イラン20日間停戦案受諾
まぁ、今日はこれしかテーマはありませんね。
トランプが「テメーの国の文明は終わりだぁ」とか「石器時代にもどしてやる」といった野蛮人みたいなことを叫んでいた成果のようなものがでました。
大向こうからは、これも得意のTACO(トランプはいつも日和る)じゃんという声も聞こえますが、いいじゃないですか、とりあえず戦争は回避できる可能性ができたんだからさ。
「アメリカのドナルド・トランプ大統領は7日夜、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、イランがホルムズ海峡の航行を認めれば、アメリカとイランの間で2週間の停戦が実現すると発表した。その後、イランの最高国家安全保障会議(SNSC)も声明で、アメリカとの合意を認め、詳細を「最終確定」させるため、最大15日以内に、パキスタンの首都イスラマバードで交渉を行うと明らかにした」
(BBC4月8日)
アメリカとイランが停戦で合意、条件付きで2週間 ホルムズ海峡開放へ - BBCニュース
これにより原油価格は急落し、市場全体は安堵感が生まれました。
株価も急上昇していますが、これから毎日が原油・株価、為替のジェットコースター市場を見ることになることでしょう。
停戦問題は、これをきちんとイラン側が守れるかに尽きます。
守れなければこれは短い停戦でしかなく終戦にはなりません。
米・イランが2週間の停戦合意、ホルムズ海峡の航行可能に…イラン外相が声明 : 読売新聞
米国は6日に、イランが出してきた停戦条件10項目を、検討可能だとして、一時停戦に合意し、イランへの攻撃を停止したと表明しました。
ちなみに、イランの10項目提案とはこんなものです。
勝手なこと言っていやがるとおもいますが、ま、あくまで初めの球は高めと決まっていますから。
イラン10項目の内容
・イラク、レバノン、イエメンにおける戦争の完全停止
・期限を設けない、イランに対する戦争の完全かつ恒久的な停止
・湾岸地域におけるすべての紛争の全面的な終結
・ホルムズ海峡の再開
・ホルムズ海峡における航行の自由と安全を確保するための協定および条件の確立
・イランに対する復興費用の補償金の全額支払い
・イランへの制裁解除の完全な履行
・アメリカが保有するイランの資金および凍結資産の解放
・イランがいかなる核兵器の保有も求めないことへの全面的な確約
・上記条件が承認され次第、すべての戦線で即時に停戦を発効すること
そして期限切れ90分前のアラグチ外相がXにツイートして、とりあえず2週間の和平とあいなりました。
「シャリフ首相のツイートによる友好的な要請に応え、また米国が15項目の提案に基づく交渉を要請したこと、さらに米国大統領がイランの10項目の提案の枠組みを交渉の基礎として受け入れると発表したことを考慮し、イラン最高国家安全保障会議を代表してここに宣言する。イランに対する攻撃が停止されれば、我が強力な国軍は防衛作戦を停止するだろう。2週間の間、イラン国軍との連携と技術的な制約を十分に考慮した上で、ホルムズ海峡の安全な航行が可能となるだろう」
XユーザーのSeyed Abbas AraghchiさんX
なお、この停戦合意には、レバノンのヒズボラとの停戦も含まれています。
米国はイスラエルもこれに合意していると発表しましたが、ネタニヤフはイランとの停戦には合意をしたが、ヒズボラについては別だと言っているようです。
「イスラエル首相府は8日、トランプ米大統領がイランとの2週間停戦を表明したことを受けて声明を出し、米政権を支持するとした。ただ、停戦にレバノンは「含まれていない」としており、早くも停戦内容について齟齬が表面化した。
イスラエル軍は8日、レバノン南部ティルスの住民に北方に退避するよう警告し、親イラン民兵組織ヒズボラを標的に攻撃を続ける方針を明確にした。イスラエルのネタニヤフ首相は米国に従う姿勢を示しながらも、レバノンへの攻撃を強化する可能性がある」
(産経4月8日)
イスラエル、米政権を支持もレバノン攻撃に集中か イラン攻撃の恒久停止は見通せず - 産経ニュース
選挙を控え、ガザ戦争ですっかり信用をなくしたネタニヤフにとってこの宿敵イランとの戦争で人気が回復しています。
正直、この際足腰立たないくらい叩きたいはずですし、ついでにズボラなどのイランの眷属も一掃したいはずです。
果たしてネタニヤフが、この2週間の間おとなしくしているかはなはだ不安です。
一方さらに大きな不安は、イランがこの2週間の停戦を遵守するかどうかです。
この受諾宣言がアラグチというイランの権力構造の下っぱである外相名で出てきているのが不自然だ、という指摘もあります。
「2月28日以前、イランのシステムは複数の権力拠点を均衡させていた。
選挙で選ばれた政府は、大統領、議会、地方議会で構成され、日常的な統治は行われ、選挙で選ばれていない宗教組織――最高指導者、後見人評議会、専門家会議――が最終的な権威を持っていました」
(テレグラフ4月5日)
How Trump is turning Iran into a full military dictatorship
アラグチは宗教的権力がなくただの実務者にすぎない、アラグチは「最高国家安全保障会議」を代表できないという見方もあるようです。
つまり、この2週間の停戦をなんとか外交実務者は説得したが、冗談ではない、「大悪魔米国」との戦争はこれからだという神州不滅派も大勢残っているはずなのです。
だからこのイスラマバード和平会議が不調に陥ったり、あるいはその間にドンパチが再燃したりすれば、上層部の神州不滅派は全部悪いのはアラグチに押しつけてひっくり返すことが可能なのです。
このようには考えばきりがないほど不安要因はあるですが、とりあえずの焦点はなんといっても世界経済に深刻な打撃を与えているホルムズ海峡を無事に通航できるか、イランに不当な通行料を支払わずに済むのかでしょう。
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野蛮人なことを撒き散らして、とりあえず一発殴り、抵抗されたらさらに強力な暴力をちらつかせ(「我々にはまだ使っていないオプション(要は核兵器)がある」)、思い通りに相手を動かす。
これがまかり通る世界になると、一番困るのは「優等生」戦略の筆頭の日本な気がして、不安ですね…「何でもありの暴力世界」で生き残るには、日本はもっともっと「普通に戦争できる国」にならなければならない。
憲法改正はもしかしたら高市政権でできる、かも、知れません。が、核武装までは無理でしょう。核共有すら当面は無理でしょう。
あと、この件でトランプが「アホタコ」になるかどうかは、イランに停戦の約束を守らせられるかどうか、にかかってますね。2週間後、ホルムズ海峡がまた自由に通航できるように、なってるのかな…どうだろう…
投稿: ねこねこ | 2026年4月 9日 (木) 08時40分
世界の多くの国々も私も望む戦闘終結の実現を、強く願う。
今はまだ双方ともソーシャル・メディアでそれぞれに主張するだけなので、共通の文書が出されるまでは観察して待つ。
投稿: 宜野湾より | 2026年4月 9日 (木) 09時53分
いつもありがとうございます。
どっちも勝利宣言。色々損失はありますが、良いところを挙げれば各々、
アメリカは軍の強さ(と狂気)を中露に見せつけた。
イランはホルムズ海峡という(核より)便利な外交カードを手に入れた。
でしょうか。
レバノンのことは無関係でいいじゃないか、と思います。
戦争続行が利益になるイスラエルとロシアが邪魔をしなければ良いですが。
投稿: プー | 2026年4月 9日 (木) 09時58分
いつも楽しみに拝読・拝見しております。
今回の停戦合意は真面目に合意を守ろう守らせようとする当事者が皆無で、当事者を比べてみるとまだトランプ大統領がマトモに見えるという結構とんでもない代物に見えています。仲介したパキスタンの影響力は小さいし、イランはすぐにホルムズ海峡を封鎖するし、イスラエルは早速レバノンを攻撃するし、アメリカもホルムズ海峡の通行料を取るとか言い始めていて、イランが人間の鎖を作れない停戦期限前にインフラを奇襲攻撃するかもしれません。
こんな当事者達が何度停戦合意をしても、同じことの繰り返しになりそうで、以前ブログ主様がご指摘されたように、一番弱い環のイランが崩壊するまで終わらないように思います。イランの統治機構は昭和天皇どころかもう国の体をなしていないので、犠牲になる国民が本当に可哀そうです。原油や金融市場の乱高下なんて、イラン国民の辛苦に比べたら大したことではないのかもしれませんね。
投稿: 都市和尚 | 2026年4月 9日 (木) 22時26分