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2026年1月13日 (火)

イラン神権政治のゆくえ

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ようやく日本のメディアも恐る恐る報道を始めたようです。
いまやらなきゃ特落ちですからね。
BBCもCNNも支局をイラン国内にはもてないはずですが、唯一テヘランに支局を持つという特権を享受しているNHKはなにをしているんでしょうか。
いや逆に、今のイランの神権政権との癒着がひどくて、かえって報道できないのでしょうね。
たぶん中国とやっているような報道協定でも結んでいるのでしょうが、ならば支局などないほうがまし。
一貫してイラン情勢を報じ続けているBBCはこう伝えています。

「通貨下落を発端とした反体制デモが続くイランは11日、アメリカから攻撃されれば報復措置を取ると警告した。これは、イラン当局が抗議者を殺害するような事態になれば軍事的に対応するという、アメリカの警告に対するもの。
BBCが取材した複数情報筋や活動家によると、イラン政府はデモへの弾圧を激化させており、これまでに数百人の抗議者が死亡している。
首都テヘランの情報筋は11日、「ここの状況は本当に、非常に悪い」と話した。「私の友人の多くが殺害された。(当局は)実弾を撃っていた。戦場みたいで、通りは血だらけだ。(当局は)遺体をトラックで運び出している」
(BBC1月12日)
イラン、アメリカに攻撃されたら報復すると警告 反体制デモの死者500人超と人権団体 - BBCニュース

いままで体制派だったバザール商人の抗議デモから始まった反政府デモは直ちに大学にも波及し、テヘラン市内の7つの大学でデモが行われました。
欧米の人権団体からの情報によると、抗議デモは現在、イランの185都市に拡大し、さらに増えています。

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どうやら「治安部隊」こと革命防衛隊は実弾を使用しているようです。
BBCは、テヘラン近郊の遺体安置所を捉えた映像に、約180の遺体袋が映っているのを確認し、米国に拠点を置く人権活動家通信社(HRANA)は、イラン各地で抗議者495人と治安要員48人の死亡を確認したとしています。

「AFPが撮影場所を特定したこの動画は、テヘラン南郊カフリザクにある遺体安置所で撮影されていた。黒い袋に包まれた遺体が屋外の地面に並べられ、遺族とみられる人々が行方不明の家族を捜す様子が映っている。施設は「テヘラン州法医学鑑定・検査センター」として知られている。
ノルウェーに拠点を置く人権団体「イラン人権(IHR)」は、このカフリザクの動画に言及し「イラン全土で起きている抗議デモの中で殺害された多数の人々」だと述べた。

同じくノルウェーを拠点とする人権団体「ヘンガウ」は、「カフリザク遺体安置所の内外で血まみれの遺体が数十体ある映像を自ら確認した」とし、「広範かつ深刻な犯罪」を示していると述べた。
活動家らは、インターネットが遮断される中で治安部隊が実弾を使用し、2週間にわたる抗議活動を弾圧していると非難。すでに数百人が殺害されている可能性があると懸念を表明している」
(AFP1月12日)
イラン首都南部の遺体安置所、遺体多数映る動画をAFPが検証 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News

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AFP

わずか2週間の騒乱で約500人が殺害され、1万600人が拘束されたといいます。
数字は流動的で推測ですが、おそらくこれを上回る犠牲者がでているはずです。

バザールの商人は1979年のイスラム革命において重要な役割を果たし、長年にわたりイスラム共和国の中核的基盤かつ経済的基盤として機能しました。

「しかし近年、政権はイスラム革命防衛隊を軍産複合体に築き上げ、そこから富と権力のネットワークが流れ込んでいる。8年間政権に人質にされたイラン系アメリカ人実業家シアマク・ナマジは、イラン国家を「IRGCとその卒業生が支配する競合するマフィアの集合体」に例え、彼らの最大の忠誠は国家、宗教、イデオロギーではなく個人的な富にある。この制度は政権のイデオロギー的結束を弱めただけでなく、伝統的な商人階級を追い出し、バザールを支えの柱から異議申し立ての源へと変えてしまった」
(The Atlantic 2026年1月10日)
Is the Iranian Regime About to Collapse? - The Atlantic

彼らが政権を見放して反政府側についたことが、致命的な力関係のシフトにつながったようです。
既得権益層が分解し、国民をひとつに結びつけていたはずの説得力のあるナラティブが消滅してしまったのです。

「国家崩壊の第四の条件は、国の社会経済的、地理的、イデオロギー的な溝を橋渡しする説得力のある共有された物語である。今日のイランでは、政権の建国原則である汎イスラム革命イデオロギーは、激しい矯正的なナショナリズムに取って代わられています。国家の使い古されたマントラ「アメリカに死を」「イスラエルに死を」は、国家の自己利益の要求にかき消されつつある。「イラン万歳」だ。
これは単なるトーンの変化ではなく、今や広く使われている抗議のシュプレッション「ガザにノー」という抗議の唱和が際立つ、政権の地域的冒険主義への完全な拒否です。レバノンには反対;私の命はイランのためだけに。」
(The Atlantic前掲)

既存のナラティブはイスラム原理主義でした。
しかし女性のブルカ拒否運動に見られるように、それはいまや大きな桎梏でしかなく、それに代わって「イランのために」に転換したとThe Atlantic は見ています。
つまりいままでうんざりするほど注入され続けてきた「反米・反イスラエル」よりも、自らの生活を大事にするイランファースト、「普通の生活を返せ」という主張が支持を集めているそうです。

では、今の神権政治に代わる政体はなんでしょうか。

「イラン人が1979年からよく知っているように、無慈悲な戦いが革命を定義する傾向がある。約半世紀にわたり海外で過ごしたパフラヴィーは、そのような選挙で勝つための現地の勢力をまだ整えていない。彼はまた、より深い問いに直面している。
イランの君主主義者たちはどのような秩序を築こうとしているのか?パフラヴィーは一貫して、イランの民主化を支援し、国民に選ばれれば立憲君主として仕えることも目標だと述べている。しかし、彼の最も熱心な支持者の多くは絶対的な独裁体制の復活を声高に主張しています。この緊張は、不満を抱くエリート層を政権に反発させる能力を妨げている」
(The Atlantic前掲)

もしかつての皇太子であるレザ・パーレヴィが、親政にこだわらず開明的な立憲君主制を選ぶのなら西側諸国の支持をえられるでしょうが、。レの支持者はThe Atlantic によればもっと強力な親政を臨んでいるようです。
この次の政権の受皿が明確になって、なんらかの指導部ができなければ、今の騒乱は一時的なものに終わるでしょう。

 

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