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2026年6月

2026年6月30日 (火)

とうとうクリミアが「島」になってしまった

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2014年来、プーチンが「戦略的な勝利の勲章」として自慢し続けていたクリミアは、いまや「補給が切断された孤島」へと変わりつつあります。 クリミア半島のロシア当局は今年6月26日、非常事態を宣言しました。
ウクライナ軍による度重なるドローン攻撃は、ロシアの補給路、エネルギーインフラ、軍用車両などを破壊し続け、クリミアでは停電が常態化し、燃料は高騰するか、停止しています。

ロシア側からのルートはいまやクリミア大橋を利用したルートしか残されておらず、クリミア大橋もなんどかの攻撃で大きく破損し鉄路で重量物が運べない状態のようです。
また、クリミア大橋のウクライナ側接続部のエネルギー施設も攻撃を受けて破損し、パイプラインは遮断されています。


「(CNN)  ウクライナによるクリミア半島への再三の激しい攻撃で停電や燃料不足が広がる中、ロシアが設置した当局は26日、クリミアに非常事態宣言を出した。
クリミア半島はロシアの実効支配下にある。最大都市セバストポリでは、何日も停電が続いている状況だ。
ロシアが任命したセバストポリのラズボジャエフ市長は26日、ウクライナのドローン(無人機)の活動を受けて空襲警報が鳴り、送電網の修理作業が中断したことから、電力供給の制限は今後も続く見通しだと明らかにした。
ウクライナ軍ドローン部隊のブロブディ司令官によると、ウクライナは24日未明、セバストポリの主要変電所を7回攻撃した」
(CNN2026年6月27日)
クリミアに非常事態宣言、ウクライナの圧力強化で 停電に燃料販売停止、サマーキャンプ中止も(1/2) - CNN.co.jp


ウクライナは、23日夜から24日にかけて、セヴァストポリの主要電力変電所をドローンで攻撃したと発表しました。
ウクライナ軍はこの数週間にわたって、クリミア半島とロシア本土を結ぶ補給路を集中的に攻撃し、燃料、電力、鉄道、水道といった生活と軍事の両方を支える動脈に深刻な打撃を与えてきました。 


「ウクライナの無人システム部隊のロベルト・ブロウディ司令官は24日、ドローンがロシアの稼働中および計画中の軍事施設48カ所を標的にしたと説明。この攻撃の際に、セヴァストポリの主要電力変電所が被弾したと述べた。
セヴァストポリのほか、バフチサライやケルチ、そしてロシア航空宇宙軍の無線技術大隊が駐留するアイペトリ山周辺でも爆発が確認された」
(BBC6月25日)
ロシア占領下のクリミア最大都市で停電、ウクライナのドローン攻撃後 - BBCニュース 

下の戦争研究所のウクライナ軍の攻撃箇所を見るとあきらかですが、今、ウクライナが目指していることはクリミア半島の奪還ではなく、その孤立化です。

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ウクライナ、クリミアに攻勢 輸送網に打撃、「孤立化」狙う 現地に非常事態宣言:北海道新聞デジタル

ウクライナはクリミアに住む親ロシア系住民を叩くのではなく、ガソリンスタンドからは燃料を消し去り、列車を半分に減らすことで、クリミアから立ち去れと命じています。

「6月9日、クリミアと、ロシアが占領するウクライナ本土南部を結ぶ主要な渡河地点であるチョンハル橋が攻撃を受け、複数の報道で「完全に破壊された」と伝えられました。チョンハル橋は、北クリミア運河をまたいで半島へ物資を運び込む陸路の要であり、ここが落ちたことは物流面で大きな意味を持ちました。
攻撃は一度では終わりませんでした。6月11日、12日、13日には、アルミャンスク周辺の隘路に対する追撃が行われ、鉄道橋や、ロシア側が代替として使っていた小さな副次的な橋までもが標的となりました」
(宮野宏樹6月27日)
クリミアが「島」になる日 ウクライナの補給路遮断が突きつけたロシアの弱点|宮野宏樹

こうしてクリミアを見るとあらためてわかるのは、非常に脆い地域だということてす。
すべての外部地域への接点は半島東部からケルチ海峡を橋で渡る鉄道と道路でロシアと結ばれるか、あるいはウクライナ南部の占領地域を通る陸上回廊でのみ結ばれています。
ウクライナ軍はこの弱いネックを徹底的に突いているわけです。

「非常事態宣言と同時に、当局は鉄道の運行を大幅に縮小すると発表しました。クリミアとロシアを結ぶ1日あたりの列車の運行本数を、今後2週間かけて14本から7本へと半減させるという内容です。残された路線はすべて、ケルチ橋に近いケルチ・ユージュナヤ駅を発着点とすることになり、それより先の半島内の旅客輸送は、調整されたバスの乗り継ぎで対応するとされました。モスクワ、サンクトペテルブルク、アドラーへの接続だけが辛うじて維持される形です」
(宮野宏樹 前掲)

ウクライナ軍のこの徹底したクリミア半島孤立化作戦によって、プーチンは苦しい立場に追い込まれました。
この背景にはウクライナ戦域の通信システムを司るスターリンクがホワイトリスト化されて、承認ない場合使用が不可能になったことがあります。
ロシアは独自の通信網を構築できません。
ですからいままでスターリンクに便乗していたのですが、これができなくなったことでウクライナが許可する端末以外は利用できなくなってしまいました。

これによりロシア軍は戦場における「目と耳」を一気に喪失しました。
ロシアのドローンは方角が定まらず、司令部間の通話はすべてウクライナに筒抜けという状況となっています。

一方、ウクライナのドローンは、4年間の戦争の間に著しい進化を遂げていまや世界最高の性能を誇るまでになっています。
ウクライナではすでにドローンが軍種として独立しており、高性能ドローンがスターリンク衛星通信により緊密に攻撃できる環境が生み出されているのです。

かくして、ロシアの深部まで届く巡航ミサイルやドローンが登場することとなりました。
それはいままで聖域とされていたモスクワ全域を射程に収めたドローン攻撃を可能とし、さらに「プーチンの勲章」であるクリミア半島を「島」と化すことに成功したのです。

 

蛇足
とうぜんブラジル戦見ていました。
日本代表につきまとう悔しい、無念、残念、こういう気持ちをずっと抱かせたのは世界にブラジルやスペインのようなモンスター級チームがいたからです。
私のようなドーハの悲劇を目の前で見せられた世代にとって、ブラジルはまさに仰ぎ見るような存在でした。
私などかつては鹿島の熱狂的ファンでしたから、ブラジルサッカーに育てられたようなものです。

それがこの間やっと晴れたようでした。今の日本代表は物おじしない。コンプレックスから自由だ。素晴らしいことです。
しかしやはり力及ばなかった。しかも終了間際のアディショナルタイムで。
よく守ったと思います。後半などは防戦一方でしたが当然予想されたことです。
日本が点を奪うには、欠場した久保や三苫のような一瞬のひらめきでカウンターを掛けられる個が必要でした。
勝てる試合だったとはいいませんが、延長に持ち込みPK合戦くらいにはいける試合でした。
だからいっそう悔しい。

 

2026年6月29日 (月)

追いこめられる米国、粘るイラン

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まぁこうなるでしょうな、という展開です。
イランは徹底的にねばり、一歩も譲らず、時間がたてばたつほど米国はロープ際に追い込まれて行っています。
その象徴的キャラがバンスです。
バンスは珍しくも、政権中枢から派遣された特使としてジュネーブの和平会談に臨みました。
と、ここまではよかったのです。おそらくバンスやトランプは敗戦処理くらいに思っていたはずです。
しかし冷静になって見て下さい、イランはなにひとつ譲歩していないのです。

「イランは12日、米国との戦闘終結に向けた覚書の文言は最終決定されておらず、14日にスイスのジュネーブで署名するとの報道は事実で​はないと否定した。国営ヌールニュース が情報筋の話として伝えた。
また準国営の‌ファルス通信は、交渉チームに近い情報筋の話として、14日にジュネーブで米国との合意に署名するとの報道は虚偽だと伝えた。
イラン国営通信IRNAも同日、米国との覚書において、イランはホルムズ海峡の管理権の移譲に​ついていかなる約束もしておらず、同海峡の将来的な運営については、イランと​オマーン間の対話および共同決定によって地域問題として解決され⁠るとした。また、現行の覚書では核問題に関する合意はなされておらず、核協議は署​名後60日以内に実施されるとしている」
(ロイター6月12日)
イラン、米との覚書巡る報道否定 ホルムズ管理移譲も「約束せず」=報道 | ロイター 

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ロイター 

イランは「米国との覚書において、イランはホルムズ海峡の管理権の移譲に​ついていかなる約束もしておらず」と初めから言っているじゃないですか。
つまりイランはホルムズ海峡がいかにメガトン級の外交的武器であるのか知ってしまったということです。
海上封鎖は物理的、軍事的に完璧にやる必要はないのです。
やると見せかけるだけでいいのです。軽く襲撃をしてみせるとか、ミサイルを撃つだけでいい。当たらなくてもかまやしません。
それだけでロイズは敏感に反応し、海峡を通過する船舶に保険を発行しないことがわかったからです。
イランがただ海峡を封鎖すると「言うだけ」で世界経済は震撼してしまった、そしてそのことをイランがしっかり学習したという恐ろしさです。
これはある意味、出来るのか出来ないのかわからない核兵器より強力、しかもイージーです。

今後自由主義陣営は、イランのホルムズ海峡の「実効支配」に怯えて、この海域に海軍を貼り付けておくしかなくなりました。
そして中東地域から米軍を撤退させよ、などというイランの要求はとうてい呑めないわけです。
となるとイランとの交渉は頓挫するでしょうな。

そのうえにイランは小憎らしいことには、かんじん要の核兵器に関しては絶対に廃棄しないというラインを死守しています。
だっていまや核兵器はイランの「国体」ですもん。
放棄したらイスラム坊主独裁体制が崩壊してしまいますもん。
だから色々と言うでしょうが、絶対に核は手放さない。
手放して滅亡したカダフィと、核を握りしめて独裁を維持できている北朝鮮を見ていますから。

そうなると困るのは逆に米国です。というかバンス。
頑として譲歩しないイランと、イライラが募って八つ当たりするトランプに見事に挟まれてしまいました。
トラ親方は激怒しています。

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XユーザーのThe White Houseさん

「米国軍機は、停戦協定違反を理由に、イランのミサイル・ドローン貯蔵施設と沿岸レーダー施設を攻撃した。またしてもだ!彼らは決して学ばないかもしれない!
我々がもはや理性的に対応できなくなり、我々が非常にうまく始めた任務を軍事的に完遂せざるを得なくなる時が来るかもしれない。そうなれば、イラン・イスラム共和国はもはや存在しなくなるだろう!」

トランプはこの暫定合意を廃棄して戦闘を本格的に再開するぞ、とどなっています。
トランプは簡単に「うまく始めた任務を完遂させる」なんて言っていますが、意味わかっているのでしょうか。
空軍と海軍ではイランという独裁国家は敗北を認めないのですよ。
「完遂させる」ためには陸上部隊の本格投入が必要です。
そうなったら足抜き出来ませんよ。

しかしそんなことを米国議会が承認するでしょうか。
民主党はあの泥沼だったイラク・アフガンを思い出して冗談ではないと震え、共和党すらトランプは戦争をしないと言って大統領になったんだろうと突き上げます。
バンスはいままで戦争に消極的でしたから、彼に矛先は向かいます。

「核問題などでイランとの最終合意に向けた協議を担うバンス米副大統領が米国内で難しい立場に置かれている。与党・共和党には米イランが17日に締結した戦闘終結の覚書がイランに妥協し過ぎているとして批判的な声があり、対イラン攻撃に慎重だったバンス氏が元凶という見方がある。バンス氏は2028年大統領選の共和党候補選びで有力視されているが、協議の行方次第ではトランプ大統領の後継者争いで失速する可能性もある」
(産経6月28日)
バンス米副大統領に対イラン強硬派の突き上げ 協議失敗なら責任、28年大統領選に影響も - 産経ニュース 

共和党当保守派はこんなあいまいな合意は止めちまえ、徹底的にやれと言うし、そんなことをしたら先は見えているバンスはそんなこと言われてボク困っちゃうよと悩んでいます。
それもこれも甘い見通しで戦争をおっ始めてしまったトランプが馬鹿なのです。

 

 

2026年6月28日 (日)

日曜写真館 花曇稲荷の森にかゝりけり

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星ひとつ稲荷格子に初燈 鈴木典子

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白狐汝は稲荷の事触れか 名和三幹竹

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女のあと追ふ稲荷界隈は寒し 山口青邨

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大鈴を下げて稲荷の茂りかな 猪股清吉

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庭稲荷仔狐遊ぶ神の留守 山口青邨

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稲荷よりもどりし父や冷し酒 石嶌岳

2026年6月27日 (土)

北朝鮮とヒズボラの堅い絆とは

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どんどんと北朝鮮が結んでいた影の関係があぶり出されています。

ロシアでは兵隊や大砲の弾を供給していたのもそうですし、怪しげな弾道ミサイルも北朝鮮製でした。
今回、レバノンのヒズボラが作った地下トンネルは、イラン革命防衛隊がカネを出し、その監督で北朝鮮が建造したもののようです。

今に始まったことではなく、2024年10月には首都ベイルードの病院地下に壮大な地下施設を建設していたことがバレています。

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読売新聞

「イスラエル軍は21日、イスラム教シーア派組織ヒズボラがレバノンの首都ベイルートで資金を隠しているとする病院地下 壕ごう の見取り図を公開した。ヒズボラの弱体化を図るため、資金源を断つ狙いがある。
軍報道官は記者会見で、ヒズボラの後ろ盾であるイランが石油売却で得た収入を現金や金で在レバノン大使館へ輸送し、ヒズボラに届けていると主張した」
(読売2014年10月22日)
ヒズボラの地下「秘密基地」、イスラエル軍が見取り図公開…イランからの現金や金を隠してると指摘 : 読売新聞

この地下施設はヒズボラの資金を管理するヒズボラの金融部門とされる「カルド・ハサン協会」の中枢が入っていました。
今回の地下施設は直接イスラエルを狙ったドローンやロケット弾の発射インフラです。

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XユーザーのIsrael Foreign Ministryさん

3月以降、ヒズボラはイスラエルに対して実に7000発ものミサイルやドローンを発射してきています。
トンネル内にはびっしりとミサイルと弾薬が備蓄されていました。

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Xユーザーのאור פיאלקובさん

2024年にイスラエルによって指導者であるナスララを殺害されて壊滅的な打撃を受けたヒズボラでしたが、イランの革命防衛隊が将校を投入して欠員を埋めるなどして軍事指揮系統を再​建していました。
そもそも1982年にヒズボラを作ったのは革命防衛隊です。
イランはカネとヒトを出してヒズボラを育成してきましたが、いまや完全にイランの指揮下にあります。

トランプは即物的な男なので理解が及ばないようですが、イランはカネのために戦争をしたり、ヒズボラやハマスを作ったのではありません。
イランが目指しているのはイスラム原理主義による「世界制服」です。
冗談のように聞こえますが、その手始めとして周辺の湾岸諸国に浸透して作った「支部」がヒズボラやハマスなのです。
イランは彼らを操り、イスラエルを絶滅させ、ユダヤ人を根絶やしにする「抵抗勢力」の包囲網を作ったわけです。

ここを理解できないと、なぜイランが油井が使えなくなろうと、革命防衛隊が3分の1戦死しようと、国民に塗炭の思いをさせようと平然とできるのかわからないでしょう。
イランに復興資金の名目でカネを渡せばおとなしくなると思っているトランプは、根本的に宗教を理解していません。
しょせんは成り金の不動産業者にすぎない哀しさです。

それはさておき、このヒズボラの地下施設建設を主導したのはヒズボラの「ジハード建設財団」で、民間の建設会社をカバーにして計画を進めました。
トンネル建設の監督をしたのがイスラム革命防衛隊で、彼らは傘下の建設会社を通して北朝鮮の建設会社が技術者と資材を送り込みました。
彼らは同時期に、イランのナタンツやなとの核施設も北朝鮮の支援の下で作っています。
こちらに関しては北の元外交官の証言があります。

「元北朝鮮外交官によると、平壌はナタンツやイスファハーン近郊の地下核施設で広く使われているトンネル技術を提供する代わりに約2,500万ドルを受け取った。
北朝鮮大使館の元代理大使リュ・ヒョンウ氏は、韓国の著名なシンクタンクである韓国開発研究所が今月公開したインタビューでこの発言をしました。
「北朝鮮は2000年代初頭にイランにトンネル設計と技術を提供し、約2500万ドルを受け取った」と柳氏は述べた。
「北朝鮮のトンネル技術はナタンズやイスファハーンなどの地下核施設でかなり応用されたと理解しています」と付け加えました」
(イランインサイト2026年6月25日)
北朝鮮はイランのトンネル技術に対して2,500万ドルを受け取ったと元外交官が語る |イラン・インターナショナル

この元外交官は直接に北朝鮮がヒズボラのトンネルを作ったのではなく、イランを経由しているだろうとしていますが、いずれにしても北が大きく関与し、その見返りに2500万ドルを手にしていたことは確かなようです。
ヒズボラはレバノン南部の国境地帯の地下にミサイル発射基地を作る一方、北朝鮮のお家芸である南進トンネルも作っていました。
北が作った南進トンネルで有名な第3トンネルは地下73mに作られ、1時間で3個師団の兵員を送り込むことができました。

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DMZツアー( 第3トンネル+都羅展望台),DMZ tour (tunnel thirdly in demilitarized zone and tiger observatory)|ソウルのツアー|ユートラベルノート

「全長1,635 m、幅2 m、高さ2.1 m、地下73 m。ソウルから52キロまで達しており、首都への奇襲攻撃を想定したものと考えられている。1時間に約3万人の兵士を送り込めると推定される」
南侵トンネル - Wikipedia

これと類似のものをヒズボラは北の支援で作っていました。
このように北朝鮮は中東で目には見えない影響力を行使して、手を結んでいたのです。

 

2026年6月26日 (金)

悪魔の法律またひとつ・中国民族団結法施行

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日本の国会が不毛極まる週刊誌ゴッコをしているとき、中国がまた恐ろしい法律を作りました。民族団結法です。

「中国司法省の胡衛列次官は24日、7月1日に施行される「民族団結」に関す‌る新法について、中国は国外の違反者も⁠対象とする権利を有すると述べた。国際的な慣行に沿ったものであり、合法かつ​必要な権利だと主張した。
この新法には、中華人民共和国の境界外にいる個人や‌団体であっても、「民族の団結と進歩を損なう行為」や「民族分離主義を扇動する行‌為」を行った場合、‌法的責任を問われる可能性が​あるとする条項が含まれている。
この条項は、特に中国が‌主権を主張する台湾において、北京当局が分離主義者と見なす‌台湾人を追及する​ための新たな法的根拠となるのではない‌かという懸念を引き起こしている」
(ロイター6月24日)
中国、国外違反者も対象とする権利あると主張 「民族団結法」で(ロイター) - Yahoo!ニュース

この法律の怖さは、中国国籍の者だけではなく外国人も対象としているところです。
対象は、「民族の団結を損なうような言動をした人物」、適用範囲は「国境を越える」とされて行使される法律です。
おそろしく漠然としており、しかも外国人も対象になりえます。

2020年、中国は香港の民主化デモを鎮圧するために香港国家安全維持法(国安法)を作りました。
この第20条を見てみましょう。

●国安法第20条
国家分裂、国家統一破壊の組織、計画、実施に参与したいかなる者も、武力を使用、あるいは武力を使用すると脅したか否かにかかわらず、すなわち犯罪である。
一) 香港または中華人民共和国のその他の部分を中国人民共和国から分離させようとすること。
二) 香港または中華人民共和国のその他の部分の法的地位を不当に変更すること。
三)  香港または中華人民共和国の一部を外国統治下に移すこと。
 前項の罪を犯した者は、その主犯、あるいは重大な罪の場合、無期懲役又は十年以上の懲役、積極的に参与した者は三年以上十年以下の懲役に、それ以外は三年以下の懲役、拘留又は行動制限におかれる。

恐ろしく恣意的な条項で、「武力を使用、あるいは武力を使用すると脅したか否かにかかわらず、すなわち犯罪である」とある以上、実力行動をとるかとらないかにかかわらず、当局が「参与した」と認定すればすべて「犯罪」とみなされます。
どう「参与」を認定するかは当局のサジ加減ひとつ。コイツを潰したいと思えばいかなる言動でも、いや言動すらなくても逮捕監禁が可能という恐るべき「法律」なのです。

国安法の対象は香港でしたが、その国内版が「民族団結法」です。
中国司法省の胡衛列次官は記者会見で、「海外」の西側は「誤って解釈した」とし、「世界中の国々は全て、国内法を通じ⁠て分離主義的・破壊的な活動を防止​し、社会の団‌結と正常な秩序を維持する権利を有している」と述べています。
つまり国内法をもって「世界中の国々の分離主義的・破壊的な活動」防止できるとしています。
スゴイね、中国がひとつ国内法を作れば国際社会で中国政府の気に食わぬことを言った者は追及でき、拘留逮捕も可能だということです。
おお、こわ。

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https://news.yahoo.co.jp/byline/miyazakinorihide/2...

福島香織氏はこう書いています。

「たとえば日本のSNSなどで、台湾の頼清徳政権を支持したり、チベットやモンゴル、ウイグルの民族の独立を擁護したりすると、国家分裂を推進し、中国の独立を損なった、という名目で拘留されるかも?」
(福島香織note中国趣味聞6月24日)

在中のビジネスマンなどの間では警戒心が強まっているようです。

「先日、中国の企業人たちから、今、日本から旅行や出張などで中国に入国したのち、様々な理由で出国禁止措置を受けている日本人(帰化人含む?)が500~600人くらいいるから、気を付けないよ、と耳打ちされました。中国に入国が許可されたからといって、無事出国できるとは限らない、と。
最近も、日本の重電大手の駐在員二人がレアアース規制関連違反で拘束された、というニュースもあります。日本人の言動はかなり監視対象になっているようです。今の日中関係の厳しさからいえば、中国は日本人駐在員や日本人旅行者を人質にとる、人質外交にさらに力を入れると当然考えられます 」
(福島前掲)

たとえば出張した当のビジネスマンはまったく政治的な発言をしたと思わないでも、なにかにかこつけて拘留され、人質とされる可能性がでてきたのです。
仮にあるサラリーマンが、ウィグルで買いつけていた木綿を人権上の理由で止めようと中国に出かければ極めて危険です。
常に監視下に置かれるのはむろんのこと、入国時に拘留される可能性があります。

香港で商売する相手方に民主活動をした経験がある人間がたまたま含まれていようものなら、即中国が主張する分断行為に加担したとして逮捕されるかもしれません。
それが中国国内でなくとも、中国と近しい関係の国だった場合、その国の官憲に代理逮捕され、海外にある中国交番に送られ、中国本土送還されこともありえます。
いままでは中国人だけか対象でしたが、今後外国人もその対象となるのです。
いうまでもなく、こんなことは主権の著しい侵害行為ですが、そんなことは馬耳東風、蛙のつらになんとやらです。

米国はすでに中国への渡航勧告に関してレベル2(よりいっそう注意する)に引き上げました。

「中華人民共和国政府は、公正かつ透明な法的手続きを経ることなく、米国市民および他国市民に対する出国禁止を含む国内法を恣意的に施行している。
中国に滞在する外国人、具体的にはビジネスマン、元外国政府職員、学者、法的紛争に関与する中国国民の親族、ジャーナリストなどが、中国国家安全維持法違反の疑いで中国当局から尋問や拘束を受けている。また、中国は中国に居住・勤務する米国市民に対しても、尋問、拘束、国外追放を行っている。
中国に旅行中または居住中の米国市民は、米国領事館のサービスや容疑に関する情報提供を受けることなく拘束される可能性があります。また、中国国内にいる米国市民は、法律に基づく公正かつ透明な扱いを受けることなく、尋問や拘束を受ける可能性がある」
中国旅行アドバイザリー |Travel.State.gov

この法律はいくらでも拡大解釈が可能な魔法の杖です。だらから怖いのです。
彼らが反中と考えれば、証拠がなくとも拘束し、国外にでられなくすることができます。
レアアースならば、レアアースそのものう所持していなくとも、それを使った製品ですら拘留の理由づけになります。

かつて香港民主派は、中国国歌「義勇軍行進曲」のこのワンフレーズだけを歌ったそうです。

「起来!不願做奴隷的人們!
(立ち上がれ! 奴隷になるのを望まぬ人々よ)」

 

 

 

2026年6月25日 (木)

レバノンという「国家もどき」と、なにもしていない国連監視団

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イスラエルのレバノン攻撃がイランとの交渉の焦点となっていましたが、この地域でヒズボラの巨大地下施設が発見されました。

「アメリカとイランが、スイスで戦争終結に向けた交渉を行っていた6月21日(日)、イスラエル軍は、南レバノンで摘発した、壮大なヒズボラのドローンを発射する航空基地を含む壮大な地下基地を、メディアに公開した。
この基地は、イスラエルとの国境から約6キロにあるレバノンの村、マジダル・ズーンの地下29メートル地点で、今月、戦闘・空挺部隊によって発見されていた。

レバノンで、イスラエル軍が、ヒズボラの地下施設を発見するのは、これが初めてではない。
しかし、今回発見された基地は、これまでに発見されたものより、はるかにレベルの高い要塞だったとイスラエル軍は語っている。
マジダル・ズーンは、単なるレバノンの一つの村ではなく、“ステージの村”と呼ばれ、戦争への拠点だった。ヒズボラがイランの支援で、10年以上かけて建築した文字通りの要塞である。地上にある村の家々からも、ヒズボラの武器や爆弾が発見されていた」
(オリーブ山通信 2026年6月22日)
イスラエル軍が南レバノンで摘発した大規模ヒズボラ地下要塞をメディアに公開 2026.6.22 – オリーブ山通信

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タイムズオブイスラエル

ここにはイスラエル南部を犯に攻撃してきたドローンが見つかっています。
この地下施設からヒズボラは執拗にドローン攻撃をしかけていたわけです。

「ドローン発射施設は4か所で、武器庫は12部屋。この近くの部屋には、約8トンの爆発物があった。
そこに、爆弾30キロを搭載したドローン約50機を発見した。射程は200から500キロである。発見されたドローンの中には、過去にイスラエル軍に向けて使われたタイプのイラン製ドローンもあった。ヒズボラは、ここでイラン製のドローンを製造し、イスラエルに向けて発射していた。イスラエル軍によると、ここから、ガリラヤ地方に繰り返しドローン攻撃が行われたほか、テロリストの攻撃もここから始まっていた。まさにヒズボラ武力の中心的要塞であったとみられている」
(オリーブ山通信前掲)

いまから2年前、黒井文太郎氏は「イスラエル軍が行なっているガザの民間人殺戮という戦争犯罪を正当化する話では全然ない 」と断った上で、こう述べています。

「他国であるレバノンやイランでの暗殺作戦を実行するイスラエル側については、ネタニヤフ本人の政治的思惑を指摘する声もある。イスラエル国内ではかねてネタニヤフに対する批判は強く、ガザ情勢の長期化でますます国内政治状況的には追い詰められている。そのため、彼は自らの政治的延命のために対外的緊張を拡大したがっているとの見方が、イスラエル国内の言論界でも見られる。
 ネタニヤフ本人がそう言ったわけではないので、あくまでひとつの仮説だが、仮にそうであっても、ネタニヤフはヒズボラが何もしていないのに攻撃を命じているわけではない。イスラエルとヒズボラの戦闘は、常にヒズボラが先に手を出し、イスラエル側を挑発することから発生している。ヒズボラが何もしなければ、両者に戦闘は起こらない。2023年10月以降の戦闘も、ガザでの攻防の直後にヒズボラがイスラエル北部に越境攻撃をかけたことで始まっている」
(黒井文太郎2024年8月2日)
イスラエルを挑発するヒズボラ特殊部隊「ラドワン部隊」の黒幕はイラン:黒井文太郎 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト (fsight.jp)

イスラエルからの発砲は2回、うち一回は戦車砲によるものでUNIFILの司令部監視塔が破壊され、その時に負傷者を出しています。
ガザのUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)は「ほぼほぼハマス」で、国連としての中立性が大きく損なわれている団体です。
だから死傷してもいいとはいいませんが、レバノンで死んだハマス指導者のファトフ・シャリーフはUNRWA学校の校長でしたし、教師20人は戦闘員だったという笑えない話も伝わってきているような、戦争の一方の当事者です。

しかし一方、イスラエル・レバノン国境で兵力引き離しをしているUNIFILは、いままで中立性を保ってきたと考えられてきました。
概要によれば、要員派遣国は2023年9月の時点で、インドネシア、イタリア、インド、ガーナ、ネパール、韓国など計47か国で、日本は含まれていません。
国際連合レバノン暫定駐留軍 - Wikipedia

では、なんのためにこの国境地帯に派遣されているのでしょうか。
UNIFILは1978年に、レバノンに駐留する国連の治安監視団として設立されました。
設立のきっかけは、ここでもパレスチナ側のテロ攻撃が発端です。

(1)1978年3月、何者かによる部隊がイスラエルを襲撃し、多数の死傷者が出たことについて、パレ
スチナ解放機構(PLO)が犯行声明を出したことを受け、イスラエルは報復としてレバノンに侵攻、
ティール市とその周辺を除くレバノンの南部の全域を占領。
(2)同月、レバノン政府はイスラエルの侵攻に対する強い抗議書を安保理に提出し、パレスチナの奇
襲部隊の関与を否定した。安保理はこれを受けて決議第425号及び決議第426号を採択し、イス
ラエルに対して軍事活動を早急に停止し、すべてのレバノンの領域から軍を撤退することを求め
た。また併せて国連レバノン暫定隊(UNIFIL)の設立を決定した。
(国連レバノン暫定隊(United Nations Interim Force in Lebanon (UNIFIL)概要)
0000060693.pdf (mofa.go.jp)

つまりUNIFILを作らねばならない原因となったのは、「何者かによるイスラエル襲撃で多数の死傷者が出た」ことにあります。
概要ではボカしていますが、「何者か」とはもちろんヒズボラのことです。

その後1982年と2006年の2回のレバノン戦争の後、国連安保理での決議1701が可決され、イスラエルとの国境(ブルーライン)から、リタニ川までの約30キロの間が非武装地域とされました。

この地域に、「UNIFILとレバノン軍以外、いかなる武装勢力も存在しない」ことを監視する役割を担っていたのがUNIFILです。
この「レバノン軍」というのが問題です。
そもそもレバノンは、まとまった統一国家とは到底いえない国です。
朝日新聞風にいえば「価値多元化社会」の極であり、イスラム教だけでスンニ派、シーア派、キリスト教も負けじとマロン派、ギリシャ正教などがあり、実に18の宗教・宗派が同居しています。

彼らは融合することなく、自らのテリトリーを主張してひしめき合い、独自に民兵組織まで持っているために「モザイク国家」とも呼ばれます。
ちなみに日産を食い物にしたカルロス・ゴーンが逃げ込んだのも、このレバノンの首都でした。
あんな男でもカネさえあれば受け入れられる国がレバノンです。

とりあえず「国もどき」はあります。
政府も議会もありますが、なんと大統領はマロン派にすれば首相はスンニ派、議会議長はシーア派から選出すると決まっていてバランスを取っているというのですからなんともかとも。

議会もあることはあります。
ヒズボラは、2022年の議会選挙で128議席の内過半数に近い62議席を押さえて第1党です。
どうしてテロリスト団体が支配政党になれるのかといえば、理由はハマスと一緒です。
正規軍をはるかに陵駕するような強力な軍事力を持ち、資金豊富で、したがって支配地域が下図のようにもっとも広大だからです。

ヒズボラはこの力にモノを言わせて、首都ベイルートの南半分を支配し、国の南部と東部で政府などの支配を受けない「ヒズボラ国家」を作っています。
このヒズボラ支配地域では、レバノン政府など名前だけで、軍も形骸化するか、事実上ヒズボラに従属しています。
支配地域では、レバノン政府などまったくお飾りで、ヒズボラが法を作り、独自の軍隊を持ち、警察権を握り、病院や学校まで経営しています。
ガザのハマスとまったく同じ構図です。
このヒズボラを作り、育成し、武器と資金をあたえたのは、イランの対外工作班のコッズ部隊なことは言うまでもありません。

イスラエル軍はこのロケット弾攻撃に対処するために出動し、UNIFIL基地近くで戦闘になり、UNIFILの監視塔に戦車砲が命中する誤射事件があたようです。
イスラエルのダノン国連代表は、国連決議に従っていないのはヒズボラであって、イスラエルはその履行にむけた戦いをしているのだと反論しました。

つまり、国連決議1701に基づいて、ヒズボラをリタニ川以北まで押し戻すという、本来はUNIFILがするべきことをイスラエル軍が今しているというロジックです。
また、イスラエルは、南レバノンに地上軍を派遣する際、この地域では巻き添えになる可能性があるとして、UNIFILに一時撤退を求めていましたが、UNIFIL側がこれを拒否していたと言っています。

なぜかくも頻繁にヒズボラがレバノン南部からイスラエルに向けて、かくも大量にロケット弾を撃ち込むとが可能なのでしょうか。
おかしくはありませんか、ヒズボラが撃っているのはUNIFILが引き離しをしている非武装地帯なのですよ。

「ところが、ヒズボラは、この国連決議を全く履行せず、2006年以降、この地域に膨大な数のミサイル発射施設、イスラエルに続く地下トンネルシステム、膨大な数の拠点と武器庫を壮大に完成した。目的は、イスラエルに攻め込んで、これを亡き者にすることである。
今現在、イスラエルが必死に摘発しているのは、これらの危険なヒズボラの拠点なのである」
ヒズボラと激戦:UNIFIL(国連レバノン暫定駐留軍)隊員負傷で国際社会からイスラエル非難殺到 2024.10.11 – オリーブ山通信 (mtolive.net)

このイスラエルの言い分を検証できる立場にありませんが、では、UNIFILは2006年以降、実に20年近く、いったい何を「監視」していたのでしょうか。
推測ですが、このヒズボラに浸透された「レバノン軍」となぁなぁの関係が出来上がっていて、事実上野放しにさせていたとしか思えません。
いずれにしても、これほど膨大なヒズボラのトンネル網や大規模な弾薬庫、武器庫の存在をなぜUNIFILが見逃していたことは事実なのです。

 

管理人から
珊瑚さん、記事と対応したコメントにしてください。ここは掲示板じゃありませんよ。
無関係なことをいれられるのは迷惑です。

 

2026年6月23日 (火)

モスクワ市内に油の雨が降り注いだ

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ウクライナが攻勢をかけています。
ひとつはモスクワ方面と、今ひとつは南部戦線です。
まずモスクワ方面の攻撃は、モスクワ近郊の石油精製施設とロシア軍情報センター、ドローン部品工場に仕掛けられました。


「ウクライナは18日にかけ、ロシアの首都モスクワに向けてドローン200機近くを発射した。一部は首都近郊の石油精製所を直撃し、モスクワの一部地域で黒い油の粒が降り注いだ。ウクライナによる攻撃としては、ロシアと全面戦争となって以降で最大のものとなった。
ロシア国防省からとされる情報によると、同国各地で24時間以内にウクライナのドローン計約1000機と巡航ミサイル計4発が迎撃・撃破された。南部ロストフ州の石油貯蔵施設への攻撃では1人が殺されたという。
この攻撃で、モスクワ南東部のカポトニャ石油精製所では爆発と火災が発生し、上空が煙で真っ黒になった。当時の動画には、巨大な爆発によって大型石油貯蔵タンクの屋根が吹き飛ばされ、空中に数十メートル舞い上がる瞬間が映っている。この石油精製所が攻撃されたのは、ここ1カ月で3回目、今週に入って2回目だった。
モスクワ近郊のショッピングセンターでも火災が発生した。ドローンの破片が建物に落下したことが原因とされている。BBCが検証した動画では、高層の建物の上層部にドローンが激突し、ガラスや破片が中庭へと降り注ぐ様子が確認できる」
(BBC6月19日)
ウクライナ、モスクワに最大規模の攻撃で製油所直撃 地面や服に黒い染みと住民 - BBCニュース

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BBCニュース

またロシア軍宇宙通信センターも激しい攻撃を浴びました。

「ウクライナ軍は22日、ロシアの首都モスクワ郊外にある通信施設「宇宙通信センター」を攻撃し、「大きな煙」を確認したと発表した。露当局は22日、同日未明から昼にかけて80機以上の無人機を撃墜したと明らかにしており、ウクライナによるモスクワ周辺への攻撃が続いている。
同センターは、露最大規模の情報通信基地だ。施設を運営する国営企業は衛星放送や通信への支障はなかったものの、無人機攻撃は大規模で施設に被害があったことを認めた」
(読売6月23日)
ウクライナが「ロシア最大規模の情報通信基地」を無人機攻撃、「大きな煙」確認…モスクワ周辺への攻撃続く(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

ウクライナ軍はいまやウクライナとロシアの国境から2000㎞メートル以上離れた長距離攻撃を可能にしています。
今回使用されたとみられるのは、長射程でAIを搭載し、電波妨害下でも飛行可能な「リューティー」と、ジェット推進で時速600キロに達する高速型の「バールス」のようです。
この炎上した石油精製施設は年間1100万トンの精製能力を持ち、首都圏のガソリンと航空燃料の3割から4割を一手に供給していました。
そのためにロシアの総精製能力の実に3分の1に当たる日量214万バレルが止まっています。
これは2005年以来、21年ぶりの低水準です。

「開戦以来、ウクライナは年間100万トン超の主要製油所33カ所のうち24カ所を、158回以上にわたって叩いてきた。ウラル山脈の東にあって射程外の2カ所を除けば、ロシアの精製能力の中核はほぼすべて、いつ燃えてもおかしくない状態に置かれている。
その結果が、産油国の燃料危機だ。全国2万9000カ所の給油所のうち、4分の1にあたる7000カ所以上で配給制が敷かれた」
(小倉健一 6月20日)
追い詰められたプーチン「産油国なのにガソリンを輸入」の緊急事態…モスクワ防空網を突破され、親露派も怒り始めた(集英社オンライン) - Yahoo!ニュース

ロシア国内で供給されるガゾリンはすでに統制が始まっており、硫黄分が多すぎる粗製のものに切り替わっています。
特に深刻なのがクリミアです。

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【モスクワ燃料供給網を直撃】ウクライナ無人機で“首都炎上”懸念高まる報復の連鎖【日曜スクープ】(2026年6月21日) - YouTube

「占領下のクリミアでは現金での自由販売が止まり、運転手はクーポンやQRコードを示してようやく20リットルを手にする。ナンバープレートは公務員に記録され、燃料トラックを撮影してSNSに上げる行為は「破壊工作への加担」として刑事罰の対象になった。
エネルギーを外交の武器として振りかざしてきた国家が、自国民の給油を監視し、取り締まる側に回っている。
ロシア政府の対応を見れば、追い込まれぶりは隠しようがない。今年11月末まで、航空燃料の輸出が全面的に禁止された。国内で売るガソリンの硫黄分の上限は、欧州や中国の基準の15倍にあたる150ppmまで引き上げられた。ディーゼルに至っては35倍である。タトネフチは1台あたりガソリン20〜30リットルに制限し、ロスネフチは90リットルの上限を設け、携行缶への販売を全面的に禁じた」
(小倉健一前掲)

2026年6月、ロシア占領下のマリウポリ港がウクライナ軍の攻撃により機能停止に陥りました。
これは単なる一つの港の破壊では無く、プーチン政権がクリミアを保持するために作った118億ドル(約1兆9千億円)もの巨額を投じて構築した「陸の回廊」という生命線そのものが崩壊の危機に瀕していることを現しています。
クリミア占領の先が見えてきたようです。

 

イランが核査察に合意?

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うーん、ほんとかな、イランが核の査察に合意したと報じられました。
バンスがスイスでこう言っていますが、イランの反応はないようです。

「[チューリヒ 22日 ロイター] - バンス米副大統領は22日、スイスで行われた米国とイランの高​官による和平協議で進展が得られ、最終的な‌和平合意に向けた「良い基盤」を築いたと述べた。
バンス氏は協議後の記者会見で、イランが核査察の受け入​れのほか、凍結資産の処理や停戦管理の​ための仕組みの構築に同意したと明らか⁠にし、「最終的な合意を成功させるための非​常に良い基盤を築いた」と語った。
さらに、ホルム​ズ海峡の通航を維持するための仕組みについて、向こう数日から数週間にわたり実務者協議を継続すると明​らかにしたほか、核査察を巡る協議は早けれ​ば週内に開始される可能性があるとの見方を示した」
(ロイター6月22日)
バンス氏、米イラン協議「良い基盤」構築 核査察受け入れなどで合意 | ロイター
にわかには信じがたい内容です。
イランが素直に、ハイIAEA様、これが核施設でございます、いかようにもご検分くださいませ、なんて言うタマじゃありません。
なんせいままで何十年も国際社会をだまくらかし続けてきた国なのです。
トランプのようような粗暴な男に負けて核を手放すほどヤワじゃありません。
イランはいまだに大量の濃縮核を隠し持っているのはまちがいありません。
IAEAのグロッシ事務局長はこう述べています。

「IAEAの推計によると、米国とイスラ⁠エルが昨年6月にイランの核施設を​攻撃した時点で、イランは60%の濃縮​ウランを440.9キロ保有していた。このウランをさらに濃縮すれば、核兵器10発分の爆発物​質に相当するという。
グロッシ氏​はパリで記者団に対し「IAEAの最後の査察時点で、‌イ⁠スファハンには60%の濃縮ウランが200キロ強、もしくはこれをわずかに上回る量が保管されていたとみら​れる」と​言及。衛⁠星画像など複数の手段による監視で搬出を示す動​きは確認されていないため、​現⁠在もイスファハンの施設にあると考えられると語った。
また、中部ナ⁠タン​ズにある施設にも60%の濃縮​ウランが一定量保管されており、現在も​そこにある可能性があると述べた」
(ロイター2026年3月10日)
イラン高濃縮ウラン、イスファハン核施設でなお保管=IAEA事務局長 | ロイター
たぶん100%イスファハンの核施設には濃縮核物質が隠匿されているはずです。ただし瓦礫の下にですが。
イスラエル軍はこの戦争前の2025年6月の2回にわたってイスファハン核施設を攻撃し、ウラン転換施設など4棟の建物が損傷していることが確認されています。
また今回の戦争でも米軍が激しい攻撃をしかけ、フォルドゥ濃縮施設にはバンカーバスターさえ使用しています。
20260623-033833
【詳報】イラン核施設を空爆 米長官「圧倒的成功」イラン「限定的」 [米・イスラエルのイラン攻撃 イラン情勢]:朝日新聞

同じ核濃縮施設のイスファハンでは、フォルドゥで使ったバンカーバスターは使用しませんでした。
これは地下施設があまりに深いので効果が見込めないからだと言われています。
その代わりにトマホークを30発近く撃ち込んだわけですが、地上の建物は下の写真のように派手に破壊されていますが、肝心の地下深い核濃縮施設は無傷なはずです。
ただし、深地下の核濃縮施設へのアクセスルートは塞がれているかもしれませんが、そのへんは不明です。
しかしイランは民間利用と言い続けているわけですが、なんでこん深地下民に作るんでしょうか奇怪なことです。(笑)
20260623-035625
米国が21日、イランの核施設を空襲した後、「核の脅威を除去した」というドナルド·トランプ大統領の言葉とは異なり、専門家たちはイランの主要核物質が依然として保存されているという意見を出した。 核施設が地.. - MK
「中部イスファハンだけは効果が薄いと判断して使用しなかったと、CNNテレビが28日伝えました。CNNは、イスファハンで大型の特殊貫通弾を使用しなかったのは、地下施設が深すぎて効果が薄いと判断したためだったと、アメリカ軍の上層部らが上院議員などに行った機密ブリーフィングの内容として伝えました。
地上を攻撃しましたが、地下施設と濃縮ウランの備蓄は大きな被害を受けなかった可能性があります。こうした中、IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、イランがウラン濃縮活動を「数カ月かそれより早く」再開できるようになる可能性があるとの見方を示しました」
(テレ東ビズ2025年11月11日)
米軍 イスファハン核施設は深すぎるため貫通弾不使用か - YouTube
ナタンツ核施設も同様で、被害を受けたのは地表施設だけです。
これがトマホークの限界です。

「IAEA(国際原子力機関)の発表によれば、「60%まで濃縮したウラン235を生産していたパイロット燃料濃縮工場の地上部分が破壊された」だけだったという。
さらに、「地下施設への物理的な攻撃の兆候は見られなかった。影響があるとすれば、電源喪失により地下の遠心分離機が損傷した可能性があるだけ」だとの見方も示している」
(西村金一2025年6月26日)
イラン核施設攻撃で「停戦」引き出した米国、地ならししたのはロシアだった 米・イスラエルの攻撃成功の陰に、ロシア兵器の能力劣勢と勢力衰退(1/6) | JBpress (ジェイビープレス)

このように見ると、トランプが「徹底的に破壊した。核の脅威は去った」なんていうのはとんだ眉ツバものです。
実際はイラン核施設の破壊は不十分で、イランは大量の、おそらくは核爆弾10発分ていどの濃縮核を隠匿していると見るべきでしょう。

「IAEAのグロッシ事務局長による20日の国連安全保障理事会への報告によると、ウラン濃縮施設がある中部ナタンツでは、これまでの攻撃で地上施設が破壊されたほか、地下施設にも地下貫通弾による攻撃があったとみられている。
グロッシーIAEA事務局長は、イランは米国が空爆した3つの核施設への査察を認める義務があると発言しているが、技術的な面での協議が続いている。仮にこれらの施設が空爆により陥没していれば、イラン側は、査察チームが査察できるように陥没した施設を掘り起こす義務はなく、査察できるかどうかは確かではない。ただし、グロッシー事務局長は、十分なアクセスが確保できなくても核物質を探知出来る機材があるとしている」
(BBC2025年6月17日)
イラン・ナタンズ核施設の遠心分離機、「破壊された可能性が高い」とIAEA イスラエルの攻撃で - BBCニュース

今後仮にイランがIAEAの核査察を受け入れたとしても、瓦礫となった核施設の地表部分だけ見せて、ほれこのように徹底的に壊されましたからとうしようもありませんわ、とほほと力なく笑って見せて逃げきる気でしょう。
もちろん実際はとうに相当部分を掘り出して、別の場所に隠匿しているのかもしれませんがね。

2026年6月22日 (月)

イスラエルはヒズボラとの戦闘は止めない

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イランと米国の延長戦がスイスで始まります。
その前にイランがジャブを打ってきました。

「一方、イラン革命防衛隊は20日、レバノン情勢の悪化を巡り、全ての船舶にエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡が再び「封鎖された」と警告した。米側は否定したが、双方の駆け引きが続いているもようだ。
米イランの両代表団は21日までにスイスに到着。米側はバンス副大統領、イラン側はガリバフ国会議長が率いる。対面協議が実現すれば、停戦合意後の4月にパキスタンで開かれて以来。
イラン外務省は、協議は「1日限り」と説明している」
(産経6月21日)
米国とイラン、覚書署名後初の協議…スイスで仲介国交え 「ホルムズ再封鎖」駆け引き続く - 産経ニュース

イスラエルがレバノンでヒズボラと戦っているのがけしからん、停戦合意違反だというわけです。
イスラエルは完全な停戦に合意していません。
イスラエルからすれば、今回の和平覚書はあくまでも米国とイランの二者によるものであり、イスラエルとヒズボラ戦線はこれに含まれていないとしています。

イスラエルが言うのも一理あります。
このイラン戦争はイランとの戦争であって、どうして隣国レバノンのヒズボラとの戦闘まで停止せにゃならんのだ、現にヒズボラは連日イスラエルを攻撃しているんだぞ、これはイスラエルの防衛戦争だゴッチャにすんな、というのがイスラエルの言い分です。
イランが強引にレバノンの戦闘まで停戦合意事項に入れたことへの反発です。

イスラエルがこだわっているのはレバノン南部とイスラエルとの国境付近です。
このレバノン南部の国境地帯をイスラエルは「緩衝地帯」と呼んで、断固死守したい構えです。

20260622-002339

イスラエルはなぜレバノンに「緩衝地帯」を設けるのか-ヒズボラ排除の戦略的合理性と国際的摩擦の全構造【2026年最新】|セキュリティニュースのセキュリティ対策Lab

「[エルサレム 18日 ロイター] - イスラエル軍は18日、レバノン南部における自軍の展開領域の拡大を示す地図を公表した。また、この地域を越えた攻撃の実施も排除しないとし、レバノンの主権尊重を求める米国とイランの暫定合意の条件に反発​した。イスラエル当局者は部隊展開の継続を巡って米国と交渉を行っている。
米国とイランは前日、「レバノンの領‌土保全と主権」を確保するよう当事者に求める覚書に署名した。イスラエルはレバノン、ガザ、シリアで掌握した地域を自国と敵との間の「緩衝地帯」と位置付けており、ネタニヤフ氏はこれらの地域から撤退すべきだという要求を拒否している。
イスラエル高官は、レバノン南部への部隊展​開の継続を巡り米国と「粘り強い交渉」を行っているとし、レバノンのリタニ川以南の地域への部隊駐留を含め​イスラエルの立場は譲らないと述べた」
(ロイター6月18日)
イスラエル、南部レバノン領域地図を公表 越境攻撃排除せず | ロイター

2026年3月2日、ハメネイの暗殺に対する報復と称してヒズボラがイスラエル北部へロケット弾を発射しました。
これに反撃して、イスラエル軍はレバノン領内への大規模な地上侵攻および空爆を再開し、国境から30キロのレタニ川までを「前方防衛エリア」として制圧する作戦に出ました。
中途半端なところで妥協すれば、必ずテロの温床となると確信しているからです。

しかしそろそろわかってもよさそうなものですが、ネタニヤフに代表されるこのような自民族のみの生存を最優先する考え方では、やがて誰もイスラエルを支持するものはいなくなります。
ガザ戦争がそうであったように、当初は正当だったテロに対する防衛戦争が破壊に変じたように見えるからです。

では、イランが言うことが正しいのかといえばもちろん違います。
イラン戦争合意でも、ヒズボラとイスラエルの停戦がいるのね、と短絡しますがおかしくはありませんか。
だってヒズボラは国会で議席をもっているとはいえ、要するにイスラエルを標的とするテロ団体です。
しかも資金も武器もイランから提供されているような外国のヒモ付き組織です。
こんな組織が、レバノンの頭越しに攻撃を仕掛けたり、逆にイスラエルから攻め込まれる口実を作っています。
こんなことを許すような国を国家と呼べるでしょうか。

本来は、一義的にはレバノンこそがヒズボラの学校施設や民家からのロケット弾攻撃を止める責任があります。
警察では手に負えないでしょうから、レバノン国軍がヒズボラを抑止すべきなのです。
しかしまったくレバノン国軍は無力で、イスラエル北部では市民の被害が絶えません。
ですから、レバノンという国家とは別次元で、ヒズボラがイスラエルを地中海に追い落すなどという馬鹿げた反ユダヤのイデオロギーを捨てないかぎり、いつまでも戦争は続くわけです。
つまり、イスラエルは自らの安心な国境環境が生まれない限り戦いを止めないでしょうし、攻め込まれた形になっているレバノンはヒズボラをコントロールできないか故に、戦争はいつまでも続きます。

そりゃ米国がこれ以上の軍事支援はしない、これっきりだと言えばネタニヤフですら泣く泣く矛を収めた形にするでしょうが、もちろん形だけで、またすぐに再燃します。
ヒズボラは弱ったとはいえまだ多く残存していますし、例のイランに与える復興資金3000億ドルが、このヒズボラに流れ込まない保証はどこにもないからです。

また、トランプは和平に持ち込みたいあまりグズグズにイランを甘やかしています。

「ドナルド・トランプ米大統領は水曜日、イランが弾道ミサイルの一部を保持することを認めるべきだと主張し、合意発効直前に自政権とテヘランの間で締結された覚書を擁護した。
「他国が持っているなら、彼らが持っていないのは少し不公平だ」とトランプはフランスでG7サミットの傍らで記者会見を開いた際に述べた。「サウジアラビアとカタール、そしてそれぞれに弾道ミサイルがあるなら、相対的な割合で見れば、イランが弾道ミサイルを持つのは問題ないと思います」と言えます」
(タイム・オブ・イスラエル6月18日)
合意が成立すると、トランプは「イランが弾道ミサイルを保有しても構わない」と言います。タイムズ・オブ・イスラエル 。

たぶんまだ大量に隠匿しているはずのイランの弾道ミサイルを完全廃棄するつもりなら、核と一緒で地上軍をイラン国内に入れて査察しなくてはならないからでしょう。
すぐに足抜き出来なくなるので地上軍を入れたくはない、濃縮核も弾道ミサイルもあるのはわかっているがここでなんとか合意をとりまとめて終わりにしたい、まぁそんなところがトランプの本音です。

誤解なきように言い添えますが、ニューヨークタイムズやCNN、そして日本のメディアが口を揃えて言うように「トランプのひとり負け」というわけではありません。
イランの神権政治体制は転覆できなかったろうって、あたりまえじゃないですか。
初めから米国の戦争目的に、イランの神権体制転覆は入っていませんでしたから。
そこまで含めると、中東の大国であるイランの今後の政治プロセスの再建すべてに責任を持たねばならなくなります。
第一、そうなったら必然的に内戦に発展するでしょうから、どうするんでしょうか。
口を滑らして民主派を応援するようなことを口走りましたが、脳味噌が軽く根性がないトランプにそんな力も理念もありません。

あくまでもトランプの目的はイランの核武装阻止と弾道ミサイル能力を削ぐことです。そこを間違えないで下さい。
ここをあいまいにして60日間の延長戦なんてやったから、共和党内の保守派から批判を受けるのです。

2026年6月21日 (日)

日曜写真館 ざくろ咲く個々の思ひの個々のまま

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ものごとの終りが始め花ざくろ 鷹羽狩行

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花石榴雨きらきらと地を濡らさず 大野林火

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けふまでの蕾あすから花ざくろ 鷹羽狩行

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花ざくろ女のことは女らに 雨滴集

 

2026年6月20日 (土)

イランの本質から目を逸らしなさんな

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まだ60日の協議期間が残っているのですが、このイラン戦争はどちらがどうともいいにくい性格をもっています。
メディアは日米の多くがトランプがアホウだ、トランプの負けというトーンです。
中国が認知戦をしているらしく、このような見方が主流です。

たしかに40回も「合意した」とか「合意間近」とか言い散らしていれば、誰がトラの言うことなんぞ信じるか、このオオカミ少年めという気分はわかりますし、あげく出てきた合意が結局はかんじんな核濃縮については先のばしですから、誰でもこりゃダメだとは思うでしょうよ。
たとえばCNNはタイトルからして「トランプ氏のイラン合意、自分で作った問題を解決しただけ」と来ていますから、読まないでもわかります。

「(CNN) トランプ米大統領はイランに濃縮ウランを廃棄させ、核兵器を絶対に製造しないと約束させ、さらには海上交通の要衝ホルムズ海峡の封鎖を解除させることもできるかもしれない。だが、こうした問題が生じたのは、そもそもトランプ氏の2期にわたる行動が原因と言える。
トランプ氏は1期目在任中、イランとオバマ政権の間で交渉が行われた核合意から離脱し、中東におけるイランの代理勢力網を構築した立役者との見方が多かったソレイマニ革命防衛隊司令官の殺害を命じた。これに対しイランは、兵器級に近い濃縮ウランの備蓄を増やすことで対抗。配下の代理武装勢力が中東の米同盟国への脅威を強めることも容認した。
イランには原子爆弾製造を禁じる最高指導者の宗教的裁定が存在するが、イランはその後、必要であれば短期間で兵器化できる核技術の開発を進めた」
(CNN6月19日)
【分析】トランプ氏のイラン合意、自分で作った問題を解決しただけ - CNN.co.jp

このCNNの見立てだと、トランプがイラン核合意から離脱してイランを締め上げ始めたからイランは核濃縮をしたんだ、革命防衛隊の湾岸各国への浸透と破壊工作もトランプがいけないんだ、というリクツになっています。
これはあまりに偏ったイラン贔屓な見方です。
イランが表面上なんと言おうと、核濃縮を独自の意志で進めてきたのは明白で、トランプがオバマ合意からだ脱したからその対応でなんていうひ弱で受動的なもんではなく、バリバリの確信犯です。

米国が核合意から離脱する前から、核合意はただの紙切れ化していたことをお忘れでしょうか。
空文化したことを見極めたからこそ、トランプは核合意から正式に脱退して、真剣にイランを核放棄させる道を選択しました。
トランプは思い込みの激しい強引な人物ですが、この判断はあながち間違いではなかったと思っています。
それをひっくり返して、またもや核合意に復帰してしまったのがバイデンです。

以来、イランは厳しい制裁に合って経済が苦しむと、核合意に復帰してもいいようなそぶりをしますが、かんじんなIAEAの核査察は断固として拒否し続けています。

「ウィーン、テヘラン=共同】国際原子力機関(IAEA)は16日の声明で、イランからIAEAの一部査察官の受け入れを拒否すると通告があったことを明らかにした。査察官はウラン濃縮などを検証している。グロッシ事務局長は「強く非難する」と述べ、査察に深刻な影響が出るとして再考を求めた。国際社会の懸念が一層強まるのは必至だ」
(共同2023年9月17日)
イラン査察官受け入れ拒否 IAEA、影響深刻と非難 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

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イランの核施設、遠心分離機に損傷か イスラエル攻撃を衛星画像で検証 - 日本経済新聞

核合意の肝はIAEAの核査察です。
兵器級の核濃縮をしていない、ということをIAEAの査察官が立ち入り調査をします。
イランは6月中旬に、IAEAに対して中部フォルドゥの核施設に高性能遠心分離機「IR6型」を複数連結したカスケード8基を増設しウラン濃縮能力を急速に拡大すると通知しています。
とうぜんIAEAはイランに査察官の受け入れなどを要求していますが、拒否され続けています。
そして堂々と合意破りを進めて兵器級の核濃縮をに邁進してきたのです。

また革命防衛隊の最高指揮官であるソレイマニが殺されたから湾岸各国への嵌入を「容認」したなんて大甘もいいところです。
革命防衛隊はコッズ部隊という浸透工作に特化した部隊まで作って、巨額な費用をかけて介入を続けてきました。
それをしたのは他ならぬハメネイのような「最高権威」というイスラム坊主です。

イランの「最高指導者」は、日本のように立憲君主制下の国家統合シンボルではなく、完全な親政を敷いています。
坊主はすべの権力を掌握しており、外交、軍事、内政のすべてを支配しています。

そしてなんとイスラム坊主は国軍とは別に、自分の私兵である革命防衛隊まで有しているのですかスゴイね。
革命防衛隊はその指揮下にコッズ部隊という浸透専門部隊を作っており、このコッズ部隊こそ中東全域にハマスやヒズボラなどのテロ団体をはびこらせた元凶です。

ガザ戦争はイスラエルの虐殺嗜好から生まれたのではなく、ハマスの民間人虐殺テロという極めて長期間に渡って周到に準備されたものから発生しています。
その背後にいたのがコッズ部隊でした。

「イランがハマスの最大の支援国になった。現在ではハマスの唯一の後ろ盾がイランと言っていいほどで、とくにカッサム旅団への軍事支援はほぼすべてがコッズ部隊とヒズボラによるものになっている。(略)
2年にわたる奇襲作戦の準備期間中も、コッズ部隊はカッサム旅団を支えたはずである。コッズ部隊はこれまで長年にわたって多くの外国の武装勢力を支援してきたが、単に武器や資金を渡すだけというやり方はしない。テロや戦闘の訓練をし、組織拡大の手法などまで指導するのだ」
(黒井文太郎2023年11月7日)
ハマス・ヒズボラを支えるイランの危険な謀略機関「コッズ部隊」:黒井文太郎 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト (fsight.jp)

この革命防衛隊を擁する「最高指導者」の絶対性を見ないで、トランプがナニをしたからどうしたというのは、神権国家イランの本質から目を逸らすものです。
今回トランプはイランを徹底的に追い詰めることはできませんでしたが、まちがいなく弱体化させたことは事実なのです。
それを忘れてちゃいけませんぜ。

 

 

2026年6月19日 (金)

イランは終始妥協はしていなかった

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ベルサイユ宮殿でトランプが署名し、これで米国とイランの交渉はひとまず「合意」したわけですが、トランプという男の交渉術がイヤというほどわかってきたはずです。
この人、困ったことに平気でウソをつくんですよ。
トランプはこの間ズっと「「合意は近い」「イランは署名に近づいている」「まもなく歴史的な合意が成立する」と言い続けてきました。
その数実に40回。
全部空振りで、実はイランといくつもの暗礁に乗り上げていたようです。
というか、初めからイランは一貫して非妥協なんです。

そして暗礁にぶつかるたびに、トランプは軍事手段を小出しにします。悪手です。
こんなことで軍事の小出しをすると、本気でやる気がない、どこかで米国は音を上げると知らせているようなものです。

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PRESIDENT Online

黒井文太郎氏はこう書いています。

「振り返ると4月7日の暫定的な停戦以降、双方の要求は乖離しており、交渉は難航が続いていた。5月28日には、停戦の60日延長の覚書の草案で暫定的に合意したと報じられたが、翌29日、米側は「核開発とホルムズ海峡再開の問題で、イラン側に修正を求める」として正式に拒否。交渉は再び暗礁に乗り上げた。
つまり、トランプ側はずっと、「イランが核開発の放棄やホルムズ海峡の再開を受諾する方向で交渉は合意寸前」と言い続けてきたが、イラン側の条件はそうではなかったということである。イラン側の主張はむしろ一貫しており、トランプ側の発信情報と大きく食い違っていた」
(黒井文太郎6月16日)
なぜ停戦から合意まで2カ月もかかったのか…イランとの戦闘終結までにあった「トランプがついた40回のウソ」 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

トランプはイランが核開発放棄やホルムズ海峡再開を受け入れるかのように言ってきましたが、実はイラン側の実際の主張は一貫してノーで、このことに関して革命防衛隊と外務省の違いはありません。
このことはイラン外務省の公式声明などだけでなく、革命防衛隊系メディアや保守強硬派の発言を追うきわかると黒井氏は指摘しています。

また日本の「識者」は、最高権力者をのハメネイを殺し、その息子も同様に重体に追い込んだことを、強硬派と交渉派を調停する者をみすみす殺してしまったと非難していましたが、モジタバ名で声明は出されています。
内容は核開発は止めないの一点です。

「モジタバ名の声明は同20日にも出されているが、いずれも「濃縮停止はあり得ない」「米国の要求は過剰で検討外」という内容だった。イランではモジタバの名前で公式発表される内容は絶対であり、イラン政府の確実な対外方針と断定できる」
(黒井前掲)

つまり、イランは一貫して核開発を止めないと言い続けて、妥協などどこ吹く風だったわけです。

もうひとつのホルムズ海峡の開放についてもイランは一貫してノーです。

「6月1日には前出のレザイ軍事顧問が「ホルムズ海峡はイランの管理下で不変。米側の封鎖は許さない」とSNSに投稿。翌2日にはイランの革命防衛隊と国軍を統合指揮する大本営である「ハタム・アルアンビヤ中央本部」のモハンマド・ジャファル・アサディ副司令官が「米国は我々に完全降伏を要求しているが、絶対にしない」「降伏しないかぎり、衝突は避けられない」と発言した」
(黒井前掲)

もうとりつくシマがないというかんじですが、トランプはあたかも水面下の交渉で成果を上げている「合意は近い」と吹きまくりました。
お互いに国内向け発言という部分は差し引かねばなりません。

イスラム原理主義神権政治体制護持がイランの最大のテーマですから、国内に向けて負けました、敗戦交渉してますなんて言えるはずがありません。
一方、トランプもイラン戦争が不人気な上に、国際経済までもが連動しておかしくなっていることをひしひしと感じていたのでしょうね。
そのあたりは交渉「合意」後、エジプトのシン大統領との会見でこうトランプは言っています。

「こうでもしなければ、世界恐慌になっていただろう。いいか、愚か者は世界恐慌を望む。彼らは愚か者なのだ。だから(彼らの要求を)そう簡単には受け入れられない。誰かをどん底まで追い詰めれば、多くの悪いことが起こる。
第一に、海峡は決して開かれないだろう。頭上をロケットが飛び交い、あちこちに機雷が敷設されているような場所で、何十億ドルもする船の積み下ろしをしたがる者などいない」

トランプは核合意も詰めきっていない、ホルムズ海峡の開放も60日かぎりかもしれないという臭いものに蓋をして妥結したということです。
たしかに一応の「合意」を見たのはイラン内部でも経済を重く見て、これ以上の戦争は危険だと考える交渉派がいちおう主導権をにぎったからですが、どこまで続くかわかりません。
あくまでも政権主流は革命防衛隊の「一億総特攻」派が握っていることにかわりはないのです。
濃縮活動、査察、制裁解除、凍結資産、ホルムズ海峡管理権などを巡って、またいつ戦争が再開されるかまったく不明なままの「終戦」でした。

 

2026年6月18日 (木)

抗議船「不屈」の金井氏の性暴力事件発覚

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米国イラン合意に関して続けるつもりでしたが、こちらを優先します。
辺野古転覆事故の「主犯」である抗議船「不屈」の船長である金井創氏ついて、新たな情報が出てきました。
まずあらかじめお断りしておきますが、私は死人に笞打つ気はありません。
ただ、ご遺族も求めている真相解明の一端になる新事実として取り上げます。
琉球新報はこのように断っています。

「被害当事者の証言だけではなく、音声記録や文書、複数の関係者への裏付け取材を踏まえて報道しています。故人の生前の事案ですが、被害当事者の訴えの重大性を鑑みました。転覆死亡事故に至った真相を解明するには、同志社国際高校から案内を引き受けた船長の言動や、周囲の対応などを構造的に検証する必要があると判断しました」
(琉球新報6月17日)
【独自】辺野古沖転覆の死亡船長が過去に性暴力 被害女性が証言 「運動離れて」求めに応じず 沖縄

それもある意味、まぎれもなく当事者の一角にいるはずの琉球新報が記事にしているところが驚きです。
これが反対協の浦島氏から「極右新聞」と呼ばれてしまった産経だったらともかく、他ならぬオール沖縄の事実上の官報だった琉新というところがシュールです。
いままであれほど執着してきた抗議テントの撤去といい、なにかしらの「流れ」を感じてしまいますが、まずこの記事のリードからしてショッキングです。

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 クリスチャン新聞

「死亡した「不屈」の船長が県外に在住していた時から知り合いの県内の女性が、琉球新報の取材に応じた。船長から性暴力を受け、その後「非暴力」を掲げる沖縄の運動から離れるよう求めたが、船長は応じなかったという。「彼があの時、辺野古の運動から離れていれば、今回の事故は起きなかった」と振り返った」
(琉球新報前掲)

この女性が告発している性暴力事件とは、このようなものでした。

「2010年の後半、彼から性暴力を受けました。逃げようとしても腕を引っ張られて連れ戻され、もう一度逃げようとしても再び腕を引っ張って連れ戻され、全体重で押さえつけられ、乱暴をされました。服が破れ、怪我をしました。その後、殺されるのではないかと、道を歩くのも怖く、適応障害になりました」(琉新前掲)

衣類を破いた暴行ですから言い訳が効きません。
これは否定しがたい性的暴行事件です。この時点で警察に告発すれば金井氏は拘束されたはずで、その時点で辺野古反対運動は大きな打撃を受けたはずでした。
また産経はこう書いています。

「金井氏の知人によれば金井氏は女性問題をきっかけに明治学院側との関係がこじれ、18年3月の任期満了をもって退任することになった。同じ年、沖縄県南城市の佐敷教会に赴任。その後、当時の妻と離婚し、辺野古での抗議活動の先頭に立つようになる」
(産経6月18日)
辺野古で逝った金井創船長の半生 北海道生まれの銀行員が見つけた「反権力牧師」の道  検証リポート・平和学習「活動家の牧師」前編 - 産経ニュース

なにが起きたのか詳細を産経は書いていませんので琉球新報の記事と符号するか不明ですが、大学から解雇同然で追い出され、さらには妻からも離婚されて沖縄に流れてきたのです。
また金井氏の性格の一面も暴露されています。

「彼はソフトに見えますが、高速道路でも一般道でも前の車に接近運転をする一面がありました。『やめてほしい』と注意をしても『いやいや、あおっているんじゃなくて、前の車を応援しているんだよ』と優しい口調で返してきました。辺野古の船でも、かなりの速度を出していたと聞きました」
(琉新前掲)

このような証言を聞くと、「ガンジー」と美化されてきた金井氏という人物の人間性が透けて見えてきます。
一部の宗教者や共産党員にも共通する性格ですが、自らを高みに置いて一般人を見下して、彼ら「遅れた大衆」を善き道に導くことを使命とする倒錯的姿勢が見え隠れしています。
一般人を追い詰めることが「応援」することだというのですから、たまったもんじゃありません。
これが嵩じると、オウムの麻原が言うところの「ポアする」つまり殺すこともことも平気になっていきます。

彼はクリスチャン新聞でこう言っています。

「見ようによっては、教会、牧師が政治的なことに関わっていると見えるかもしれません。しかし私としては、信仰と離れた政治的な活動をしているという意識はありません。
聖書を読み、聖書に聴いた者として促され、押し出されて活動している思い。聖書の中では、この世の中で踏みつけられ、小さくされている人たちに目を向けます。そのような方々とに一緒に立ちたいと思っています」
(クリスチャン新聞2026年3月16日)
【回顧】辺野古基地建設反対運動に関わる金井牧師「神の言葉に生きる互いを喜びたい」  – クリスチャン新聞

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辺野古移設の船2隻が転覆、男女2人意識不明 同志社国際高生ら同乗か - 産経ニュース

信者でもない人間には怖い発言ですね。
宗教的な狂信者にたまにみられるタイプです。
「聖書を読み、聖書に聴いた者として促され、押し出されて活動している思い」なんて、当人以外誰も聴いていないわけで、当人の激しい思い込み、あえて強い言葉を使えば「狂信」の範疇です。
このような思考スタイルを持っている者は、えてして自らの行為が社会規範からいかに逸脱していようと「神の言葉」で正義をなしていると思い込みます。
困ったエリート意識です。

だから当人は「非暴力」だなどとうそぶきながら、実際はまったく無関係な高校生を定員一杯に詰め込んで危険運転をして転覆して死に至らしめたわけです。
他人に死を強要するような行為を「非暴力」とは言いません。
金井氏にとって自動車運転で煽り行為をすることも、「聖書を読み、聖書に聴いた者として促され、押し出されて活動している思い」なのでしょう。

彼の辺野古での無謀な操船は有名で、規制線のブイぎりぎりを高速で接近するなどする挑発を再三にわたって行っていました。

「捜査関係者によると、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の辺野古移設工事に反対する「ヘリ基地反対協議会」が運航する船舶で、定員超過での航行や検査違反、立ち入りが禁じられている「臨時制限区域」内に侵入する刑事特別法違反があったほか衝突事故もあった。こうした違反、事故などの事案は平成26年以降、計10件以上に上る」
(産経4月23日)
<独自>辺野古転覆の抗議団体、過去に事故や法令違反10件以上 海保が運航実態を捜査 - 産経ニュース

今回の死亡事故においても、海保警備艇が波浪警報がでている海水面に行かないようにと並走して警告しているのを無視して外洋に出て、しかも荒い波が当たるリーフ沿いを運転し転覆するという信じがたい操船をしました。
まさに煽り運転の常習者らしい所業です。
女性に性的暴行を働き、煽り運転の常習者であった金井氏にとって、辺野古事故などなんのおそるることかこれあらん 、だったのかもしれません。
このような狂信者の愚行に巻き込まれて命を失った知華さんがお気の毒です。

故金井牧師にマタイによる福音書23・25〜39 を捧げます。

律法学者たちとファリサイ派の人々、あなたたち偽善者は不幸だ。白く塗った墓に似ているからだ。外側は美しく見えるが、内側は死者の骨やあらゆる汚れで満ちている。このようにあなたたちも、外側は人に正しいように見えながら、内側は偽善と不法で満ちている。

 

2026年6月17日 (水)

玉虫色の米イラン合意

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わかったようなわからないような米イラン合意ですが、革命防衛隊のボスであるガリバフがこう言っている以上なされたのは確かでしょう。

「(CNN) 米政府高官は15日、戦闘終結に向けた米国とイランの覚書に、米側はトランプ米大統領とバンス副大統領、イラン側はガリバフ国会議長がオンラインで署名したことを明らかにした。正式な署名式は19日に行われるとしている」
(CNN6月16日)
米イラン、戦闘終結の覚書に署名 ホルムズ海峡は19日に全面開放へ - CNN.co.jp

トランプは口を極めて罵ってきたオバマ時代のイラン核合意を廃棄して、新たな合意に至ったことを成果とするつもりです。
ただしかんじん要の「核放棄」を、誰がどのような形でするのかわかりません。
というか、まだ決まっていない。
現時点での「合意」は、あくまでも了解覚書(Memorandum of Understanding/MOU)の段階のようです。
これは覚書の一種で、法的拘束力はなく、今後なにを詰めていくのかメモしたものにすぎません。

了解覚書 - Wikipedia

「J・D・ヴァンス米副大統領は15日、米CNNのジェイク・タッパー司会者に対し、アメリカとイランの間の了解覚書(MOU)は「約1ページ半」で、ごく全般的な概要の文書だと説明。合意の詳細は、今後の交渉で詰めることになると述べた。
ヴァンス氏は、「いくつかの案件については、技術的な交渉の段階で解決していく必要があるが、このMOUの目的は枠組みの設定だ。イランが合意にもとづく義務を果たすことで、合意の利益を得るという、枠組みを設定する」と述べた。
副大統領によると、MOUの「第1段落」では、イランが「地域の平和と安定」にコミットすると明記されているという。これには「テロ組織」への資金提供を停止することも含まれると、ヴァンス氏は付け加えた。
「最も重要なのは、核兵器を開発しないという検証可能な約束を交わすことになる点だ」とも、ヴァンス氏は説明した」
(BBC6月16日)
イランとの合意、「すでに署名済み」とトランプ米大統領 詳細は近く発表と - BBCニュース

つまり、本来は合意の心臓部にあたる「誰がどのような形で核放棄を確証するのか」という部分を後に送って、とりあえず今世界が困っているホルムズ海峡を開放するという点を先にしたわけです。

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Dr. Eli David(@DrEliDavid) / X

イランはいままでも核は作らない、持たないと嘘八百でだまくらかしてきたのですから、これで終止符をうてるかどうかはなはだ疑問です。
バンスはCBSニュースの番組で、イランが核開発計画の放棄などで合意すれば、3000億ドル(48兆円)規模の復興基金をだしてもいいぜ、ただし湾岸諸国がカネ出してな、なんて言っていますが、宗教カルトがこれで納得するはずがありません。

イランは国内にある濃縮ウラン(核爆弾11発分)を国外に持ち出すのは拒み続け、国内希釈に持ち込んだわけですが、たぶん絶対にトリックを使うこと間違いなしです。
やり方はいくらでもあります。深い洞窟に隠して入り口をセメントで固めてしまうなんてお茶の子です。
むしろやらないと考えるほうが難しいくらいです。

つまり、トランプは功を焦って安易な妥結をしちゃったんですな。
北朝鮮との交渉でボルトンがつきつけたのがこのCVID 「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(ああ長い)で、これが満額要求です。
ここで重要なのは非核化を言った言わないではなく、「検証可能」という部分です。
これは北朝鮮内部に米国や国際社会の調査団が自由に踏み込めて、自由に査察できる権利という意味です。
第2回めのハノイ会談では、危なく安易に妥協しそうになってボルトンから制止されるという一幕がありましたが、トランプとしては満額じゃなくてもかまわない、とりあえず米国に向けたICBMだけでも止めさせれば上出来くらいに構えていたとのが本心だったと思います。
今は北朝鮮との交渉は終了してはいないし、第3回会談もにらんで幕となっていますが、それでトランプはかまわないのです。
今回も同じことです。

ただし米国としてはCVIDの原則的立場で言えば査察こそが命のはずですから、IAEAなどの国際機関と米国などが共同で査察に入ることを主張しているはずです。
となると、つい先日まで戦闘をしていた米国の査察要員の保護のために米軍が護衛につかねばならず、果たしてイランがこれを飲むかどうか。
まぁむりでしょうね。

だからいくら交渉を継続しても、本交渉でさんざんやったことの蒸し返しじゃないでしょうか。
第1次政権のボルトンのようなゴリカンがいたら、絶対にゴネまくっていたことでしょうね。
この程度なら戦争をするまでもなかった、と彼なら言いそうです。

ただ、合意後はお互いに切り札を捨てています。
イランはなんといってもホルムズ海峡封鎖というカードを手放していますし、米国もイランの喉頸を締め上げていた逆封鎖をもすることができません。
こういう状況で第2ラウンドが始まるということになります。
互いに切り札がないところの喧嘩なので、さぞかしダラダラと続くことでしょう。

 

 

2026年6月16日 (火)

トランプ、世界の船はエンジンを始動してくれ、石油を流せ

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スゴイ試合でしたね。まだ頭がボーとしています。限りなく勝利に近い引き分けでした。

さて米国とイランが合意したそうです。まぁ、こんどはほんとうのようです。
なんせイラン側がこう言っています。

「イラン最高国家安全保障会議は、数か月にわたる交渉の末、テヘランとワシントンが戦争終結のための覚書を最終決定したと発表した。
理事会は声明で、レバノンを含むすべての戦線での軍事作戦が日曜夜から「即時かつ永久に」終了すると述べた。
また、イランに対する海上封鎖は直ちに完全に解除されるとも述べた。
理事会は、覚書は6月19日に正式に署名され、最終合意の交渉は相手側が枠組み合意の約束を履行した後にのみ開始されると述べた。
声明はパキスタンとカタールの仲介努力に感謝の意を表した」
(イランインターナショナル6月15日)
イラン安全保障理事会が米国の覚書を確認し、戦争は直ちに終結すると発表 |イラン・インターナショナル

一方米国側は、トランプがさぁ皆の衆エンジンをかけろ、と呼びかけています。

「アメリカとイランの戦闘終結に向けた交渉を仲介してきたパキスタンのシャバズ・シャリフ首相は日本時間15日午前6時すぎ、「合意成立」と発表した。続けてドナルド・トランプ米大統領、イランのカゼム・ガリババディ外務次官もそれぞれ、合意成立を発表した。シャリフ首相らによると、19日にスイスで米・イラン両国の代表が合意に署名するという。
シャリフ首相はソーシャルメディア「X」で、「徹底的な協議の結果、アメリカ合衆国とイラン・イスラム共和国の間で平和合意が成立したことを、喜んで発表する」と投稿した。
「双方はレバノンを含むすべての戦線において、軍事作戦の即時かつ恒久的な停止を宣言した」と首相は書き、調印式は19日にスイスで行われると明らかにした」
(BBC6月15日)
米・イラン、戦闘終結へ合意と発表 船は「エンジン始動」をとトランプ氏 - BBCニュース

BBCによれば、合意内容はこのようなモノだと言われています。

20260616-023224

BBCニュース

・レバノンを含むすべての戦線での恒久的停戦
・アメリカはイラン内政への不干渉を約束
・アメリカは海上封鎖を30日以内に解除
・米軍はイランから撤退
・「イランの取り決めの下」、ホルムズ海峡を30日以内に再開
・アメリカと同盟国が、最低3000億ドル規模のイラン再建計画を提供
・イラン産石油およびエネルギー製品に対する制裁の終了
・イランは核兵器を製造しないという約束を再確認
・アメリカは、周辺地域で軍備を増強せず、新しい制裁も科さないと約束
メフル通信はさらに、「最終交渉は、凍結されているイラン資金の半分について凍結が解除され、石油制裁が停止され、海上封鎖が解除されるまで、開始されない」と報じた。
(BBC前掲)

ロイターはもう少し細かくこう報じています。
「<ホルムズ海峡>
・​イランは全ての商船に対してホルムズ海峡を直ち⁠に開放する。米国は覚書締結後、直ちにイラン港湾に​対する海上封鎖の解除を開始し30日以内に完了する」
(ロイター6月15日)
米イラン覚書最終草案、ホルムズ海峡即開放 原油制裁免除や資産凍結解除=イラン高官 | ロイター
これを受けて、一時169.8ドル(3月)だった原油価格は、一気に80ドル台まで下落しました。
たぶん現実にタンカーがホルムズ海峡を通過すれば60ドル台にまで落ち着くでしょう。
20260616-022631

NY原油80ドル台に下落 米イラン合意で海峡再開期待 - 日本経済新聞

誰だったっけ、イランに土下座して原油を流してもらえって主張していた言論テロリストは?
そんな流言飛語にまどわされずによかったね。
株価は一気に7万円ちかくまで駆け上がりました。たぶん突破して7万円の大台に乗ることでしょう。

20260616-021614

懸案だった金融はこのような合意結果です。
<金融>
・米国は最​終合意に達するまでイランに新たな制裁を科さないことに同意。
・最終合意後、合意された日程に従ってイランに対する米国および国連の全​ての制裁を解除。
・米国は一定期間、イラン産原油に関する​制裁を免除し、イラン政府が原油を販売して収入を得ることを認め‌る。
・⁠米国は、直接の現金送金や周辺国間の協力、金融の信用枠提供などを通じ、イラン資産250億ドルの凍結解除に同意。
(ロイター前掲)

おそらく油井が悲鳴を上げていたんでしょうね。
油田の地下に地下水が流入しても表からは見えませんから革命防衛隊はシカトしていたのでしょうが、もう辛抱たまらんこれ以上長引けはカチカチ山のタヌキになるというところです。
革命防衛隊に煽動された強硬派が講和反対デモをしたみたいですが、警察が規制しました。

「イランの首都テヘランでは、米国との和平合意に反対する強硬派市民が不満の声を上げた。
SNSに13日に投稿された映像には、テヘランでデモ参加者らが拳を突き上げ、「ガリバフ、アラグチ、わが指導者の血をどうするのか」と協議で首席交渉官を務めるガリバフ国会議長と、アラグチ外相を名指ししながら、米国との和平合意を追求する政府の方針に抗議する様子が映っている」
(ロイター6月15日)
「指導者の血をどうするのか」合意発表前のイランで、米国との和平に反対するデモ(ロイター) - Yahoo!ニュース

こういう強硬派のデモはいままでイランの国営放送が流していましたが、今回は放映されずSNSで流されています。
イランの権力構造が変化したとまで楽観はできませんが、なにかしらの変化はあったのかもしれません。
今後、イランのガタガタになった油井を再建するには米国資本の力が必須です。
石油メジャーの技術と資本がなければどうにもなりません。
おそらく米国人技術者がイラン国内に出張ることになるはずです。
一見屈辱のようですが、いままで設備の更新が遅れて老朽化して先細りだったイラン油井も蘇るはずです。

復興資金として3000億ドルもらえるとのこと。
駐日イラン大使は大いに日本にも期待していますからね、とのことでした。

「米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃が始まって28日で3カ月となったのを受け、ペイマン・セアダット駐日イラン大使が東京新聞のインタビューに応じた。
 日本は長年にわたるイランの友好国だとして、問題の外交的解決に向けた日本政府の後押しを要望。和平が実現した場合の取り組みとして、日本政府内でホルムズ海峡の機雷除去のための掃海艇派遣が取り沙汰されていることを問うたところ、直接の言及は避けつつも「あらゆる分野」の貢献に期待感を示した」
(東京5月31日)
「1000年以上の長い友好の歴史が…」セアダット駐日イラン大使が期待する「戦後復興」への日本の貢献は:東京新聞デジタル

機雷除去してもいいからカネだしてね、という虫のいい話です。
たぶん日本政府は乗るでしょうね。

また制裁解除によってイラン原油も流通することになりますが、あたりまえですが国際市場価格に沿った水準に落ち着くはずで、いままで制裁をいいことに闇原油を半値で買っていた中国やインドにとってはホルムズが開いてうれしや、でも困ったわといったところでしょうね。

もうひとつの懸案だった核兵器開発ですが、いちおう核兵器開発はやらんとは言っています。

<核開発>
・イランは核兵器を製造も取得もしないことに同意。
・最終合意​までの間、イランはウラン濃縮活動のさらな​る実施や⁠核施設の拡張を控え、核開発計画の現状を維持。
・米国は将来の包括的な合意の下で、イランが高濃縮ウラン備蓄を国内で⁠希釈​することを認めることに同意。
*イランの​核計画、ウラン濃縮活動、高濃縮ウラン備蓄の取り扱いのメカニズムは、覚​書締結から60日以内に協議され、最終合意に盛り込まれる。
(ロイター前掲)

たぶんこれがもっとも後まで残ることになるでしょう。
米国は高濃度ウランの国外持ち出しを主張していたはずですが、どこに消えたのやら。

先日来、革命防衛隊は高濃縮ウランを地下に隠匿し始めているようです。
「製造も取得もしない」と言って、だれがそれを確認するかです。
常識的にはIAEAがするのが筋ですが、査察官の入国を認めるかどうか、次はそこをめぐっての攻防が始まります。

 

 

2026年6月15日 (月)

クリミアへの兵站6カ所が切断され、とうとうロシア軍完全孤立か?

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米国とイランが合意したのしないのと騒いでいますが、もう少しハッキリしてからにします。

ウクライナがクリミア半島をつなぐ6つのラインを同時に攻撃し切断しました。
その結果、クリミアの孤立化に大手をかけつつあるようです。

「ウクライナは軍事戦略の傑作とも言える作戦を実行し、わずか48時間で6つの重要な補給橋を破壊するという、壊滅的な兵站上の罠を仕掛けた。この綿密に計算された攻勢により、南部戦線とクリミア半島を結ぶ主要幹線が完全に遮断され、11万人を超えるロシア軍は深刻な兵站上の悪夢に陥った。
わずか7kmのペレコプ回廊(ウクライナ軍の激しい砲撃にさらされる死の地帯)に追い込まれたプーチン大統領率いるロシア軍は、前例のない燃料と弾薬の危機に直面している。ロシア軍の装甲車両の機動性が完全に麻痺したことで、作戦の主導権は正式にウクライナ側に移り、戦線はクリミア半島の要塞の中心部へと直接移った」
The Geo Network
ウクライナがわずか48時間で6つの橋を破壊…11万人のロシア人が7kmの隘路に取り残される

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The Geo Network

かつてウクライナはロシアが不法占領しているクリミア半島を孤立化させ、プーチンからもぎとろうとしてきました。
そのために、ウクライナ軍はドローン攻撃などでクリミア駐留のロシア軍の補給路を断とうとしています。

クリミア半島への補給路はいくつかあります。
もっとも大きいルートが、特にクリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア大橋ことケルチ橋です。
2番目は、ヘルソン・サポリージャ経由でクリミアとつながっているR280号です。
3番目は、2番目のヘルソンとクリミアを繋ぐチョンハル橋、ペレコップ地峡付近の橋です。
4番目は、海上輸送ルートですが、これは黒海の支配権を失ったために閉鎖同然です。

陸上ルートはサポリージャがウクライナ軍によって切断されつつあるために急速に遮断されつつあり、いつや残るは最大ルートであるクリミア大橋が頼みです。
2023年9月、ウクライナ軍は戦車を前面に押し立てて突破しようとしましたが失敗し、多大な損害を被りました。

「ウクライナ軍は6月にこの地雷原を一気に突破しようとしたが、それはあっという間に失敗に終わった。西側諸国が供与した最新兵器は大破し、炎上した。ウクライナの歩兵部隊も、悲惨な数の死傷者を出して後退する羽目になった。
ウクライナが軍はその後、ロシアの地雷を個々に撤去する作戦に変更した。作業のほとんどは夜間で、しばしば砲火の下で行われる。ウクライナ軍の前進が遅いのは、そのためだ。
ウクライナの戦車や装甲車が、ロシアの地雷やドローン、対戦車ミサイルによって破壊されることもある。私たちが検証した動画では、イギリスが提供したチャレンジャー2戦車がロボティネ近くで破壊されていた」
(BBC2023年9月18日)
ウクライナ軍、ロシア軍の「竜の歯」を突破したのか? - BBCニュース

また、クリミア大橋を狙って空軍がミサイル攻撃で一部を破壊したものの不十分でした。
橋の鉄道路線に打撃を与えられなかったからです。
ロシア軍は補給の多くを鉄道に依存しており、ここを落とされると重量のある戦車や大砲、砲弾、燃料などを補給できなくなります。
海路ではごくわずかしか代替できませんから、クリミア大橋の鉄路を破壊されると死活問題となります。

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プーチン氏が渡り初めした「クリミア大橋」爆発、ウクライナ側「違法なものはすべて破壊」 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

ロシア軍は1日2万発の砲弾を使うといわれていますが、重量にして一発が47㎏として1日で940t、1カ月で2万8200tにも達します。
現実にはこれ以上砲弾を使ったと推測されますから、これだけの弾薬だけで膨大な補給量が必要となります。
これらの大部分は鉄道で補給拠点まで運ばれました。
ロシア軍はクリミア大橋を落とされると、ロシア本土からクリミア半島を抜け、南部占領地域へと続く補給の大動脈を断ち切られたことになるのです。

また、クリミアは自給できない不毛な土地であるために、本土からの補給が切断されると干上がります。
燃料はおろか水でさえウクライナからもらっている始末で、今のところウクライナはこれを切断するという非人道的なことはしていませんが、カードとしては持っています。
このようにケルチ海峡にかかるこの19kmのクリミア橋は、ロシアとクリミア半島を結ぶ唯一の直接的な連絡路であり、2014年にモスクワがウクライナから併合したクリミア半島の文字どおり生命線です。

この橋はプーチンの基幹プロジェクトであり、2018年に開通した時はは彼自身がトラックを運転して大々的に押し渡りました。
それほど思い入れがあり、いわばプーチンのクリミア支配の根幹なのです。

まだ詳細は不明ですが、クリミアが陥落すると、プーチンはほんとうに壁際まで追い詰められたことになります。
ただし、本日のこの情報はウクライナ側のものが主で、クロスチェックがなされていないことをお断りしておきます。

ああ、とうとうワールドカップ初戦だぁ。どうなることやら。

 

2026年6月14日 (日)

日曜写真館 あじさいに降り 有彩の 雨の糸

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思ふ事紫陽花の花にうつろひぬ 内藤鳴雪

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紫陽花に八月の山たかからず 飯田蛇笏 

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あじさいに ひとりびとりの思いの丈 伊丹三樹彦

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水色の夢見確約 紫陽花は 伊丹三樹彦

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わざはひの遠ざかる色濃紫陽花 廣瀬直人

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七変化にてとどまらぬ 花の色 伊丹三樹彦

 

 

2026年6月13日 (土)

仮にホルムズ海峡ルートが封鎖されても日本は大丈夫です

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いまさらですが、イランがホルムズ海峡を通航する船舶すべてを攻撃すると発表しました。

「イランは10日、米軍の空爆への対抗措置として、ホルムズ海峡を完全に閉鎖すると発表した。イラン軍は海峡を通過しようとするすべての船舶を攻撃すると宣言し、船舶2隻が攻撃を受けたと伝えられている。
イラン軍を統合指揮するハタム・アルアンビヤ中央軍事本部はこの日、国営メディアを通じて声明を出し、ホルムズ海峡を全面的に閉鎖してタンカーや商船を含むすべての船舶の通航を禁止すると明らかにした。さらに、海峡通過を試みるすべての船舶は攻撃対象になると警告している。今回の閉鎖は、米軍が追加空爆を実施した直後に始まった」
(江南タイムズ6月10日)
「イラン、ついにホルムズ海峡を閉ざす」米軍空爆への報復で世界の原油ルートに激震

アクシオスはこのように報じています。

「情報筋によると、トランプ大統領が検討している一つの選択肢は、大規模だが期間は短い作戦を開始し、イランに交渉での立場変更を促すことだという。新情報:トランプ大統領は本日午後、イランに対する新たな攻撃の可能性について議論するため、状況室会議を開催しました」
axios.com/2026/06/10/tru

アクシオスは「大規模だが短い作戦」をすると書いていますし、様々な情報ではまたバンカーバスターを使うという噂もあります。
バンカーバスターなんてモノ騒がせなものを使ったら、和平交渉は宙に吹っ飛びます。
トランプの意図は一にも二にも「合意」であり、イランの妥協を引き出すための「圧力」にすぎないはずです。

まぁこの意図が見え見えなだけに、イランに足元を見られているのですがね。

一方、米軍はホルムズ海峡の封鎖ををただ漫然と眺めていたわけではなく、船舶の通過を助けています。
これを明かしたのはトランプです。

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先月、私は偉大なる米軍に対し、ホルムズ海峡を通過する石油タンカーやその他の商船を支援する秘密作戦を実行するよう指示しました。本日、この作戦の結果、1億バレル以上の石油が海峡を通過し、市場に流通したことを発表できることを嬉しく思います。200隻以上の商船が安全に海峡を通過しました。この驚異的な成功は、ホルムズ海峡を支配しているのはアメリカ合衆国であり、イランではないからです。イランの軍事力は敗北し、経済力も失われました。イランの時代は終わったのです!この件にご関心をお寄せいただき、ありがとうございます。
ドナルド・J・トランプ大統領

トランプは200隻を通過させ、1億バレルの石油を市場に渡したと言っています。
今、ホルムズ海峡で足止めされているのは全体で2000隻とみられ、日本関係の船舶は一時は約45隻が足止めされており、その後一部が通過したものの、2026年5月下旬の時点でも39隻前後が残っていると報じられています。
ですから、米軍のこの通過作戦によって約1割が解放されたことになります。
たぶん落された戦闘へりもこの通過作戦の時にやられたのかもしれません。

あたりまえですが、このようなイランの封鎖行為は国際海洋法の重大な違反です。

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食糧不足に帰国もできず…ホルムズ海峡に足止めされた乗組員2万人に危機高まる : 日本•国際 : ハンギョレ新聞 

長期間の先が見えない足止めによって、船員たちは頭上を通過するドローンやミサイル攻撃に怯え、補給遅延による食料や医薬品など物資不足に悩まされています。
その結果、長期の拘束状態からくるストレスや精神的ダメージの懸念が出ています。
アングル:ホルムズ海峡封鎖で足止めの船員たち、孤立や物資不足で過酷な環境 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

一方、わが国は順調に代替ルートを確保しています。
中東からはホルムズ海峡を通らないUAEとサウジのパイプラインがフル稼働していますし、中東以外の北米などからの調達も急拡大しています。

「[東京 12日 ロイター] - 高市早苗首相は11日に開かれた​中東情勢関係閣僚会議で、原油‌の代替調達について、米国産原油などホルムズ海峡を経由しない原油の割合が7月に前​年平月比で10割となるめどがつい​たと発言、原油備蓄の取り崩しが不⁠要になるとの見通しを示した。
8月以​降については、首相はXへの投稿で、代​替調達が前年平月比75%の水準にとどまると保守的に仮定しても、備蓄を活用することで2028年3月​末まで石油の安定供給が可能になる​との見通しを示した。従来の想定から「1年程度‌延び⁠た」とした。
代替調達先については、米国や中央アジア、アフリカ、カナダなどに加え、7月にはメキシコから初め​て原油が​届く予定⁠だと明らかにした。
経産省の資料によると、ホルムズ海峡の​事実上の封鎖により日本の​原油輸入⁠量は4月には需要の25%にとどまり、備蓄原油の取り崩しで需要を賄った。その後、⁠米​国などからの輸入拡大​により、原油輸入量は5月は需要の約65%、6月は同8割水準まで回​復する見通しとしている」
(ロイター6月11日)
原油輸入7月は前年比10割の確保にめど、備蓄活用不要=高市首相 | ロイター

実際には100%を超える量の原油調達ができていると推測されます。
ナフサが不足して日本は6月には滅びるなどと言っていたタワケがいましたが、これはメディアが煽ったための値上がり期待による買い占めが原因で、原油調達とは無関係です。

 

2026年6月12日 (金)

また戦闘再開

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米軍戦闘ヘリが撃墜され(乗員は救助)、また戦闘が始まってしまいました。

「米軍は10日、イランに対して新たな攻撃を開始した。その後、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)は、ホルムズ海峡で船舶を攻撃したと発表した。
ドナルド・トランプ米大統領は米軍の攻撃に先立ち、イランは戦争終結に向けた「合意に至るまでに時間をかけすぎた」として、米軍がイランを「強力に」攻撃すると述べていた。
米中央軍(CENTCOM)は、10日に「複数の目標」に対して「自衛攻撃」を開始したと発表した。また、これらの攻撃は「イランによる不当で継続的な攻撃への対応」だとした。
その後、イランの国営メディアは、IRGCが、ホルムズ海峡で2隻の船舶を攻撃したと報じた。
両国はこのところ、軍事施設や監視拠点を標的とした攻撃の応酬を激化させており、4月に合意した脆弱(ぜいじゃく)な停戦の維持が危ぶまれている」
(BBC6月11日)
米国がイランに新たな攻撃 イランはホルムズ海峡で船舶を攻撃と発表 - BBCニュース

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米軍のアパッチヘリがオルムズ海峡付近で墜落、原因は未判明 | ウクライナニュース - #Mezha

トランプはいつもの常套句を叫んでいます。

「トランプ氏は、イランは「交渉に時間をかけすぎた」末に「代償を払う」ことになると述べ、イラン政府がすべきことは「書類への署名を始める」ことだけだと指摘。合意に至らない場合、明日に再度攻撃を実施する可能性があると警告し、インフラを狙った攻撃を再開する可能性にも言及した。
一方のイランは、もしホルムズ海峡の「安全性が脅かされる」ようなことがあれば、この地域を「地獄に」変貌(へんぼう)させると脅した」
(CNN6月11日)
イラン、中東の米軍基地を狙った攻撃実施 米国の攻撃への報復 - CNN.co.jp

「地獄に変貌させる」ですか、戦争前は「石器時代に戻す」でしたか、このての恐喝は止めることです。
ブラフは一回まで、二回三回と小出しにしたら気の抜けたコーラです。
まったく効いていないばかりか、「もう合意したぞ」という言葉と同じで、ただでさえ薄いトランプへの信頼感がいっそう薄まり、イランはせせら笑い、世界は呆れます。

トランプの失敗は、イランにホルムズ海峡を盾にするという選択肢を与えてしまったことです。
軍事的に緒戦で壊滅状態に追い込まれたイランは回復時間を得て息を吹き返し、「ホルムズ海峡を封鎖する」というカードが世界経済を震撼とさせる様に満足しました。

アラグチ外相はこう言っています。

「我々の領土近くにいる外国勢力は、自らの人的ミスや単なる事故、あるいは交差戦に巻き込まれる可能性があるため、常に危険にさらされている。リスクを減らすために、最善の解決策は彼らが退去することだ。
私たちは外交の言語を好むが、他の言語も話す」
XユーザーのSeyed Abbas Araghchiさん X

つまりイランのもっともデリケートな領土であるホルムズ海峡で哨戒飛行などしているから墜ちたのだ、外交をしたければこの空域から出て行け、ということです。
これが現実派のひとりだと目されるアラグチが言っていることが問題です。
ホルムズ海峡を押さえているうちは、話は簡単には終わらなくなりました。

エネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡を事実上封鎖。さらに、米国と同盟関係にある湾岸諸国にミサイルや無人機による攻撃を繰り返し、石油資源に恵まれたこれらの湾岸諸国が苦労して築き上げてきた安定という評判を揺るがしました。

いまや、米国がイランをホルムズ海峡から排除するには大規模な武力行使が必要となってしまいました。
さっさとホルムズ海峡打通作戦をしていればよかったのです。
しかしトランプは己がディールの力を過信し、空軍力と言葉だけの圧力で済ませようとしました。

その結果がこれです。
戦略的には、イランに優位を与えてしまい、イランは改めてホルムズ海峡さえ支配下に置けば、世界市場に新たな大混乱をもたらし、湾岸諸国に新たな脅威をもたらせると理解してしまいました。

これでは今後どうなるとしても、トランプがオバマより大きな成果をあげるとは思えません。
トランプは地上兵力を投入するのも厭わないと言っています。

「トランプ氏は「米国は今夜、イランに非常に激しい攻撃を加える。イランの海軍と空軍、レーダー、防空システムなどあらゆる防衛・攻撃能力は壊滅した!」とトゥルース・ソーシャルに投稿した。
さらに「そう遠くない将来のある時点で、われわれはカーグ島と他の石油インフラ拠点を掌握し、ベネズエラで行ったのと同様に、イランの石油・ガス市場を完全に支配することになる」とも述べた。
米地上軍をイラン国内に投入することには、極めて強い反発が米国内で予想される。トランプ氏はソーシャルメディア投稿直後、FOXニュースとのインタビューでその点を認めるような発言をした」
(ブルームバーク6月11日)
トランプ氏、米軍は今夜イラン攻撃へ-「遠くない将来」カーグ島掌握も(Bloomberg) - Yahoo!ニュース

地上軍を入れたらいっそう泥沼ですよ。地上軍は空軍と違って簡単に撤退できませんから。
分かっているんでしょうね。

 

 

2026年6月11日 (木)

河野洋平氏死去・改めて慰安婦談話を考えてみよう

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河野洋平氏が亡くなられました。
享年89歳。元官房長官、元衆議院議長、総理になれなかった自民党総裁でした。 合掌。

「衆院議長や自民党総裁を務めた河野洋平(こうの・ようへい)氏が8日に死去した。89歳。関係者が明らかにした。長男は河野太郎元外相。
神奈川県平塚市生まれ。早稲田大政治経済学部卒業後、会社員などを経て父・河野一郎元農相の死去に伴い出馬した昭和42年の衆院選で初当選。51年にロッキード事件で揺れた田中角栄元首相の金脈問題を批判して自民党を離れ、新自由クラブを結成し、代表を務めた。

58年に自民党と連立政権を組んだ後、科学技術庁長官で初入閣。61年に自民党に復党し、平成4年の宮沢喜一内閣で官房長官に就任した。5年8月に官房長官として慰安婦に関する「河野談話」を発表。旧日本軍による慰安婦の「強制連行」を裏付ける証拠がないにもかかわらず、記者会見で慰安婦募集に強制性があったと述べ、禍根を残した」
(産経6月10日)
河野洋平元衆院議長が死去、89歳 自民総裁や外相歴任 慰安婦に関する「河野談話」発表 - 産経ニュース

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産経ニュース

河野氏が歴史にその名を刻んだのは、慰安婦談話を出し、日韓関係とわが国に多大な国益の損害を与えたことによります。
河野談話の流れを振り返っておきましょう。
この河野談話をめぐる長い物語の始まりは、1991年8月11日付けの朝日新聞植村記事の歴史的大誤報から始まります。


「日中戦争や第二次大戦の際、『女子挺(てい)身隊』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人従軍」』」
(朝日19991年8月11日)

これについて韓国政府は、日本政府の正式謝罪を求めます。


「1991年12月以降、韓国側より複数の機会に、問題が宮沢総理訪韓時に懸案化しないよう、日本側において事前に何らかの措置を講じることが望ましいとの考えが伝達された。
また、韓国側は総理訪韓前に日本側が例えば官房長官談話のような形で何らかの立場表明を行うことも一案であるとの認識を示し、日本政府が申し訳なかったという姿勢を示し、これが両国間の摩擦要因とならないように配慮してほしいとして、総理訪韓前の同問題への対応を求めた。」
(外務省『慰安婦問題を巡る日韓間のやりとりの経緯~河野談話作成からアジア女性基金まで~』)
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韓国政府のこの聞問題の認識を煎じ詰めるとこうです。


「挺身隊として軍が性奴隷として強制連行したことを日本政府が公認し、謝罪しろ」

この短いフレーズの中に3カ所も事実認識の誤りがありますので、簡単にふれておきます。 
まずここで韓国政府が言う「挺身隊」は、1943年に実施された14歳以上25歳未満の女性の工場などへの勤労動員のことですが、これは募集とは無関係です。 
それを意識的に混同して韓国政府は使用しています。 

次に「性奴隷」(sex slave)という用語は、当時の韓国政府は使っていませんが、後に韓国政府の正式用語になります。
この「性奴隷」という意味は、韓国人女性が日本軍の「人狩り」により強制連行されて性的玩具にされたという意味ですが、実態は賃金が払われて、自由行動が許されていました。 
彼女たちの境涯には深く同情しますが、戦時公娼であって奴隷ではありません。 

この造語を作った人物は、日弁連の人権派弁護士・戸塚悦朗弁護士で、1992年から国連人権委員会に働きかけた結果、同年2月にを「性奴隷」と呼ぶことが、国際社会に定着させました。 

 

Img13467_140801totuka   戸塚悦朗氏。この自由報道協会のインタビューの中で「日韓併合は無効」と述べている。
http://app.cocolog-nifty.com/t/app/weblog/post?__mode=edit_entry&id=79986164&blog_id=610475

三つ目に、「強制連行」の証拠はまったく存在しません。
このことは、慰安婦批判の急先鋒だった吉見義明氏なども認めており、論争の決着は国内では既についています。
さて、この根拠のない韓国側の謝罪要求に対して、日本側は困惑しながらつっぱねようとはせずに、なんとか頭を下げて謝罪してやり過ごそうとします。 
典型的な日本の外交姿勢です。
なぜこのような卑屈なことになったのか。それは朝日新聞の植村記事に続く第2弾の「関与の証拠見つかる」という記事(1992年1月13日)が宮沢総理訪韓5日前に出たからで、対応をする余裕がなかったからです。 
このことで宮沢総理は当時のノ・テウ(盧泰愚)大統領に20分間で8回というギネス級の謝罪をしてしまいますが、韓国はこれで収まらず、かくして泥沼的謝罪が始まります。 

宮沢総理謝罪後、最初に出たのが1991年7月6日の加藤紘一官房長官談話です。


「『慰安所の設置、の募集に当たる者の取締り、慰安施設の築造・増強、慰安所の経営・監督、慰安所・の衛生管理、慰安所関係者への身分証明書等の発給等につき、政府の関与があったこと」を認め、「いわゆる従軍として筆舌に尽くし難い辛苦をなめられた全ての方々に対し、改めて衷心よりおわびと反省の気持ちを申し上げたい』、『このような辛酸をなめられた方々に対し、われわれの気持ちをいかなる形で表すことができるのか、各方面の意見を聞きながら、誠意を持って検討していきたいと考えております』」と発言した。」
(報告書前掲) 

本心を言えば、中韓に対する熱烈な贖罪意識の持ち主だった宮沢氏や加藤氏にとって、韓国側の要望どおり謝罪したいのは山々だったでしょうか、なにぶん証拠がなにひとつないのです。 
もしひとりの軍人・軍属の証言、ひとつの強制連行指令書、のようなものでも見つかれば、むしろ河野氏は喜んでそれを使ったでしょう。
韓国政府は20万人を強制連行したと言うのですから、おそらく百万人単位の目撃者が存在しているはずです。
当時の朝鮮総督府の警官の7割以上が朝鮮人であって、彼らが自分の管轄の村(「面」) からこれだけ大量の女性を暴力的に拉致されて黙っていたというほう不自然です。
なぜ彼ら警官や村の人間のひとりとして名乗りでないのでしょうか?
そして、日本の省庁、地方図書館、果ては米国公文書館まで探しても、それらの客観資料はなにひとつ見つからなかったのでした。

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アングレーム漫画祭の韓国政府出展作品より 日本官憲が強制連行して、少女をレイプしている。

強制連行の証拠がないことは曲げて結論を出せないというが、当時ギリギリで留まっていた日本政府の良心でした。


「日本側は、「強制性」に関し、これまでの国内における調査結果もあり、歴史的事実を曲げた結論を出すことはできないと応答した。また、同協議の結果の報告を受けた石原官房副長官より、全体について「強制性」があったとは絶対に言えないとの発言があった」(報告書 1993年4月)

こごで、韓国は初めての文民大統領に替わり、キム・ヨンサム(金泳三)大統領は、いっさいの報償は求めず「未来的志向」を感じさせるオファーをします。


「1993年3月13日、2月に就任した金泳三韓国大統領は、問題について、「日本政府に物質的補償を要求しない方針であり、補償は来年から韓国政府の予算で行う。そのようにすることで道徳的優位性をもって新しい日韓関係にアプローチすることができるだろう」と述べた」 

これを真に受けて一気にこの「軍の強制性」について歩み寄ろうという気運が、宮沢政権内に生れました。 
ここで、泣く子と地頭には勝てやせぬとばかりに謝っておけば、韓国も矛を収めて、この不名誉な問題も終了するだろうと甘く考えたのです。
日本人特有の、事件が起きればまず自分が謝る、その後に交渉するがなんとか中間点で落とし所を見つけようとして、妥協に妥協を重ねて、結局言うがままになってしまうという悪い作法です。
この作法は、自分の利害を臆面もなく押し通す韓民族には通用しません。

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アングレーム漫画祭の韓国政府出展作品より。韓国人少女が兵隊に拉致されてレイプれ、慰安婦にさせられている。日本兵は涎を垂らした野犬として描かれている。

 そこで日韓で談合した「本人の意志に反しての強制があった」という結論に合わせて、「真相解明」の形式作りの「儀式」としての元聞き取りが始まることになります。
これが、1993年7月26日から30日までの5日間開かれたソウルでの元聞き取りです。 

この報告書が現れるまで、強制連行の証拠、あるいは根拠はソウルにおける聞き取りにあるものだというのが、日本政府の公式見解になっていました。 しかしその実態はこうです。


「『「強制性』の認識に関し、河野官房長官は同日行われた記者会見に際し、今回の調査結果について、強制連行の事実があったという認識なのかと問われ、「そういう事実があったと。結構です」と述べている。
また、「強制」という言葉がの募集の文脈ではなく慰安所の生活の記述で使われている点につき指摘されると、河野官房長官は「『甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた』というふうに書いてあるんです。意思に反して集められたというのはどういう意味か。お分かりだと思います』と述べた」
(河野談話記者会見)

当時、ここまで強く河野官房長官(当時)が断言する以上、よほど明確な証言があり、その裏付け調査も政府によってなされていたと解釈されていました。 
ところが現実には聞き取り調査自体は空虚な「儀式」で、やる前から日韓談合があって結論が決まっていたことが、今回の検証報告で明らかにされました。


「日本政府の真相究明に関する真摯(しんし)な姿勢を示すこと、元に寄り添い、その気持ちを深く理解することにその意図があったこともあり、同結果について、事後の裏付け調査や他の証言との比較は行われなかった。
聞き取り調査とその直後に発出される河野談話との関係については、聞き取り調査が行われる前から追加調査結果もほぼまとまっており、聞き取り調査終了前に既に談話の原案が作成されていた」 

この調査の事務方責任者の石原信雄元官房副長官の国会証言が残っています。
それによれば


①聞き取りした元慰安婦は16人
②氏名すら明確でない者が3人。
③生年月日が記載されているのは半数の8人。
④その生年月日すら、別の調査やインタビューには全く違うことを述べている者もいる。
⑤朝鮮半島で重視される出身地についても大半の13人が不明・不詳。
⑥大阪、熊本、台湾など慰安所がなかった地域で働いたという証言もある。
⑦氏名が確定しない者、出生地があいまいな者がほぼ全員

言うも愚かですが、これでは調査の名に値しません。

なんの物証も証言も得られなかったこの現地調査を見て、河野氏が編み出した苦肉の策が、ならば「強制性」の枠そのものを拡げてしまおうという悪手でした。
今まで強制連行に使っていた「強制性」という概念を、精神的に圧迫を受けたものまでも「強制連行」と認めるルール変更をしたわけです。
これなら「自分の意志に反して」売られたことは確かですから、すべての元が「精神的圧迫」を受けていたと答えたことでしょう。

これによって「誰によって」という肝心な責任の主体が不明になりました。
しかも、悪質民間業者による詐欺、誘拐までも、軍の強制連行として認めようというのですから、ルール変更というよりもはやルール無視というべきでしょう。  
ここで河野氏がとった論法は、慰安婦強制連行を慰安所が軍管理だったことをもって強引に軍の責任としてしまうことでした。  
強制連行の実行者が軍人ではなく民間の業者であっても、「軍を背景にして精神的圧力をかけて追い込んだのだから、軍が手を下したのも同然」という論理です。 

河野氏が使ったロジックは、「植民地統治下にあって軍が背後にいることがはっきりしている」から、すべてが「強制連行」だという粗雑なものでした。
ゴールできないなら、ゴールマウスの間口を拡げてしまおうというやり口です。


「当時の状況を考えてほしい。政治も社会も経済も軍の影響下にあり、今日とは全く違う。国会が抵抗しても、軍の決定を押し戻すことはできないぐらい軍は強かった。そういう状況下で女性がその大きな力を拒否することができただろうか」
(朝日1997年3月31日)

おそろしく飛躍した論理で、当時の日本に、したがって朝鮮半島に公娼制があることを意図的に無視しています。 
現実には、軍は監督官庁として悪質業者の「甘言」や「強制」を警告する通達を出しており、慰安所内部においての衛生管理を実施しています。 
それは吉見義明氏が鬼の首を見つけたとばかりに出した資料にもこう記されていることからも分かります。


「募集実施の際は関係地方の憲兵・警察との連携を密にすること」
(『共同研究日本軍』) 

この資料は募集をかけた民間人業者が出た場合、その地域の警察や憲兵の監視を強化して不祥事がないようにしろ、という意味以外にはとれません。現にそれに類する資料は複数あります。
このどこが、軍による強制連行の証拠なのでしょうか。 
これは当時の公娼制度下での政府の監督機能と同じであり、管轄官庁に政府ではなく軍が位置したというだけの差です。 

ところがこの河野氏の論理に従えば、監督するのも強制連行と一緒なわけで、みんなまとめて「軍による性暴力」なのです。もう無茶苦茶な論理飛躍です。 
ならばいっそう、監督や衛生管理のようなことはせずに、民間業者のやりたい放題にさせておけばよかったということになります。 
現に、米軍は建前上そのような方針をとりながら、現実には戦後の韓国においては相手方政府に慰安所を作らせて自分は利用することをしています。 
結果、女性の誘拐や自殺が頻発し、6割以上が性病に罹患するという悲惨な状況になっています。 

このようなことを防ぐための政策を、実態を見ずになんでも「背後に軍がある」とするだけで罪に問えるのならば、行政責任の無限大拡大とでもいうべき危険な論理になっています。  
つまりは、当時の社会は軍国主義だから、社会全般の事象の背後に軍がいるのだ、だからすべての不祥事の責任は軍だという粗雑きわまる歴史解釈になります。 

「背後にいた」とか、「軍国主義の時代だったから軍が威張っていた」だけで論証が終わればなんでも言えます。 
ちなみにこの論法は日本の左翼支援運動の活動家達で、彼らはこう主張してきました。


「軍慰安所が、軍が設置したまぎれもな軍の施設であったことは間違いないのですから、軍慰安所の設置者・管理者として軍の責任は免れないでしょう。また軍がつくった、システムとしての「」制度が強制によって成り立っていたとするなら、「日本軍が強制連行を行っていた」と言ってもほとんど間違いではないでしょう」
(「従軍資料館」より)

これは、強制性の証拠がないことを論破されて、「広義の強制性」に論点をずらすために作った吉見義明氏たちが作った論理ですが、
元を辿れば河野談話の「精神的強制も強制連行」がその源流でした。
自民党の総裁までやった人が、左翼運動家と同じ論理でこの政府談話を書いていたことに逆に驚かされます。

この検証報告書について河野氏は何の専制もなく、相変わらず国民に説教口調でこう言っています。


「日本人が歴史に向き合い反省すべきは反省するならば、相互信頼関係を結べる」

正しくはこう書き換えられるべきです。


「河野氏が歴史に向き合わず、韓国の言うがままに反省すべきでない反省をしたために、日韓の相互信頼関係を結ぶことを困難にした」

 最後まで河野氏は自らの正当性を疑わないまま衆院議長にまで登り詰め、幸福な人生をまっとうされました。
もって瞑すべし。

 

なお「河野談話検討報告書を読む」シリーズは全8回かけて政府が公表した検証報告書を一行一行読み込みました。 
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-60e7.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-68c6.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-2deb.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-97a2.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-b2c9.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-628f.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-e5a8.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-09c8.html

 

2026年6月10日 (水)

トランプの見通しの甘さが宗教カルトを勢いづかせた

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トランプという男はほんとうに見通しの甘い人です。
ベネズエラに海軍を貼りつかせているうちに、次のイランと戦争を始めてしまい、イスラエルは勝手にレバノンで戦争を拡大し、ウクライナでは贔屓の引き倒しをしていたロシアが退勢となり、いまやどこを見てもニッチもサッチも行かない袋小路状況です。
まぁ、結果論ですが空軍力だけでイランを屈伏するはずがなかったのかもしれません。
この点で、私も見誤っていました。
相手がカルト宗教国家であることを軽視していたようです。

もちろん、戦術的にはすでに勝敗は決しています。
米軍はイランの軍事力を徹底的に破壊しています。
2カ月前の4月8日には、ヘグセス「戦争省長官」は、「イランは休戦を乞うている」「歴史的で圧倒的な勝利だ」と胸を張りました。
実に強気です。

「対イラン軍事作戦が「歴史的で圧倒的な勝利だった」と主張し、イラン軍を数年にわたり戦闘できない状態に陥らせたと成果を誇示した。(略)
軍制服組トップのケイン統合参謀本部議長は停戦を歓迎しつつ「一時的に休止したが、作戦再開の準備は整っている」と強調した。

ケイン氏によると、米軍は2月の作戦開始後、イランで1万3千以上の標的を攻撃。自爆型無人機「シャヘド」の生産工場は全て攻撃を受けたとした。ミサイル関連施設の80%以上を破壊し、イランの核開発能力を弱体化させたと説明した5
(産経4月9日)
米軍、最終合意まで展開 ヘグセス米国防長官、成果誇示「歴史的で圧倒的な勝利」 - 産経ニュース

ケイン統合参謀本部議長によれば

・13000 もの目標を精密打撃
・イラン防空網の 80% を無力化
・弾道ミサイル施設 450、ドローン施設 800 を撃破
・2000 以上の指揮・統制司令部が消滅

常識的にはこれで軍事的には終了と米国が考えても当然の戦果でした。
ところが、これだけ軍事的に「圧倒的勝利」を収めながら、イランは交渉で首を縦に振らない、どこまで行っても核は手放さない、手放さないどころか制裁解除を言って賠償金を要求したりする、あまつさえホルムズ海峡の支配地域を拡大し、通行税を取ると言い出す、もうハチャメチャです。

引き延ばされて喜んでいるのが同盟軍だったはずのイスラエルです。
イスラエルはこの際とばかりにレバノンのヒズボラを一掃しようとしました。
まるで火事場泥棒ですが、ネタニヤフはこういうことを平気でする男です。

20260610-043651

ネタニヤフ氏もイラン攻撃停止表明 トランプ氏「1人で戦え」と圧力 - 日本経済新聞

「イスラエル軍は13日、レバノン南部で過去24時間に親イラン民兵組織ヒズボラの拠点約150カ所を攻撃したと発表した。イスラエルは米イランの停戦合意後もヒズボラ掃討を掲げレバノン南部で侵攻を拡大。ヒズボラも攻撃し応酬がなお続いた」
(産経4月15日)
イスラエルがレバノン150カ所を攻撃 ヒズボラ掃討を掲げ侵攻拡大 - 産経ニュース

そしてイランは、図々しく和平交渉の議題にレバノンにおけるイスラエル軍の攻撃停止までを入れる始末です。

「イランとイスラエルは7~8日、米イランの4月上旬の停戦合意後初めて相互に攻撃を実施した。トランプ米大統領がイランとの戦闘終結に向けた合意を目指すなか、イランはレバノンでの戦闘停止も合意の対象だと訴えてきた。ただ、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラとイスラエルの互いへの敵対心は根深い。レバノン情勢は米イランの合意を阻む障害として今後も尾を引きそうだ。
今回の攻撃の発端はヒズボラによるイスラエルへの攻撃だった。続いてイスラエルがヒズボラの拠点を爆撃して報復。イランとイスラエルが攻撃し合う事態に発展した」
(産経6月9日)
米イランの合意阻むレバノン情勢 民兵組織が連携の動き サウジの原油輸出に懸念 - 産経ニュース

本来、無関係なはずのレバノンのヒズボラまでもが当事者になってしまいました。
つまりかえってこじらせてしまっています。
イランは折れず、イスラエルは火事場泥棒、イライラが募ってトランプは、とうとうネタニヤフをバーロー、このクレージーめと電話で怒鳴ったそうです。子供か。

「お前は正真正銘の狂人だ。私がいなければ、お前は刑務所に入っていただろう。私がお前を救ってやったんだ。今や誰もがお前を憎んでいる。このせいで、誰もがイスラエルを憎んでいる」
Trump to Netanyahu in call on Israel striking Lebanon: "You're fucking crazy"

ネタニヤフに怒鳴っても仕方がありません。
この政権を牛耳っているユダヤ教超保守派が生きているのは、現代ではなく旧約聖書の時代なのですから。

ユダヤ民族が潰し潰された古代に、彼らの脳内はまだ生きていて、二度とディアスポラ(民族離散)はしないと誓っています。
だから彼らは、ガザ市もカンユニスも聖書にあったエリコのように人もろとも焼き尽くさねばならないくらいに思っています。

しかし、時代は違う、現代は現代なのです。
今ここに現実に存在する「国家としてのイスラエル」は、宗教右派が考える聖書の上の「イスラエル」ではなく、現実に多様な文化と人種をはらんだ国家です。
長谷川良氏はこう書いています。

「このように説明すると、「イスラエル」と「ユダヤ民族」はほぼ同じ意味と受け取れるが、1948年に建国したイスラエルの人口構成をみると、3つの異なった出自がある。2022年5月のイスラエル中央統計局によると、①ヤコブの血統引く生粋のユダヤ人(約74%)、②アラブ系でイスラエル国籍を有する国民(約21%)、③キリスト教徒など少数派(5%)で、全人口は約950万人だ。だから、たとえ、ユダヤ人が全体の4分の3を占めているといっても、イスラエル=ユダヤ民族というわけにはいかないわけだ」
ウィーン発 『コンフィデンシャル』 (livedoor.blog)

ですからよく誤解されるようにイスラエルは一枚岩でもなければ、ユダヤ教を国是とする宗教国家ではありません。
そこがイランとは根本的に違うのです。
イスラエルは、多様なアラブ民族まで含んで国家として成立しています。
イスラエル国民のアラブ系国民は「アラブ統一リスト」という政党さえ持ち、宗教右派である「宗教シオニスト」とほぼ勢力を拮抗しています。
彼らを法の下に平等に扱うためにも、イスラエルには民主主義が必要だったのです。
ですから、ガザでの戦闘によるこれ以上のアラブ系民間人被害者は、イスラエル国内にアラブ系国民との間に断絶を生むのでしょう。

それでもかまわない、この際とことんイスラエルの敵を踏みつぶし、神が与えたもたシオンの土地を守り抜くのだ、というのがネタニヤフら宗教右派です。
彼らの狂いっぷりはイランの革命防衛隊と好一対です。
革命防衛隊は、油井が二度と使えなくなろうと、軍事力の大部分を喪失しようと、国民が苦しんでいようと気にしません。
最後になれば、かつてイラン・イラク戦争でやったように少年兵にホメイニの肖像写真を持たせて突っ込ませりゃいい、どうだ米国撃てないだろう、くらいに考えています。
ひとことで言えば、彼らは宗教カルトです。彼らに妥協はない。
こんな彼らに時間を与えたのはトランプです。

 

2026年6月 9日 (火)

習近平の訪朝

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習近平が北朝鮮を訪問しています。
表面的には、ロシアとの軍事同盟に邁進する北を牽制し、中国へとたぐり寄せる意図だと報じられています。

「中国の習近平国家主席と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記は8日の首脳会談で、一時冷え込んでいた中朝関係の「完全回復」を国際社会に誇示した。北朝鮮を自陣営につなぎ留め、対米交渉のカードにしたい習氏と、中国からの経済援助などを期待する金氏の思惑が一致した。一方、焦点だった北朝鮮の非核化については前回会談に続いて言及しなかったとみられ、中国が北朝鮮を核保有国だと事実上認める方向にかじを切りつつあるとの観測も出ている」
(北海道新聞6月8日)
中朝首脳、関係「完全回復」誇示 対米交渉優位狙う中国、北朝鮮は援助を期待:北海道新聞デジタル

正恩が本気かどうかはもう少し見ねばなりませんが、 とまれ中朝関係が、とりあえず元の鞘におさまったように見えます。
元の鞘とは、華夷秩序の体系の頂点に位置づけられる中華皇帝を、「兄」とも慕う臣下の「王」の位置に、正恩が形式的には復帰したということです。
ただしあくまでも見た目にはにすぎず、今回の首脳会談はなんと驚いたことに習近平のほうが北に出向いています。
皇帝が臣下に出向くなんて中華秩序はありません。
これはトランプとプーチンが中華皇帝たる自分を慕って北京に詣でたという構図の反対です。

元来、北朝鮮は中国に根深い警戒心を抱いています。
やや極端な表現をすれば、北の「隠れた主敵」は米国ではなく中国です。
かれらが金科玉条にしている主体思想は、元々中国の大国主義に対する嫌悪から生まれた側面があり、一方中国からすれば、北などはしょせん大陸の辺境にある東方野蛮国という蔑視は根深くあるはずです。
だから従って当然、それがノーマルくらいに思って、中国の勢力を北内部に扶植することを続けました。

初代金日成の時の延安派粛清から始まり、北京派との暗闘が続けられてきました。
それが火を吹いたのが、張成沢(
チャン・ソンテク)事件です。

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張は正恩の父親である正日の義弟で、実質的にナンバー2として朝鮮労働党行政部長などを務め、経済政策や対外関係を一手に握っていましたが、クーデターを起こそうとしていたとして逮捕され、高射砲で処刑されたと伝えられています。
なぜ殺されたのか、それは張が親北京派であって、経済を開放改革路線に導き、それに抵抗する正恩をクーデターで抹殺しようとしたからです。
北が頑として開放経済に以降しようとしないのも、すれば中国の経済圏にいやがおうでも吸収されて属国化することを警戒しています。

よくある素朴な誤解に、中朝は同じ「共産主義国家」なのだし、中国は朝鮮戦争で100万もの義勇軍を派遣した同盟関係ではないか、今だって原油をパイプラインで送って助けているじゃないか、というものがあります。
まぁ、表面的にはそうですが、この見方は北朝鮮の側から見たもので、ではなぜ、そんなことを中国がしているのか、という疑問には答えていません。 

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中国にとって、北朝鮮は不愉快、かつ不安定な隣国です。 さらに強い表現を使えば、いつ核攻撃をしかけてくるかもわからない潜在的な「敵」だと考えているはずです。
北の核は、現時点でも北京や経済の中心部である沿岸部を射程内に納めており、軍事的脅威度は韓国などよりはるかに高いはずです。

これらの弾道ミサイルは、大部分は通常弾頭ですが、そのいくつかには核兵器が搭載されていると考えられています。
保有数は、やや古いのですが、米国防総省が2013年5月に提出した「北朝鮮の軍事力2012」年次報告にはこのようにあります。
今は当然格段に増えているはずで、核兵器の小型化、戦力化も完成しているはずです。

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(出典 Military and Security Developments Involving the Democratic People’s Republic of Korea 2012 - U.S. Depertment of Defense
邦訳 http://obiekt.seesaa.net/article/358829852.html)

すべての弾道ミサイルが中国を射程内に捉えています。
その気になれば北京を破壊し尽くすことも充分可能です。ただし、そんなまねをすれば北朝鮮という国もなくなるからしないだけのことです。

また忘れてならないのは、北朝鮮から見れば、地上軍を大量に即座に投入できる唯一の国が、中国です。
地政を見れば分かりやすいと思います。 

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上の中朝国境付近の地図をみると、中国と北朝鮮の国境は、鴨緑江という一本の河で隔てられているにすぎません。 
鴨緑江は自然国境としては大変に危うい壁でしかないことがわかるでしょう。
河の中央でも水深は浅く、夏にはじゃぶじゃぶと歩いて横断している庶民が見られますし、冬には凍結して渡れますので、脱北者は全員このルートで逃げています。
歴史的にも、「中国義勇軍」という名の正規軍は、朝鮮戦争時に大挙してここを渡河しています。

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今はこの中国軍が渡河した地点に中北をむすぶ原油パイプラインが走っています。

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かつては援軍で来ましたが、これからもそうとは限りません。
援軍に来たということは、軍事制圧にも簡単に来られるということを意味しますから。 

では、北はなんのために核兵器で国力すり減らし、民を飢えさせてやってきたのでしょうか。
よくある答えに「米国と対等に」というのは間違いではありませんが、半分間違っています。
あんな世界最貧国が「米国と対等」になんて、いかなる意味でもなれっこありませんから。

あえてあるとすれば、陸続きの隣国・中国に飲み込まれないためです。
決して表だってはそうは言わないでしょうが、北に取っての脅威は中国が主で、米国はむしろ従です。

正恩が父親の正日時代と違うのは、核兵器開発と弾道ミサイルを本気で習得し、実戦配備する意志が堅いことです。
彼はいままでのように核兵器開発を、ただの国内向け国威発揚ショーや対外交渉のハッタリと考えずに、実戦を想定した技術開発の完成に重きを置きました。
その意味で、この北の弾道ミサイル実験を米国を振り向かせることが目的ではなく、中国に対する核の抑止力を持つことが目的のはずです。

あくまでも金王家の権力確立の文脈で核が出てくるのであって、「大国と対等になりたい」なんて願望一般ではありません。
つまり、むしろ核兵器は金王朝独裁の背骨であって、独裁体制そのものなのです。
だから彼らは北の独裁体制を守るために3代かけて核開発をし、他の大量破壊兵器と共に密輸することで資金源にもしてきたのです。

そしてその中で作られた北朝鮮特有のメンタリティは、「核ミサイルこそ力の根源である」という一種の核信仰でした。
彼らは核を手放すくらいなら、国が滅んでもいいとすら思っているのです。
国民は飢えてもかまわないと思っています。

社民党の選挙ポスターに「ミサイルよりコメを」みたいな珍スローガンがありましたが、それは正恩にいいなさい。

この核に対する思いとでもいうことの重さが理解できないと、北の核を論じられません。
こここそがリビアのカダフィと北が決定的に違う点ですし、カダフィは核を奪われると、後にCIAが画策した「アラブの春」で抹殺されてしまいました。
正日や正恩はこのカダフィの顛末をよく知っていて、その二の舞はしないと決心しています。
結論を言えば、北は核を絶対に手放さないでしょう、仮に国が滅びても、です。

核は金王家の力の源泉であって、かつ統治の象徴なのですから、核を手放す時は金王家が滅ぶ時です。
自らの領土内に「敵国・中国」の軍事拠点を作るなどとんでもないことだからです。
そんなものを認めたら、そこを足掛かりにしていくらでも軍事介入ができてしまいます。
このように見てくると、北は絶対に羅津(ラジン)港の中国海軍の使用を認めないはずです。

「4月に日本海でロシアとの共同訓練が行われたとの報道はないため、シンクタンク「国家基本問題研究所」の中川真紀研究員は「習氏訪朝時の議題として中国軍による(北朝鮮北東部の)羅津(ラジン)港使用が予定され、その事前調査のために日本海で活動していた可能性はある」と語る。
中国は自国の領土が日本海に直接面していないため、羅津港の利用権取得や、北朝鮮とロシアの国境を流れる豆満江河口からの海洋進出を望んできた。
5月20日の中露首脳会談後に出た共同声明でも豆満江問題に関し北朝鮮も加えた3か国で協議を進めると盛り込まれた」
(産経6月7日)
中国海軍、北朝鮮常駐の動き 日本海で艦船5隻が1カ月活動 中朝会談で港湾使用議題に - 産経ニュース

また非核化などは議題にすらならないでしょう。
習近平にとっても北の核は脇腹に突きつけられた銃のようなもので不愉快きわまりないものでしょうが、彼らが死んでも手放なさないことは分かっているはずです。
中華皇帝たる習近平のほうから北に出向いたのは核があったからだ、くらいに正恩が思ってもなんの不思議もありませんからね。

 

2026年6月 8日 (月)

ウクライナの「押し戻す」戦略が始まっている

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ゼレンスキーがプーチンに直接交渉を提案しました。
もちろんプーチンの答はノーです。

「ロシアのプーチン大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領による首脳会談の呼びかけを退け、「意味がない」との見解を示した。
ゼレンスキー氏は4日に公開書簡を発表。プーチン氏に対し、両国間での4年に及ぶ戦争を終結させるよう求めた。この書簡はプーチン氏がサンクトペテルブルク国際経済フォーラムで演説する準備を進めていたタイミングで公開された。
しかしプーチン氏はこの提案を冷淡に受け流し、書簡の内容を「無礼だ」と評するとともに、ゼレンスキー氏の真意について疑念を示した。クレムリン(ロシア大統領府)の報道官は、「話し合いたいのであれば、ウクライナ大統領はモスクワに来ればよい」と述べた」
(CNN6月6日)
プーチン氏、ゼレンスキー氏の直接会談呼びかけを拒否 「意味がない」と一蹴 - CNN.co.jp

ひとの国を軍靴で踏みにじっておきながら「無礼だ」もないもんですが、ゼレンスキーはあえて「北朝鮮の支援なくしては戦えない」などといった刺激的、かつそのものズバリの表現を使い、意図的にロシアの支持層とプーチンの分断を図ったようです。

「彼はまた、ロシアが「北朝鮮の助けがなくては持ちこたえられなかっただろう」と主張し、ロシアを同盟国、特に中国に依存する衰退する強大国と描写した。
ゼレンスキー大統領はロシア社会全般に広がっている戦争への疲労感も刺激しようとした。情報機関の資料を根拠に、プーチン大統領が「2027~2028年まで戦争を持続する計画」と主張する一方、ロシア軍の莫大な人命被害も強調した。
ロシアの独立メディア、ノーバヤ・ガゼータ・ヨーロッパのキリル・マルティノフ編集長は「ゼレンスキーの手紙がエリート層と軍首脳部内部に少なくない動揺を起こすかもしれない」と評価した」
(中央日報6月7日)

この時期にゼレンスキーが会談を呼びかけたのには理由があります。
ウクライナ軍は今ようやく長い消耗な戦略的対置の時期を終了し、攻勢に打って出ようとしているからです。

「占領地奪還のための消耗戦からロシア領内への戦略打撃によって経戦能力を削ぐことに重点をシフトさせる、ウクライナの戦略が今春から奏功し始め、これに対しロシアは明らかに動揺して、戦争目的に関する説明振りなどを変え始めている」と指摘している」(Foreign Policy5月18日)

事実、書簡当日、プーチンがフォーラムを開いていた会場のサンクトペテルブルク周辺のクロンシュタット海軍基地などにもドローン攻撃が仕掛けられました。
プーチンの面子丸潰れです。対独戦勝利なんじゃら記念日についで二度目の面子潰しとなりました。当然わかってやっています。

実はゼレンスキーとプーチンは、侵攻3年前の2019年12月にパリで会議をしたことがあります。
その時のゼレンスキーにはまだ顔を覆う髭がなく若々しいスーツ姿でしたが、会議の途中に予告なくウクライナ語からロシア語に切り換えてこう語りました。

20260607-153542

朝日新聞GLOBE+

「19年12月9日、パリのエリゼ宮(大統領府)。ゼレンスキー氏は記者会見でドイツのメルケル首相(当時)とフランスのマクロン大統領を間に挟んでロシアのプーチン大統領と一つのテーブルに横並びに座り、記者団に向かって「ウクライナでは誰もロシア語で話すことを禁じていない。それをロシアの大統領にも伝えた」と話した。
そしてロシア語のまま「ロシア大統領と我々は全く逆の見解を持つが、対話で解決策を見つけたい」とも言った。
ゼレンスキー氏がロシア語を話し始めたとき、ロシア語を理解するメルケル氏がそのことに気づいたようで、マクロン氏に目配せして何かをささやき、2人は笑顔を見せた。2人とは対照的にプーチン氏は表情を変えず、下を向いたまま険しい顔でメモにペンを走らせ続けた」
(朝日gloveプラス2022年8月16日)
「タブー」破ってロシア語使ったゼレンスキー氏 侵攻前、プーチン氏とただ一度の対面:朝日新聞GLOBE+

この会議のテーマは、2014年から始まるウクライナ危機を収拾するために開かれました。
ロシアはクリミア半島で親露派を使って「独立」させた後に強引に併合し自国領土としました。
その後同じ手口で東部ドネツクにおいても親露派のゴロツキを蜂起させウクライナ軍と武力衝突させて「独立」させようとしました。
翌15年2月に停戦合意が結ばれましたが、この和平会議はその時ヨーロッパの肝入りで行われたものです。
その後はご承知のように、ロシアは侵略の本性をむき出しにして2022年2月24日に軍隊に国境を越えさせて、今に至ります。

さて、それから4年を越える長い戦いとなりました。
ロシア軍は勝利は見えず、実に50万人もの戦死者をだしていると英国情報機関は公表しました。

20260607-155317

「イギリス最大のスパイ機関によると、ロシアが2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始して以来、約50万人のロシア兵が死亡した。英政府通信本部(GCHQ)のアン・キースト=バトラー長官が27日、就任後の初の公開演説でそうした分析を明らかにした。
GCHQのキースト=バトラー長官はこの日、ロンドンの北西にあり、第2次世界大戦中のイギリスでナチス・ドイツの暗号通信を解読する拠点だった「ブレッチリー・パーク」で演説。「私たちがウクライナへの支持を堅持する中、プーチンは戦場で後退している」と強調した」
(BBC2026年5月28日)
ロシア兵約50万人がウクライナでの戦争で死亡と英情報当局 - BBCニュース

小泉悠氏は「プーチンは国民を消耗品だと思っている」と言っていますが、そのとおりでしょう。
しかし、多くのロシア国民(特にモスクワやサンクトペテルブルクなどの大都市住民)がわが身に跳ね返るものとして戦争を感じることが出来ないうちは、いかに戦死者の山を築こうと城内平和は保たれていました。
しかしいまや違います。ウクライナは戦争を前線から「押し戻し」て、ロシア国内に持ちこんだのです。

Foreign Policyはこのウクライナの「押し戻す」戦略をこのように指摘しています。

「2025年3月、ゼレンスキー大統領はこの戦争を「ロシアに押し戻す」戦略を表明した。これは、ロシア占領地奪還のための膨大な犠牲を伴う攻勢作戦に代えて、ロシア経済の弱体化、軍事生産の麻痺、市民の士気低下を目的とする長距離・非対称戦を採用したことを意味する。今春、この戦略が実を結び始め、激戦の戦況をも変える兆候が見え始めている」
(Foreign Policy前掲)

ウクライナは、長距離ミサイルと高精度ドローンによって、驚異的な射程距離からエネルギーインフラをしらみ潰しにし、さらには戦争継続に必須の兵器・爆発物工場を叩き、軍司令部と兵站拠点を攻撃しました。
これは数撃らゃ当たるとばかりにデタラメに撃ち込んで民間住宅にのみ損害を与えるロシアのそれとは異なり、精密にロシア経済と軍事兵站の心臓部に甚大な被害をもたらしています。

たとえば、ロシア各地の石油精製所の破壊は、ウクライナがロシアの経済生命線の締め付けに成功していることを示しています。
4月から5月にかけて、ウクライナ軍は20の石油精製所と輸出ターミナルを攻撃し、それに成功しています。

20260607-160619

(短報)ロシア領内の石油ガス施設に対する攻撃が増加。石油市場への新たなリスク要因に:石油・天然ガス資源情報 | JOGMEC JOURNAL 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構[JOGMEC]

  • 1月中下旬に入り、ウクライナによると見られるロシア領内の石油ガス施設をターゲットとした攻撃が頻発している。これまでもウクライナに隣接する州における石油施設(集積基地及び製油所)を対象とする攻撃が、2023年5月に6件、2024年1月にも6件発生した。港、製油所及びガス処理施設における攻撃が6件、内、5件がドローン等による攻撃を受けたものと見られている。
  • 今回の攻撃が注目されるのは、対象施設がウクライナ国境から1,000キロメートル以上離れた地域に及んでいることである。ウクライナから1,200キロメートル圏内には、ロシアの主要製油所が合計14カ所ある。原油の総処理能力は日量260万バレル(ロシア全体の3分2以上)あると考えられており、ロシア産原油輸出におけるバルト海及び黒海の主要石油港も含まれる。今やそれらがロシア・ウクライナ戦争においてロシアの収入を効果的に削ぎ、ロシア国内に混乱をもたらすターゲットとなりつつある兆候を示している。
    (JOGMEC JOURNAL2月6日)
    (短報)ロシア領内の石油ガス施設に対する攻撃が増加。石油市場への新たなリスク要因に:石油・天然ガス資源情報 | JOGMEC JOURNAL 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構[JOGMEC]

いまやウクライナ軍の攻撃はウクライナ国境から最大1750キロメートル(km)離れた地点までに及び、4年前の射程距離の2.5倍に及んでいます。
これら攻撃により、ロシアは唯一の輸出商品である原油を輸出することが困難となり、イラン戦争による原油価格高騰の恩恵を受けられませんでした。

またまた、防空システムが破綻して上空からの襲撃を防ぎきれないために、飛行場、兵器工場などの軍事施設が撃たれたい放題になってしまっています。
兵站を切断されたロシアは、戦場で前進するどころか停滞から後退局面に陥っています。
毎日盛大に撃ち込んでいたミサイルやドローンは、半導体産業の中枢企業が被害を受けたために操業を呈ししつつあります。
結果、戦争研究所(ISW)によれば、ロシア軍はこの4月、24年8月以来初めて占領地を減らしました。

Foreign Policyは、「ウラジーミル・プーチンは弱体化している、今こそ彼に戦争を終わらせる時だ」と説いています。
トランプさん、いかがでしょうか、いままでさんざんプーチンを応援してきたのだから罪滅ぼしのひとつでもしてみたら。

 

■管理人から
コメント欄から弾かれるという苦情をいくつか戴いております。
これはニフティが勝手にやっているもので、私にはどうにもなりません。
なんせ執筆者の私のすら弾くという豪腕ぶりなのです。
ご辛抱くださるようにお願いいたします。

 

2026年6月 7日 (日)

日曜写真館 予後の子にいたく照る日や梅雨入前

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梅雨入前蝶が別れに来りけり 相生垣瓜人

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山鳩の声のくぐもり梅雨に入る 宮平静子

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山の彩戻して去りし梅雨の霧  吉村玲子

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いつくしま静かに寄する梅雨の波  水田壽子

 

 

 

2026年6月 6日 (土)

辺野古ダンプ飛び出し女性書類送検される

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政権が変わると政府機関が仕事をするようになります。
2年前にもなる辺野古工事におけるダンプ飛び出し女性が地検に書類送検されました。
ふー、やっとかい、このままうやむやでお蔵入りかと思っていました。

司法機関は悲しくやその時の為政者の顔色を伺います。
高江集落を部隊としたヘリパッド反対紛争時は、反対協議会はやりたい放題でしたが、県警は集落が封鎖されても知らん顔、警官のすぐ横で防衛局の職員が暴行されていても素知らぬ顔でした。
デニー県政の先も長くはないと見られたのでしょう。

「沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場を名護市辺野古に移設する工事に伴う土砂の運搬作業現場で2024年、男性警備員がダンプカーにはねられて死亡した事故で、県警は5日にも、現場で抗議活動を行っていた県内の女(70歳代)を重過失致死容疑で那覇地検に書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材でわかった」
(読売6月4日)
辺野古移設抗議巡り警備員はねられ死亡、ダンプカー前に飛び出した70代女を書類送検へ…重過失致死容疑 : 読売新聞 

このダンプ事故の時も基地反対派は、「危険な行為ではないという認識だ。現場では、牛歩で抗議者が道路を横断し終わると、警備員がダンプカーに合図を送り、1台だけ出すという『暗黙のルール』があった」「その『暗黙のルール』に従わず、安全確認もされないうちに2台続けてダンプカーが発進することもあった」と語っています。
つまり工事側が2台続けて出したから事故が起きたというリクツです。
「暗黙のルール」を一方的に破り、工期を早めようとして2台続けて出した「警備員の合図に問題があったのは明らか」ですか。
ダンプの前に飛び出しておいてひかれたら、それは工事側の責任とのこと。
では、工期を早めようとしたのは誰かといえば国でしょうから、この事故は「国の無謀な策謀が招いた死亡事故」ということになるようです。

あのね、こういうリクツが成立するなら、国道で事故れば、こんな国道を作ったのは国だから、国が悪い、補償を寄こせと提訴するのと一緒なのよ。
全部他人の責任、なにがあっても自分は悪くない、相手が悪い、国が悪い、社会が悪い、自分だけが正義だ、これがサヨクの皆さん共通の体質です。

当事者意識がないので、今回の辺野古転覆事故のように表向きは謝って見せても、あとから後からそれを否定する言い訳とも愚痴ともつかない言辞が漏れてきます。
謝罪会見でもサンダル履きで来て、一貫して口をヘの字に結んでふてくされ、なんでオレがこんな場所にに来なきゃなんのだとあたりを睥睨する。
こんなことを一般企業がやれば袋叩きで会社は倒産するでしょうが、「正義の運動団体」はメディアがスルーするから同情すら集めてしまうようです。

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女子高生が死亡した船転覆事故の会見 頭を下げず腕組みで臨む運行団体に「誠意感じられない」の声 – Sirabee

果ては自分たちは「被害者」だといわんばかりの振る舞いに及ぶ。
こういうのを他責体質と呼びます。人格のどこかが欠損しているようです。

このダンプ事故の女性は反対運動界隈では英雄視さえされました。
そして彼女は自らを「フェニックス」(不死鳥)と名乗り、「脚は折れても心は折れぬ」とイキみました。
おいおい、あんたの無謀な行為で人を殺しているのに、まるで殉教者のような心境です。
この亡くなった誘導員はこの女を助けようとしたのですよ。
これが人の所業か!

今、盛んに文科省の辺野古転覆報告について、「踏み込みすぎだ。教育を萎縮させる。浅い教育しかできなくなる」という批判がなされています。
どっちに向いて言っているんだという類の非難です。
文科省の報告は学校が行った研修で生徒の人命が失われたという事態の重さに則しています。
そもそも学校法人と抗議船運営団体が違法な運航をしたことから事故は発生しており、その後のずさんな対応が批判をいっそう問題をこじらせました。

では、「浅い教育」ではなく「深い教育」とはなんなのですか。
デモ行進に等しい抗議船に乗せて、敵である海保と戦って見せることなのでしょうか。
ならばいっそう生徒を反対協議会がやらせているダンプ前飛び込みを生徒にさせる「深い教育」をさせればよかった。

このような「平和運動」の過激な危険行為は沖縄では日常茶飯事で、枚挙に暇がありません。
反対運動が実効支配した地域は必ず無法地帯と化します。
高江や辺野古のように、警察が見て見ぬふりをしていたために反対運動はここを治外法権多と錯覚しているようです。

車の下に多数がもぐりこむのは常識。車で県道を封鎖することも朝飯前。
下写真は、当時の高江における反対運動を撮った写真です。
当時過激化した反対運動が高江地区を実力で「実効支配」していました。
「実効支配」はただの比喩ではなく、高江集落の生命線を反対派が握ってしまったからです。

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出典不明

当時、高江集落に続く県道は反対協議会の手によってことごとく封鎖されました。
これは反対派が車両を組織的に乗り捨てたからです。
これが「非暴力」?、笑わせないでください。
ひとつの僻村の喉頸を締め上げておいて、なにが非暴力だ、笑わせないでほしい。

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防衛局

外部に繋がる道路をすべて封鎖された高江集落は存亡の危機に陥りました。
生活物資は来ない、畑に行くこともなきない、学校にも行けないのですから。

高江で進む反対派の「ムラ殺し」: 農と島のありんくりん

こういう所業はすべて反対協議会がやってきたものです。
これが民主主義でしょうか。
こいうことを知っていて反対協議会が運営する抗議船に生徒を乗せたとしたら、同志社国際高校も同罪です。
違うというなら、教育と社会運動の次元の違いをわきまえてものを言いなさい。

 

 

2026年6月 5日 (金)

怪人トランプのネーミングのセンスと食生活

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まったくトランプ親方は素頓狂の帝王です。
イランとの戦争の真っ最中に巨額のカネをかけてしているのが、国防総省(United States Department of Defense、 USDOD) を「戦争省」(United States Department of War DOW )に改称するというどーでもいいこと。
あれだけの巨大組織だから、看板からレターヘッドに至るまで替えなければならず、その費用が1億2500万ドルというんですからアホですか。

「(CNN) トランプ米大統領が昨年9月に署名した大統領令に基づき、国防総省を「戦争省」に改称する費用は最大1億2500万ドル(約198億円)に上る可能性があることがわかった。議会予算局(CBO)が14日に公表した推計で明らかになった。
CBOが民主党上院議員2人に宛てた書簡によると、国防総省がどのように名称変更を実施するかによって費用は1000万ドルから1億2500万ドルの間で変動する可能性がある。議会が国防総省にならって法的名称変更を進めれば、「数億ドル」かかる可能性がある」
(CNN1月16日)
米国防総省、「戦争省」への改称費用は最大198億円 議会予算局推計 - CNN.co.jp

考えてみりゃわかりそうなもんですが、あれだけ巨大な組織ですから公式文書の数もハンパじゃありません。手間とカネがすさまじい。
それに改称するには議会承認がいるのです。
だから2025年9月にトランプが名前代えるぞぉと思いついてから今に至るまで正式に改称されたわけじゃなくて、「国防総省」は公式文書に使い、非公式には「戦争省」と使い分けています。頭がグルグルします。

「戦争省 (Department of War) へと恒久的かつ正式にへ改称することを目指す意図を発表したが、それには連邦議会の承認が必要なため、実際の改称が施行されるまで国防総省の補助的名称として戦争省の使用を認める大統領令に署名した。CNNによると、具体的には「国防長官・国防総省及び同省に配属された職員に対し、公式文書・公的発表・式典および行政府内の非法定文書において、「戦争省」「戦争(副)長官」といった称号を使用することを認める」というもの。当面は従来の「国防総省」に次ぐ補助的な名称として併用するとしたが、公式ウェブサイトも刷新され、URLは「Defense.gov」から「War.gov」へと変更された」
アメリカ合衆国国防総省 - Wikipedia

それにしても「戦争省」ですか、趣味悪い。ヘグゼスなんか戦争省長官となって、これじゃあまるで戦争狂みたいです。
戦争省長官が出てきて、和平を説いてもウソ臭い。対外イメージ最悪ですが、いいんでしょうか。
それにしてもなんつうネーミングの趣味の悪さ。

さてトランプが大のジャンクフード好きだというのは有名で、安倍氏の頃に訪日した時はわざわざ「最高級ジャンクフード」(語義矛盾)を作ってもてなしたそうです。
いまでも片時もスナック菓子を手放さずボリボリ食いながら、食事はハンバーガーとコーラで済ますんだそうです。
冷えたコーラを直ちに持って来させるボタンまで執務室の机にはついているのだとか。
きっとトランプの大統領晩餐会もビッグマックだという話ですから(←真偽不明)、チャールズ国王にも食わしたのかな。
これをバラしたのは閣僚でした。

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「偉大なるアメリカの食べ物」トランプ大統領、ホワイトハウスでハンバーガーをふるまう

「ホワイトハウスのミラー大統領次席補佐官の妻、ケイティ・ミラー氏が司会を務めるポッドキャスト番組に出演したケネディ氏は、一番「とんでもない」食習慣の持ち主は誰かと問われ「大統領だ」と回答。ミラー氏の笑いを誘った。
ケネディ氏は続けて、「興味深いことだが、大統領は本当に悪い食べ物を口にしている」と指摘。具体的にはファストフードや菓子類、炭酸飲料などを挙げた。
特にダイエットコークについては四六時中飲んでおり、人間とは思えない「神のような体質」だと強調。「どうして生きていられるのか分からない」ほどだと語った」
(CNN2026年1月17日)
ケネディ米保健福祉長官、トランプ氏の「とんでもない」食習慣を暴露 「どうして生きられるのか分からない」 - CNN.co.jp

保健省長官のロバートケネディジュニアというのも笑いを誘います。
彼は例のケネディ兄弟の弟ロバートの息子で、キャサリン・ケネディ元駐日大使とは従姉妹にあたります。
彼女はバリバリの民主党リベラルですから、さぞかし仲が悪いでしょうね。
このロバートジュニアもそうとうにカルトが入っていて、反ワクチンの旗手で、就任するやいなやメッセンジャーワクチンのを進めてきた諮問委員全員を全員首にしてしまいました。
そのロバートジュニアが「神のような体質だ」と感嘆するのですから、トランプはそうとうなもんです。

ニューズウィークはトランプの好みのブランドまで書いています。

「彼のファストフード好きは有名で、定番はマクドナルドのハンバーガーとケンタッキーフライドチキン。昨年の大統領選中の対話集会で、好きなマクドナルドのメニューを問われたトランプは「ビッグマックは素晴らしい。クォーターパウンダーもね。あれはうまいぞ」と熱弁をふるった。
トランプは塩辛く、脂っこく、見た目にもシンプルな食べ物を好むほか、調理法や衛生管理にもうるさい。トランプは前述の対話集会で「客に1個でも腐ったハンバーガーを出せば、店が潰れてしまう(から出さない)」と言った。「食材の出所もわからないような店で食べるより、ハンバーガーを食べるのが身のためだ」
(ニューズウィーク2017年05月19日)
初外遊の憂鬱、トランプはアメリカ料理しか食べられない! | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

安倍さんも凝った「最高級ハンバーカー」なんぞ出さないで、そこらのマックバーガーとケンタッキーだして上げればご満悦だったのにね。

 

 

2026年6月 4日 (木)

なぜイラン戦争和平交渉はわじわじとするのか

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うーん、ワジワジとする。
停戦発効は4月8日ですから、すでに2カ月余り。
戦闘期間以上に長い交渉をしているのにかかわらず、まったく着地しないのはなぜなんでしょうか。
トランプは最後の最後でイエスと言わず、イランはあいも変わらず周辺諸国を攻撃し続けています。
昨日はクウェートの空港施設を攻撃して大きな損害を与えています。

[ドバイ 3日 ロイター] - クウェート外務省は3日、国際空港や外交関係施​設などの民間施設を標的としたイランの攻撃‌で1人死亡したと発表した。損害を受けた具体的な外交関係施設は明らかにしていない。保健省は、空港職員や乗客を含​め、少なくとも63人が負傷したとしている。
国​営通信社によると、未明にクウェート国際⁠空港が攻撃を受け数人が負傷、空港第1ターミナル​の建物が「深刻な損傷」を受けた。クウェート航空​は、3日の運航スケジュールを変更すると発表したが、その後まもなく、民間航空局が運航を再開したと明らかにした。
バ​ーレーン軍は声明で、ミサイル3発とドローン数機​を迎撃したと発表した」
(ロイター2026年6月3日)
クウェート攻撃で1人死亡、60人余り負傷 米支援の代償とイラン | ロイター
たしかアラグチ外相は中東諸国はフレンドだ、攻撃はしないなんて抜かしていませんでしたっけね。
例によってイランの口約束は信頼できないということです。
クウェートは怒りにふるえてこんな外務省声明を出しています。めったに日本では報じられませんからアップしておきます。
「(クウェート)外務省はクウェート国を最も強い言葉で非難し、攻撃を表明します‎‎イランによる弾道ミサイルやドローンの残酷かつ継続的な使用は、最新のものが本日の夜明けに行われ、再びクウェート国際空港を含む民間および重要施設を標的にし、1名が死亡、他者が負傷、さらに外交使節団を含む重要施設にも損害を与えた。
同省は、イランによる露骨な攻撃を断固として拒否し、さらなるエスカレーション、緊張の激化、地域の安全保障と安定を損なうものであり、国際法の規則である国連憲章および2026年安全保障理事会決議2817号の明白な違反であることをクウェート国が断固として拒否する。
同省は、クウェート国家の安全、主権、安全および市民・住民の安全は手の届かないレッドラインであり、これらの攻撃の再発は攻撃的かつ組織的なアプローチであり、クウェート国はこれを容認しない」
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一方、米国は限定的ながらイランに報復攻撃を加えています。
20260604-010052
BBCニュース

「米ホワイトハウスは最新の発表で、双方の交渉団がさらなる協議を可能にするため、停戦を60日間延長させる枠組みで合意したと説明した。ただ、ドナルド・トランプ米大統領の承認がまだ必要だとした。イランはこれが正しいのか明らかにしていない。
停戦は4月8日に発効。その前の活発な戦闘期間よりも大幅に長く続いている。だがこの1週間、試練にさらされてきた。
米中央軍(CENTCOM)は、イラン南部の港湾都市バンダル・アッバスにある「地上管制施設」などを空爆したと発表。これに対しイランも、「攻撃が見過ごされることはない」などと警告した。
その後、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)は、米空軍基地を攻撃したと発表。どの基地なのかは明かさなかった。のちに米中央軍は、複数の米軍基地があるクウェートの上空で弾道ミサイルが迎撃されたと説明した」
(BBC2026年5月29日)
【解説】 米国とイランは和平に近づいているのか、再び戦争へ向かっているのか - BBCニュース

この交渉停滞の原因はイランが分裂しているからだと米国は見ています。
米国側はスッキリとトランプが最終的に意思決定する仕組みがありますが、イランは窓口が外相のアラグチなのか、革命防衛隊のボスのガリバフなのか、それとも他にいるのかさえも闇の中です。
おそらく焦点は核問題です。
国務長官のルビオはこう言っています。

「一方、ルビオ氏は公聴会で、イランがこれまで拒否してきた核問題に関する協議に応じる姿勢を示していると証言。詳細は明かさなかったものの、ルビオ氏は「1カ月前には話題にすることさえ拒んでいた問題だ」と述べ、交渉は進展していると強調した」
(産経6月3日)
米イラン交渉長期化の理由は「内部亀裂」 米国務長官が説明、回答に「3~5日かかる」 - 産経ニュース

たぶんすでに高濃縮された兵器級の核物質を国外に出すか、出すとしたら米国か第三国かあたりでスッタモンダしているのかもしません。
イランとしてはなんとか「勝った」形で終わらせたい、米国もなんとか「勝った」形にしたいというせめぎ合いなのかもしれません。
米国にすれば核物質を温存して手仕舞はありえない、それならトランプが口汚く罵っているオバマの核合意と変わらないわけです。
とりあえず和平合意して、延長交渉で交渉継続というのが交渉団の意向のようですが、ならばそもそもイラン戦争なんぞやらにゃよかった。

そしてもうひとつの交渉遅延は、米国があえてしているという説です。
ほんとうにトランプがこう言ったかどうかはわかりませんが、「ホルムズ海峡で動けない国は、台湾でも動けない」ということがあります。
これは言ったか、言わないかを別にして、反面の真実であることに間違いありません。
元西部方面総監部幕僚長福山隆氏は、これは米国があえてホルムズ海峡の打通を遅らせているのではないかという見方を示しています。

「空母打撃群と高い掃海能力を持つ米海軍にはホルムズ海峡の打通能力があると見られる一方、政治・戦略面では、(同盟国の負担分担や対中抑止の観点から)早期全面打通を急がないという判断が生じ得る。(略)
ホルムズ海峡が封鎖されても動けない国は、台湾有事の際にも動けない。米国は同盟国の「覚悟と実動能力」をここで測るはずだ。

ホルムズ海峡封鎖は、米国にとって中国への圧力装置であり、同盟国への忠誠テストと言っていい」
(福島隆3月8日)
ホルムズ海峡封鎖が日本の戦後を終わらせる可能性、高市訪米でトランプが突きつける同盟の最終試験とは(1/4) | JBpress (ジェイビープレス)

ほんとかな。いかにも自衛隊の将官が言いそうなことですが、トランプに西側盟主たる自覚なんかあるとは思えません。
彼には台湾を守る気はないし、中国と対抗してまで自由主義陣営を防衛する気もなさそうに見えますが。

 

2026年6月 3日 (水)

プーチン、財政当局からいいかげんにしろと言われる

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とうとうプーチンの財布がショートしたようです。
ブルームバークはこのように報じています。

「(ブルームバーグ):ロシア政府の高官らはプーチン大統領に対し、ウクライナ戦争への支出が財政的に維持できない軌道に乗っていると警告した。ウクライナ侵攻が始まって以来、最も深刻な亀裂がロシア政府内部で表面化した。
事情に詳しい関係者の発言と、ブルームバーグ・ニュースが確認した文書によると、ロシア財務省と中央銀行の当局者らは、現在計画されている国防支出の水準では政府の財政赤字が危険なほど拡大する恐れがあるとクレムリンに進言した。
関係者らによると、ここ数カ月でロシア経済と国家財政の状況に対する懸念を強めている当局者らは、国防支出の新たな削減を提案した。逼迫する財政を立て直すには、さらなる効率化が不可欠だと助言しているという」
プーチン大統領に異例の進言、戦費維持困難とロ財務省・中銀高官 - Bloomberg

ウクライナ侵略後、ロシアは軍事行動や占領地の維持のために大きな歳出を続けています。
軍事支出はいかなる財政支出項目よりも優先されており、軍や治安機関、軍需産業への支出が膨らみ続けてきました。
その結果、社会保障やインフラはおざなりとなり、一にも二にも軍事優先の予算配分になっていました。

「2025年度予算案では軍事費が今年度予算比25%増の13.5兆ルーブル、歳出全体の32.5%に達することが示された。
4年ほどで国防費は2.5倍となり、前線の戦況悪化で人件費が増大しており、軍備増強の動きも関連費用の膨張を招いている。
なお、国家安全保障関連費を併せると歳出の4割強に達するなど、軍への依存度が高まる動きもみられる」
(西濵徹 第1生命経済研究所2024年10月2日)
ロシアは経済を維持する観点から戦争を止められないのかも ~25年度予算案で軍事費は25%増、歳出全体の3割強を占めるなど、戦争が一大産業と化している~ | 西濵 徹 | 第一生命経済研究所

軍事支出が国家支出の実に4割強ですって!
うちの国が2%にすると野党や中国から「新軍国主義」だなんて言われるんですから、のどかなもんです。
これだけ戦争という非生産的分野に予算投入すれば、皮肉なことに現象としてはGDPは伸びますわな。
大砲の弾や戦車でも、道路などのインフラの補修でも、教育福祉だろうがカネが動けばGDPは増大しますからね。

戦争経済はいわばアドレナリン出っぱなしの経済状態ですから、身体に大きな負担をかけます。
その結果、たいへんな財政赤字を生み出します。
財政赤字を増やすまいとすれば、軍事支出以外の支出をカットするしかありません。
つまり戦争を止めること、それしか処方箋はないのです。

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「墜落」するロシア財政。過去最大の赤字にプーチンはどう向き合うか | Business Insider Japan

「関係者の一部によると、プーチン大統領は財務省当局者に対し、国防費に手を付ける前に他の分野で歳出を削減するよう求めた。懸念の内容や規模は公表されておらず、関係者はいずれも匿名を条件に話した」
(ブルームバーク前掲)

頼みは石油しかありません。ロシアはモノカルチャー国家ですから、石油以外に売るもんがありません。
一時的にイラン戦争で原油価格が上がったのは福音でしたが、まったく足りません。

「情報筋はブルームバーグに対し、中東戦争による石油収入だけでは不十分であり、ロシア経済を改善するためには少なくとも1年間は1バレルあたり100ドル以上を維持する必要があるとのことである。
情報筋は、このような持続的な高価格でも、ロシアの経済成長、インフレ、銀行セクターに影響を与える構造的問題は解決しないと指摘した。ロシア財務省は4月9日に、2026年の最初の3か月でロシアの財政赤字が4.58兆ルーブル(約635億ドル)に達し、2026年全体の計画赤字である3.79兆ルーブル(約525億ドル)をすでに超えていたことを認めた」
ロシア攻勢作戦評価、2026年6月1日 |ISW

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プーチンはバクチ打ちの心境に陥っているんでしょうな。
初めはチョロイと思って大バクチをかけたら失敗し、なんとかその失敗を埋め合わせるためにバクチを繰り返したが、とうとう胴元から、お客さんゼニがないと勝負はこれ以上できんよと宣告されたというわけです。

「プーチンが防衛費削減や戦争規模縮小を拒む姿勢は、プーチンが近中期で戦争に勝てると信じており、ロシア経済がそれまで持ちこたえられると考えていることを示唆しています。
ISWは最近、プーチンがロシア軍のウクライナでの成功について、ロシア軍の上層部からの大幅な誇張された主張に基づいて誤った認識を生み出している可能性が高いと評価しました。 プーチンの戦場状況の誤解は、戦争支出を高額に保つこと、そして軍事目標達成のために戦争を継続するという彼の姿勢に拍車をかけている可能性が高い」
ロシア攻勢作戦評価、2026年6月1日 |ISW

プーチンは全体主義国家の哀しさで取り巻きにはイエスマンしか置いていません。
だからゴマスリ共が「へぇ閣下、勝っておりますだ。もう一息でゼレンスキーは降伏を言ってきます」という甘言にとろかされていたのです。
だから財政当局に、もうしばらく我慢すれば勝って終わるから待て、と言っていたのでしょうね。

かくしてウクライナ戦争は完全に泥沼化してしまいました。
今年に入ってロシアはまったく支配地域を増やすどころか減少させています。
つまりプーチンの思惑どおり勝てるどころか、じり貧になっているのです。

「ウクライナ軍はこれまでのところ、ロシアの2026年春夏の攻勢をほぼ食い止めており、2026年5月のロシア軍は2025年5月の領土のごく一部にしか駐留していません。 ISWは、2025年12月から2026年5月の間にロシア軍が40.64平方キロメートルを掌握または浸透した証拠を観察しました。しかし、ロシア軍は同じ期間にロシア軍が支配する領土のみを考慮すると、281.1平方キロメートルを失いました」
ロシア攻勢作戦評価、2026年6月1日 |ISW

ロシアは侵攻の勢いをとうに喪失し、持久戦からいまや後退戦に移りつつあります。
いまや戦線を維持することも出来ず、ジリジリと支配地域を失っているようです。
プーチンのギャンブルも終わりは近いのかもしれません。

こんな状況のなか、ナチをトチ狂ったのかプーチンはルーマニアにドローン攻撃を仕掛けました。
こんな状況で自動参戦条項を持つNATO加盟国を攻撃するとは、もうこの男壊れてしまったのかもしれません。

 

 

2026年6月 2日 (火)

中国、シャングリアダイアログやっているさなかに尖閣侵犯

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アジア安全保障会議シャングリラダイアログが開かれました。
シャングリアダイナログと言うと、なんかヒマラヤにある神秘の秘境で清い会話でもやっているようですが、ただの開催ホテル名だというだけで、中身は実にエグイ。

アジアで安全保障の国際会議をやるっていうんですから、当然その中心には中国がいらしてくれねば話になりません。
それが安全保障対話なのに国防大臣が欠席というんですから、なめているというか、ハナから「対話」なんぞに関心がないかです。

「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)が31日、閉幕した。中国は国防相を2年連続で派遣せず、中国の演説枠も直前でキャンセルとなった。軍事力を急速に拡大する一方で、閉鎖性が高まっている状況への懸念も出ている」
(朝日2026年5月31日)
アジア安保会議、2年連続で国防相欠席の中国 高まる閉鎖性に懸念も:朝日新聞

「閉鎖性」もなにも、今まで中国が透明性のある「対話」なんかしたことがあるのですかね。
対話なんぞ実力行使までの時間稼ぎ、というのが中国の流儀でした。
今までこの会議では中国による南シナ海問題が何度も提起されてきました。
フィリピンは初期の頃から、中国の人工島問題に注意を喚起し続けていましたが、対中融和ベッタリだったオバマはハナもひっかけませんでした。
ですから、アジアの海洋安全保障に重大な危機を与えている南シナ海の軍事要塞化はすべてこのオバマ時代に完成しています。

2015年には、オバマ・習近平会談で、習は南シナ海の人工島に関して、軍事利用しないと国際社会に明言してていましたが、当然そんなことは空約束でしかなく、米中会談後に中国がやったのは領有権の主張と軍事要塞化でした。
怒ったフィリピンはこれを国際仲裁裁判所に訴え、2016年に勝訴したのですが、中国はこれをガン無視し、言った台詞が「中華人民共和国外交部は、その裁決が無効であり、拘束力を持たず、中国は受け入れず、認めないことを厳粛に声明する」だったのですから、もう止める者はいないやね。
中国外交部の報道官なんぞ「判決なんか紙屑だ」とまで言うんですから手に負えません。

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南シナ海紛争海域で中国とフィリピン間の緊張が続く中、ベトナムも紛争海域の暗礁を島にする作業に速度を上げていると伝えられた。25日(現地時間)、香港サウスチャイナ·モーニング·ポスト(SCMP)によると.. - MK

そして、その後も開発を進め、フィリピンに対する軍事的圧迫を強めています。
上の写真はスプラトリー諸島ですが、小さな岩礁の上に海底の土砂を汲み上げてとうとうこんなリッパな要塞島を作ってしまいました。

そのうえに乗っているのは、戦略爆撃機が離発着できる大型滑走路と軍艦が寄港する軍港でした。
他人の国の領海に堂々と軍事基地を作るのですから、これを侵略といわずナニを侵略と呼べばいいのでしょうか。

これに対して、フィリピンは米国への救済を求めました。
真っ先にやったのは、1989年の冷戦終結後に返還を求めたクラーク空軍基地やスービック軍港の復活でした。
バカだね、この二つの基地があれば中国は南シナ海に手出しできなかったのにね。幼稚なナショナリズムのつけを支払わされたのです。
沖縄に基地があるから戦争に巻き込まれるなんていまでも言っている人たち、こういう例を見てから言いなさいね。

日本もレーダーや移動式ミサイル、巡視艇などの供与を行ってきましたが、今回のシャングリラダイアログでは、それを一歩進める形で、海事のあぶくま型護衛艦などの供与を開始します。
ほんとうにいいことです。具体的には大変でしょうが、ここでやらねば、次は日本に降りかかってくるのです。
尖閣がスープラトリーになってからでは遅いのです。 

また、もうひとつのテーマであるはずの核保有について「対話」はまったく無力でした。
中国の核武装が、他の常任理事国、別名「核クラブ」と本質的に異なるのは、いかなる軍縮条約にも加わらない無制限な核保有国だということです。
中国は世界で唯一いかなる核軍縮条約にも参加せずに、核軍拡を続けた国なのです。
世界の核保有国は、最大手の米露などは核軍縮条約で保有数を厳しく制限されています。
しかしこの核軍縮の枠組みに入ることを再三に渡って国際社会から要請されながら、中国は一貫して核軍縮に加わることを拒み続けています。

「複数のホワイトハウス当局者がCNNに語ったところによると、政権内部では新STARTの失効後、中ロと「すべての兵器、弾頭、ミサイル」を対象とした新協定を結ぶ案が検討されている。
トランプ氏は3日、すでにプーチン・ロシア大統領や中国政府と3カ国協定について協議したと述べ、「中国も参加を強く望んでいる」「実は貿易交渉の場でもその話になった」と主張していた。
しかし中国外務省の報道官は6日の定例会見で、「中国の軍縮問題をどの国が取り上げることにも反対する。3カ国間の核軍縮協定に向けたいかなる交渉にも参加しない」と明言。世界最大の核保有国である米ロの軍縮が先決だと強調した」
(CNN2019年6月7日)

核兵器禁止条約を進めるNGOは口を開けば、日本政府が締結しないのはおかしいと難癖をつけてきましたが、どっち向いてしゃべってんだか。
本気で彼らが「核なき世界」を作りたいならば、抗議行動は北京でするべきです。
なぜなら世界の核大国で唯一核軍縮には目もくれず、核の爆買いに走っているのは世界ひろしといえどこの国だけなのですから。
おっと違った、イランと北朝鮮もありましたっけね。みんなお仲間だ。

とまれ一切の核軍縮条約に縛られていないため中国はやりたい放題です。
新疆ウィグル自治区で、新たな核発射施設が110基も建造されていることが発見されましたが、こういうことを規制しないでなにが「対話」ですか。

そして口を開けば中国が言うのは、「アジアの被害国に対し日本から謝罪や反省の表明がなされていない。日本は新型軍国主義だ」という使い古された歴史認識カードです。
おいおい、あんたに言われたくはないね。
小泉氏が即座に反論しています。

「名指しを避けつつ、中国を念頭に「核兵器と戦略爆撃機を大量に保有している国が、そのいずれも持たない日本を『新型軍国主義』と呼ぶのはおかしい」と反論。「平和国家としての日本の歩みは地域と国際社会によって評価されている」と述べた。「不透明な軍備増強や意図の見えない行動は不信と誤算を招く」とも指摘した」
(産経5月31日)
「虚偽の主張」「不透明な軍備増強」小泉防衛相が中国非難 アジア安保会議で演説 - 産経ニュース

はい合格です。ジュニア、いつからこんなに賢くなったの。
こんなたわけた非難を聞き流してはダメ。直ちにその場でやり返さないと相手の暴論を容認したことになっちゃいますからね。 

なお、中国はこのシャングリアダイアログをやっている最中に、尖閣海域に海警を2隻侵入させてきました。

「第11管区海上保安本部(那覇市)によると、25日午後3時11~13分頃、沖縄県石垣市の尖閣諸島・南小島沖の領海に、中国海警局の船2隻が相次いで侵入した。2隻とも砲を搭載し、同日午後3時半現在、領海内を航行している。近くで日本漁船1隻が操業しており、海上保安庁の巡視船が警戒するとともに、海警船に対して領海からの退去を要求している。海警船の領海侵入は7日以来」
(読売5月26日)
尖閣諸島領海に中国海警局の船2隻が相次いで侵入…2隻とも砲搭載、近くで日本漁船1隻が操業(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

対話の催しの真っ最中に他国を侵犯する、これが中国という国の流儀です。

 

2026年6月 1日 (月)

小泉氏、ドローンに覚醒す

22-130

いままでこの人物だけに首相はさせたくない政治家のトップに輝いていた小泉大臣ですが、高市政権でがぜん覚醒してしまいました。
いままでのようにお花畑に遊ぶ少年を辞めて、リアルな政治家に生まれ替わっています。
ま、環境大臣だった頃も、世界トップモードに対しては異常に敏感だったので、今回もそれかもしませんが、方向は決して間違っていません。
むしろ国防という堅牢な世界に風穴を開けるにはうってつけのキャラなのかもしれません。

防衛省は大胆に無人機を導入しようとしています。
公表されたのは3月のことですから、防衛省はその検討段階まで含むと1年以上前から練っていたのでしょう。
その名も「シールド」だそうです。
こういうネーミングに凝るのがいかにもジュニアらしい。あ、いかんまたくさしてしまった。

「日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、防衛省はドローン数千機を活用した沿岸防衛体制「シールド」の構築を目指している。運用には訓練環境や生産基盤など克服すべき課題も多く、自衛隊は世界的に進む「新しい戦い方」への対応を急ぐ。
 シールドは敵艦艇の迎撃や情報収集、レーダーサイト防衛などを担う10種類以上のドローンを組み合わせ、侵攻を試みる敵を多層的に食い止める構想。同省は2026年度予算案に約1000億円を計上し、27年度中の実現を目指す」
(時事3月13日)
大量ドローンで沿岸防衛 数千機導入、課題も―「新しい戦い方」へ対応急務・防衛省:時事ドットコム

防衛省の「シールド」構想はこうです。

20260601-011519

yosan_20250829.pdf

防衛省はこう説明しています。

無人アセットによる多層的沿岸防衛体制【SHIELD】の構築
近年、諸外国において無人アセットの導入及び技術革新が進展したことに伴い、戦闘様相も大きく変化。我が国においても、高価な有人アセットを含む侵攻部隊から我が国を防衛するため、有人アセットのみならず、安価かつ大量のUAV・USV・UUVを活用し、これらの組み合わせによる非対称的かつ多層的な防衛体制の早急な整備が、これまで以上の喫緊の課題。
これまでの各種実証試験の実施に加え、最新の技術を有する各種アセットの出現により、広範な無人アセットを短期間で大量に取得可能な状況が到来。
そのため、令和8年度概算要求においては、1,287億円を計上してこれらの取り組みを進め、令和9年度中に無人アセットによる多層的沿岸防衛体制【SHIELD】を構築。
また、これらの取り組みと並行し、各無人アセットを一元的に管制するシステムの早期導入も追求
(令和8年度概算要求~重点ポイント)

どうしてこうわかりにくく説明するんだろうと思いますが、従来の離島防衛の概念はこうです。
下図と上図とを較べてみて下さい。上図には無人機なんかぜんぜん姿がありませんね。

20260601-012057

防衛省・自衛隊|令和5年版防衛白書|1 島嶼部を含むわが国に対する侵攻への対応

従来のイメージは、押し寄せる中国上陸艦隊に対して、陸上からのスタンドオフミサイルで叩き、F-2で対艦ミサイルを食らわせ、水上戦闘艦や潜水艦からも対艦ミサイルをご馳走し、最後に水陸機動団で奪還するというのが歓迎プログラムでした。
まことにオーソドックスで、これはこれでいいのですが、盲点がありました。
相手が大量のドローンをウンカの如く投入してくる可能性があるのです。

だって中国は世界一のドローン大国だもん。
佃煮にするくらい軍事ドローン持ってるんだもん。使わないわけないじゃないですか。
中国国内には100以上のドローンメーカーが乱立、民間・軍用含めドローンにおいては先進国で世界のトップシェアは完全に中国企業が支配しています。
最近、宮古海峡を偵察しにきたBZK-005などは、100機以上軍が保有しています。
軍事利用が大好きなあの国はとっくの昔にドローンを実戦配備して、台湾や離島攻撃に組み込んでいるはずです。

ところで、日本が手本にしているウクライナは東欧随一のハイテク国で、製造基盤も分厚いものがありました。
対するロシアは黒海艦隊は事実上黒海から追い出され、冷戦の名残でミサイルは腐るほど持っていても、ドローンはイランからのもらいものが主力です。
だから非対称戦が組めたわけです。

ウクライナが今、やっている無人機戦争はこうです。

①上陸船団を連携して叩く
FPVドローンを満載したUSV(海洋ドローン)を侵攻ルート上にばらまいておき、上陸用の舟艇や揚陸艦(軽装甲で密集した、お高い標的)に対して、近くから大量のFPV(一人称ドローン)を同時にぶつけます。
②水際の陣地を潰す火力支援
サーモバリック・ロケット弾を発射するシュメーリが、海岸の軽装甲の車両や橋頭堡を叩く。
③対空ドローン
マグラV5などのUSVで、ヘリや対地攻撃機などを攻撃する。

①から③までが連携し、互いに補完しあって撃退するという仕組みです。
これまんま台湾やわが国離島の防衛に役だつじゃん、と誰しもが思ったのも故無しではありません。
実際に台湾は全力で無人機と取り組んでいます。

しかしヌカ喜びは早い。
相手が基本はたいした先端技術もなく、民生品製造では三流国でしかないロシアには効きました。
ところが、我々が相手とする中国は、世界一の民生品製造国なのです。
米国や日本の下請けをやっているうちに、技術を盗みまくり、技術者をリクルートし、いまや高度な技術を身につけてしまいました。
かくしていまや残念ですがドローン製造でも世界一です。

わが国で使っているドローンをひっくり返してご覧なさい。みんなメイドインチャイナですから。とほほです。

「中国は、年に数百万機の民生用ドローンを生産して輸出する、世界屈指のドローン大国です。大量生産を支える国内産業基盤の裾野も広く、ドローンに必要な部品やソフトウェアは全て自国内で生産しています。 
このような中国製ドローンは、世界市場シェアの8割前後を占めており、ドローン用バッテリーなどの中国製部品は、世界中のサプライチェーンを押さえてしまっています。 
つまり、中国以外の国がドローンを国内生産しようとすれば、「AIの目」で高度な自律飛行ができるドローンを産み出した米国でさえ、中国製部品の入手が必要不可欠になっているのです」
(澤田雅之)
中国は民生用ドローンを年間数百万機生産・・・ウクライナは軍用ドローンを年間数百万機生産|澤田雅之 

ここがロシアとは根本的に違う点です。
だから「弱者がハイテクで強者に勝つ」というウクライナとロシアの非対称の図式は、こと中国相手には通用しないのです。
むしろ先行する中国の水準にどう追いつくのかが現実のテーマなのです。

そこで防衛省が着目したのが、わが国あって中国にはないぶ厚い「町工場」層なのです。

「2026年5月20日、名古屋市にある産業用ドローン(無人機)メーカー「プロドローン」社の工場に、小泉進次郎防衛大臣の姿があった。目の前に並んでいたのは、物資輸送用の大型ドローンや、完成したばかりの「攻撃用ドローン」だ。社員から熱心に説明を受けた小泉氏は、視察後、力強くこう宣言した。
「無人機の生産・技術基盤が国内に存在することが不可欠だ。世界一、無人アセット(装備品)を駆使する組織に変革していく」
今、日本の防衛戦略が根底から覆ろうとしている。いや、劇的な「進化」を遂げようとしていると言っていいだろう。
かつて「防衛後進国」と揶揄されることもあった日本が、ここに来て、世界を驚かせるほどのスピードで「新しい戦い方」に適応し、さらに国産の最先端技術をもって、世界のトップランナーに躍り出ようとしているのだ」
(増田 剛)
ドローン大国の中国に「日本の町工場」が反撃開始…”純国産無人機”を生み出す、驚愕の「モノづくり力」とは

ここに予算を投じて、今まであった政府金融は防衛産業にはカネを貸さないという不文律を破って活性化させようと、しています。
まだ始まったばかりで形が見えるのはしばらくかかるでしょうが、日本の底力を見せて下さい。

 

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