大統領閣下、時間切れです
大統領閣下、時間切れです。
日本のメディアはスルーしていますが、米国には大統領が勝手にダラダラ戦争をさせないために戦争権限法(War Powers Act )というのがあります。
それが5月1日で切れました。
「米国憲法上、戦争を宣言する権限は議会にある。1973年に制定された戦争権限法は、大統領が議会の承認なしに軍事力を動員した場合、共同決議によって軍の即時撤退を求めることができると規定している。また、60日以内に議会から武力行使が承認を得られなければ、30日以内に撤退しなければならない。今回の戦争の実際の開戦は2月28日だが、トランプ政権が議会に公式に作戦開始を通知した時点(3月2日)から日数が数えられる。
軍を撤退させない場合、トランプ大統領が選択しうる方法は、共和党を説得して上下両院で戦争の承認を得るか、議会の同意なしに自ら戦争延長を強行するかの2つだ」
(韓国ハンギョレ4月24日)
トランプ大統領「議会承認なき戦争」あと7日…共和党も「デッドライン」(ハンギョレ新聞) - Yahoo!ニュース
米国における「大統領」はいわば国王のようなものだと考えて下さい。
一方「議会」は上院、下院のそれですが、大統領の権力とバランスするように出来ています。
これは伝統的な欧米の考え方ですが、米国の場合、ベトナム戦争が議会の明確な承認なしに長期化したことへの反省から、大統領の独走を防ぎ、議会の関与を強めるために作られました。
軍事行動に関して、大統領は緊急時には議会の正式な宣戦布告がなくても一定期間、軍を行動させることができます。
ただし、戦争をする権限があるのは議会だけです。
つまり、大統領は自分の権限で軍隊を動かせますが、それは短い期間ですよ、という仕組みです。
米国防権限法が成立、予算は過去最大 台湾の防衛力強化など盛り込む - 日本経済新聞
また、軍事行動は議会への「報告義務」と「期間の制限」があって、期限を過ぎると議会の承認が必要となります。
戦争権限法ではその具体的期限はこのようになっています。
① 最初の48時間以内。大統領は米軍を戦闘状態に投入した場合、48時間以内に議会へ報告しなければなりません。
② 報告後、原則60日間は議会の正式承認なしで戦闘行為を継続できます。
③この60日を過ぎて、議会が承認しない場合は、大統領は単独の判断で戦争を継続できません。
④撤退に要する期間を追加で30日間とみなしますから、都合90日間ということになります。
したがってこの期間を過ぎると、特定の軍事行動を認める法律、あるいは同等の決議や授権決議が必要となります。
2月28日が開戦ですので、60日の制限は4月28日となります。
議会の承認が得られない場合、4月28日までに撤退を開始しなければなりません。
なお、撤収のための「追加30日間」が適用される場合は、さらに5月29日まで延長される可能性があります。
いずれにしても、この期限までに議会からの正式な承認を取り付けねばなりません。
ではトランプ政権はどう考えているのでしょうか。
ヘグセス国防長官はこう言っています。
「1973年制定の戦争権限法は、議会の承認なしに軍を派遣した場合、原則として60日以内に戦闘を終える必要があると定めており、政権の対応が注目されていた。ヘグセス氏は「停戦中は60日間の期限をカウントする時計が一時的に止まる」と主張。トランプ大統領が4月、対イラン攻撃を2週間停止することに同意すると述べ、その後も停戦を延長しているとの立場を踏まえた発言とみられる」
(読売5月1日)
対イラン軍事作戦、戦争権限法の60日撤退規定「停戦中は対象外」…米国防長官が派兵継続を主張 : 読売新聞
つまり、休戦協議のために2週間戦闘行動を停止しているのだから、カウントからはずすということです。
するとデッドエンドは5月2週ということになります。撤収までいれるとさらに30日間追加されます。
では、議会で承認される可能性はどうなのでしょうか。
実はギリギリです。
「一方、上院は4月30日、野党・民主党の議員が提出した、米軍の撤退を求める決議案を採決し、賛成47、反対50で否決した。6回目の否決で、4月22日の前回採決時に反対した与党・共和党の議員1人が賛成に回り、票差が縮まった。
民主党は今後も採決を続ける構えだ。トランプ氏は30日、記者団に「イランとの交渉を進めているのに、(民主党は)毎週のように決議案を提出してくる」と述べ、不快感を示した」
(読売前掲)
微妙ですね。このように見ると、トランプもただのんびりとイランの回答を待っているというわけにいかなくなります。
イランはタンクが満タンで油井がオシャカになりそうですし、トランプもあまり時間が立つと共和党からあと3名造反がでるとアチャーとなるわけです。
またあまり待機させていると集結した軍の志気がダダ下がりとなりますので、来週早々に米軍の再攻撃があるかもしれません。
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