米国、イラン双方の停戦案出る
この数日の間に、米国とイラン双方から和平案がリークされるようになってきました。
カタールのアルジャジーラはこう報じています。
「トルコ、エジプト、パキスタンは48時間以内にイスラマバードで米イラン会談を推進しており、ホワイトハウス関係者によると、15項目の計画がパキスタン経由でテヘランに送られ、木曜日までに対面会談を目指している」
XユーザーのAl Jazeera Englishさん:X
仲介に入っているのはトルコ、エジプト、パキスタンのようです。
米国特使ウィトコフ特使とイラン外相アラグチが協議しているのは確かなようで、革命防衛隊は関与していないと思われます。
「チャンネル12は、この計画で両国(米国・イスラエル)は、イラン国内におけるあらゆるウラン濃縮活動の停止と、濃縮済み物質の引き渡しを求めていると報じた。イランの核開発について米国とイスラエルは、核兵器への転用の恐れがあると以前から主張してきた。
提案ではさらに、世界の石油の5分の1が通過するホルムズ海峡での無制限の航行を認めることもイラン側に求めている。イランによる報復的な部分封鎖を受け、エネルギー価格は世界的に高騰していた。
イスラエルメディアによると、その見返りとして、イランに対するすべての制裁が解除され、またブシェール原子力発電所における民生用原子力エネルギー開発での支援を受ける。同原発をめぐっては24日、イスラエルが攻撃したとしてイランが非難している」
(AFP3月25日)
米国、イランに和平案送付 核停止・海峡開放条件に制裁解除 報道 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News
公式には発表されていませんが、情報を総合すると
①イランのナタンズ、イスファハン、フォルドなどの主要な核施設の解体。
②イラン領内での核濃縮の停止。
③イランが保有する高濃縮ウランの備蓄を国際原子力機関(IAEA)への引き渡し。
④中東地域における代理戦争活動の放棄。
⑤支援関係にある武装勢力への支援の停止。
⑦ホルムズ海峡の航行の自由の保証。
⑧イランのミサイル計画の射程と数量の制限。
⑨将来のミサイル使用目的を自衛のみに限定。
⑩その見返りとして、イランに対する全面的な制裁解除。
⑪ブシェール原子力発電所での発電を含む民生用原子力計画に対する米国の支援。
交渉の焦点はいうまでもなく、①~③までの核開発の停止。⑦のホルムズ海峡の安全確保です。
これをはずした妥協はありえないでしょう。
一方イランの要求はウォールストリートジャーナルによればこのようなもののようです。
①湾岸地域にあるすべての米軍基地の閉鎖
②イランへの攻撃に対する賠償
③ホルムズ海峡通過する船舶からイランが通行料を徴収することを認める
④戦争が再開しないこと、そしてイランと連携するレバノンの民兵組織ヒズボラに対するイスラエルの攻撃を停止することを保証する。
⑤イランに対する全ての制裁を解除する。
⑥イランがミサイル開発計画を維持することを容認し、それを制限するための交渉を行わない。
イランが停戦交渉で高い基準を掲げる:テヘランが求めていることは以下の通りです WSJ
これでは話になりません。すべての項目で米国が呑める点はなにひとつありません。
湾岸地域の米軍基地の撤退、ホルムズ海峡での通行料の徴集など、イランは勝った気でいるのでしょうか。
結局、今のイラン指導部には解決能力がないということでしょうか。
現在、米国はアジアに配備した陸上戦力をイラン方面に転用しています。
クーリエからの引用ですが、原文はWSJです。
「日本に駐留する米軍の防空部隊は2024年、緊急指令を受けた。彼らは地球の反対側で、イランとその代理勢力からの弾道ミサイルの脅威を食い止めるのを支援することを求められた。迎撃ミサイル「パトリオット」のシステムが米インド太平洋軍から中東に移転したのは、初めてのことだった。パトリオットは5カ月間、中東にとどまった。
その翌年には、追加のパトリオットシステムと何百人もの兵士が続いた。それは大型輸送機「C17」73機分に上る規模だった。本来なら中国および北朝鮮と戦闘するための訓練を受けていた部隊が韓国と日本から6月にカタールに投入され、迎撃ミサイルを次々に発射した。これはパトリオットの戦闘としては米国史上最大のものだった。部隊は10月下旬にアジアに帰還した。
米軍は中国を最大の課題と見なしているが、米政府は戦うべき戦いをなかなか選べずにいる。ドナルド・トランプ米大統領によるイランとの戦争はその最新の事例だ」
イランに集中する米軍、最大の課題は中国 | クーリエ・ジャポン
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交渉ごとは最初に高めのハードル掛けてやるのが定番ですけど、このイランの要求は無理すぎます。
特にダメなのは③のホルムズ海峡通過料ですね。国際海峡ですよ。津軽快挙をロシアや中国の軍艦が規定に則ってただしで通過してるのに、やってることがただのヤクザです。
ならオマーンから「半分よこせ!」と言われても困るでしょうに。
で、アラグチ外相やイラン軍報道官がテレビに出てくるけど···日本の視聴者は殆ど勘違いしてるけど外相や軍報道官なんて下っ端ですからね。普通の国とは違い全ての上に「革命防衛隊」があって、イスラム教シーア派の指導者の傘下にあります。
急進的なイスラム革命から長いこと経っていて、そりゃあもう癒着や汚職に塗れてることでしょう。仏教国のミャンマーでもあれほど酷いんですから。
トランプの威嚇もどこまでやるか困ってる感じですけど、既にインフラを相当破壊されている上に元々市民はハンバーガー&コーラといったアメリカンスタイルが大好きだけど宿敵アメリカも抑圧するばかりの政府も嫌いという、ずいぶんと歪な国になってますね。
もし仮に政変が起きたとしても、既得権益を持つ革命防衛隊がどうなるのか?と。少なくても民主化は無理でしょうね。民主主義を知らない国ですから。
それにしても、ドコがイランの意思で交渉窓口なのかすら信頼出来ないという困った状況に陥りました。
投稿: 山形 | 2026年3月26日 (木) 07時31分
アラグチは日本国内の好評価と違って、米国政府内では正しく「コピー機」と呼ばれるくらい実権がない人。だからかような条件しか出せないんでしょう。これを「交渉入りした」と言ってもいいものかどうか。
しかも、UAEやサウジは徹底的にイランをつぶすべし、という意見に傾いてますし。まだ時間がかかりそうですね。
投稿: 山路 敬介 | 2026年3月26日 (木) 17時49分