イラン金融封鎖
このイラン戦争は形を変えた対中圧力です。
よく中東に目が行ってアジアはがら空きじゃないかという人がいますが、とんでもない。
今回のイラン戦争でも一部を除けば、米国は中央軍(CENTCOM)と呼ばれる中東地域専門の部隊だけしか使っていません。
アジア地域を守備範囲とするインド太平洋軍は、一部の海兵隊を除けばそのまま温存していますし、そもそも海兵隊は即応用の遊軍です。
ですから中国主敵の構図にはいささかの変化もありません。
まぁといっても、常にさぁ戦争だ戦争だと行っているわけじゃなくて緩急をつけてなぐったりなだめたりするのがトランプの流儀なんですがね。
さてその中国ですが、イラン戦争が始まってどうも顔色が優れません。
中国にとってイランはロシアと並ぶそりゃ大事な同盟国、というかお得意さんだったはずなのに、国連でぶつくさ言う以外ナニもしようとしません。
大枚のカネで売りつけた防空ミサイルシステムは、ベネズエラに続いてまったく米軍機に歯がたたないことがバレ、対艦ミサイルもごっそり売ったはずなのにその影すら見えません。
これじゃあ発展途上国を中心にして、「早い・安い・そこそこの性能」をうたい文句にして巨額なカネを稼いできた武器輸出も、今後不景気になっちゃいますね。
さて、いままで何回かふれてきましたが、中国のイランとのビジネスモデルは、武器を大量に売りさばき、その見返りにイランから格安の闇原油を買うというものでした。
だからイランは中国のタンカーだけは、見えません見えませんとホルムズ海峡を素通りさせてきたのです。
それを見て、高市、米国への支持を止めて中国様のようにカネ出して通してもらえ、というウスラが現れたのでびっくりしました。
なにを言ってんだか、イランは日本を友好国だなんて思ったことは一度もありませんよ。
そういう幻想を持たしておく方が有利だから、日本の幻想につきあうふりをしてきただけです。
イランは日本より百倍以上中国が好きですからから。
それはさておき、米国はイランとイランへの入港船舶の海上封鎖を開始しました。
中央軍は、「許可なく封鎖海域に出入りする船舶は、臨検、進路変更、拿捕の対象となる」としましたから、イラン船籍及びイランに入港しようとする船舶はすべて無条件でこの封鎖の対象になります。
ルートは2つあります。
下図の赤線が通常ルートですが、イランは青線ルートを通るように命じています。
というのはふたつの大小の島がイラン領だからで、ここがイランの関所になっています。
ホルムズ海峡封鎖への対処法は「時間稼ぎ」のみか 代替案も穴埋めには不十分 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
この米軍の封鎖により、イランは石油輸出が不可能となりました。
そのほんとうの影響は油井使用不能という形で1カ月以内にでることでしょう。
それと同時に中国からの軍事支援物資の搬入も不可能になりました。
特にイーグルを落して有名になった肩撃ち式対空ミサイルやミサイル燃料も止まります。
「[11日 ロイター] - 米CNNテレビは10日、中国が数週間以内にイランへ防空システムを供与する準備を進めていると報じた。関係者3人の話として伝えたもので、中国は輸出元を隠すため、第三国経由での輸送を模索している兆候があるという。軍事産品などの輸入ができなくなった。また、中国が肩掛け型対空ミサイルやミサイル燃料などを輸出しようとしていたと報じられているが、これも困難になる。トランプはイランに軍事産品を輸出したことが確認されれば、50%の追加関税をかけるとしており、これは中国を視野に入れたものとなる」
(ロイター4月11日)
中国がイランに防空ミサイル、供与を準備とCNN報道(ロイター) - Yahoo!ニュース
中国は公称中東依存割合は40%としていますが、実際にはイランの闇石油を大いに買いまくってきたために、実際の中東依存割合は50%程度と見込まれています。
なおイランは、人民元国際決済システムや暗号資産により、米国の監視を逃れる形で資金決済を行ってきましたが、これも石油というブツがあってのことです。
ブツがなくなれば無意味ですが、そのブツは厳しい監視下に入りました。
そして米国財務省は、イラン産原油を購入する国に2次制裁をかけることを発表しました。
イラン石油購入のためだとわかれば、その金融機関にも2次制裁がかかることになります。
[ワシントン 15日 ロイター] - ベセント米財務長官は15日、イラン産原油を購入する国に制裁を科すと警告した。また、イランに対する米国の海上封鎖により、中国がこうした購入を一時停止するとの見方を示した。
ホワイトハウスで記者団に対し「われわれは各国に対し、イラン産原油を購入している場合、あるいはイランの資金が自国の銀行にある場合、二次制裁を適用する用意があると伝えた」と述べた。
米国によ「るイランへの海上封鎖は13日に始まった。中国はこれまで、イランが輸出する原油の8割以上を購入していた。
ベセント氏は「この封鎖により、中国の購入が一時停止されると考えている」と述べた。
また、財務省が中国の銀行2行に書簡を送り、両行の口座を通じてイランの資金が流れていることを証明できれば、二次制裁を発動する用意があると伝えたと明らかにした。
財務省は同日、イランの石油輸送インフラを標的に20以上の個人、企業、船舶を対象とした制裁を発動したことも発表した」
(ロイター4月16日)
米、イラン産原油購入者に制裁警告 海上封鎖で中国が購入停止と予想 | ロイター 。
いやー、くどいくらいに十重二十重だな。
軍事的には締め上げられ、経済の根幹の原油輸出は止められ、さらに持久戦に持ち込もうにも油井が余命2週間、そして金融制裁ですから泣き面に蜂です。
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何と言うか、すごい追い込み方ですね。実に完璧に見えます。
とうとう中国がイランに対して、海上封鎖すんな!と警告する始末。
原油はダメになるわ、ピスタチオやサフランは港で腐ってる。
また、地味に恐ろしいのはベッセント長官。この人の役割も重要でした。
今回の協議には米中央軍司令官も出席するようだし、重要な合意が見られるかも知れません。
投稿: 山路 敬介 | 2026年4月17日 (金) 22時39分
いつもありがとうございます。
その一方で革命防衛隊が発砲したとのことです。
ロシアにとっては戦いが長引いて欲しいし、
海峡周辺で一発ぶっ放せばコスパ抜群です。
そんなロシアと原油を巡って利害が対立するようになった中国が、
ロシアに対してどう出るか見物です。
投稿: プー | 2026年4月19日 (日) 23時34分