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2026年7月 2日 (木)

次はチェチェンだ

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チェチェンの独裁者にして、プーチンの数少ない友であるラムザン・カディロフ首長が死にかかっています。

「チェチェン共和国のカディロフ大統領は重篤な病を患って末期症状にあるとされるが、後継者問題が片付いていない。プーチンはウクライナ戦争に加え、チェチェンの不安定化という第二の難問を抱えることになる」
(Foreign Policy誌(web版)に6月4日)
プーチンのウクライナに次ぐ二番目に大きな頭痛の種:チェチェン

カディロフのことをよくメディアは「盟友」などと美称していますが、むしろプーチンの「忠犬」と呼ぶべきでしょう。
プーチンなくしては政権が一日も持たないのですから。
ですから、飼い主が核攻撃だといえばワンと吠え、ウクライナに攻め込めと言われれば涎を流さんばかりにして戦地にチェチェン兵を送りました。
その結果,多くの戦死者を出したようです。

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ラムザン・カディロフ首長
プーチン氏に尽くす残虐部隊「カディロフツィ」 ウクライナでも活動 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News

この「忠犬」ぶりは、たとえばプーチンが2022年9月にロシアは領土を守るために「利用可能なあらゆる武器」を使うと表明し、「これは決して口だけの脅しではない 」、これはもちろん核兵器先制使用をほのめかしたのですが、カディロフはちぎれんばかりに尻尾を振ってこう言いました。

「ロシア連邦内にあるチェチェン共和国のカディロフ首長は、同国で一般的なSNS「テレグラム」で10月1日、リマンを防衛していた指揮官を無能だとして、「前線で機関銃を持って戦うべきだ」と痛烈に批判。「個人的な意見」と前置きした上で、「国境地帯での戒厳令の発令や低出力の核兵器の使用まで、より抜本的な対策を講じるべきだ」と主張した」
(ハフィントンプレス10月1日)
【リマン撤退】チェチェン首長が核攻撃を提言 ⇒ 米シンクタンク「注目に値しない」と冷静な理由は?(ハフポスト日本版) - Yahoo!ニュース

ボスがぼやかして「利用可能なあらゆる武器」なんて言っているのに、子分はどぎつく「低出力の核兵器」なんて言っちゃっています。
ウクライナで戦術核を使えということを平気で言うというトンデモの人物です。
彼我の戦線が入り組んでいる東部国境地帯で戦術核なんぞ使用したら、露軍にも被害が及びます。
こういう常識がなく、極論を吐くような人物がカディロフです。

チェチェン人はソ連末期の混乱期の1990年に、西側に隣接するイングーシ人とともに、ソ連からの独立を宣言します。
翌年、チェチェン共和国とイングーシ共和国に分かれますが、ソ連は彼らの独立を認めませんでした。
ソ連崩壊後のロシア連邦(エリツィン政権)もチェチェンの独立を認めず、軍事侵攻します。ここで起きたのが第一次チェチェン紛争です。
1995年、ロシア軍がチェチェンの首都グロズヌイを制圧しますが、武装勢力のゲリラ闘争が続き、翌年、停戦が合意されますが、抵抗が止んだわけではなくチェチェンの独立派はモスクワで爆弾テロを繰り返しました。
2000年にエリツィンからプーチンに替わると、ロシアはチェチェンを再びロシア連邦内の自治共和国に戻し、カディロフの父親のアフマド・カディロフを暫定チェチェン共和国大統領に任命しました。いうまでもなくバリバリの親露派政権です。
なんとカディロフは親父から権力をもらって、後述しますが伜を後継に据えて三代に渡る独裁政権を作ろうとしているわけです。
ところがこのカディロフ2代目が死にかかっているのです。

「カディロフの健康不安説は、膵臓壊死などと報じられた2019年頃からあったが、その後、20年にはコロナ感染、22年には腎不全による入院説などが広がり、最近ではプーチンの年次教書演説に23年、24年と2年連続で欠席、25年12月の国家評議会の会合にはロシア全土で唯一チェチェン共和国からのみ代表が出席せず、さらに、杖をついて歩く姿がメディアで確認されるなど、目に見える形で病状の悪化が窺われた」
(岡崎研究所6月29日)
プーチンが潜在的に抱える爆発的な難問、チェチェン共和国の後継者問題  Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン)

ざまぁないですな。核兵器を使ってウクライナ侵略をしろなんて言う男が、自分のほうがボロボロの末期ガンのようです。
まだ眼が黒いうちに後継者を据えておかねば安心してベッドで眠れないはずですが、これが決まっていません。
こういう独裁者は法則的に血縁の者を後継者に据えたがるものですが、カディロフも伜の長男のアフマト(20歳)を副首相代行に、また三男のアダム(18歳)を過去2年のうちに警護責任者を含む複数の要職に任命するなどして、親族で権力を固めようとしました。
しかしあいにく長男はまだ20歳の若僧で、ロシアの法律では地方首長の有資格年齢は30歳以上でなければならないそうです。
お気の毒、あと10年もカディロフは権力にしがみつかねばならないのです。

この時期に起きたのが、ウクライナの本格的反攻によるプーチン政権の揺らぎでした。
ウクライナにはカディロフの政敵であるチェチェン独立派が義勇兵を送っているのです。
彼らはプーチンがチェチェンの独立派を鎮圧する過程で、カディロフによって苛烈な弾圧を受けて国外に逃げた人たちです。
彼らはウクライナへ逃げ、そこで豊富を実戦経験をウクライナ軍に伝授し、また現代戦のノウハウを叩き込まれました。

「これまでカディロフに排除されてきた共和国内外のチェチェン人各勢力による反乱だ。カディロフは絶対的支配を確立する過程で、抵抗勢力に対する弾圧、暗殺などを繰り返してきた。彼らの多くは、カディロフ亡き後の権力の空白を狙っている。
政権側にとって特に懸念されるのは、ロシアからの独立を目指し戦っていたがカディロフ派から排除され、今はウクライナでロシアと戦っている兵士たちだ。彼らはウクライナ人以上に長い戦闘経験をもち、ウクライナの激戦地で現代戦の実戦経験を積んだ、正に精鋭部隊である」
(岡崎研前掲)

彼らがチェチェンに帰ってくる、これほどカディロフにとっての恐怖はないでしょう。
しかも今やプーチンは御身大事で、子分など助ける余裕はどこにもないのです。

「ウクライナ戦争による財政難でモスクワの資金援助が細っていく可能性だ。もともとチェチェンの安定は、カディロフによる強権政治と彼の個人的権威、そしてモスクワの軍事的・財政的支援によって支えられてきた。カディロフが死亡し、ウクライナ戦争による財政難でモスクワの資金援助が細って行けば、ロシアが望むような政権を安定的に維持することは難しくなるだろう」
(岡崎研前掲)

かつてのように、プーチン露軍の戦車軍団でチェチェンを蹂躙するような「元気」はもうどこにもありません。
あるのはウクライナ軍のドローン攻撃に怯えて逃げまどう戦車と、補給を遮断されて塹壕に頭を突っ込んで震えている兵隊ばかりなのですからチェチェンどころではありませんやね。 

 

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コメント

チェチェンなんか、他のイスラム系地域のように普通に独立させて友好関係にしとけば良くね?と思いましたが、地域の要衝ではあるけどソ連崩壊後も完全に締め付けでしたね。
凄惨なゲリラ戦の後に親露というか親プーチンというだけでチェチェン支配のトップになっただけの過激派。それこそザマァですが···ここまでますます不安定化するのか。
ロシアというかプーチンはどうするんですかねぇ。
ウクライナはキーウを奇襲して3日で落とすはずだったのが、阻止されて泥沼の総力戦になりもう4年半。プーチンご自身の健康すら不安になってますけど。進んでKGBに入りながらソ連崩壊を目の前で見ながら、彼の「ソ連」や「帝政ロシア」への極端な偏愛っぷりがどう見てもブッ壊れてると思います。兵士をただの消耗品としか見ていない点だけは昔のままですが。

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