トランプはイランを攻撃するか?
米国はイランに介入するでしょうか。
The Atlanticはこのように述べています。
「イランの石油輸出の90%を占める中国は、捕食的なパートナーであることが証明されている。ドナルド・トランプはイランの核施設の上に16発のバンカーバスター爆弾を投下し、沈没費用、制裁、石油収入の損失で国に5兆ドル以上の損失をもたらした企業をほぼ破壊した。さらに、過去の米大統領がイランの政治的争いに関与することをためらっていたのに対し、トランプ大統領はイスラム共和国に対し、抗議者を虐殺すれば米国は「対応の準備が整っている」と警告している」
(The Atlantic 2026年1月10日)
Is the Iranian Regime About to Collapse? - The Atlantic
そして現実に米国は介入を「検討を開始している」と伝えられています。
「米政府当局者によると、ドナルド・トランプ米大統領は13日、イランでの反政府抗議活動への対応に関する具体的な選択肢について説明を受ける予定だ。これはトランプ氏が、これまで繰り返し警告してきたように、イラン政権によるデモ弾圧への対抗策を検討している兆候だ。大統領と政権高官との会議では次のステップについて協議される予定で、その中にはオンラインでの反政府勢力の支援強化、イランの軍事・民間施設に対する秘密サイバー兵器の展開、政権への追加制裁、軍事攻撃などが含まれる可能性があると、当局者らは述べた。マルコ・ルビオ国務長官、ピート・ヘグセス国防長官、ダン・ケイン統合参謀本部議長がこの会議に出席する見込みだという
(ウォールストリートジャーナル 2026年1月12日)
米、イラン介入計画を本格化 軍事攻撃も選択肢 | The Wall Street Journal発 | ダイヤモンド・オンライン
トランプは1月9日、米国はイランの「もっとも弱いところを非常に激しく」攻撃すると述べていますが、同時に「地上部隊の投入」はないとも明言しています。
元来、トランプは戦争を嫌います。戦争は富の浪費であり、わけのわからない取り返しがつかない事態を招くからです。
軍事的オプションはディールに箔をつける重しにすぎないと思っています。
ベネズエラを空爆したのは、場所がカリブ海を挟んで一衣帯水の場所であったからで、遠い国に介入してなんになるショーモーじゃねぇか、と思っているはずです。
ですから介入するとしても、そのやり方としては限定的です。
ざっとこういうところでしょうか。
①口だけの反政府勢力支援
②イランの軍事・民間施設に対する秘密サイバー兵器の展開
③政権への追加制裁
④空爆などの直接軍事攻撃
⑤ソレイマニ暗殺型攻撃
日経
①はタダですから大いにやるでしょう。得意のビッグマウスでイランを罵倒するのはおてのものです。
ただ、いくら罵倒してもイランは痛くも痒くもないばかりか、ほら見ろ、民主化デモの背後には米国がいるんだぜと国内宣伝するでしょう。
実際に似たようなことをハメネイは言っているようです。
ある意味、トランプが言えば言うほど神権体制を利することになるという側面があります。
②はもっともやりそうなオプションです。ペネズエラ攻撃の前段で激しい電子妨害やサイバーアタックがあり、その結果ベネズエラ軍は手足をもがれてしまいました。
しかしこれは形を変えた軍事的攻撃です。
③追加制裁も得意中の得意で、追加関税をかけるというのはいまも口にしていますから現実性がもっとも高いオプションです。
実際にやるみたいです。
「アメリカのドナルド・トランプ大統領は12日、イランと商取引をしている国の物品に25%の関税を課したと発表した。イランで反政府の抗議行動が3週目に入るなか、同国にとって圧力となり得る。
トランプ氏は自らのソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に、「イラン・イスラム共和国とビジネスをしているどの国も、アメリカ合衆国とのあらゆるビジネスに対して25%の関税を支払うことになる」と書き込んだ。イランと「ビジネスをしている国」の意味は、詳しくは説明していない」
(BBC1月15日)
トランプ氏、イランのビジネス相手国に25%の関税を課すと発表 - BBCニュース
関税はもっともイージーですが、やった気分だけ味わえるという便利なツールです。
ここに止まっている限りは、イランの現体制が潰れることはありません。
④の空爆はないとはいえませんが、かぎりなく可能性は低いでしょう。
昨年6月、イスラエルとイランの間で行われたいわゆる「12日間戦争」の終盤に、米国は「ミッドナイト・ハンマー作戦を実施し、100機を超える軍用機を投入し、戦闘機に護衛されたステルス爆撃機B-2スピリットでイランの中核的な核施設を爆撃しました。
検証されていませんが、これにより核施設は事実上崩壊しました。
これが、今回のイラン体制のぐらつきのきっかけとなっています。
あれほどまでにカネと人材をつぎ込んで国是のように邁進してきた核保有があっさりと一回の攻撃で挫折したことは、たとえようもない衝撃をイラン国内にもたらしたはずです。
ハメネイとそれを支える神権体制の権威はボロボロになり、それが今回の民主化デモが起きるきっかけを与えています。
ただし、もう一度軍事攻撃をするかといえばどうでしょうか。
やるとした場合ありえるのは、パーレビが主張している「都市部を掌握し維持」しようとする民衆に対して、攻撃をしかける革命防衛隊を軍事的に排除することですが、都市部をピンポイントで空爆するのは地上からの指示がないと難しい上に、失敗すれば多数の民衆も巻き込みます。
これはイスラエル軍のガザ攻撃をみればわかるでしょう。
象徴的に革命防衛隊の司令部を爆撃するくらいはできるでしょうが、効果は限定的です。
すると出てくるのは⑤の個人をターゲットとした攻撃です。
これはトランプ1期目の2020年1月、イラクの首都バグダッドでイラン革命防衛隊の最高指揮官だったソレイマニをドローン攻撃により暗殺した経験があります。
ただしこれで、今のイラン体制が転覆するかといえば、しないでしょう。
イランの神権支配は最高指導者を拘束したり殺害しても終焉しません。
かつてのイスラム原理主義革命が成功したのは、パーレビ国王に代わってホネイニというカリスマが存在したからです。
このような存在がなければ、国民をまとめる指導者が不在です。
今のイランの神権体制は、抵抗する国民を殺すことは朝飯前ですから虐殺をし続けます。
2019年の反体制デモのときには1500人を虐殺し、1988年には反対制派の国民を5000人から3万人も拘束して処刑したとされています。
彼らにとってデモをするような者は許しがたい背教者であり、殺してよいのです。
いやむしろ抹殺するのが正しいくらいに考えているはずです。
さてどうトランプが決断するかわかりません。
今のトランプにベネズエラとイランを同時進行で解決するのはちと難しいんじゃないでしょうか。
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>>元来、トランプは戦争を嫌います
トランプ2期を見ていると違うかなと思いますね
投稿: 中華三振 | 2026年1月14日 (水) 09時01分
空爆まではないでしょうし、やるならイスラエルにやらせて後方支援でしょ。トランプは戦争を最も嫌うタイプで、その事がボルトンを怒らせてます。現政権に恩を売るような締め方をするかも知れませんし、一義的なイラン国民の味方にはなり得ません。
米軍に一切被害が出ない、何か効果的なやり方を模索中なのだと思いますが。
投稿: 山路 敬介 | 2026年1月14日 (水) 18時25分