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2026年7月

2026年7月20日 (月)

一転して県の特別調査委員会設置決まる

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すったもんだで設置が危ぶまれていた辺野古転覆事故の背景や再発防止策を調べる特別調査委員会の設置がようやく決まったようです。
当初、デニー知事とその与党であるオール沖縄は「捜査中で時期尚早5などというわけのわからないことを言って反対してきました。

「沖縄県議会の各会派代表者会が8日開かれ、名護市辺野古沖で3月に発生した修学旅行船舶転覆事故を巡り、沖縄自民党・無所属の会が提案した調査特別委員会の設置について協議した。しかし、自民以外の各会派は「捜査中で時期尚早」「総務企画委員会で対応できる」などとして反対し、意見の一致には至らなかった。自民会派は引き続き、本会議への上程を求める方針だが、設置議案は否決される公算が大きくなった」
(産経7月10日)
沖縄県議会の辺野古事故調査特別委、設置否決の公算 自民以外「時期尚早」などと反対 - 産経ニュース 

特別委員会設置要求の景気となったのは、当時の状況を防犯カメラ映像が見つかったのです。これの詳細は明日に。

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【動画】辺野古沖事故、漁港防犯カメラの映像公開 緊迫した様子…救助された生徒「1人足りない」(写真・画像 5/5) - 産経ニュース

「17日の会見では、その真意を問われ『事故は捜査機関が調査中で、県としては引き続き状況を注視したい』と説明。その上で、『一般論として、防犯カメラの映像は捜査や調査の一級証拠品となり得るものと認識している。捜査の情報として伝えられるものが、なぜそのように発信されているのかという疑問はついて回る』と述べた」
(八重山日報7月10日)

防犯カメラ映像公開重ねて疑問視  玉城知事 「捜査の一級証拠となり得る」(沖縄八重山日報) - Yahoo!ニュース

ほー、デニーさんそこにズラしましたか。
当時の事故後の辺野古港状況をリアルに伝える防犯カメラ映像がを公表したのは産経でした。
産経はヘリ協議会の代表の浦島氏がいうところの「右派メディア」ですが、右から出ようと左から出ようと、それが語る事実こそが問題なのです。
それをデニー氏は「なぜ発信されたのかという疑問」にすり替えてしまってうやむやにもみ消そうとするわけです。

 

死亡事故、それも未成年を死に至らしめたのですから、当該首長は再発防止のために徹底した事実究明を率先して行うのが常識です。
その第一級の資料が出てきたら、デニー氏は「誰が出したんだ、こんなもん」と言うのですから人間失格です。

鋭く反応したのは知華さんの御遺族でした。
お父上はデニー知事とその与党に対してこう述べています。

「この報道を受けて、遺族としての考えを残しておきます。
海上保安部による捜査は、刑事責任の有無を明らかにするためのものです。
一方で、なぜ学校の研修旅行という教育活動の中で、生徒が安全性が確認されていない船に乗ることになったのか。学校、旅行会社、受け入れ側、そして行政のそれぞれに、どのような課題があったのか。こうした全体の構造の検証は、捜査とは別に行われる必要があるものです。
文部科学省の調査と通知、学校法人の特別調査委員会は、その一部を担うものですが、沖縄県側の受け入れの仕組みを検証できるのは、沖縄県と県議会しかありません」
(辺野古ボート転覆事故遺族メモ7月10日)
防犯カメラ映像 沖縄県議会|辺野古ボート転覆事故遺族メモ

まことにそのとおりです。
この前後にご遺族は知華さんと共に暮らした家を引き払ったそうです。

「京田辺にはこの5年間の思い出がたくさんあります。
よく寝落ちしていたコタツ
朝メイクの洗面台
推し活グッズが並んだ棚
夜中までお菓子作りをしていたキッチン
知華が入るとなかなか空かないトイレ
家の中では、どこにいても知華の姿や声がはっきりと思い浮かべられます」
(辺野古ボート転覆事故遺族メモ前掲)

ご遺族は知華さんの遺品を整理しながらこれをお書きになっていたのでしょう。
そのような時に、それにもっとも答えねばならないはずの県知事は新事実の調査に尻込みし、誰がこんなもんを出したんだと筋違いな怒りを吐く、このギャップを埋めるのは県議会しかなかったはずです。

その背景には事故調査が進展をみせない、捜査範囲は狭く、政治責任に問われる可能性も低いと遺族は見ています。
ご遺族はこう書いています。

「いろいろな方々に、広く話を聞いています。
その中で、当初から持ち続けている大きな懸念があります。
それは、刑事罰に問われる範囲が、私が想像しているよりも遥かに狭い範囲にとどまってしまうのではないかという点です。
今まで直接やり取りをさせていただいた関係各所、弁護士、専門家、報道の話を総合すると、おおよそ以下のようになります。
・海難事故の捜査は、陸上での交通事故等と違い、送検までに時間がかかる
・海上保安庁が担当する捜査は、海上とその周辺に範囲が限定されがちである
・警察が並行して捜査することはない
・船長を含む反対協議会は被疑者として捜査対象にはなっているはず
現時点で、学校法人、校長、教員は、いずれも被疑者として扱われていない
・旅行会社についても、学校と同様
特に、学校に対する家宅捜索などが未だなされていないことからすると、現時点で、学校関係者が被疑者として捜査の対象になっていないことは間違いなさそうです。
法に明るくない私からすると、
複数年にわたって積み重ねられた学校のいい加減な対応や怠慢。
一部教員が危険を認識しつつも、共有や改善が行われなかった。
違法な抗議活動を行う船長に生徒だけを乗せ、引率教員は乗船すらしなかった。
結果、船は転覆し、知華は未来が奪われた。
事故は何度も防ぐ機会があったのに、学校は何も行わなかった。
そうした学校側の責任は、転覆させた船長と同等に重いのではないでしょうか。それなのに、誰も何の罪にも問われることなく終わるなど、あって良いものかと思うのです」
(辺野古ボート転覆事故遺族メモ 6月23日)
刑事責任|辺野古ボート転覆事故遺族メモ

遺族から「沖縄県側の受け入れの仕組みを検証できるのは、沖縄県と県議会しかありません」と名指しされて、一転してようやく県議会も動きました。

「沖縄県名護市辺野古沖で船2隻が転覆し同志社国際高(京都府)2年、武石知華(ともか)さん(17)ら2人が死亡した事故を巡り、沖縄県議会は13日、事故を調査する特別委員会設置案を全会一致で可決した。8日に行われた各会派の代表者会議では自民以外の会派が「時期尚早」などとして反対。設置案は当初、否決の公算だったが、知華さんの遺族の意向を踏まえ、一転、全会一致での可決となった。
政治利用につながらないよう十分配慮し、慎重かつ適切な運営を期すとする付帯決議案も全会一致で可決した」
(産経7月13日)
辺野古沖事故で沖縄県議会、調査特別委の設置案可決 否決公算から一転、「全会一致」に - 産経ニュース

今後どのような展開になるか予断を許しませんが、県議会がこの事件の闇を払ってくれることを祈ります。

 

 

 

2026年7月19日 (日)

日曜写真館 偽りのなき香を放ち山の百合

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今生のこれも夢なる百合の風 石塚友二

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のびすぎてうつむきそめつ百合の花 正岡子規 

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匂ふ百合花弁をあちらむけて寝る 伊丹三樹彦

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風落ちて谷底の百合動く見ゆ 松本たかし

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百合匂ふ暗き方へと向き睡る 岡本眸

 

 

2026年7月18日 (土)

またまた再燃したイラン戦争

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米イラン停戦で「MOU」(了解覚書)を取り交わしましたが、双方の合意ではなく「とりあえず戦闘を止めてみた」、にすぎない休戦であることがはっきりしました。
再び米国はイラン攻撃を始めようとしています。

「トランプ米大統領は14日、イランの全港湾に対する海上封鎖を再開し、イランが交渉に復帰しない限り来週にも発電所や橋を攻撃すると警告した。米国によるさらなる軍事的圧力の強化となる。
米軍は同日、「ホル​ムズ海峡で商業船舶を攻撃するために使われているイランの能力を引き続き低下させるため」として、イラン‌に追加攻撃を開始したと発表した。米当局者によると、イラン国内の軍事目標に対し追加攻撃を実施し、「新たに生じた脅威」を排除した。同当局者は追加攻撃は数回にとどまったと述べ、詳細については言及を避けた。
イランは先週、米国との対立が再び悪化したことを受け、ホルムズ海峡を再閉鎖したと表明し、先月合意し​た脆弱な停戦が一段と揺らいでいる。
トランプ氏は14日夜に放映されたFOXニュースのインタビューで「エネルギー関連の標的は最後に取っ​ておくが、最終的には攻撃する」とし、「交渉のテーブルに着かない限り、来週は発電所、そして橋だ」⁠と述べた。また、米交渉担当者がイラン側と接触し、取引を呼びかけたと明かした」
(ロイター7月15日)
トランプ氏がイラン港湾封鎖再開、エネ施設攻撃警告 「通航料」は撤回 | ロイター
まだ「警告」の段階のようで、イランの出方を見てエスカレーションするという理性は残しています。
一方イランも攻撃を再開しました。

「米軍が連日、イランを攻撃する中、イランの反​撃も激しくなっている。米軍が6夜連続で攻撃したの‌に対抗し、イランは初めてシリアの施設を攻撃したと発表した。
米軍は16日、6夜連続となる攻撃でホルムズ海峡に位置するケシム島などを攻​撃した。イランの国営メディアなどによると、南​東部のイランシャール、沿岸部バンダルハミルの⁠橋や鉄道駅が攻撃され、7人が死亡した。
イラン軍は17日早朝、バーレ​ーンとクウェートの米軍施設を攻撃したと発表。ヨルダン​の空軍基地やカタールも攻撃された。
その後、イスラム革命防衛隊は、国営メディアを通じ、イランシャールで同国の兵士が殺害された​ことへの報復として、シリアのアルタンフにある米軍​の特別作戦司令センターを攻撃したと明らかにした。ホルムズ海峡‌はイ⁠ランが完全に掌握していると改めて主張し、米国の攻撃が続く限り同海峡を通じた石油やガスの輸出は行われないと表明した」
(ロイター7月17日)
イラン反撃強める、湾岸諸国の米軍施設攻撃 シリアも初めて標的に | ロイター
イランの攻撃は一見四方八方にミサイルを撃っているようですが、中東調査会によれば攻撃対象はいちおうこのような箇所です。
イラン:イスラエルに対して弾道ミサイル攻撃を実施 | 公益財団法人 中東調査会
①イスラエル
②中東に展開する米軍基地
③米国を支持する湾岸諸国、米軍基地を提供する国
なんだやっぱり四方八方じゃないかというかんじですが、今回はシリアにまで戦争を拡大しています。
そのうえに切り札としての味をしめてしまった海峡封鎖も、ホルムズ海峡だけではなく紅海ルートにも手を伸ばしています。
それは中東産油国がホルムズ海峡の代替ルートとしてヤンプー港と紅海ルートでほぼすべての原油輸出を行っているからです。

下図をみると左端の紅海沿岸にヤンブー港から東部のアブカイク石油処理センターにパイプラインがつながっています。
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数十億ドル規模の石油パイプラインプロジェクト5件により、1日あたり1000万バレル以上の石油が輸送され、世界がホルムズ海峡への依存度を低減するのに役立つだろう。

サウジはこのヤンブー港-紅海ルートで、日量460万バレルを輸出していますが、それはこの港湾のほぼ最大能力です。
ただしこの紅海ルートの問題は、ここにサマリアの海賊とイエメンのフーシ派というイラン出先勢力が存在することです。
イランはイエメンのフーシ派に資金と武器を流し込み、イランの代理勢力として育ててきました。
イエメン国内では国際承認政府と11年近い内戦を続けていますが、人口の約7割が同派支配地域に住み、独自の行政サービスを提供し、強力な軍隊を保持する姿は「事実上の国家」とも称されているそうです。
テレビでは堂々とイエメン政府を名乗って登場しますのでお間違いなく。
このフーシ派はサウジと戦争を繰り返してきましたが、イラン戦争前までは一時的な休戦状態でした。

しかしイラン戦争が始まりフーシー派の本部であるイランが危機に陥るや、ヒズボラなどと共に親分危うしとばかりに参戦しました。

まぁ、中東原油と海峡問題は古くて新しい問題で、イラン-イラク戦争当時から問題とされていました。
サウジやUAEせよくわかっていて、だからこそサウジは東西パイプラインを作り、UAEもホルムズ迂回ルートを構築してきました。
今回のイラン戦争で、第3ルートとしてイラクからシリアへのルートの構想も進展しています。
シリアがかつてのような内戦が終結したのでそうとうに進展することでしょう。
イランはホクムズ海峡を実効支配していくとぶち上げ、米国はそれを逆手にとって逆封鎖をかけてイランを締め上げたのですが、戦争の始め方がイスラエルに煽られているかのように何の根回しもなくあまりに突発的、かつトランプ流傲慢に満ちていたために国際社会の協力が得られていません。
特に、本来ならば米国と必ず共同していた英国が労働党政権でなにも決められずに懐手してしまったために、NATOも動かないという状況です。
本来は国内生産の原油で賄える米国がしゃかりきになり、一番の利害関係国であるヨーロッパが冷やかというねじれかげんです。
このていたらくでは、トランプの機嫌はいっそう悪くなるでしょうな。
込んだトランプはかなりの確率でイランの主力原油積み出し基地であるカーグ島を攻撃するかもしれません。
そさも空爆だけでは効果が薄いので、今中東に出張っている海兵隊や82空挺師団を使って限定的占領をする可能性があります。
カーグ島を占領すれば、イランの原油積み出し能力はゼロになりますから、海上封鎖をする必要の大半がなくなり、イランの外貨収入が切断されてしまいます。
まぁ、イランもわかっていますからお待ちしているでしょうが。
いずれにしても、イラン戦争とは石油戦争であるという宿命から逃れられないのです。

2026年7月17日 (金)

日本はロシアのスパイ天国だった

Ssssssssssssss

ロシアが日本において強力なスパイ網を構築し、国際制裁で買いつけできないハイテク部品をロシアに転送していたことがわかりました。
それを報じたのはニューヨークタイムスです。
How Putin Turned Japan Into a Den of Spies - The New York Times

2022年、ロシアがウクライナ侵略を開始すると、自由主義陣営は一斉にロシアのスパイ数百人を検挙し国外追放しました。
彼らはおとなしくロシアに帰ったのでしょうか。
いいえ、そのうちの数十人はちゃっかりと日本に拠点を移し替えて、そのまま「業務」を継続していました。
なぜそのようなことができたのか、理由は簡単。日本は世界でも類例を見ないスパイを逮捕する根拠法がない国だからです。
その結果、日本はウクライナを支援すると口ではいいながら、ロシアの戦争遂行を支えてきました。

「不充分なスパイ対策法制と、発達したハイテク産業ゆえに、日本はロシアの戦争遂行にとって欠かせない存在となっている。ウクライナ政府の推計によれば、ロシアのミサイルやドローンの約90%に、日本製の部品が使われているという。
東京での工作の中枢を担うのは、「第20局」と呼ばれるロシア軍の秘密情報部隊だ。その役割はこれまで一度も公にされたことがない。西側の5つの情報機関の現・元当局者によれば、同部隊の工作員は外交官やビジネスパーソンを装い、戦場で使われる技術を購入・窃取してロシアへ密輸しているという」
(NYT前掲)

日本は一貫してソ連時代からロシアスパイの標的となってきました。

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ロシアのスパイ120人が日本に潜入 だましの手口を徹底解説:日経ビジネス電子版

それは国内に世界有数のハイテク技術を持ちながら、それが漏洩する危険を取り締まる法律がなかったからです。
ロシアスパイは、表向き外交官や民間企業の社員として日本の駐在しています。
今回明らかになったケースでは密輸を統括していた指揮官はアエロフロートの社員となっていますが正体はロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の将校でした。
この人物は2024年に、日本に赴任し、ロシアが戦争で使用するドローンのハイテク部品や製造装置の部品を日本で確保し、スリランカやベトナムなどの第三国を経由してロシアに送っていました。

ハイテク製品は国際制裁のためにロシアには直接輸出できないためにイテク機器や工作機械を買い付け、アエロフロートと協力する日本人オーナーの運送会社を通じてスリランカなど第3国に迂回輸出した上で、ロシアに搬入していたようです。
ウクライナは早い時期からこれを知り、日本政府にも通告し善処を求めてきたようですが糠に釘、暖簾に腕推しでだったようです。

この日本人協力者はプーチンの熱狂的支持者らしく、一貫してロシアの侵略を支持してきました。
そしてGRUから預かった日本製ハイテク部品を「医療部品」として海外に転送していましたが、当然なんのためにそうしているのかよく知っていたはずです。
ちなみに、この日本人協力者もGRU将校も拘束されていないようで、この日本人はこう言っています。

「ニューヨーク・タイムズに名指しされた運送企業の執行役員は13日、読売新聞の取材に「記事に出てくるロシア人に一度会ったことはある」とした上で、「弊社では、国の許可を得た物品の輸出手続きをしているだけだ。アエロフロートと協力し、ロシアに経済制裁の対象品を送ったことはない」と話した」
(読売7月13日)
都内のアエロフロート事務所、ロシア人スパイの活動拠点か…身分偽った軍将校がハイテク機器買い付けと報道 : 読売新聞

NYTは日本を「スパイの楽園」と呼んでいますが、まさにそのとおりです。

 

 

2026年7月16日 (木)

脱原発と再エネをゴッチャにするからどっちも失敗する

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小泉大臣の父親は有名な反原発運動家です。
初めは引退しての暇つぶしの手慰みかとおもいましたが、どうやら真剣のようです。

小泉パパは再稼働反対だそうです。
再稼働反対というのは、安全性を規制委員会から認められても原発絶対反対、段階的削減にも反対という意味です。
20%を越えていたエネルギー基盤を、40年くらいかけて徐々に減らし、別な電源に替えていくためには、一定の数の原発を動かす必要があります。
だからこそ、廃炉にするためにも、「悪の電力会社を潰せ」などという一部脱原発活動家の暴論は止めにしてほしいものです。

もし、本気でそんなことをすれば、電力会社は新たな電源の開発投資が不可能になる上に、廃炉資金を捻出することができなくなります。
ではその原発ゼロの20%超の穴はどうするのかといえば、小泉翁は再生可能エネルギー(再エネ)だそうです。

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小泉翁はこう言っています。  


「今こそ原発をゼロにするという方針を政府・自民党が出せば一気に雰囲気は盛り上がる。そうすると、官民共同で世界に例のない、原発に依存しない、自然を資源にした循環型社会をつくる夢に向かって、この国は結束できる。 」
(ハフィントンポスト 2013年10月2日
 

ああ、まるでマックのセットメニューだ。
ところが、実はこのふたつ、つまり脱原発と再エネは本来、なんの関係もない別次元のテーマなのです。  

再エネは、もっとも古典的なエネルギー源として古くからありました。
中世にはほぼ今の原型を完成させていますが、産業革命で大部分はすたれつつも、地域にしぶとくしがみついて生き抜いてきました。 

それが改めて再注目されたのは、1979年のスリーマイル島事故以後の脱原発運動の盛り上がりからです。 
当時は反原発運動といっていましたが、若き日の私もその一翼を担っていました。
この中で再生可能エネルギー(再エネ)、当時の言い方では「市民エネルギー」という言い方を好んで使っていましたっけね。  
その言葉のニュアンスどおり市民が、「裏庭で自分の家のエネルギーくらいは作ってみせる。その分原発はいらないんだぜ」という気持ちが込められていました。  

飯田哲也氏の初期の本には、1986年のチェルノブイリ原発事故以後のスウェーデンで同じような、地域で市民が知恵と金を出し合って風車を建てていくエネルギー・デモクラシーの様子が描かれています。  
世界中で私のように、市民が日曜大工で怪しげな「エネルギー発生装置」を作ったり、市民ファンドで風車を作っていたのです。 

さて、言うまでもなくこのようなある意味牧歌的な再エネは、今では「神代の時代」の昔語りにすぎません。
なぜなら、今や脱原発運動は、裏庭どころか再生可能エネルギーを社会全体の代替エネルギーと位置づけてしまったからです。  

結論から言いましょう。私はかつての再エネの実践者の経験を踏まえて、それは不可能だと断言します。 
再エネは元々そのような近代工業国家規模のエネルギー源ではなく、地域の生活や生産に密着した「もうひとつのエネルギー源」でしかないからです。 

発電規模のケタが違う再エネを「飛躍」させようとすれば、必ず別の矛盾を引き起こします。 
それは反原発運動の意識の延長で国家規模の、しかも世界で屈指の工業技術国の代替エネルギーを再エネに据えてしまったドイツの経験が物語っています。  

ドイツではいくら優遇策であるFIT(全量・固定価格買い上げ制度)に厖大な金をつぎ込んでも再エネは07年時点で最大で16%にしか伸びませんでした。 (下図参照) 

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熊谷徹

ちなみにその内訳は、風力発電が4割、バイオマスが3割、水力が2割、太陽光が1割未満です。  
驚かされるのは、太陽光は再エネの代表選手のように思われているものの、実は全エネルギー源の0.2~0.4%(2010年現在)にすぎないことです。
 一方、ドイツは原発を暫時停止(完全停止していません)することによって、低品質の硫黄酸化物の多い国内石炭火力発電が49%にも増えてしまいました。 

皮肉なことには脱原発政策によって化石燃料シフトが起きてしまったのです。 これによってドイツの炭酸ガス排出量は一挙に増えています。 

実はわが国もまったく一緒でした。わが国はある意味ドイツより過激な「全原発停止検査」ということを初めてしまったからです。
なんの法的根拠もなく、ただのカン氏の「お願い」で、全原発ストップですから呆れたもんです。
結果がこれです。火力発電一色となりまなした。

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2013年度のエネルギー源別の発電電力量の割合http://www.japanfs.org/ja/news/archives/news_id035081.html

2018年度の実績値 → 2030年度の計画値
原子力 6% → 20-22%
石炭 31% → 26%
LNG 38% → 27%
石油 7% →  3%
再エネ 17% → 22-24%(*再エネは水力を含む)
出所:
・ 2018年度エネルギー需給実績(速報値)
・ 第5次エネルギー基本計画(2018年7月発表)

化石燃料を主体とした発電を続ける限り、わが国は二酸化炭素を削減することは不可能なのが分かるでしょう。
原発を止め、9割弱を化石燃料に依存している現状では、パリ協定目標を達成することは不可能です。
つまり、エコ政策を突き進もうとして二酸化炭素ガス削減するためには原発を一定割合で組み込まねばならず、組み込んだら今度は反原発派から「危ない原発反対」とやられるという二律背反になってしまうわけです。
反原発派の運動家諸氏にどうやったら原発を止めたままで、CO2削減できるのかお聞きしたいものです。

特に2008年からの2年間の二酸化炭素の排出量の増加は危険視されています。脱原発よって環境が確実に悪化したのです。  
2009年の国連気象変動サミットにおいて、鳩山元首相が国際公約してしまった1990年比で2020年までに25%温室効果ガスを削減するという目標年になってしまいましたが、原子力発電なくしてどのようにするのかはまったく不透明です。
(*CO2削減率問題については過去ログをご覧ください。)
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-a3c7.html 

下図を見ると、1997年の京都議定書以降も、CO2は増加の歯止めがかかっていないのが現状です。
京都議定書 - Wikipedia

 

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Warming_chart01化石燃料などからのCO2排出量と大気中のCO2濃度の変化出典:電気事業連合会「原子力・エネルギー」図面集2010http://www.jnfl.co.jp/recruit/energy/warming.html

このように京都議定書は失敗し、パリ協定もまた実行が疑問視されていることは確かです。
それ以前の1990年に8%削減という政府目標を立てた時ですら、そのために原発を9基増設し、当時60%台だった稼働率を一挙に81%にまで引き上げ、太陽光も20倍にする、と試算されていました。 

また、2009年時点で、政府は電力に占める原子力の割合を当時の30%から2030年には50%にまで引き上げる計画を立てていました。 
とうぜんのこととして、それらの計画は3.11以後、完全に白紙になりました。 
ここで、ではどうやったら原子力なしでCO2削減ができるのか、という問題に直面せねばならなくなったわけです。 

当座の間、新エネルギーで現実的に供給体制に入っているものはありません。
存在するのは、唯一化石燃料のみです。
福島事故当時から数年間の電力は、今まで稼働を止めていた旧型火力発電所を再稼働したものによって補われていました。
事故前の2010年11月時点で原発は230億キロワット時を発電し、電力需要の30%を超えて供給していました。 
それが事故後の2011年11月には70億キロワット時と3分の1以下に減少し、10%を切りました。それが現在2012年5月時点ではゼロです。 

では、火力発電の増加ぶりを見ましょう。2011年11月時点で、363億キロワット時であったものが、493億キロワット時と35%増大し、2013年には電気供給量の実に80%を占めるまでになっています。 
脱原発の世論の流れによって、皮肉にも日本は今や8割を化石燃料に依存するCO2大国に生まれ変わってしまったと言っていいでしょう。 

この状況が続くのならば、1990年比25%削減など夢のまた夢であって、大量の排出権購入を考えない限り、わが国は外国に排出権購入で膨大な富をむしりとられ続けることになります。 
つまり、原子力をゼロを実現すれば、片方の地球温暖化阻止という環境問題を犠牲にせざるをえず、温暖化阻止のために炭酸ガスを削減使用と思うと原発を一定範囲内でうごかすしかないのです。

 

 

2026年7月15日 (水)

馬鹿が作り、詐欺師が儲け、国民が負担する

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脳みそが軽いカン氏は、専門家や官僚の意見などには目もくれず、独断で全原発の「検査停止」を「お願い」(根拠法がありませんから)したために、それから10数年立とうというのにいまだ日本の原発は半身不随から抜け出していません。

そのうえカン氏は全原発を止めて日本のベースロード電源の3割を奪っただけでは飽き足らず、再エネを代替エネルギーとするという素人以外思いつかない「革命的」方針を、「アタシを辞めさせたかったら再エネ法を飲みなさい」と、自分の辞任と引き換えに押しつけて去って行きました。
与党の民主党まで含めて、与野党全部がカン氏に一刻も早く辞めて欲しかったので、スイスイと再エネ法が通過してしまいました。
これが今に至る不幸の始まりです。
結果、将来を展望した制度設計があってやったわけではないので、そりゃあ目があてられないやね、ということになりましたですよ。

重度のドイツコンプレックスのカン氏がやったのは、ドイツ式FIT(全量・固定価格買い取り制度)というモノスゴイ制度で、本場でも失敗しています。
このようにFITはカン氏の政治的思惑で生まれたのですが、カネの臭いがあるところ必ず登場する孫正義氏という怪人がこれに飛びつきました。
彼は当時、ソフトバンクという携帯業の顔だけ世間にさらしていましたが、本業はM&Aの買収屋です。

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そして「盟友」の孫氏が言うがままに、カン氏は世界一高い買い取り価格を設定しまい、当初はなんと40~42円/kWhを20年間固定で全量買い取りますっていうんですから、そりゃやりたい奴が殺到するわな。

こんな馬鹿げた投機的価格をつければ持続可能エネルギーどころか、持続不可能エネルギーに堕するのは目に見えると、私は初めから指摘していましたが、そのとおりとなってしまいました。
FITは詐欺師とヤマ師の巣窟と化し、発電枠だけとって無許可転売する輩、その枠を買い占めるチャイナ、そして太陽光パネルは中国製に支配されるというハチャメチャなことになりました。

「国が普及を進めてきた再生可能エネルギー業界に2月14日、ついに経済産業省の“メス”が入った。再生エネルギーで発電した電気を電力会社に一定価格で買い取ることを義務づけた固定価格買取制度(FIT)の認定を受けたにもかかわらず、運転を始めていない太陽光発電約670件について、認定取り消しを検討すると発表したのだ。前代未聞の事態の背景には、「いくらでもズルができる」と業界関係者が明かす制度の致命的な甘さがあった。
実は国が認定した設備容量は2249万キロだったが、実際に運転を開始したのは382.7万キロワットで、2割にも満たないことが経産省の調査で判明。しかも、認定から1年以上たっても土地・設備を確保していない業者が全体の3割に上っていることも分かった。」
(産経2014年3月8日)

呆れてモノが言えません。国が支援している枠に対して、実際に運転を開始しているのはたった2割!悲惨というより、もはやお笑いです。
この制度初期で、実際の発電事業はそっちのけで利権漁りが横行したためです。
こんな詐欺師の楽園と化した再エネ業界を、ひたすら税金と消費者負担に頼る再エネ賦課金で乗り切ろうとしたために、年間実にひとり1万円超、国全体で2兆円ものカネが流出し、しかもその多くは中国へと流れていきました。

再エネ賦課金とは、案外知られていないのですが、まるで税金かNHKのように黙って国民全員が再エネに協力を強いられています。

Surcharge2020

資源エネ庁 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/surcharge.html

しかもこの再エネ賦課金は、毎年、それまでの買い取り価格が上乗されるために、累積して増えていくという仕組みになっていきます。

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北電

賦課金が増える理由は、電力会社が再生可能エネルギーを買取る量が増えているからなのですが、2017年度は総額2兆7045億円と毎年4,000億程増えます。
したがって、2016年には2.3兆円の負担だったものが 、 このままいくと2030年にはなんと4兆円になるという試算がされています。
このようにFITは、逆スライドで毎年重い負担となるというトンデモ制度なのです。

そこでみかねた経産省は2014年にFIT制度の見直しをします。

①太陽光による電力の価格を大幅に下げ、地熱などを相対的に優遇する。
②地熱発電による電力を優先的に買い取らせる。
③大規模太陽光発電につき、FIT適用のための認定を一時停止する。
④太陽光発電への新規参入や発電施設の新増設の凍結。
⑤買取価格に入札制度を導入する。
⑥電力会社が再生可能エネルギーによる電力を受け入れなくてもよい期間を30日からさらに延長する。

 大幅に買い取り価格を下げるといっていますが、それでも当時はまだ37円ていどでしたから、焼け石に水です。
特にプレハブ住宅のようにあっという間にできてしまう太陽光には新規参入を制限するなんて言い出しました。 

2017年当時、経産省資源エネルギー庁の再エネに関する検討委員会で、次の4つの課題が上げられています。
(2017年12月18日資源エネルギー庁で「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」)

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資源エネルギー庁


①依然として日本の再エネの発電コストは欧州の二倍で国際的に高い水準にある。
②既存系統と再エネ立地ポテンシャルの不一致により「再エネ電源を作りたくとも系統の空き容量が存在せず繋げない」という系統制約の問題が顕在化している。
③太陽光発電および風力発電という変動再エネの導入が拡大したことにより、系統全体の調整力が不足してきている。
④長期安定発電の開発を支える環境が未成熟な他、洋上風力等の新たな電源は立地制約が厳しく、結果として再エネ電源の開発が太陽光発電に偏っている。
宇佐美典也『今後の再エネの普及を左右する「日本版コネクト&マネージ」の行方』より抜粋

①は、日本の再エネはFIT制度で世界一高い水準に高止まりしたままだということです。
現在は15%だが、これでも既に年間2兆円の国民負担をさせているが、目標ドイツ並の24%にするためには更に後1兆円の国民負担が必要だということのようです。
おいおい、冗談も顔だけにしろよ。国民の負担で誰を設けさせているんだ、と言いたくもなります。

②再エネを作っても送電網の系統の空き容量がないのではどうしようもありませんが、これは送電会社の系統接続がネックとなっているということのようです。電力ネットワークの再編が必要だと、委員会は指摘しています。
しかしこんな「異物」のために、それでなくても電力自由化の余波で弱体化している送電網にこれ以上の負担を要求するのは、ちょっと。

③気まぐれエネルギーが大幅に増えたために、系統全体の調整力が不足してきている、としています。
これについて、将来は蓄電池の導入で調整力を増すとしていますが、それがか電力のさらなる高コストにつながることはきのう触れました。

④簡単・安価な太陽光にのみ参入者が殺到したために、他の洋上風力や地熱などに新規参入が見られないというアンバランスな現象が生まれたようですが、これも当然のことです。
ものごとは安易な方に殺到するのですよ。
だからFITが蟻の大群に群がられるケーキのようになってしまったのです。

いまもさらに再エネ買い取り制度の手直しを図って行くようですが、どうなりますことやら。
とまれ、初めのボタンをかけ間違ったら、最後までボタンは合いません。

たとえば、太陽光はメガソーラの浮島発電所の発電実績は1年稼働して、柏崎刈羽原発1号機のわずか15時間分ていどでしかありません。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-cf07.html

再エネにとうていベースロード電源の資格などないことは明白です。
その明らかな真実に目を背けて、竹馬を履かせているのですから、しょーもない。
そんなことは、とっくにドイツの先駆例で既にあきらかなのにもかかわらず、脱原発=再エネという誤った政治的思惑から開始してしまいまったうえに、ムチャクチャなFITで後世につけ払いを残してしまったのですから、タチが悪すぎます。

失敗して当然、というか、失敗したら制度全体を白紙にすべきです。
といっても20年間固定買い取り制度ですから、いったいどうするつもりなんでしょう。
枝野さんーん、どうするんだーい。
馬鹿が作り、詐欺師が儲け、国民が負担するというのが「自然エネルギー立国」の実態です。

 

 

2026年7月14日 (火)

ドイツが脱原発脱火力が出来たわけ

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山の彼方の空遠く幸い住むと人は言う、ってなことが日本の知識人の有り様でした。
戦前は赤いロシアに憧れるあまり「祖国」とまで呼び、戦後は毛沢東の中国に恋い焦がれていました。
外国に範を求め、なにからなにまでを模倣することが進歩的だと思っていたのです。哀しいサガやねん。
そして少し前までの知識人の「心の祖国」はドイツでした。
おお、工業大国でありながら原発を止め、再エネを大幅に拡大し、さらには大軍縮に踏み込む平和主義を見よ、これぞニッポンの進む道だぁ、という声を多く聞いたものでした。
言うだけじゃなくて実際にやっちゃった、というのがしびれたんでしょうね。

逆に考えてみましょう。なぜドイツはこんな危険な綱渡りができたのか?
メルケルはちゃんと命綱つけてたんですよ。今日はその話をします。

ドイツが脱原発をして再エネに全振りした結果、電力料金は高騰しましたが、なんとか凌いでいけたのには、ふたつの理由があります。 
ひとつめの理由は、ドイツは大きなヨーロッパ電力広域連携の送電網の中に位置しており、電力が余剰の時は旧東欧諸国に輸出し、不足した場合は輸入できるのです。

PhotoIntegration of large scale wind in the grid - The Spanish Experience, REE 社 ,2008 

このおかげで東欧はドイツの風車が回りすぎると、突如過剰な電力を流し込まれ、逆に不足すると突然の需要が舞い込むということになり、自国の電力需給すら不安定になったほどです。  
よく、「脱原発をしても原発大国フランスに電気を売ってやったゾ」と大本営発表のようなことを言う人がいます。
たとえば河野太郎氏です。

「ドイツは脱原発というが、隣のフランスから原子力の電力を輸入して脱原発している。電力料金も高くて困っている。」となぜか誇らしげに発言する議員がいます。(略)
2015年にドイツはフランスに対して13.27TWhの電力を輸出し、3.84TWhの電力を輸入したことがわかります。差し引き9.43TWhの「輸出」超過です。ドイツはフランスの原子力の電力を使って脱原発をしているわけではないのです」
2016.12.14 ドイツの電力輸出 | 衆議院議員 河野太郎公式サイト

河野氏は見落としていますが、広域送電網を持つ地域の国の電力の売り買いは周辺国との収支トータルで見ねばなりません。
下図をご覧になると理解できるのですが、ドイツはフランスから2.7GW買って、3.2GW売っていますが、そのフランスは英国から2GWを買っています。
つまりヨーロッパ諸国はどこかの国から買って、どこかの国に売りという複雑な電力需給収支をしているのです。

 

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つまり、ドイツは単に電気の通過国に過ぎず、その電気はドイツを通り過ぎてさらに周辺国に流れて売られているにすぎないのです。

そしてもうひとつが、ロシアからの天然ガスです。

ロシアの天然ガスに依存する欧州

ロイター

EUの消費する天然ガスの25%はロシア・ガスプロムから供給を受けており、その最大の消費国はいうまでもなく、脱原発に走ったためにエネルギー基盤がもっとも脆弱となったドイツでした。 
これがEUをして、ウクライナ侵略当初、ロシアを強く批判できなかった大きな理由となりました。 
これをフィナンシャルタイムスはこう述べています。


「反原発政策により、ドイツがロシアからの天然ガスへの依存度を高めることだ。ウクライナ問題を巡りロシアとの緊張が高まっていることから、ドイツは居心地の悪い立場に置かれている。仮にドイツと仲間の国々がプーチン大統領の侵略行為に対して異議を唱えるのならば、その前にロシア産ガスへの依存度を低める必要がある。だが、これは、原発をなくしていくことで、メルケル首相にとって達成が難しい目標になっている」

このように、メルケルの脱原発政策という手品の種は日本にないふたつの要素、つまり電気を直接に外国から供給してもらえる広域電力網と、直接に地続きのロシアから供給される天然ガスによって支えられていたわけです。 
このふたつともにない日本で、同じような脱原発政策が可能かどうか、ちょっと立ち止まって考えてみればわかるはずです。 

 

 

2026年7月13日 (月)

一に分散、二に分散、三に分散

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もしエネルギー論の教科書があれば、第1章1節に出てくるような絶対に知っておかねばならない言葉があります。短いので直ぐに覚えられます。

「供給安定保障の要諦は、一に分散、二に分散、三に分散」

エネルギー源を何かひとつの電源、ないしはひとつの供給国に頼っていると、それが国際政治や経済の影響、あるいは事故でポシゃったら全部がパーになります。
だから電源や、供給源(供給国)はできるだけ多角化しておかねばなりません。 
これが鉄則です。

極端なエネルギーバランスはなにかあった時は眼も当てられませんからね。
たとえばフランスのように半分以上のエネルギー源を原子力に依存したり、ドイツのように原発を止めて8割を再生可能エネルギーにしたり、日本のように原油の中東依存率が9割なんてなんとオットロシイことをしていました。
ただし日本の場合原油の電源構成に占める率は今は7%と低く、主力にはLNG32.9%、石炭28.3%です。全体としては火力3割、原子力3割、

資源エネルギー庁WEBサイト|資源エネルギー庁

再エネだけにしろという過激な人がいますが、そんなことは火力あっての再エネという舞台裏を知らない人です。Photo_2


北海道電力HP

ついでに北海道電力のエネルギー構成をみてみましょう。
黄色が原子力ですが、北電は全国でも関西電力に並ぶ44%と高い依存率を持っていました。

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これが一気にゼロとなったのですから、北電は4割もの電力供給源を失ったことになります。
下のグラフが、震災前と震災後を比較したエネルギー構成比率です。
「震災後」とは、震災復興の最中にカン先生が原発を全部止めるという超絶暴挙をした時期のことです。
もっとも電力がいる復興期に日本全体でいかに大きな電源が失われたままだというのがわかるでしょう。

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しかも、再エネは文字度りの風頼りの風来坊で頼りにならず、結局のところ日本の社会と経済の屋台骨は火力が一手に引き受けることになってしまっています。

さてドイツは再エネ(再生可能エネルギー )で全部賄おうと真剣に考えました。
電力というのはその時間の消費と生産がぴったりとマッチングしていなければなりません。

いやいや、蓄電できるだろって。たしかに再エネ論者が言うように蓄電技術は存在しますし、電力会社、自動車会社、住宅メーカーなどまでが参入して多額の研究費をかけていますから性能は飛躍的に改良されました。

しかし今の10倍の蓄電能力をもつようになったとしても、24時間火力を運転するほうがはるかに安く上がるのです。
仮に天候任せの再エネが8割を占めたら、系統送電網はガタガタになり停電が頻発してしまいます。
なぜでしょうか。
再エネは火力のバックアップなしには存立できないからです。
晴れてビンビンに発電できた時は火力は休止し、逆に曇ったり雨だったり、夜間には素早く肩代わりするという出力調整機能があってこその再エネだからです。
だから再エネを8割も大量導入した場合は、需給バランスの維持が不可能になってしまうのです。 

現実には1時間ごとに出力がジグザグするような場合、その都度、出力増加(ランプアップ)、出力低下(ランプダウン)をするわけにはいきません。 
なぜなら、そんなことを1時間ごとにおこなっていたら手間と経費がかかり過ぎてバックアップ発電所はそのためのコストのほうがかかってしまうからです。 

では、どうするのでしょうか。 ヨーロッパではこうしています。
ドイツの場合、再エネの電力は、電力卸市場(EEX)に全量売ることが定められています。(下図参照 クリックすると大きくなります)

 

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図 再生可能エネルギー大量導入時の火力発電所の運用
(経済産業省総合資源エネルギー調査会基本問題委員会第23回資料 「再生可能エネルギーを巡る事実関係」2012年5月)

通常の発電業者は、電力系統の運用者に運転計画を提出し、計画不履行の場合、罰金を食います。
そこで、再エネのバックアップをする火力発電所は、その増減を見越して、あらかじめ「ネガティブ・プライス」としてその出力低下分の費用をマイナス計上してしまうのです。 
たとえばドイツなどでは発電量に応じて、あらかじめ「マイナス10ユーロセント/kWhを、いわば「罰金」として支払っています。

しかし、優先的に系統電源に給電される再エネのほうは、FITの固定価格制度に守られて本来、卸電力市場の常識である「ネガティブ・プライス」を支払う必要がありません。 
つまり、再エネは天候に左右されるハンパな発電しかできないにもかかわらず、以下のような特権をえているわけです。

①優先的に系統送電網に給電できる資格をもつ。
②他電源のバックアップ発電所を常に必要とする。
③固定買い取り制度に優遇されてネガティブ・プライス支払う必要がない。

④市場相場の倍の固定価格で全量買い取ってもらえる。

まさに親(国)にベタベタに甘やかされた出来の悪いパラサイト・シングルみたいです。
ですから、再エネのことを「間欠性電源」と呼ぶ場合がありますが、これは通常の恒常的電源供給者からの痛烈な皮肉が込められています。
電源が間欠、つまりできたり出来なかったりするなんて、中世ならいざ知らず現代ではありえませんからこんなもんはまっとうな電源じゃない、と既存の発電業界は言っているわけです。
なんと素晴らしくも、考え抜かれた不平等な制度でしょうか。

エネルギー問題の専門家である、マサチューセッツ工科大学教授リチャード・シュマレンジャーはいみじくもこう述べています。 

「固定価格買い取り制度は電力需給に一致に関するすべてのリスクを、他の市場参加者に押しつけてしまった。」

ドイツは、再エネを市場メカニズムの「外」に遠ざけてしまい政府が乳母日傘にしてしまったわけです。
これでは再エネが増加するほど、ドイツ人は不幸になるに決まっているではありませんか。
実際、ドイツなどではバカバカしくて火力発電所などやっていられるかという発電業者が増えた結果、既存火力発電所には投資インセンティブ(意欲)が激減していき、メンテナンスさえもままならなくなりました。

このようなFITというひいきの引き倒しのようなシステムを作れば、かえって再エネの健全な発展を阻害し、社会のやっかいものにさせてしまうことになるのです。
私は、再エネに限らず新たなエネルギー源は、初期に国が多少の面倒は見てやっても、それは速やかに終わらせ、通常の市場競争の中に置くべきだと考えています。
そうすれば、自ずとなにが使える新エネルギーなのか、依存してはいけないエネルギー源なのか、分かってくるはずです。
これが通常の市場の「選択の自由」です。
ところがドイツのように甘ったれたFITを長期間続けると、補助金を貰って当たり前となってしまい自立したエネルギー源に育っていかなくなります。
このようなことにひとこともふれず、「脱原発」と再エネをムード的に叫んで、30年後には脱原発だ、再エネ8割だと言うノーテンキな人たちは、一度頭を分解掃除したらいかがでしょうか。

 

2026年7月12日 (日)

日曜写真館 むせび泣くあまりに高き蘭の香に

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われをにくむ人に贈らむ蘭の花 会津八一

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つと入や蘭の香にみつ一座敷 松瀬青々

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星空も生者の側に蘭溢れ 花谷和子

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清貧の家に客あり蘭の花 蘭 正岡子規

 

 

2026年7月11日 (土)

気をつけよう、甘い言葉と政権交代

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菅直人氏の民主党政権が、憲政史上類例を見ないダメダメ政権だったことには定評がありますが、このご仁はトンデモない置き土産を残していきました。
「一度やらしてくれ」というもんで、一度くらいはと気軽な気分で民主党に政権を与えたツケは、その後十数年のスパンで後遺症を残したのです。
ハトが安全保障の根幹である日米同盟を揺るがしたのに対して、カンはこれまたもう一つの国家の根幹であるエネルギー政策に大打撃を与えたのです。

ひとつは原発を「検査」という名で事実上の停止に追い込んだこと、そして再生可能エネルギーの固定価格買い上げ制度(FIT)です。
共に十数年たったいまも国民と企業を苦しめています。
気をつけよう、甘い言葉と政権交代。
彼らは意識高い系馬鹿なんで、じぶんたちだけが正しいと信じて疑わないもんで困ります。
一般国民を見下して「おまえらの救いの道は自分たちだけが知っている。黙って従え」とのたまうのですらたまらない。
昔共産主義、今グリーン。いまや混ざって赤緑。

彼らは赤い時代から元来西欧崇拝でしたが、緑のタヌキのドイツ様は原発を完全に止めると仰せだぞ、メルケル様は再エネに完全シフトなさるぞ、FITなんていうスゴイシステムまで作って一気に自然エネルギー大国だぁ、おおなんという素晴らしさ、グリーンな未来よ来れ、さぁ全部日本に輸入だぁ、てな調子です。
それをアタマが軽い馬鹿首相が後先考えず、本気でオール乗せでやったもんだからたまらない。
こんなことは福島事故という大災害の直後のドサクサだからできたわけで、典型的なショック・ドクトリンというやつです。

で、実際やったらどうなったのか。
発電がメチャクチャになってしまった電力会社は買い取り制限をかけました。
太陽光による電力の急増による送電設備の容量オーバー、発電の気象条件による周波数の乱れによって大規模停電などの怖れが出たからです。

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菅首相は、「友人」である孫正義氏を「忖度」して、孫氏の言うがままに世界一高い買い取り価格を設定しました。
当初はなんと40~42円/kWh、現在は下がって32~37円/kWhです。
こんな馬鹿げた投機的価格をつければ持続可能エネルギーどころか、持続不可能エネルギーに堕するのは目に見えると、私は初めから指摘していましたが、そのとおりとなってしまいました。
2014年に行われた経産省の見直しの内容は、以下です。

①太陽光による電力の価格を大幅に下げ、地熱などを相対的に優遇する。
②地熱発電による電力を優先的に買い取らせる。
③大規模太陽光発電につき、FIT適用のための認定を一時停止する。
④太陽光発電への新規参入や発電施設の新増設の凍結。
⑤買取価格に入札制度を導入する。
⑥電力会社が再生可能エネルギーによる電力を受け入れなくてもよい期間を30日からさらに延長する。

しかし歯止めが掛からず、いまや半分本気で「発電税」をかけるしかないという声すらあがっています。
当初のウルトラ高値の買い取り価格を、市場価格にみあって平準化し、新規参入を抑制させることが狙いです。
それにしても当初から予測可能なことばかりで、初めから政治的に押し込まずに専門家が検討を繰り返していればよかったことばかりで、2030年度までに再生可能エネルギーを2割にするなどという空論は止めて、一定の枠内で丁寧に育てていく方針に切り換えるべきでした。

原子力発電はあたりまえですが、エネルギー問題であって思想問題ではありません。
エネルギーは社会インフラの基本中の基本なので、観念的にイエスノーを言ってはいけない問題なのです。
電気が来なければ社会の生産活動がすべて止まります。来たり来なかったりすれば、工場のラインはそのつど停止、再起動をするためにオシャカの山を築きます。
周波数の安定が要求されている社会でこんなことが起きれば、日本の製造部門は壊滅状態になるでしょう。
実際にドイツは原発を半分止めただけで、企業の国外移転が相次ぎました。
それでもドイツはヨーロッパ広域送電網によって周辺国から電気をもらえるからマシでしたが,、日本はそれもできません。

こんな国からは生産部門は逃げ出し、やがて人も逃げ出すことでしょう。
再生可能エネルギーが化石燃料や原発に代わる基幹エネルギーにというのはファンタジーに過ぎません。
再生可能エネルギーは正しく社会に位置づければ有意義な電源ですが、過剰な期待をかければ社会的ダメージは計り知れません。
それは自然由来故の、克服しようがない「ブレ」があるからです。これではベースロード電源になるはずがありません。

ですから、風力発電を持つ地域の電力会社は、大風が吹くと大量に送り込まれる電気を拒否したり、逆に風がなければ火力を増加させるというバックアップに振り回されています。
まぁ、制度の心配もさることながら、いまや太陽光パネルのほぼすべてを独占する中国製の安物が、簡単に故障しては修理部品もなくなっているようですので、野山にはパネルの残骸が醜く放置され環境破壊と自然災害のの原因となっています。

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また太陽光発電を名目にした、中国の土地買い占めが大変な面積に登っていることがわかりました。


「昨年1年間で外国資本に買われた森林は実に“東京ディズニーランド15個分”(777ヘクタール)
4月28日、農林水産省が発表した調査結果が永田町や霞が関に衝撃を走らせている。買収された森林の多くは北海道で、香港・台湾を含む中国系の土地取得者による買収面積が81%にものぼる。実は本州でも今、ある事業を名目とした中国系資本による土地取得が進んでいる。それが「太陽光発電」だ。電力事業関係者が説明する」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170604-00000017-pseven-soci&p=1

そもそも再生可能エネルギーはミズモノです。    

では再エネ(再生可能エネルギー)がなぜ基幹エネルギーにならないのか、考えてみましょう。 
結論から言えば、発電量の「ブレ」の激しさが致命的なのです。「自然を資源」としているわけですから、気まぐれが激しいのです。  
下図は、東京電力浮島太陽光発電所の発電量の時間推移のグラフです。12時頃をピークとして崖型に発電量が推移するのがわかります。

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 (図 東電による) 

6時以前と4時以降はまったく発電を停止します。曇りと雨でも稼働しなくなります。 
ちなみに、このグラフは太陽光発電が活発な春3月のグラフです。
冬や梅雨などはもっと悲惨なことになって底浅フライパンのような形になりますが、反原発の皆さんがショックを受けるといけないのでいちばんいい季節を選びました。
春は太陽光のベストシーズンで、利用側もエアコン使用がないため電力需要にも余裕があります。  
ただ残念ながら、これからの夏の気温上昇はパネル内の温度上昇により電気抵抗が増すので効率が下がる季節です。  
燦々と太陽が降り注いでいるのに案外発電をしません。にかかわらず、ご承知のように1年でもっとも電力需要がピークを迎える季節です。  

つまり、太陽光は一番必要とされる時には発電が減るという宿命的な欠陥を持っているクセのある電源だということです。
ですから、「発電量」公称1メガワット(100万ワット)と発表されていても、実態の発電量はその7から10分の1にすぎません。
中とって8分の1として、公称1MW太陽光発電所の実発電量は0.12MW(メガワット)にすぎません。  

ここまでを整理しておきます。


①再エネの「定格出力」、あるいは「最大出力」はカタログデータ。実際はその時間ごとの発電量にすぎない。実効発電量は、定格出力の約8分の1から10分の1ていど
②太陽光発電は6時以前、4時以降は発電しない。冬や梅雨、夏の盛り、曇りや雨の日は絶望的
③発電量が極端に貧弱。日本最大の浮島・扇島発電所の1年間の発電実績は、柏崎原発1号機のわずか16時間分ていど
④発電量を人為的にコントロールできないので、必ず火力などのバックアップ電源が必要
⑤出力と周波数調整のために、大容量NAS(ナトリウム・硫黄)電池が必要。

発電量のブレは宿命だとしても、最大の問題は蓄電コストてす。
つまり、メーカーの日本ガイシさんに言わせれば、大規模蓄電なんてやりゃやりますが、とんでもなく金がかかりますよ、ということです。
 
kWh単価(コスト)は、リチウムイオン電池20万円、ニッケル水素電池10万円、鉛電池5万円、もっとも安いNAS電池で2.5万円 です。  
したがって、1万人規模の街の電気を蓄電するためには、もっとも安いNAS電池ですら1日で約15億7千万円ほどかかってしまいます。
1か月で約532億円ていどかかります。 もちろんこんな計算もまた机上の空論にすぎません。

というのは、本来の再エネにおける蓄電技術は、丸々蓄電する目的に作られたものではなく、再エネ特有の出力や周波数の「ブレ」の調整の為にあるからです。
その日の予定以上に多く発電した場合は、多少貯めておいて、まったく発電できない時にそれを出すというような目的です。 
蓄電池もそれに応じた規模のものをつけてやればいいし、現実にもそうなっています。 

そもそも、反原発派には、原発問題をエネルギー問題として捉えていません。彼らの主張は、結局は「原発は危ない」のただ一点だけです。  
それが故に、予想される大災害時、あるいは夏のピーク時に必要なライフライン確保のためには、ギリギリの電力予備率では危険だという自覚がないのです。 

現在、夏の電力予備率は関西電力で3%を切り1.8%という危機的状況です。  
まして、わが国が脱原発政策のために再エネが6割(※ドイツの目標値)などという頭のネジが飛んでしまったような政策をとったら、絶望的な事態になります。
電源予備率はまちがいなく大幅マイナスになっているでしょうから、ピーク時や災害に極端に脆弱な国になっています。
まさに国破れて太陽光パネルあり、だったのです。

 

2026年7月10日 (金)

ミランコビッチ・サイクルなんてものもありますよ

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だんだん話がニッチになってくるので恐縮ですが、地球温暖化を説明する時、忘れられた学説でいちばん有名なのは、おそらく旧ユーゴ(セルビア)のミルティン・ミランコビッチという天才が唱えたその名もミランビッチ・サイクルでしょう。 
これは数万年単位でなぜ地球に氷河期が来て、その後に温暖期(間氷期)が来るのかを、公転軌道と地軸の傾きから説明したものです。

ところで、地球の軌道が楕円だということをご存じでしょうか。 
・ケプラーの第1法則

  • 惑星は太陽を1つの焦点とする楕円軌道を公転します。
    • 太陽は楕円の中心ではなく、少しずれた焦点に位置します。
    • 惑星と太陽が最も近づく近日点、最も遠ざかる遠日点、太陽 (焦点) はすべて楕円の長軸 (長い方の軸) の上にあります。
    • 軌道長半径をa、離心率をeとすると、最近距離はa(1-e)、最遠距離はa(1+e)となります。

暦Wiki/ケプラーの法則 - 国立天文台暦計算室

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国立天文台暦計算室

約10万年の周期で地球は正円になったり、楕円になったりすることは知られていました。 
楕円軌道の時と正円軌道の時はなんと1800万キロも離れているのですから、地球に影響が出ないはずがありません。。
楕円軌道 - Wikipedia

実際、楕円の軌道の時は外周が太陽から離れてしまいますから地球は冷えていき、その逆に近づくと温暖化します。 
実は21世紀の地球公転軌道は、太陽に近づいている軌道上を回っていますから温暖化しているというわけです。 

次に、地球は公転しながら自転軸が変化しています。その傾きは21.5度から24.5度です。

20260710-015736

国立天文台暦計算室

この傾きが大きいと夏が暑くなり、冬は寒くなるといった季節さが激しくなります。ちなみに現代は23.4度で傾きが大きいほうの時期になります。この周期は約4万1000年です。 

さて、これでお終いかと思ったらもうひとつあります。それが地軸そのものの回転運動です。独楽が首を振るように太陽と月の引力の影響で、自転軸が回転しています。 
これを歳差(さいさ)運動と呼び、その周期は約2万5800年です。

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国立天文台暦計算室

さあ、この3ツの壮大な地球の軌道や自転軸の回転による周期が、地球の気象を決定づけています。

周期の長い順番から
①約10万年周期の地球公転軌道の離心率の変化
②約4万1千年周期の地軸の傾斜角の変化
③約2万6000年周期の歳差運動

この3つが重なり、日射量の周期的変化が生じ、日射量の極小期が氷河期に当たり、極大期が間氷期(温暖期)にあたります。

ファイル:Milankovitch Variations.png

上図のPrecessionというのが歳差運動のことで、その下のObliquityは自転軸の傾斜角、3番目のEccentricityは公転軌道の離心率です。 
この三つの周期で地球気候が決まるわけてすが、その計算式は専門家にも複雑怪奇だそうです。
しかし、それが正しいと立証されたのは、70年代に、海底のボーリング調査によって、採取されたサンプルの有孔類の酸素同位体比からえられた気象変動周期とミランコビッチ周期がぴったりと一致したためです。
これにより、太陽の日射量と氷河期の成立には強い相関関係があると分かりました。

国立天文台の伊藤孝士氏は、自転軸は傾きが大きければ極地方に入射する日射量は大きくなって氷床は溶けて小さくなり、傾きが小さければ極地方に入射する日射量が減って氷床は成長しやすくなる、と述べています。

この他に地球気候に大きく影響を与えているのは地球の自転、海流や気圧の変化により約30年前後の周期で大気と海洋が連動して変化する太平洋振動などもあり、そのうえに太陽黒点の変動も重なっているわけです。

とまぁこんなに変数が多いのに、どうして人為的二酸化炭素ガスだけが、地球気象の決定要因だと断言するのか理解に苦しみます。

 

 

2026年7月 9日 (木)

身体と一緒に頭も冷やせ

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温暖化二酸化炭素説というのは、あまたある気候変動説(おそらく10くらいはあります)のひとつくらいならほどがいいのです。
そうですね、人為的温室効果ガスはもあるでしょうね、という程度なら私もそのとおりだと素直に思います。
しかしよく二酸化炭素説に少しでも疑問を呈すると、「おまえは温暖化を否定するのか」とか「CO2をジャンジャンだしても心痛まないのか」「地球に優しくない不埒者め」などといわれたりしますが、もちろん違います。

今、世界は温暖化しているのは事実ですし、CO2もこれ以上出ては困ります。
ただし、温暖化の原因は単純ではないというコトを言いたいのです。
また化石燃料を敵視する余り、経済に足かせをかけるのも止めようや、と言いたいだけです。
いまやっと呪縛が解けかかってきていますが、いままではそりゃあヒドイもんでした。

IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)によって二酸化炭素説独裁政権が成立し、他の説を「粛清」すると、二酸化炭素だけですべての気象変動を説明できるような錯覚が生まれました。 
このIPCCという科学者の国際団体は、1998年の設立趣旨でこう謳っています。
「人間が起こす気候変動の(クライメイト・チェンジ)リスクの科学面と影響、対策を考える」
ここには「気候変動」とはありますが、その原因を温暖化とだけは書いていません。
当然です。初めから結論を決めた科学などはありえないからです。

IPCCの報告書は、科学面・影響・対策の分野に分かれていますが、なんと言っても「科学面」の知見がその大本です。
「気象変動」という限りは、当然寒冷化の可能性も含まれた多様な議論が保証されるべきですが、そうではありません。
初めから結論が人為的炭酸ガス説でガッチリ固まった「科学的団体」なのですから、白けた自己矛盾です。

私はIPCCの人為的炭酸ガス温暖化説は「根も葉もある間違い」 だと考えています。
たしかに人為的温暖化は存在します。
これだけ人類の経済的社会的営為が広範になると、その影響は無視できません。
しかし炭酸ガスだけで、地球の気候変動をすべて説明しようとするにはあまりにも無理があります。
地球の気候は周期的に変動し続けていますが、その理由を右肩上がりに増大する人為的炭酸ガスひとつで説明しようとするから無理がでるのです。

たとえばなぜ、他の太陽の活動や海洋の周期を視野に入れようとしないのでしょうか。
おそらく私は人為的温暖化と、周期的寒冷化が綱引きをしている状態が現代ではないかと思っています。

しかしIPCCは、温暖化の原因を過度に人為的炭酸ガスのみに求めた結果、その対策もまた炭酸ガス排出規制に一面化され、ともかくなんであろうと炭酸ガスさえでなきゃいいんだろうというようになりました。

そしてIPCC二酸化炭素説独裁政権が成立すると他の説を「粛清」してしまい、二酸化炭素だけですべての気象変動を説明できるような空気が生まれました。
この空気はコワイですよ。ひと頃は化石燃料も適度に使おうなんて言っただけで「地球の敵」としてグレタ・トゥーンベリさんから怒鳴り込まれる有り様です。  

他の説は皆忘れられるか、こっそりと異端審問にかけられて葬られてしまいました。
たとえば、IPCCは太陽の活動の影響を、二酸化炭素の温室効果の7%ていどと過小評価して葬ってしまいました。
科学者にあるまじき非科学性です。

ところで、コロナの真っ最中にCO2が史上最高値だったのを知っていますか。
コロナ感染の盛りで世界経済が最低だったのにかかわらず、CO2だけは出まくっていたことになります。

「ロンドン(CNN) 二酸化炭素(CO2)をはじめとする大気中の温室効果ガスの濃度は年々上昇を続け、昨年さらに観測史上最高値を更新したことが、世界気象機関(WMO)の新たな報告で明らかになった。
WMOが25日に発表した報告書によると、昨年のCO2濃度は産業革命前の149%を記録した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で新たな排出量は一時的に減少したものの、大気中の濃度が過去10年間、次第に上昇してきた傾向に変化はみられなかった。」
(CNN2021年10月27日 )
CNN.co.jp : 大気中のCO2濃度、昨年も記録更新 世界気象機関の報告

これを炭酸ガス人為説の間違いの傍証のように言っている人がいましたが、そうではありません。
こういう時間差が出るのは、CO2が海洋や植物に吸い込まれる自然界の緩衝作用が働いているからです。
植物や自然界がいったんCO2を吸収して一定時間ため込んでから吐き出すのです。

では、いったいどのくらいの時間かかって吸い込まれているのかは大事なポイントです。 
というのは、海洋や植物に吸収されるまでに長い時間がかかるのです。
つまり、今この世界にあるCO2は、ただいま現在のものではなく、過去に由来して蓄積しているのです。
この蓄積期間にも説がいろいろとあるようですが、最短で5年間、長いもので200年間という学者もいるそうです。 

このCO2が自然界に吸収されるまでの期間を、「滞留時間」と呼びますが、これを最短の5年間ととると、モロに人間の活動によるという証明となります。
 一方200年ととると、人間活動との関係が微妙になります。 
というのは工業化のきっかけとなった産業革命が起きたのが18世紀半ばから19世紀だからで、人為説ならばそこから有意な気温上昇がなければならないはずですが、実は19世紀にはテムズような河が凍るような小氷河期が到来したこともあるのです。
また20世紀にも70年代には寒冷期が来ています。
私が若い頃はもっぱら氷河期がやってくると人類はおびえていたのをもう忘れたようです。

では、5年~15年間の短期滞留期間説を取るとすればCO2が気温上昇の疑惑の真犯人という異になります。
ここで登場するのが、CO2と気温上昇がパラレルで上昇するという超有名なマイケル・マンのホッケースティック曲線です。 
これは樹木の年輪の感覚から割り出した仮説です。

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これが地球温暖化を説明するのに都合がいいことから、炭酸ガス主犯説の科学的根拠とされました。
しかしあいにく、このホッケースティック曲線は間違いだらけなのです。
最大の誤りは、上のグラフの右に見える19世紀以前の気温が単調に横ばいですが、現実の観測記録と大きく異なっています。
また10C世紀~14世紀の中世温暖期は無視され、19世紀の小氷河期もなかったことになっています。
つまりマンは都合悪いデーターはこっそり消していたのです。

実はそのことはいまやIPCCですら認めています。ただしこっそりと小声で。

「だがIPCCの第5次評価報告書(2013年)の示した過去の温度のグラフでは、中世(1000年前後)の温度は、現在とあまり変わらない高さまで上がっている。
政策決定者向け要約
「北半球では、1983年から2012年の30年間は、過去1400年間で最も暖かかった可能性が高い」「幾つかの地域において、中世気候異常(950年から1250年)の内の数十年間は、20世紀末期と同じぐらい暖かかった(高い確信度)」となる。(略)

ホッケースティック曲線の発表の後、古気候を巡った論争が起きて、結局、IPCCはホッケースティック曲線の使用を止め、最新の第5次評価報告書では北半球において中世の温暖期(今のIPCCの言葉では中世気候異常と呼ばれているけれども)が存在したことが明記されている」
(『中世は今ぐらい熱かった:IPCCの最新の知見』杉山大志IPCC第6次評価報告統括代表執筆者)

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上図のIPCC(2007) 第4次評価報告書においては、ホッケースティック曲線は消滅しています。
つまり20世紀に入って特異な気温上昇が見られたという説は、科学的信憑性が低いとIPCC自身が認めているということになります。

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また上のグラフは、中世温暖期は地球規模で見ても、中世の温暖期は現在よりも暖かかったとする複数の温度再現研究結果をまとめたものです。
中国においても同様の中世温暖期があったことが記録に残っています。

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また、このホッケースティック曲線が衝撃を与えた20世紀からの極端な気温上昇の中にも、下図のように1940年から1980年まで続いた「寒冷期」が存在します。
そういえば思い出しました。1970年当時の世界の気象学会はどんな警鐘を鳴らしていたのでしょうか。「来る小氷河期に備えよ!」でしたっけね(苦笑)。
そのわずか20年後に真逆ですか、まさに「君子ハ豹変ス」の見本ですな。 

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それはさておき、上の地球の気温変化グラフに、下図のCO2の排出量グラフを 重ねてみましょう。1940年~1980年にかけて、大気中のCO2濃度に低下が見られたのでしょうか、下図をご覧ください。

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 一目瞭然ですね。1940年のCO2排出量は50億トン弱、1980年には180億トン弱、つまり3.6倍になっているにもかかわらず、実際には寒冷期が来ているのです。
これをどのように、CO2の増大が地球の気温上昇につながったと整合性をもって説明するのでしょうか。 

下は極地における氷床ボーリングによる二酸化炭素とメタンの資料ですが、左端の現代と2万3千年前を較べれば同じだとわかります。
さらには1万3千年、3万3千年前にも高い時代がみられます。
The Vostok Ice Core: Temperature, CO2 and CH4
http://euanmearns.com/the-vostok-ice-core-temperature-co2-and-ch4/
 

Vostok_temperature_co2

これらをバッサリ切って視野に入れない、いや議論すらさせないでは、あまりに非科学的というもんではありませんかね。
にもかかわらずその原因を一面的に人為的炭酸ガスのみに求めていき、経済や社会生活に大きな打撃を与えかねない現在の信仰にも似た風潮には疑問をもたざるをえません。

現在のグリーンファンドなどは巨額な資金を運用しており、いまや世界経済にも影響を与えるまでになっています。彼らの野望とこの人為的炭酸ガス説は無縁とは考えにくいのです。

 

 

2026年7月 8日 (水)

忘れられた地球気温要因、海流

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地球の気象は複雑な要因で変動しています。
私は人為的二酸化炭素説もまったくの間違いだとは思いませんが、それ以上に大きく地球気候に影響するのは、太陽黒点活動、宇宙線、ミランコビッチ・サイクル、そして海流と大気との関係などだと思っています。

海流や太陽黒点、宇宙線といった自然環境的の要素と人為的だとされる炭酸ガスの温室効果との綱引きで、地球気温は決定されているのではないでしょうか。
ところがIPCCがなにかにつけ二酸化炭酸ガスのことしか言わなかったり、自然的要因を「二酸化炭素のわずか7%ていどの影響しかない」というような過少評価するのが問題だと思っています。 

地球学の本をひもとけば分かるように、大気、海流、海氷の変化・変動は周期的に起きています。 
特に世界の海の温度を決定しているのは、北大西洋北部・グりーンランド近辺の水温なのです。
(図 独立行政法人海洋研究開発機構 ・JAMSTEC 中村元隆「北半球の気候変動要因の解明 グリーンランド海の急激な変化がもたらした北半球の気候変化」より)

 

グリーンランド海は北極海に最も近い海

 

JAMSTEC

上の図はプレスリリース版のジュニア版でたいへん分かりやすいので、こちらを転移させていただきましたが、これをみると大西洋からの温かいメキシコ湾流が北上して、グリーンランド東側のフラム海峡から北極海に流れ込んでいるのが分かります。 
このグリーンランド海は、世界の海の温度の大元締めです。ここから流れ出た海流がぐるりと地球全体を循環して、地球全体の海水温を決定するのです。 

専門用語で「全地球規模熱塩(ねつえん)循環流」という長い名前がついています。 
この全地球規模熱塩循環流は、熱帯、亜熱帯の温かいメキシコ湾流が、グリーンランド海から北極海に行く間に急激に冷やされて深層に沈みこみます。
そしてそのまま、海底付近を這うようにして大西洋を南下し、今度は南極付近の海の深層流と合流して、インド洋と太平洋に流れ込むそうです。

 

大西洋を起源とする全球規模の熱塩循環流

 

JAMSTEC

この地球規模の海流の循環で、地球気象で重要なのは「大西洋熱塩循環還流」といって、グリーンランド海とラブラドル海で沈みこんだ後に低緯度に向かって進み熱帯・亜熱帯域でわきあがる大西洋だけの流れです。 
上の図の中央左の青線です。 
これが30年から40年ごとに寒冷化と温暖化を繰り返す「振動」と呼ばれる自然現象を引き起こしています。 

この場合の振動とは、私達が使う地震などの震動ではなく、周期的な海流の方向、風の流れ、温度などの繰り返しのことだそうで、「大西洋数十年規模振動」というこれまた長い名前がついています。

この周期に従って、北半球では1940~70年代が寒冷期、1980年代から2010年代までが温暖期となっています。 
ということは1980年代を起点とする温暖期は既に30年以上経過しており、寒冷期に向かわねばならないことになります。
この周期的な「大西洋数十年規模振動」の動向が分かれば、今後の気温変動を予測することが可能なわけです。 

この大西洋振動以外にも、気象、気候には多くの「振動」的現象があります。 
太平洋のエル・ニーニョ現象、ラ・ニーニャ現象、北極振動、そして「北大西洋振動」などがあります。 
ゴア氏の「不都合な真実」が評判だった時によく言われた北極海の氷が解けだす現象も、、赤祖父俊一氏などの手練の北極圏観測者にいわせれば、このような振動、あるいは準振動による変化の範囲内だそうです。 

 

 

2026年7月 7日 (火)

EU、グリーン政策からの総撤退

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今年の熱波でヨーロッパは従来のグリーン政策から総撤退するはずです。
というか、すでに大方の政策は撤退していて、まだ気分だけ残っているだけなんですが。

グリーン政策というのは、ヨーロッパと米国の民主党が大いに肩入れした政策で、地球温暖化とCO2が強い因果関係にあるのだから、CO2排出を大幅に削減しようというものでした。
ところがぶっちゃけ、地球温暖化の原因なんてほんとうのところはわかんないのよ。複合的だから。
CO2は確かに温暖化に影響は与えているのでしょうが、それ以上に太陽の黒点運動や海洋変動の影響の方が何倍も大きいという研究結果も出ています。

メディアに惑わされず落ち着いて考えてみればあたりまえの話ですが、地球は太陽のエネルギーを吸収していますから、その多寡が地球の温度の収支に影響するのは当然です。
太陽の活動が増加すれば地球は温まり、不活発になれば地球は冷えていく、ある意味、たいへんに単純な話です。

太陽の表面には周囲よりも温度が低いため黒く見える黒点があります。

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「京」の中で太陽黒点の11年周期が見えてきた | 計算科学の世界 (riken.jp)

この太陽黒点の増減は、太陽活動と大きな関係を持っています。
1600年から2000年までの太陽黒点400年の動きを見るとこうなります。
ほーら、地球の寒暖と大きく相関しているでしょう。

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ISAS | 46億年の太陽史 / 宇宙科学の最前線
太陽黒点 - Wikipedia

太陽黒点が少なかった1790年から1820年はダルトン極小期、1645年から1715年はマウンダー極小期と呼ばれています。
ダルトン極小期やマウンダー極小期は、地球気温が平均より低かった時期に当たっています
ダルトン極小期 - Wikipedia

1645~1715年の70年間にわたって黒点がほとんど観測されないマウンダー極小期は、全地球的な寒冷期(小氷期)をもたらしました。
この時期、ロンドンのテムズ川が凍りつくなどの気候の寒冷化を示唆する記録が残されています。
下の絵は1677年に描かれたロンドンで、氷の張ったテムズ川の情景です。

イギリスではテムズ川が凍結し、アメリカではニューヨーク湾が凍結しました。
ロンドンやニューヨークといった大都市がカチカチに凍っていたのです。

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“17世紀の危機”の原因は小氷期 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)

他にも1810年前後に黒点活動の低下があり、「ダルトン極小期」と呼ばれています。
この時期、日本では天明の飢饉が起きており、1816年は夏のない年とされています。
アイスランドは海氷に取り囲まれ、食糧不足で人口が半減し、日本でもこの時代には飢饉が頻発し、百姓一揆が起き、社会不安が生まれています。

現代はというと黒点活動は盛んで温暖期に当たっています。
たぶん主要な温暖化の原因は黒点活動ですが、そのほかにも海流や火山の活動も影響しています。

それを人間様の経済活動にによるCO2ひとつで全部説明しようとするから破綻するのです。
たぶん気象学者はわかっちゃいるんでしょうが、黒点はヒトの力ではどうにもなりませんが、人為的CO2ならどうにかなるというところでしょう。
それに反原発運動以降の情緒的エコブームが相乗りしたのです。

ところでややっこしいことには、グリーン政策はいまや理念ではなくビジネスそのものなのです。
地球温暖化阻止という美名にこと寄せて、それを金融ビジネスモデルに変化させるというマジックを演じました。
排出権交渉はいまや完全にでマネーゲーム化してしまい、巨額のカネが国家間でやりとりされています。
こうなるともうマネーゲームだけが独走して暴走します。

そもそも地球温暖化阻止だ、CO2削減するぞなんて言っても、それをもっとも多くを排出する中国やインドなど新興国(いわゆるBRICS)のほとんどが参加していないんですから話になりません。

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国別の二酸化炭素(CO₂)排出量-統計資料から調べる|かながわ気候変動WEB

中印がGDPを大きく伸ばしているトリックは、かの国がそれを考慮しないで経済発展に邁進できるからです。
逆に先進国経済はひたすら負担だけが増えて経済の足を引っ張っています。

たとえば典型的なのはEVです。
これは中国が、日米欧の先進自動車産業国を没落させるために仕掛けた罠でした。
特にヨーロッパはこれにまんまと引っ掛かり、米国はテスラを擁するものの従来の自動車産業は没落しました。
引っかからなかったのは、ハイブリッドという独自の画期的技術を持つ日本くらいなものです。
その結果はご承知のとおりです。
EVに全振りしたWWは世界一から転げ落ち、トヨタは生き残りました。

結局、EUはいままでの内燃機関自動車販売禁止を撤回しました。
つい先日まで内燃車は新車販売させない、ハイブリッドも締め出す、なんて言ってたのに、勝手なもんです。
事実上のEV敗北宣言です。

「欧州連合(EU)は内燃機関車に対する事実上の新車販売禁止を撤回し、環境に優しい輸送機械への移行で自動車メーカーがいっそう柔軟に対応できるようにすることを提案した。
この提案で、欧州は電気自動車(EV)販売が一段と鈍化することが示唆され、前バイデン政権が導入した燃費基準の見直しを進める米国の路線に近づく。世界的にも、グリーン化を利益に結びつけることに自動車メーカーは苦戦し、 米フォード・モーターは15日、EV事業の抜本的な見直しに伴い195億ドル(約3兆円)の費用を計上すると発表した。
EUはガソリンやディーゼルを燃料とする内燃機関を持つ新車の販売を2035年から禁止するはずだったが、新たな提案でこの要件を緩和する。2030年代半ばまでに目標とする自動車の排ガス削減率は、現在の100%から90%に引き下げる」
(ブルームバーク2025年12月16日)
EU、内燃機関車の新車販売禁止を緩和-苦戦の欧州自動車業界を支援 - Bloomberg

こうなるのはわかりきっていました。要するに、EUはチャイナのエコ詐欺にやられたのです。
中国のBYD(比亜迪股份有限公司 )は圧倒的に自動車生産台数でWWやトヨタを追い抜こうとしていました。
当時、中国の経済誌「財新」はEVで世界一となった、自動車業界の世界制覇も目前だと書いていました。

ではなぜここまで中国のEVは強いのでしょうか。
変に思いませんか、つい10年ほど前まではまともな国産車さえ作れなかった中国が、電気自動車がトレンドとなったやいなや世界トップに躍り出ようというのですから。
理由は簡単。中国はEVの核心である電池技術とレアアース市場を独占していたからです。

先進工業国では原材料の環境負荷が高い素材は生産できません。やればできるのですが、コスト的にあわないのです。
ところがチャイナでは環境負荷を無視してレアアースを採掘したために安く生産でき、安く輸出できたのです。
これに先進工業国はまんまと飛びついてしまったわけですが、その結果、ガッチリと中国が仕掛けた罠に引っかかってしまったのです。

実はEVはちっともクリーンではありません。
EVをライフタイム(生産から廃棄までのプロセス)で見れば、そもそも電気を発電する過程でCO2を排出しています。
火力発電やエコ派が目の敵にする原発を動かして電気を作っています。
また、電気は蓄電ロスが大きく、電池は有害物質の塊であり、また重量も大きくなります。
EV車はとんでもなく重いために道路や環境への負担は非常に大きいのです。
中国のCO2排出をストップしない限り、わずかな先進工業国の排出を止めてもなにも変わりません。
本気で炭素排出を減らしたいのなら、火力発電所を日本が作っている炭素排出量が抑えられた新型発電機に切り換え、自動車をハイブリッドにすればよいのです。
しかしEUはそれらを全否定してしまったのです。
ドイツは、「地球環境のためなら死ぬのは覚悟」という意識高い系政策を強引に進めた結果、エネルギーは常に不安定に陥り、電気代は高止まりし、EV推進によって国内の自動車産業は壊滅的なダメージを受けました。
ドイツ社民党のシュレーダーは強引に脱原発を実行し、それによるエネルギー不足をロシアからの安価な天然ガス輸入で補おうとしました。

シュレイダーは原発廃止で地球にやさしくとばかりにキレイゴトを言っていましたが、その裏でプーチンと癒着したパイプライン計画ノルドストリームの拡大を進め、退任の後には、ロシア国営エネルギー企業のガスプロムなどの役員を歴任するという売国ぶりです。

とまれ、ヨーロッパはこの熱波で心底もう止めようと思ったことでしょう。
ここまで熱死者を積み上げてまだ迷妄から醒めないなら病膏肓ですな。

 

2026年7月 6日 (月)

人災としてのヨーロッパの猛暑被害

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ヨーロッパが高温障害に見舞われています。

「【パリ=北松円香】6月下旬に欧州を襲った熱波による死者が増えている。ロイター通信によるとフランスやベルギー、オランダでは平時より著しく死亡数が増える「超過死亡」が3700人に達した。エアコンなど暑さへの備えが足りないことが背景にある。
ロイター通信が3カ国の当局による発表を集計した。集計は暫定値の上、スペインでも死者は1000人に上っており、欧州全体の被害はさらに大きい可能性がある。
フランスのリスト保健相によると、異例の熱波が襲った6月22日から28日までの死者がその前の週よりも2025人多かった。猛暑による体調不良が大幅増につながった恐れがある」
(日経7月3日)
熱波の欧州3カ国、6月下旬の「超過死亡」3700人に フランスなど - 日本経済新聞

たしかにヨーロッパが凄まじい熱波に覆われているのは確かです。

「(ヨーロッパの)平均気温は産業革命前の水準より1.47°C上回っており、平均上昇が1.6°Cであった2024年と2023年に比べてほぼ遅れています。
ヨーロッパ(トルコやロシアの一部まで)は、1980年以降、世界平均の2倍の速度で温暖化しており、1996年以降は10年あたり+0.56°Cの速度で、+0.27°Cでした。
比較すると、アフリカは平均で0.36°C、アジアは0.46°C、北米は0.42°C、そして中南米は0.27°Cです。
WMO事務総長のセレステ・サウロは、2025年が地中海から北極圏にかけての長い熱波が「より頻繁で激しく」なっていると指摘しました」
なぜヨーロッパは地球全体の2倍の速度で加熱しているのですか? | Antenne France

その結果、ヨーロッパ各地で大規模な熱波が発生しました。
「西ヨーロッパが熱波に見舞われ、各地で前例のない高温が相次いでいる。フランスは24日、観測史上最も暑い日となった。イギリスでは6月の最高気温を更新し、スペインでは1日の平均気温の過去最高を記録した。
数千人が過酷な暑さに直面している。仏パリでは気温が摂氏(C)41度に迫り、欧州大陸の広い範囲に最高レベルの「赤色」高温警報が出された。
フランス国内の数十地点での昼夜の気温の平均を示す全国気温指標は24日、30度に達し、1947年の観測開始以来最も暑い日となった」
( BBC6月25日)
ヨーロッパ西部で熱波 フランス、イギリス、スペインで記録的高温 - BBCニュース
日本も去年は熱波で42度(丹波市)を記録し、全国40カ所で最高記録となっています。

「2025年7月30日には、兵庫県丹波市で41.2℃を記録。それまでの国内の観測史上最高気温41.1℃を塗り替えた。
全国144地点で観測史上最高の気温を記録(2024年)
全国914地点のうち、144地点で観測史上最高気温を記録。2024年7・8月は、全国の9地点で40℃以上の最高気温を記録した。また、2024年8月4日は、301地点で猛暑日を観測し、これは過去最多の記録となった」
2025夏は史上最高に暑い夏 「日本の歴代最高気温ランキング」一覧 | ELEMINIST(エレミニスト) 

ヨーロッパのほうが深刻ですが、日本と比較すると熱波での死亡者が違いすぎます。
フランスは2000人超を記録しています。

20260705-173930

AP

「公衆衛生局によると、気温がピークに達した6月22日からの1週間で、前週と比較して少なくとも「29.1%の増加、人数にして2025人の超過死亡」が発生したという。
45歳から64歳の間で死亡者数が「明確に増加」した一方、「65歳以上の高齢者が死亡者の最大の割合」を占めたという」
(AFP7月4日)
フランス、熱波で死者数が約30%増加 パリでは60%超える(AFP=時事) - Yahoo!ニュース

一方日本はその半分の1000人規模です。

「厚生労働省の人口動態統計を基にした政府広報などの整理では、日本の「熱中症による死亡数」は近年おおむね年間1000~2000人規模で推移しています。令和4年(2022年)は1477人と公表されています。
環境省などは「2030年までに熱中症による死亡を半減する」という目標を掲げており、日本全体で対策強化が進められています」
地域・時期に応じた「熱中症警戒アラート」発表基準 ——熱中症死者数の半減に向けて——|2025年度|国立環境研究所

どうしてこんな差が出たのでしょうか?
この原因は、ヨーロッパのエアコン普及率が極めて低いことです。
低いなんてもんじゃありません、フランスなんぞたったの25%です。

「欧州では長年、エアコンは騒音や歴史的建築物の景観を損なうことに加え、膨大な電力消費による気候危機の深刻化などを理由に敬遠されてきた。
実際、家庭用エアコンの普及率を調べると、フランスでは約25%にとどまり、スペインやイタリア(50%)、米国や日本(90%)と比べて著しく低い。しかし、命に関わる猛暑が人命被害や経済的損失を招くようになり、「エアコンは不要」という長年の考え方が揺らぎ始めている」
(中央日報7月2日)
「さらなる災厄を招く」…エアコンをタブー視してきた欧州の国々、真っ二つに分裂(中央日報日本語版) - Yahoo!ニュース

反CO2政策の旗振りだったIPCCも、エアコンを猛暑対策として最も効果的な手段と評価し始めました。
なにをいまさらですが、命に関わる熱波の中でエアコンを頑なに拒むヨーロッパ人の姿は人災にしか見えません。
ヨーロッパ、特にフランスのエアコン普及率はわずか25%にすぎず、日米の9割と大きな差が出ています。
この著しい遅れの原因は、皮肉にもグリーン政策で反炭素が刷り込まれたことです。
エアコン=電気使用増大=火力発電増大=社会悪という「地球にやさしい」政策の結果、エアコンに対する嫌悪が生まれました。

グリーン派が宣伝した概念にフランス語の「choc thermique(ショック・テルミック)」というものがありますが、日本語で「温度差ショック」「温度の急変による衝撃」というのが本来の意味です。
元来は物体・材料に対して、急激に高温または低温にさらされることで、ひび割れや破損などが起こる現象で、ガラスや金属などが急冷・急加熱されると起こりやすい現象の説明に使われていました。
それが人間の社会生活にまで敷衍されていきます。人体・医学的な意味で体が急に熱くなる、または冷たい水に飛び込むなど急激な温度変化によって、強いストレスがかかるとショック・テルミックになるというわけです。

さらにこれに尾ひれがつくと、エアコンをつけた部屋に入るとショック・テルミックとなり、吐き気や失神、あるいはウイルス性の病気を引き起こすということまでいわれるようになりました。
ここまでいくともはや疑似科学ですが、これをヨーロッパでは大手メディアまでがまことしやかに語っていたのですから、困ったもんです。
彼らインテリにかかると、むしろ40度を越える酷熱の部屋で大汗をかくことが「健康的」であり、百歩譲ってエアコンをつけても28度以下に設定することは地球に対する犯罪行為だと主張しました。

なぜ地球に対して犯罪的かというと、いきなり夏期の電力消費が跳ね上がって火力発電所まで稼働させないと間に合わないからです。
日本でも4年前の2022年にこういう「お願い」が政府からでました。

「政府は6月7日、今年の夏と冬は電力需給が極めて厳しい状況にあるとして、企業や家庭に節電を呼び掛けると発表した。数値目標のない節電協力要請は2015年以来7年ぶり。
7日午前に5年ぶりとなる「電力需給に関する検討会合」を開き、政府としての方針を決めた。会合後に会見に臨んだ松野博一官房長官は「この夏に向けては全国でできる限りの節電、省エネに取り組むこと。電力需給がより厳しくなると想定される冬に向けては夏以上の需要対策を進めていくことを決定した」と話した」

(ITメディアニュース2022年6月7日)
政府、夏の節電を要請 「12年度以降で最も厳しい」 - ITmedia NEWS

2022年夏季の供給予備率は惨憺たるもので、東北・東京・中部エリアで供給予備率が3.1%とスレスレでした。
供給予備率とは、電力需要のピークに対し、どれくらいの供給力の余裕があるかを示したものですが、安定供給に最低限必要な供給予備率は3%ですから、今年7月など東北・東京・中部電力の3.1%はレッドゾーンすれすれだったわけで、火力発電所がひとつ止まっただけで、東京は大停電になりかねなかったわけです。
もちろんほかの電力会社から電力融通を受けて持ちこたえるわけですが、応援を受けるのが前提になってしまっています。
ですから、この電力事情を憂慮して、政府が節電要請を出さざるをえなかったわけです。

なぜこういうことになったのでしょうか。
理由は簡単、主力ベース電源の3割を供給していた原発をほとんど全部止めていたからです。
民主党政権によって全原発を止めてしまった結果、日本は恒常的電力不足に陥りました。
民主党政権がメルケル流の原発ゼロ、代替は再生可能エネルギー100%、化石燃料による火力は最小限、というドグマを直輸入した結果がこれです。

再生可能エネルギーが化石燃料や原発に代わる基幹エネルギーにというのはファンタジーに過ぎません。
再生可能エネルギーは正しく社会に位置づければ有意義な電源ですが、過剰な期待をかければ社会的ダメージは計り知れません。
それは自然由来故の、克服しようがない「ブレ」があるからです。これではベースロード電源になるはずがありません。

ヨーロッパはこれを「2050年までにカーボンニュートラルにする」なんて無謀な政策に仕立て上げて、EUの目標として半ば強制的にそれを守らせたのですから罪が重い。
それが回り回ってエアコンの普及率25%などという個人の我慢くらべにまでにしてしまったツケを、今ヨーロッパは払っているのです。
人の政策や行為によって引き起こされ、したがって人が防げる災害を人災と呼びます。

 

2026年7月 5日 (日)

日曜写真館 あじさいに ひとりびとりの思いの丈

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ありなしの色から育つ あじさい これ 伊丹三樹彦

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いくらでも水気ほしげに紫陽花は 細見綾子 

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思ふ事紫陽花の花にうつろひぬ 内藤鳴雪

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さけば降るもののあじさいの長梅雨 荻原井泉水

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あじさいに 絞り下ろしの 水絵具 伊丹三樹彦

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あじさいに降り 有彩の 雨の糸 伊丹三樹彦

 

2026年7月 4日 (土)

珊瑚さん、もう少し深く考えなさい

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ねぇ、珊瑚さん、何度言ってもお分かりにならないようです。困ったな。
あなたはもう「荒し」寸前なのですよ。まるで駄々っ子だ。
いいですか、ここは私が収益なしでやっている個人のブログですよ。なにを書こうが、どうこういわれる筋ではありません。

あなたはなにがなんても辺野古転覆事件に引き寄せたいらしい。

辺野古事故は、いわばいままでの沖縄の反基地闘争の縮図です。
沖縄県が元締めとして支援し、その手足となる運動体を共産党を中心とした左派政党各派が乗り合って作る、という構造の図式はこの沖縄にしかない形です。
ところが、現実にすでに8割が完成してしまっている新飛行場計画を政府が中止する可能性はゼロです。
つまり反対派は反対のための反対をしているにすぎない。
なんのために?それが彼らのもはや宗教的信念だからです。
その意味で、この辺野古移設反対運動を最後に止めを刺したのが、日本基督教教団の牧師であったことは象徴的です。
新事実や新展開が出たらまた書きますが、今のところは予定はありません。
書きたかったらご自分で書くことですね。

ところでトランプを批判することがプーチンを免罪することになる、ですか。
また突拍子もないことを。

「トランプ大統領の評判がどんなに悪くとも、それでプーチンが免罪される訳ではありませんが。それよりも最近辺野古の件が全く取り上げられないのが気になります。最重要人物が夜逃げ同然の失踪を遂げたのに」

あのね、思わず読んで失笑しちゃったんですが、トランプの愚行とプーチンとはまったく無関係です。あたり前だろう、そんなこと。
まぁ、トランプは米国一のプーチンのシンパサイザーだから、こんなプロレス興行ホワイトハウス場所をやることで米国の国威を下げてロシアを掣肘するパワーを減殺させる、なんて大きな意図があるのかもね。(ないよ)

実際、ウクライナ和平がなかなか出来ないひとつの理由は、和平を担保するロシアと拮抗するパワーが欠落していることです。
本来はこここそ米国の出番なんですが、なにぶんトランプの出した和平提案は一から十までまんまプーチン案と一緒なんで、どーにもなりません。
その意味ではトランプの愚行とプーチンは「つながって」いますが、たぶんそんなことまであの男も君も考えちゃいないね。

さて、あなたはこうも書いています。

「イランだウクライナだのと騒いでる間に、沖縄では辺野古転覆事件の最重要人物たる平和丸の船長が行方を眩ませました。このままでは事件の真相が半永久的に封印されてしまいます」

「騒いで」悪かったね。
「真相が半永久的に封印」?そんな大仰なことですかね。
今帰仁出身で日本共産党北部地区委員会農林水産対策部長の諸喜田タケル(しょきた)氏の行方不明のことですか。


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今帰仁村・諸喜田タケル

もうひとりの転覆船船長: 農と島のありんくりん
奇妙なまでに当事者意識なし: 農と島のありんくりん

おおかた共産党が「隠そうとした」んでしょうよ。
共産党としては、それでなくても事故で情緒不安定になって酒に溺れているような彼にナニをしゃべられるか分からないのが怖かったとはいえます。
ただ、もう彼がやったこと、果たしていた役割は完全にわかっているのです。
諸喜田氏は肩書きだけ見ると共産党北部地区委員会の大物のように見えますが、そんなたいしたお人ではありません。
はっきり言って小者。金井牧師のような他者の命を危険にさらすほどの強烈な思い込みや闘争心があったわけではなさそうです。
反対協議会の海上チームの指導者はあくまでも金井氏であって、彼が当日の研修会のスケジュールや航路を決定していたはずです。
ですから、諸喜田氏が逃亡しようとしまいと「真相究明」にはそんなに大きな影響はでないでしょう。

そもそも本格的にどこかに逃亡したならば、今後開かれる公判で、海保は警察権を行使してでも探し出すことでしょう。
いやいまでも最近ようやくやる気になった沖縄県警の監視下にあるかもしれませんよ。

とまれ、「真相解明」したいなら自分ですること。
他人のブログにそれをしろ、しないのはけしからんと言うのはお門違いです。
これは忠告なのですが、もっと多面的に考えなさい。
敵か味方か、正か邪かといった二元論ではなく、敵とした他者にも理念が存在し、意志があるのです。
すっきりとあれは敵だ撲滅しろ、と言うのは政治の言葉であって、現実は更に複雑なのです。

 

2026年7月 3日 (金)

トランプ皇帝の生誕祝賀格闘技大会

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悪趣味だなぁ。今どきこんなことをやらかす為政者なんか世界ひろしといえどこの男だけです。
なんと自分の誕生日にホワイトハウス前特設リングでプレスするんだってさ。
読売が米国リベラルメディアの口移しでこう書いています。

「米国のトランプ大統領が80歳の誕生日を迎えた6月14日夜。ホワイトハウス前の特設リングは興奮に包まれた。この日のために開かれた総合格闘技の試合だ。
国歌が流れ、米軍機が空を舞う。観客の「USA!USA!」の大合唱。専制国家の「王」の誕生日を祝うかのような派手な演出に、スポットライトを浴びてリングに近づくトランプ氏は満面の笑みを浮かべた。
屈強な男が殴り合う姿に熱狂する民衆。不満をそらすため剣闘士を戦わせた古代ローマ帝国を想起させる――。米メディアはそう報じた」
(読売7月2日)
ホワイトハウスで専制君主の誕生日祝うような格闘イベント、三権分立軽視…「市民優先しない<王>いらない」 : 読売新聞

うーん、まるで帝国末期のローマ皇帝みたいですな。
「連邦の敷地内で民間企業がプロレスすることが違法だ」なんて書いているメディアもありましたが、そんなことよりも自分の誕生日を国を上げて祝賀させ、「王宮」の前にリングをしつらえて格闘技をさせる、という趣味の悪さの問題でしょう。

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米国:ホワイトハウスで格闘技 トランプ氏誕生日 「営利目的」批判も | 毎日新聞

そりゃ誕生日をするのは勝手ですよ。どうぞ私的な誕生日なら大好きなプロレスラーのエキシビションのひとつもおやりになるといい。
ただしフロリダの豪邸で。
自分の誕生日を国家の催しでやること自体が、まるでどこぞの田舎独裁者クンのようです。
それも王宮ならぬホワイトハウス前に特設リンクを作らせて、自分は寝室からご覧になるというのですから、まるで皇帝。

あんた忘れているようですが、合衆国大統領は近代民主主義制度が選んだ「公僕」なんですよ。
ホワイトハウス南庭は米国の象徴的空間、いわば聖域です。
そこに巨大UFCアリーナを建設し、格闘技をやらせて悦に入るという感性が現代のものじゃありません。
古代帝政が権力の演出としてやった、かつてのコロッセオでのグラディエーターたちと寸分かわりません。

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ジャン=レオン・ジェローム『指し降ろされた親指』
ローマコロッセオ・グラディエーター闘技場とフォロ・ロマーノ・グループ・ツアー - 2026件(実際の体験者からのレビュー)

まともじゃないね。
この現代版コロッセオに呼ばれたのは100万ドルを払った超富裕層だけだそうです。
いわば上の絵で最前列に並んで、「殺せ」と指を下に向けて熱狂している連中です。

「観戦チケットは一般販売されなかった。ホワイトハウスは会場の4000席の一部を埋めるため軍関係者を集めた。その他のチケットはトランプ政権が管理した。事情に詳しい関係者によると、UFCは100万ドル以上を支払ったゲストにチケットを提供したという。
​トランプ氏は今回、連​邦政府の敷地内で民⁠間企業のイベントを開催するために広範な大統領権限を行使した。これは慣例を破るもので、法廷闘争を招き、イベントの費用や倫理的な利益​相反の可能性を巡る懸念を高めた」
(ロイター6月15日)
トランプ氏80歳の誕生日、ホワイトハウスで総合格闘技の試合開催 | ロイター
国家の私物化なんていうとそれで終わってしまいますが、こういう感性をお持ちの「帝王」が君臨していることにうすら寒い思いをします。

2026年7月 2日 (木)

次はチェチェンだ

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チェチェンの独裁者にして、プーチンの数少ない友であるラムザン・カディロフ首長が死にかかっています。

「チェチェン共和国のカディロフ大統領は重篤な病を患って末期症状にあるとされるが、後継者問題が片付いていない。プーチンはウクライナ戦争に加え、チェチェンの不安定化という第二の難問を抱えることになる」
(Foreign Policy誌(web版)に6月4日)
プーチンのウクライナに次ぐ二番目に大きな頭痛の種:チェチェン

カディロフのことをよくメディアは「盟友」などと美称していますが、むしろプーチンの「忠犬」と呼ぶべきでしょう。
プーチンなくしては政権が一日も持たないのですから。
ですから、飼い主が核攻撃だといえばワンと吠え、ウクライナに攻め込めと言われれば涎を流さんばかりにして戦地にチェチェン兵を送りました。
その結果,多くの戦死者を出したようです。

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ラムザン・カディロフ首長
プーチン氏に尽くす残虐部隊「カディロフツィ」 ウクライナでも活動 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News

この「忠犬」ぶりは、たとえばプーチンが2022年9月にロシアは領土を守るために「利用可能なあらゆる武器」を使うと表明し、「これは決して口だけの脅しではない 」、これはもちろん核兵器先制使用をほのめかしたのですが、カディロフはちぎれんばかりに尻尾を振ってこう言いました。

「ロシア連邦内にあるチェチェン共和国のカディロフ首長は、同国で一般的なSNS「テレグラム」で10月1日、リマンを防衛していた指揮官を無能だとして、「前線で機関銃を持って戦うべきだ」と痛烈に批判。「個人的な意見」と前置きした上で、「国境地帯での戒厳令の発令や低出力の核兵器の使用まで、より抜本的な対策を講じるべきだ」と主張した」
(ハフィントンプレス10月1日)
【リマン撤退】チェチェン首長が核攻撃を提言 ⇒ 米シンクタンク「注目に値しない」と冷静な理由は?(ハフポスト日本版) - Yahoo!ニュース

ボスがぼやかして「利用可能なあらゆる武器」なんて言っているのに、子分はどぎつく「低出力の核兵器」なんて言っちゃっています。
ウクライナで戦術核を使えということを平気で言うというトンデモの人物です。
彼我の戦線が入り組んでいる東部国境地帯で戦術核なんぞ使用したら、露軍にも被害が及びます。
こういう常識がなく、極論を吐くような人物がカディロフです。

チェチェン人はソ連末期の混乱期の1990年に、西側に隣接するイングーシ人とともに、ソ連からの独立を宣言します。
翌年、チェチェン共和国とイングーシ共和国に分かれますが、ソ連は彼らの独立を認めませんでした。
ソ連崩壊後のロシア連邦(エリツィン政権)もチェチェンの独立を認めず、軍事侵攻します。ここで起きたのが第一次チェチェン紛争です。
1995年、ロシア軍がチェチェンの首都グロズヌイを制圧しますが、武装勢力のゲリラ闘争が続き、翌年、停戦が合意されますが、抵抗が止んだわけではなくチェチェンの独立派はモスクワで爆弾テロを繰り返しました。
2000年にエリツィンからプーチンに替わると、ロシアはチェチェンを再びロシア連邦内の自治共和国に戻し、カディロフの父親のアフマド・カディロフを暫定チェチェン共和国大統領に任命しました。いうまでもなくバリバリの親露派政権です。
なんとカディロフは親父から権力をもらって、後述しますが伜を後継に据えて三代に渡る独裁政権を作ろうとしているわけです。
ところがこのカディロフ2代目が死にかかっているのです。

「カディロフの健康不安説は、膵臓壊死などと報じられた2019年頃からあったが、その後、20年にはコロナ感染、22年には腎不全による入院説などが広がり、最近ではプーチンの年次教書演説に23年、24年と2年連続で欠席、25年12月の国家評議会の会合にはロシア全土で唯一チェチェン共和国からのみ代表が出席せず、さらに、杖をついて歩く姿がメディアで確認されるなど、目に見える形で病状の悪化が窺われた」
(岡崎研究所6月29日)
プーチンが潜在的に抱える爆発的な難問、チェチェン共和国の後継者問題  Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン)

ざまぁないですな。核兵器を使ってウクライナ侵略をしろなんて言う男が、自分のほうがボロボロの末期ガンのようです。
まだ眼が黒いうちに後継者を据えておかねば安心してベッドで眠れないはずですが、これが決まっていません。
こういう独裁者は法則的に血縁の者を後継者に据えたがるものですが、カディロフも伜の長男のアフマト(20歳)を副首相代行に、また三男のアダム(18歳)を過去2年のうちに警護責任者を含む複数の要職に任命するなどして、親族で権力を固めようとしました。
しかしあいにく長男はまだ20歳の若僧で、ロシアの法律では地方首長の有資格年齢は30歳以上でなければならないそうです。
お気の毒、あと10年もカディロフは権力にしがみつかねばならないのです。

この時期に起きたのが、ウクライナの本格的反攻によるプーチン政権の揺らぎでした。
ウクライナにはカディロフの政敵であるチェチェン独立派が義勇兵を送っているのです。
彼らはプーチンがチェチェンの独立派を鎮圧する過程で、カディロフによって苛烈な弾圧を受けて国外に逃げた人たちです。
彼らはウクライナへ逃げ、そこで豊富を実戦経験をウクライナ軍に伝授し、また現代戦のノウハウを叩き込まれました。

「これまでカディロフに排除されてきた共和国内外のチェチェン人各勢力による反乱だ。カディロフは絶対的支配を確立する過程で、抵抗勢力に対する弾圧、暗殺などを繰り返してきた。彼らの多くは、カディロフ亡き後の権力の空白を狙っている。
政権側にとって特に懸念されるのは、ロシアからの独立を目指し戦っていたがカディロフ派から排除され、今はウクライナでロシアと戦っている兵士たちだ。彼らはウクライナ人以上に長い戦闘経験をもち、ウクライナの激戦地で現代戦の実戦経験を積んだ、正に精鋭部隊である」
(岡崎研前掲)

彼らがチェチェンに帰ってくる、これほどカディロフにとっての恐怖はないでしょう。
しかも今やプーチンは御身大事で、子分など助ける余裕はどこにもないのです。

「ウクライナ戦争による財政難でモスクワの資金援助が細っていく可能性だ。もともとチェチェンの安定は、カディロフによる強権政治と彼の個人的権威、そしてモスクワの軍事的・財政的支援によって支えられてきた。カディロフが死亡し、ウクライナ戦争による財政難でモスクワの資金援助が細って行けば、ロシアが望むような政権を安定的に維持することは難しくなるだろう」
(岡崎研前掲)

かつてのように、プーチン露軍の戦車軍団でチェチェンを蹂躙するような「元気」はもうどこにもありません。
あるのはウクライナ軍のドローン攻撃に怯えて逃げまどう戦車と、補給を遮断されて塹壕に頭を突っ込んで震えている兵隊ばかりなのですからチェチェンどころではありませんやね。 

 

2026年7月 1日 (水)

ドローンに見るウクライナとロシアの違い

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ロシアに対してウクライナが反撃を続けています。
ウクライナは過去4年間の戦争の中で、ドローンというまったく新しい戦術の次元を作り出しました。
これは単なるロシアに対する対抗手段の枠を越えて、今や21世紀の戦争の仕方そのものを変えるまでになっています。

その結果、クリミア半島へのウクライナ側からの物流路を封鎖することに成功し、一方で長距離ドローンによってロシアの中心地域まで攻撃の範囲に入れることに成功しました。
ロシアという国はいびつな人口分布を持つ国で、人口の約75%がウラル山脈の西側に集中して居住し、彼らが政治経済の中心を担ってきました。
ここはウクライナから続く肥沃な穀倉地帯であり、ロシアが自らをヨーロッパの一部だと考えているのはこのためです。
もっともヨーロッパから見れば、ロシアなんぞ東方野蛮国にすぎず、それがロシアのツァリーたちの積年のコンプレックスでしたが。

一方、それ以外の地域、すなわち中央部はツンドラ地帯であり、極東地域にも少数民族が居住していますが経済は大きく立ち遅れています。
プーチンがウクライナ戦争に駆りだし、一説で50万人という途方もない戦死者を出しました。
その大部分はこのウラル以東の地域から出しています。


「イギリス最大のスパイ機関によると、ロシアが2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始して以来、約50万人のロシア兵が死亡した。英政府通信本部(GCHQ)のアン・キースト=バトラー長官が27日、就任後の初の公開演説でそうした分析を明らかにした」
(BBC2026年5月28日)
ロシア兵約50万人がウクライナでの戦争で死亡と英情報当局 - BBCニュース

小泉悠氏は「プーチンは国民を消耗品だと思っている」と言っていますが、プーチンがそう思っているのは、あくまでもウラル以東のアジア系ロシア国民だけです。
ウラル以西のヨーロッパ系ロシア国民は徴兵を免れ、ウクライナ戦争はテレビで見聞きするだけのものにすぎませんでした。彼らがプーチン政権の支持基盤です。
それが覆されたのは、先日来のウクライナによるモスクワ爆撃があったからです。

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製油所の巨大な上部構造が吹き飛ぶ、モスクワでウクライナの大規模ドローン攻撃 産油国のロシアが燃料輸入へ(字幕・18日) | ロイター

ウクライナはウラル山脈まで到達する射程2000kmの攻撃型ドローンを開発し、モスクワなどの国家中枢すべてがいまやウクライナ軍の射程に入ってしまいました。
いまやプーチンは自慢の戦勝記念日すらおちおち開けないほどです。
またウクライナはクリミア半島に続く補給路であった橋を落とし、クリミア回廊を遮断しました。
そのためにクリミア半島はいまやガソリンやガスをはじめとした物資が枯渇し孤立した「島」と化しています。
クリミアは従来はヨーロッパ系ロシア人の避暑地だったようですが、今年はどうなりますことやら。

さて、ウクライナ側のドローンの戦果ばかりがでてきますが、ロシア側のドローンはどうでしょうか。
いやロシアのほうがウクライナより量産しており、発射数はむしろ多いくらいです。
ただし当たらないので、ほとんど戦況には影響がないだけのことです。

「ロシアは、2025年3~5月の間、1か月当たり平均して約3,000機以上のドローンを使用してきた。しかし、標的への命中率は12.5%にとどまっている。一方、ゲラン2の単価は約2万ドルに過ぎないため、命中率が低かったとしても、ウクライナ側に賦課できるコストは大きい。ロシアは、ドローン生産を月産5,000機から数万機にまで増やすことを目指し、それを実行に移しつつある。ウクライナでは、今後、1日当たり1,000機のドローンが飛来することになるとの観測もある」
(地経学研究所2026年3月)
ドローン製造戦争:ウクライナ戦争におけるもう一つの戦場|地経学研究所(IOG)の研究活動

またロシア製ドローンは、設計がイラン、部品のほとんどは中国製で占められています。

「ロシア製ドローンはイランの設計に基づいているが、一方でその部品、特にエンジン、航法装置、炭素複合材、電子機器、バッテリー等は中国に大きく依存しているとされる。特に、エンジンと電子機器はイランによる供給が困難で、中国がその役割を担っていると指摘されている。
ゲラン2及び3の製造拠点であるアラブガ地区には、「鄧小平物流コンプレックス」と通称される中国との共同物流施設が存在しており、中国からのドローン部品供給が大規模に行われていることが窺える」
(地経学研究所前掲)

一方ウクライナも同様に戦争初期には中国製部品に依存していました。
しかしロシアと同盟を結ぶ中国はウクライナへの部品供給を制限したために、一時は部品調達に苦しんだようです。
しかしそれを乗り越えたのが、持ち前の精密工業を活かした内製化の成功でした。

「この問題に対応するため、ウクライナは部品の内製化に着手し、ドローン専用部品の生産により単価低減と性能向上を実現しつつある。
もう一つの有効な対応策は、西側諸国とのドローンに係る生産協力である。ウクライナ防衛生産基盤は、戦争勃発後急速に拡大し、売上規模ベースで、開戦以来35倍の規模となった。
それにもかかわらず、政府予算の不足により、その生産余力は十分活用されていない状況にあった。この資金ギャップを埋めるため、欧州各国は自国の資金や対露制裁で得た凍結資産の利子を原資としてウクライナに資金を提供し、ウクライナ国内でドローン等を生産する「デンマーク・モデル」を推進している」
(地経学研究所前掲)

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ウクライナの避難民が製造 戦況を変える“ドローン” ウクライナに残る家族と離れて戦争の終結を願う【ウクライナ侵攻から1年】|TBS NEWS DIG - YouTube

たとえばラトビアでは避難民がドローン工場で働いています。
このような周辺国の強い支援があってドローンはウクライナのロシアを「押し戻す力」になったのです。

 

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