小泉氏、ドローンに覚醒す
いままでこの人物だけに首相はさせたくない政治家のトップに輝いていた小泉大臣ですが、高市政権でがぜん覚醒してしまいました。
いままでのようにお花畑に遊ぶ少年を辞めて、リアルな政治家に生まれ替わっています。
ま、環境大臣だった頃も、世界トップモードに対しては異常に敏感だったので、今回もそれかもしませんが、方向は決して間違っていません。
むしろ国防という堅牢な世界に風穴を開けるにはうってつけのキャラなのかもしれません。
防衛省は大胆に無人機を導入しようとしています。
公表されたのは3月のことですから、防衛省はその検討段階まで含むと1年以上前から練っていたのでしょう。
その名も「シールド」だそうです。
こういうネーミングに凝るのがいかにもジュニアらしい。あ、いかんまたくさしてしまった。
「日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、防衛省はドローン数千機を活用した沿岸防衛体制「シールド」の構築を目指している。運用には訓練環境や生産基盤など克服すべき課題も多く、自衛隊は世界的に進む「新しい戦い方」への対応を急ぐ。
シールドは敵艦艇の迎撃や情報収集、レーダーサイト防衛などを担う10種類以上のドローンを組み合わせ、侵攻を試みる敵を多層的に食い止める構想。同省は2026年度予算案に約1000億円を計上し、27年度中の実現を目指す」
(時事3月13日)
大量ドローンで沿岸防衛 数千機導入、課題も―「新しい戦い方」へ対応急務・防衛省:時事ドットコム
防衛省の「シールド」構想はこうです。
防衛省はこう説明しています。
無人アセットによる多層的沿岸防衛体制【SHIELD】の構築
近年、諸外国において無人アセットの導入及び技術革新が進展したことに伴い、戦闘様相も大きく変化。我が国においても、高価な有人アセットを含む侵攻部隊から我が国を防衛するため、有人アセットのみならず、安価かつ大量のUAV・USV・UUVを活用し、これらの組み合わせによる非対称的かつ多層的な防衛体制の早急な整備が、これまで以上の喫緊の課題。
これまでの各種実証試験の実施に加え、最新の技術を有する各種アセットの出現により、広範な無人アセットを短期間で大量に取得可能な状況が到来。
そのため、令和8年度概算要求においては、1,287億円を計上してこれらの取り組みを進め、令和9年度中に無人アセットによる多層的沿岸防衛体制【SHIELD】を構築。
また、これらの取り組みと並行し、各無人アセットを一元的に管制するシステムの早期導入も追求
(令和8年度概算要求~重点ポイント)
どうしてこうわかりにくく説明するんだろうと思いますが、従来の離島防衛の概念はこうです。
下図と上図とを較べてみて下さい。上図には無人機なんかぜんぜん姿がありませんね。
防衛省・自衛隊|令和5年版防衛白書|1 島嶼部を含むわが国に対する侵攻への対応
従来のイメージは、押し寄せる中国上陸艦隊に対して、陸上からのスタンドオフミサイルで叩き、F-2で対艦ミサイルを食らわせ、水上戦闘艦や潜水艦からも対艦ミサイルをご馳走し、最後に水陸機動団で奪還するというのが歓迎プログラムでした。
まことにオーソドックスで、これはこれでいいのですが、盲点がありました。
相手が大量のドローンをウンカの如く投入してくる可能性があるのです。
だって中国は世界一のドローン大国だもん。
佃煮にするくらい軍事ドローン持ってるんだもん。使わないわけないじゃないですか。
中国国内には100以上のドローンメーカーが乱立、民間・軍用含めドローンにおいては先進国で世界のトップシェアは完全に中国企業が支配しています。
最近、宮古海峡を偵察しにきたBZK-005などは、100機以上軍が保有しています。
軍事利用が大好きなあの国はとっくの昔にドローンを実戦配備して、台湾や離島攻撃に組み込んでいるはずです。
ところで、日本が手本にしているウクライナは東欧随一のハイテク国で、製造基盤も分厚いものがありました。
対するロシアは黒海艦隊は事実上黒海から追い出され、冷戦の名残でミサイルは腐るほど持っていても、ドローンはイランからのもらいものが主力です。
だから非対称戦が組めたわけです。
ウクライナが今、やっている無人機戦争はこうです。
①上陸船団を連携して叩く
FPVドローンを満載したUSV(海洋ドローン)を侵攻ルート上にばらまいておき、上陸用の舟艇や揚陸艦(軽装甲で密集した、お高い標的)に対して、近くから大量のFPV(一人称ドローン)を同時にぶつけます。
②水際の陣地を潰す火力支援
サーモバリック・ロケット弾を発射するシュメーリが、海岸の軽装甲の車両や橋頭堡を叩く。
③対空ドローン
マグラV5などのUSVで、ヘリや対地攻撃機などを攻撃する。
①から③までが連携し、互いに補完しあって撃退するという仕組みです。
これまんま台湾やわが国離島の防衛に役だつじゃん、と誰しもが思ったのも故無しではありません。
実際に台湾は全力で無人機と取り組んでいます。
しかしヌカ喜びは早い。
相手が基本はたいした先端技術もなく、民生品製造では三流国でしかないロシアには効きました。
ところが、我々が相手とする中国は、世界一の民生品製造国なのです。
米国や日本の下請けをやっているうちに、技術を盗みまくり、技術者をリクルートし、いまや高度な技術を身につけてしまいました。
かくしていまや残念ですがドローン製造でも世界一です。
わが国で使っているドローンをひっくり返してご覧なさい。みんなメイドインチャイナですから。とほほです。
「中国は、年に数百万機の民生用ドローンを生産して輸出する、世界屈指のドローン大国です。大量生産を支える国内産業基盤の裾野も広く、ドローンに必要な部品やソフトウェアは全て自国内で生産しています。
このような中国製ドローンは、世界市場シェアの8割前後を占めており、ドローン用バッテリーなどの中国製部品は、世界中のサプライチェーンを押さえてしまっています。
つまり、中国以外の国がドローンを国内生産しようとすれば、「AIの目」で高度な自律飛行ができるドローンを産み出した米国でさえ、中国製部品の入手が必要不可欠になっているのです」
(澤田雅之)
中国は民生用ドローンを年間数百万機生産・・・ウクライナは軍用ドローンを年間数百万機生産|澤田雅之
ここがロシアとは根本的に違う点です。
だから「弱者がハイテクで強者に勝つ」というウクライナとロシアの非対称の図式は、こと中国相手には通用しないのです。
むしろ先行する中国の水準にどう追いつくのかが現実のテーマなのです。
そこで防衛省が着目したのが、わが国あって中国にはないぶ厚い「町工場」層なのです。
「2026年5月20日、名古屋市にある産業用ドローン(無人機)メーカー「プロドローン」社の工場に、小泉進次郎防衛大臣の姿があった。目の前に並んでいたのは、物資輸送用の大型ドローンや、完成したばかりの「攻撃用ドローン」だ。社員から熱心に説明を受けた小泉氏は、視察後、力強くこう宣言した。
「無人機の生産・技術基盤が国内に存在することが不可欠だ。世界一、無人アセット(装備品)を駆使する組織に変革していく」
今、日本の防衛戦略が根底から覆ろうとしている。いや、劇的な「進化」を遂げようとしていると言っていいだろう。
かつて「防衛後進国」と揶揄されることもあった日本が、ここに来て、世界を驚かせるほどのスピードで「新しい戦い方」に適応し、さらに国産の最先端技術をもって、世界のトップランナーに躍り出ようとしているのだ」
(増田 剛)
ドローン大国の中国に「日本の町工場」が反撃開始…”純国産無人機”を生み出す、驚愕の「モノづくり力」とは
ここに予算を投じて、今まであった政府金融は防衛産業にはカネを貸さないという不文律を破って活性化させようと、しています。
まだ始まったばかりで形が見えるのはしばらくかかるでしょうが、日本の底力を見せて下さい。
« 日曜写真館 よき年のよき日生れたまひ菖蒲葺く | トップページ | 中国、シャングリアダイアログやっているさなかに尖閣侵犯 »
コメント
« 日曜写真館 よき年のよき日生れたまひ菖蒲葺く | トップページ | 中国、シャングリアダイアログやっているさなかに尖閣侵犯 »




進次郎の防衛相登用は、うれしい誤算でしたね。
討論において、反射神経がいいだけでなく論理性があって、しかも分かりやすさも十分。ヘグゼスとのケミストリーも良い。来沖に際しても、説明は説得力に富んで細かい数字も押さえていた、という事らしいです。
ドローン戦は勝敗を決める重要な要素になって来るので、行きつくところは「ドローン迎撃用ドローン」の技術勝負だろうと思います。あと大量生産体制ですか。我が国のテラドローンはウクライナ企業と連携して、実戦からのフィードバックが期待出来ます。イスラエルの技術力にも注目すべきですし。三原則の大幅改定など、とにかく進次郎の活躍は目を見張るものがある。環境相時代とは、まるで別人のよう。
投稿: 山路 敬介 | 2026年6月 1日 (月) 22時23分