F15乗員救出作戦がわかってきました
昨日からの続きとなります。F15乗員救出作戦の詳細がわかってきました。
すごいね。そのうちハリウッドがコレをネタにして映画の一本も作るね。
まずは、いつも氷のように冷静なISW(国際戦争研究所)の記事から。
「米中央軍(CENTCOM)は、4月4日にイランが戦闘任務中にF-15Eの航空機を撃墜した後、米軍が4月4日に両機の救助を成功裏に完了したことを確認した。
CENTCOMはこれまで、4月3日に行われたF-15Eパイロットの救助を認めていませんでしたが、 米特殊作戦部隊は4月4日にF-15E兵器システム担当官(WSO)を無事確保した。
米当局は西側メディアに対し、WSOは36時間の捕獲を逃れて生存したが、彼は重傷を負い、現在クウェートで治療を受けていると伝えた。
救出作戦により、イラン側の犠牲者は不明である。
米軍は救出作戦後にイランから回収できなかった輸送機2機とMH-6リトルバード機数機を破壊した」
(ISW4月6日)
イラン更新、2026年4月5日 |ISW
続いてトランプの天敵CNNはこう報じています。もう少し「文学的」です。
「(CNN) 敵の前線の背後で切り立った岩の裂け目にひとりで身を隠した米軍士官。負傷しながらも、やるべきことは分かっていた。生き延びて、敵の捜索をかわすこと。
搭乗していた米軍の戦闘機F15E「ストライク・イーグル」がイラン上空で撃墜されてから1日以上、兵装システム士官(WSO)は森林に潜んでイラン軍の追跡をかわし続けた。切り立った崖をよじ登り、標高2000メートルを超す尾根に到達したときもあった。所持していたのは拳銃と通信機器、発信機のみだった。
米軍特殊部隊が高山地帯を捜索して将校を発見し、無事救出するまでの間、米空軍機はイラン軍を寄せ付けないよう、この一帯に爆弾を投下した」
(CNN4月6日)
イランで撃墜された米軍機、高山に潜伏した乗員の発見に総力を賭けた米軍とCIAの救出作戦 - CNN.co.jp
このパイロット(正確には兵器管制士官・WSO)がはなんと2100mの高山に負傷しながらよじ登ったようです。見上げた根性。
平地で所持していた居場所を発信する機器を使うと居所がバレるのを恐れたからで、できるだけ高い場所で短い通信を送ることを考えたのでしょう。
意外なことに朝鮮日報が詳しく伝えています。
「敵中の真っただ中に一人残されたこの将校は、護身用拳銃一丁にのみ頼り、イラン軍の綿密な捜索網を丸一日かわし続けたとされる。イラン当局は米軍将校を生け捕りにするため、6万ドル(約9,000万ウォン)に達する懸賞金まで掲げ、大規模な兵力を投入して捜索を行った。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、墜落地点が平素からイランのイスラム体制に対する反感が強い地域である点を指摘し、「現地住民が米軍将校に密かに避難所を提供した可能性が高い」と述べた。イラン南西部一帯は、長年にわたり中央政府の統制に抵抗してきた少数民族や反政府勢力が多く居住する地域である」
(朝鮮日報4月5日)
米軍がイランでF-15搭乗大佐救出作戦成功 - ChosunBiz「この米兵は当初、山の裂け目に身を隠し、居場所は米側にもイラン側にも把握されていなかった。その後、24時間にわたりイラン側の追跡をかわし続け、一時は標高およそ2100メートルの山の尾根を登った。
米軍と通信できる機器を所持していたが、イラン側に探知される恐れを考慮し、使用は制限した。米中央情報局(CIA)はイラン側を混乱させるために、米兵がすでに救出され、陸路から移動するとの偽装作戦も実行したという」
(日経4月6日)
米兵救出、CIA偽装作戦 トランプ氏「史上最も大胆」 「陸路で移動」イラン混乱させる 拳銃1丁で敵陣へ潜伏 - 日本経済新聞
ふーん、CIAも噛んでいたんだね。情報提供と欺瞞工作を担当したみたいです。
このCSAR(Combat Search And Rescue ・戦闘捜索救難)はオールアメリカンだったよです。
HC-130N コンバット・キング、HH-60ペイブホークといったメーンの救出機、そしてA10で上空からの援護は空軍から、降下して捜索し救出するのは海軍のシールズ、作戦機だけで十数機、関わった人員は数百名だったようです。
A10はこのF15のもうひとりのパイロット救出作戦時に尾翼を被弾して基地まで辿りつけずイラン領外でベイルアウト(脱出)したとのこと。
ウォーモニターというOSINTアカウントの投稿はこう概括しています。
「撃墜された航空兵が撃墜後にタルフンチェ近郊に着陸し、直ちに緊急GPSを起動、捕獲を回避するため2000メートル級の山を24時間かけて5マイル登り、そこで12時間隠れ続ける。
米特殊部隊が彼の位置を特定し、イラン軍の車列が迫っているのを察知、大規模な空軍パワーでこれらの車列に交戦を開始する一方、米特殊部隊のMH-6ヘリコプターとC-130が展開され、彼の南東10km地点に着陸して即席飛行場を構築。
その直後、数機のMH-6が山頂に成功裏に飛来、小火器の銃撃下で彼を回収し、即席飛行場に到達。典型的なことに、Delta隊と負傷した航空兵を避難させるはずの2機のC-130Jが泥にはまり込む。
米空軍が近隣のイラン部隊に対する大規模制圧作戦を開始する中、特殊部隊チームは3時間にわたり陣地を固め、最終的に3機のAFSOC ダッシュ8機により救出される。その間、捕獲を避けるため残存のC-130JとMH-6機を爆破した。
XユーザーのWarMonitor🇺🇦🇬🇧 X
米軍はこの救出作戦のために飛行場まで作ったようです。
しかし残念ながら、機首の車輪が砂に埋まってしまい身動きがとれなくなり、イランの手に渡らないように2機を爆破したようです。
これが唯一の損害で、戦死傷者なし、要救助者は保護と百点満点のような結果に終わりました。
さて4月17日に新月の夜が近づいています。
米軍がことを起こすのは新月と決まっていますが、月の出が遅れればそれでよしとするかどうか。
米軍はこの救出作戦の大成功でダダ上がった戦意をそのまま流し込むのでしょうか。
いずれにしても、内容的にも、物量的にも1名の人間を救助するだけにこれだけのものを投入できるのが米国です。
普段は馬鹿みたいな顔をしていますが、いざとなった時のあの国を甘くみないほうがいい。
« 猛然と救助する米軍 | トップページ | 天皇なきイランの悲劇 »



映画化するなら、ウォーフェアみたいにカタルシスゼロで描いて欲しいものですが、トランプが作らせたら安っぽいけど金ばかりかかっているスーパーヒーローものになりそうですね。
生きていてくれて、無事に救出してもらえて良かった(捕まっていたら本当に何されるか分からない)。
それは揺るぎない事実ですが、そもそもアホタコトランプが鉄砲玉(ネタニヤフ)に軽い気持ちで乗っかって始めたアホアホ侵略戦争なので、早いとこ世界中にごめんなさいした上でウクライナに全力支援再開してロシアを追い出して欲しいものです…
投稿: ねこねこ | 2026年4月 7日 (火) 07時16分
まあ、間違いなく数年後にはハリウッド映画になるでしょうね。
「エネミー・ライン」のような構成になるのか、「アパッチ」のような調査でのミステリアスな状況を解明する形なのか、「ネイビー・シールズ」みたいな極めて現実よりの話に仕上げるのか?
もう、監督と脚本家次第でしょう。
他にも2001年テロでの「ユナイテッド93」みたいな救いのないのもありましたけどね。
多分早くても5年後から10年後になるでしょうけど、その時にトランプさん生きてるのかね?
下手に美化出来ない程の作戦規模で、後席(海軍におけるRIOで「トップガン」でのグースに当たる)人命は救ったけど、全軍にCIAのインテリジェンスまで関わっているのに···この時期には「救助作戦は成功しパイロットを救出した」という発表で留めておくべきだろうに、トランプは内政でのアッピールのために喋りすぎです。
重傷とされる空軍大佐をかろうじて救出できましたが···物的損失がものすごいですね。。
イラン側の「新型防空システムによって撃墜した!」の新型って何だよ!ただのMANPADSなら低空で旋回する高性能機でも撃墜は容易。
湾岸戦争が初戦闘だったCAS任務のA-10と、同任務欧州のトーネードの損害が圧倒的に多かったです。
適材適所。米政府というか議会はA-10をさっさと引退させたいようですが、その代わりが無い!現場では絶大の信頼性。
安いCOIN機を量産するか無人のドローンで代替させるのかすら方針が決まっていません。
投稿: 山形 | 2026年4月 7日 (火) 09時34分
おそるべき米軍の軍事力。準備から精密なその作戦実行力まで、凄まじい思いがします。しかし前輪が埋まってNGになったとは初めて知りました。それが無ければ満点でしたが、人命が損なわれなかった点を考えれば満点に近いもの。いずれにしても連合軍の支配力が意外に完璧に近い、その在り様を見せてくれた感じがします。
トランプは交渉決裂にあたって、さらに凄まじい攻撃を展開するのではないか。けれど、トランプは海峡の自由航行に無関心という図式は成り立たないと思うんです。なぜならテヘランが自分の劣勢を世界のエネルギー市場への圧力へと転換して作戦する以上、これを放って置くわけには行きません。また、米国内の産油量とガソリン価額は無関係。どうしても高騰したガソリンの国内価額を下げなければ、中間選挙が危ぶまれます。海峡の自由航行を含めた地上作戦に展開する以外ないのではないでしょうか。しかし、それにしては要因が少数なので、どうだろう?
投稿: 山路 敬介 | 2026年4月 7日 (火) 17時56分