プーチン、我慢較べをしましょうか
今回の択捉島上陸で、プーチンが日本とまともな領土交渉をする気が皆無なことはよーくわかりました。
そして極東で軍事的緊張を高めていく決意であることもわかりました。
ロシアは近年、北極海やオホーツク海の弾道ミサイル搭載原潜のパトロール地域を防衛すべく、国境地域における防衛網の強化を進めてきました。
すでに極東で大規模な「ヴォストーク2014」のような軍事演習もしていますし、その時には択捉島にヘリ部隊が展開しています。
そしてとうとう戦闘機部隊も配備準備しています。
「択捉島のヤースヌィ空港にロシア空軍のSu-35S戦闘機が飛来したというもので、地元紙「サハリンインフォ」が2018年8月3日付で報じた。問題の記事に添付された写真によると、少なくとも3機のSu-35Sが駐機場に駐機していることが確認できる。
注目されるのは、これが「試験戦闘配備」であるとされている点だ。
ロシア軍の用語でいう「試験戦闘配備」とは新型兵器の部隊テストなどを指すが、Su-35Sは100機近くがロシア空軍に配備されており、すでに実戦配備段階に入っている。となると、択捉島における「試験戦闘配備」とは、戦闘機部隊を択捉島に常駐させることを念頭に置いた展開である可能性が考えられよう。
地上要員を伴っていることからしても、ある程度の期間にわたって展開することを念頭に置いていることは間違いない」
(小泉悠2018/8/3)
北方領土にロシア空軍の戦闘機が展開 演習か、常駐か?(小泉悠) - エキスパート - Yahoo!ニュース
このように空軍機などを北方領土に前進配備する程度ならすぐにやれます。
この極東配備の流れが滞っているのは、2022年にウクライナ侵略を始めたために余力がなくなったからにすぎません。
ならば簡単です。日本としてはロシアを追い詰めていくしかありません。
今粘り強く戦っているウクライナを極東で支援するのです。
やりようはいくらでもあります。ウクライナに対する直接支援は当然として、極東に第2戦線をつくるぞという圧力をかけるのです。
つまりロシアに力の分散を強いたらいいのです。
米軍に出張ってもらうしかありませんが、極東水域で大規模な共同演習をするのも手です。しかも定期的に。
ロシアの極東艦隊はポンコツですから、さぞかし気分が悪いでしょうが、それはプーチンが自分でしでかした結果なのです。
さて昨日記事を書きながら、素朴にあれ?と思うことがありました。
日本が降服した時の海外領土はどうなっていたのでしょうか。
日本が正式に降伏したのが1945年9月2日ミズーリ号の甲板の上だったことは、ご存じのとおりです。
実は、この時の日本の海外領土の処遇はあいまいでした。たとえば、樺太の南半分や朝鮮半島、台湾などの処遇です。
たとえば日本の降伏時には、樺太の南半分は1905年7月のロシアとのポーツマス条約によって北緯50度以南は正式に日本領になっていました。
降伏した1945年8月の時点においても、南樺太には多くの日本人が居住していました。
その後、あたりまえのような顔をしてロシアが南下して樺太全域を実効支配しますが、実はこれには法的根拠がありませんでした。
だって、日本領の処遇を正式に再定義したのは、敗戦6年後の1951年9月8日のサンフランシスコ講和条約だったからです。
このような無協定時期に、勝手に軍隊を動かして領土化するような行為は火事場泥棒と呼びます。
確かにこの会議の場で、日本は台湾や朝鮮半島に並んで南樺太も放棄していますが、なんとこれにロシア(当時ソ連)は調印していないのです(苦笑)。
ですから、「国際法上は未定なはずだ。ロシア領にしているのなら、ちゃんと協定を結べ」というのが、今に至るもわが国の立場です。
ただし、この協定は当然のこととして北方領土全域も交渉対象になりますから、ロシアは分割2島だのなんだの、四の五の言って返してくれません。
(サンフランシスコ条約に調印する吉田茂全権と委員たち Wikipedia)
まず、ロシアには「国境」という概念がないことを知る必要があります。
国境は、固定されたラインではなく、中国の新疆の「疆」と一緒で、国境とは国家の衰退と共に伸び縮みするゴム紐のようなものなのです。
戦争で勝てば容赦なく奪い、負ければ失うから、また奪還してやると思う、この繰り返しです。
実に古代的な国境観ですが、ある意味分かりやすいともいえます。
戦争で奪ったのだから、返して欲しければ戦争で取り返しに来い、ということです。
このロシアの伸び縮み自由の領土観は、先のクリミア侵攻においてもいかんなく発揮されました。
この国境観は、四方を海に囲まれて国境概念が世界有数に明確な我が民族と大違いですから、彼ら相手に日本人的筋論は通じないのです。
唯一北方領土の奪還の芽があったのは、1993年エリツイン大統領訪日時の「東京宣言」の時期くらいでした。
この時、エリツィンは「日ソ共同宣言は有効である」と言います。
絶好の好機じゃないですか。この時期、ソ連の崩壊でロシア国内は大混乱、マフィアが横行し、国庫は空っぽ、軍にも給料が払えず、ウラジオストック軍港では電気を停められて沈んだ原潜まで出る騒ぎでした。
経済、社会が崩壊して国として態をなしていないという、日本から見れば千載一遇の好機到来だったのです。
このソ連崩壊直後こそ、いわば北方領土を買い叩く、天が与え賜うた1世紀に1度あるかないかの大チャンスだったのです。
1993年 東京宣言
東京宣言の時期には、ロシアは真剣に2島を返してもいいと思っていました。
そして経済協力と引き換えに、そこに「4島の主権は日本にある」と書き込むことも可能なような「足元を見る」ことができる力関係でした。
それをみすみす細川政権は見逃しました。バカですか。
今回も似たような状況を作ることは可能です。ウクライナで敗北をして、戦時経済でヒートしているロシアが深刻なクラッシュをすればいい。
その時が好機です。
ならばどちらが差し迫って困っているのか、我慢較べをしましょうか。
80年間返ってこなかったが故に奇妙な諦観が支配する日本か、それとも青息吐息の経済を抱えて、今、カネが欲しいロシアか、どちらなのかです。
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昨日のサンモニで、加藤登紀子が「北方領土はロシア領だから、日本は抗議できる立場にない」と発言して炎上しましたが、正確には「実効支配」と言う事を知らなかったのか、それとも知った上で恍けて上記のような発言をしたのか判りませんが、極左アーティストで知られる彼女の事ですから、後者の疑いが強いかも。こんなパヨクばかり起用する番組自体、まともじゃないですけど。
投稿: 珊瑚は大切に | 2026年8月17日 (月) 02時59分
元TBS局員の暴露話によればサンモニや報道特集は裏方の制作陣の中でも特に極左に偏った人間しかいないとの事。
なのでスポーツコーナーの喝しか価値のない番組なのです。
余談ですが、元レギュラーだった張本さんは番組メンバーの中で唯一の保守派でした
投稿: Q州 | 2026年8月17日 (月) 07時19分
プーチンが択捉上陸というトリガーを引いたわけですから、日本政府には物心両面でのウクライナ支援に舵を切って欲しいですね。鈴木貴子氏のような訳の分からない説明を見逃していてはあらぬ疑いをかけられかねません。このことに関しては旗幟を鮮明にするべきだと思います。
古い話で恐縮ですが、サンデーモーニングに関してはケント・ギルバートさん、ペマ・ギャルポさん、北野大さん、三屋裕子さんが出ておられた頃は今のように偏ってはいませんでした。上記メンバーが辞められるにつれ、年を追うごとにどんどん左サイドに偏って今に至るという感じです。ただ、スポーツコーナーは好きなので九時前頃にはテレビをつけて、まだ始まってない場合はミュートにするというのが日曜日のルーティーンと化しています(笑)。
投稿: 右翼も左翼も大嫌い | 2026年8月17日 (月) 08時42分
いや、サンモニなんて偏向番組なんかどうでもいいし、ここに来る人はそんなこと皆分かってると思うけど。。大沢親分が亡くなってからスポーツコーナーの「喝!」もつまらなくなりました。
そうですね。エリツィン時代の最もロシアが困窮していた時が、唯一「カネで解決」ができたかもしれない時期です。
条約内容をタテに「経済協力」なり「共同開発」でもなんでもいいから、投資名目でカネ(当時の金額なら1兆円かそこら)をブチ込んで「国境線確定」させて四島変換が可能だったかもですね。
投稿: 山形 | 2026年8月17日 (月) 09時04分
小泉悠先生はかねてから、4島一括返還に拘ると事態が動かない可能性があるのは承知の上、そしてロシアは返してこないだろうと承知の上で、それでも4島一括返還を言い続けるべき、と仰っていて、私もこれに同意です。たとえ実現の見込みがなくとも、不変の根拠、正当性がこちらに有る以上、当然のことです。
4島一括返還を国是として維持し言い続けながら、不当なロシアへの対抗措置としてウクライナ支援の強度を上げることで、ウクライナを盗りに行ったらフィンランドとスウェーデンがNATO加盟しちゃいました的なロシアの自業自得状態を更に上積みしたい。あなたが選択をミスったからよ、と。
ロシアと仲が悪かった時は北方領土の日本帰属を支持していたくせに、都合が悪いと態度を変えた中共共産党へのメッセージにもなり得ます。
投稿: 宜野湾より | 2026年8月17日 (月) 12時52分
いつもありがとうございます。
ソ連崩壊と状況が似ているのですね。
このタイミングで宥和的な人物に政権を取らせたくないものですね。
あとは中国とロシアが仲違いするようなネタを放り込めれば良いですが。
原油価格は大きな楔だと思ったのですが、崩れていません。
しかし今冬の燃料不足が辺境地域の離反・中国への編入の希望の表明を引き起こすのではないかと個人的には思っています。
投稿: プー | 2026年8月17日 (月) 13時58分