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2026年3月

2026年3月31日 (火)

同志社国際高校の「研修旅行」の異様さ

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同志社国際における「抗議船」転覆死亡事故は、たまさかに起きた事件ではありません。
いくつもの必然の糸が絡まるようにして、この17歳の少女の命を奪いました。

この同志社国際高校では修学旅行と呼ばず「研修旅行」と名付けていましたが、その名からもわかるように他校のように級友たちと観光地を見て歩き楽しい思いでを作るものではありませんでした。
同志社国際では、中高6年間おこなってきた社会活動の締めくくりとして行っていました。

まだ全容はよくわかっていませんが、今わかる範囲でその一角はこのようなものでした。

●同志社国際中高の社会活動名称と実施対象
・長崎研修旅行中学2年生(3学期)原子爆弾による被害実態の調査、被爆者の証言を通じた平和の探求冊子『平和を作り出す』の作成
・沖縄研修旅行高校2年生(3学期)沖縄戦の歴史的背景、米軍基地問題、現地文化の多角的理解冊子『平和を作り出す人』の作成
・Peace Week全校(通年/特定期間)平和・平等・自由の意味を問い、生徒ボランティアが主体となって企画・運営互いの思いを語り合うフォーラム
・人権週間全校(通年/特定期間)部落差別、人種差別、障害者差別、性差別等の実情把握と理解深化差別を許さない心の育成宗教週間全校(春秋)平和、共存、相互理解をテーマとした主題性の強い礼拝の実施建学の精神の現代的再構築

一見してわかるように、著しく教育の中立性を欠いた左翼リベラルの教育方針です。
しかもキリスト教徒として「祈る」のではなく、米軍基地と戦う「沖縄の平和を作り出す人」と共に具体的行動をすることを目指しています。
この考えから辺野古「新基地」と戦う現場を訪れて、その活動家の船で波浪注意報が出されている高波の海に乗り出して行ったわけです。

具体的には、2026年3月の転覆事故において生徒たちが乗船していたのは、反基地団体である「ヘリ基地反対協議会」が運航していた「平和丸」と「不屈」という抗議船でした。

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【動画】抗議活動で掲げられた「デニー知事と共に頑張る」の垂れ幕 転覆した2隻の普段の姿とは - 産経ニュース

この船は、海上での工事妨害を目的として使用されている闘争用船舶で、過去激しく海保の警備艇と衝突を繰り返した歴史があります。
金井氏も牧師というより反基地運動家であり、もう一隻の船長は現役共産党員でした。

また過去の「研修旅行」ではシュワブゲート前や、すわり込みテントてのすわり込みも生徒にさせており、その時には「ヘリ基地反対協議会」代表をしていた安次富浩氏が講師を努めています。
ちなみに安次富氏はあの謝罪会見で頭を下げようとせずに、「オレらのなにが悪いんだ」といわんばかりにふんぞりかえって終始腕組みをしていた人物です。
同姓同名の弁護士もいるので混乱していますが、氏は自治労北部総支部常任委員長 · 一坪反戦地主会 北部ブロック代表幹事というバリバリの運動家です。

彼らの抗議船に乗せるということを、同校の父母会である人が「右翼の街宣車に乗せて市中をめぐるのとどう違うのか」と批判していましたが、まことにそのとおりです。
学校がもう少し広く視野を拡げる手見るならもっと複雑な沖縄の姿が見えてきたことでしょう。
現地辺野古の漁民たちがなぜ金井氏ら反基地運動家を冷やかに見ていたのか、反対運動をする人たちに現地の人が皆無に近いのはなぜかを知るだけでも「沖縄が直面する現実」の一端が見えたはずです。

ところが同校は、この地を「平和と民主主義を考える重要な行程」としてだけ切り取って、まだ柔らかい子供たちの頭に刷り込んだのです。
きつい表現をすれば、こういう教育方法を洗脳教育と呼びます。

実はこの同校の政治姿勢は同志社が所属する日本基督教会の姿勢でもあるのです。
日本基督教会はこう述べています。

「今、沖縄の民意を踏みにじり、また環境破壊をも伴って、辺野古米軍基地建設工事が強行されています。主権国家であるはずの日本が、日米安保条約と日米地位協定によって米国に従属させられていることのあからさまなしるしです。わたしたちは、沖縄の人びとの辺野古基地反対の声を支持し、連帯していきます」
2019年 日本基督教団・在日大韓基督教会 平和メッセージ | 日本基督教団公式サイト

宗教者と言いつつ、寸分たがわず共産党と同一です。
キリスト教団がなにを考えていようと一応は自由ですが、教育機関は違います。
これは教育基本法第14条を大きく逸脱しています。

●教育基本法
第14条
1・良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。
2・法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

キリスト教という宗教のベールをかぶっているから分かりにくくなりますが、同校の「平和教育」は共産党の反戦闘争とほぼ同一内容であり、著しく公平性と中立性を欠いています。
これをなんの不思議も感じることなく、創立から約40年も営々と続けてきたのが同志社国際でした。

その思想基盤には同校が属する日本基督教団、正確にはその中の「社会派」に根ざしています。
それについては長くなりますので、次回に。






2026年3月30日 (月)

同志社国際高校の未必の故意

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辺野古転覆死亡事故は時を追うごとに新事実が発覚していますが、現時点で指摘されているのは安全管理上の明らかな不備です。
たとえば今わかっているだけでもこんなにあります。
まず無登録、無保険の船を使用したことは厳しく問われるべきです。
転覆した2隻の船は、海上運送法に基づく事業登録がされていませんでした。したがって、事業登録がなされていないために、求められる安全管理規程の策定や運航管理者の選任が行われていませんでした。

一般的な修学旅行では「学校旅行総合保険」のようなものに加入するはずなので、現地で船に乗るならば事業者として適切なのか、船舶保険の有無などは確認しなくてはいけないはずですが、会見ではそういう確認も全くしていなかったと言っています。
運航者(へリ基地反対協議会)はあくまでもボランティアの船に無償で乗せたと言って逃げていますが、学校側は運航者に5千円ずつ支払っていました。
また有償・無償は本質的問題ではなく、知床事故以降は「他人の需要に応じて運送を行う場合」は登録が必要です。
登録していない「白船」(闇観光船)ですから、保険義務も果たしていませんので無保険でした。
今後補償の段階となって大いにもめることでしょう。

このような運航体制の不備、というよりも完全な欠落状態を同志社国際側は「金井氏が有名な平和運動家だったので信頼していた」と無検証に丸投げしていますか
あたたまえですが、「有名な平和運動家」と船長としての能力は無関係です。
金井氏は、事故当日、現場海域に波浪注意報が発表され、地元漁協すら出航を見合わせていたにもかかわらず、3メートルもの高波を無視して出航したことからも船長としての適格性には疑問符がつきます。

乗船していた生徒は、こんな時化ている時にどうしてこんなスピードを出すのか恐怖を感じたと言っており、救命胴衣の装着に関しても指導がなかったと証言しています。
ちなみに金井氏の操船の荒さはこの海域で知られた事実で、海保の警備艇に衝突せんばかりに飛ばす姿はいつくもの動画で確認できます。

亡くなった女生徒の救命胴衣は、転覆した船に引っかかってしまっており、それが死因でした。
まともな救命胴衣の付け方も教えず、漁民ですら出航しない時化た海を高速で走った挙げ句、あろうことかリーフの外の外洋に出てしまい、もっとも危険なリーフに打ちつけく大波を食らって転覆しました。

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辺野古沖2人死亡事故、国が船の運航実態を調査へ 事業性の有無など [沖縄県]:朝日新聞

3メートルの波とは床から天井に達するような大波であり、強風が吹き荒れていました。
そんな天候に、建造から20年も経過した老朽船に定員一杯のぎゅう詰めで出航したことはまさに自殺行為そのものでした。
当時、海保のボートは、出航を中止するようになんどもメガホンで警告していましたが、金井氏はもまったくそれを無視しました。
後にこの海保のボートも転覆しており、いかに海上がひどい時化だったのかわかります。

学校側は、波浪注意報が出ている状況での出航判断を金井船長に一任していましたが、引率教員はその判断にまったく関わっていません。
いや、そもそも引率教員が岸辺部付近にいたのでしょうか?
というのは、遭難した生徒たちは自力で助け合いながら陸地に泳ぎつき、自ら海保に救助要請しているからです。
学校側は引率教師2名中1名は「体調不良」で欠勤、もうひとりの教員は陸上に残り生徒の指導に当たっていたと言っていますが事実とはおもえません。
岸付近にいたならばあれだけ大規模な遭難が眼前に起きていることをひたすら傍観していたことになってしまい、度し難い無能ということになるからです。

もはやこれは未必の故意と呼ぶべきではないでしょうか。
ありにも多くの誤判断と過失が重なりすぎており、行為者が自分の行動によって犯罪となる結果が生じることを積極的に望んでいないものの、その結果が生じても受け入れる心理状態、つまり刑法第38条の「罪を犯す意思」に該当します。
父兄はこれをウヤムヤにすることなく、同志社国際を提訴し、裁きの場にいまだ多くを隠していることを出させほうがいい。

そもそもこの修学旅行は同志社国際では「研修旅行」と呼ばれていました。
この研修旅行は昨日今日に始まったことではなく、この学校が創立されて40年近く前から一貫して行われてきたものです。
十数年前からは、生徒たちを反基地活動家の拠点であるすわり込みテントなどの拠点に連れ込み、過激な反基地活動家を講師にして「平和学習」を吹き込んでいました。

この「研修旅行」の恐るべき内容については次回に。

2026年3月29日 (日)

日曜写真館 咲き満つる気配しづかに朝桜

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朝桜にほふ情のありにけり 鈴木一睡

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われの死ぬことの不思議や朝ざくら 小林鱒一

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あとは散るための風待つ朝桜 朝妻力

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まつさらの空取り戻し朝桜 梶田敬子

2026年3月28日 (土)

同志社国際、座りこみまでさせていたことが発覚

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なんとかなりませんか、この無責任。
反対派の人の言い草が奮っています。

「沖縄県名護市の辺野古沖で船2隻が転覆し、平和学習中だった高校生ら2人が死亡した事故で、抗議活動を続けてきた人らが17日、辺野古漁港を訪れ、海に向かって手を合わせ、花束を手向けた。
報道陣の取材に応じた女性は、事故で亡くなった抗議船「不屈」の船長、金井創さん(71)について「本当にやさしいおじさんで、私たちも頼りにしていた。惜しい人を亡くしてしまった」と涙ながらに語り、亡くなった同志社国際高(京都府)の女子生徒(17)に対しては「本当に申し訳ない。思いはきっと、『辺野古のこんな無謀な工事はやめてくれ』という意味で辺野古に来ていただいたと思う」と述べた」
(産経2026年3月17日 )
「思いはきっと『無謀な工事やめてくれ』」 抗議活動をしている人が花を手向ける|Infoseekニュース

もうこの手の薄手の言葉では繕えないところまで状況は進んでいるのですよ。
それをまるで亡くなった女生徒のイタコにでもなったように、「『辺野古のこんな無謀な工事はやめてくれ』という意味で辺野古に来ていただいた」なんて言ってしまう神経がわかりません。
そりゃ金井船長は本望だったでしょうが、亡くなった生徒は違う。
身内には「惜しい人を失くした」と心痛を語り、その誤った操船で亡くなった生徒には自分らのイデオロギーで代弁してとんと恥じない、精神が歪んでいます。

どうして死んだ人間の意志がわかるのでしょうか。
死んだ人にことよせて、謝罪はおろか、イデオロギーの正当化につなげるとはとことん見下げ果てた人たちです。
ひさしぶりに怒りを覚えました。
今、運動関係者が発言するなら、原因を徹底究明する、そのために司直の事実究明に協力し、被害者保証は万全にしたい、それが明らかになるまでは反対運動は凍結するくらい言いなさいよ。

今回は運航者側の責任が重く見られるでしょうから、賠償するとしたら少なくとも3千万円以上でしょう。会員が田畑売り払って集めるんですな。
その覚悟がおありですか。いや、あったなら保険くらい入っていましたよね。
こういう現実世界の責任をしっかり見ずに、お花畑の「思い」へ逃げてしまう。
そしてつまるところは、「悪いのは無謀な工事をする国だ」というどこにも通用しない屁リクツを言い張る。
かつて辺野古であったダンプ死亡事故の時はここに逃げました。

「オール沖縄会議 稲嶺進共同代表
(ダンプカーの)無理な2台出しが今回の事故につながった。それが非常に大きな誘因である。(事故を)誘因するような(抗議)行動はやっていない。オール沖縄会議は「事故の責任は移設工事を強行する政府にある」とし、女性を容疑者とする捜査は不当だと主張しました」
安和死傷事故 オール沖縄会議が警察捜査を批判 |FNNプライムオンライン 

そしてダンプ前に当たり屋をやって誘導員を死に追いやった自称「フェニックス」(不死鳥)女史はこう言ってのけまました。
「骨は折れても心は折れない。基地断念まで小さな力を結集させたい」、この台詞に地元紙はやんやの喝采を浴びせたものです。

「骨は折れても心は折れない」女性の言葉から勇気 辺野古抗議の市民ら、安和事故で被害の女性へ寄せ書き<国策と闘う> - 琉球新報

そして今回のもうひとりの加害の主役である同志社国際は、引率教員が不在で基地反対派に丸投げしていたことがわかっていますが、金井船長との関係では「長年平和運動をされて信頼できる人であると思っていた」などと言っていましたが、そんな生易しい関係でなかったことが次々に明るみにでています。
なんといままでこの高校の修学旅行は、辺野古ですわり込みまでやらせていたのです。

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「沖縄県名護市辺野古沖で船2隻が転覆し、研修旅行中だった同志社国際高校(京都府京田辺市)2年の女子生徒(17)ら2人が死亡した事故を巡り、同校が過去の研修旅行のしおりに、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する団体からのお願いとする文章を掲載していたことが27日、関係者への取材で分かった。座り込みによる抗議活動への参加を呼びかけており、学校による政治的活動を禁じた教育基本法に抵触する可能性がある。
団体は、転覆した2隻を運航していた「ヘリ基地反対協議会」。関係者によると、同校は平成30年3月の沖縄への研修旅行で、平和学習のプログラムとして、協議会の活動拠点である「辺野古テント村」の見学など複数のコースを設定。事前に生徒へ配布した旅行のしおりには、テント村の説明とともに「協議会からのお願い」とする文章を掲載していた」
(産経3月27日)
<独自>同志社国際 過去の研修旅行しおりで、辺野古テント村から共闘要請「座り込んで」 - 産経ニュース

そうか、ならばわかりました。闘争現場ですわり込みをやらせたくらいですから、海保と常に争っている海に乗り出すなんて軽いもんだったのでしょう。
ここまでくると、この学校の責任は「知らなかった」では通用しません。
あきらかに教育基本法違反です。
教育基本法は、「教育の中立性」を掲げ、学校が特定の政党を支持したり反対したりする政治教育や政治活動を行わないことを指導しています。
これは、子どもたちが偏った思想に触れることなく、健全な政治的教養を養うことを目的としています。
しかしこの学校の教育方針はそれを多面的に理解させるのではなく、衝突の現場に連れていき、さらには 暴力闘争に加担させてしまっています。
デスペレートです。もはや文科省指導事案でしょう。

2026年3月27日 (金)

もうひとりの転覆船船長

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辺野古抗議船転覆事故でなんともやりきれないのは、これに責任を持つべき反基地団体と同志社国際航行からなんの情報も出てこないことです。
そもそも2隻転覆し、死亡した女生徒と「不屈」の船長だった金井創氏の名前はでてくるものの、もう一隻の船長は姿や声はおろか名前すら公表されないという秘匿ぶりです。

最初に転覆したのは「不屈 」が先で、満載なのに「救助」にむかって生徒を死なせたのが平和丸となれば、この間の状況をもっとも知悉しているのは、この「平和丸」の船長ひとりしかいないことになります。
にもかかわらず、「平和丸」の船の船長が謝罪の言葉はおろか、一切の公式の説明を拒んでいる理由が解せません。
こういうことを説明責任の意図的にネグレクトしたというのです。

隠すより現れるとはよく言ってもんで、各方面の調査でこの「平和丸」船長の名前は明らかにされています。
諸喜田タケル(しょきた)氏といい、今帰仁出身で日本共産党北部地区委員会農林水産対策部長です。

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今帰仁村・諸喜田タケル

このことはかなり初めからわかっていたことで、共産党の小池書記局超は記者会見でそのことにふれられるとこうとぼけてみせました。

「小池氏は「この問題はね、『共産党』っておっしゃるんだけども、要するに辺野古で海上に出ていく船っていうのは限られてるわけですよ。その船(平和丸)しかないんですよね。だからあの船に乗った方は共産党の関係者だけじゃない」と説明した。
「実際に現地に行かれた方、いろんな野党の国会議員も皆さん行かれている。辺野古の基地を監視する......どんな状況で工事が行われてるのか、そういったことを知ろうと思ったら、あの船しかないわけですから」という5
(JCASTニュース3月24日)

共産・小池氏、辺野古転覆事故船長との関係問われ「正確ではない情報」 死亡女子生徒は「悔しさ、いかばかりか」(J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース

はぐらかしですな。辺野古で反対の立場で船に乗ろうとしたら「あの船」、つまり平和丸しかない、これには他の野党も乗っているって一般化する、これじゃあ説明にもなんにもなっていません。
記者が問うたのはただひとつ、平和丸の船長が共産党員であったことの責任です。

実はこの諸喜田氏、週刊新潮につかまって取材されているんですよ。
そのときのやりとり。

「――なぜ波浪注意報が出ていたのに出航したのですか?
ずっと波浪注意報は出てるんだよ。3カ月ずっと出てる。これ、出したらダメなわけ? 穏やかだし。俺が決めたんじゃないよ」
――金井船長が決めたのですか?
「うん。あの人の判断だから。俺がどうのこうのじゃない。担当はあの人。俺は決める権利ない。(反対協の)海上行動だったら、これはちょっとやばいんじゃないかって一言、言えるかもしれないけど。金井さんの判断」
――会見では反対協の海上チームと言っていましたが?
「だから海上チームと違うって。金井さんから聞いたわけ? 死人から? 死人を起こして聞いた方がいいよ。金井さんを起こして聞いた方がいいよ」
――ではあの会見は何だったのですか?
「あれが間違ってたんだよ。早過ぎだろ。じゃあ、何か情報を得ましたか?何もしゃべれてないだろ。曖昧じゃない? 何も言ってないよ」
 そして最後に、涙をこぼしてこう声を張り上げたのだった。
「俺はもうあのとき、死のうと思ったんだから。これ以上、お前に話せない。そっとしておいてよ。時期がきたら言うから」
(週刊新潮4月2日号)
〈辺野古転覆事故〉スナックで泥酔した「平和丸」船長が直撃取材に答えた! 「出航を決めたのは俺じゃない」「死人を起こして聞いた方がいい」(デイリー新潮)|dメニューニュース(NTTドコモ)

やれやれ、「時期が来たら話す」じゃダメなんだよ。人が2人死んで、そのひとりはたった17歳の女性だった。
唯一生き残った船関係者はあんたひとりです。

なにがあったのか、どういう判断だったのか、だれが出航を命じたのか、法的に問題はなかったのか、それを説明する義務があんたにはある。

法規無視をしてきたので、言わないではなく言えないんじゃありませんか。
例えば諸喜田氏はちゃんと免許を持っていたのでしょうか。
今回の事故は信じられないくらい多くの法規を無視しています。
船には「観光船」としての業務登録がなく、保険には入っていなかったのはすでに明らかになっていますが、海保が年中顔を突き合わせている抗議船の素性を洗わなかったはずがありません。
そしてこの2人の船長が小型船舶免許(1級、2級)だけしか持っておらず、団体客を乗せるに必要な「特定操縦免許」を取得していなかったことなど、海保が調べればすぐにわかることです。

となればとうぜんこんな免許を持っていないような船長が、いままで毎年修学旅行生を乗せていることを黙って見ていたとするほうがおかしいのです。
たぶん、海保は意図的に見て見ぬふりをしないかぎり、こんな無免許船長が操る未登録船(いわゆる「白船)を放置するはずがありません。
しかも20年も使っているようなボロ船ですから、検査にまともに通ったとは思えません。

なぜ、それが海保によってなされなかったのか、あるいはなされていたにもかかわらず強引にこの自殺的出航をしてしまったのか。
その生き証人はいまや諸喜田タケル氏しかいないのです。

 

2026年3月26日 (木)

米国、イラン双方の停戦案出る

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この数日の間に、米国とイラン双方から和平案がリークされるようになってきました。
カタールのアルジャジーラはこう報じています。

「トルコ、エジプト、パキスタンは48時間以内にイスラマバードで米イラン会談を推進しており、ホワイトハウス関係者によると、15項目の計画がパキスタン経由でテヘランに送られ、木曜日までに対面会談を目指している」
XユーザーのAl Jazeera Englishさん:X

仲介に入っているのはトルコ、エジプト、パキスタンのようです。
米国特使ウィトコフ特使とイラン外相アラグチが協議しているのは確かなようで、革命防衛隊は関与していないと思われます。

「チャンネル12は、この計画で両国(米国・イスラエル)は、イラン国内におけるあらゆるウラン濃縮活動の停止と、濃縮済み物質の引き渡しを求めていると報じた。イランの核開発について米国とイスラエルは、核兵器への転用の恐れがあると以前から主張してきた。
提案ではさらに、世界の石油の5分の1が通過するホルムズ海峡での無制限の航行を認めることもイラン側に求めている。イランによる報復的な部分封鎖を受け、エネルギー価格は世界的に高騰していた。
イスラエルメディアによると、その見返りとして、イランに対するすべての制裁が解除され、またブシェール原子力発電所における民生用原子力エネルギー開発での支援を受ける。同原発をめぐっては24日、イスラエルが攻撃したとしてイランが非難している」
(AFP3月25日) 
米国、イランに和平案送付 核停止・海峡開放条件に制裁解除 報道 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News

公式には発表されていませんが、情報を総合すると

①イランのナタンズ、イスファハン、フォルドなどの主要な核施設の解体。
②イラン領内での核濃縮の停止。
③イランが保有する高濃縮ウランの備蓄を国際原子力機関(IAEA)への引き渡し。
④中東地域における代理戦争活動の放棄。
⑤支援関係にある武装勢力への支援の停止。
⑦ホルムズ海峡の航行の自由の保証。
⑧イランのミサイル計画の射程と数量の制限。
⑨将来のミサイル使用目的を自衛のみに限定。
⑩その見返りとして、イランに対する全面的な制裁解除。
⑪ブシェール原子力発電所での発電を含む民生用原子力計画に対する米国の支援。

交渉の焦点はいうまでもなく、①~③までの核開発の停止。⑦のホルムズ海峡の安全確保です。
これをはずした妥協はありえないでしょう。

一方イランの要求はウォールストリートジャーナルによればこのようなもののようです。

①湾岸地域にあるすべての米軍基地の閉鎖
②イランへの攻撃に対する賠償
③ホルムズ海峡通過する船舶からイランが通行料を徴収することを認める
④戦争が再開しないこと、そしてイランと連携するレバノンの民兵組織ヒズボラに対するイスラエルの攻撃を停止することを保証する。
⑤イランに対する全ての制裁を解除する。
⑥イランがミサイル開発計画を維持することを容認し、それを制限するための交渉を行わない。
イランが停戦交渉で高い基準を掲げる:テヘランが求めていることは以下の通りです WSJ

これでは話になりません。すべての項目で米国が呑める点はなにひとつありません。
湾岸地域の米軍基地の撤退、ホルムズ海峡での通行料の徴集など、イランは勝った気でいるのでしょうか。
結局、今のイラン指導部には解決能力がないということでしょうか。

現在、米国はアジアに配備した陸上戦力をイラン方面に転用しています。
クーリエからの引用ですが、原文はWSJです。

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XユーザーのTIMEさん: 「Thousands of U.S. Marines are due to arrive in the region on Friday. https://t.co/fOQyxDfKoU」 / X

「日本に駐留する米軍の防空部隊は2024年、緊急指令を受けた。彼らは地球の反対側で、イランとその代理勢力からの弾道ミサイルの脅威を食い止めるのを支援することを求められた。迎撃ミサイル「パトリオット」のシステムが米インド太平洋軍から中東に移転したのは、初めてのことだった。パトリオットは5カ月間、中東にとどまった。
その翌年には、追加のパトリオットシステムと何百人もの兵士が続いた。それは大型輸送機「C17」73機分に上る規模だった。本来なら中国および北朝鮮と戦闘するための訓練を受けていた部隊が韓国と日本から6月にカタールに投入され、迎撃ミサイルを次々に発射した。これはパトリオットの戦闘としては米国史上最大のものだった。部隊は10月下旬にアジアに帰還した。
米軍は中国を最大の課題と見なしているが、米政府は戦うべき戦いをなかなか選べずにいる。ドナルド・トランプ米大統領によるイランとの戦争はその最新の事例だ」
イランに集中する米軍、最大の課題は中国 | クーリエ・ジャポン 

トランプはイランのインフラ攻撃を5日間延期しました。日本では原油価格の高騰ばかりが背景にあるという報道がなされていましたが、実は日本から来援する海兵隊を乗せた強襲揚陸艦と、陸軍の第82空挺師団の到着時期がそのあたりなのです。
つまり、トランプは和戦両様の構えでイランに圧力をかけているわけです。

 

2026年3月25日 (水)

基地反対運動は治外法権ではない

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辺野古の抗議活動は、いったん「自粛」していた抗議活動を再開するそうで、また搬入ダンプの前に横になっています。
いやホントに懲りない人たちです。なにを今回の死亡事故から学んだのでしょうか。
たぶん何ひとつ学ばず、不可抗力での事故くらいに考えているのでしょうね。

「沖縄県名護市辺野古沖で船2隻が転覆して2人が死亡した事故を受け自粛していた抗議活動が23日、再開された。2隻を運航する「ヘリ基地反対協議会」と連携する「オール沖縄会議」の関係者は産経新聞の取材に、「抗議の意思を示しながらも、喪に服した形で進めようとの意味でマイクの使用はやめた」としている。海上での抗議活動は、事故原因が明らかになり、安全な活動ができるまで自粛を続ける」
(産経3月23日)
辺野古転覆事故で「自粛」の抗議活動再開 「服喪」でマイク取りやめ、寝そべる人も -辺野古転覆事故で「自粛」の抗議活動再開 「服喪」でマイク取りやめ、寝そべる人も - 産経ニュース

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産経ニュース

海上にでなければいいのかよ、とその短絡ぶりに呆れますが、この工事車両に体当たりするのは沖縄では日常茶飯事でした。
2024年6月に起きた巻き込み事故では、ダンプの前に飛び出した抗議の女性を救おうとした誘導員が死亡しました。
その中で起きたのが今回の女子高生死亡事故であって、こんな危険行為を繰り返していればとうぜんの帰結です。
この「自分らは正しいことをしているのだからなにをしても許される」という特権意識はなんなのでしょうか。

このダンプ事故の時も基地反対派は、「危険な行為ではないという認識だ。現場では、牛歩で抗議者が道路を横断し終わると、警備員がダンプカーに合図を送り、1台だけ出すという『暗黙のルール』があった」「その『暗黙のルール』に従わず、安全確認もされないうちに2台続けてダンプカーが発進することもあった」と語っています。
つまり工事側が2台続けて出したから事故が起きたと言いたいようです。

唖然とするロジックですが、「暗黙のルール」を一方的に破り、工期を早めようとして2台続けて出した「警備員の合図に問題があったのは明らか」なんだそうです。
おいおい、ダンプの前に飛び出しておいてひかれたら、それは工事側の責任か。

では、工期を早めようとしたのは誰かといえば国でしょうから、この事故は「国の無謀な策謀が招いた死亡事故」ということになるようです。
左翼当たり屋ですな。
だからこの抗議の女性は英雄視されたようです。
こんなことを続けてりゃ、そのうち死人が出るさ。そして出ました。
しかも部外者である関西の17歳の子供です。

このダンプ死亡事故や今回の転覆事故に通じるのは、反対運動に大きく欠落しているのは現実から浮き上がった浮遊感だということです。
反米左翼思想がどうとかいう「高級な」問題ではなく、それ以前に今、自分がなにをしているのかキチンとした自覚がない。
だから、なにか起きても自分自身のこととしてとらえることができない。
あの腕組みをしてエラソーにしていた協議会の謝罪会見の姿のようにです。自分のことと思っていないから。
どこに腕組んで謝罪会見する馬鹿がいるんだ、豆腐の角に頭をぶつけてしまえ。

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女子高生が死亡した船転覆事故の会見 頭を下げず腕組みで臨む運行団体に「誠意感じられない」の声 – Sirabee

「反対協議会」と名前だけは麗々しくとも、責任をとる人がいないしシステムもないから、その結果としての他責性が常態化しています。
全部他人が悪い、国が悪いといった体質です。

今回は逃れようもない転覆事故による死亡事故で、海保は業務上過失致死傷で立件に向けていますから海上抗議だけは「自粛」していますが、あいかわらず死亡事故につながりかねない搬入ダンプ前の飛び出しは続けています。
まるで危険行為を止めたら運動が成り立たないとでも言うかのように、実は去年1月には名護漁協の潜水作業の酸素パイプを抗議船がスクリューで巻き込んで切断しそうな事故も起こしています。
漁協は潜水作業を告知する旗をつけたブイを係留していましたが、それをまったく無視して異常接近したのです。
この抗議船もメディアを乗せていたそうで、誰一人注意もせずに、報道すらしませんでした。

「名護漁協によると、トラブルは1月21日に辺野古平島海域付近で発生した。漁業者が漁船の近くで約10㍍潜水し、魚や貝を採取していたところ、記者を乗せたプレジャーボートが漁船まで約15㍍の距離に接近。漁船から漁業者に酸素を送っているコンプレッサーのホースをプロペラに巻き込んだ。
 漁業者は引きずられて海水をのんだが、ホースの結束部が外れたため脱出でき、けがはなかった。
 プレジャーボートには操縦者の船長と記者が乗船し、汀間漁港から出港。辺野古の海域でリーフチェックを行っている自然保護団体の船を取材中だったと見られる。
 漁業者は潜水作業中であることを示す国際信号旗(A旗)を漁船に掲げており、通常なら周辺を通る船は迂回する必要があった。トラブルを受け、中城海上保安部は船長を厳重注意した5
(八重山日報2025年4月17日)
反対運動絡みのトラブル懸念 潜水中の漁業者に接近 辺野古海域 | 沖縄八重山日報 -Okinawa Yaeyama Nippo-

この事故でよく死亡者が出なかったものだとおもいますが、このような「平和運動」の過激な危険行為は沖縄では日常茶飯事で、枚挙に暇がありません。
反対運動が実効支配した地域は必ず無法地帯と化します。
高江や辺野古のように、警察が見て見ぬふりをしていたために反対運動はここを治外法権多と錯覚しているようです。

車の下に多数がもぐりこむのは常識。車で県道を封鎖することも朝飯前。
下写真は、当時の高江における反対運動を撮った写真です。
当時過激化した反対運動が高江地区を実力で「実効支配」していました。
「実効支配」はただの比喩ではなく、高江集落の生命線を反対派が握ってしまったからです。

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出典不明

当時、高江集落に続く県道はことごとく封鎖されました。
これは反対派が車両をこのような形で乗り捨てたからです。

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防衛局

外部にアクセスルートをすべて封鎖された高江集落は抗議を出すしか道はありませんでした。
生活物資は来ない、畑に行くこともなきない、学校にも行けないのですから。

高江で進む反対派の「ムラ殺し」: 農と島のありんくりん

このような基地反対派の行動は止まる所を知らず、とうとう反対運動のリーダーだった山城氏の暴行事件にまで発展しました。
山城事件は、反対派が無断で設置したテントに、防衛局職員が張り紙を貼ろうとしたことに対して起きた2017年7月の暴行事件です。
山城事件と依田事件を同列にしてはならない: 農と島のありんくりん

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ファクト

あげくは山城氏はこう吠えています。

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この事件の時も県警はすぐそばにいましたが、制止することはおろか見て見ぬふりをしています。

山城氏はこの事件も含めて、2016年に複数の事件で裁判にかけられました。
このように沖縄の反基地運動では違法行為が常態化しており、その流れの末にあったのが、今回の女生徒死亡事故でした。
左翼やっているのもかまわない、反基地いうのもご勝手に、ただし他人を巻き込むな。無関係な少女を殺すな。

 

2026年3月24日 (火)

トランプ真珠湾発言からミーが抜けています

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朝日がこんな記事を飛ばしています。

「19日午前(日本時間20日未明)に米ホワイトハウスで開かれた日米首脳会談で、トランプ大統領が、1941年に旧日本軍がハワイの米軍基地を奇襲した真珠湾攻撃に言及する場面があった。
高市早苗首相との会談の冒頭、米軍とイスラエル軍が2月末に対イラン攻撃を始めた際、「なぜ欧州や日本といった同盟国に事前に知らせなかったのか」との質問が記者団から出た。
これに対し、トランプ氏は「あまり知らせるべきではないこともある」と答えた。さらに、「奇襲について日本以上によくわかっている国はあるだろうか」と前置きした上で、「真珠湾攻撃のときに日本は知らせてくれなかっただろう」と言った。トランプ氏はイラン攻撃を念頭に「我々は奇襲をなしとげた。奇襲のおかげで予想以上の成果も上げられた」と続けた」
(朝日3月20日)
トランプ氏、日米首脳会談で真珠湾攻撃に言及 イラン「奇襲」めぐり [米・イスラエルのイラン攻撃 イラン情勢][トランプ再来]:朝日新聞

誤報とまではいいませんが、意図的に正確さを欠いた記事です。
たぶん朝日などは、「ホレ見ろ、米国との強固な同盟なんていっても、イラン攻撃を事前通告してくれなかっただろ。やーいーやーい」という定型で報じたかったんでしょうな。
だからテレ朝の官邸番記者がわざわざ唐突にこんなことを質問したわけです。
ところがこの記事はトランプの発言を歪曲していたことが直ちにバレました。

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高市早苗X

日本のメディア報道では原文の「me」が抜けているのです。
それに気がついたのはシンシアリーさんでした。

「なんの「me」なのかといいますと、日米首脳会談(記者たちから質問を受ける、公開部分)をライブ動画を見ていましたが、トランプ大統領は真珠湾の話をしながら「なんで真珠湾攻撃のとき、私に知らせなかったの?」と言いました。
でも各マスコミの記事を見ると、その部分についての話がありません。「パールハーバーのとき、トランプさんは生まれていたかな?」という部分まで含めて考えると、「イランへの攻撃を、なぜ日本など同盟国に知らせなかったのですか?」という質問に、トランプ大統領が「サプライズ(奇襲)だったからだ」、「日本がよく知っているだろう。パールハーバーのとき、なんで知らせなかったんだ?」と答えたとします。これが一般的に広がっている訳ですね。
しかし、「日本がよく知っているだろう。パールハーバーのとき、なんで私に知らせなかったんだ?」なら、そのニュアンスは大きく変わります。前者は「責め」、後者は「冗談」のイメージが一気に強くなるからです」
(シンシアリーのブログ3月20日)
トランプ大統領の「真珠湾」発言で、なぜか各記事で訳されないでいる「一つの単語」

ね、トランプはこういったのです。
”Why didn’t you tell me about Pearl Harbor, OK?”(なぜ真珠湾のことを私に言わなかったんだ、いいかい?)
トランプが1941年12月8日に生まれているはずがありませんから、これはジョークです。
トランプが事前通告という外交上にデリケートな問題をパスしてブラックジョークにしたのか、そちらのほうが大事なのです。
その理由はいうまでもなく、日米同盟強化が目的のこの首脳会談に水をさされたくなかったからです。

これを聞いたテレ朝記者は、これを飛ばして後段の「サプライズだからだ。日本がよく知っているいるだろう」という部分だけと大きく取り上げて煽ったわけですが、海外メディアはしっかりヒアリングしてショークで返したと報じています。
こんな馬鹿丸出しのことを聞きに、わざわざワシントンまで行ったのかい、テレ朝さん。

高市さんはたぶん苦笑いして聞いていたでしょうが、サプライズアタックは今回米国がやったイラン攻撃が典型です。
日本がやった真珠湾作戦はこの成功例です。
サプライズアタックとは宣戦布告なき戦争開始のことです。
国際法上の問題を度外視すれば、軍事的には米国もしょっちゅうやっていることにすぎません。

このテレ朝記者は、常々日本は「イランは日本の伝統的友好国」「世界一の親日国」だと言ってきたんじゃありませんか。
するとトランプは「世界一の親イラン国日本」になぜ事前通告しなかったんだということになりますね。(笑)
あたりまえじゃん、するわきゃないじゃん、確実に漏れるもん。
たぶん外務省の中東屋あたりが、すわっハメネイ閣下の危機とばかりにご注進するでしょうよ。
米国はそんなことは百も承知だから事前に教えない、それが正解です。

 

2026年3月23日 (月)

軍事・経済を包括した真の日米同盟へ

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高市訪米は巨大なインパクトを与えました。
イラン戦争にばかり目がいきますが、サプライチェーン強化についてこんな約束を取り交わしています。
「重要鉱物サプライチェーン強靱性のための日米アクションプラン」
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前文はこう謳っています。

「ここ数十年にわたり、蔓延する非市場的政策及び慣行の結果生じる歪曲により、市場志向型経済の重要鉱物サプライチェーンは、経済的威圧を含む数々の途絶に対して脆弱なものとなった。重要鉱物は現代的かつ革新的な産業経済にとって不可分な戦略的資産であり、多様で、強靱で市場に基づくサプライチェーンが我々の経済安全保障及び国家安全保にとって不可欠であるため、これらの脆弱性を是正することが必要不可欠である。
日本及び米国は以前、重要鉱物の供給を確保するために協力することを決定した。
2025 年 10 月27日、日本政府及びホワイトハウスは、「採掘及び加工を通じた重要鉱物及びレアアースの供給確保のための日米枠組み」を発表した。両国は、この重要な問題に関する協力を深化することを引き続き希望する。
この目的のため、日本及び米国(「参加国」と総称する。)は、プライス・フロア又はその他の措置によって支えられる重要鉱物の複数国間の貿易イニシアティブを発展するよう努め、相互の重要鉱物サプライチェーン強靱性の確保に向けて具体的なかつ短期間での成果を実現するためのアクションプランを策定した」

前回アラスカ産原油開発に日本資本も加わることによって、原油確保の新たなルートとして太平洋ルートを日米共同で作るという構想を紹介しました。
そしてさらにエネルギー分野の下流である発電においても、日本の優れた化石燃料発電技術の輸出、小型モジュール炉(SMR)建設への参画といった包括的な「エネルギー同盟」を結ぶことが決まりました。
これはするっ読んじゃダメ。アラスカ産がソロバンに合うかばかり議論していてもダメ。もっと大きく見ないと。
いままで中東に頭を下げ、南シナ海という「中国の海」を横断して通していたエネルギーのパイプを、日米同盟の海である太平洋につけ直すという壮大な構想なのです。

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毎日

日本にとってはエネルギーを日米同盟の枠内で保障できる上に、米国への新たなビジネス参入チャンスを呼び起こすというメリットがあります。
一方米国にとっても、日本の資本と技術をフルに使って国内のエネルギーインフラを整備することができます。
小型モジュール炉や天然ガス発電など、総額数百億ドル規模の投資を日本から呼び込めるのですから、まさにウィンウィン。

日米ともに今すさまじい勢いでAI化やデータセンターを拡充していますが、電気が大きく足りない。
日米共に原発がきちんと稼働していないからです。
これを小型モジュール炉にリプレイス(置き換える)ことや、既存の非効率的な火力発電を日本の石炭ガス化複合発電(IGCC)などの世界屈指の発電技術出に変えていくことで、画期的に発電量を伸ばし、かつグリーン化することが可能です。

で、これで日米会談の成果は終わりかと思ったら、まだ続きがあるのですよ。

「重要鉱物」「重要原材料」という言葉をよく耳にするようになりましたが、鉄が「産業のコメ」と呼ばれたように、現在焦点となっている「産業のコメ」は、技術進歩に伴い新たに活用されるようになった様々な鉱物のことです。
デジタル化に伴って、電子機器などの構成部品の性能向上や小型化に必須な鉱物が注目されるようになりました。
これらは希少性が高く、また現在のところ機能を代替できる他の物質がないため、重要性が増しています。
こうした鉱物は、「重要鉱物」「レアメタル」と呼ばれます。
古くから利用されてきた鉄や銅などのベースメタルに対して、レアメタルあるいはレアアースと呼んでいます。

こうした鉱物資源について、独占的供給国が輸出量をコントロールして市況を意図的に変動させたり、他国の政治的意思決定を支配しようとして輸出規制をしたりする動きが見られます。
例えば、2010年に日中関係が悪化した際、中国が重要鉱物の一種であるレアアースについて日本向け輸出を制限し、価格が約10倍にまで高騰しました。
今回の日中摩擦でも同様に「軍事に関わる企業にはレアアアースの輸出を制限する」という揺さぶりをかけてきました。
日本のメディアや立憲などは、レアアースを制限されると聞くだけで、「中華様を怒らせた高市が悪い。直ちに謝罪しろ。土下座してこい」と騒ぎましたっけね。

こういう中国のレアアースを外交手段として使う卑劣さをもっともよく認識しているのが、経済安全保障相だった高市氏でした。
ですから、「重要鉱物」について、このようなアクションプランを策定してきました。

・重要鉱物についての日米アクションプラン
o 締約国の間の強靱な重要鉱物市場を支える貿易措置
o 重要鉱物の採掘、加工又は貿易のための基準
o 技術及び規制に係る協力
o 投資の促進と審査
o 地理的なマッピングに係る連携
o 重要鉱物サプライチェーンの途絶及び危機を防ぐための協調した速やかな
対応
o 重要鉱物に係る新たな技術の研究及び開発
o 協調備蓄
o 経済的威圧に対処するための取組に係る連携
100998732.pdf

まさに新しい日米同盟の誕生です。
従来の軍事的安全保障から政治・経済を包括した真の「同盟」へと飛躍したのです。

 

 

2026年3月22日 (日)

日曜写真館 生きかはり死にかはりして打つ田かな

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打ちし田の広々とある夕かな 外島和香女

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流れ来し雲の中なる田打かな 白井爽風

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 田打機を一人あやつるばかりかな 深見けん二

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田を打つて弥々(いよいよ)空の浅黄かな 一茶

 

 

2026年3月21日 (土)

高市首相グッドジョブ!

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満点です。懸案のホルムズ海峡事案について、高市さんはこれ以上ないみごとな答を出しました。
ここまでパーフェクトな解をだすと、けちつけだけが命の野党も妙に感心しちゃったようです。
これには茂木外相なんかも関わっているはずですが、サナエキャラでなければこうはいかなかったはずです。
なんせ、いきなりホワイトハウス前でハグしましたからね(笑)。茂木さんも無理だろうな。
というか、日本の政界でこれかできるのは高市さんだけだろうな。

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読売

首脳会談というのは数カ月前から事務方同士で詰めて、会談自体は予定調和に終わって共同記者会見となるのですが、今回は見えませんでした。
なんせ最重要テーマのイラン戦争が始まってまだ1カ月もたっておらず、ホルムズ海峡封鎖がにわかに煮詰まったのはほんの1週間ほど前ですからね。

「直前まで会談の成否は全く見通せず、「会談でむちゃな要求をされるかもしれない」(首相周辺)と警戒していた。首相は会談冒頭、緊張感を隠せず、「現在の情勢は…」と練習した英語で話し始めたが、硬い表情で言葉に詰まった。トランプ氏は「優秀な通訳がいます」と日本語で話すようにと気遣った」
(産経3月20日)
トランプ氏に刺さった投資提案と「支持」 高市首相、日米首脳会談で艦船派遣圧力かわす - 産経ニュース

いままでの歴代首相の訪米なんぞいわば信任首相のお披露目でしたから、いきなりの談判を想定した事態は異例中の異例でした。
昨日も少し書きましたが、答え方ひとつで日米同盟に傷を与えかねないし、かといってできないものはできない、それをどう調和させるのか、というのはまさに宰相の器量を試すものでした。

この難題に対しての高市首相の解はこうです。
高市氏が持っていった最大の土産はNATO諸国6カ国との「ホルムズ海峡安全航行についての共同声明でした。

「欧州の主要国と日本は19日、共同声明を発​表し、エネルギー市場‌の安定化に向けた措置を講じるとともに、ホルムズ海峡の​安全な航行を確保する​ための「適切な取り組み」⁠に参加する用意がある​と表明した。
英国、フランス、​ドイツ、イタリア、オランダ、日本の共同声明は、イランに​よる攻撃を非難し、イ​ランに対し直ちに攻撃を停止す‌るよ⁠う求めた。
その上で「われわれは、海峡の安全な航行を確保するための適切な取り​組みに貢​献す⁠る用意があることを表明する」とした」
(ブルームバーク3月19日)
欧州主要国と日本、ホルムズ海峡安全確保やエネルギー市場安定化で共同声明 | ロイター

この音頭をとったのが日本で、6カ国の足並みが揃ったのは会談数時間前、ワシントンに着いてからのことだったといいます。
これは大きい。これでいままで決定的に欠落していた国際社会の合意が得られたわけで、トランプはNATOをクソミソにいいながらもこれを得たかったはずです。

6カ国共同声明はこう述べています。

「我々は、ペルシャ湾においてイランが非武装の商業船舶に対して行った最近の攻撃、石油・ガス施設を含む民間インフラへの攻撃、およびイラン軍によるホルムズ海峡の事実上の閉鎖を、最も強い言葉で非難する。
我々は紛争のエスカレーションに深い懸念を表明する。我々はイランに対し、脅迫行為、機雷の敷設、ドローンおよびミサイル攻撃、ならびに商業船舶の航行を妨害するその他一切の行為を直ちに停止し、国連安全保障理事会決議2817を遵守するよう求める。
航行の自由は、国連海洋法条約を含む国際法の下で確立された基本原則である」
ホルムズ海峡に関する英・仏・独・伊・蘭・日の首脳による共同声明(仮訳)|外務省

ホルムズ海峡の航行の自由と範囲は限定的ですが、これで初めて米国は喉から手がでるほど欲しかった「国連安全保障理事会決議281と国連海洋法条約を含む国際法という法的合法性への道を切り開いたのです。
トランプは高市氏を「偉大な女性だ」と激賞したようですが、褒めすぎではありません。
これができるキャラは、ヨーロッパにもいないし、世界的に見てもワン&オンリーだからです。
こういう巨大な貢献があって、初めて日本は「憲法上の制約で戦闘が終了したらホルムズ海峡掃海活動に参加も検討」うんぬんということも言えたわけです。
戦闘終了までなにもやらないという分けてはなく、「綿密な連携」という含みを持たせています。

二の矢、三の矢も効いています。
エネルギー分野では、米国産エネルギーの増産や共同備蓄構想を確認し、安定供給体制の強化で合意しました。
これはアラスカ産原油開発に投資するということと対になっています。
これを太平洋ルートで日本に運ぶという構想ですが、火薬庫の中東よりはるかに近いし、いつ何どき止められるかわからない中国の勢力圏を通らないで済むからズっと安全なんですよ。
おそらくトランプは米大陸を新たなエネルギー大拠点にする構想です。
北米だけではなく、ベネズエラ、ガイアナ沖、ブラジル沖の海底油田なとにもリンクさせて、米国は21世紀のエネルギー市場の覇権を握るつもりでしょう。
そしてそれを日本が最優先で享受するというわけです。

日本はそうしてできた原油を、世界一の効率を持つ火力発電所で回すという一貫したサイクルの主導権を取ることが可能です。
たとえば、我が国の先進的な脱炭素火力システムには、このようなものがあります。

●超々臨界圧発電方式(USC)
燃料を燃やして蒸気をつくる際に、極限まで高温、高圧にして蒸気タービンを回すシステム
●コンバインド・サイクル発電
高温のガスを燃やしてまずガスタービンを回し、その排ガスの熱を再利用して蒸気をつくることで蒸気タービンも回すシステム
●石炭ガス化複合発電(IGCC)
コンバインド・サイクル発電でガスタービンを回すのに使われる「高温ガス」を、石炭をガス化して作るシステム
●CO2分離・回収型石炭ガス化複合発電(IGCC)
世界初、石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)の実証事業に着手 | NEDO

この低炭素化・効率化の火力技術は世界最高水準です。
中央の世界平均が941㌘CO2/kwhに対し、日本の超々臨海圧発電(USC)は795㌘、CO2分離・回収型石炭ガス化複合発電(IGCC)に至っては590㌘と半分です。
 同じ石炭火力発電とくくってしまうのがいかに乱暴かわかるでしょう。
日本の低炭素・高効率火力発電は、インドや米中のそれと比較すると、実に4割以下の炭素排出量となっています。

火力というと、炭素ガスと硫黄酸化物をボンボン出しているものしか想像できないと置いていかれますよ。
後はSMR(小型原子炉)やレアアースなど経済安全保障分野で具体的な協力文書を取りまとめました。

もう付け足すことがないくらいの満点回答です。

 

2026年3月20日 (金)

トランプがなにをしたいのかわからない

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イラン戦争をメンドーにしているのは、トランプが戦争目標を明示していないことです。
戦争目的が不明瞭だから、同盟諸国も批判は控えるが、有志連合には加われないよねというのが共通のスタンスです。
だから各国の利害が一見一致しているホルムズ海峡の航行の自由すら共同できていません。
行けば、米国の戦争を肯定して協力したと見なされますし、かといってトランプが言っていることにも一理あるので安易に批判できません。

それにしても高市さん、前から決まっていたとはいえ、しんどい時期に訪米することになったものです。
たぶんヨーロッパ諸国は高市氏を注視しているでしょう。
また掃海艇を出せと言われるかどうかわかりませんが(ともかく猫の目のように言うことが変わりますんで、この人)、非武装の掃海艇をこんな戦場に丸裸でだすわけにはいかないので護衛艦の1隻も付けてやらねばならないでしょう。
もちろん空中から監視する哨戒機も必要となります。
そして長期化に備えて補給艦も近くの海域に置いておかねばならないとなると、ちょっとした艦隊です。

ヒダリの皆さんが言うように9条をがあるんだから出来ないと言え、とノーテンキに言えればいいのですが、こういう憲法の使い方は昭和の御世でおしまいです。
もう憲法を理由に日和見を決めこめるような長閑な時代じゃないのです。
改憲を視野に入れている高市さんが9条がありますからダメですと言ったら、それは自己否定に等しいんじゃありませんか。

さてトランプは彼自身なにが戦争目的なのかわかっていない節があります。だから困る。
「イランの核武装計画を完全に潰す」のなら、そこにだけ集中すればよい。去年の核施設爆撃で討ち漏らした核施設をしらみ潰しにすればいいわけです。
ところがイスラエルに引きづられるようにしてイラン指導部を皆殺しにしてしまったら、誰と交渉するんだいということになってしまいました。
指導部を根こそぎされたイランは、超強硬派のアジタバを戴いて神権体制を続けるつもりですが、いまやモスクワに大怪我をして入院中で、鶴の一声を発する者がいません。

戦争目標が明確ではないから、航空優勢と海上優勢を取るために、イランの空海戦力を徹底的に叩いていますが、これは米軍のいわば本能みたいなものにすぎません。
空海だけで戦争が終わらないのは米軍は百も承知のはずです。

ならば体制を代える、民主派に勝たせるというなら、それはそれで自由主義陣営の盟主としては大いに筋が通っていますが、デモをすれば敵国加担で死刑にするという国でどこまで民主派にその力があるのかどうか。
そしてそれを米国がどう支援できるのか。

いずれにしても空軍と海軍だけではどうにもならないのです。

革命防衛隊は全国の支部(30数カ所あるそうですが)に、上級指導部と連絡がとれなくとも徹底抗戦しろと命じたといわれています。
そこで彼らは洞窟や地下に隠してあったミサイルやドローンでゲリラ的な攻撃をしているというわけです。
彼らを排除するには、少なくともホルムズ海峡沿いの海岸一帯を地上戦力で制圧する必要があります。
今、日本から強襲揚陸艦「トリポリ」に乗った海兵隊が現地に向かっているそうですが、彼らがその任を与えられるのかどうか。

ところで1984年にベトナムで大怪我をした米国は、ワインバーガー・ドクトリンというものを策定しました。
これは以下の6つの柱で構成されています。

 

  • 国家の合理的行動: 軍事力の行使は国家の明確な目的のため
  • 最大の戦力集中: 可能な限り最大限の戦力を投入
  • 政治的・軍事的な目標の明確化: 目標を明確に定義
  • 継続的な再評価: 目標を常に再評価
  • 国民世論と議会の支持: 国民と議会の支持を得る
  • 国家の合理的行動の再強調: 最初の柱の重要性を再度強調

トランプはこのワインバーカー・ドクトリン6原則をじっくりと見直したほうがよろしいでしょう。
これだけの軍事力を行使したにもかからわず、いまだ軍事力の使用に明確な目的を示せないのですから。

 

 

2026年3月19日 (木)

起こるべくして起きた辺野古転覆事故

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辺野古転覆事故についてだんだんと状況がわかってきました。

まず、出航するにあたって最も留意すべきてのは気象、海象であることはいうまでもありません。
① 事故当時、現場海域には波浪注意報が発令されていましたが、こさを無視して船を出していました。
2022年4月23日に知床で観光船が沈没事故をおこしていますが、この出航当時、斜里町には強風注意報が発表されており、最大風速15メートルの強風が予報されていました。

この知床観光船事故では乗客乗員26名が死傷し、過去に類を見ない重大な事態となりました。
知床の海は「魔の海域」とも呼ばれ、以前から危険性が指摘されていましたが、事故を起こした観光船は悪天候下で運航を見合わせる他社がある中、単独で出航していました。

今回の辺野古事故も波浪注意報がでており、その中を強風が吹き波が高いリーフの外にまで出て行っています。

当時の天候と海況:波浪注意報が発令されており、白波が立ち、船が揺れていた。
波の高さ:0.5メートル
風速:4メートル
波の周期:通常より長い約13秒

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【記者解説】明らかになってきた船の進路 必要だった国への登録はされておらず 辺野古沖転覆2人死亡 | 沖縄のニュース|RBC 琉球放送 (1ページ)

上写真で中央下に白く見えるのがリーフですから、波が高くなる外洋にでてしまっているのがわかります。

「2隻は辺野古漁港を出た後、埋立工事現場の淵を沿うようにして進んでいたとみられます。
この赤い線(上写真)は近くで警備にあたっていた第11管区海上保安本部が確認した進路です。当時2隻は縦に並んで航行していて辺野古崎の沖、2つの無人島の間を通り抜け大浦湾に出ました。
その後Uターンして沖合に出ていった際に高波にあおられたとみられています。16日午前10時10分に「不屈」が転覆。その2分後、助けに向かった「平和丸」もほぼ同じ場所で転覆したということです」
(RBC3月17日)
【記者解説】明らかになってきた船の進路 必要だった国への登録はされておらず 辺野古沖転覆2人死亡 | 沖縄のニュース|RBC 琉球放送 (1ページ)

海保のカメラにも大きく波に煽られている2隻の姿が残されているそうです。
この中を「平和丸」(長さ約8メートル、定員13名)と「不屈」(長さ約6メートル、定員10名)に、定員一杯に高校生を乗せて、ベテランとはいうものの牧師が本業の素人船長が舵を握っていたわけです。
しかも波に弱い小型船であることから、こんな海にそもそも出るべきではなかったし、充分に避けられた海難事故だったのです。
またこの2隻とも船体は作られて20年以上たっ老朽化が進んでおり、以前から故障が頻発していたと報告されていました。
転覆したすぐそばに海保の警備艇がいたから助かったものの、いなかったら1名では済まなかったでしょう。
日頃いやがらせばかりしているのですから、菓子折りのひとつも持ってお礼を言って来なさい。

容易に想像がつくように出航の判断が極めて甘く、運航団体である「ヘリ基地反対協議会」は出航基準すら作っていませんでした。
そもそも「事業登録」をしない無登録事業者だったために、登録事業者がすべき安全管理規程を策定せず、知床事故以後に厳しくなっている様々な法的基準をクリアしていませんでした。

ないない尽くしです。船はポンコツ、船長はほとんど素人、運航団体は事業許可をもらっていない無免許、安全基準など一切ないから、素人判断で波浪注意報き海に出してしまう。
しかもリーフ内でにいればいいものをリーフの外にでるから、当然高波を食らって転覆してしまうのです。

無登録だったことの言い訳にボランティアだ、カネもらっていないぞということを言っているようですが、関係ありません。
ボランティアでまかり通るのは、交通アクセスや観光情報の案内、外国人観光客への通訳案内、船の発着補助ていどのことで、20数名も乗せて運航すれば次元がちがってきます。

きちんとした事業登録をして安全基準を作るのが大前提だったのです。

一方、同志社国際高校側も無責任でした。

20260319-051455

FNN

「修学旅行で沖縄を訪れ、平和学習中の同志社国際高校(京都府)の女子生徒と船長が死亡した事故で、17日、学校側が会見を開いた。
当時、波浪注意報が出ていたことについて、校長は「(船長から)特に言及はなく、出航に関しての疑念も話されなかった」と述べ、出航の判断は船長に委ねていたと説明した」
(FNN3月17日)
「船長判断に任せた」平和学習中の転覆・死亡事故で高校が会見 学校側の“安全管理”に問題は 弁護士が可能性を指摘 (FNNプライムオンライン) - Yahoo!ニュース

あのね、校長さん、知らん存ぜぬじゃ済まないのよ。
この場になぜ教師が帯同していなかったの、運航団体が活動家だった、あの船が抗議船と知らなかったと言っているようですが、それも嘘。
いままで年に数回ボランティアで学生や生徒を船に乗せて「平和教育」をやっていたのに知らないわけがない。

このような中で事故が起きるべくして起きたのです。痛ましいかぎりです。

 

2026年3月18日 (水)

トランプ、中国をホルムズ海峡にご招待

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トランプが皮肉なご招待をしました。
中国をホルムズ海峡の安全航行の有志連合にご招待したのです。

「米国のトランプ大統領は16日、イランが船舶を攻撃しているホルムズ海峡の安全確保を巡り、日本などに対して艦船派遣を「強く促す」と述べ、改めて協力を迫った。ホワイトハウスで記者団に語った。
トランプ氏は日本と中国、韓国を名指しし、石油の輸入で米国よりはるかにホルムズ海峡に依存していると指摘し、「(安全確保を)支援してほしい。喜んで協力すべきだ」と述べ、積極対応を求めた。各国へ艦船派遣を要請したのは「どう反応するのか知りたいからだ」と強弁した。
各国の反応については、「熱心な国もあれば、長年我々が(防衛面で)守ってきたのに、熱心ではない国もある」と不満を示した」
(読売3月17日)
トランプ氏、日本・中国・韓国名指しで「不満」表明…ホルムズ海峡への艦船派遣に「喜んで協力すべきだ」 : 読売新聞

この護衛艦隊には日本と韓国も名指しでご指名があるのですが、高市さんでもハードルが高いようです。
日本の自衛艦派遣については別途にまとめたいと思いますが、もっと高いのは実は中国です。
米国呼びかけだからというだけではなく、中国は「影の船団」(シャドーフリート)を使ってホルムズ海峡をスースーと通過しているのです。
なんかマンガのようなネーミングですが、ホントです。

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米、ベネズエラ産原油の禁輸強化 タンカー2隻拿捕 - WSJ

「影の船団」とは、ロシアとイランが国際的な制裁で原油輸出ができないことを狙って、中国が秘密裏に運用している石油タンカー船団です。
中国は、イラン産原油の9割以上を購入し、代償としてイランに大量の武器を供与してきました。
たとえば、ベネズエラでもイランでもまったく米軍機を捕捉できなかった自称「ステルスキラー」防空システムHQ-9Bや弾道ミサイルの部品などを提供してきました。
まぁぜんぜん歯が立たなかったので、買っちゃった国は呆然となっていくだろうな。

この影の船団はホルムズ海峡封鎖を回避しながら原油を買い続けてきました。
もちろん国際制裁違反は百も承知で、その弱みにつけ込んで恩を着せて買いたたいてきました。

価格が割安なだけではなく、無保険の老朽船ですからこたえられなかったでしょうな。

特に問題なのがいつ沈んでもおかしくないような耐用年数数倍のボロ船であるだけでなく、無保険なのです。もちろん違法です。
西側諸国は、ロイズ保険組合と7つのP&I保険(自動車でいえば自賠責+ロードサービス+船荷保証のようなもの)を結ばねば船の運航すらできず、外国の港にも入港できませんから、積み荷の原油は通関できないはずですが、こんなことは屁とも思わないのが中国です。

この影の船団を使ってホルムズ海峡を堂々と通過させ、「中国領」の南シナ海を経て本土に運び込んでいたわけです。
これらのタンカーは位置情報自動発信機を止めて密かに、しかし堂々と運用とされて、中国を潤してきました。
2月28日以降、西側諸国がホルムズ海峡を通過できずペルシャ湾内に滞留しているのを横目に、中国だけが影の船団を使い1600万バレルのイラン産原油を輸送し続けました。

いままで米国はそれを見て見ぬふりをしてきたのですが、ここでキレたようです。
トランプが今回ホルムズ海峡での航行気自由を守るべき国として日中韓を名指ししたのは偶然ではありません。
日本は世界でもっともホルムズ海峡の自由航行で利益を得ている国であり、まさに日本経済の動脈そのものです。
そして中国には堪忍袋が切れたのです。

仮に中国が参加すればなかなか面白いことになります。
この海域の自由航行を仕切っているのは米海軍ですから、とうぜん中国海軍は自動的に米軍指揮下に編入され、自分のところの影の艦隊は白日の下にさらされ、そのうえこんな無保険の違法船舶は取り締りの対象となります。
盗人を捕らえて見れば我が子なり、ですか。

トランプが訪中を先のばしにしたようですが、イラン情勢が落ち着いてからということになるのでしょう。

 

2026年3月17日 (火)

辺野古で「平和団体」の船が転覆して2名死亡

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やっぱりこういうことが起きましたか。辺野古沖で女子高校生を含む2名がボート2隻の転覆によって死亡しました。
亡くなられたお二方のご冥福をお祈りいたします。

「16日午前10時10分頃、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設工事が行われている沖縄県名護市辺野古沖で、プレジャーボート2隻が相次いで転覆した。第11管区海上保安本部によると、2隻に乗っていた高校生18人と乗組員3人の男女計21人が海に投げ出され、女子高校生1人と男性船長1人の計2人が死亡。多くの高校生らが負傷している。
2隻は、移設工事の抗議活動で使用されることもある「平和丸」(長さ約8メートル、定員13人)と「不屈」(長さ約6メートル、定員10人)。いずれも、移設工事に反対する市民団体「ヘリ基地反対協議会」が運航し、同団体関係者によると、この日は研修旅行中の同志社国際高校(京都府京田辺市)の2年生を乗せ、移設現場付近を案内していたという」
(読売3月16日)

2隻転覆で女子高生と船長死亡、辺野古移設反対の団体運航の「平和丸」と「不屈」…波浪注意報の現場では白波 : 読売新聞

転覆した船は「平和丸」「不屈」などという名でわかるように反対派の御用船で、運航は「ヘリ基地反対協議会」という高江紛争の時にできたものです。
この団体は営利ではないと言っていますが、事実上の運航会社に相当します。

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辺野古移設の船2隻が転覆、男女2人意識不明 同志社国際高生ら同乗か - 産経ニュース

上の写真は今回転覆した「平和丸」が反対運動に加わっている姿です。
いいんですかね、抗議船に修学旅行生乗せちゃって。

一般的に、観光観光船が沈没した場合、主に運航会社やその経営者、船長に責任が問われます。
今回の船が国や検査機関の安全点検を受けていた場合、これらの機関も追及される可能性もあります。
たぶん反対派は営利ではないから観光船ではなく、運動目的の船に好意でのせたのだという主張をすると思われますが、その場合でも同様に責任から逃れることは出来ません。

一般的に観光船事故では、以下の点が責任追及の論点となります。
問われるのは、不法行為責任です。
運航会社や船長が安全への注意を怠り、事故が発生した場合に適用されます。民法第709条に基づき、損害賠償請求が可能です。
今回、沖合で警備活動をしていた海保のボートは波浪注意を出していました。

「事故は、監視警戒中の11管が2隻に安全航行を呼びかける中で発生。当時、波浪注意報が出されていた現場海域では白波が立ち、2隻ともかなり揺れていたという。11管は業務上過失往来危険と業務上過失致死傷容疑で調べる。
またこの日午後5時5分頃、転覆の調査にあたっていた那覇海上保安部所属の巡視船搭載艇も波を受けて転覆したが、乗船していた海上保安官6人は全員救助され、無事だった」
(読売前掲)

警備の海保ボートすら転覆する中を、波が高いリーフの外に出て、海をまったく知らない未成年者を多数乗せた事故を起こしたわけです。
この女子高生は、同志社国際高の生徒で、2年生約270人は16日午前、7つのグループに分かれて沖縄の自然や文化、平和学習などを行っていっていたそうです。
辺野古の「新基地」建設現場を見せて、反対派からレクチャーを受ける予定だったのでしょうが、これが「平和教育」というものです。
こういう活動を高校教育に組み込んだことには大いに疑問がありますが、今回は触れません。
考えられるのは、たぶん反対派とこのような「平和教育」をする高校側がなぁなぁの関係で、波浪注意が出ている海に未成年者たちを送り出したということです。

まだ詳細は分かっていませんが、この両者の間にまともな契約約款が結ばれたとは到底おもえません。
結ばれていなかった場合、それ自体の違法性が問われます。
あった場合でも、波浪注意がでている海域に船を出したことの債務不履行責任が問われることでしょう。

また、業務上過失致死は既に問われるようですが、民事上も運送人の責任が商法第590条により問題となります。
そして運送人、すなわち「ヘリ基地反対協議会」は旅客たる死亡した高校生が運送中に受けた死亡事故について賠償する義務を負います。
仮に運送人が注意を怠らなかったと主張しても、警報がでている悪天候の海域であったこと、海保ボートすら転覆するきけんな海に出航させた責任は回避できないでしょう。

今回既視感があるのは、2024年6月に起きたダンプ誘導員の死亡事故があったからです。
この事故を引き起こした「フェニックス」というHNを持つ70代の女性は、彼女を助けようとして死亡した警備員に感謝も謝罪のひとこともなくこう言ってはばかりませんでした。

「骨は折れても心は折れない。基地断念まで小さな力を結集させたい」

ダーっという気分にさせます。
なにをヒロイズムに陶酔しているんだ、この人。冷血。
自分の路上飛び出しが招いた事故で、人がひとり死んだというのに「心は折れない」ですか。いい気なもんです。

またオール沖縄もこう言っていました。

「オール沖縄会議 稲嶺進共同代表
(ダンプカーの)無理な2台出しが今回の事故につながった。それが非常に大きな誘因である。(事故を)誘因するような(抗議)行動はやっていない。オール沖縄会議は「事故の責任は移設工事を強行する政府にある」とし、女性を容疑者とする捜査は不当だと主張しました」
安和死傷事故 オール沖縄会議が警察捜査を批判 |FNNプライムオンライン 

つまり、安全義務を怠った国が悪いと、人が死のうが「心は折れない」だそうで、今回のボート転覆で女子高生の命がうばわれても「心が折れない」のでしょう。
命、命を連呼する人たちの生命の重みのなんと軽いことよ。

2026年3月16日 (月)

ネタニヤフにつきあわされたトランプ

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先週は3.11を巡って福島第1事故を見てきました。
福島事故と東日本大震災は、今の日本を圧縮した構図のような部分があるので、あと1週間はやりたいのですが、そうも言っておられなくなってきました。
その間にイラン情勢が緊張の度合いを深めています。

まず、イランの新体制ですが、いきなりモジタバ(正確にはモジュタバのようですが)がお隠れになってしまいました。

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読売

「イランの最高指導者に選出されたモジタバ・ハメネイ師は12日、初となる声明を国営テレビで発表した。米国、イスラエルとの戦闘や近隣諸国の米軍基地への攻撃継続のほか、ホルムズ海峡封鎖の徹底を強調した。ペルシャ湾岸一帯を巻き込んだ紛争は長期化が避けられない情勢となっている」
(読売3月13日)
イラン最高指導者のモジタバ・ハメネイ師が初声明「防衛を継続」…イスラエル首相は同師が「操り人形」だと主張 : 読売新聞

言っていることは、先日ペゼシュキアン大統領が言っていた近隣諸国への謝罪とホルムブ海峡封鎖しないという発言の真逆で、今日も元気で戦争遂行だ゛というないようで、やるやる、徹底的にやったるぞ、と宣言で、まぁこう言うだろうなと思っていましたがやはりそうでした。
こういうことばかり言っていると落としどころを失いますよ。

ペゼシュキアンのような現実派が政権をとっていたらまた違ったのでしょうが、これでまた終わりがみえなくなりました。
読売はスルっと書いていますが、イランの最高指導者が就任後に姿も声もあらわさないのは異例中の異例です。
前代の親父ハメネイは86歳で死ぬまで、年がら年中国民向けの演説をしていました。
これは神権独裁国家が「最高権威」の求心力なしには成立しない構造だからです。

その「最高権威」がデビュー戦で姿はおろか声も出さないという理由は、ふたつしかかんがえようがありません。
①すでに死亡しているか、姿もみせられないほどに重体である。
②厳重な秘密バンカーに潜んでいるので、場所を特定されたくない。

ネタニヤフは就任早々祝辞よろしく暗殺を明言しました。

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FNN

「ネタニヤフ首相は12日、イランとの戦闘開始後、初めて記者会見を開き、モジタバ師について革命防衛隊の操り人形だとやゆした上で「生命保険をかけるつもりはない」と述べ、殺害の対象であることを示唆しました」
(FNN3月11日)
イスラエル首相がイラン最高指導者モジタバ師を“殺害対象”と示唆 トランプ大統領「非常に順調」と戦争継続の姿勢示す(FNNプライムオンライン(フジテレビ系)) - Yahoo!ニュース

イスラエルはトランプと違ってやるといったら必ずやります。
ただの恫喝や政治的取引でこういうことは言いません。
たぶん既になんらかの暗殺は仕掛けたのではないではないかとさえ思います。

親父ハメネイは、殺された場所は地上でしたが、こんな官邸地下のバンカーで暮らしていました。

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エルサレムポスト

「イスラエル軍が金曜日に公開したアニメーションには、殺害された最高指導者のテヘラン事務所の地下に、テヘラン中心部の複数の通りの下に広がる地下軍事バンカーが映っており、少なくとも8つの入り口があるように見えた」
(エルサレムポスト3月7日)
XユーザーのIran International EnglishさんX

どうしてこうも正確に内部構造が手にとるようにわかるのか不思議ですが、おそらくは内部に内通者がいるとかんがえるのが順当でしょう。

「3月5日、イラン大統領府や複数の重要政府機関が入るテヘラン中心部のパスツール政府複合施設付近を標的とした激しい攻撃の直後、イスラエル軍はハメネイの地下地下シェルターシステムと表現した映像を公開した。
この複合施設は地下都市のような外観をしています。映像と添付する映像によると、この施設はイラン指導部の安全な避難所として使われており、ハメネイの死後も残存する当局者によって利用されている可能性があります」
(エルサレムポスト3月9日)
Khamenei’s Tehran bunker: 5 kilometers of tunnels under schools and clinics | Iran International

モジタバが死んでいるか、生存して地下バンカーに潜んでいるのかはわかりませんが、交通監視カメラにハッキングしてハメネイら最高指導部の所在を把握してしまったイスラエルのことですから、たぶん把握していくのでしょう。
ではなぜ、暗殺しないのかといえば、地下バンカーにいるからです。

イスラエルは親父ハメネイの居場所を特定し、そこに最高指導部ががん首並べることを知った時、直ちにトランプに電話をしたことでしょう。
奴らは全員集まっている場所が特定できたぞ、爆撃して息の根をとめるが、いいか、とでもいったのでしょう。
それを聞いてトランプは青くなったはずです。

爆撃すれば即開戦ですが、中東に米軍は戦力の集中が完了できていなかったのです。
ジェラルド・フォード空母打撃群はまだ地中海にいましたし、空軍の集結も終わっていなかったようです。

しかしイスラエルは止めて止まる国じゃないのは百も承知ですし、やるといったら必ずやるのです。
言葉づらでマッドマンのふりをしているどこぞのビッグマウスとはエライ違いです。
イラン原子力施設もそうでしたが、イスラエルを野放しにするとガザのような過剰防衛をしかねませんから、共同の作戦という形にして暴走しないように制御しているのです。

今回も同じ構図です。
イスラエルをコントロールするために不本意ながらトランプは参戦したのです。
ほんとうはこまま核協議を続けて、なんらかの妥協をとりつければワンラにしたかったのでしょうね。
かくて戦争嫌いのトランプは西と東で戦争をするはめになってしまいました。

始めたのはいいですが、イランはホルムズ海峡を人質にしました。
イランの言うことを聞くか聞かないかを海峡通航の条件としたのです。
これについては次回に。

 

 

2026年3月15日 (日)

日曜写真館 呼ぶ声も吹き散る島の春一番

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かうしてはおられぬ性分春一番 高澤良一

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春一番山を過ぎゆく山の音 藤原滋章

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春一番仏間ひととき魂あそぶ 井上雪

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春一番深入りしたる晩年よ 殿村菟絲子

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春一番木々は根を締めおのれを鳴らす 楠本憲吉

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春一番空想二転三転す 北村美都子

 

 

2026年3月14日 (土)

いちばん置いてはいけない男が事故対処のトップにいた

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イラン情勢が緊迫していますが、今日まで福島事故を振り返っていきます。

さて、この東日本大震災と福島事故という未曾有の大災害が同時に起きた時期に、よりによって首相は菅直人氏でした。
この人物は福島事故対応の影の、いや正確には負の主役でした。

菅元首相をめぐってはいくつもの論点があります。


①福島第1の「陣頭指揮」事件
②海水注入中止命令事件
③東電本店演説事件
④東電全面撤退を自分が阻止したとする認識
⑤事故後の高岡原発停止要請
⑥事故後の再エネFIT導入

私は菅直人という政治家個人に対する評価ではなく、リスクマネジメントの立場で考えるべきだと思っています。 
また彼に対する感情も排除します。感情とリスクマネジメントとしての判断はまったく別次元なのです。 

130127294375016419911                (写真 福島原発の衛星写真 3月14日)

さて福島事故は、従来の原子力安全行政の大きな欠陥を露呈させました。 
ひとつは、原子力安全行政が一元化されていないために、指揮権限が誰にあるのかわからなかったことです。 
原子力安全・保安院なのか、現場指揮を執る東京電力なのか、あるいは政府事故対策本部、つまりは官邸、ひいては本部長の首相個人なのか、ファジーだったのです。 

その結果、当時立ち上がった政府と東電ふたつの対策本部が、相互になんの関連もなく動き、いさかいと反目を続ける結果となり、最後には菅氏がもう一方の東電対策本部に乗り込むという衝突寸前の事態まで引き起こしています。 

1520e6039f5fb185add13a9a6ef00044_2東電に全面撤退阻止を要請しにいく菅首相。これが彼の最大の武勇伝だが、東電二斗って迷惑そのものだった。

そしてこの「ふたつの司令部」にバインドされた形になった福島第1の現場は、吉田所長の決断で状況を乗り切らざるを得ないところまで、追い詰められていました。 
本来、修羅場を戦う事故現場を、後方の司令部が的確な情報提供と指示を出して支えるのではなく、逆に間違った指示を出して混乱させてしまっているのですから、話になりません。 
もし、吉田昌郎という卓越した指導力と勇気をもった人物が所長にいなければ、私たちは今ここに生活することができなかったことでしょう。

まず、この国家的非常時において、当時の政府対策本部があった官邸の状況を、振り返ってみます。
この時の官邸の空気を、民間事故調(福島原発事故独立検証委員会)は、このように伝えています。


・「官邸が「パニックと極度の情報不足」に陥り、『テンパッた状態』」
・「今回の福島事故直後の官邸の初動対応は、危機の連続であった。制度的な想定を離れた展開の中で、専門知識・経験を欠いた少数の政治家が中心となり、次々と展開する危機に場当たり的な対応を続けた。
・「決して洗練されたものではなく、むしろ、稚拙で泥縄的な危機管理であった。」

・「(菅首相は)言い出したら聞かない」
・「菅首相の)強く自身の意見を主張する傾向が、斑目委員長や閣僚に反論を躊躇させた。」
民間事故調(福島原発事故独立検証委員会)

さて今では、2011年3月12日当日、官邸でなにが起きたのか、詳細に判明しています。再現してみましょう。
果たして、以下の事故後に行った首相の弁明は、正確にこの状況を伝えているのでしょうか。

「(海水)がすでに入っているなら当然入れ続ければいいと思っていた。それを(東電の)武黒フェローが判断して、吉田所長に止めろといった。東電関係者の発言を官邸の意向と表現されるのは間違っている。海水をいれることがいかに重要であるか、そのことが再臨界と関係ないことはプロであればよく分かっているはずだ」(国会事故調)

当日なにが起きたのか、今は詳細に判明しています。再現してみましょう。

2011年3月12日の事実関係を、船橋洋一氏の事故ドキュメントの白眉である、『メルトダウン カウントダウン』上巻・第4章「1号機水素爆発」を基に、その状況の流れを振り返ってみます。  
この経過をお読みいただければ、菅氏がいかに「嘘は言っていないがほんとうのこともひとことも言っていない」類のものか、ご理解いただけると思います。              

●[第1場 1号炉爆発 現場吉田所長の判断で海水注水開始]  

・12日昼頃。吉田所長が1号炉に海水を注水することを決断
・午後3時前。防火水槽の水が干上がっていることがわかる。
午後3時すぎ。東電は保安院に「海水注入」の予定を告げた
・午後3時20分。1号炉爆発。
・2名負傷。全員、免震重要棟に脱出。構内は高濃度の放射線で汚染された瓦礫が散乱。最悪の極めて危険な作業環境。
・午後4時27分。吉田原災法第15条第1項の「特定事象」(敷地協会放射線量異常上昇)を宣言し、政府に報告。
・午後4時30分から約1時間30分。吉田ら現場は破損した海水注入用消防車のホースの修理などの注水のための復旧作業に当たる。
午後5時55分。この情報が海江田(経済産業相)に伝わらず東電本社に対して原子炉等規制法64条3項を根拠に海水注入を命じる。 

●[第2場 首相官邸] 

・午後6時。首相官邸執務室。海水注入をめぐる会議。出席者・菅、海江田、細野、斑目、平岡保安院次長、武黒フェロー(フェロー・副社長格・東電の連絡担当者)
会議の情景
・菅「塩水だぞ。影響は考えたのか!
・平岡「(海水の注水によって)臨界の危険性が高まることはありません」
・武黒「臨界を作ることは芸術的に難しい芸当です。不純物だらけの海水を入れて、そんなのできるはずがありません」
・斑目「(菅に促されて)保安院がそういうなら」
・菅「自分の判断で言ってくれ。絶対にないんだな」
・斑目「あるかもしれません」
・菅「どっちなんだ」
・斑目「ないとおもいますが、ゼロではありません
・菅「お前、水素爆発もないといったじゃないか」
・斑目「(泣きそうな声で)とにかく今水を入れなきゃいけないんです。海水で炉を水没させましょう」
・菅「もっと検討しろ!」「もっと詰めろ!」 

●[第3場 武黒、清水、吉田に注水停止を命じる] 

・午後7時過ぎ。官邸危機管理室から携帯で吉田に電話。
・武黒「おまえ、海水注入は」
・吉田「やってますよ」
武黒「えっ、おいおい、やってんのか、止めろ
・吉田「なんでですか」
武黒「おまえ、うるせぇ。官邸がグジグジ言ってだよ」
・吉田「何言ってんですか」と電話を切る
吉田証言「指揮系統がもうグチャグチャだ。これではダメだ。最後は自分の判断でやるしかない
・吉田、テレビ会議で本店の武藤副社長に海水注入の必要を訴える。
東電本店「官邸の了解が得られていない以上、いったん中断もやむをえない
・吉田、納得せず
東電清水社長「今はまだダメなんです。政府の承認が出てないんです。それまでは中断するしかないんです
・吉田「わかりました」 

第4場 吉田、本店がなにを言っても、絶対に水を止めるな] 

・吉田の所員に対する支持
「海水注入に関しては、官邸からコメントがあった。一時中断する。」と大きな声で言った後、テレビ撮影機に背を見せて注水担当に対して、「本店から海水注入を中断するように言って来るかもしれない。しかし、そのまま海水注水を続けろ。本店が言ってきたときは、おれも中断を指示するが、しかし絶対に水を止めるな。わかったな」  

以上でお分かりのように、狭い意味で、吉田所長に注水停止を「命じた」のは武黒フェローであり、彼からの「吉田は頑として言うことを聞かず注水を継続している」という報告に動転した東電本社の清水社長でした。 
しかしそれは、この詳細な時系列経過をみればわかるとおり、強要したのは、ただの素人にもかかわらず権力を笠に着て「海水なんだぞ!もっと詰めろ!」と、明らかに中断を要求した菅首相にあります。 

菅首相の事故対応について、証言する関係者のすべてに共通するのは、「あたりかまわず怒鳴り散らし、何を言っているのかわからない」というものでした。
たとえば、3月12日早朝の福島第1への突然の「現地視察」において、同行した武藤栄東電副社長はこのような証言をしています。


「免震重要棟に入った。そこで交代勤務だと思うが、作業員の人が大勢いた。中には上半身裸というか、除染などの人だと思うのだが、大変だなと思った。その前で菅氏はなんと言ったかというと、「何で俺がここに来たと思っているのだ」と言った。これには呆れました」

池田元久経産副大臣(当時)も手記の中で、「怒鳴り声ばかり聞こえ、話の内容はそばにいてもよく分からなかった」と記述していました。
この菅という人はなにかというと頭ごなしに怒鳴るイラチの人だったというのは、冷静さを要求されるこの事故処理において最悪でした。

Bbc18(写真 BBCドキュメント映像。吉田氏は後に、ここに残る者は、ホワイトボードに名前を書いていけと命じたと言っている。それが墓碑銘だと決意したからだ。この69名に日本の命運はかかっていた。この命を賭した人々に対して、菅氏がかけたのは罵倒だけだった)

吉田所長は、調書の中で管氏を名指しで、「なんだ、馬鹿野郎」と吐き捨てるように言っています。 
では、なぜ福島第1への不要不急な視察、現場に混乱をもたらした海水注水中止命令、あるいは、ふたつの対策本部同士の衝突事件である東電本店演説事件などが、相次いで起きたのでしょうか。 
これをすべて、菅氏の人格が及ぼす破壊的エネルギーで片づけるのは簡単です。

残念ながら、事実として菅氏という、ある関係者をして「歩く人災」とまで評された政治家に、事故対応は仕切られてしまいました。
しかし、そこにだけ注目すると、この事態の本質がわからなくなります。 
政府事故調の検証委員たちは、『福島原発事故はなぜ起こったか・政府事故調 核心解説』の中でこう述べています。


「重要なのは、わが国における緊急時における災害対応が、全体として機能したか、否かである」

政府事故調が指摘するとおり、当時1999年東海村JCO事後に、その反省から作られた「原初力災害特別措置法」(原災法)に基づいて作られたはずの「原災害マニュアル」がまったく機能しなかったことこそが、問題とされるべきなのです。 
ではなぜ、原子力安全・保安院の原子力の専門家が、原子力災害はおろか、原子炉の仕組みすら知らない「素人政治家」たちの手に、指揮権を渡してしまったのでしょうか。

それには、海水注入事件に至る前段までの状況を知る必要があります。 
2011年3月11日19時3分、政府は原子力緊急事態宣言を出します。これにより立ち上がったのが、菅首相を本部長とし、官邸を本部とする原災本部でした。 
原災マニュアルによれば、ここで、現地オフサイトセンターに現地対策本部が作られ、本部から権限を委譲された現地対策本部長(経済産業省副大臣)が、事態の対応に当たるはずでした。

ところが、この目論見は早々に破綻します。
急遽、現地福島に赴いた池田副大臣たちは、地震により破壊されたオフサイトセンターを眼の前にして呆然とします。
オフサイトセンターは放射能防御の施設がないばかりか、ここに集中されるべき情報が、情報通信機能の破壊によって、官邸に届けられなくなったからです。
初動段階のこの失敗は、単にオフサイトセンターひとつがポシャっただけにとどまらず、大きく緊急対応に影響を及ぼします。

というのは、これで、指揮権が現地に委譲されずに、本来現地対策本部が処理すべき細々とした対応まで、一手に官邸対策本部が担うことになってしまったからです。
後に、管氏は、大きく事故全体を見るのではなく、原発に届けるバッテリーのサイズにまでクチバシを突っ込むようなマイクロマネージメントをするようになりますが、これも(もちろん管氏の視野狭窄的性格もありますが)オフサイトセンターの破壊という事態とは無縁ではありません。
本来、この現地対策本部が、このようなことを処理すべきだったのですから。

Fuksusiamagepatujikoyotkougo(写真 この時期の菅氏はほとんど睡眠をとらず、ほとんど狂乱状態だったと、居合わせた関係者全員が証言している。大震災と原発事故という二重のシビアな状況の中で、よく日本が持ったもんだと思う)

しかも、通常、このような原発シビア・アクシデント時に本部が設置されねばならない、官邸地下の危機管理センターは、大震災の災害対策本部が置かれていたために、ただの会議室である官邸5Fに官邸対策本部が置かれることになってしまいました。
なんと、官邸本部は、オフサイトセンターの壊滅だけではなく、官邸の持つ優れた情報・通信機能さえも使用不能だったのです。

かくして以後、官邸本部は、福島第1とのテレビ会議回線を持つ東電本店からの連絡待ち、という本部とも思えない情報過疎状態に置かれることになります。
もはや情報過疎といっていい事態の中に置かれた官邸本部が事故指揮を執る、という恐るべき状況が始まります。

そしてさらに、原災法マニュアルにない事態が起きました。それは、原子力災害の専門家集団である原子力安全・保安院が、使い物にならなかったことです。
原災害法には、原子力安全・保安院が原災本部の事務局を担うととされていますか、これがまったく機能しませんでした。

201105222224510de(写真 斑目委員長。本来この人物がすべての事故対策の指揮を執るべきだったが、リーダーシップ、胆力、共になかった。この人の責任は大きい)

斑目委員長以下保安院の専門家たちについて、政府事故調検証委員は、こう評しています。

「保安院が所与の役割を果たすことができなかったのは、現地や東電からの的確な情報を得られなかったことにもあるが、過去に経験した事故の規模を大きく越える、今回のような原子力災害への備えが能態的にまったくできていなかった点にある」(同)

もし、福島事故と同じ事態が起きた場合、米国においてはNRC(原子力規制委員会)が、フランスではASN(原子力安全機関)が、一元的に事故指揮権を掌握し、指揮全体を執るでしょう。
このような高度の専門知識が要求される原子力災害においては、専門家が指揮を執るのは、あまりにも当然です。

それを一介の「素人政治家」が、首相・本部長という肩書だけで事故指揮に介入すること、それが越権とされるべきなのです。
菅氏は野党時代に読みかじった反原発のパンフていどの知識を鼻にかけて「オレは原子力には詳しいんだ」と吹いていましたが、もちろんただの素人です。
彼は東工大卒というのが胸に輝く金の星だったようですが、在学中は学生運動に夢中だったことは知られています。

米仏ならば、相手が大統領であろうと、菅氏のようなまねをすれば、NRC委員長はこう言ったでしょう。
「閣下を部屋の外にお連れしろ。丁寧にな」
しかし残念ながら、原災法には、安全・保安院はただの「本部事務局」という位置づけしか与えられていませんでした。
このあいまいな「事務局」という位置づけを、菅氏は単なるアドバイザーと解釈しました。主従意識が強い彼にとっては、ただの従者であったのでしょう。
菅氏は専門家に対して、「決めるのはオレだ。オレの言うことにだけ答えていればいいんだ」という傲慢きわまりない態度で望むことになります。
菅氏は終始、斑目氏を「お前」と呼び捨てて怒鳴りつけ、斑目氏は管氏の怒声の下で忍従を強いられます。

このような菅氏のパワハラ行為に対して、ただの気の小さな学者バカでしかない斑目氏はまったく抵抗できず、他の関係者同様、どうやったらこの王様を納得させられるかばかりを気にするという、異常極まる雰囲気が、官邸本部を支配します。
管氏が座をはずすと、官邸スタッフと専門家、東電関係者が、菅氏説得シナリオを作って、発言分担まで決めていたという、笑えない場面すら生じました。
海水注入停止命令事件は、この空気の中で起こったことを頭にいれないと、理解ができません。

ここまでを整理しておきます。

①現地オフサイトセンターが壊滅
②原災法が想定していた現地対策本部が事実上消滅
③現地対策本部に集中されるべき、原発災害情報がほぼ完全に遮断される
④事故指揮を執るべき安全・保安院が機能停止
⑤本部は菅首相の「独裁」的状況

 このような状況下で発生したのが、この海水注入事件でした。 
既に、この一件に関しては、すべての事故調は一致して菅氏の指揮官の能力を批判しています。

・国会事故調 「官邸の直接介入が、指揮命令系統の混乱、現場の混乱を生じさせた」
・政府事故調 「首相が当事者として現場介入することは現場を混乱させるとともに、重要判断の機会を失し、あるいは重要判断を誤る結果を生むことにもつながりかねず、弊害の方が大きい」
・東電事故調 「現場実態からかけ離れた具体的な要求が官邸の政府首脳等から直接・間接になされ、海水注入中止の指示等、緊急事態対応の中で無用の混乱を助長させた」

このように想定した状況や機構がことごとく破綻し、発狂寸前の暴君の手に福島事故の命運が握られてしまっていたのです。
もし吉田所長というあえて抗命も辞さない男がいなければ、東日本全体はどうなったのか考えるだけで恐ろしくなります。

 

 

2026年3月13日 (金)

2011年夏の真実

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この時期になるとやたら感傷的に「絆」だとか「3.11を忘れない」という空疎な言葉が溢れますが、止めて下さい。白々しい。
国連科学委員会(UNSCEAR アンスケア) は2010年3月11日に合わせてこんな報告書を出さざるをえませんでした。

東京電力福島第一原発事故の被曝(ひばく)による健康影響を評価した報告書を、原子放射線の影響に関する国連科学委員会が9日公表した。報告書は2014年以来。最新の知見を反映して福島県民らの被曝線量を再推計し、前回の値を下方修正した。これまで県民に被曝の影響によるがんの増加は報告されておらず、今後も、がんの増加が確認される可能性は低いと評価した」(朝日3月10日)

福島事故で亡くなった人もガンの増加もなかった、これが国連科学委員会がなんども繰り返し述べている所見でした。
至ってあたりまえのことをあたりまえに淡々と書いているにすぎません。
ところが2011年にはまったくそうではありませんでした。
この時代、この報告書にあるようなことを発言すれば「原子力村のイヌ」「東電からいくらもらった」と呼ばれたものです。

まずは福島風評を煽った悪人どもを列挙しておきます。

・武田邦彦・「2015年3月には日本に住めなくなる」「東北のものを食べたら死にます」と発言。
・上杉隆・ 「福島・郡山には人住めない。人が住める数値ではない」と発言。
・岩上安身・ 「お待たせしました。福島の新生児の中から先天性的な異常を抱えて生まれてきました。スクープです」と発言。
・早川由紀夫・ 「農家は毒をばら撒くテロリストだ」「殺意があったと解する」「貧乏人は福島の米を食って死ね」と書いた。
・広瀬隆・「 原発事故の拡大はもう止められない。このままでは大量死が出るが、うちの娘のサプリでなおる」と書き、放射線専門家を訴訟した。ちなみにこの娘サプリは偽薬。
・雁屋哲 ・「福島はもう人が住めない。逃げる勇気を持て」という「美味しんぼ」の原作を書いて福島県から抗議を受けた。
・クリストファー・バズビー ・「40万人がガンで死ぬ」と言った。
・山本太郎・震災瓦礫反対運動を煽った。

彼らは、海洋放出と聞きつけると出番だと思ったようで、山本太郎は自らの率いるれいわ新撰組のこんな英文の政府方針反対宣言を出して、中国と「共闘」しようとしています。
れいわ新選組は、2023年8月24日の岸田政権による放射能汚染水放出の撤回を求める声明

一方、武田の参政党は放出反対を主張しています。

彼らは一切の震災瓦礫はケガレているとして、身体を張って受け入れ拒否するという醜い「反原発闘争」を全国で展開します。

 

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当時被災地では、膨大な震災瓦礫が被災自治体の処理能力を越えていました。
処理できない瓦礫は被災地に山を成して積み上がり、支援物資を運ぶ道路すら開通できない地域が出ました。

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出典不明

これを被災しなかった自治体が引き受けていこうとする被災地支援に反対したのが、彼らの運動でした。
反対運動は、「核のゴミの全国処理をゆるすな」と叫びました。「核のゴミ」とは原発から出る低レベル廃棄物、あるいは使用済み燃料などのことであって、震災瓦礫のことではありません。
それを反対派は、「核のゴミ」という過激な表現で煽って、人々に恐怖心を植えつけていました。

それは今の日常生活で既に放射能に犯されているという脳内地獄を生みました。
たとえば朝日は新聞協会賞を受賞した『プロメテウスの罠」でこんなことを書いています。

「有馬理恵(39)のケース。6歳になる男の子が原発事故後、様子がおかしい。4カ月の間に鼻血が10回以上出た。30分近くも止まらず、シーツが真っ赤になった。(中略)
 原発事故後、子どもたちの体調に明らかな変化はありませんか」。すると5時間後、有馬のもとに43の事例が届いた。いずれも、鼻血や下痢、口内炎などを訴えていた。(中略)
こうした症状が原発事故と関係があるかどうかは不明だ。首都圏で内部被曝というのは心配しすぎではないかという声もある。しかし、母親たちの不安感は相当に深刻だ。たとえば埼玉県東松山市のある母親グループのメンバーは、各自がそれぞれ線量計を持ち歩いている」
(朝日新聞「プロメテウスの罠」2011年12月2日)

もちろん急性被爆でもしないかぎり鼻血などでるはずがありません。
朝日がネタもとにしたこの「有馬」という女性は、共産党系の反原発運動家だということがわかっています。
これが放射能鼻血デマです。いまではお笑いですが、大きく拡散して母親たちを恐怖に陥れました。
このような煽りをする人たちは、実際の状況を見ないで、その人の頭の中にある脳内地獄を見ているだけにすぎないのです。
そしてこういう風評が被災地住民、特に子供たちを傷つけていることをわかろうとしません。
そして日本人全体で支えねばならなかったはずの被災地を孤立させ、復興を大幅に遅らせました。

それはひとつに1ミリシーベルトといった常軌を逸した厳しい基準で除染作業を開始したこと。
あるいは被災地整理で出た瓦礫処理が遅れたことです。
なぜ遅れたのでしょうか。それは各地の「瓦礫搬入阻止闘争」のためです。
はっきり言いますが、私は今までこれほど醜悪な「闘争」を見たことがありません。
「放射能を全国に拡げるな」というわかったようなわからないようなお題目で、まったく放射能汚染がなかった被災地の瓦礫まで拒否するにいたっては、いかなる名分も彼らにはありません。
国は被災地に処分場を建設して現地雇用を創出しつつ処分するしかなくなりました。

たとえばこの人たちのイメージはこうです。
農地はチェルノブイリ並の放射能にまみれ、山野には積もった放射性物質が堆積していて、常に川に流れ込んでいる。
作物は放射能で汚染され、今でも多くの作物が秘かに捨てられている。
除染をやってももきりがない、除染しても救われないほど放射能がしみ込んでしまっているからだ。
子どもたちにガンが出ていても、政府は隠している。実際は数万人がガンで多くが死んだという噂だ。
そして福島にはもう住めない、福島に子供を行かせるな。

最悪のデマッターのひとりであった武田邦彦はこう述べています。
今はシャラっと忘れて保守論客のような顔をしているようなので、忘れさせないために掲載しておきましょう。


原子力と被曝 福島で甲状腺ガン10倍。国は子どもの退避を急げ! 武田邦彦
国は直ちに次の事が必要です。

1)高濃度被曝地の子どもを疎開させる(除染は間に合わない)、
2)汚染された食材の出荷を止める、
3)ガンになった子どもを全力で援助する、
4)除染を進める。また親も含めて移動を促進する。
5)「福島にいても大丈夫だ」と言った官吏を罷免し、損害賠償の手続きを取る。
日本の未来を守るために、大至急、予防措置を取ることを求めます。
2013年2月14日武田ブログ
http://takedanet.com/2013/02/10_6a83-1.html

究極の無責任男・武田邦彦氏の「不都合な真実」: 農と島のありんくりん

武田は「東日本は住めない」「福島から子供を疎開させろ」「東日本の食物は食べたら死ぬぞ」などという流言蜚語を大量に社会にまき散らしました。
この男が大量の自主避難者を出した張本人です。

参考資料http://www.gepr.org/ja/contents/20150309-01/

「被曝」地で孤立する私たちに対して、2011年春から夏にかけて激烈なバッシングの嵐が浴びせられました。
出荷物は東日本産であるだけで市場から追い返され、農家はトラクターで売れない作物を踏みつぶし、牛乳は地面に捨てられました。農家から自殺者すらでたのがこの時期です。
なおも発信を止めない私のブログには連日、「お前らが農業を止めるのが一番の復興の道だ」とか、「お前は毒を国民に送る無差別テロリストだ」「税金をかけてこいつらを助けないでください」「東日本には壁を作って囲ってしまえ」というような罵詈雑言が連日浴びせられました。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-6638.html

復興を大きく遅らせたのは、この放射能に対するデマッターたちの流言蜚語、そしてそれを拡散した朝日、毎日、東京などのメディア、さらにはそれをコントロールしようとしなかった当時の政府の度し難い無能にあります。
このデマをまともに受けた数万の家族が自主避難者になったのもこの頃です。彼女たちは住み慣れた家と地域を捨て根無し草になってしまいました。

デマッターたちは、福島事故の影響をこれでもかというほど誇張してみせて、口では被災者を救えなどといいながら、実際はサディスティックに叩きのめしていました。
彼らは福島事故が悲惨であると叫べば叫ぶほど、まるで自分たちの反原発の主張が国民に浸透すると勘違いしており、福島県をわざわざ「フクシマ」と表記しました。
そこには、どうか福島県が「ヒロシマ」のようであって欲しい、どうかチェルノブイリのように悲惨であってほしい、もっと福島が地獄でないと困る、という卑しい願いが込められていました。

これが2011年夏の真実です。

 

 

 

 

2026年3月12日 (木)

リスク管理の失敗・1ミリシーベルト

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福島事故後、石垣島や本島に大量の自主避難者が「脱出」しました。 
有名な歌人までいるようですが、これらの人たちの脳内地獄をなんと評してよいものやら。 
当然の結末として、彼らの大部分は失業や一家離散などを引き起し、気持ちよく受け入れた島の地域にも大きな負担を残したようです。 
これについては、いくつか記事を書いておりますので、ご覧ください。

※関連記事
自主避難者の終わらないディストピア: 農と島のありんくりん
自主避難者は心気症にすぎない 脳内被曝地獄から抜け出せ: 農と島のありんくりん

彼女たちの多くは、計画的避難地域の外から逃げ出しており、「被曝」とほぼ無縁だった神奈川県や宮城県の人までいます。 
私の生きる地域のような、確実に「被曝」した地域ならまだしもわからないではありませんが、まったく「被曝」と無縁な地域から逃げ出してしまうというのは、いかに彼女たちがひどい放射能パニックに襲われていたのかわかります。 
むごい言い方になりますが、彼女たちは「被害者」であっても、それは「デマの被害者」という意味においてです。

そのデマの発信源は、当時マスコミや運動家を中心として星の数ほどいましたが、本来、民間のデマを抑える立場の民主党政権自身が発信源になってしまっていたために、いっそうパニックを煽ることになりました。

Photo https://mobile.twitter.com/okinawa_yasai

さて、なぜこの1ミリシーベルトの除染などということを、政府は決定してしまったのでしょうか。 
いちおう「科学的根拠」らしきものはあります。それが国際放射線防護委員会(ICRP)が2008年に出した「勧告111」です。


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ICRPは1950年に設立された民間団体ですが、国連の傘下にあって、放射線防護の国際的機関として認められています。 
同じ国連機関で、福島事故の調査結果を発表した機関にUNSCEAR(国連放射線影響科学委員会/略称・国連科学委員会)があります。 
ただしこのふたつの機関は、性格がちょっと違っています。 
ICRPの仕事は、放射線の「リスク管理」です。 

「リスク管理」(Risk  Management)の基本は、想定されるリスクが起こらないようにするために、そのリスクの原因と なることの防止策を検討し、実行に移すことです。 
一方、国連科学委員会の仕事は、「リスク評価」(risk evaluation)です。 

リスク評価とは、事故のリスクとその大きさが、受容可能かどうかを分析して判定することです。

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この国連科学委員会の福島事故に対するリスク評価結果は、2014年4月に既にでています。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/unscear-0b78.html


国連科学委員会 (UNSCEAR)報告書要旨
①日本国民の総被曝線量(集団線量)は、甲状腺がチェルノブイリ原発事故の約30分の1
②全身が10分の1
③チェルノブイリと比べて、放射性ヨウ素131の総放出量は3分の1未満
④セシウム137は4分の1未満
⑤ストロンチウムやプルトニウムは「非常に微量」
⑥(がんが増加しても非常に少ないために)見つけるのは難しい
⑦「福島はチェルノブイリではない」

ひとことで言えば、国連科学委員会の「リスク評価」の結論は、「福島はチェルノブイリではなかったし、住民のガンの発生が増加することは考えにくい」と明確に述べています。
ではなぜ、私がこの「リスク管理」と「リスク評価」の違いにこだわるのかといえば、民主党政権がこれを混同したからです。
たとえば、100ミリシーベルト以下の危険性について、「リスク評価」の立場は「疫学的因果関係が認められないために、限りなくないと思う」と答えます。 

それに対して「リスク管理」の立場は、前者と同じ見解に立ちつつ「放射線被ばくは少ない方がよい」という立場を取るがゆえに、100ミリシーベルト以下まで影響があるかのようなLNT仮説(閾値なし仮説)をいまでも認めています。 
ただしこれはあくまで放射線防護の「哲学」のようなもので、科学的「知見」ではないのです。

 

Photo_2東京新聞2011年7月20日より

このLNT仮説があくまでも「リスク管理」の目安だと知らないで、この100ミリシーベルト以下にまで、機械的に適用すると、「2ミリシーベルトよけいに浴びると、200万人の福島県民のうち、がんで亡くなる人が200名増える」などといったトンデモを言い出すようなります。
事故当時、日本にやってきた「放射能デマ業界の世界的権威」であるクリストファー・バスビーなどは、「フクシマでは40万人がガンになる」と叫んでいましたが、同じ理屈です。

ICRP自身が、「実効線量は、特定した個人の被ばくにおいて、確率的影響のリスクを遡及的に評価するために使用すべきではなく、またヒトの被ばくの疫学的な評価でも使用すべきではない」と言明しています。
しかしこれをゴッチャにしたのが、当時、世間に掃いて捨てるほどいた低線量被曝心身症の人たちです。 

一般人ならともかく、政府自らがこれをゴッチャにして避難や除染基準を作ったり、食品基準を作ってしまったのですから、たまったものではありません。
このように1ミリシーベルト問題の根は、「リスク管理」に対する勘違いにあります。

ICRP自身も1~20ミリシーベルトと「勧告111」で述べているように、緊急時には平時とちがう規制値が適用されるべきでした。
仮に20ミリシーベルト以上であったとしても、これが原因で小児ガンや甲状腺ガンになる可能性はほとんど考えられません。
それを自らの事故処理の不手際が引き起こした放射能パニックに怯えた民主党ポピュリスト政権は、1ミリシーベルトなどというこれ以上下はないという下限の数値を規制値としてしまったのです。

ここからいかなる超微量の放射線でも生涯を引き起こすという放射能心身症である低線量被曝恐怖症が誕生しました。

 

2026年3月11日 (水)

復興を遅らせた1ミリシーベルト除染という愚行

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3.11が近づくと必ずテレビに登場するのは黒シートをかぶされた除染土です。
そしてメディアは、お約束で「復興はまだ遠い」と嘆いてみせます。

「除染土」とは、福島第一原発事故で放出された放射性物質を取り除くと称して行われた「除染」作業によって発生した土を指します。
汚染された表土を削り取って除去したもので、除染土は、以下の方法で管理されています。
 保管場所には2種類あり、「中間貯蔵施設」は 福島県大熊町と双葉町にある中間貯蔵施設で一時的に保管されています。
2025年8月末時点で約1413万立方メートルがすでに搬入されています。
また「一時保管施設」は、 福島県外の岩手、宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉の7県でも、約33万立方メートルの除染土が約29000か所に一時保管されています。

ではこの除染の基準はどこに置かれているのでしょうか。
それが1ミリシーベルトです。福島事故当時の民主党政権は、除染作業によって年間追加被ばく線量を1ミリシーベルト以下にすることを目指す目標を設定しました。
本来、この数値は放射線防護措置の効果的な目安にすぎず、「これ以上被ばくすると健康被害が生じる」という限度や「安全」と「危険」の境界を示すものではありませんでした。

しかし現実には、汚染地区の表土をひたすら剥ぐ除染作業こそが、周辺住民の年間追加被ばく線量が1ミリシーベルト以下となる作業だと見なされ、帰還が大幅に遅れ、さらには大量の「除染土」の処分問題を派生させてしまいました。
1ミリシーベルト除染は過剰な除染活動であり、避難民に故郷への帰還をあきらめさせ、避難地域を著しく荒廃させました。

ではなぜ、「1ミリシーベルト」なのでしょうか。
これは民主党政権時に定めた規制値でした。
この背景には、当時世間を覆っていた放射能への過剰反応による、「1ベクレルでも低線量被曝して多臓器疾患を起こす」「事故前はゼロだったんだからゼロに戻せ」というような脱原発派の「民意」がありました。 
これにおびえたのが当時の民主党政権でした。民主党政府は、事故収束に失敗しただけではなく、情報を隠匿したり、朝令暮改の発表をしたあげくリスクコミュニケーションに失敗しました。

その結果、国民にいらぬ動揺を与えてしまい、生み出されたのが「ゼロベクレル主義」と私が呼んでいる過剰に放射能の被害を恐怖する心身症でした。
首都圏を中心としてあらゆる地域に子供を持つ若い母親たちのサークルができます。

シーベルトは、外部被曝や内部被曝で実際に人体が影響を受ける放射線量を表す単位として、「1時間あたり1ミリシーベルト」のような形で用います。
ベクレルは本来持っている放射線量の量であることに対して、シーベルトはそれかどれだけ人体に影響のあるのかを示した数値を表しています。
「1ミリシーベルト」は1シーベルトの1000分の1です。 

(長くなりすぎたので、半分をあすに回します)

2026年3月10日 (火)

イラン、ハメネイの息子を「最高指導者」に選出

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モジタパというハメネイの伜がイランの「最高指導者」になったそうです。やれやれ。
イランがどうしてこんな余裕のない選択をしてしまったのか、ヒトゴトながらため息がでてきます。
これでイランの選択肢は極めて狭まりました。
空海軍の軍事力は破壊され、地下のミサイル基地もしらみ潰しされ、残るは革命防衛隊だけといった状況で、和平を拒んで徹底抗戦しようということのようです。愚かな。

「イラン国営メディアは9日、殺害された最高指導者アリ・ハメネイ師の後継者として、息子のモジタバ・ハメネイ師(56)が「専門家会議」によって選出されたと報じた。
アリ・ハメネイ師は、アメリカとイスラエルによる2月28日の最初の攻撃で、首都テヘランの自宅敷地内で殺害された。それを受け、宗教指導者らで構成する「専門家会議」が後継者選びを進めていた。イラン国営テレビは9日、司会者が専門家会議の声明を朗読。「厳しい戦時環境と、敵がこの国民的機関を直接脅し、専門家会議の事務局事務所への爆撃で数人の職員と警備隊員が殉教したにもかかわらず、イスラム体制の指導者を選出し公表するプロセスは一瞬たりとも中断しなかった」とした。
司会者は続けて、「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)、アッラーフ・アクバル、ハメネイ師が指導者だ」と大声で唱えた」
(BBC3月9日)
イラン最高指導者にモジタバ師、専門家会議が選出 父ハメネイ師の後継者に  - BBCニュース
モジタパ以外にも有力な候補はいたはずです。
治安機関を握っていたからといって、なにもハメネイの伜を持って来る必要はなかったはずです。
エルサレムポストはこう評しています。

「もしイスラム共和国が以前の軌跡をたどっていたら、元聖職者大統領の一人を選ぶことが予想されていたかもしれない。最も妥当なのは、ここ数か月でその役割を担うために自らを位置づけているように見えるハッサン・ロウハニだろう。
モジタバを選んだことで、イスラム共和国は事実上一線を越えた。かつては世襲支配に反対していた体制は、今やそれを容認し、イデオロギーの一貫性よりも継続性と統制を優先しているように見える」
(エルサレユポスト3月10日)
The ascendency of Khamenei Jr was a long-planned improvisation | Iran International

エルサレムポストは伝統あるイスラエルの新聞ですが、情報こそ命としてまるで兎のように長い耳を養ってきたイスラエルらしく冷徹な情報を載せます。
いまでも革命防衛隊を「精鋭」と呼んだり、あろうことかイランを「親日国」と呼んで憚らないどこぞの国のメディアとは大違いです。
ここでエルサレムポストが「一線を超えた」と書いたのは、イラン・イスラム共和国は前体制のパーレビー王朝の世襲を強く批判する革命によって樹立されたはずだったからです。
つまり世襲禁止は国是でした。
なぜなら、これは単なる国の指導者選びではなく、「預言者ムハンマドの後継者」選びだからです。
「予言者の後継者」!こんな選択基準を持つ国はイラン以外にないはずです。
「モジタバの選出は、これらの考慮が今やはるかに軽いものであることを示唆している。彼が昇格したのは宗教的地位や行政経験、公的地位ではなく、主に治安機関との繋がりによるものだ。
もしイスラム共和国が以前の軌跡をたどっていたら、元聖職者大統領の一人を選ぶことが予想されていたかもしれない」
(エルサレムポスト前掲)
20260310-003010

実際、ハメネイは 2024 年に開催された専門家会議において、モジタバを後継者とすることを否定していますし、初代ホメイニは自身の家族が政治的な権力争いに参加すること自体を禁じました。
それがわずか三代で覆ったわけで、国民の人気もなければ、実績は治安機関の元締めていどの経歴しかないモジタパを据えざるをえなかったということは、血筋による求心力を求めたということになります。
言い換えれば、ここまで弱体化が進んでしまったということでしょうか。

モジタバには悲しいくらいたいした経歴はありません。
ただの中級幹部で、親がハメネイでなければ実直な中級文官として生涯を終えたような人物です。
1969年、イラン北東部のマシュハドで、前最高指導者のアリ・ハメネイの息子に生まれたのですから、血筋としては「ハヘネイ王朝の王子」です。

高校卒業後、イスラム革命防衛隊に入隊し、イラン・イラク戦争に従軍しましたが、どのような軍歴があったのかはよく分かっていません。
あの戦争時、ろくな装備もなく大量に前線に送られて屍の山をさらした世代です。
「イラン・イラク戦争(1980~88年)に出征し、革命防衛隊のハビーブ大隊に所属、この部隊は後にイスマイル・コウサリをはじめとする多くの上級司令官を輩出したことで、モジュタバの革命防衛隊コネの強化につながりました。モジュタバは革命防衛隊の情報機関の元長官ホセイン・タイエブとも特に親密な関係にあり、同組織の活動に影響力を持っているとも言われています」
(飯山陽note)
この時代に同世代だった革命防衛隊の現幹部層とコネクションを結んだようで、これは今に活きています。
革命防衛隊は打てば響くように「かつての占有」にして今のボスであるモジタバ選出に歓迎と忠誠を表明しました。

「3月9日 AFP】イラン革命防衛隊(IRGC)は8日、モジタバ・ハメネイ師が最高指導者に選出されたことを歓迎し、「完全な服従と自己犠牲の準備ができている」と述べた。
IRGCは声明で、モジタバ師が今後下す「神聖な命令を遂行するために、完全な服従と自己犠牲の準備ができている」と述べた」
(AFP3月9日)
イラン革命防衛隊、モジタバ師の最高指導者選出を歓迎 「完全な」忠誠を誓う 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

それはさてはき、モジタバはシーア派の聖地コムで神学を学び、神学校の教職にも就きましたが、教えていたのはムジュタヒドの地位を得るのに必要な最高レベルのイスラム法学の授業を教えていました。
ムジュタヒドとは、イスラム神学・法学において、イジュティハード教義決定および立法を行う者を指す言葉だそうで、今回モジタバを選出した「専門家会議」88名はすべてムジュタヒドで構成されています。
ここまで書いて来たらお分かりでしょうが、反米強硬派、超保守派、超強硬派で、超反イスラエルです。
いいんですか、下手すりゃ国を滅ぼしますよ。




 

2026年3月 9日 (月)

イラン大統領が謝罪だそうです

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ナニを言っていやがるというようなことをイランが言い出し始めました。
各種ありますが、まずこれ。

驚くべきことに、ペゼシュキアン大統領は中東諸国に対しては謝罪さえ口にしています。
国軍司令部はホルムズ海峡は封鎖しないと言い出しました。

「イラン軍報道官は6日、国営テレビのインタビューで、海上輸送の要衝ホルムズ海峡について「封鎖しておらず、するつもりもない」と述べ、米国とイスラエルに関係しない船舶の通過を認めることを明らかにした。産油国が多いペルシャ湾岸諸国との関係を意識した発言とみられる。
報道官は「海峡を通過したい船舶は航行が許される。米国とイスラエル関係の船は攻撃する」と説明し、船籍次第で異なる対応をとる方針を示した。これまで精鋭軍事組織「革命防衛隊」の関係者はホルムズ海峡を封鎖したと発言しており、態度を軟化させた。

イランは米イスラエルの攻撃に対する報復として、米軍基地のある近隣諸国を攻撃してきたが、マスード・ペゼシュキアン大統領が7日に中止を発表。報道官の発言は、近隣諸国との関係改善を試みる政策が反映されている可能性がある」
(読売3月7日)
イラン軍、ホルムズ海峡を「封鎖しておらずするつもりもない」…産油国との関係意識し船籍次第で通過認める方針(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

そりゃそうでしょうとも。
イランは全方向に戦いを挑んでしまいました。
すでに13カ国に登り、いまや中東域外のトルコまで含まれている始末です。
もっとも酷く攻撃を受けているUAEの場合、イランから発射されたミサイルやとドローンによる攻撃はこのようになっています。

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特に大きな被害を受けたのはUAEはドローンだけで千発を越え、弾道ミサイルも2百発に及んでいます。
攻撃も米軍基地のみならず、民間施設、石油関連施設にひろがっていて甚大な被害を出しています。
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UAE
ちなみにUAEは日本に対する原油輸出のサウジと並ぶ最大国のひとつです。
イランなどは経済制裁もあってものの数ではありません。
日本は世界有数の石油備蓄国ですから、直ちに原油不足にはつながることはありえませんが、わが国経済と直結しているということはあたまに置いて下さい。
日本もUAEになんらかの支援をするべき時です。
いままで原油を下さいとペコペコしておいて、窮地におちいったら懐手では済まされませんよ。
海賊対処で行っている哨戒機を直ちにホルムズ海峡空域に飛ばして下さい。
掃海艇も有効です。
それはさておきペゼシュキアンは謝罪をしています。

「イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は7日、アメリカとイスラエルによる攻撃を受けた自国が、湾岸諸国など周辺国を攻撃したことについて、「謝罪する」と表明した。一方で、無条件降伏を拒否し、イランは「最後まで戦う」と述べた。これに先立ちドナルド・トランプ米大統領は前日、イランの無条件降伏を要求していた。トランプ氏はイラン大統領によるこの演説を受けて、イランは周辺諸国に「謝罪し、降伏した」と強調した。しかし、周辺諸国はイランからの攻撃が続いていると報告している」
(BBC2026年3月8日)
イラン大統領、近隣諸国に謝罪するも降伏は拒否 イランからの攻撃続くと周辺国 - BBCニュース

ペゼシュキアン大統領は「攻撃された周辺国に謝罪する必要があると私は考える。我々は周辺国への侵略を意図していない」と述べています。
大統領がこのように言うというのは通常は和平を望むという意味ですが、どうやらそうではないようです。
残念ながら、ISW(国際戦争研究所)はペゼシュキアンは無力だと突き放しています。
イランは、マスード・ペゼシュキアン大統領がイラン領内からの攻撃を停止するよう命じたにもかかわらず、湾岸諸国に対するドローンおよび弾道ミサイル攻撃を継続した。
 2機のイラン製ドローンが3月6日午後3時(東部標準時)から3月7日午前8時(東部標準時)にかけてアラブ首長国連邦(UAE)領内を攻撃し、ドバイ国際空港への攻撃も含まれていました。
3月6日から7日にかけてのイランのドローンおよび弾道ミサイル攻撃は、サウジアラビアの米軍基地、サウジのエネルギーインフラ、民間インフラも標的としました。サウジ国防省は、イラン製ドローン8機と弾道ミサイル1発を迎撃したと発表した。[3] プリンススルタン空軍基地の米軍を標的とした別のミサイルが無人地帯に落下した」
(ISW3月7日 太字原文)
イラン・アップデート朝の特別報告、2026年3月7日 |ISW
大統領職とは元首のことですから、国家のトップかとおもいきや、イランでは中間管理職でしかありません。
だから選挙で国民が選ぶことが(あくまで形式的にはですが)可能なのです。
イランの全権を握る「最高指導者」は、わが国やヨーロッパ諸国のような国家統合の象徴ではなく文字通りの実力を持っています。

ここに座ったのはイスラム革命以降わずか2名。初代が悪名高きカリスマ指導者のホメイニ、二代目が今のハメネイで、いずれも高位のイスラム法学者でした。
3代目と目されていたのが、事故死したライシでした。

この「最高指導者」が、日欧の立憲君主制と根本的に違うのはふたつの「力」を持っているからです。
「最高指導者」は大統領選挙の候補者を選ぶことができます。
え、国民が投票で選ぶんじゃなかったのと思うのは甘い。

その候補の選定は「最高指導者」が行うのです。
こういうのを言葉の正しい意味で「選挙」とは呼ばないはずですが、大統領選挙に出るには、最高指導者の影響下に置かれた「監督者評議会」(専門家会議)の承認を得なければなりません。
この監督者評議会のメンバー12人のうち6人は最高指導者が任命し、残り6人は司法の長が指名します。

ライシが司法の長だった時代に指名した人間がこの6名の中には含まれています。
つまり、「最高指導者」のペット以外に立候補すらできないのです。

そして第2に、例の悪名高きコッズ部隊を擁する革命防衛隊の指揮権を持っています。
ですから、イスラエルに盛んにテロ攻撃を仕掛けているコッズ部隊は、直接に「最高指導者」が司令官を任命し、その命令で動いているということになります。
国軍は政府の統制が効きますが、革命防衛隊は「最高指導者」の直轄なので、なにをしているのかさえも政府が掌握してはいないようです。

イラン革命防衛隊(IRGC)は、軍隊のように見えますし、実際国軍並の軍事力を持っていますが、国軍とはまったく別系列の軍隊です。
この戦争で米軍に沈められた「空母」はなんと革命防衛隊が所有していました。
革命防衛隊は、国軍よりも優秀な装備と予算を優先的に配備され、しかもハメネイにしかコントロールできません。
もちろんペゼシュキアンごときには指一本動かす権限はないのです。

したがって、イラン戦争の今後の動向はこの革命防衛隊が握っているということになります。
これが独裁者であるハメネイを殺されて、てんでバラバラ、です。
ある者は逃亡し、ある者はヒジャブをかぶって病院に逃げ込み、ある者は徹底抗戦を叫んで地下濠に潜り、一般兵士は置き去りというありさまのようです。
まるで大戦末期のドイツか日本みたい。

エルサレムポストはこう伝えています。

「イスラエルと米国によるイラン政権への攻撃が続く中、イスラム政権の軍の一部将校は兵舎を放棄し、指揮下の兵士たちを警備任務に残したと、複数の徴兵兵がイラン反体制派メディア『イラン・インターナショナル』に語った。(略)
ある兵士は同メディアに対し、多くの指揮官がストライキを恐れて自らの陣地を放棄し、徴兵兵士を支援なしで置き去りにしたと語った。
また、アメリカやイスラエルの攻撃を恐れる一部の兵士は、空爆を受けることを恐れて基地外の開けた場所で夜を過ごしていると兵士は述べ、指導部が正規軍のニーズに十分に注意を払っていなかったと付け加えた」
(ミルサレムポスト3月6日)
Iranian officers abandoning posts, regular soldiers | The Jerusalem Post 

たまに徹底抗戦派がミサイルをぶっ放しますが、直ちに監視衛星が発見し、数分後にはパトロールしているF35に空爆をしかけられて潰されます。
そしてしばらくするとB1が飛んできて周囲をまんべんなく徹底的に空爆していくのですからたまらない。

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Xユーザーのトランプ氏 発言速報さん X

米軍からすれば地下に隠すよりむしろ撃ってほしいくらいなもので、撃っても確実に迎撃されます。
つまり軍事的にはもう決着がついているのです。
もうミサイルを打ちたくても撃てません、ジェラルド・フォード空母打撃群が海峡を通過して展開した以上、ホルムズ海峡の封鎖も不可能です。
原油価格の上昇などの余波は残り続けるでしょうが、時間の問題です。
あとはイラン国民が自分たちの国をどうするかにかかっています。

 

2026年3月 8日 (日)

日曜写真館 寒釣のこっちも見ずに釣れねェと

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夜が明けて釣人のゐし水葱の花 志賀青研

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星空のさむき夜明よ地に寝て 長谷川素逝

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釣り人雨晴るゝを知る 尾崎放哉

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寒釣をものまね鳥の囃すなり 太田 蓁樹

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波を食う巨人が歩く夜明けの浜  金子兜太

 

 

2026年3月 7日 (土)

イランを「世界一の親日国」と呼ぶ倒錯

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国際法違反糾弾というスタンスは、「イランは世界一の親日国だから助けよ」というドグマと対になっています。
たとえば昨日も紹介した朝日社説の結語はこうです。

「日本は米国の同盟国でありながら、イランとも長く友好関係を維持する独自の立場にある。トランプ政権1期目には、緊張緩和のため当時の安倍首相がハメネイ最高指導者と会談した。邦人保護に全力をあげるとともに、戦争を終わらせるための外交努力も怠ってはならない」
(朝日社説3月2日)
(社説)イラン最高指導者殺害 外交より武力頼みの危うさ:朝日新聞

橋下氏も朝日の論調とまったく同じことを言っていますし、共産党も声を揃えて同じことを言っています。
イラン攻撃 国連憲章違反は明白/米・イスラエルの「先制攻撃」 「自衛」といえず認められぬ | しんぶん赤旗|日本共産党

国際政治のリアリズムをまったく理解していない空論であり、そもそもイランが「親日」だったことなどパーレビの時代であって、今の神権支配になってからは、ありがたくも分け隔てなく平等にわが国のタンカーを攻撃して頂いています。
「親日国イラン」というのは、外務省アラブスクールと学界アラブ屋の妄想にすぎません。

そもそもイランとはどんな国だったたのでしょうか。
この37年間、イスラム坊主が率いる神権政権は国民を飢餓線上に置き続けました。

「イラン社会は久しく困窮下にある。ウィーン国際経済研究所(WIIW)のイラン経済専門家のマフディ・ゴドシ氏は1月17日、オーストリア国営放送(ORF)とのインタビューで「イラン経済全体、特に銀行部門は破綻している。猛烈なインフレ、通貨の切り下げ、投資資金の不足、汚職、そして操作によってのみ達成される国家予算という悪循環下にある。
その結果、人々は生活必需品を買う余裕がなくなり、食費を減らさざるを得なくなっている。国民の約3分の1が絶望的な貧困の中で生活している一方、イスラム政権トップの腐敗と汚職、縁故主義が拡散している」という」
(ウィーンコンフィデンシャル長谷川良3月2日)
ムッラー政権が過去行ってきた犯罪歴 : ウィーン発 『コンフィデンシャル

イランはある種の「社会主義国」で、イランの企業の8割は国有企業で、しかも政府とイスラム宗教組織、革命防衛隊などのコングロマリット(複合企業)によって支配されています。
いわば共産国家が共産党に連なる国有企業で独占されているように、イスラム原理主義団体が牛耳る社会です。
したがって民間企業はほとんど存在しません。
あるのはハメネイが管理するセタードだけです。

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ロイター

「-イランの最高指導者ハメネイ師が、同国の年間石油輸出額を上回る資産規模のビジネス帝国を築き上げていることがロイターの調査で明らかになった。
セタード(Setad)と呼ばれるこの組織は、金融、石油、通信、医薬品をはじめ農場に至るまで産業全般に影響を及ぼしており、ハメネイ師の権力を示すカギのひとつでもある。イラン国民や在外イラン人などの資産を体系的に接収することで成長してきた。また放棄されたとして法廷で土地の権利を主張して、多大な不動産も所有している。
組織の正式名称は「Setad EjraiyeFarmane HazrateEmam」。最高指導者だった故ホメイニ師が1989年に死亡する直前に発した布告では、1979年のイスラム革命の混乱により放棄された土地を管理する目的で機関を設立することになっていた。
設立者のひとりによると、貧困層や退役軍人を支援する目的で設立、2年間活動することになっていた。しかし四半世紀が過ぎ、不動産や企業などを保有する一大コングロマリットに成長した」
(ロイター2013年11月11日)
イラン最高指導者が築いたビジネス帝国、石油輸出上回る資産規模 | ロイター

いまや数十億ドル規模のコングロマリットに成長したセタードは、イマームの執行本部 (EIKO) によって運営され、宗教的少数派、実業家、追放されたイラン人などの財産を組織的に没収して、現在では石油産業から電気通信、金融、医療に至るまで、経済の他の多くの分野をその管理下に置いています。
このハメネイの経済帝国を軍事的に支えてきた勢力が、悪名高いイスラム革命防衛隊(IRGC)です。
彼らはハメネイ師に忠実な暴力装置であるだけではなく、石油とガス産業、建設と銀行を牛耳るコングロマリットでもあります。

またイラン革命防衛隊は、イラクやシリアですさまじいばかりの破壊テロ活動を行っており、中東の混乱の源泉となってきました。
黒井文太郎氏によれば、彼らは海外のイラン民主派勢力に対して国外であるにも関わらず容赦ない暗殺攻撃を続けました。

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イスラム革命防衛隊

「イラン人の暗殺は、欧州亡命組を中心に、1980年代から90年代にかけてかなり頻繁に行われ、少なくとも20か国以上で、計350人以上が殺害された。ただし暗殺作戦は、2000年代以降は比較的沈静化している。亡命反体制派の活動家たちが高齢化し、武力で体制を倒せるような存在ではなくなったからである」
(黒井文太郎2019年4月17日)
中東の最重要問題に浮上したイランの国家的テロ組織 ISよりも危険な存在、イラン「革命防衛隊」とは(後編)(1/4) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)

この執拗な大量暗殺のために、国外亡命グループは壊滅しました。
イランで専制政治が続くひとつの理由は、イスラム原理主義政権にとって代わる民主派勢力に指導者がいないためです。
それは全員殺害されてしまったからです。

次に標的にされたのが、イスラエルとユダヤ人です。
イランは、彼らの支配下にあるレバノンのシーア派組織「ヒズボラ」に指令してイスラエルに対してロケット弾攻撃を仕掛けました。
このヒズボラは、元来は革命防衛隊が82年に作ったレバノンのシーア派テロ組織で、83年にはレバノン駐留の米仏軍に自爆テロを行い、80年代に欧米人30人以上を誘拐したりしています。
これらの活動は、革命防衛隊の指令に従っており、革命防衛隊を通じてイラン指導部と直接につながっています。

いまやヒズボラの活動は、中南米にも及び、麻薬売買にも関わっています。
これらのダーティな資金を基にして、革命防衛隊は多くの国々の反政府テロ組織を作り、育成してきました。

「(革命防衛隊)クドス部隊は、外国のテロ組織を育成する工作も行った。スーダン、パレスチナ、レバノン、イラク、ヨルダン、トルコ、アフガニスタン、タジキスタン、エジプト、アルジェリア、リビア、チュニジアなどの反政府ゲリラを訓練し、テロリストに育て上げる工作である。クドス部隊の軍事顧問がこれらの国々に派遣されて指導することもあったが、イラン国内の訓練所で指導することもあった 」
(黒井前掲)

特にこの浸透工作が成功した地域は、イラク、シリア、イエメン、そしてパレスチナで、この地におけるテロ流血事件のほぼすべてに、イランが関わっているといっても過言ではありません。
よく日本のメディアや「イスラム専門家」たちは安易に「パレスチナの大義」とか「ガザ住民の抵抗」と美名で呼んでいますが、内実はこのハマスやヒズボラなどのイラン傀儡集団にとって替わられています。
それが露になったのが、このハマスの虐殺事件だったのです。

ところで2023年、ノーベル平和賞はイランの女性人権活動家に与えられました。

「ノルウェー・ノーベル委員会は6日、2023年のノーベル平和賞をイランの人権活動家ナルゲス・モハンマディ氏(51)に授与すると発表した。イランでの女性への抑圧と闘ったことが評価された。
ノルウェー・ノーベル委員会のベリト・ライスアンデシェン委員長は、モハンマディ氏は「イランでの女性への抑圧と闘い、すべての人の人権と自由を推進するために闘った」と受賞理由を説明した。
また、モハンマディ氏の闘いには「多大な個人的犠牲」が伴ってきたと述べた。
モハンマディ氏は、2003年のノーベル平和賞受賞者、シリン・エバディ氏らが設立した人権団体「人権擁護センター」の副代表。女性やマイノリティー、死刑囚の人権擁護などのために活動してきた」
(BBC10月7日)
ノーベル平和賞、収監中のイラン女性人権活動家に イランは「偏った」受賞と非難 - BBCニュース

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BBC

ノーベル平和賞委員会は、モハンマディ氏の受賞理由についてイランの「神権的な政権による、女性を標的にした差別と抑圧の政策」に対して、この1年間にデモを行った何十万人ものイラン人を評価するものだと述べています。
モハンマディ氏はこの指導者です。

この1年間のデモとは、22歳のイラン女性マーサー・アミニさんが、テヘランでイスラム教の服装規則を遵守せずヒジャーブ(ヘッドスカーフ)を正しく着用していなかったというささいな理由で宗教警察に逮捕され、警察署内で尋問中に死去した事件から始まっています。

「一方、クルド系のRudawメディア・ネットワークは、「彼女はヘッドスカーフが原因で警察官に殴打された。彼女の父親は娘の体に拷問の痕跡があったと主張している。彼女が以前に病気を患っていたという情報についても、父親は『娘は完全に健康だった』と述べた」と報じた。また、彼女の治療にあたったクリニック関係者は、「彼女は13日に入院した時に既に脳死状態だった」と証言したという」
(ウィーン発 『コンフィデンシャル9月24日)
10年遅れで「イランの春」到来するか : ウィーン発 『コンフィデンシャル』 (livedoor.blog)

この虐殺に対して、イラン全土で激しい抗議行動が勃発しました。

「(CNN) イランで道徳警察に拘束された若い女性の死に対する抗議デモが続くなか、当局は24日までに、街路に平穏が戻るまでインターネット接続を制限すると明らかにした。
イランではマフサ・アミニさん(享年22)の先週の死をきっかけに、数千人が街頭に繰り出して抗議を行っている。
アミニさんは首都テヘランで逮捕され、「再教育センター」に連行された。逮捕理由は頭部を覆うヒジャーブを適切に着用していなかったことだとみられる。
16日以降、テヘランを含む少なくとも40都市でデモが行われた。デモ隊は女性に対する暴力や差別、ヒジャーブ着用義務の撤廃を求めている。
デモは治安部隊との衝突に発展し、数十人が死亡したとの情報もある」
(CNN9月24日)
イラン、ネット接続を制限 女性死亡へのデモで死者増加 - CNN.co.jp

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イランでスカーフ巡り女性死亡 警察暴行疑惑、抗議拡大: 日本経済新聞 (nikkei.com)

ヒジャーブは宗教支配の象徴なのです。
イランは国内に対してはヒジャーブから髪一筋はみ出すことすら許さない専制的宗教国家であり、国外に対しては世界最大のテロ輸出国家でした。

このようなイランと「世界一の親日国」と自称して、それを中東外交の基軸としていたのがわが国だったのです。

 

 

2026年3月 6日 (金)

トランプが選んだ国際法の枠外

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高市首相がメルツ独首相と電話会談し、日本政府の立場を伝えたそうです。

「高市総理は5日、ドイツのメルツ首相と電話会談をおこない、中東情勢をめぐりイランの行動を非難しました。
高市総理とドイツのメルツ首相の電話会談は5日、午後5時からおよそ20分間おこなわれました。
電話会談では中東情勢をめぐり、イランの攻撃がエネルギー施設を含む民間施設や外交施設などに及び民間人の死者が出ていることから、高市総理はこうしたイランの行動を非難するなど日本の立場を説明したということです」
(TBS3月5日)
【速報】高市総理がイランの行動を非難 日独首脳電話会談で(TBS NEWS DIG Powered by JNN) - Yahoo!ニュース

あるいはこうも言っています。

高市早苗首相は2日午前の衆院予算委員会で、米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃をめぐり、「イランによる核兵器開発は決して許されないというのが我が国の一貫した立場だ」と述べた。その上で「事態の早期沈静化に向けて国際社会とも連携しながら、引き続き必要なあらゆる外交努力を行う」と語った。攻撃の是非については言及しなかった。
首相は「米国・イラン間の協議は、イランの核問題解決のために極めて重要であり、我が国として強く支持してきた」と述べた。「イランに対し、核兵器開発や周辺国への攻撃を含む地域を不安定化させる行動をやめるとともに、交渉を含む外交的解決を強く求める」と答弁。「中東地域の平和と安定、国際的な核不拡散体制の維持は我が国にとっても極めて重要だ」と語った」
(朝日3月2日)
高市首相「イラン核開発は許されない」 米国の攻撃の是非は言及せず [アメリカとイスラエル、イランを攻撃 報復も][高市早苗首相 自民党総裁][高市早苗首相]:朝日新聞

私はこれ以上今の段階で言う必要もないし、言えないと思います。
しかし橋下氏は
こう思ったようです。

「橋下氏は2026年3月1日放送の「日曜報道 THE PRIME」(フジテレビ系)にレギュラーコメンテーターとして出演、こう語った。
「一部の報道なんですけども、ドイツ政府が事前に(イラン攻撃の)連絡を受けていたと発表してるんですよ。日本の高市さんは(攻撃開始の時に)金沢の方に知事選の応援に行っていたということで、事前の連絡はなかったと思うんですよね」
イスラエルのメディアはイランへの軍事攻撃について、ドイツ政府高官は事前に知らされていたと述べたと伝えている。
橋下氏は「(それに比べて)どうなんですか、(アメリカの)日本の政府の扱いというのは」と不満そうだ」
(jキャストニュース3月4日)
橋下徹「高市首相はトランプ大統領に軽視された」、イラン攻撃の事前連絡ドイツにあって日本にはない?(J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース

だからなんなんですか。米国が開戦前に事前通告するのは直接の軍事的利害が関わる国に対してだけです。
劈頭のハメイニ爆撃は極秘に進められていましたから、その機密漏洩を恐れて極端に事前通告の幅は狭かったはずです。
NATOにはミサイルが飛んで来る可能性があるので仁義を切っておく国もあったいうことだけです。
遠い域外であり、軍事的にはなんの関係も持たない、さらにはスパイ防止法もないようなわが国には事前通告などなくても当然です。
秘密作戦を事前通告してもらいたければ、ファイブアイズと同等の機密保持機構を持つしかないのです。
まぁ仮に横須賀のジョージ・ワシントン空母打撃群が派遣されていたらあったかもね、そのていどのことです。
現状の同盟の信頼を損ねるものじゃありません。なにを大げさな。

あるいは橋下氏はこうも言っています。

「日本の対応ですけどもね、自民党と維新の今の政権って、中国にはものすごい強気なのに、アメリカにはからっきし弱いというのはちょっと情けないと思います。
中国に対して『国際法違反するな』と言うんだったら、アメリカに対してもそれは言うべきだと思いますよ。
ただ、そういうスタンスは前提としながらでも、トランプさんを目の前にして直接批判なんてできないんだったら、それぐらいある意味、『弱っちい自民党・維新の政権なんだ』ということを前提に、中国(関係)、ロシアとウクライナ侵略のときにも、やっぱり最後は政治的な妥結で解決するしかない」
(FNN3月3日)
橋下徹氏「中国にはものすごく強気なのに、アメリカにはからっきし弱いというのは情けない政権だなと思う」米のイラン軍事作戦めぐり弱腰対応批判「日本は『国際法は国際法』のスタンスを絶対曲げちゃいけない」(FNNプライムオンライン) - Yahoo!ニュース

中国やロシアと米国を同列に並べる前提自体話になりません。
高市氏は中国に「ものすごい強気」と仰せですが、あたりまえのことをあたりまえに言っているだけです。
今の橋下氏のスタンスがよく分かりますね。彼はどこかで昭和サヨクに逆戻りしていたようで、太田光といい勝負です。
というところで、さぁ出てきました。「国際法違法のトランプは許さんと言え」という朝日が好きな議論です。
朝日はこう述べています。

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イラン政府、デモの死者数約3千人と発表 人権団体は約5千人と報告:朝日新聞

「自分の意に沿わない国家元首は武力で排除する。こんな無法がまかり通れば、対等な主権国家が共存する国際社会の秩序は成り立たない。(略) 先制攻撃は自衛の範囲を超える予防戦争である。国連憲章は武力による紛争解決を、攻撃を受けた際の自衛か、安全保障理事会の承認を得た場合に限定している。今回の攻撃は、その要件をどちらも満たしていない。
 昨年6月のイスラエルによるイラン攻撃に続き、またも外交交渉の途中での武力行使となった。米国とイランを仲介したオマーンの外相が「大きな前進があった」と評価し、2日からは専門家による会合が予定されていた。
トランプ氏はイランに核兵器を持たせないための交渉だとしていたが、攻撃後にはイラン国民に「政権を奪い取れ」と体制転換を促した。協議は、米軍が中東に戦力を展開する時間稼ぎだったと見られても仕方ない」
(朝日社説3月2日)
(社説)イラン最高指導者殺害 外交より武力頼みの危うさ:朝日新聞

馬鹿だね。
なんでヨーロッパや中東諸国が国際法ウンヌンを理解しながら、表立った批判を差し控えているのか考えたことがあるのでしょうか。
まず、イランがいままで確信犯的に国際法の外でハマスやヒズボラを操り、中東各国の内政に干渉し続けてきたことを苦々しく思っているからです。
国連を信用できないのは、国連制裁を日常的にすり抜けて中国に原油輸出してきたことを知っているからです。
そしてその影でイラン核合意を骨抜きにして核兵器保有に邁進してきたからです。
そしてイランが核兵器完成に大手をかける寸前だったのは子供でも知っていることです。
また国内の民主化運動に残虐非道な弾圧をかけて万単位を殺戮し続けています。

ここで米国の攻撃を国際法違反だと批判してしまえば、では米国に国連制裁でもかけますかと問い返されることでしょう。
だからそんなことは言わないでぼやかすのです。

では、こんなイランを国際法が止めましたか?
国連憲章がストップをかけましたか?
国連安全保障理事会が機能しましたか?
まったく無力だった。態のいい時間稼ぎに使われるのがせいぜいでした。
つまりこういうことを「キレイゴト」というのです。

トランプは同じ土俵で戦おうとせずに、その枠組みの外を選んだ、ただそれだけです。
なぜならそれしか現実にイランの暴走を止める方法がなかったからにすぎません。
それをもう通用しなくなった「国際法と国連」の土俵から、違反だ違反だと叫んでも、トランプは馬耳東風でしょう。

そもそもイラン革命後、イスラム神権支配体制はいかなる国を作ってきたのかについてはあすに。

 

2026年3月 5日 (木)

ホルムズ海峡は封鎖されてなんかいない

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同時に様々なことが起きているのでアップアップしています。まぁ戦争とはこんなもんかもしれませんがね。
日本の株がドーンと落ちました。一気に57000円割れです。
原因はいうまでもなく、「ホルムズ海峡封鎖」に反応したのです。
株価は地政学的変動に猫のように敏感です。だからビクっと反応しますし、メディアはどこぞのエコノミストが日本のGDPがダダ下がりするぞ、というご託宣ばかりを流してあおりますのでご注意ください。
たとえばこんな調子。

「米国とイスラエルの対イラン軍事作戦に関連し、日本の実質国内総生産(GDP)が最大で0.65%下押しされるとの試算を、野村総合研究所木内登エグゼクティブ・エコノミストが1日、公表した。最も悲観的な想定では、日本が景気後退に陥る可能性があるとも指摘している。(略)イランに接するホルムズ海峡は、ペルシャ湾から原油を輸送する際の出口に当たる。木内氏は「日本は原油輸入の94%を中東地域に依存しており、それに用いられるタンカーの8割がホルムズ海峡を通るとされる」と指摘。海峡閉鎖は「日本への深刻な打撃になる」とした 」
(共同3月1日)
日本GDP最大0.65%下押し イラン作戦で、野村総研試算(共同通信) - Yahoo!ニュース

まぁね、これがイラク戦争のような泥沼になり、ホルムズ海峡が完全に封鎖されてしまって全くタンカーが通れなくなったなんてなればそうなるかもね。
ただこれは最悪中の最悪シナリオで、イランの力を過剰に評価する一方、米国や中東諸国の力をまったく視野の外に置いています。
メディアは日本滅亡が大好きですからそれを煽るのです

大前提がまちがっています。
事実として「ホルムズ海峡は封鎖」されていません。
イランは切り札として自滅覚悟でしたいのでしょうが、物理的に不可能です。
できたとしても一発二発ドローンをあてるくらいなもんで、そんなことでは船は沈みません。

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ホルムズ海峡

イランは元々海軍が貧弱な上に、今回の攻撃でほぼ壊滅状態です。
米軍は2月28日、イランの革命防衛隊の指揮統制施設、防空システム、ミサイルとドローンの発射基地、それに軍用飛行場、海軍基地を標的に攻撃しました。
特に念入りに叩いたのは防空施設でB‑2ステルス爆撃機は2000ポンド(約907㎏)の大型爆弾を用いて堅固に構築されたミサイルサイトを攻撃した。
これでほぼ完全にイランは航空優勢と海上優勢を失ったはずです。

このような状況で、残存する海軍ないしは革命防衛隊がとうやって機雷を敷設するのか、お聞きしたいもんです。
ホルムズ海峡を封鎖するために使えるのは、せいぜいがミサイルとまだ地下に大量に隠しているとイランが主張するドローンです。
侮ってはなりませんが、ドローンやミサイルだけでは海峡封鎖なんかまったく無理。

しかもタンカーには米海軍がエスコートをつけるとトランプは言っています。

「トランプ米大統領は3日、ホルムズ海峡を航行する石油タンカーやその他の船舶の安全を確保するため、米国が保険と海軍による護衛を提供すると明らかにした。イランとの軍事衝突によって懸念されるエネルギー危機を回避する狙いがある。
米国際開発金融公社(DFC)がペルシャ湾岸地域におけるエネルギーやその他の商業取引の流れを確保するため、「非常に妥当な価格」で保険を提供するとトランプ氏は説明。さらに、「必要であれば、米海軍は可能な限り早期にホルムズ海峡でタンカーの護衛を開始する」とコメントした。
「いかなる状況下でも、米国は世界へのエネルギーの自由な流れを確保する」とトランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿した」
(ブルームバーク3月4日)
トランプ氏、ホルムズ海峡航行で米海軍のタンカー護衛表明-保険も提供 - Bloomberg

2019年にも米国は有志連合を作って、この海域の自由航行を守りましたが、今回も同様のものを呼びかけるかもしれません。
今回英国やNATOは非協力的ですが、各国の利害が直接にかかわることだけにどうでるでしょうか。
日本も大部分の原油の通過する海域の安全を知らんとは言えないでしょう。

ところで、このように海上戦力でタンカーを守る以外にも、サウジやUAEにはホルムズ海峡を経ない陸上ルートが存在します。

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原油の陸上輸送4割増、サウジ検討 ホルムズ迂回へ - 日本経済新聞

「世界最大級の産油国であるサウジの油田は東部州に集中する。この地域と紅海沿岸を結ぶ1ルートのパイプラインが稼働しているが、日量500万バレルの最大輸送能力のうち約4割しか活用していない。
ロイター通信によると、サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は25日、パイプラインを通じた原油輸送について「必要ならば最大能力まで輸送を増やす」と指摘した。さらに「拡張工事で輸送能力を日量700万バレルに引き上げたい」とも述べた。同国の原油輸出量は直近で日量680万バレル強とみられ、パイプラインを計画通りに拡張すれば全量を陸上で運べることになる5
(2019年7月29日)
原油の陸上輸送4割増、サウジ検討 ホルムズ迂回へ - 日本経済新聞

今回、サウジはパイプラインを通じた紅海側からの出荷を表明しました。
サウジの原油生産量は日量720万バレル、東西パイプラインを使えば計算上はほぼ全量出荷できることになります。
しかし、過去にはルート途上の治安問題や積み出し基地であるヤンブー原油ターミナルの能力が実証ささていないためにそこまでの実績はありません。
また、UAEもホルムズ海峡を通らない積み出し港への「アブダビ原油パイプライン(ADCOP)」を保有しており、日量150万バレルを輸送できるとされないます。

ただしすでに保険料は値上がりしているために、これを忌避してホルムズルートを回避する動きがひろまっていますから、早急に手を打つ必要があります。

  

 

 

2026年3月 4日 (水)

まんまとトランプの網にかかったイラン

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昨日の記事からの続きになります。
山路さんがご指摘のとおり、イランの全方向攻撃という悪手の原因は、かれらの最高指導部が完全に消滅してしまったからです。
独裁国家において唯一の頭脳の役割をしていた部分がなくなってしまったために、手足が勝手なことを始めました。
革命防衛隊はホルムズ海峡をを通過する船舶を攻撃してみたり、英軍基地のあるキプロスまでミサイルを発射する有り様です。
もう戦略もクソもない、ただの肉体的脊椎反応のようなもんです。
ま、イランという恐竜は頭を潰されても、腰にある小さい脳味噌、正確に言えば神経の塊は生き残ってヒクヒクやっているということです。
これを生命力といっていいものかどうかわかりませんが、米軍とイスラエルは丹念につぶしていくのでしょうな。

ハメネイ暗殺に関して、イスラエルからかなり詳細な情報がでてきました。
実行部隊はイスラエルのようで、数カ月前からモサドとCIAが共同で網を張ってハメネイを追っていました。

「数カ月にわたりイスラエルと米中央情報局(CIA)を含む米国の情報機関は、まさにその瞬間を狙ってイランの最高指導者ハメネイ師をひそかに監視していた。
事情に詳しい5人がCNNに語ったところによると、情報機関はハメネイ師の日々の行動パターン――どこに住み、誰と会い、どのように連絡を取り、攻撃の脅威があった場合どこに退避する可能性があるか――を監視していた。また、ハメネイ師と同じ場所に会することはまずなかった、イランの政治指導者や軍の高官らの動向も追っていた。
そして、ここ数日の間に好機を見いだした。ハメネイ師を含むイランの高官らは先月28日午前に首都テヘランでハメネイ師の執務室を備えた自宅のある敷地内の別々の場所で会合を予定していたのだ」
(CNN3月2日)
米CIA、極度に用心深かったハメネイ師をどのように殺害したのか(1/2) - CNN.co.jp

これは開戦一撃目でハメネイとその指導部を斬首するためでしたが、そのために米国は前段のジュネーブにおける2月26日の高官協議であえて最終提案をします。
米国がイランに示した提案は、イランのウラン濃縮水準を5%未満に引き下げ、核開発を民生用に転換することを主な内容としていました。
具体的には、核施設の解体とウラン備蓄の削減です。
この米国提案をイランは拒否し、代わりに核プログラムに関する「控えめな譲歩」を提案しました。
ただの時間稼ぎで、イランは妥結しようという気はまったくなかったはずで、たぶん多少の核施設を廃棄するか、核濃縮を止めるという口約束でお茶が濁せると踏んでいたのでしょう。
相手が悪かった。オバマならこの手が通用してイラン核合意2026年版でもぶちあげればなんとかなったんでしょう。
しかし相手は国際法を屁とも思わないマッドマンランプだったから始末が悪い。

時間稼ぎをしていたのは、実はトランプでした。
この男は、空母打撃群や空軍が完全に集結するまでおしゃべりをして引っ張ってたいただけでした。
そしてイランと水面下で協議して、徹底的にイランの軍事力を根こそぎする軍事オプションを練らせていました。
その第1撃がハメネイの抹殺です。
ベネズエラで予行演習したとおり、トランプは開戦劈頭で指導者を「斬首」します。
この方法は、たぶん北朝鮮や、あるいは米中戦争が勃発したばあいにも応用されることでしょう。
正恩は心底ゾっとしたことでし、来月会談予定の習近平もいやーな気分になったことでしょう。

さて、米国が最終提案を突きつけた目的は、このハルノートを受諾するか否かを最高指導部に持ちかえらすためです。
イランは米国の思惑どおりテヘランのハメイニ邸での会議に指導部全員を集めて会議をしようとしました。
これを待っていたのがモサドとCIAでした。

「イスラエル側の関係者によると、極度に用心深いハメネイ師は日中の方が攻撃されにくいと感じ、警戒を緩めていたという。
夜間に予定されていた攻撃計画は日中へと修正された。
イスラエル時間午前6時ごろ、イスラエル軍機が敷地に空爆を仕掛けた。これが米国とイスラエルが協調した一連の攻撃の口火となった。情報筋によると、イスラエル軍機は高精度弾薬と長距離ミサイルを装備していた。指導者らがいた三つの建物は同時に攻撃され、数時間後、トランプ米大統領はハメネイ師の死亡を発表した」
(CNN前掲)

そしてイスラエル軍が精密爆撃を実施しました。

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CNN.co.jp

まさに根こそぎというにふさわしい徹底した一撃でした。

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論評は控えます。
このような方法が国際法に準しているかどうかなどと、このマッドマンに聞いてもまったく無駄だというだけのことです。
これがトランプのニューノーマルなようです。

 

2026年3月 3日 (火)

イラン、自業自得で四面楚歌

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別にイランを応援する気などサラサラないんですが、それにしてもひどすぎます。
いったい勝つ気があるんですか、あんたら。
あんたらが面しているのは、おそらく世界最強の軍事資産を持つ米国と、中東最大の軍事マシーンを持つイスラエルです。
どちらかひとつでも勝つのは難しいのに、この二国が共同で作戦行動をとっているのです。

たとえば米国中央軍の軍事資産はこうです。

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U.S. Central Command(@CENTCOM)さん / X

これだけ米国は兵力の集中を完成してから開戦しています。
この上に、ジェラルド・フォード空母打撃群は、今イスラエルのハイファ沖にまで来ていますから参戦するのは間近です。
そうなったら、まぁ考えないでもわかりますね。

したがってイランに多少の勝機、あるいは正気があるとすれば、こうするしかなかったはずです。
まず、敵を団結させない、これが大原則です。
個々の思惑や利害を刺激して徹底して分断することです。
米国とイスラエルを分断する、G 7を分断する、中東諸国を分断すれば多少は楽になるはずです。

そのためにはどうするべきなのでしょうか。
まず主敵である米国には利権をたっぷりと嗅がせ、国内世論に反戦運動を起こし、議会をイラン戦争反対に導く。
イラク・アフガン
戦争の泥沼を思い出させるのはグッドです。
そのためのメディア工作を徹底してしかけることです。
そしていかにイランは平和を望んでいるのか、国内融和を追及してきたか嘘八百並べなさい。
実際、ベトナムはこれで戦闘では負けても戦争に勝ちました。

次にG7の弱い環を狙うことです。
どこかってもちろん西側唯一の親イラン国である日本と、米国最大の同盟国である英国が狙い目です。
それをナニをトチ狂ったのか、戦争直前にNHKのテヘラン支局長を刑務所にぶち込んでしまいました。
取材中のジャーナリストを刑務所にぶち込むとは、ケンカ売っているんですか。正気を疑います。

Radio Free Europe/Radio Liberty
「イランが日本のNHKの支局長を逮捕し、テヘランにある悪名高いエビン刑務所に移送したと、2人の情報筋が明らかにした。支局長は、エビン刑務所第7区に収容されているとみられる」

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悪名高い“エビン刑務所”とは…NHK支局長イランで拘束か 緊迫続く国内情勢の影響か

ベタベタに親イランだった石破政権のときに起きたイスラエルの核施設空爆時の岩谷外相の発言はこうでした。

現地時間6月13日(日本時間同日)、イスラエルがイランの核関連施設等に対して攻撃を行いました。米・イラン間の協議を始め、イランの核問題の平和的解決に向けた外交努力が継続している中、軍事的手段が用いられたことは到底許容できず、極めて遺憾であり、今回の行動を強く非難します。
イスラエルによるイランに対する攻撃を巡る情勢(外務大臣談話)|外務省

イランの核開発を棚に上げて、「イスラエルの攻撃は遺憾で容認できない」そうです。

一方、今回の茂木外相はこうです。

日本時間2月28日、米国及びイスラエルは、イランに対する攻撃を実施したと発表しました。政府として、関係国と緊密に連携して情報収集を含めた対応に努めています。また、(1)イラン周辺国を含む地域全体の邦人保護、及び、(2)海路・空路の状況把握と関係者への情報提供に、引き続き万全を期していきます。
イラン情勢について(外務大臣談話)|外務省

さらに茂木氏はこう記者会見で答えています。

国際的な核不拡散体制の維持のためにもイランによる核兵器開発は決して許されません。また、我が国としては、従来から、自由、民主主義、法の支配といった基本的価値や原則を尊重してきました。その上で、我が国としてこれまで関係国等とも連携しつつ、イランの核問題の解決に向けた外交努力を行ってきたところであります。
 そして、米イラン間の協議は、イランの核問題の解決のために極めて重要であり、我が国としてこれを強く支持をしてきました。イランは核兵器開発及び地域を不安定化させる行動をやめるべきであります。
 エネルギー安全保障を含む中東地域の平和と安定、そして国際的な核不拡散体制の維持は、我が国にとっても極めて重要であり、事態の早期沈静化に向けて、国際社会とも連携し、引き続き必要なあらゆる外交努力を行ってまいります。 淡々と情勢を気辺手いるだけで、価値判断は口にしていません。
茂木外務大臣臨時会見記録|外務省

「イランは核兵器開発及び地域を不安定化させる行動をやめるべき」だとはっきり言っています。
政権が違うとここまで日本の対イランの温度が変化するのです。
つまり、日本が切り崩される可能性はないということです。

次に英国です。
当初、英国労働党政権はディエゴガルシア基地の使用を拒否していました。
かつての泥沼化したイラク戦争に懲りていたからです。

「英国政府は、イランへの攻撃の可能性がある場合に、米国がチャゴス諸島のディエゴガルシア軍事基地を使用することについて、許可を保留していると、Bloombergが事情に詳しい関係者の話として報じた。
この決定は、ドナルド・トランプ米大統領が中東に軍事資産を集結させ、イランの核開発計画をめぐる交渉中にテヘランへの圧力を強めている中で下された。水曜日、トランプ大統領はインド洋のディエゴガルシア基地と英国の飛行場が、仮定上の米国によるイラン攻撃において重要な役割を果たす可能性があると述べた。
木曜日、関係筋がBloombergに語ったところによると、英国は国際法への懸念やその他の考慮事項により、このような攻撃のためにこれらの基地を使用する許可を与えていない。ディエゴガルシアは6月の米国によるイラン攻撃では使用されなかった」
(Investing.com2月20日)
英国、イランへの攻撃でのディエゴガルシア基地使用を米国に許可せず 執筆: Investing.com

ところがなんとイランはなにを血迷ったのかキプロスにある英軍基地を攻撃しました。
これで英国は自衛戦闘にたたざるを得なくなりました。

「キプロス島の英空軍アクロティリ基地が2日未明、イランのドローン(無人機)の攻撃を受けた。英国防省とキプロス政府は2日、被害は限定的で死傷者はいないと説明した」
(ロイター3月2日)
キプロスの英軍基地にドローン、イランのシャヘド型 人的被害なし | ロイター 

その結果、当初は米国に対する支持をしていなかったスターマー首相は態度を変えます。

「スターマー英首相は1日のビデオ声明で、イランによる中東各地への報復攻撃を阻止する防衛的措置として、米国の要請に応じ、米軍に英軍基地の使用を認めたと表明した。攻撃には参加しないと強調したが、イランの攻撃が激化する中、英国を含む欧州主要国は関与へと傾斜しつつある。(略)
一方、イランによる攻撃で危険にさらされる中東地域の英国民を守る「責務」に言及し、英空軍の戦闘機が既に防衛目的の任務に従事していると述べた。その上で、「イランの脅威を取り除く唯一の方法は、ミサイル拠点を破壊することだ」と指摘した。

英紙ザ・タイムズなどによると、英国はインド洋ディエゴガルシア島にある米軍と共同使用する基地と、英国内の基地の使用を認める」
(読売3月2日)
イギリスがアメリカ軍の基地使用認める、スターマー首相表明…「攻撃には参加しない」と強調 : 読売新聞

たぶん英国は既に小規模の空軍を派遣しているようです。

そして近隣の中東諸国には、イランがいかに「アラブの大義」に対して献身してきたのかを訴えて、米国とイスラエルの攻撃に反対するか、最低でも中立の立場をとるように訴えるべきでした。
それがなんとまぁ、イランはほぼすべてのアラブ諸国を攻撃し始めたのですから話になりません。

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Xユーザーの@japan_indepthさん: 「ドバイの高級ホテル、ブルジュ・アル・アラブがイランのドローン攻撃を受け、炎上中

UAE自慢のドバイの象徴ブルジュ・アル・アラブをドローン攻撃して炎上させ、続いてドバイ国際空港を燃やし、サウジの首都リヤドや東部地域も攻撃し、この決して仲がよいとはいえない二国に米国支持に走らせてしまいました。
他にもバーレーン、カタール、クウェートなどが攻撃対象となりました。
この事態を受け、アラブの盟主サウジはイランへの反撃を表明しました。

「ムハンマドUAE大統領の上級外交顧問であるアンワル・ガルガシュ氏は、「正気に戻り、周囲の状況を直視すべきだろう。孤立とエスカレーションの輪が広がる前に、分別と責任をもって近隣諸国に向き合ってもらいたい」とX(旧ツイッター)で呼び掛けた。
「あなた方の戦争は近隣諸国とのものではない。このエスカレーションによって、イランを地域における最大の脅威と見る人々の主張を裏付けてしまっている」とガルガシュ氏は続けた。
サウジアラビア外務省は、2月28日に始まった米国とイスラエルの攻撃に対するイランの報復に「断固とした」国際的対応が必要だと主張。カタールは、オマーンのドゥクム港に対するイランの攻撃を「卑劣」と表現した。
イランは米国とイスラエルによる空爆に対抗して、イスラエルや近隣のアラブ諸国に報復攻撃を仕掛けているが、アラブ諸国の当局から出てきたこうした発表文は、イランの孤立が深まっていることを示す」
(ブルームバーク3月1日)
「正気に戻れ」、アラブ諸国がイラン批判強める-報復攻撃拡大で - Bloomberg

こうして中東諸国は団結して地域共通の脅威であるイランに反撃態勢をとろうとしています。
まさに四面楚歌。自業自得とはいえ、これで勝てたら奇跡です。

 

2026年3月 2日 (月)

米国とイスラエル、イランを攻撃

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米国とイスラエルのイラン攻撃が始まりました。一方で協議を継続しながらの開戦です。
そしていきなりベネズエラと同じようにイランの中枢中の中枢であるハメネイを殺害しました。典型的な斬首作戦です。
当初はまさかと思っていたのですが、イラン国営放送が死亡を正式に確認し、40日間の服喪すると報じています。
なお大都市では国民が街頭に繰り出して歓呼の声を上げているようです。


「アメリカとイスラエルは2月28日、イランへの攻撃を実施したと発表した。ドナルド・トランプ米大統領は同日、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師(86)が、アメリカとイスラエルの攻撃によって殺害されたと発表した。イラン国営テレビも現地時間3月1日早朝、ハメネイ師が死亡したと報じた。
イラン国営放送では、司会者が涙を流しながらハメネイ師の死亡を伝え、40日間の服喪期間に入るとした」
(BBC3月1日)
イラン国営テレビの司会者、最高指導者ハメネイ師の死去を発表 - BBCニュース

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BBC

ハメネイはテヘランの公邸で爆撃され死亡しました。
また軍高官も総参謀長、革命防衛隊司令官らも死亡したようです。

「イランの国営テレビは1日、イラン軍のアブドルラヒム・ムサビ参謀総長が、他の高官とともに米国とイスラエルによる攻撃で死亡したと報じた。
ムサビ氏に加え、アジズ・ナシルザデ国防軍需相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、最高安全保障委員会(SNSC)事務局長で最高指導者アリ・ハメネイ師の顧問を務めたアリ・シャムハニ氏も2月28日の攻撃で亡くなった人物として挙げられた。報じられるところによると、高官らは「防衛評議会の会合中に」死亡したという」
(AFP3月1日)
イラン軍参謀総長ら死亡、会合中に攻撃受ける 国営テレビ 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

攻撃方法は発表されていませんが、ハメネイは地下の防護施設にいたはずですから地中貫通爆弾をつかったのかもしれません。
たぶん前回の核施設攻撃でも明らかになりましたが、イランのロシア製防空システムは無効化されていますからB-2には抗す術すらなかったはずです。
それ以上にハメネイや軍高官の居場所を特定出来る諜報能力のすさまじさに唖然となります。

イランは服喪期間の間に後継者を定めて新たな神権体制を作るはずです。
ハメネイはすでに86歳の高齢であり、前回の6月の米軍空爆以来、自身が死亡した場合に備えて後継者候補を複数名指名したとされています。

「最高国家安全保障評議会のアリ・ラリジャニ氏は1日、国営メディアを通じ、ペゼシュキアン大統領や護憲評議会の法学者などで構成する指導者会議を設置したと明らかにしました。
イランの憲法では、最高指導者が死亡したり退任した場合は88人のイスラム法学者で作る専門家会議が後継者を指名することになっています」
(テレ朝3月1日)
ハメネイ師の権限代行「指導者会議」設置 近く後継者決める専門家会議開催か(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース 

当分はこの「指導者会議」が合議制で対応し、国家の最高機関である「専門家会議」が後継者を指名する運びとなるでしょう。

イランはかねてから「攻撃されれば自衛する権利がある」と主張してきました。
イランはバーレーンやイラクなど米軍の駐留先の中東各国にミサイルと無人機を使い米兵3名が死亡したとされています。
このようなドローン攻撃には限界があります。

一方、本命の報復は、ホルムズ海峡を封鎖をすることですが、今回もまた船舶攻撃を仕掛けています。

「英国の海事機関「UKMTO」は2月28日、海上エネルギー輸送の要衝・ホルムズ海峡の封鎖に関する複数の報告を受けていると明らかにした。UKMTOは、報告が事実なのかどうかは確認できていないとした。
UKMTOの発表によると、ペルシャ湾を航行中の複数の船舶会社から、「無線を通じてホルムズ海峡が封鎖されたとの知らせを受けた」との報告があったという。UKMTOは「状況は極めて流動的であり、引き続き監視し、必要に応じて追加情報を更新する」とした」
(朝日3月1日)
ホルムズ海峡「封鎖に関する複数の報告」と英海事機関 確認はできず(朝日新聞) - Yahoo!ニュース

すでにイランは去年の段階で、ペルシャ湾で艦艇に機雷を積載したと報じられていますが、ホルムズ海峡の閉鎖は、世界の石油・ガス輸送の要衝であり、その準備だけで原油相場は高騰するでしょう。
日本はこの水域に原油の9割を依存していますし、G7諸国やインド、同盟国の中国にまで大きな影響を及ぼします。
しかしこれは自分の首を絞めることになります。

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時事

「バンス氏は産油国イランの経済全体がホルムズ海峡に依存していると指摘。「彼らが自国経済を破壊し、世界経済の混乱を招きたいなら、それは彼らの決断だ」と突き放した。
その上で、ホルムズ海峡封鎖が「イランにとっても、誰にとっても理にかなっていない」と話した。
バンス副大統領は、封鎖を「イランにとって自殺行為だ」と述べています。イランの経済全体はホルムズ海峡に依存しています」
(時事2025年6月23日)
イランにとって「自殺行為」 ホルムズ封鎖なら―米副大統領:時事ドットコム

しかしイランが封鎖行動に出たとしても、かつての米軍との衝突でイランは元々貧弱な海軍力の25%を喪失しており、上の写真のような海賊まがいボートで襲撃するかしかない状態です。

もちろんペルシャ湾は中東の原油輸送の大動脈で、仮に実施されるという情報が出ただけで、わが国も大きな影響を受けることになります。
ただし昨年6月に米・イスラエルと交えた「12日間戦争」ではイスラエルや中東の米軍基地を攻撃していますが軽微な損害しか与えられず、ペルシャ湾封鎖まではできませんでした。
その能力が欠落しているのです。

湾岸諸国に対する攻撃も始まっています。

「世界で最も利用者の多い空港の一つであるアラブ首長国連邦(UAE)ドバイの国際空港で1日、イランによる攻撃があったと伝えられる中、乗客が避難する出来事があった。イランが、米国と友好関係にある湾岸諸国の交通の拠点に対して攻撃を行った。
映像には、煙が充満したドバイ国際空港の通路から人々が逃げ出す様子が映っている。当局は職員4人が負傷したと確認した。
空港当局は避難のきっかけについて明らかにしていない。ロイター通信は、情報筋の話として、夜間のイランによる攻撃で空港のターミナルの一つが損傷したと伝えた」
(CNN3月1日)
イランが湾岸の主要渡航拠点を攻撃、煙が充満したドバイ空港で乗客避難 - CNN.co.jp

一方、米国は勝利宣言をしています。

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XユーザーのThe White Houseさん

あいかわらずの能天気ですが、今後のイラン情勢はイラン自身よりもどこまで米国が軍事力を行使するのか次第にかかっています。
作戦名は「大いなる怒り」(Operation Epic Fury )だとか。あいかわらず万能感に溢れたネーミングです。

 

 

2026年3月 1日 (日)

日曜写真館 夕焼けて朝焼けて田の出穂の日日

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大蜘蛛しづかに網張れり朝焼の中 種田山頭火

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帯なす朝焼黒人霊歌は女声高し 金子兜太

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朝焼けてただただきのふよりも勢ふ 三橋敏雄

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朝焼に鉄軌を打てりわれを打つ 西東三鬼

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朝焼ほのか藪ひたす水のあふれ落つ 種田山頭火

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