イランとの核協議の内容がわかってきた
イランとの協議におけるイラン案がわかってきました。
「イランは米国の攻撃を回避するため、制裁解除とウラン濃縮を行う権利の承認と引き換えに、核開発計画に関する米国との協議で譲歩する用意があることを示唆した。
イラン高官はロイターに対し、2回の協議を経ても双方の隔たりは依然として大きく、米制裁緩和の範囲や順序でさえも意見が分かれていると述べた。
しかし、イランは先週の協議終了後、新たな譲歩を提案している。
同高官は、イランが最も濃縮度の高いウランの半分を海外に輸送し、残りを希釈し、地域的な濃縮コンソーシアムの創設に参加するという案を真剣に検討する意向だと述べた。この案はイラン関連の外交交渉で長年にわたり繰り返し提起されてきた。
同高官はその見返りとして、米国がイランの「平和的な核濃縮」の権利を認めることと制裁を解除することを求めていると述べた。また、イランは核協議で、同国の大規模な石油・ガス産業に米国企業が請負業者として参入する機会を提供しているという」
(ロイター2026年2月23日 )
イラン、核協議で譲歩の用意 米が要求に応じれば=当局者 | ロイター
コンソーシアムとは「共通の目的を持つ複数の組織が協力するための共同体」のことです。
ですから地域、ここでの場合中東地域の政府機関が参加し、資金を蓄積してイランの高濃縮ウランを管理する組織という異になります。
ただしイランが保有する高濃縮ウランの「半分」だそうです。
その見返りとして、イランは米国に「平和的な核濃縮」の権利を認めさせ、経済制裁を解除することができるということになります。
おまけとして米国の石油やガス産業への投資も認めるとのこと、さすがトラ親方がデベロップ大好きな不動産業者だということを知っていますね。
トランプ家はいま一族を上げて中東地域の事業拡大に前のめりになっています。
それを見越して、イランは1年前から米国を事業に巻き込もうと餌をポンポン投げかけきました。
「イランのアラグチ外相は先週、米紙ワシントン・ポストに寄稿し、新たな核合意が結ばれれば、約9000万人の人口を抱え世界最大級の石油・ガス埋蔵量を誇る同国に米国企業がアクセスできるようになり、「数兆ドル」の事業機会が生まれると主張した。
シンクタンク、欧州外交問題評議会の中東・北アフリカ政策責任者エリー・ゲランメア氏は「1兆ドルの破滅的な戦争ではなく、1兆ドルの事業機会があるとの発言は、トランプ大統領の関心を引く方法だ」と指摘した」
(ブルームバーク2025年4月29日)
イラン、「数兆ドル」の経済機会あると米国を誘惑-有利な核合意狙う - Bloomberg
イランは、原子力事業にも米国が出資することを望んでいると伝えられています。
米国に出資させたらもう爆撃されないもんね。
「アラグチ外相は、自国の核開発自体が米国の投資対象となり、「潜在的に数百億ドル規模の契約」が結ばれる可能性もあると述べた。
先週にはX(旧ツイッター)で、「イランの市場は、苦戦する米国の原子力産業を再生できるほど大きい」とアラグチ氏は投稿した」
(ブルームバーク前掲)
やりますな、アラグチ(荒口と転換したくなるね)。トランプがカネの亡者だと充分理解してキンキラのエサを投げています。
それにしてもトラ親方にかかると、ウクライナ戦争も鉱物資源利権の話となり、ガザ平定は観光スポット作りの問題にすり代わってしまいました。
ここまでカネが大好きな大統領は前代未聞ですが、ま、それは置くとして、こんな餌に食いつこうもんなら、オバマ時代の核合意の過ちを繰り返しかねません。
外務省
オバマが推進し、2015年に締結されたイラン核合意(包括的共同行動計画・JCPOA)はイランの核開発を制限することで、核兵器不拡散を目指した国際合意でした。
締結国は、 イランと米国、ロシア、中国、英国、フランス、ドイツなどですが、 イランのウラン濃縮活動を一定レベル以下に制限できると想定されていました。
もちろんザルもいいところでした。
イラン核合意は、非核化を徹底するのではなく、限定して制限するという発想に基づいて作られています。
たとえば、イランは核兵器に転用できる高濃縮ウランや兵器級プルトニウムを15年間は生産しないといいますが、じゃあ15年後には許されるわけです。
条約発効が2015年ですから、2030年までイランは辛抱すればいいだけとなります。
また、10トンあった貯蔵濃縮ウランを300キロに削減し、1万9千基あった遠心分離機を、10年間で6104基に限定するというものです。
言い換えれば、核製造装置・核原料は制限を受けているだけで、イランはしっかりと保有し続けていることになります。
http://jp.wsj.com/articles/SB127855127739611734641...
よくこんなことで主要国が妥協したなと思うような内容のザル条約ですが、なんといっても最大の問題は、弾道ミサイルです。
「米国が主張する最も重要な項目は、イランによる弾道ミサイル開発を制限することに「失敗」した点だ。非核ミサイル開発の継続を許したことで、この合意による核開発制限が期限切れとなった場合、イランはすぐに核弾頭を搭載することが可能だと批判派は指摘している」(ロイター5月9日)
https://jp.reuters.com/article/iran-us-deal-idJPKBN1HG14O
「欧州諸国がいかなる懲罰的な対応を取ろうとも、イランが、ミサイルの射程距離に表面的な「上限」を設ける以上のミサイル開発規制に同意することは考えにくい。(イラン政府はこれまで、射程距離2000キロを超えるミサイル開発を自粛すると示している。これは、何らかの軍事衝突が起きた場合に、イスラエル中心部や中東地域の米軍基地を狙える射程だ。) 」(前掲)
整理するとこんなかんじです。
・イラン核合意の問題点
①イランの弾道ミサイル能力を認めている。
②製造装置・核原料については制限を受けているだけにすぎない。
③条約失効後には、イランの核開発に歯止めがなくなる。
そしてイランはむしろこの核合意を隠れミノにして欧米の眼前で中東各地に革命防衛隊を派遣して中東の影の覇権国になろうとしして、その野望を遂げつつありました。
それが瓦解したのがガザ戦争だったのです。
ハマスが勝手に戦争を始めなければ、パレスチナはもとより、レバノン、イラクはイランが牛耳る異になってはずです。
一方、プーチンは2022年7月、軍事侵攻後、旧ソビエト諸国以外では初めての外国訪問としてイランを選びました。
最高指導者ハメネイやライシ大統領と相次いで会談して、経済や安全保障などの分野で協力を深めることで一致し、ハメネイから直接、侵攻に踏み切ったロシアの立場への理解を取り付けました。
ロシアはドル決済を伴わない貴重な抜け道としたかったのです。
いまやこの両国は陸上ルートで結ばれ、緊密な物資、特に軍事物資支援ルートになっています。
また、イランはかねてから核兵器製造と弾道ミサイル技術を与えてきた中国との関係もいっそう密にさせ、北朝鮮を組み込んだ関係はいっそう強化されています。
このならず者連合のルートを使って、ロシアは榴弾砲の弾薬やドローンを大量にもらい受けています。
つまり、イラン、ロシア・中国・北朝鮮のならず者連合はこの時期に作られたのです。
これを強く批判していたのが他ならぬトランプでした。
ルビオなんかはわかっているんじゃないかな。今このアラグチの甘言に乗ったら最後、イランの核の脅威の除去は永遠に不可能です。
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