イラン、自業自得で四面楚歌
別にイランを応援する気などサラサラないんですが、それにしてもひどすぎます。
いったい勝つ気があるんですか、あんたら。
あんたらが面しているのは、おそらく世界最強の軍事資産を持つ米国と、中東最大の軍事マシーンを持つイスラエルです。
どちらかひとつでも勝つのは難しいのに、この二国が共同で作戦行動をとっているのです。
たとえば米国中央軍の軍事資産はこうです。
U.S. Central Command(@CENTCOM)さん / X
これだけ米国は兵力の集中を完成してから開戦しています。
この上に、ジェラルド・フォード空母打撃群は、今イスラエルのハイファ沖にまで来ていますから参戦するのは間近です。
そうなったら、まぁ考えないでもわかりますね。
したがってイランに多少の勝機、あるいは正気があるとすれば、こうするしかなかったはずです。
まず、敵を団結させない、これが大原則です。
個々の思惑や利害を刺激して徹底して分断することです。
米国とイスラエルを分断する、G 7を分断する、中東諸国を分断すれば多少は楽になるはずです。
そのためにはどうするべきなのでしょうか。
まず主敵である米国には利権をたっぷりと嗅がせ、国内世論に反戦運動を起こし、議会をイラン戦争反対に導く。
イラク・アフガン戦争の泥沼を思い出させるのはグッドです。
そのためのメディア工作を徹底してしかけることです。
そしていかにイランは平和を望んでいるのか、国内融和を追及してきたか嘘八百並べなさい。
実際、ベトナムはこれで戦闘では負けても戦争に勝ちました。
次にG7の弱い環を狙うことです。
どこかってもちろん西側唯一の親イラン国である日本と、米国最大の同盟国である英国が狙い目です。
それをナニをトチ狂ったのか、戦争直前にNHKのテヘラン支局長を刑務所にぶち込んでしまいました。
取材中のジャーナリストを刑務所にぶち込むとは、ケンカ売っているんですか。正気を疑います。
Radio Free Europe/Radio Liberty
「イランが日本のNHKの支局長を逮捕し、テヘランにある悪名高いエビン刑務所に移送したと、2人の情報筋が明らかにした。支局長は、エビン刑務所第7区に収容されているとみられる」
悪名高い“エビン刑務所”とは…NHK支局長イランで拘束か 緊迫続く国内情勢の影響か
ベタベタに親イランだった石破政権のときに起きたイスラエルの核施設空爆時の岩谷外相の発言はこうでした。
現地時間6月13日(日本時間同日)、イスラエルがイランの核関連施設等に対して攻撃を行いました。米・イラン間の協議を始め、イランの核問題の平和的解決に向けた外交努力が継続している中、軍事的手段が用いられたことは到底許容できず、極めて遺憾であり、今回の行動を強く非難します。
イスラエルによるイランに対する攻撃を巡る情勢(外務大臣談話)|外務省
イランの核開発を棚に上げて、「イスラエルの攻撃は遺憾で容認できない」そうです。
一方、今回の茂木外相はこうです。
日本時間2月28日、米国及びイスラエルは、イランに対する攻撃を実施したと発表しました。政府として、関係国と緊密に連携して情報収集を含めた対応に努めています。また、(1)イラン周辺国を含む地域全体の邦人保護、及び、(2)海路・空路の状況把握と関係者への情報提供に、引き続き万全を期していきます。
イラン情勢について(外務大臣談話)|外務省
さらに茂木氏はこう記者会見で答えています。
国際的な核不拡散体制の維持のためにもイランによる核兵器開発は決して許されません。また、我が国としては、従来から、自由、民主主義、法の支配といった基本的価値や原則を尊重してきました。その上で、我が国としてこれまで関係国等とも連携しつつ、イランの核問題の解決に向けた外交努力を行ってきたところであります。
そして、米イラン間の協議は、イランの核問題の解決のために極めて重要であり、我が国としてこれを強く支持をしてきました。イランは核兵器開発及び地域を不安定化させる行動をやめるべきであります。
エネルギー安全保障を含む中東地域の平和と安定、そして国際的な核不拡散体制の維持は、我が国にとっても極めて重要であり、事態の早期沈静化に向けて、国際社会とも連携し、引き続き必要なあらゆる外交努力を行ってまいります。 淡々と情勢を気辺手いるだけで、価値判断は口にしていません。
茂木外務大臣臨時会見記録|外務省
「イランは核兵器開発及び地域を不安定化させる行動をやめるべき」だとはっきり言っています。
政権が違うとここまで日本の対イランの温度が変化するのです。
つまり、日本が切り崩される可能性はないということです。
次に英国です。
当初、英国労働党政権はディエゴガルシア基地の使用を拒否していました。
かつての泥沼化したイラク戦争に懲りていたからです。
「英国政府は、イランへの攻撃の可能性がある場合に、米国がチャゴス諸島のディエゴガルシア軍事基地を使用することについて、許可を保留していると、Bloombergが事情に詳しい関係者の話として報じた。
この決定は、ドナルド・トランプ米大統領が中東に軍事資産を集結させ、イランの核開発計画をめぐる交渉中にテヘランへの圧力を強めている中で下された。水曜日、トランプ大統領はインド洋のディエゴガルシア基地と英国の飛行場が、仮定上の米国によるイラン攻撃において重要な役割を果たす可能性があると述べた。
木曜日、関係筋がBloombergに語ったところによると、英国は国際法への懸念やその他の考慮事項により、このような攻撃のためにこれらの基地を使用する許可を与えていない。ディエゴガルシアは6月の米国によるイラン攻撃では使用されなかった」
(Investing.com2月20日)
英国、イランへの攻撃でのディエゴガルシア基地使用を米国に許可せず 執筆: Investing.com
ところがなんとイランはなにを血迷ったのかキプロスにある英軍基地を攻撃しました。
これで英国は自衛戦闘にたたざるを得なくなりました。
「キプロス島の英空軍アクロティリ基地が2日未明、イランのドローン(無人機)の攻撃を受けた。英国防省とキプロス政府は2日、被害は限定的で死傷者はいないと説明した」
(ロイター3月2日)
キプロスの英軍基地にドローン、イランのシャヘド型 人的被害なし | ロイター
その結果、当初は米国に対する支持をしていなかったスターマー首相は態度を変えます。
「スターマー英首相は1日のビデオ声明で、イランによる中東各地への報復攻撃を阻止する防衛的措置として、米国の要請に応じ、米軍に英軍基地の使用を認めたと表明した。攻撃には参加しないと強調したが、イランの攻撃が激化する中、英国を含む欧州主要国は関与へと傾斜しつつある。(略)
一方、イランによる攻撃で危険にさらされる中東地域の英国民を守る「責務」に言及し、英空軍の戦闘機が既に防衛目的の任務に従事していると述べた。その上で、「イランの脅威を取り除く唯一の方法は、ミサイル拠点を破壊することだ」と指摘した。
英紙ザ・タイムズなどによると、英国はインド洋ディエゴガルシア島にある米軍と共同使用する基地と、英国内の基地の使用を認める」
(読売3月2日)
イギリスがアメリカ軍の基地使用認める、スターマー首相表明…「攻撃には参加しない」と強調 : 読売新聞
たぶん英国は既に小規模の空軍を派遣しているようです。
そして近隣の中東諸国には、イランがいかに「アラブの大義」に対して献身してきたのかを訴えて、米国とイスラエルの攻撃に反対するか、最低でも中立の立場をとるように訴えるべきでした。
それがなんとまぁ、イランはほぼすべてのアラブ諸国を攻撃し始めたのですから話になりません。
Xユーザーの@japan_indepthさん: 「ドバイの高級ホテル、ブルジュ・アル・アラブがイランのドローン攻撃を受け、炎上中
UAE自慢のドバイの象徴ブルジュ・アル・アラブをドローン攻撃して炎上させ、続いてドバイ国際空港を燃やし、サウジの首都リヤドや東部地域も攻撃し、この決して仲がよいとはいえない二国に米国支持に走らせてしまいました。
他にもバーレーン、カタール、クウェートなどが攻撃対象となりました。
この事態を受け、アラブの盟主サウジはイランへの反撃を表明しました。
「ムハンマドUAE大統領の上級外交顧問であるアンワル・ガルガシュ氏は、「正気に戻り、周囲の状況を直視すべきだろう。孤立とエスカレーションの輪が広がる前に、分別と責任をもって近隣諸国に向き合ってもらいたい」とX(旧ツイッター)で呼び掛けた。
「あなた方の戦争は近隣諸国とのものではない。このエスカレーションによって、イランを地域における最大の脅威と見る人々の主張を裏付けてしまっている」とガルガシュ氏は続けた。
サウジアラビア外務省は、2月28日に始まった米国とイスラエルの攻撃に対するイランの報復に「断固とした」国際的対応が必要だと主張。カタールは、オマーンのドゥクム港に対するイランの攻撃を「卑劣」と表現した。
イランは米国とイスラエルによる空爆に対抗して、イスラエルや近隣のアラブ諸国に報復攻撃を仕掛けているが、アラブ諸国の当局から出てきたこうした発表文は、イランの孤立が深まっていることを示す」
(ブルームバーク3月1日)
「正気に戻れ」、アラブ諸国がイラン批判強める-報復攻撃拡大で - Bloomberg
こうして中東諸国は団結して地域共通の脅威であるイランに反撃態勢をとろうとしています。
まさに四面楚歌。自業自得とはいえ、これで勝てたら奇跡です。
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ディエゴ・ガルシアの英空軍基地にはグアムと同じ元々B-2専用ハンガーがあります。数年前までGoogleEarthで確認できたんだけど、その後はマスキングされてますね。去年の空爆では英政権が使用させませんでしたが···。
いきなりキプロスの英空軍基地までドローン攻撃しちゃったら、そりゃあ労働党のストーマ···じゃないスターマー政権でもブチキレますよ。
ついでに政権が不安定なフランスやドイツからも非難されるわ、湾岸の諸国にまでほとんど無差別に攻撃するとかイランはトチ狂ったのか?と言わざるを得ません。
やましいことが無ければ素直にIAEAの査察を勿体ぶらずに受け入れておけば良かったのに。
今回もIAEAからは確信的な証拠は上がってないけど、かつてイラクでブッシュJr政権の米国が何をしたか考えなかったのかと。。さらには原油が高騰すれば儲かるはずのロシアにまで止めとけと警告されたのにホルムズ海峡封鎖するとかアホにも過ぎますね。それこそ世界のはみ出しものだと自らアピールして、トランプの米国とイスラエルの非道ぶりが掻き消えてしまいます。
高市政権は戦争そのものには言及せずに(左翼メディアによると『容認』となるそうですが)核兵器開発は断じて許されない、という姿勢は正しいし賢い判断です。
それにしてもイスラエル問題といい現在進行中のパキスタンとアフガニスタンタリバン政権との戦争といい···大戦前には超大国だった英国の業の深い話です。。。
投稿: 山形 | 2026年3月 3日 (火) 07時59分
追記です。連投失礼。
イスラエルとアメリカ側はインテリジェンスで繋がり常時監視と連絡が取れる状態で長距離精密誘導ミサイルでハメネイ他を殺害成功してるのに、イランの短距離弾道弾の精度が低すぎます。ドバイの有名なリゾート人工島に着弾するとか、狙ったのかすら怪しいし他も米軍基地以外で住宅地に落ちまくりですね。
その程度の精度で良いのなら···むしろ「核弾頭搭載」を前提に開発されたのではないか?という疑いをかけられても当然です。
投稿: 山形 | 2026年3月 3日 (火) 08時16分
いつも詳しいお話をありがとうございます。
ホルムズ海峡封鎖、世界のほとんどを敵に回すことになります。
その中で特に、中国が原油に困ってイランを見放すと、中ロが対立、
さらにホルムズ海峡に日本を含む多国籍の警備艦隊を見ることになるとすれば面白いと思います。
投稿: プー | 2026年3月 3日 (火) 11時32分
トランプ天才かも… 中国の手足もいでいってるの笑える… そのうちアフリカの独裁資源国も空爆しそうやね わーくにはまたモタモタで乗り遅れそうやけど アングロサクソンを敵にまわす時はよく考えないとね とまとめ風コメントしてみました
投稿: 通りすがりの関西人 | 2026年3月 3日 (火) 12時49分
かつて安倍さんはハメネイと良好な関係を保とうと対話する外交政策でしたが、「安倍さんならこの戦争を止められたはず」という一部言説には、果たしてそうかなぁと疑問に思います。より良い友人として相手の間違いを間違いと忌憚なく言うのはあるべき姿として、それで相手の間違った選択を止められるかは分かりません。
相手が誰であれ、「あちらの都合」はこちらへのお構い無しに起き得ますが、イランはこれまで革命を周りに押し付け続けて来たゆえに、無法な攻撃vs無法な報復攻撃のうち、地域諸国はアメリカ・イスラエルの国際法に構わないイラン攻撃と付随する自国への被害よりも、イランに総スカンを喰らわせることを選んだ様子。
この現実は、我が国の「法と秩序を尊重しよう」という立場を、「それは相手や状況によりけり」「味方が国際法違反を指摘しないなら違反していないのと同じ」として陳腐化する現実のひとつでもあります。アメリカやイスラエルの立場から見ても、NATO諸国やウクライナから見ても、中東諸国やアジア諸国から見ても、ロシアや中共やイランから見ても、我が国自身から見ても、です。
ダブスタ上等、クリーンなだけではいられない、ではそこからどう進んでいくか、辿る道を整理し考え抜く必要が生じる現実のひとつでもあると感じます。
投稿: 宜野湾より | 2026年3月 3日 (火) 14時20分
最高指導者だけでなく軍の枢要な部分も死亡したので、全体の指揮を執っている者がいないんでしょう。これはいわゆる「自動報復システム」に則っているだけで、のたうち回る首のないヘビ状態なのだと。
かかる事態に湾岸諸国を敵にまわすだけじゃなく、事実上参戦している英国だけじゃなく、仏や独までもがイランのミサイル等発射能力を排除する動きに出そうです。
投稿: 山路 敬介 | 2026年3月 3日 (火) 18時29分