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2026年5月30日 (土)

後はトランプの承認待ちだとか?

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米国とイランが核合意とホルムズ海峡開放について暫定合意したとメディアが報じています。
CNNの書きっぷりだと、後はトランプ御大がオーケーを出すか出さないかまで煮詰まっているとか。ホントかな。

「(CNN) 米当局者は28日、米国とイランの協議で暫定合意に達したと明らかにした。だが、トランプ米大統領はまだこれを承認しておらず、地域情勢は依然として緊迫している。
当局者らは、いかなる合意にもトランプ氏の承認が鍵になると警告しており、トランプ氏は合意に先立ち、協議の現状に満足していないと述べていた。また、戦争終結に向けたもう一つの不可欠な段階とみられるイラン最高指導者の承認が得られているかどうかも明らかではない。
だが、過去48時間にわたり米イラン間で敵対行為が続いているにもかかわらず、両国間で文書が最終決定されたことは、外交が進展している兆候となった。
覚書には、ホルムズ海峡の航行制限解除、船舶の自由航行の許可、米国の海上封鎖解除に関する文言が盛り込まれる。
また、高濃縮ウランの備蓄の扱いを含むイランの核開発計画をめぐる60日間の交渉期間を開始する内容も含まれる。情報筋によると、核開発計画に関する最も困難な問題は、今後の協議の中で解決していく必要があるという」
(CNN5月29日)
米イラン、海峡開放と核協議開始で暫定合意 トランプ氏は未承認 - CNN.co.jp

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CNN.co.jp

日経もアクシオスをソースにしてこのように報じています。

「米政府当局者は28日、米国とイランの交渉が暫定合意に達し、トランプ米大統領の承認を待っていると記者団に明らかにした。米政治サイトのアクシオスによると、停戦を60日間延長し、この間にイランの核問題を協議する覚書を交わすことで一致したという。
アクシオスによると、覚書ではホルムズ海峡を開放し、イラン側は30日以内に全ての機雷を除去する。イランは核兵器の開発を追求しないとの約束が盛り込まれるという。60日間の交渉で高濃縮ウランの処分方法などを話し合う。米国がイランに科してきた経済制裁の解除なども協議する」
(日経5月29日)
米、停戦延長と核交渉継続でイランと暫定合意 トランプ氏の承認待ち - 日本経済新聞

一方、イラン・インターナショナルはヴァンス副大統領の発言をこう伝えています。

「米国副大統領JDヴァンス氏は木曜日、イランはテヘランの核計画に関する合意の可能性をめぐる交渉が続く中、合意を望んでいる一方で、最終的な結果は不確実であると付け加えた。
記者団に対し、ヴァンスは両者が「いくつかの言語問題でまだ意見を交わしている」と述べ、「多くの進展を遂げた」と付け加えた。
「MOUをいつ、あるいは割り当てるかどうかは正確には言い難いと思います。いくつかの言語的な点で意見を交換しています。ここでかなり進展がありました。イラン側は明らかに合意を求めており、ホルムズの街を開放したいと考えています。ホルムズの街を開放してほしい。核関連の問題、高濃縮備蓄、そして濃縮の問題についてもいくつか問題があります」とヴァンスは述べました。
「だから、彼らと行ったり来たりしているんだ。少なくとも今のところ、彼らは誠実に交渉しており、私たちも一定の進展を遂げていると考えています。今後も進展を続けていければと思います。大統領は合意を支持できる立場にいるが、それはまだ議論の余地がある」と付け加えた」
(イラン・インターナショナル5月29日)
Iran wants deal but agreement still unclear, Vance says | Iran International

双方手詰まりなのでしょうね。
イランはメディアが「和平には関心をもっていない。どこまでも続けてやる」というほど余裕はないはずです。

「交戦中の今、イランの主導権を握る革命防衛隊(IRGC)は、文民やイスラム法学者以上に米国との妥協に関心を示していない。
「トランプ政権はイラン政権の性質とアプローチを根本的に誤解していると思う」と戦略国際問題研究所(CSIS)で中東プログラムのディレクターのヤコビアン氏は指摘する」
(AFP5月12日)
焦燥するトランプ氏、イランに対する「カードがない」ことを痛感か 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

一理あるでしょうな。
トランプがカルト宗教国家の中枢である革命防衛隊の「狂気」を理解していないのは事実でしょうね。
常識的に考えて、正気かよ、と思います。
石油備蓄タンクはお漏らしを始めてもう満杯。
これ以上この状況が続けば地層に地下水が混ざって使い物にならなくなく油井が続出するはずです。
つまり石油とテロしか輸出するものがないイランにとって、国家経済の根本が壊滅しかねないレッドゾーンに突入しているのです。

一方、ホルムズ海峡の逆封鎖はまちがいなく効いているはずです。
これが続く限り石油輸出が不可能、輸入もできない、軍事物資も輸入できないのですから、これまた大戦末期に機雷と潜水艦によって海上封鎖されて干上がったわが国の状況を彷彿とさせます。

通常の海上、空軍戦力はほぼ壊滅していますし、「一億総特攻」の革命防衛隊も3分の1の兵員が戦死しているといわれています。
しかしこれも日本の大戦末期と同じで、陸軍のイっちゃった連中はまだまだやれる、松代に大本営を動かし、天皇陛下にも動座願う、女子供にも竹槍持たせて、みたいな狂った連中もいるわけです。
国家がどうなろうと国民が死のうと生きようと、テメーの権力の安泰の犠牲になれというヤツです。
今のイランにも同じようにこの手合いは、それ以上に大勢いるのでしょう。
だから負けたと思われる合意の表現にはとことんこだわるので、ホルムズ海峡開放しちゃったらどう言い訳すんのよ、という話です。
ならば、イランの管轄を水域を拡げる、ホルムズ海峡管理庁まで作って料金設定するなんてエスカレーションを初めからしなけりゃよかったのです。

つまりイランというカルト宗教国家のことですから、持つかもしれないがさすがにこれ以上は無理かもしれないというギリギリ、いやそのレッドラインを片足超えた場所にイランはいるのです。
だからいままで以上に国内を監視強化して締め上げる、いっさいの異論は封じる、インターネットも遮断する、ましてやデモなんかやる奴は重機関銃で根こそぎなぎ倒す、何万だろうと殺しまくる、ということを現実にするわけです。
イランが米国とよく戦っている反米の星だというので贔屓にしている連中がまだいるようですが、こういうことを許すのでしょうか。

かといって、トランプも口で言うほど万全ではないはずです。

「シンクタンク「中東研究所」の上級研究員ブライアン・カトゥリス氏は、「トランプ氏のここ1か月の行動は、この紛争を終わらせようと必死な指導者の姿を示しているが、彼は自分の望むものが得られないと、さらなる紛争をちらつかせて脅し続けている」と指摘。
「これは、彼がより良い条件を引き出す方法を知らないことを示している。戦争が始まる前に、もっと良いディール(取引)ができたはずだ」と述べた。
トランプ氏は昨年、中東への介入を繰り返してきた歴代米大統領を批判し、中国を最大の挑戦者と位置づけていた。
だが、カトゥリス氏によれば、トランプ氏は今、その時よりも「はるかに弱い立場で」中国に臨むことになる。
「米軍はわずか1か月半で大量の武器弾薬を消費しており、中国はそれを承知している」とカトゥリス氏は指摘する」
(AFP前掲)

そりゃ米軍はやれといわれりゃやるでしょうよ。
まだ中央軍だけで戦っていますから、太平洋軍はこの時期に日本では航空ショーなんかやるくらい余裕こいているわけです。
しかしけっこうキツイのは事実です。

「アメリカ議会調査局(CRS)による最新の報告書が、米軍がイランに対する軍事作戦「Operation Epic Fury」において、少なくとも42機の航空機を喪失、または大破させたという衝撃的な事実を明らかにした。この損耗規模は、ベトナム戦争以降の米軍航空戦力における最大級の損失と見られており、長らく米軍の基盤であった「航空優勢神話」に深刻な亀裂を入れるものとなった。この42機という数字には、イラン軍の攻撃により撃墜された機体だけでなく、地上攻撃で破壊された機体、飛行中の事故による損失、そして味方による破壊処分(自爆処分)された機体も含まれている」
(ミリレポ5月27日)
「撃墜だけではない」米軍イランで42機損失、その驚くべき内訳とは

特に米軍の主要打撃力であったトマホーク巡航ミサイルが撃ちすぎて払底しかかっているのが痛いようです。

「英紙フィナンシャル・タイムズは23日、日本政府が反撃能力の柱と位置づける米国製巡航ミサイル「トマホーク」について、納入が大幅に遅れる見通しだと米国が日本側に伝えたと報じた。米軍は対イラン軍事作戦で大量の弾薬を消費したため備蓄が減少しており、日本への納入が最大2年遅れる可能性があるという」
(読売5月24日)
トマホーク、日本への納入が最大2年遅れる見通し…イラン攻撃で1000発超を投入し備蓄が減少 : 読売新聞

中東諸国はイランの報復を恐れてもう止めてくれと言いだすし、国内世論はついてこないし、インフレは亢進するし、トランプも思案のしどころであるのはたしかなようです。

 

 

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コメント

英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)中東プログラム統括者の報告では、イラン指導部聖職者とIRGCはエコノミストや西側政策担当者が考えるよりもっと長い持久戦を想定していて、経済的ダメージを受けているのは確かだが、切迫している兆候も無いという。
陸路の越境貿易が安定しているので国内供給の余力はいまだあり、トランプが一時的に制裁を猶予したチャンスにエネルギーを売って蓄えを増やしたという。
ロイターの調査報道取材では、トルコ、イラク、パキスタンの当局者から、いずれの国もイランとの越境貿易に現状で落ち込みは無いとの発言を得たといい、ロシアもカスピ海経由でトウモロコシや大麦小麦を輸送しているという。また、イラン中央銀行高官は、相当量のゴールドを保有していると語ったという。
ヨーロッパの大手金融機関ケプラーの農業市場・農産品の分析専門家によれば、今年のイランは平年より多い収穫量が期待でき、必要輸入量が減少するという。
イランが越境貿易を通して必要物資をあと半年分以上備蓄しているという海外の報道もあり、こういった情報を見て思うに、イランが制裁緩和を必要とするのは間違いないが、徹底抗戦の備えはしている模様。(こうした状況リポートや報道の数々がイランのプロパガンダに乗せられたものならどんなにマシだろうか)
その上で、世界史畑の方々がイランが持ち堪える理由のひとつに、イランとアメリカでは自負する歴史の厚みが良くも悪くも全く違うという主旨のことを仰っているのを加味すると、歴史と宗教が裏打ちするイランの抵抗の意志や動機と準備、といったものが、開戦時のトランプに見えていなかったように思う。
こういう宗教指導者とIRGCの体制が民生など歯牙にも掛けないで平気なところがイランの邪悪な強みで、体制が恐れる事態が起きそうになれば片っ端から抹殺を厭わない以上、外部が国民に蜂起を期待するのは残酷に思える。
トランプが掲げる勝利条件の数々の難度に対して、イランの勝利条件は「一般イラン国民がどれだけ死のうと、世界がどれだけ困ろうと、体制が維持できればよしとして耐えてみせること」、だと想像してみると、どんよりしたお気持ちになる。
イランが話の通じる(こともある)国だと世界に示す時が来るのか来ないのか、私にはまるでわからない…

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