イラン、とうとう原油満杯

とうとう前々から言われてきたイランのカーグ島原油貯蔵施設からの原油流出が衛星写真でとらえられています。
もう待ったなし、タイムアウトですね。
実はイランがカーグ島に中古タンカーを横付けして積み出していた時点で一杯だったのです。
「トランプ米政権による海上封鎖の影響でイラン産原油が行き場を失い始めた。イランは原油生産を続けるが貯蔵タンクが満杯になり、現役引退したタンカーをペルシャ湾に浮かべて洋上貯留でしのいでいるとみられる。再攻撃の圧力で譲歩を迫るトランプ政権に対し、イランが耐えられなくなるのは時間の問題だとの見方もある」
(日経5月2日)
イラン原油、日量180万バレル行き場失う ペルシャ湾を漂うタンカー - 日本経済新聞
これが4月末から5月頭ですから、もう1週間前にはカーグ島は一杯一杯だったということになります。
つまり革命防衛隊がイキって交渉を引き延ばすのは勝手ですが、それは油層に地下水の侵入を許したことになるので、イランの原油生産の未来そのものが断たれます。
それでいいのか、という判断をイランは求められているわけです。
イランはOPEC3位の産油国で、1日あたり330万バレルの原油を生産し、世界の石油供給の4・5%を占めています。
カーグ島には毎日、イランの各主要油田から数百万バレルの原油がパイプラインを通じて送り込まれて貯蔵されています。
カーグ島から9割の原油が輸出されていました。
この島の支配権は革命防衛隊であり、彼らがこの島のすべてを仕切っており、一般国民は島に行くことすらできません。
ロイター
そしてこのイラン原油の9割を買っているのが中国です。
- イランは戦争開始以来、少なくとも1,170万バレルの原油をこの水路を通じて輸送しており、すべて中国に向かっていたと船舶追跡データが示している。
- テヘランが水路を通過しようとする船舶を攻撃すると脅した後、多くの船が「通信停止」状態に陥っています。
- イランはまた、ホルムズ海峡南のオマーン湾沿いのジャスク石油・ガスターミナルでタンカーの積み込みを再開しており、これにより原油輸送能力が増加する可能性があります。
(CNBC3月10日)
イランは戦争が水路を封鎖する中で、ホルムズ海峡経由で数百万バレルの石油を中国に送っている
戦争初期には通れたオマーン湾沿いのジャスクターミナルも、米海軍の逆封鎖で使用不可能となっています。
またイランは制裁されているために、米国が支配する国際決済システムであるSWIFTを使用することができません。
ですからイランと中国は原油決済をCIPSなどの人民元決済で処理してきましたが、これも米国のエコノミックフューリー作戦で潰されました。
米国は中国の5つの製油所に制裁をかけ、二次的制裁の可能性を通知して締め上げました。
当初、中国商務省は強気で米国の制裁なにするものぞと命じていましたが、とうとう先日折れて銀行にこの5つの精油所に新規融資はするなと命じました。
この前後から中国はパキスタンを使って和平調停に乗り出しています。
つまりイランは外堀を埋められ、本丸も炎上し始めたわけです。
したがって交渉もそろそろラストストレッチに入りました。
「米国は、トランプ大統領による戦争終結に向けた最新提案について、イランが近く回答するとの見通しを示した。一方で、衝突が発生しており、約1カ月続く停戦が揺らぐ恐れもある。
ルビオ米国務長官は8日、イランは同日に回答を示すはずだと記者団に話した。
イランは依然として、トランプ氏が6日に提示した停戦案を受け入れるかどうか明らかにしていない。この提案は、今後1カ月でイランがホルムズ海峡を再開し、米国はイランの港湾に対する封鎖を解除するという内容だ」
(ブルームバーク5月9日)
米国、イランの回答を8日に見込む-衝突発生で緊張一段と高まる - Bloomberg
海上封鎖をしていた米駆逐艦が攻撃を受けて軽い交戦をしたとの報道もありましたが、交渉そのものには影響はないはずです。
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いつもありがとうございます。
余った原油はその場で燃やすという手もあったようですが、
原油を海に捨てるとは、ペルシャ湾岸諸国を完全に敵に回しましたね。
これで利益を得るのはロシアなのだと思います。
ロシアにとっては、産油国がダメージを受けるのは、
原油価格の高騰とシェア拡大の両面で利益です。
強力な同盟国としての力を失ったイランですが、
ロシアにとってはテロ国家として地域の経済や原油生産を邪魔する存在であり続けるように革命防衛隊だけ支援するのだと思います。
これに対抗するには、ウクライナへの支援と、イランやロシアでの国民の蜂起の支援なのでしょうか。
ところで日本が訪露団を派遣するのだそうですが、何の議論でしょうか。勿論短期的にはエネルギー関連でしょうけれど。
個人的には、北方領土について、ロシアが中国に売ることを心配しています。
中国は戦争終了前に交渉出来るという強みがあります。
日本に出来て中国に出来ないことを考えると、終戦したら速やかに国際社会特に五輪に復帰出来るようにアメリカに働きかけることでしょうか。
そういった下準備のためであれば、理解出来る訪露だと思います。
投稿: プー | 2026年5月 9日 (土) 10時47分
オールドメディアは「コーニング」のコの字も報じませんね。
投稿: 珊瑚は大切に | 2026年5月10日 (日) 21時29分