ドーハの憂鬱
UAEが米国に通貨スワップを申し入れたそうです。あの世界一の金ピカ国家がどうしたんでしょう。
WSJで堅く情報を取っている韓国中央日報です。ちなみに日本メディアは革命防衛隊の通信社のお得意ですが。
「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は19日(現地時間)、米当局者の言葉を引用し、「UAE中央銀行のハーリド・モハメド・バラマ総裁が先週ワシントンでスコット・ベッセント米財務長官、連邦準備制度理事会(FRB)関係者らと会い、通貨スワップラインの構想を切り出した」と報じた。両者は公式要請の段階ではなく予備的・予防的な議論だという立場だが、UAEは戦争の影響が長引けばドル不足を補う「救命ロープ」が必要だという立場を米側に伝えたという」
(中央4月20日)
UAE、米国に「ドルの安全網提供を」…中東、外貨防衛の火消しに躍起(中央日報日本語版) - Yahoo!ニュース
ご承知のようにドバイは世界有数の金融センターで、世界7位の取引量をもっており、4位の座も視野に入れていました。
「ドバイの今回の順位は、中東・アフリカ・南アジア(MEASA)の金融センターとして過去最高であり、同地域でトップ20に入った唯一の都市として、地域における主導的地位と世界的な競争力を改めて示しました。
同首長国の金融エコシステムは、Dubai International Financial Centre(DIFC)の継続的な拡大と世界的な影響力に支えられており、DIFCは総合金融ハブとしての地位を引き続き強化しています」
DIFC、世界金融センター指数でドバイを7位に押し上げ、世界トップ4の金融ハブ入りへ加速 | Dubai International Financial Centre (DIFC)のプレスリリース | 共同通信PRワイヤー
しかし今回のイラン戦争でもっとも大きな被害を被ったのは他ならぬUAEでした。
石油施設や港湾のみならず、世界的アルミ製造プラントがイランの攻撃に合って操業を停止しています。
「[3日 ロイター] - アラブ首長国連邦(UAE)のアルミ生産大手エミレーツ・グローバル・アルミニウム(EGA)は3日、先月末にイランによる攻撃を受けたUAEのアルタウィーラ精錬所は一次生産の完全復旧に最長で1年かかる可能性があるとの見通しを明らかにした。UAEは3月28日にアブダビのハリファ経済特区が攻撃されたことを受け、アルタウィーラ精錬所でも全職員が避難し、操業が緊急停止された」
(ロイター4月6日)
UAEアルミ生産大手、イラン攻撃受けた精錬所は完全復旧に1年必要も | ロイター
復旧までには長期間を要すると言われているようですが、本業の石油産業はサウジと同様にホルムズ海峡をつかわずとも陸上のパイプラインで6割ていど輸出できており、原油価格の上昇でむしろわずかながら増益ではないかと見られています。
しかしもっとも厳しい打撃はむしろ金融業でしょう。いまや金融業が本業になっていますしね。
イランからの大規模攻撃を受けたUAEでは、ドバイなどの金融センターからの人とカネの流出が継続しています。
ニューズウィーク
「[ドバイ 17日 ロイター] - 中東の紛争が深刻化すれば、ペルシャ湾岸諸国の銀行から3070億ドルの預金が流出する恐れがある――。S&Pグローバル・レーティングスは最新の報告書でこう警告した。
S&Pによると、今のところ湾岸諸国の銀行から国外ないし国内の預金者が資金を大幅に引き出している形跡はなく、米国・イスラエルによるイラン攻撃開始以降もしっかりした足場を確保している。
しかし紛争が長期化する場合、地域内の銀行間で質への逃避が発生するほか、国内外の預金者による資金引き出しにつながる恐れがあるという」
(ニューズウィーク3月18日)
湾岸諸国の銀行、紛争深刻化なら3070億ドルの預金流出も=S&P | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
ドバイは深刻なドルの流動性危機に見舞われています。
ドバイの金融センターはドルペッグによって裏打ちされており、ドルの保証あって初めてドバイは世界の金融センターとして君臨できたのです。
そのドルペッグは潤沢なドルがあってのこと。
そのドルがドバイから逃げています。
UAEの金融当局者はワシントンに駆けつけ「おまえらが勝手に戦争をおっ始めたのでこのザマだ。責任取れ」と叫んだようです。
「UAEが米国に対し、事実上の責任論も展開したとWSJは報じた。WSJによると、UAE側は米当局者に「イランを攻撃したのはトランプ大統領の決定だった」とし、「その決定がUAEを破壊的な紛争に引き込んだ」と強調した。イラン戦争でホルムズ海峡を通じた原油販売に支障が生じ、UAEのドル収入の基盤が揺らぐ中で、石油・ガスインフラの被害と投資心理の悪化への懸念が重なったとWSJは説明した」
(中央前掲)
もちろん米国は、イラン戦争は湾岸諸国の同意なく始めたという弱みがありますから、スワップを引き受けるでしょう。
ただしころんでもただでは起きないトランプはいろいろと条件をつけてくるのは必至です。
たとえば2022年に中国がリヤドで、湾岸協力会議首脳やアラブ諸国首脳とのサミットに出席し、中国との石油決済を元決済で行うことを決めました。
これがトランプは気に食わない。
二股かけやがって冗談じゃない、誰がお前らを守っているんだ、そもそもこの戦争はイランという悪の司令部を叩き潰すためだろうが、というわけです。
実際、どのようなやりとりになったかわかりませんが、まぁ当たらずとも遠からずでしょう。
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