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2026年8月11日 (火)

「核なき世界の夢」というお菓子

S22-005

この時期になると風物詩のように出てくるのが「核なき世界」というお菓子です。
朝日は今年もあきもせずにこう書いています。

「1945年8月に米軍が広島と長崎に投じた原爆は、同年だけで21万人の命を奪い、死を免れた人々も長く放射線の影響に苦しんだ。そして、被爆者たちは核兵器がいかに非人道的な兵器なのかを訴え、語り続けてきた。
その声こそが力となり、核のタブーの礎となった。2024年には日本原水爆被害者団体協議会日本被団協)にノーベル平和賞が贈られた。代表委員の田中熙巳さんは7月の長崎でのシンポジウムで「絶対に同じ苦しみを与えてはいけない」と訴えた。
核兵器をめぐる危機的な状況にもかかわらず、4~5月のNPT再検討会議は軍縮への具体的な行動で一致できなかった。11月から核兵器禁止条約の再検討会議も予定される。日本政府は国際会議などあらゆる機会を通じ、核兵器がもたらす惨禍を訴え、保有国に軍縮・廃絶への具体的な行動を求めていくべきだ。
このまま座視し続ければ、いつか「核のタブー」は破られかねない。それを阻止することこそが、戦争被爆国である日本の役割だ」
(朝日社説 2026年8月6日)
(社説)被爆81年 揺らぐ規範 核使用のリスクを座視できぬ:朝日新聞 

朝日社説は例によって「言うだけで実現する」というお菓子のような世界観に支えられています。
わが国のおかれた環境は日本を敵視する核保有国に包囲されており、その意図と軍事力、特に核戦力を無視して核を語れないことを忘れています。
そして「日本が非核を唱えていれば平和が保たれる」、という甘ったるいお菓子をむさぼり食うだけで平和が訪れると国民に説教します。

世界には安全保障におけるお菓子を嫌う国も存在します。
代表的な国は、イスラエルとスイスです。
イスラエルは90発以上といわれる核を保有しており、これは単なる疑惑ではなく公然の秘密です。
イスラエルは保有をあえてあいまいにする戦略をとっており、米国の核の傘(拡大抑止)にも依存していません。
だから米国の尻を蹴飛ばすようにしてイラン戦争も起こせるわけです。

20260811-041444

公然の秘密、イスラエルの核兵器プログラムについて分かっていること - CNN.co.jp

米国はあえてこの「イスラエルの核」の存在に眼をつぶってきました。
最初の暴露記事が出た1986年から6年後に、米国はイラクに開戦するにあたっての大義を核兵器や大量破壊兵器の開発阻止に置きましたが、戦後の検証によってそのようなものはなかったことがわかっています。
またイランは2003年に核開発が露顕した後、厳しい制裁を受け続け今回のイラン戦争の目的は核開発阻止だったはずです。
中東において最初に核開発に成功し、核爆弾とその投射手段を保有するイスラエルにはひとこともなかったのですから、これは二重基準です。

一方、「核なき世界の夢」を条約化したのが核兵器禁止条約ですが、 2018年8月、スイス議会は核兵器禁止条約に書名しないことを決定しました。
スイスは米国の核の傘に入ってはいませんが、理由がふるっています。

「スイスの内閣(連邦参事会)は8月15日、当面の間、核兵器禁止条約に署名しないと決定した。また、スイス外務省を中心とする作業部会が6月30日に作成した、現時点で同条約に加入すると、核廃絶のための取り組みとスイスの安全保障のうえで、得るものより失うものが多いとする報告書を公開した」
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之『NEWSを疑え!』第707号2018年8月30日号)

言い方が面白いですね。「当面入らない」と前置きしたうえで「得るものより失うもののほうが多い」というしたたかな表現を使っています。
つまり情緒的にではなく、物事の軽重を秤にかけてみたが、不参加が重いので参加しない、という言い方です。
どこぞの国の首相のように、「これこそ核廃絶の道だ。しかしウチの国は入れん」という分裂したことを平気で言えるナイーブな御仁とは違います。

スイス政府の報告書は、核兵器禁止条約に「加入すべき4つの理由と、加入すべきでない5つの理由」を公表しています。

●核兵器禁止条約にスイスが加入すべき理由
①国際人道法に合致している。核兵器を使用すると、国際人道法の下記の原則に違反することは避けられそうにないので、包括的に禁止すべきである。
●戦闘員と非戦闘員を区別し、非戦闘員は攻撃目標にしないこと。
●非戦闘員の巻き添え被害は、目標の軍事的価値に比べて、不釣り合いに大きくしないこと。
●攻撃側も防衛側も、非戦闘員の巻き添え被害を予防する措置をとること。
●不要な苦痛を与えないこと。
●長期的な環境破壊を避けること。
②人道と平和という目的は、スイス外交の伝統に沿っている。
③核兵器の役割と使用の可能性が声高に語られている国際情勢と対照をなす。
(西前掲)

スイスは非戦闘員である市民を大量に巻き添えにする核兵器に対して、「人道と平和の伝統を守る国」としては反対するが、「核兵器の使用の可能性」が高まっている現状では、不参加にならざるをえないとしているわけです。
これが書かれたのは、まだウクライナ侵略の4年前のことですから、さらに核兵器をロシアが使用する可能性が高まった今、ここで唯一の対抗抑止力である米国の核の傘を取り払ってしまうなど、中立国にとっても自殺行為だということを、スイスは冷徹に理解しています。

スイスはさらに反対理由をこう具体的に述べています。

●スイスが核兵器禁止条約に加入すべきでない理由
①核廃絶をもたらす直接の効果はない。核保有国もその同盟国も加入しそうにないからだ。
②核保有国と核廃絶を急ぐ国々との間の橋渡しをするという、スイスの方針と矛盾する。主要国を排除して汚名を着せるやり方は、スイスらしくないし、対立を強め、核廃絶を遠ざけるおそれがある。
③安全保障政策上のリスクが高い。仮にこの条約が核廃絶をもたらすとすれば、その効果は自由民主主義国でしか現れず、西側諸国の軍事力を弱めるだろう。また、スイスは万一の緊急事態にも、核抑止に基づく同盟には加入できないことになる。さらに、隣国ドイツ・フランス・イタリアおよびNATOとの平時の協力も制限される。
④二次的効果が不明。核兵器禁止条約と矛盾のある核拡散防止条約(NPT)が弱体化されるおそれがある。また、禁止された活動に対する支援として、どのような活動が禁止されるのか定義されていない。さらに、核兵器禁止条約は、陳腐化した検証基準を容認し、より適切な、国際原子力機関(IAEA)の追加議定書に言及していない。
(西前掲)

この核兵器禁止条約の隠れた意図を、スイスは明瞭に指摘しています。
それは「この条約が核廃絶をもたらすとすれば、その効果は自由民主主義国でしか現れない」、つまり、米国とその同盟国たる自由主義陣営の打撃にしかならないということです。
そしてさらに現在の国際社会における唯一の核拡散に対する歯止めとしてのNPT (核拡散防止条約) の存在とバッティングし、これを無意味にしかねないマイナスの効果が発生しさえする、としています。
そもそも核兵器禁止条約は抜け穴だらけで、スイスが批判するようにIAEA(国際原子力機関)の追加議定書にあるような査察が明記されていないのです。
査察なき核兵器禁止条約など空文、つまりお菓子なのです

つまり「核なき世界の夢」とやらは、核武装することに邁進している北朝鮮やイランに対してなんの効力もないばかりか、米国の核の傘を孤立化させ、中国、ロシアなどを喜ばせる結果しか生まない、ということをスイスは言っているのです。

 

 

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コメント

 「イラクに確かに大量破壊兵器はあったが、その大半が米国製だった」という話を何処かで見かけた事がありますが、真相はどうなのでしょうか?

あえて情緒的な表現をすると「いとおかし」ですかね。

スイスは戦争のたえなかったヨーロッパのど真ん中で長年「永世中立国」という地位を確立してきたので、実に堅実というかしたたかというか現実的に語っています。

湾岸戦争は、その前のイラン革命後にイラン・イラク戦争まで欧米が肩入れしてたフセインが増長してクウェート侵攻なんてバカをやらかしたから、実質「連合軍」で対処して圧勝。
トランプの性質からして、こういうイメージがあったのかと。
ブッシュJrの「テロとの戦争」でも同様な形でやったけど、オバマがアフガンへ「転身」して泥沼化するはISなんてトンデモ集団が拡大するわ、「アラブの春」絡みで大変な混乱になりました。全部がリンクしているのでピンポイントで誰が悪いって決めつける様な話ではありません。

いずれにせよ、今回はネタニヤフとトランプが勝手にやり過ぎでストッパーがいないのが大問題ですね。それぞれ主張はあるんだろうけど、世界中が大迷惑なのは確かです。

実際、現実に米国の持つ核の傘の下にいる日本国において、核廃絶とかおかしな話ですわ。そりゃ、私だって核兵器は怖いから核兵器なんてこの地球上から無くなればいい!とは思ってはいますが、彼ら(キ○ガイ専制国家)はその権力掌握の意味から核を絶対に手離しませんので、日本に米国の核の傘は必要という立場ですわ。

核兵器が筆舌に尽くしがたい怖ろしい兵器であればあるほど、正気な人間なら「こんなものが自分や家族に対して炸裂させられたらと想像すると、もう身の毛もよだつわい」と震撼するので、それが強力な"核の抑止力"が働く道理となります。それが忌々しくも、第二次大戦後80年以上も核兵器が使われてこなかった証拠になってますわ。

核兵器保有国のあいだで、もし先に核兵器を使ったら、次には核兵器の報復を受ける。いくら盤石な専制国家でも先に核兵器を使えば、必ずその報復をうけて大量の自国民が凄惨な死に方をしてしまい、どんなに従順で大人しい国民であっても文字どおり死に物狂いの抗議が起きて、その国家体制は崩壊する。

そんなことは、習近平だろうとプーチンだろうとしない(と思う)。けど黒電話は窮地に陥ったらワカラナイ、「オレが死ぬなら、もう全世界を道連れにしてやるぅ」、それにイランの逝っちゃってる宗教坊主ども、アイツらも「全知全能のアッラーが祝福するワシらが死ぬのなら、もうこの世界に意味な無い、滅びてしまえ」

私の当たる悪い予感は(私の良い予感は当たらない)、いつかテロリストが核兵器を持ち、その彼らの境界知能のゆえに核の抑止力が働かなくて、エライ事になるというものですわ。核兵器を保有する国は増やさず現状のままで、これ以上保有しようとする者があれば、全力で阻止するのが全人類の為ですわ。それゆえ、トランプ親ビンのイラン攻撃はありがたいことですわ。

 長崎市が9日の慰霊祭で、台湾代表に対して非常に失礼極まりない仕打ちをした事が絶賛炎上中ですが。去年も同じ非礼を働いたとか。核廃絶を口のしながら、核保有国に「忖度」した事で市長の演説は全く無意味なモノに堕してしまいました。幾らパヨ勢力の強い地域とは言え、広島市にできた事をしなかったのですから、長崎市長は自らの顔に泥を塗った事になるのですが、市長はじめ長崎市のトップにどれだけその自覚があるのやら。来年もどの面下げて核廃絶を訴えるのやら。

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