオ国務長官は7日にX(旧ツイッター)に投稿し、これら66の組織は「反米的で、役に立たず、あるいは無駄だ」と指摘し、米政府はさらに他の国際団体についても見直しを行っていると明らかにした」
(ウォールストリートジャーナル1月8日)
米、国連機関など66の国際的組織から脱退へ | The Wall Street Journal発 | ダイヤモンド・オンライン

おそらく米国は遠からず国連を脱退するかもしれません。
提供するカネは最大でありながらなんのメリットもないからです。
ならば国連と国際法自体が無力なケースにおいて、米国が現実的な解決に向けての行動が必要だと考えているでしょう。
それはそれで筋が通っています。
とまれ、 国際法が全ての国際問題を解決できる「魔法の刀」ではとうにないのは厳然たる事実で、それに代わるものが見えない中でもっとも早くそれを見せたのがトランプだったのはたしかなようです。

 

2026年1月 8日 (木)

ノーベル平和賞受賞者、ベネズエラ攻撃を評価

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今回のベネズエラ攻撃に対して、当のベネズエラ国民の反応は肯定的です。
去年ノーベル平和賞をもらったばかりのベネズエラの民主化指導者マチャド氏は、このようなコメントを出しています。

「昨年のノーベル平和賞を受賞したベネズエラの野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏は5日、X(旧ツイッター)に、世界各国でマドゥロ大統領の拘束を祝う人たちの映像と共に「ベネズエラ人はトランプ米大統領に感謝している」と投稿した。
マチャド氏は「ベネズエラは安全保障、エネルギー、民主主義、人権の分野で米国の主要な同盟国になるだろう」と記した。
欧州連合(EU)欧州委員会報道官は、民主化に向けた協議はマチャド氏らを交えたものとなることが必要と訴えている」
(産経1月6日)
「ベネズエラ人はトランプ米大統領に感謝している」ノーベル平和賞のマチャド氏 - 産経ニュース

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マリア・コリナ・マチャド 時事

たぶんこのマチャド女史のコメントで、トランプのベネズエラ攻撃に対する評価は落ち着くのではないでしょうか。
少なくとも自由主義陣営内では、日本のメディアのように国際法違反糾弾でバッサリやることはないということです。
要は落し所なのです。これでトランプが強引に米国の息のかかった人物を連れてきて傀儡政権を作るなら話は別ですが、マチャド失脚に伴う民主選挙を行うまで米国が「運営する」というのはありえるということになるでしょう。
実際、ヨーロッパ諸国はその方向でまとまりつつあります。

「アメリカ・トランプ政権によるベネズエラへの大規模攻撃について、ヨーロッパ各国の反応です。
イギリスのスターマー首相は、マドゥロ氏を「正当性のない大統領」と断じ、「政権が終焉しても、それを惜しむことはない」と述べ、事実上、政権移行を容認する姿勢を示しました。
その一方で、国際法支持を改めて表明し、国民の意思を反映した正当な政府への「安全で平和的な移行」に向け、今後アメリカと協議していくとしています。
フランスのマクロン大統領は、マドゥロ氏について「権力を私物化し、基本的自由を踏みにじることで、自国民の尊厳を深刻に損なった」と厳しく非難しました。
その上で、今後のプロセスについては「平和的かつ民主的で、ベネズエラ国民の意思を尊重するものでなければならない」と述べ、一方的な軍事行動を強めるトランプ政権をけん制しました。
ドイツのメルツ首相は、「マドゥロ氏は国を破綻へ導いた」と述べ、麻薬取引への関与などが地域の不安定化を招いていて、アメリカによる介入の法的根拠については「精査中」と慎重な姿勢を見せつつも、国際法を尊重し、選挙によって正当化された政府への秩序ある移行を実現すべきだと強調しました。
EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長は「平和的かつ民主的な移行を支持する」と述べた上で、「いかなる解決策も、国際法および国連憲章を尊重するものでなければならない」と訴えました」
(FNN1月4日)
ヨーロッパ各国、ベネズエラ・マドゥロ政権を厳しく非難しつつもアメリカの独走を警戒|FNNプライムオンライン

方法論としては容認しがたいが、選挙で民主的な政権が誕生するならよいことだ、ということです。
歯切れが悪いですが、全面的に肯定すれば、ではロシアのウクライナ侵攻を認めてしまうのか、ということになってしまいます。
しかしマドゥロとゼレンスキーはまったく別次元であるというのは厳然たる事実で、外形的にだけ見られないということです。

ちなみにわが国の高市首相のコメントはこうです。

「ベネズエラでの事案を受け、日本政府としては、私の指示の下、邦人の安全確保を最優先としつつ、関係国と緊密に連携して対応にあたっています。
ベネズエラ情勢については、日本政府として、これまでも、一刻も早くベネズエラにおける民主主義が回復されることの重要性を訴えてきました。
我が国は、従来から、自由、民主主義、法の支配といった基本的価値や原則を尊重してきました。
日本政府は、こうした一貫した我が国の立場に基づき、G7や地域諸国を含む関係国と緊密に連携しつつ、引き続き邦人保護に万全を期するとともに、ベネズエラにおける民主主義の回復及び情勢の安定化に向けた外交努力を進めてまいります」
Xユーザーの高市早苗さん

過不足なし。これでいいんじゃないでしょうか。

 

2026年1月 7日 (水)

ベネズエラ攻撃を三つの視点でみると

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今回の米国のベネズエラ攻撃を見る視点は大きく三つあると思います。
ひとつは法的視点、二つ目は国際政治、三つ目は軍事的側面からです。

さて日本のメディアが言うように、国際法的に見ればまったくアウトです。
米国によるベネズエラ攻撃が国際法違反とされる主な理由は以下の通りです。
まず、国連憲章第2章第4項にある「武力行使の禁止原則」への違反です。
この条項は、武力による威嚇または武力行使を禁止しており、米国の今回の軍事攻撃はこれにま正面から違反しています。

この条項は、「各国の領土は侵されるべきではない」という原則に立っており、国境の現状変更の禁止をうたっています。
次に、「他の国の政治体制に武力で介入してはいけない」という政治的独立の原則にもつながります。
これが国連が本来担うべき「平和維持」の理念でした。
ただし、今の国連はこの「平和維持」機能を完全に喪失してしまっていますが。

トランプのベネズエラ攻撃は、この国際法の観点から見れば弁解の余地なく一発レッドです。
ベネズエラという一個の主権国家に対する軍事攻撃を仕掛け、仮にも国家元首であるマドゥロを拘束し連行したことは明らかに法的には内政干渉行為です。
また、 ベネズエラが米国を攻撃していない状況での軍事攻撃ですから、自衛権の行使とは言えません。
トランプはマドゥロが麻薬カルテルと共謀して大量の麻薬を米国内に送り込んでおり、米国司法が逮捕することを求めているということを理由に上げていますが、米国の司法権は外国には及びません。
したがって、最初の国際法的観点からは米国の今回のベネズエラ攻撃は違法であると見られています。

この見方を取るのは、中国、ロシア、そしてメディアです。
中国は4日、米国に対してベネズエラのマドゥロを即時解放するように求めました。

「中国は4日、米国に対してベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を即時解放するよう求めた。
米国は3日にベネズエラの首都カラカスを攻撃し、マドゥロ氏を拘束した。
中国外務省は声明で、今回の攻撃を「国際法の明確な違反」と非難。「中国は米国に対し、ニコラス・マドゥロ大統領とその妻の身の安全を確保し、直ちに開放し、ベネズエラ政府を転覆させるのをやめるよう要求する」と述べた」
(AFP1月4日)
中国、米国にマドゥロ大統領の即時解放を要求(AFP=時事) - Yahoo!ニュース

さてここで、もうひとつの視点が登場します。
この事件の影の主人公である中国との関係から見るとどうなるでしょうか。
産経の経済記者である田村秀男氏はこう述べています。

「まず知るべきは、ベネズエラが習政権の拡大経済圏構想「一帯一路」の中南米の橋頭堡(きょうとうほ)であることだ。同国は反米左派のチャベス氏が1999年に政権を奪取したが、2005年以来、米国の経済制裁を受けてきた。経済不振に陥ったのをみて割り込んできたのが中国だ。習氏が党総書記に就任した12年からベネズエラ向けインフラ投資が本格化した」
(産経1月6日)
トランプ政権のベネズエラ攻撃 「債権の罠」にはまった中国 利権封じ込めへ 田村秀男 お金は知っている - 産経ニュース

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習近平主席とマドゥロ大統領がハイレベル委員会会議閉幕式に出席--人民網日本語版--人民日報

ひとことで言えば、ベネズエラは中国の南米における最大拠点なのです。
習が掲げる一帯一路の南米のハブであり、中国がこれまでにベネズエラに投じた融資は実に620億ドル超(約9兆7000億円)といわれています。
お気の毒ですが、紙屑となりましたね。
この巨額融資は石油収入で払われる
石油担保融資で、今回の事件前から原油価格の低迷で長らく中国への返済はまともに行なわれていなかったといわれています。

中国は反米極左政権のマドゥロ政権との関係を重視しており、両国は2023年9月に「戦略的全天候型パートナーシップ協定」に署名しています。中国に輸出されるベネズエラ産原油の量そのものはたいしたものではなく、中国の総石油輸入量の5%から8%を占める程度です。
しかし中国は山東半島にベネズエラ産の重質油を処理するためだけに設備を建設しています。

それはなぜでしょうか。
ベネズエラの原油の大部分は粘度が高く、長鎖炭化水素や不純物を多く含む重質油および超重質油だからです。
少し説明します。

超重質油は、重質油よりもさらに重たく、ドロドロとした粘度が高い原油です。常温では固形に近くタールやアスファルトに近い状態で地中に固まって存在しています。
ベネズエラではオリノコ地帯に埋蔵されていますが、予想がつくように採掘が非常に大変です。

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2019年のベネズエラの原油生産、輸出、精製状況|JOGMEC石油・天然ガス資源情報ウェブサイト

固体に近いものに加熱したり蒸気を注入したりして柔らかくしてから採掘しますが、掘った後も不純物が多く、そのままでは使えません。
精製したり輸出できる状態にするには、軽油などの希釈材が必要で、生産コストと手間がその分高くつきます。

この難点がチャベツが作った国営石油会社ペデベーサの手には負えなくなった大きな理由です。
この重質油を汲み上げて精製し輸出するには専門的技術者(その多くは米国人でしたが)が多数必要でしたが、チャベツは彼らを国外追放してしまったために素人集団ではどうにもならなくなったのです。

中国はこれに目をつけて融資を持ちかけました。

中国からベネズエラへの融資総額(一帯一路関連投資)は、前述のように約620億ドルで、それは中国のラテンアメリカ・カリブ海地域への総融資額(約1200億ドルから1500億ドル)の約40%から50%を占めていますから、つまりは半分はチャベツが持っていったことになります。

一時中国への原油輸出は低迷した時期がありましたが、23年8月に習政権はベネズエラ利権拡張策を再開すると表明しました。

「中国の民間企業コンコルド・リソーシズが、ベネズエラ油田開発に10億ドル超を投資し、26年末までに日量6万バレルの原油生産を目指していることが明らかになった。これまで中国国有企業が主導してきた対ベネズエラ関係において、民間企業の本格的な参入は異例だと22日付けロイター通信などが報じている。
同社は最終的に500本の油井を開発し、26年末までに生産量を日量6万バレルに引き上げる。生産される原油は軽質油と重質油の混在型で、軽質油はベネズエラ国営石油会社に供給され、重質油は中国に輸出される見通し」
(北海道石油新聞2025年8月25日)
中国、ベネズエラ油田開発に10億ドル超投資 - TOPICS - 北海道石油新聞社

米軍のカラカス攻撃は、これを受けての中国特使との会談のわずか数時間後であったのは、トランプの習へのメッセージです。
南米は米国の勢力圏だ、中国は手を出すな、オレらが仕切る、というわけです。
さらに親中国家のハブだったベネズエラが親米に変われば、かつてあった左派政権の玉突き的誕生と逆な現象が生じます。

ベネズエラは最も古い共産国家である隣国キューバへ経済支援してきましたが、それが停止されればキューバは立ち行かなくなります。
トランプは、米国が何もしなくても近い将来キューバは経済的に崩壊するだろうとの見方を示しています。
また先日の選挙でホンジュラスが親中から反中右派に政権交代したため、ベネズエラ、キューバが親米に代われば、残るはニカラグアだけということになります。

このように、法的文脈とはまったく別次元で世界政治は動いています。
トランプは国際法学者がいくら罵倒しようと別次元で生きており、着々と手を打っているだけのことです。
まさに好むと好まざるとにかかわらず、です。

明日は三つ目の軍事的側面から見てみます。

2026年1月 6日 (火)

ベネズエラがなぜ失敗国家になってしまったのか

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抵抗の姿勢を見せていたロドリゲス副大統領(暫定大統領)が屈しました。

(CNN) 米軍が軍事作戦を実施してマドゥロ大統領を拘束した南米ベネズエラで、ロドリゲス副大統領は、米政府に対し「協力のアジェンダ」をめぐって連携を求めたと明らかにした。
ロドリゲス氏はSNSの声明で、このアジェンダについて、「国際法の枠組みの中で、地域社会の永続的な共存を強化するための共通の発展」を目指すものだと説明した。
ロドリゲス氏は、ベネズエラが米国や周辺地域との間で「均衡が取れた敬意ある国際関係」の構築を「最優先する」と述べた。
ロドリゲス氏は、米国のトランプ大統領への直接のメッセージとして、「我々の国民と地域には、戦争ではなく平和と対話がふさわしい。これはニコラス・マドゥロ大統領が一貫して訴えてきたメッセージであり、今まさに、ベネズエラ全体が発信するメッセージだ」と述べた。「ベネズエラには、平和、発展、主権、そして未来への権利がある」
今回の発言は、米国がマドゥロ大統領を拘束したことをめぐり、「残忍な武力行使」だと非難していた、これまでのロドリゲス氏の主張とは明らかに異なっている」
(CNN1月5日)
ベネズエラ副大統領の姿勢軟化、米国との「協力」を呼び掛け - CNN.co.jp

「均衡が取れた敬意ある国際関係」ですか、まぁ、要するに米国には逆らわないという表明です。
特にここでロドリゲスが使っている「永続的な地域社会の共生を強化するための協力アジェンダ」というのは、トランプ語でいう「西半球は米国のもの」という露骨な縄張り意識に迎合する外交的表現です。

トランプはとうとう「ドンロー主義」と言い出しました。
ドンロー主義ね、頭がどうにかしている。

「われわれはモンロー主義をはるかに超えた。今はドンロー主義と呼ばれるくらいだ」。トランプ米大統領は3日の記者会見で、冗談めかしながら自身の外交手腕を誇ってみせた。「ドンロー」とは、19世紀の米外交の基調となったモンロー主義と、自身の名前の「ドナルド」を掛け合わせた造語だ。
モンロー主義は1823年、当時のモンロー大統領(第5代)が提唱した。欧州の紛争に関与しない一方で、欧州諸国による南北米大陸の植民地拡大や干渉に反対する立場を打ち出した。独立から間もない米国の安全を保持するためと理解されることが多い」
(産経1月4日)
トランプ氏の外交方針「モンロー主義」ならぬ「ドンロー主義」 弱肉強食の世界観を反映 - 産経ニュース

縄張りだと宣言する以上、西半球の利権はすべて米国のモノになるというリクツです。
ベネズエラに対しては、失った石油利権はウチラの国が取り戻すということのようです。
日本ではあまり知られていませんが、ベネズエラは世界トップクラスの産油国です。
なんとサウジより埋蔵量が多いのですからたまげます。

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ベネズエラ大規模攻撃 狙いは石油利権か 次期政権にも注目集まる (テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース

ですからチャベツ以前のベネズエラは、間違いなく黄金の原油に浮かぶ超富裕国でした。
ところがベネズエラはこれを生かしきれなかったどころか、逆に失敗国家の原因にしてしまいました。

「ベネズエラでは、豊富な石油資源を十分に活用できていないばかりか、むしろ、豊富な資源が政治経済の足を引っ張ることになったと言える。
 経済学に「資源の呪い」という言葉がある。資源の豊富な国では、資源輸出に経済が依存し、製造業が育たない、あるいは、資源価格の変動により、国内経済が安定しないなど、経済成長がかえって阻害される状況を指す」
(日本エネルギー経済研究所 石油情報センター)
石油に呪われた国、ベネズエラ – NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute

やらかしたのはマドゥロの前任者であるチャベツです。
石油依存の大きい産油国ほど国家による家父長的支配、人権無視など独裁政治が横行しやすいものですが、この典型が「革命家チャベツ」でした。

この男はベネズエラの石油産業を国営石油会社「ペトローレオス・デ・ベネスエラ(PDVSA・ペデベーサ)」に独占させました。
当然、いままで石油施設をメンテしていた外国企業(米国石油企業ですが)も完全追放です。
そしてこのペデベーサは、原油掘削のみならずその販売、電力事業やセメント事業、食品流通・販売部門なども傘下に収めており、ベネズエラ国内の様々な産業を独占してしまいます。
つまりベネズエラがひとつの国有企業で超独占支配されたのです。

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ウーゴ・チャベツ  時事

そして国民には「貧民援助」と称して商品をタダ同然で配ったわけです。
人権、言論、なに言ってんだカネやるから黙っていろ、これがウーゴ・チャベツ流の「社会主義」でした。
その過程でチャベツの意に染まない外国人技術者、国内の技術者、知識人らはことごとく追放され、国外に難民化します。
その数は実に800万人とも推定されています。
かくして金を産むガチョウであった石油施設はメンテもままならず、一気に老朽化していくことになります。
チャベツ以前のベネズエラは日量約330万バレルを生産していましたが、国営石油会社ペデベーサからの人材流出と設備劣化により、生産量は2020年には日量90万バレル前後まで落ち込んでしまいました。

ついでに外交路線は極端な反米で、キューバに巨額の支援を与える一方、中国にドバドバと原油を売りさばいていました。
怒った米国はベネズエラ産原油に制裁を加えて市場から締め出します。
しかし、それでも当時のチャベツは強気一本槍。
当時はダブついた原油マネーが溢れていたために、農業や製造業は「カネで外国から買ったらいい」というトンデモ経済政策に走ります。

かくして食糧自給率は壊滅、国内産業はペンペン草ですが、これもカネがベネズエラに流れ込んでいるうちはなんとかなったのですからコワイ。
一転したのは、2014年以降の原油価格急落からです。
カネのなる木が突然枯れ始めたのです。

じぶんの国ではなにも作らない、石油で外国からモノを買えばいい、というチャベツのビジネスモデルはあえなく崩壊し、極端なモノ不足となって2017年11月以降はハイパーインフレが怒濤のように始まります。
しかもチャベツはこの財政危機を札の増刷で乗り切ろうとします。まさに絵で描いたような馬鹿殿。

とうぜんのこととして貨幣は紙屑となり、2018年8月のトイレットペーパー1つが260万ボリバルなんて風景が現れました。
国民は財布ではなく手押し車で札束を乗せて商店に行き、商店の親爺は貫目で量るというのが日常化します。

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【写真で見る】ベネズエラを襲うハイパーインフレ 通貨切り下げ前の食材と値段 - BBCニュース

そしてこのチャベツが後継に指名したのが、今回米国捕まった腹心のニコラス・マドゥロでした。

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チャベス氏指名後継者の指導力は? - WSJ

チャベツの死によって行われた大統領選は不正選挙大博覧会で、選挙と呼ぶのもおこがましいデタラメなものでした。
事前の複数の世論調査では野党候補がマドゥロ大統領を大きくリードしていましたが、選挙管理委員会の発表ではマドゥロ大統領が勝利しました。
ある調査では野党候補が59.6%、マドゥロ大統領が12.5%でしたが、結果はマドゥロ大統領51.2%、野党候補44.2%でした。

「7月28日におこなわれたベネズエラの大統領選挙は、選挙管理委員会によって現職のニコラス・マドゥロ大統領の勝利と発表されたが、集計の正当性を疑われている。
事前の世論調査と選挙結果があまりにかけ離れていること、政府系テレビ局が放送した得票率を示すグラフの合計が100%を超える明らかにおかしいものであったことなど、不正を疑われるような事例がいくつも浮上した。
当局やマドゥロの支持者があらゆる手で検証を拒否していることも、さらに不信を招いている。米紙「ワシントン・ポスト」によると、投票機の結果のプリントアウトが野党側の選挙監視員に提供されなかったり、野党側の選挙監視員がマドゥロの支持者に暴力を振るわれて開票所に入れなかったりしたケースが少なからず報告されているという」
(クーリエ・ジャポン2024年7月30日)
【解説】「疑惑の選挙」の後、ベネズエラの社会はさらに崩壊が進む | クーリエ・ジャポン 

マドゥロ政権は国際的な選挙監視団の受け入れを拒否し、米国やヨーロッパやラテンアメリカ諸国の多くは、選挙結果の公正性に疑問を呈し、マドゥロ政権を承認しませんでした。
これが今回のトランプの言いぶんや、マドゥロの拘束にベネズエラ国民が歓声を上げたわけにつながっていくわけですが、長くなりそうなので、次回に続けます。

 

2026年1月 5日 (月)

トランプ、新年早々のベネズエラ侵攻

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改めまして明けましておめでとうございます。
と言ったやいなやわれらがトランプがやっていただきました。三賀日くらいはおとなしくできないものか、トラ年じゃねぇぞ。
新年早々いきなりのベネズエラへの堂々の侵攻です。

ベネズエラ大統領のマドゥロは拘束されて米本土に送られ、米国はこの国を「運営」すると宣言しました。
壊滅状態になっている石油施設へのてこ入れだと思われますが、一定規模の地上軍の投入も視野に入っているはずです。

「米軍は3日に実施した南米ベネズエラに対する地上攻撃とニコラス・マドゥロ大統領の拘束に、戦闘機や無人機など計150機以上の軍用機を投入した。陸海空軍や情報機関などを総動員し、周到な計画を立てて電撃作戦に踏み切った。
トランプ米大統領は3日の記者会見で、「わずかな時間でベネズエラの軍事力はすべて無力化された」と語り、作戦は成功したと強調した。
トランプ氏が作戦の実行を指示したのは2日夜だった。トランプ氏は3日の米FOXニュースの番組で、1週間前にマドゥロ氏と電話で会談し、「あなたは諦めるべきだ」と降伏を促したが、応じなかったため軍事作戦による排除に踏み切ったと説明した」
(読売2026年1月3日)
米軍総動員した電撃作戦、マドゥロ氏の行動・服装・ペットまで分析…緻密な攻撃にロシア製の対空システム機能せず : 読売新聞

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ベネズエラ首都で爆発報告、カラカス上空で軍用ヘリコプターを確認

この軍事作戦は思いつきで始めたのではなく、周到な準備がなされました。

「米国がカリブ海地域の軍事力を明確に増強し、軍艦その他の物資を移送する一方で、別の増強が密かに進行していた。8月、米中央情報局(CIA)はベネズエラ国内に小規模なチームを密かに配置し、マドゥロ氏の行動パターン、所在、移動を追跡。この情報により、同氏の正確な所在(就寝場所を含む)を把握し、3日の作戦を成功に導いたと、計画に詳しい情報筋がCNNに明らかにした。
ケイン統合参謀本部議長は3日、当該のチームがマドゥロ氏の「移動経路、居住地、旅行先、食事内容、服装、ペットの種類」を把握したと述べた」
(CNN1月4日)
ベネズエラ大統領拘束、米当事者らが明かす作戦の内幕 - CNN.co.jp

作戦決行がこの時期になったのは、標的となったマドゥロが中国の特別使節である邱小琪(中国ラテンアメリカ問題担当特別代表)とミラフロレス宮殿で会談し、「揺るぎない兄弟愛」を謳っていたからです。
両国はエネルギー貿易や米国による海上封鎖・海賊行為への対抗を非難し議論し、600件以上の合意にサインしたばかりでした。
ここでマドゥロは致命的ミスを犯したことになります。
影武者ではなくマドゥロ本人がカラカスの特定の場所にいることを暴露してしまったのです。
この時を待っていたのは米国でした。

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XユーザーのMASA(航空宇宙・軍事)さん:X

米国は数カ月の作戦準備を行って、マドゥロの動向を追尾していたと思われますが、位置を特定できたことでゴーサインが下されました。
マドゥロの確実な拘束が作戦の最大の目的であったことを思えば、眼前の海に米国が大規模艦隊を置いているこの時期にあろうことか中国と蜜月を演出するとはとんだタワケです。
米国からすれば、余得で南米に食指を伸ばす中国のメンツを丸潰しにできたのですから、これ以上のタイミングはなかったはずです。
作戦決行を命じたトランプは別邸マール・ア・ラーゴで、ルビオらとテレビでフットボールも見るような顔で観戦していたようです。

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CNN.co.jp

作戦自体は練りに練られたもので、精密に立てられた計画どおりに進行しました。

「(ニューヨークタイムス紙によると)作戦は首都カラカスの広範囲を停電させるためのサイバー攻撃から始まった。米軍の軍用機が暗闇の中でベネズエラ側に気づかれずに接近するためだ。3日未明、陸上と海上の20か所から飛び立った海兵隊や海空軍などの軍用機がベネズエラのレーダー基地などを攻撃し、爆発音が響き渡った。同じ頃、特殊部隊を乗せたヘリコプターがマドゥロ氏の邸宅に到着した。この間、最新鋭のステルス戦闘機F35などが上空からヘリを護衛した。
マドゥロ氏の拘束任務を担ったのは、米陸軍の特殊部隊「デルタフォース」と、2011年のウサマ・ビンラーディン襲撃作戦に参加した第160特殊作戦航空連隊だった。同連隊は夜間の任務を専門としており、「ナイトストーカーズ(闇夜に忍び寄る者)」の通称で知られている」
(読売前掲)

特殊部隊デルタフォースはマドゥロを邸宅の寝室で発見し、別室に逃げようとしたマドゥロを部隊が制し拘束しました。
大規模に電子妨害が行われており、ベネズエラ軍は手も足も出ずに屈したようです。
作戦中に米側の軍用機1機が攻撃されたが、米側に死者は出なかった。米側は数人が負傷したとされますが、ベネズエラ側には30数人の犠牲者を出しています。

拘束されたマドゥロは強襲揚陸艦「イオージマ」に移された後にキューバのグアンタナモ基地を経て、ニューヨークにある麻薬取締局(DEA)拘置所に収監されたようです。
この間、手錠をかけられて目隠しをされたマドゥロの写真がトランプのSNSで公開されています。
仮にも一国の元首である人物を、このようなさらし者にするのがトランプの悪意です。

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麻薬取締局(DEA)の拘置所に収監されたというのは、マドゥロがすでに米国NY州などで麻薬犯罪・麻薬テロで起訴されていることを受けています。
たぶんトランプはこれを法的な根拠にするはずですが、外国への介入を非難し続けてきたトランプとしては、これは侵略ではなくただの麻薬犯罪者であるという立て付けにするためのようです。
つまり米国はマドゥロを「麻薬テロリスト」として逮捕した、その逮捕に向かったDEA職員の安全を確保するために米軍が「保護」にあたっただけだと言いたいようです。
またマドゥロが国家元首ではないかとする非難には、西側は共通して二度の不正選挙で勝利したにすぎない、特に2024年の選挙後は大統領としての承認していないと答えるでしょう。

とまれ国内司法機関のDEAが外国ににまで司法権を及ぼすというのはハチャメチャなロジックで、言うまでもなくリッパな「侵略」です。
明日に続けます。

 

2026年1月 1日 (木)

明けましておめでとうございます

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明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
今年が皆さまにとって良い年となりますことを心よりお祈り申し上げます。

                                                                                 管理人
                                               2026年元旦

 

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