メルカトルの錯覚
日ごろよく目にする世界地図は、1569年に地理学者のゲラルドゥス・メルカトルが発表したメルカトル図法で描かれています。
その特徴は、方位が正確に計れるということの代わりに、高緯度ほど面積が拡大されてしまいます。
これはメルカトル図法が形や角度を保つ代わりに、面積が大きく見える図法なために、特に赤道から離れて高緯度になるほど、東西も南北も引き伸ばされるので、面積が膨張し誇張されてしまいます。
たとえばグリーンランドはオーストラリアより巨大になり、ロシア、カナダは実際よりかなり大きく表示される一方で赤道付近は比較的ゆがみが小さいです。
したがってアフリカは実際より小さく見えています。
これはおかしいんじゃないかという疑問は古くからあったのですが、とうとうアフリカの提案で面積を正確に表示できるイコールアース図法の使用を促進する決議が通りました。
「国連総会は4日、各国の面積をより正確に反映した「イコールアース図法」の世界地図の使用を促す決議案を賛成多数で可決した。日本を含め世界では「メルカトル図法」の地図が広く使われてきたが、今後は2018年に考案されたイコールアース図法の地図が広がる可能性がある。
メルカトル図法は16世紀に考案された。米国やロシアなど赤道から離れた国々は実際より大きく、アフリカ諸国や南米のブラジルなどは小さく描かれている。アフリカ大陸はデンマーク自治領グリーンランドとほぼ同じ大きさに見えるが、実際の面積はグリーンランドの約14倍だ」
(読売9月6日)
世界地図「メルカトル図法」ではなく「イコールアース図法」使用促す国連決議、日本も賛成…各国面積がより正確(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース
グリーンランドをメルカトルとイコールアース図法で表示してみますので比較してください。
ぎょっとするほどの違いです。
こんなにしぼむとトランプさんも欲しくなくなるかもしれませんね。
あ、そういえば唯一の反対票は米国でしたっけね。
さてロシアというのは、中国と並ぶ「異形の大国」です。
この二国には類例がありません。
あえていえばトルコとイランですが、共に大帝国の末裔であり、いまも帝国の復活を夢見ているところなどは一緒です。
これらの国はかつて、そしていまも広大な領土を持っていることが、彼らの自尊心の根源になっています。
ロシアは、かつてナポレオンとヒトラーを国内奥深くに導いて滅亡させたというのが、いまだ自慢の種です。
この大国幻想の行き着く末は、旧帝国の版図の復活です。
あの、もうそこ今は独立国ですから、と言ってやっても無駄。
ウクライナとロシアは同じ民族族だぁ、なんて言って侵略してしまいました。
プーチンによればいまや独立国となっている旧ロシア帝国とその末裔であるソ連帝国の版図のすべては、今のロシアが正当な権利を持つわけです。
国境線の力による変更を禁じた近代国際法など、この前にはまったく無意味です。
アメリカの国連大使は、プーチンは過去にロシア帝国だったのすべての地域、つまりウクライナ、フィンランド、ベラルーシ、そしてポーランドとトルコの一部に対して正当な権利を持っていると主張しようとしていると述べたことがあります。
中華帝国の復興を目指す習近平と一緒で、あんたまだそんな夢に酔ってるんでっかという類の妄想にすぎません。
ただしロシアは昔大帝国だった時ほどの国力はないので、ミニロシア帝国をごく一部で再現してみせるにすぎませんが。
そして2014年にクリミアを分捕ったひ弱なウクライナならもっと領土を強奪できるだろうと踏んで始めたのが、今回のウクライナ戦争でした。
ところがひ弱どころか、ウクライナ人は恐ろしく手ごわく、外交もしたたかな国でした。
しかし忘れてはならないのが、ロシアの自尊心の源が、核兵器の量と領土の広さです。
これだけは堂々世界一だと豪語しています。
核兵器だけに関してはそのとおりです。
次に領土の広さですが、これが大きな錯覚なのは「メルカトル魔法」による視覚的効果があるからです。
たしかにメルカトル図法で見ると馬鹿げて広い。
ところが、これは「メルカトルの魔法」を使って膨張した地図なんですね。
実際の面積ではなく、極点に行けば行くほど大きくなるメルカトル独特のトリックなのです。
メルカトル図法で見ると、極点に近いロシアはユーラシア大陸の7、8割も占めるように見えています。
同じロシアをイコールアースで表示してみるとあーら不思議たちまち縮んでしまいます。
気の毒、プーチン、自尊心ズタズタ。
ロイター通信が報道したトーゴによるメルカトル図法の使用停止を主張する国連決議案について | WINGFIELD since1995
なーんだ、ロシア領土ってメルカトルで膨らんでいたわけですね。(笑)
このロシアは事物博大、どこまで行っても尽きることない母なるロシアなんて、ロシア人は自己陶酔していたわけですが、錯覚だったのです。
プーチンよ、執務室からメクカトル地図をはがしてから、ウクライナ侵略をすべきでしたね。
« 米軍中枢、軍事作戦長期化は「持続不可能」 | トップページ | イエメンで戦闘が激化 »






欧州では大航海時代、当時の帆船の航海で便利な方位を出すのに便利だから長年使われてきたメルカトル図法。
日本では織田信長が活躍してた頃です。
少し前には種子島に漂着した宣教師の船で鉄砲が伝来。まだ戦国時代で群雄割拠だった日本各地の殿様や商人が即座に輸入したり、鍛冶職人があっという間にコピーして大量生産。関ヶ原の頃には欧州全体よりも日本国内の火縄銃が数で上回っていたとか。
いろんなところで世界と繋がってますね。
メルカトル図法(派生のミラー図法も)の不具合は長年言われてたんですが、面積統一を優先したモルワイデ図法じゃ歪みが激しくて実用的じゃないし、様々な図法が考案されてきましたが決め手に欠けていました。
んで「イコール·アース図法?何それ!?」と思ったんですけど···なるほど、8年前に生まれた改良版なのね。。良いと思います。
なんでもぶっ壊すトランプ政権のアメリカが「伝統」を謳って反対したのには、苦笑いするしか。
投稿: 山形 | 2026年9月 9日 (水) 08時20分
書き忘れたので追記失礼。
今や世界中の誰でもGoogle Earthで「地球コロコロ」しながら見られるという時代。
メルカトル図法にこだわるのはナンセンス。
投稿: 山形 | 2026年9月 9日 (水) 08時25分
このイコールアース地図、考え方は良いですが、何故か領土表記はメチャクチャなんですよね。
日本で言えば北方領土は「ロシア領」で、「日本が領有権を主張」。それでも高市は賛成。自国領を「ウクライナでもロシアでもない」とされてしまったウクライナのように、棄権もできるのに。
情けない、日本的な妥協策として、「日本用の地図だけは日本領扱いにしてちょーよ、英語版はそのままで良いから」なんて話も出てるとか。弱腰すぎる…
投稿: ねこねこ | 2026年9月11日 (金) 12時50分