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2026年5月18日 (月)

トランプは北京で台湾についてなにを言ったか?

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台湾について米中首脳会談でどう話合われたのでしょうか。
中国側がうるさがられるほど大量に「台湾」「台湾」を連呼したことは確かなようです。
新華社電子版はこう伝えています。

「習近平は台湾問題が中米関係において最も重要な問題であると強調しました。 適切に対処されれば、両国の関係は概ね安定するでしょう。 適切に対処されなければ、両国は衝突または衝突し、中米関係全体を非常に危険な状況に追い込むことになる。 「台湾独立」と台湾海峡の平和は両立せず、台湾海峡の平和と安定の維持こそが中国とアメリカの最大の共通点である」
(新華網5月14日)
習近平、米国大統領トランプ氏と会談 - 新華網

外交的なシュガーコートをはぎ取って、「適切に対処されなければ、両国は衝突または衝突し、中米関係全体を非常に危険な状況に追い込む」、つまりトランプが台湾独立を承認するそぶりなんぞしたら戦争だと言っています。
まことにぶっそうな話で、外交の場で言うこっちゃないね。

では、トランプはどう答えたのでしょうか。
サンモニの膳場アナは「二階に登ってはしごをはずされた」みたいなことを言っていたようですが、それはいつものTBS流の色眼鏡です。
今の時点で、そんなに習近平にサービスする必要をトランプは認めていません。
結論からいえば、スルーしたのです。「台湾」の「タ」の字も口にしなかったのです。
トランプは高市首相にも「口外するな」と言っていろいろ教えてくれたようですが、FOXにはこうインタビューに答えています。

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FOX

「誰も定義できないので、私たちはそれを「場所」と呼ぶことにしますが、彼らはそれが独立するのを見たくないのです。
彼らはそれをやりたくないのです。
そして、彼らはかなり厳しいことをするだろうし、それに対して厳しい報復があり、悪いことが起こるだろうと思う。そうではない。
ちなみに、昨晩は一晩中その問題について話しました。
今の私は、他のほとんどの国よりも台湾についてよく知っていると思う」
(FOXニュース)

「台湾」といわずに「定義できない場所」と呼ぶほど、笑えるほど慎重です。
これがトランプの立ち位置です。ね、ある意味分かりやすいでしょう。

トランプのウクライナとの交渉の方法は、台湾対応を考える上でも役に立ちます。
福島香織氏はトランプの台湾への立ち位置についてこう書いています。

「バイデン政権は過去に何度も、台湾が攻撃された場合、米国はその防衛に当たると公言してきました。ですが、トランプは、そういう言質を取らせないようにしています。メディアが、台湾が攻撃された場合、米国は軍隊を防衛のために派遣するか?という質問をしたとき、トランプはかたくなに、それは言わない、言ったらディールにならないじゃないか、と言っています」
(福島香織中国趣聞No1128 2025年2月23日)

つまり、米国民主党政権のように自由主義陣営としての共通の価値観を持つ台湾だから防衛するのではなく、米国にとって実利があれば支援してやらぬではないというディールに変じています。
独立容認は論外として、台湾が強く望んでいる武器供与についても、台湾がなにを取引条件に出すのか次第で考えてやってもいい、という姿勢です。
台湾の場合、トランプは台湾の対米貿易黒字が過去最高であることに常々不満を抱き、台湾が米国の半導体産業を「盗んだ」と言いがかりをつけてきました。

そして台湾製半導体製品に高関税を課し、生産拠点は米国に置くべきだと主張してきています。
今、アリゾナには大規模な工場群を台湾系半導体企業のTSMCが作っています。

「台湾積体電路製造(TSMC)は米アリゾナ州の拠点で先端半導体の生産能力を大幅に増やす。公表済みの6棟の半導体工場の建設と量産を急ぎ、新たな工場用地も取得する。AI(人工知能)向けの旺盛な需要や米関税政策を背景に、米NVIDIA(エヌビディア)などの大口顧客が集中する米国での生産を強化する。TSMCの熊本工場やRapidus(ラピダス、東京・千代田)の事業にも影響を及ぼす可能性がある。
TSMCは2026年1月8日、アリゾナ州の既存工場の近くの365万平方メートルの土地を1億9725万米ドル(約310億円)で取得すると発表した。新たに複数の半導体工場を建設する公算が大きい。同社がアリゾナ州に持つ半導体工場が10棟を超えるとの観測も出てきた」
(日経テック2026年2月2日)
TSMC、AI半導体「米国に巨大工場群」 熊本と温度差 | 日経クロステック(xTECH)

トランプ閣下、ご心配ご無用。
かつて台湾民進党は、台湾が独立すると口にした瞬間、中国が攻めてくることを知っていますから、「独立」という表現を使わず、かつ「中華民国」という国民党臭がこびりついた国名を使うことにも慎重でした。
頼新総統はその制限をあえて破って、自らを就任演説で「中華民国」と呼んでいます。

「傲慢にも卑屈にもならず、(中台関係の)現状を維持する。中国が言論や武力での威嚇を停止し、共に台湾海峡と地域の平和と安定の維持に尽力するよう求める。中台は互いに隷属しない。
中華民国(台湾)の存在を中国が直視し、台湾人の選択を尊重するよう望む。中国が民主的な選挙で選ばれた合法的な政府と対等の原則の下で、対話と交流を進めることを望む。
ただ中国に幻想を抱いてはいけない。中国は台湾に対する武力侵攻の可能性を放棄していない。中国の台湾併合の企てが消えることはない。
民主主義国家と平和の共同体を形成して抑止力を高めて戦争を回避しなければならない」
(頼清徳新総統の演説要旨 「台湾をAIの島に」 - 日本経済新聞 (nikkei.com) 

つまりこれは、頼氏率いる民進党の台湾アイデンティティの現れで、もう台湾は国民党の私物ではないのだから中華民国でかまわないというのが新総統の考えです。

「国名問題に結論を出しています。中華民国じゃなくて、台湾が正名とかいう議論は些末な問題で、重要なのは民主パワーで団結すること、という立場を言明。
これで憲法問題、国名問題について頼清徳民主党政権として答えを完全に出したということです。なので頼清徳政権による国名変更も、憲法改正も当面ない、ということです。だから、国民党は台湾の政党として国家主権を守るという立場において民進党と協力、強調せよ、と呼び掛けているわけです」
(福島香織 note前掲)

そしてそのうえで中国に対して「中華民国」という現実を直視し、侵略をしないようにと呼びかけています。
まことにふてぶてしいほど大人の対応で、台湾はすでに中華民国として「独立」しているのだからあえてもう「独立」などと言う必要がないという立場です。
だからトランプ閣下、ご心配ご無用。台湾という「場所」は独立などおくびにも出しませんし、半導体企業への米国移転にも協力的です。
TSMCが熊本やアリゾナにあるほうがリスクの分散になるし、「ひとつの中国」で縛られた日米にとって経済なら支援が得られると知っていますからね。

トランプは今後も絶対に台湾を守るなど言いませんし、支援するとも言わないでしょう。
ただししないとも言わない。ウクライナに対する対応と一緒で中国と天秤にかけながら状況次第、それがトランプというビジネスマンです。
いいも悪いも、こういうヌエが合衆国大統領な以上しょうがないでしょう。

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コメント

いつもありがとうございます。

トランプ大統領から高市首相に、エア・フォースワンから電話があった、という時点で、日米関係は米中関係より強固なのは間違いないですね。
エア・フォースワンに乗る時に中国からもらったものは全てゴミ箱に捨てたとか。
もうちょっと配慮のある言い方ってあると思うのですが。

台湾ですが、TSMCこそが中台関係のクラウンジュエルですね。
本来は敵対的買収に備えて重要な資産を移転させておくことですが、
もし中国に攻め込まれたら、本社を米国に移して台湾の工場は破壊する。
そうして半導体を手に入れなくさせる。

中国は台湾を手荒な方法で手に入れることは出来なくなっています。
もしそんなことをすれば、かつての共産圏のように技術面で西側に完全に置いて行かれます。

次の台湾総統選は2028年。
習近平の2027年説は、厳しくなりましたね。

何かやらなくては国が持たないなら、
ロシア相手にやればいいんです。

 まず第一に、人民解放軍は台湾に軍事攻撃を仕掛けられる状態じゃありません。軍内部の人事・統制問題はまだしも、例のロケット軍スキャンダルからの再建も途上です。なのに習氏が台湾問題を第一に掲げたのは、トランプを使って台湾に圧力をかける狙いがあったからです。プーチンの方法に倣ったんでしょうね。その手はトランプ側も読み切っていて、反応は最小限にとどめていますよね。
武器売却は米台間の約束なので最終的には行われるでしょうが、トランプは中国から引き出すものを引き出したうえ、という感じになる腹つもりでしょう。トランプは台湾問題を喫緊の課題と捉えていないと思います。

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