日本の農業問題

TPP 兼業を守ることが農業保護ではない

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【速報】台湾で大地震が発生! 南部の高雄市近くでマグニチュード6.4の大きな揺れ! ビルが倒壊し、多数の人が生き埋めになっている模様!  ※台湾テレビ局ライブ映像 → youtu.be/XxJKnDLYZz4 #台湾地震 pic.twitter.com/xiy44XWgfO

台湾で大地震が発生!政府は直ちに救助隊の派遣を!

http://news.ltn.com.tw/news/life/breakingnews/1596403

Caexrz3ucaal9in
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[本文ここから]

自戒をこめていうのですが、あまりにもTPP交渉の内容がわからなかったために、疑心暗鬼の部分がありました。 

そのために、日本の交渉力を最低限に、そして被害を最大限に見積もるという傾向が存在しました。

この無関税化が進むと、農業、医療などはグローバリズムの植民地にされて世の中真っ暗になるぞという言い方が、ずいぶんとなされてきました。 

いわば狼少年の罪です。私も率直に反省しています。 

合意後も、しょうこりもなくされているのを見ると複雑な心境です。 

これは「TPP交渉差し止め・違憲訴訟の会」という団体ですが、民主党政権時代の閣僚で、私が唯一評価している山田正彦氏がボスのようです。

名称からして「違憲訴訟」ですか(ため息)。なんでも憲法持ちだせば、いいってわけじゃなかろうに。

「交渉参加国による署名式を四日に控える環太平洋連携協定(TPP)をめぐり、国を相手に違憲訴訟中の弁護士らが協定案の英文を分析し、すべての農産品の関税が長期的に撤廃される恐れがあるとの結果をまとめた。他の経済協定にある関税撤廃の除外規定が、聖域と位置付けたコメなどの「重要五項目」も含め、ないことを指摘。聖域確保に関する条文上の担保がなく、将来的に「関税撤廃に進んでいく」と懸念している。
 分析したのは「TPP交渉差し止め・違憲訴訟の会」の幹事長を務める弁護士
の山田正彦元農相、内田聖子・アジア太平洋資料センター事務局長、東山寛北海道大准教授ら十人余りのチーム。」(東京新聞 2016年2月2日 )
※http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016020202000136.html

山田元農相は、口蹄疫の時の農水大臣という修羅場をくぐった人物です。 

口蹄疫のような初動が求められる海外悪性伝染病が猛烈な勢いで拡大しているのに、時の首相のハト氏は「国外・最低でも県外」などというたわごとで頭が真っ白で使い物にならないような状況でした。 

おまけに、宮崎県知事はあのパーフォーマンス命の東国原氏ですから、お気の毒としか言いようがありません。その悪条件に耐えて、山田氏の対応は立派でした。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/cat22079514/ 

ただし、この人は頭が固い。ほとんど原理主義的農業保護論者です。 

無関税化が進むということは、言い換えれば消費者の税負担が減るのとは同義です。 

関税でブロックしているのは、税金を投入してブロックしているのと同じだということに、山田氏のみならず、農民ももう少し自覚的であるべきです。

Photo_3http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Gaien/7211/songs/sugar.html

関税自主権は重要な主権ですし、たしかに沖縄の砂糖や北海道の乳畜産製品のように、守らねばならない関税が存在するのも事実です。 

それは、農業が地域経済の基幹になっている地域の場合、その崩壊は地域全体の崩壊に連動するからです。 

そしてそれは、地域の極端な過疎化や、自然環境の荒廃につながっていきます。 

特に、沖縄・奄美の離島のサトウキビ栽培が無関税化した場合、島の経済は急速に衰退し、最悪な場合、無人に近い島が国境から数百キロ続くこともありえました。

このような事態がひとまず食い止められたことは、ほっとしました。甘利氏の功績です。 

TPP合意まで、農水省とJA全農は、口を開けば「自給率が13%になる」とか、「米価崩壊で経営崩壊」になるのかといっていました。 

実はこれは結論から言えば、JA全農傘下の兼業コメ農家の組合員防衛からのみ発想した論法にすぎません。

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TPP反対を、コメ兼業農家防衛に短絡させるがごとき戦略自体に問題がありました。 

こんなことばかり言っているからJA全農が叫べば叫ぶほど、一般国民からは「農家から既得権を奪い取るのがTPPだ」という攻撃を招き寄せてしまう結果になりました。 

それが、交渉開始時の各社世論調査で、TPP支持率6~7割という数字に現れています。 

まるでTPP交渉とは、なんのことはない重要5品目防衛のためにやるんだと、国民に思わせてしまったのは失敗でした。 

この悪しきイメージは、農業全体の今後にとっても大きなマイナスなはずですが、どうも我が業界は視野が業界内だけに固定されていて困ります。 

JAはよい意味でも悪い意味でも、日立や東芝のようなそれ自体ひとつの宇宙ですので、どうしても外の世界が何を考えているのか疎くなりがちなのです。 (ただし単協のほうは、それぞれ性格が大変に違います)

ところで、私たち農業者から見ても、コメ兼業農家のあり方は大変に特殊です。 

農業は、コメ、野菜、果樹、畜産など多岐に渡るのですが、その中で一番異なっているのが、農業の筆頭のように思われているコメです。 

コメを作っている農家は140万戸といわれていますが、このうち1ヘクタール未満が7割です。1ヘクタール以下では、いくら食料基地の農村でも食えません。 

またコメ専業はわずか3万戸ほどにすぎません。というと、2割程度しか専業がいないことになります。 あたりまえですが、専業(官製用語で主業農家)が2割しかいない農業分野などほかにはありません。

日本に163万いるといわれる農家の内、専業は45.1万、農業が主な収入となっている第一種兼業農家は22.4万しかありません。

約6割の96.5万が、農業以外を主な収入とする第2種兼業農家です。

この比率は、世界を見渡しても類例がなく、異常だと言わざるを得ません。

Photo
出典 農水省2010年農林業センサス http://www.maff.go.jp/j/tokei/census/afc/2010/houkokusyo.html

農水省や自治体農政課は、このような兼業農家のことを「自給的農家」、あるいは「零細農家」と呼んでいます。

こういうくだらない言い換えはやめてほしいものです。本質を分かりにくくする日本人の悪い癖です。  

「自給的農家」というと、まるで自給自足の農的生活を送る古典的な農民のようなイメージが浮かびますし、「零細農家」というと小規模だが歯を食いしばってがんばっている農家のようです。 

もちろん違います。 日頃は農村に住んで、街に働きに行って土日だけ田んぼだけ出ているパートタイム農家層のことです。当然、収入の9割以上は街での勤め人の給料です。 

兼業農家のほうも儲かるからやっているというより、田を荒らしてしまうと近所から苦情が来るので申し訳がないのでやっているのが実情です。 

沢山売るほど作っていないので「自給的」「零細」ということなのでしょうが、兼業農家と言ったほうが分かりやすいと思います。

Photo_2出典 農水省2010年農林業センサスより

上のグラフをみると、農業からの年間収入が50万を切る農家が圧倒的なのが分かります。

逆に年間300万円以上の農産物の売り上げがあるのは、全体のわずか20%ほどしかありません。

しかもこれは売り上げで収入ではありませんから、必要経費を引くとほとんど残らないのが実情です。 

この兼業層が、地域によっても大きく違いますが、JA組合員のかなりの割合を占めています。  

コメ兼業農家層にとって、関税がはずれて米価が下がるとやっていけないのでJAはTPPに反対しているという側面もあります(それだけではありません。念のため)。 

これは、農業の大きな柱のひとつである野菜と比較してみることでわかります。(欄外参照) 

コメは最短11日間程度の年間労働で出来てしまうほど、機械化が進んでいます。 

ゴールデンウィーク前後に田植えをして、盆休み前後に稲刈りをするというのは、自然の農事歴というより、むしろ勤めとの関係からそうなっているだけです。 

一方、野菜、畜産農家は手間の塊のためにほとんど兼業はいません。 

ジャパン・プレミアムといわれるほど厳しい規格選別にさらされ続けている野菜や果樹、畜産分野では、品質の維持のために専業であるのはあたりまえで、ここが大きくコメ農家一般と違うところです。 

コメは農家戸数こそ野菜農家と変わらないように見えますが、その8割が兼業農家によって占められていて「主役」というのもおかしな話ではあります。 

その上、生産額もまた野菜の6割程度しかない部門であるにもかかわらず、778%の高関税で守られているというのもなんだかな、と思われて当然でしょう。 

はい、農業者の中にも、この私のようにこりゃヘンだと思う人はいくらでもいます。 

ですから交渉期間中、関税撤廃にピリピリしていたコメ農家に対して、野菜農家にはほとんど関税撤廃に対しての不安感はありませんでした。(畜産はありましので、念のため) 

この不安を具体的な数字で見てみましょう。 

県や地域によっても違いますが、昨年のコシヒカリの生産単価が、コシヒカリ1俵(60㎏)1万前後です。 これに減反協力で2000円程度上乗せされます。 

生産原価は9000円から1万円弱といったところでしょうから、10アール作って3万から5万円ていどの利益がでるかでないか、といったところです。 

ですから、先のグラフでみたように、減反協力金が出なければ、ガソリン代も機械代も出ないでしょう。 

だからハッキリ言って兼業農家はコメなど今でもやめたいのが本心です。 

しかし止められないのは、稲作という農業は歴史的に共同体で維持してきたものが故に、個人の判断だけでどうなるものでもない部分が今でもあるからです。 

たとえば自分の田んぼが農地改良区に入ってしまえば、その負担金を含めて替わってくれる農業者の資格を持つ人にしか田んぼを売ってはならない決まりです。 

こんな人は滅多にいるもんじゃありませんから、自分は街に勤めていても、泣く泣くゴールデンウィークに家族に謝りながら田植えをすることになります。 

一方、専業農家は、ブランド化に努力したり、大規模化したりしてスケールメリットを得ることができます。 

また生産原価も集約化して15から20ヘクタールに拡大すれば、10アールあたり6500円ていどまで落とすことができます。 

コメは集約化が可能な技術が、極限まで進んでいます。無人ヘリから種まきして、ロボットが稲刈りすることは夢ではありません。 

私の友人にも50ヘクタール以上やっている男がいますが、労働力は彼と奥さんだけです。法人経営ならばその十数倍は簡単でしょう。ただし減反さえなければですが。 

減反は兼業専業の区別なく頭割りで30~40%を削減することを命じてきます。一般の人は想像できますか? 

作りたいのに作らせない。頑張りたいのに頑張らせない。頑張ったら罰則が来る。それが減反政策です。 

この国はことコメだけは社会主義計画経済、あるいは国が元締めのウルトラ大規模な談合をやっているのです。 

つまり、兼業農家は止めたいのに止められない、専業農家は増やしたいと思ってもできない、こんな行き詰まった状況のなかでTPPは持ち上がったのです。 

現在のように778%の高関税の壁を作って毎年100万トンちかいMA米(ミニマム・アクセス)を国家輸入し、それの保管に百数十億円かけ、さらに減反のために6千億円の税金を費やしています。 

全部、税金です。馬鹿馬鹿しいと思いませんか。 

その上、税金で守るのは、内心早く止めたい兼業農家ですから情けなくてります。

そしてその結果、もっと頑張りたい専業農家の足を引っ張る減反は、ズブズブと形を変えながら維持され続けていくわけです。 

こんな税金頼み、談合と兼業頼みの農業がいつまでも続くはずがありません。 

そもそもこんな兼業農家頼みにしてしまった農政自体が誤っていました。とうに専業農家がそれを担っていなければならなかったはずでした。

農業は国土を保全し、国民の食を保障する産業ですから、語弊を恐れず言えば、保護されて当然です。

しかしTPP交渉が一段落していい機会です。

農業界は、補償要求の条件闘争の真っ最中ですから、やられた史観丸出しですが、実際はそこそこの結果だと、甘利さんに手を合わせているでしょう。

逆に言えば、いままでの悪しき構造が温存されてしまう結果にもなりました。

                    ~~~~~~~ 

農家数の比率
・コメの農家数     ・・・24.9%
・野菜の農家数    ・・・22.5%
 

農家数が占める比率は一緒です。ただし、コメと野菜を作る農家が重なっている場合があります。  

②国産比率
・コメの自給率   ・・・95%(ただしミニマム・アクセス米77万トン)
・野菜の自給率  ・・・80%
 

生産額(22年度農林水産統計による)
・コメの生産額   ・・・1兆5517億円
・野菜の生産額  ・・・2兆2485億円
 

野菜はコメよりはるかに大きな経済規模です。  

関税率
・コメ  ・・・778%
・野菜 ・・・  3%
 

比較にならない。

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コメントにお答えして エサ米は市場原理から逸脱している

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今日は、「農経初心者の大学生」さんにお答えする形で、お話していきます。 

頂戴したコメントは、私がエサ米・米粉などの転作について批判した理由を尋ねています。 

「(1)補助金の政策効果に対し、財政負担が大き過ぎるため。
(2)減反の維持こそが補助金の目的であり、減反の維持に反対であるため。
(3)飼料用米・飼料稲への補助金について、仮に財政負担の大きさの問題は棚上げしたとしても、飼料(の一部)を自給しようという考え方に反対であるため。あるいは、飼料(の一部)の自給には反対しないが、それをコメで行うことに反対であるため。
(4)その他
※(1)は費用負担の視点、(2)と(3)は政策の目的の視点です」
 

答えから言っておきましょう。 

(3)の国産自給飼料という理念は、私自身も長く追及してきたものです。ですから、反対なわけはありませんが、それと減反を絡めるなと言っているだけです。

ですから「政策効果に対する費用」という費用対効果の次元ではなく、政策目的そのものが歪んでいるからダメなのです。 

費用と言う点から考えてみましょう。

エサ米は農業経営の合理性に基づいて制度設計されていないために、多額の税金の竹馬を履かせてやっと成り立っています。 

2014年度には、収量10アール(1反)あたりの最大の補助金給額は、10万5000円でした。

ここで質問です。皆さんは、一般的な10アールあたりのコメの収益はどのくらいか、ご存じでしょうか? 

分かるわけないよね(笑)。答えは、「新規就農ガイドブック」によれば、平均的な1反当たりの売り上げは14万2000円ていどです
http://www.pref.okayama.jp/soshiki/detail.html?lif_id=10456 

ここから、生産コストを引くと、おおよそ5万3000円程度となります。もちろん年に1回の収穫ですから、これがコメの10アールあたりの年間所得となります。 

5万3000円しか所得にならないものに、2倍の最大10万5000円くれるというのですから、ウハウハです。 

しかも、補助金は、そこから生産コストを引かねばならない売り上げ額と違って真水です。これが丸々貰えちゃうんだから、豪気なもんだよな、お国は。 

ただし、この法外な補助金が、農水省のお役人さんのポケットマネーから出ているならの話、ですが。 

だから、兼業農家を先頭にこぞってエサ米に転換を開始したのは事実です。 

エサ米がどんなに馬鹿げた制度設計かわかりましたでしょうか。こんなことは一般の民間企業なら絶対にやりません。 

まぁ、考えるまでもないでしょうが、こんな逆ザヤをやったら、一瞬で潰れるからです。 

つまり、エサ米は、農業の市場原理から大きく逸脱した制度なのです。ここが根本問題です。 

私の友人の農家は、数十ヘクタールの水田を耕作している大規模農家ですが、エサ米と聞くとふふん鼻先で笑ってこう言ってのけました。 

「あんなものを作るようになっては、農家は補助金乞食になる。あれは農業とは呼ばない。いかにうまいコメを作るか、日々研究しているオレたちに無礼だろう」 

Photo_3(写真 米国のエサ用トウモロコシ畑)

一方、畜産農家の立場で考えてみましょう。今の日本の飼料の8割以上は輸入に頼っているのがは現実です。
 

その輸入飼料の大部分は、トウモロコシです。 

日本では夏の風物詩ですが、輸出先の米国や南米では家畜のエサです。トウモロコシ自体の品種が、そのまま食べても食えたものじゃない飼料用トウモロコシだからです。 

米国では、トウモロコシを自動車用エタノール(バイオエタノール・略してバイエタ)にして、燃やすというバチあたりなことをしています。 これを「燃料生産農業」と呼びます。

このバイエタが飼料を圧迫する原因にまで成長して、今や米国では社会問題にまでなっています。 

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上図を見るとバイエタの価格が上昇すると、連動してレギュラーガソリンの価格も上昇するのがわかります。このように、ガソリン価格とバイエタは比例関係にあります。

そしてトウモロコシの価格動向と、 他の穀物の大豆、小麦、コメなどの相場も連動しています。 

Photo_4(図 九州大学大学院農学研究院伊東正一教授による)

トウモロコシばかりではなく他の飼料用作物も含む国際穀物相場全体が、原油高騰と並行して上昇していくのがわかります。(上図参照)

つまり、ちょうど玉突きのようにして、原油価格高騰⇒バイエタ価格上昇⇒トウモロコシ価格上昇⇒小麦、大豆価格の作付け拡大⇒穀物相場全体の高騰、という負のスパイラルを辿っているわけです。 

そしてこのバイエタは、今や食糧生産を凌ぎつつある勢いです。

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http://www.gamenews.ne.jp/archives/2008/05/73945.html

これが世界の食料事情に悪影響を与え、トウモロコシを餌とする先進国の畜産価格、小麦などの高騰をもたらし、そしてもっともそのしわ寄せを喰ったのが貧困国でした。

先進国の燃料生産農業が、発展途上国の人から食糧を取り上げたのです。 

今や多くの難民を出しているチュニジア、エジプトなどの背景には、この穀物相場の上昇があるのです。 

上図のグラフには、飼料用を減らして、バイエタに回されている状況がはっきり現れています。

残念ながら、このバイエタは欧州まで巻き込んだ大きな流れに成長し、肥大化する一方です。しかもブラックジョークのように、そのお題目は「エコ農業」ときています。

飢餓と難民を生み出す原因が、「地球に優しい」ですと! 

「非食料由来の第二世代バイオ燃料が将来は現在の第一世代バイオ燃料にとって代わるとの観測はありますが、米国でもEUでもバイオ燃料の供給目標は第一世代の大幅な生産増に将来第二世代が上乗せされるという前提で設定されていますから、食料由来のバイオ燃料が相当長期にわたって中心になります。「燃料生産農業」は後退しないとみておかなければなりません。世界の農業は新しい局面に入ったのです」(JA総研)
※http://www.jacom.or.jp/archive03/tokusyu/2010/tokusyu100113-7630.html

すいません。バイエタの方角に逸れそうで慌てていますが(笑)、実は日本のエサ米も同じ矛盾を抱えているのです。

日本の畜産は、好むと好まざるとに関わらず、国際的穀物市場の枠組みの中で動いています。
 

ですから、このイビツな国際穀物市場から、一定の自由を勝ち取ろう、という発想自体は間違っていません。 

問題は、それを人間の食糧になるものでやるな、ということです。そんなコトを始めたら、米国のバイエタが辿ったことと同じ道になる、と私は思っています。 

そもそも米国で、トウモロコシからバイエタを取り出すという、クレージーな「燃料生産農業」が始まったきっかけは、トウモロコシの余剰に原因がありました。 

余って泣きっ面のトウモロコシ農家を見て、ブッシュ大統領が農家票の取り込みのために打ち出したのが、「地球にやさしい」(うそこけ)バイエタだったわけです。

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今の日本のエサ米は、ちょうどブッシュ大統領が急に「地球にやさしく」なったのと同じように、「国産飼料自給」という美しい包装紙に包まれていますが、中身は一緒です。

米国ではトウモロコシが余り、日本ではコメが余ったというだけの違いです。

その解決法として、米国は食糧を燃やし、日本は主食のコメを家畜のエサにしようと思いたったというだけの違いがあるだけです。

今から45年前、農水省はこのコメ余りを本質的に解決しようとせずに、作付けを減らす減反政策という彌縫策で解決しようとしました。初めのボタンのかけ違いが始まったのです。

その結果、減反政策によって、40%の水田で稲作が放棄されていきました。

全国の340万ヘクタールの水田のうち、コメの減反政策のためだけで100万ヘクタールを失っています。

実に、全水田の3分の1を、減反政策で潰してしまったことになります。

そのために減反に追い込まれた水源涵養のための谷津田は急速に荒廃し、水害が頻発する原因のひとつになっています。

Photo_6(写真 谷津田)

農水省は、ふた言めには、「コメを守れ。コメの多面的機能に着目しろ」と説教を垂れますが、実際彼らがやってきたのは、日本の水田潰しだったのです。

こうして日本農業を弱くしたツケは、減反にかかる膨大な補助金費用負担として国民が税金で負担しています。

日本のコメ産業は、約2兆円産業といわれていますが、納税者でもある消費者負担は約1兆円にのぼります。

実に半分が減反という名の財政負担で、国民が背負っているわけです。

このような愚かな減反政策は2018年度にはとりあえず終了すると農水省は言っていますが(あたりまえだ)、それに代わる新たな農業政策が見えてこないのが、現状です。

それにしても、こんなエサ米の終わり方を、一体農水はどうするつもりなんでしょうね。

農家以外の国民に対して、日本農業を強くするために財政負担をお願いします、というなら道理が通ります。

しかし、減反を守るためのエサ米などは、農業を弱くするためのお願いにすぎないのです。

※お断り よくやるんですが、改題しました。

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日本農業の宿痾 減反制度

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昨日の記事は、私としては「さぁ来い、批判コメント」、と思って待っていたので、やや拍子抜けしております(笑)。

「TPP大敗北」という言い方をする農業関係者やマスコミがいますが、内心本気でそう思っていたら、逆に驚きです。

あれは単なるTPPに対する農業補償をブン取りたいための、条件闘争の枕詞でしかありません。

「いやー、よくガンバったね、甘利さん」なんて言おうもんなら、補償金額を値切られると思っているだけです。

私はこのテの同業者の嘘泣きが嫌いです。もっと冷静に分析すべきで、まずプロパガンダを飛ばすというのはいかがなもんでしょうか。

さて、かつては、減反廃止・コメの直接支払いを唱えただけで、裏切り者よばわりされたもんです。

農業の世界は概念そのものが一般にはなじみが薄いので、分かりにくいと思いますので、噛みくだいてご説明しましょう。

まず、私が日本農業の宿痾だと思っている悪名高き「減反」から始めましょうか。

減反とは、文字通りコメを生産管理して「反」(たん)を減らすことです。反とは10アールのことですが、ここでは象徴的に使われています。

減反政策とは、政府が国家規模のカルテルを結んで、米価を一定の水準に保つ仕組みで、70年頃からコメ余りなった結果、食管制度(食料管理制度)が財政的に持たなくなったために生れました。

Photoんとこの時代は、作れば全量をお国が買い上げてお金を支払ってくれるという夢のような時代だったのです。

こんな無茶ぶりな制度を作ってしまったのは、戦後の食料難の時代に、なんとしてでも主食のコメを確保しようと考えたからです。

今では信じられませんが、1970頃まで一家に一冊、米穀通帳なるものがあって、消費すら一定の枠があったという時代です。

ちなみに、この米穀通帳は身分証明書代わりにもなりました。

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だから、生産奨励の意味もあって食管制度を作りました。ところが豊かな時代になると、コメは余り始めます。

米穀通帳まで作って、喰いすぎるなと言っていたのが、もっと喰ってくれという悲鳴が上がるようになったのです。

下図をご覧ください。

Photo_2(図 農水省米改革の取り組みよりhttp://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h19_h/trend/1/t1_1_1_02.html

グラフのオレンジ線がコメの個人あたりの消費量です。1960年代から較べて2007年には約半分です。政府は食管制度を持たせるために、備蓄しまくっていました。

グラフ下の棒グラフを見ると、1960年代から70年代かけては700万トンという凄まじい量を備蓄して、古米、古古米の山を築いていました。

こんな備蓄を抱えながら、なお全量買っていたのですから、そりゃパンクするわな。これに音を上げた政府が1970年から始めたのが、減反です。

つまり、これが政府指導の生産調整である「減反」制度です。

Photo_4(図 東京新聞2013年11月8日より)

今は表面的にはとりあえず、「食管はなくなったことにしよう」「減反もないことにしよう」ということになっています。 

正式には、2018年度に完全廃止ということになっています。

それは日本もWTOなどに行けば、こんな前近代的な農業保護をいまだしていることで不利になるために、肩身が狭かったからです。

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しかし現実に今でもコメは、農水省が生産調整を行なったり、備蓄米を放出したりすることで、官僚のコントロール下にあります。

村や地域などには生産調整の枠があります。それに合わせて、過剰になったコメは米粉にしたり、あるいは、その分エサ米に転換したりしています。

協力しないと、補填金を受けられません。この補填金というのも、一般には分かりにくいものでしょう。

日経の(2015年6月15日)の記事をご覧ください。

「農林水産省は5日、2014年産コメの価格下落を受け農家に総額514億円(計5万8千件)の補填金を支払う見込みだと発表した。07年に発足した収入減少影響緩和対策制度に基づく支払いで、07年の313億円を上回り過去最大となる。
 補填金は国と農家が3対1の比率で拠出している。減収額の9割までを補填する仕組みで、コメ以外には麦や大豆なども対象となる。14年産コメの60キログラムあたりの収入額は全国平均で約1万2千円で、過去5年間の標準的収入を3千円程度下回った。60キログラムあたり約2500円が農家に渡る見込みだ。
 国は15年度予算で802億円を計上しているため、支払いに問題はないという」

これは農水省が、今年の米相場が悪そうなので「収入減少影響緩和金」を800億用意しているよ、という心強いニュースです。

これがコメの補填金です。農家も3分の1払っていますが、国が3分の2出して、事実上国の価格補助政策です。

いちおう食料管理制度(食管)がなくなったことになっているので、「減反」という分かりやすい名前が変わりましたが、なんのことはない、内実は一緒です。

「生産調整」という名の減反、作りたくても作れない仕組み・・・、この国で農業だけは唯一、社会主義計画経済が生き残っています。

しかし、これが始まって半世紀。もはや村の「和合」の象徴のようになっていました。

この場合の「農家」というのは、パートタイム農家、つまりは兼業農家も含みます。

野菜や畜産、果樹では勤め人が片手間にやることは不可能ですが、コメは農業全体を見渡してももっとも機械化が進んだ分野なので、わずか2週間程度の労働で出来てしまいます。

兼業農家も先祖からもらった水田を持っていますから、作らないでペンペン草を生やしていると村内で肩身が狭いのです。

まして改良区と言ってパイプラインで大面積を給水する大規模水田に、自分の田んぼを持っていようものなら、やらないと隣の農家の視線が痛いわけです。

だから、コメではまったくといっていいほど儲からないのに、兼業農家は泣くような思いで、トラクターやコンバインを買って、コメを作っているのです。

コメを作ると悪いことのようで、減反割り当てが、たとえば36%と決まると、減反の消化で本業の農業がおろそかになるほどです。なにせ36%なんてザラです。

耕作する水田の実に4割弱を「作るな」というのです。

冗談ではない。こんな馬鹿なことを農家にやらしている国は、自慢じゃないが、世界広しといえどわが国だけです。

立派な価格カルテル行為です。公取委なんとかしろ。

昔は青刈りといって植えてまだ実が入らない前に刈り取っていましたが、余りに農業者の評判が悪いので(そりゃそうだ)、何か植えることにして「転作奨励」という形にしました。

そこで、登場したのが当初は大豆などでしたが、農家にやる気が出ずに品質劣悪でダメ。

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次に登場したのがエサ米(飼料用米)といって、人が食えるシロモノでないコメが大量に出来る品種を作って、家畜にやるのが流行っています。

もう笑うきゃありません。ここまでして「減反」やらなきゃならないのか、と私は思いました。

官僚の作ったエサ米のお題目は、笑えることには「家畜飼料の国産自給」です。これには腹を抱えました。

税金の補助が大部分の竹馬を履かせて、なにが「国産飼料の自給」なんだか。

官僚諸氏は、こういうカッコイイ言い訳がうまいですね。家畜飼料か外国依存なのは構造的な問題で、一朝一夕にかわりません。

それを捉えて、一見先鋭な消費者団体が好きそうな「国産自給」と絡ませて、実は減反奨励でしかないエサ米を拡げようとします。

内実はなんのことはない、税金まみれの減反対策、すなわち、コメを作らせない国家カルテル維持の手練手管にすきません。

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次なる流行は米粉でした。粒が揃った艶やかな新米を、こともあろうに磨り潰して粉にしろというのですから、頭のネジがハズれたのかと思いました。

ピンっと一粒が立ち上がるような世界一のコメを、うどん粉よろしくなんと粉にしてしまうんですから、なんともかとも。

そして最大の悩みは、あろうことか、こんなうどん粉みたいなコメ粉は売れないときています(苦笑)。

そんなバカな減反があるのは、「赤信号、皆んなで渡れば怖くない」とばかりに、先の兼業農家を大量温存をしてしまったからです。

そしてそれを集荷するJAにとってみれば、コメの扱い手数料は馬鹿になりません。

かといって、JAが儲かっているかといえば、そういうふうにも見えないので、なんのことはない、こんな馬鹿げた農政も大量に利害関係者がいれば合理化できるというわけです

これは誰かが作った人工的構造ではなく、自然にできてしまったしがらみのような構造的宿痾ですので、それを半世紀もやってくればもはや各層の利害でがんじがらめで、身動きがとれなくなってしまったのです。

コチラが減反縮小といえば、アチラが反対というわけです。

しかも最大の農業団体であるJAが、兼業農家(※)をたくさん抱え込んでいて、しかもそれが皆揃って村の衆なので、切り捨てるわけにもいかないので、大反対というのですから、これはキツイ。 ※単協によって差があります。一般論です。 

この減反は、農業者のやる気を著しく削ぎました。説明する必要もないでしょう。パートタイム農家も、20ヘクタール、50ヘクタールやっている本気の農家も減反割り当ては一律なんですから。

この減反を墨守するために、外国からの安価なコメと価格競争しないように、高関税が必要だったのです。

農業以外の人たちに誤解していただきたくないのですが、こんなおかしな制度はコメだけです。

よく知ったかぶりのコメンティターが、「高関税で守られている農家のために、都会の消費者は世界一高い農産物を食べさせられているんですよ」などと聞いたようなことを言っているのをみると、情けなさでがっくりきます。

そりゃコメだけだろうって。

ひたすらコメが、若い人の集団に混ざった年寄りよろしく、平均を押し上げているだけで、全体は主要国としては平均値です。

Photo_8(図 主要国関税率比較)

だから、コメを他の品目と同じ扱いにしろ、と私はかねてから主張しています。

そのためには、関税というブロックではなく、各農家の工夫と努力に対して支払われる直接支払い制度が望ましいと思っているわけです。

さまざまな方法が考えられます。担当省庁は農水省の専管である必要はまったくありません。

というか、農水からもぎ取って、各省庁断にするほうがかえって今までの農政とのしがらみがないだけ自由です。

とえば農地の規模に対しては、コメなどでは、いままでのように減反.したら補填されるのではなく、逆に農地を集積して大規模化した農家に対しては、10ヘクタールにつき一定の直接支払いをする方法もできます。これは農水。

棚田などの伝統的な農法による景観の保護のための直接支払いも、素晴らしいと思います。これは環境省向き。

あるいは、水源保全や水利を目的とした谷津田などに対しても、国土環境保全目的での支払いもできます。これは国交省。

もちろん、有機農法やアイガモ農法などの環境保全型農業には、おしまに支援をすべきですう。これは環境省と農水省。

ちなみにこれは私の専門分野なのですが、いままで国はビタ一文の支援も惜しんできました。やったのは、多大のコスト負担を農家に被せたJAS有機だけ。

初めてついた有機農業支援法は、鬼女・蓮舫議員が一瞬で仕分けてくれました。

海外輸出を目指す者には、なんらかの補助金で応援してもよいでしょう。※ただし輸出補助金はWTOに触れます。

このように、農業者のやる気を出させる支援をせねば、税金は捨て金となってしまいましす。

いままでのように、「削れ、作るな」と均一に減反させるのではなく、「智恵を絞って儲けよう」に転換せねばなりません。

もちろん政府もバカじゃありませんから、いままでの戦後の名残のような制度が先行き真っ暗なのはわかっています。

ここで、登場したのが、先日クソミソに言った石破さんの新型農政だったのです。

長くなりましたので、今日はここまでにします。

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TPP交渉大筋合意 「完全敗北」だって?

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まぁ、予想どおりの農業界と野党の反応がきています。 

10月6日付のJA準機関紙である日本農業新聞の1面トップは「『聖域』大開放」の大見出しですが、この見出しは、予定原稿かと思うくらい、記事の中身はボルテージは存外低いものです。
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=34918 

気を吐くべき解説では。「まさかここまではと思っていなかったろう」と書きながら、かんじんの個別具体的分析には至らず、「相応の需要を奪われる可能性を否定できない」と書くに止まっています。 

あとは、「重要5品目の聖域の約束に違約しただろう」というものですが、これは建前であることは、とっくにJA自身もわかっていたはずです。 

1800品目12ヶ国の多国間協議を2年間やってきて、日本の要求だけが満額で通る道理がないことなど、子供じゃないんだから分かりそうなものです。 

Photo (写真 WEDGE Infinityより)

民主党はこんなことを言っています。
 

「今回の『大筋合意』なるものは、とうてい国益にかなっているとは思えない」民主党の玉木雄一郎衆院議員がこう述べている。衆院農水委員会理事を務める玉木氏は、10月1日にはアトランタに立ち寄り、会合の様子を観察してきた。「この時、日本の代表団はとてもヒマそうにしていた。すでに“闘い”を放棄しているように見えた。守るべきところを守らず、攻めるべきところは攻め切れていない」。確かにその内容を見ると、「完全な敗北」といっていい」(東経10月12日)
」※http://toyokeizai.net/articles/-/87681 

「完全敗北」ですか。責任がなければ、なんでも言えますね。

TPP交渉参加国で、自分の要求だけを完全に勝ち取った国はありません。

あの米国ですら、「歴史的功績」といわれる反面、ヒラリーやトランプに叩かれています。他国において、おやです。

玉木氏が、10月頃に訪米した時に日本代表団が「とてもヒマそうに見えた」のは、日米で合意の筋道ができてしまい、あとは米国vsオージー+NZとの協議が最後まで残ったからにすぎません。

そこに至るまで、フロマンUSTR代表は、米韓FTAを引き合いにして、自動車の安全基準や環境基準を引き下げようとし、怒った甘利氏が「日本は属国ではない」と机を叩く場面もあったといいます。(産経2014年12月14日)

これが国益をかけた交渉なのです。戦時における「完全勝利」のゼロサムゲームがない代わりに、「完全敗北」もまたないのです。

妥協と折り合いをどこでつけるのか、という利害のせめぎ合いの産物なのです。

ですから、今回の結果を「大勝利」という奴がいたら馬鹿ですが、一方「大敗北」という人がいたら、それもまたプロパガンダなのです。

Photo_4(写真 2010APEC横浜会議でTPP参加を対外公約してしまった菅首相。国内はおろか、与党内部でさえまったく議論がない独走だった) 

民主党は、共産党と「反自民民主統一政府」でも作りたいようですから、思い出させてあげましょう。

TPP協議参加へと舵を切った張本人は、他ならぬ民主党政権ですよ。もう忘れましたか。 

2010年11月、APEC横浜会議で、「日本は鎖国している。第3の開国だ」とぶち上げたのは、民主党菅政権です。

菅氏は、東日本大震災や福島事故がなければ、やる気満々でした。

「焦点となっているTPPへの交渉参加に向けて「国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を開始する」と表明し、「自由貿易を進めるとともに、農業改革を進める」と語った。農業については「このままの状態では将来の展望が開けない。質の高い食品を海外に輸出することができる競争力のある農業をめざして改革を進めていく」との考えを示した」(ロイター 2010年11月13日)
TPP「協議開始」を表明、「平成の開国」めざす=菅首相| Reuters 

菅政権がやれば、「完全勝利」だったとでも(笑)。馬鹿いっちゃいけない。もっと惨憺たるものになったはずです。 

そもそも民主党には、自民党に輪をかけて農業政策そのものが欠落しています。 

政権時にやったことと言えば、「農家戸別所得補償政策」という税金のバラ撒きだけでした。それも内実は財政的裏付けがなかったために、ただの旧態依然たる減反奨励金の復活に終わりました。 

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一方、自民党農水族はこんな状態のようです。 

「農村に地盤を持ち、来年改選を迎える自民党の参院議員からは、「これでは選挙は戦えない」との悲鳴が聞こえている。
「大筋合意」に関しては、野党は秋の臨時国会での審議を求めているが、これには与党は消極的で、11月9日から11日までの閉会中審査のみを提案している。これはゆゆしき国会軽視、日本国民軽視だと玉木氏は主張する」(東経同じ)
 

自民党農水族、つまりは事実上のJA農水族のことですが、今のままの農業でやっていけると本気で思っているなら、どこかがおかしいと思います。

日本農業=JAではないのです。JAは確かに日本農業の背骨のひとつですが、すべてではありません。

JAが大量に抱え込んでいる兼業農家(※)を保護することが、日本農業を守る唯一の道ではないのです。自民党農水族は、いつもその混同をしています。
※JA単協により、兼業農家の比率は大きく異なります。ここでは一般論で書いています。

とっくの昔に無関税でやってきた養鶏家の私など、輸入枠が5.6万トン(13年目以降は0.84万トン上乗せ)増えた程度で、何をこうまで騒ぐのかと思いますね。 

おそらく、とうに無関税同然で元気な野菜や果樹農家も同じ意見でしょう。 

この民主党農水族玉木氏は、こう言っています。

「いまは日本の食用米が余っている。農家に1アールあたり10万5000円の補助金を出して、わざわざエサ米を作らせている状況だ。これ以上外国から食用米を輸入すれば、備蓄バランスが大きく崩れ、最終的にはコメを安価に大量放出しなくてはならず、その差額は税で埋めることになる。これではかつての食糧管理制度に逆戻りになってしまう」

私は、こういう玉木氏のような農水族の、「日本農業壊滅論」は聞き飽きました。 

エサ米なんていう転作奨励をしたために、かえって地域の米のブランド゙力が落ち、今まで味と品質にこだわってきたものが、エサ米で捨て作りまがいに転落したとも聞きます。

こんなものは、時間と金をかけた日本農業の自殺、いや安楽死です。 

米玉木氏のように「食用米が余っているから、エサ米に」という発想そのものがダメです。

こんな姑息な彌縫策でなんとかなるほど、日本の米作りが抱えた矛盾は小さくはないし、これではただの兼業農家維持政策でしかありません。

農水省は、兼業農家の自然減を待っているのですよ。 

そもそも、今のようなコメの高関税は、国が生産カルテルを結んで事実上の減反政策を続行しているから生れたのです。 

こんな米だけ馬鹿げた高関税にしておくから、日本農業全体までもが鎖国していると見られて、経団連から邪魔者扱いされたり、外国からの攻撃対象になってしまいました。まったく迷惑な話です。 

その上、中途半端に食管制度をハズしたために、本来、関税に代わって別の支持制度を作らねばならないはずなのに、肝心なそこがおろそかになりました。 

このような「日本農業壊滅論」は、農業界の永遠の繰り言のようなもので、今まで繰り返し何かの節目には登場します。 

91年の牛肉自由化、94年のガット・ウルグァイ・ラウンド交渉から明らかなように、農産物は何度も自由化を経験してきていますが、政府がなんの手も打たなかったことはこれまで一度もありませんでした。 

ウルグアイラウンドはその象徴です。その時に、農業界を黙らせるために投じられたのが、実に6兆100億円です。 

日本の国防予算が単年度で4兆9801億円ですから、いかに馬鹿げた巨額な税金を「農家なため」に使ったのかわかります。 

ここまでして結局、農業は強くなったのかといえば、ノーです。これは農水省も認めるでしょう。

農家数を見れば分かるように農家数は減少に歯止めがかかるどころか、いっそう激しくなっています。

Photo_3

(図 農水省農業経営動向)

強くなるどころ4兆円かけて、弱くかっているのです。

こしかし、これは農家数にのみ着目した数字で、農業を年に2週間ほどやっているにすぎないパートタイム農家、つまり兼業農家が減っただけなのです。

Photo_2(図 福井県大野市HPより)

上図は米所の福井県の1970年と2010年の専業農家と兼業農家の推移を比較したものですが、専業農家は1970年と比較して約2倍に増えていますが、兼業は激減しています。
  

全国的にも、専業数は維持されており、一方兼業は急減しています。これがよく「日本農業壊滅論」者が言う、農家数3分の1以下になったと言う根拠です。 

つまり、兼業は激減しましたが、日本農業の中核部隊である専業農家は少しずつですが増えているのです。 

これを「農家数の激減」と言いくるめるほうが、現状の農業を知らなさすぎます。 

あえて言いますが、サラリーマンが片手間でやる米作りが減ったから潰れるというような日本農業ならば、そのようなものに生き残る価値はありません。 

村のしがらみでイヤイヤやっているような今の兼業農家ではなく、今後10年先までしっかりと後継者が継げる農家経営こそ大事にすべきなのです。 

彼らに対しての支援は、惜しんではなりません。それが直接支払い制度です。

今までのように薄く広くパートタイム農家までにバラ撒くのではなく、重点的に支出せねば死に金になります。 

ヨーロッパや米国はとうの昔からこの直接支払い制度で鎧おっています。日本だけが「皆んなで渡れば怖くない」という<高関税-減反-兼業農家依存>というぬるま湯を続けてきたのです。 

玉木氏は「差額を税金で埋める」と言いますが、財政負担と直接支払いのどちらが税負担が大きいのでしょうか。 

有力なTPP反対論者の鈴木宣弘東大教授は、TPPによって巨額な財政負担が生じ、農業全体で4兆円、米だけで1兆7000億円必要となる、と主張しています。 

一方、農水省はTPP反対の根拠数字として、関税が撤廃されると、農業全体の生産額は4.1兆円減少すると試算しています。 

農水省が言う4.1兆円の生産額減少分を維持するために、鈴木教授は4.兆円の財政負担となると言っているのです。

私は思わず、笑ってしまいました。 

つまり、農水と鈴木教授の言うとおりなら、差額0.1兆円で売り買いできる農産品を、4兆円もかけて税金で維持している、ということになります(苦笑)。 

こういう言い方を、再び農水族はTPP以後の農業補償要求で出して来ると思われますが、悪いことは言わないからお止めなさい。 

「守るべきは守る」というならば、むしろ政府支援の重点を、既存の兼業農家から、経営感覚をもった専業農家に重点配分した農業改革を進めるべき時なのです。

「守れ、守れ」の籠城戦で、守れたためしはありません。 

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維新の会とみんなの党公約 やっぱり出てきた「農協解体」

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みんなの党と維新の会の参院選公約原案が出たようです。 

橋下氏の発言によって袂を分った形になっていますが、もともと一緒になろうかといっていた同士ですから改憲を除いて公約はそっくりです。
まるで、三木谷氏や竹中氏などの産業競争力会議の政策集のようです。あ、そうか、竹中さんは維新の顧問でしたもんね。競争力会議なんかに来ずに、そのまま維新にいたらよかったのに。
さて、この両党の公約を読むと彼ら新自由主義者たちが、農業を既得権益の総本山と位置づけているのがよくわかります。きっと農業や農民がキライなんだろうな、この人たち。
たぶんあのまま小泉劇場が続いていたら手をつけたであろう「農業改革」のアウトラインがわかります。
この人たちが手をつけたくてうずうずしているのはJA農協です。構造改革派は、JAから金融部門を切り離し、組合員支援のみに特化した団体にしようとしています。
そして次に仕掛けてくるのは、JA金融に眠る膨大な金を、TPPにからめて米国保険会社の新たな市場に吐き出させることです。
JAは組合員の出荷や生産に対する支援と、金融部門で成り立っていますから、ここから金融を切り離してしまえば、片一方の車輪をもがれたような状態になっていくでしょう。
 
JA農協と一口に言っても大都市近郊の準組合員が多く金融が得意な農協と、私が住んでいる純農村や山間地の組合員支援型農協とは置かれた状況がまるで違います。 
後者は金融部門か組合経営にプールされることでなんとかやっているわけで、出荷や資材だけでは経営が成り立たないために解散に追い込まれる地域JA単協が続出するかもしれません。
 
それをやるメリットを説明していただきたいものです。地域農業の背骨そのものであるJAを潰すメリットとはなんなのですか
橋下さんが初めから地方などは眼中にないことはわかっていますが、農業県栃木出身の渡辺さんか、同じことを言うのは解せません。
どうぞ地元選挙区で「農業自由化特区」でもやってから言って下さい。
もっともそんな「社会実験」(←この言葉、民主党が好きでしたね。高速道路無料化とか普天間県外移設とか「実験」したあげく自滅してしましたが)をやられたら地元もたまったもんじゃないでしょうけど。
私はJAに属さない独立系農業団体に属していますが、TPP以降の外国産農産物との厳しい競争にJAなしで立ち向かえるほど甘くはないと思っています。
JAの組織力、販売力、職員層の厚さ、技術力などは郵政と一緒で、総合力としてあるからいいのであって、切り売りしてしまえば簡単に再建できるものではありません。
郵政はバラバラに解体してしまいましたが、何かいいことがありましたか?日本人は新自由主義者たちの「改革」の正体をいいかげん知るべきです。
 
減反は、「農協解体」とは別に議論すべきことでJAの金づるのように言うのは間違っています。しかし、いずれにせよどこかで手をつけねばならないことは確かです。 
いつまでも高関税でブロックして、あえて生産性を減らして、自給率を下げるようなばかなことが続けられるはずもありません。
段階的に減反を廃止し、それに替わる手段を見つけるべきでしょう。 
 
株式会社の参入は、大分前から財界がギャギャー言ってきたことで、もう耳タコですが、それによるメリットがよくわかりません。 
株式会社は今でも大いに農業分野に参入していますし、ただ土地所有権がないだけです。
農地法の縛りを完全になくして勝手きままに株式会社が農地を買うことができるようになれば、儲からなくてやめる時の転売もさぞ簡単になるでしょうね。
こんなことを今やったら、賭けてもいいですが、5年くらいで日本の農地はたちまち減少していきますよ。
今でさえ農業委員会のゾーニングが緩いのに、これをやったら農地は転売対象の草刈り場になります。兼業農家は土地売りたくてしかたがないんですから。
 
あとは農業以外では、発送電分離ですか。ああ、くだらない。今の日本でやることじゃないです。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-d2f0.html
 
再生可能エネルギーを50年に8割ですって、爆笑。議論するのもバカバカしい。
20年代原発ゼロ。無理です。こんな空論はドイツの脱原発政策の惨状を総括してから言ってほしいものです。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-ab0f.html
混合診療の自由化、ばかか、そんなことやったら、地方や貧困層がいっそう医療から遠ざけられます。高度医療がウンヌンと言っているようですが、なら高度医療を保険化したほうが早い。
あと彼らがお好きなのは首相公選制です。ワンセットで議会の議員定数削減や一院制もついてきます。
この連中、首相公選になどしてしまったら、諸外国でいう元首になってしまうということになり、天皇の地位とバッティングすることがわかって言っているのでしょうか。
英国もオランダもそうですが、立憲君主国という国柄に首相公選制は合わないのです。
また公選制度でいったん選ばれた首相は大統領と一緒ですから、議会多数である必要がないために任期一杯まで務められます。
大統領的独裁権を持ち、なおかつ、それを掣肘するべき議会を弱体化させて、日本を「グレートリセット」するというのが彼らの腹づもりです。
去年あたりの「第三局」とやらの風向きで首相公選で橋下徹氏を首相にしてしまったら、今頃日本国民は恥ずかしさのあまり悶死していることでしょうね。
それにしても、ま~よくこれだけ私のキライな政策を集めたもんですが、維新もみんなも参院選前後に分裂しそうなのはなによりです。
幸か不幸か、この新自由主義者たちの「救い」は、政府に食い込むことが達者な竹中氏以外、政治的に極めて幼稚なことです。
イケイケの時は「敵」を官僚や農業などに見立てて、「既得権益に切り込む大胆な規制改革」(渡辺氏)と口達者ですが、なにも出来ないうちに内輪もめから支離滅裂になって自滅します。
今回の橋下氏の下品な行状を見れば、全国民が納得されたことでしょう。
いちおう彼らの公約を整理しておきます。実は書き写すだけでイライラしたんですが。(笑)
 農業分野の強化
・JAの独占禁止法適用除外の廃止
・JAの農家支援部門と金融部門の切り離しによる農協分割
・株式会社の参入強化
・株式会社の土地所有
・減反の撤廃
 
TPP参加 
電力自由化
・発送電分離
・再生可能エネルギーを50年に8割
・20年代原発ゼロ
 
医療自由化
・混合診療の全面解禁
 
公務員改革
首相公選制
 
  
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農協分割、20年代原発ゼロ=公務員リストラ可能に―みんな公約【13参院選】 
毎日新聞 13年6月17日(月)19:20 

 みんなの党の渡辺喜美代表は17日、国会内で記者会見し、7月の参院選の公約を発表した。環太平洋連携協定(TPP)参加を見据えた農業強化策では、株式会社の農業参入を原則自由化し、農地所有も認めることを明記。農協は農家支援部門と金融部門を分離するとして、「農協分割」を打ち出した。   

会見で渡辺氏は、「既得権益に切り込む大胆な規制改革」を目指すと強調。公約では、電力の完全自由化と発送電分離の徹底で2020年代の原発ゼロを実現するとした。再生可能エネルギーの普及に努め、発電に占める割合を30年に30%、50年に80%にすると提唱。医療分野では、混合診療の全面解禁を掲げた。  

 公務員制度改革では、協約締結権とスト権を認める一方、身分保障を廃止し「民間並みの降格やリストラなどを実施できるようにする」こととした。昨年の衆院選公約に続き、国家公務員数の10万人削減と総人件費の2割削減も盛り込んだ。

 

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カロリー自給率が国策なら、俺ら畜産農家は国賊だ!さぁしょっぴけ! 速報 愛知県でトリインフル発生!

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国内食料自給率、しかもカロリーベース自給率なるものは、世界でこんな指標を使っている国は一国もないというケッタイな数字です。

おっと、その前にわが国しか使っていないということ自体知らない国民が多いんじゃないでしょうか。 いちおうお隣の韓国だけは計算だけはしているようですが、まったく農政の指標には使っていません。

ではよく農水省が発表する主要各国の数値はどうしたんでしょうね。なんのことはない、あれは農水省がFAOの数値をこね繰り回して作り出したメイド・イン・カスミガセキの数字なのです。世界のどの国も自給率など計算したこともないから公表しようがないのです。

つまり、まったく意味のない数字が一人歩きしている不思議の国ニッポンというわけです。

今、こね繰り回してと言いましたが、農水省はこの世界一国でしか通用しないカロリー自給率の算定方式をいまだ公表していません。 ですから民間が独自に試算しようとしても出来ないということになります。

北朝鮮もビックリの秘密主義ですが、農水省はわれら愚民に結論の「円周率より自給率」(←バカなコピーですなぁ)と刷り込めればいいだけのようです。

このカロリー自給率では、笑えることには、日本の生産額上位の農産品がオミットされています。野菜、果物、畜産品などです。この3ツの分野だけで、日本農業の生産額の実に7割まで占めているというのにです。トップ3を外してどうする!

そしてこの主力3分野の自給率貢献度は、わずか5%未満とされています。なぜかって?それは単にカロリーが低いからだけですよo (*^▽^*)

野菜,果物はカロリーが低いためにサトウキビより自給率が低く判定されています。サトウキビの糖度が低くなると自給率に影響がでるほどです。

私は沖縄時代にはサトウキビも作っていましたが、サトウキビはトン当たり2万円ていどの作物です。そして国から出る補助金はそのなんと8割の1万6千円。まぁ麦もびっくりの竹馬を履かせて作らしているのです。

サトウキビの補助金には沖縄の離島振興の役割もあるので、麦とは同列には出来ませんが、いくらなんでもサトウキビのほうが、野菜、果樹、畜産より自給率に貢献しているってのはないでしょう。

なんのことはない野菜、果樹はカロリーが低いからですって。一把1000カロリーの自給率向上ホウレンソウでもつくればいいんですかね。そんなもん売れないけど。

とりわけ私の家業の鶏卵などそれはひどい扱い。国産飼料が10%だからというので、ハイあんたの自給率貢献度は10%ね、とされています。もちろん国産鶏卵のシェアは96%なのにです。もちろん無関税です。念のため。

畜産品は軒並みその調子で、畜産のトータルの自給率貢献度はわずか17%です。

これがいかに現実離れした数字かは、畜産品のシェアを見れば分かるでしょう。牛乳の100%を筆頭にして、鶏卵96%、鶏肉70%、牛肉60%、豚肉55%となります。

要するに、農水省にとってわれわれ畜産農家はいてもいなくてもいいということになりますな。日本全国にサトウキビを植えれば自給率向上運動となることでしょう。

ある養豚農家がこういう啖呵を農水省のお役人に吐いたそうです。
「あんたらの言う自給率向上ってのが国策だって言うなら、おれらは国賊だ。さぁ国策捜査をして全員検挙してブタ箱に入れてみやがれぇ!」。

おーよくぞ言ったぞ。パチパチ。こんど飼料米なんてくだらないことを行政が言ってきたら、そう言ってやろうっと。白ゴム長族をバカにすんなよ!ああいかん、ヒートアップしてしまった。

このカロリー自給率というのは、いかに低くみせようかと涙ぐましいような努力を重ねた数字です。今言った、国産農産物の主力3分野をスパッと切り捨てた上に、それでも飽き足らず産業廃棄物まで分母に繰り入れています。

産廃として出た事業ゴミである廃油、レストラン廃棄物、コンビニの廃棄した弁当、そしてどうやって計算したのか分かりませんが家庭から出る食品ゴミまで、しっかり分母に繰り入れています。

いや自分の国の農業という基幹産業を、いかに低く見せるかで日夜奮闘する官僚集団というのは不気味でさえありますな。

そもそも食料自給率とか食料安保という概念そのものが、どのようにして生まれたかといえば、発展途上国の食糧危機から来る栄養状態を改善するためのに、FAOが作った人道上の概念でした。

わが国のような飽食とさえいえる国が使うような概念ではないのです。ですから世界主要国はそんな自給率などという概念自体を相手にしていないのです。もし意味があるとすれば、それは内戦で国内の生産と流通のインフラが崩壊した途上国でしょうね。

もっとも、そのような崩壊国家では逆に自給率が異常に高く出てしまいますが。外貨がなくて難民救援食糧しか外国から来ないからです。

かつて鹿野農相が(自民党でも農相をしていたという珍しい人ですが、その自民党時代)、米自由化阻止のためにある国際会議で、この得意の食糧安全保障論を述べ立てたそうです。

それを聞いていた諸外国代表は、初め失笑、バカバカしくて聞いていられないとばかりに続々と退席してしまったそうです。そりゃあそうでしょうとも。世界に冠たる飽食の国、ダイエット産業と脂肪吸引術が繁栄するわがニッポンが、発展途上国が使う食糧安保論を使えば、モラル・ハザードよばわりされて当然です。

飼料米の話を聞いたバングラデシュの農民団体会長が、「ニッポンはなんという罰当たりな国」だと呆れたという話も伝わってきます。飼料は人間の食と競合しない餌でするのがモラルというものです。

税金をたんまりと投入して作った飼料米を家畜にやって上げたような食料自給率になんの意味があるのでしょうか。

■写真 霞ヶ浦の夕陽に泳ぐカモの一家。お願い、トリインフルもってこないで、と無粋なことを考えてしまのが哀しい。

■速報 

愛知県新城市の養鶏場で鳥インフルの疑い

読売新聞 2月14日(月)13時18分配信

 高病原性鳥インフルエンザ問題で、農林水産省は14日、愛知県新城市の養鶏場で感染している疑いがあると発表した。

 簡易検査で陽性反応を示した。感染が確認されると、養鶏場ではこの冬、全国16例目となる。

 同省によると、同日朝、「鶏が前日の2倍以上死んでいる」と養鶏場から同県に通報があり、簡易検査したところ5羽のうち4羽が陽性だった。遺伝子検査の結果は同日夜に判明する見通し。感染が確認されると、この養鶏場で飼う約1万6000羽を殺処分する。同県内では1月末に豊橋市で見つかって以来、2例目となる。

最終更新:2月14日(月)13時18分

■名古屋コーチンの死骸も=愛知の農場で新たに感染疑い―鳥インフル

時事通信 2月14日(月)12時58分配信

 農林水産省と愛知県は14日、同県新城市の養鶏場の鶏が鳥インフルエンザウイルスの簡易検査で陽性反応を示したと発表した。遺伝子検査で陽性が確認されれば、今冬の養鶏場での発生は全国16例目、同県内では2例目となる。
 この養鶏場は約1万6000羽を飼育している。14日に死んだ鶏が20羽見つかり、この中には、全国の地鶏の中でも有名な名古屋コーチンも含まれているというが、陽性かどうかは不明。 


■農水省プレスリリース

愛知県における高病原性鳥インフルエンザの疑い事例について

  • 2月14日、死亡羽数の増加が確認された新城市の養鶏場において、A型インフルエンザの簡易検査陽性となった旨連絡がありました。
  • 現在、遺伝子検査を実施しており、陽性が確認された場合には、1月26日の高病原性鳥インフルエンザ防疫対策本部で決定した対応方針に基づき、防疫措置を開始します。
  • 1.農場の概要

    農場所在:新城(しんしろ)市 日吉

    飼養状況:肉用・採卵用種鶏 約16,000羽

    2.経緯

    (1)14日、愛知県から、新城市の養鶏場より前日の2倍以上の死亡鶏が確認されたとの通報を受け、A型インフルエンザの簡易検査を行ったところ、陽性が確認された旨連絡がありました。

    (2)現在、遺伝子検査を実施しており、陽性が確認されれば、疑似患畜と判定し、速やかに防疫措置を開始します。

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国際穀物相場高騰 日本に食料危機は来るのか?

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穀物の高騰が止まりません。下の記事にもあるように、一部の国では食料危機からの暴動が伝えられ、政権を揺るがす問題に発展しています。

まずは資料から見ていきましょう。

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世界の食料価格が過去最高に

FAOは、先月の世界の食料価格指数が過去最高となり、今後も高値の傾向が続く見通しであることを明らかにし、食料価格の上昇で発展途上国などの貧困層に深刻な影響を及ぼすことも懸念されます。

FAOの食料価格指数は、穀物や食肉、砂糖など主な食料の国際価格から算出しているもので、FAOは3日、2002年からの3年間を100とした指数が、先月は前の月より3.4パーセント上がって231になったと発表しました。

これは、統計を始めた1990年以降、最も高い値となっています。内訳で見ますと、価格が横ばいだった食肉を除き、乳製品、砂糖など主な食料品がすべて値上がりしています。

その理由については、▽オーストラリアで続く豪雨の被害など、各地の天候不順が農作物の収穫に影響を与えたほか、▽中国やインドなど経済成長を続ける新興国で食料の需要が高まっているためとみられます。

世界的な食料価格の上昇は、中東地域のチュニジアの政変の発端となったうえ、エジプトでの大規模な抗議デモの一因ともなっています。

FAOによりますと、食料価格の高値傾向はさらに数か月続く見通しで、発展途上国などの貧困層に深刻な影響を及ぼすことが懸念されるほか、国によっては今後も反政府デモなどの要因となる事態も予想されます。(NHKニュース 2月4日

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この穀物類の中で特に小麦の国際市場価格が注目されます。エジプトなどの中東全体の政治地図を塗り替える可能性がある国で、小麦の高騰が起き、それが国民の独裁への不満に点火したためにムバラク政権が退陣に追い込まれる寸前までいっているからです。

では、わが国ではどのような影響が出るでしょうか。農水省は、「食料安保の危機」という構図を作りたいようです。

私はジワリとした影響は出るであろうし、畜産農家の経営は一定期間厳しくなることはありえるでしょう。しかし、中長期的には「食料安保」(私はこの概念自体に懐疑的ですが)を揺るがす事態にはなりえないと思います。

下の図をご覧ください。これは世界の主要小麦輸入国とその量を示したものです。典拠はFAOです。先日も篠原副大臣が「日本は世界最大の食料輸入国だ」などと言っていましたが、小麦の輸入量においては5位にすぎません。

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世界一の小麦輸入国はなんとあのパスタを世界中に輸出しまくっているイタリアです。なんのことはないイタリアン・パスタの原材料は輸入穀物が多かったようです。

イタリア人は大戦中のアフリカの戦地にもパスタを担いで行ったようなパスタが命の国民です。それが日本より200万tも多く輸入しているのは驚かされます。

イタリアは1970年代の100万t台から実に7倍も小麦輸入を増加させており、日本のコメを全量外国に依存しているようなことをしているわけです。イタリアはせっせと小麦を輸入し、せっせとパスタを世界に輸出している食糧加工国だったのです。

第9位のオランダもシブイですね。オランダは食料国内自給率過去30年間で72%から53%へ急落しています。落ち幅では同時期の日本より大きいほどです。

にもかかわらず、オランダは世界第2位の食料輸出国です。オランダは価格が低く、耕地面積を食う飼料作物の栽培を止め、国際的な評価があり競争力の強い花や野菜、食肉の輸出にシフトしたからです。

ですから、カロリーが下がった分だけカロリー自給率上は、国内自給率が激減することとなりました。もっともオランダでカロリー自給率など問題にする人間はひとりもいませんが。オランダは非常に面白い農業政策をしているので、別途にまとめてみたいと思っています。

さて、小麦輸入第2位は、世界の穀倉を自他ともに認めるブラジルです。ブラジルという国は私にはサッカーくらいしか縁がないのですが、実は世界の穀物需給を考える時にはずせない存在です。

この「世界の穀倉」ブラジルで、どうしてこのような大規模な小麦輸入が行われているのかといえば、非常にビジネスライクなことが原因です。

ブラジルは小麦などという儲からない、ブラジルが競争してもしかたがない穀物はそもそも作らないからです。ブラジルが作る穀物は、バイエタで大儲けしたサトウキビ、中国市場を制圧している大豆、綿花などに重きを置いています。

ちょっと話はそれますが、大豆は日本人にとって豆腐や味噌として食品として食べるのですが、諸外国では一般的に大豆油を絞るための油糧作物として位置づけられています。FAOも大豆を油糧作物に分類しています。

中国ではこの油を絞った後の搾りかすを大豆ミールとして家畜や養殖魚の餌としてきました。この結果、小麦やトウモロコシの輸入量が抑えられたそうです。

この中国で激増した大豆を供給したのがブラジルです。ブラジルは、1960年代に3千万㌶だった農地を、90年代にはその倍の6千万㌶まで拡げています。この耕地面積の大部分が大豆に当てられているようです。

中国の大豆輸入に見られるように大豆ミールの使用量は1960年代を1とした場合2000年代にはその10倍とになるまで急増しました。では、国際市場価格が上昇したかといえばノーです。

急増した部分は、ブラジルが生産拡大することで補ったのです。ですから、日本の豆腐も味噌も値上がりをしませんでした。

話を戻しましょう。食糧危機が来るのかと問われれば、私は来る国は来るが、来ない国は来ないと答えることにしています。もちろんわが国は来ません。

先日のニュースで、ケーキ屋さんが小麦と砂糖の値上がりで困っているとこぼしていました。しかもデフレ過当競争で価格に転化もできない。キャスターが「また世界に食糧危機が来るのでしょうか」としたり顔で嘆いてみせていました。

小麦と砂糖ですか・・・、いつだったか私のブログでも取り上げましたが、小麦は国が輸入の独占的卸もとです。国家が独占輸入をしているという、自由主義経済国とは思えないことをしているのです。

たとえば国際市場で3万7千円/tで買い入れた小麦を、国内にはその2倍の6万9千円/tを政府売り渡し価格としています。日本の消費者や畜産農家は国際市場価格の実に2倍もの高い小麦を買わされていることになります。

そしてこの差額は国内小麦の補助金に化けます。これも100%補助というとてつもない竹馬を履かせて、国内小麦相場4万3千円/tのところを8万6千円/tで政府買い入れをしています。

国際市場価格との差、実に2.5倍!私はひとりの畜産農家として言いますが、かんべんして欲しいものです。

私たちは複数の輸入業者が競合して相場を形成する世界に生きていないようです。日本政府が独占輸入する国際市場の倍額の穀物で家畜を養うことを強制されているのです。

このような奇怪な仕組みが「食糧安保」の名の下に行われています。国産小麦を作れ、それで食料国内自給率をアップしろと号令をかけるのなら、まずはこのような馬鹿げた国家独占輸入体制を一刻も早く止めるのが先決でしょう。

菅内閣は「農業改革」とやらを唱えていますが、まずは農水省の省益によってバカ高い小麦を買わされている日本国民にそのカラクリを説明することから始めてほしいものです。

世界は確かに今、食糧危機の足音を聞いています。しかし、食料危機の原因は、発展途上国の貧困問題、流通インフラの内戦などによる崩壊、国内農業生産の破壊、輸出商品がないための外貨の不足などによるものです。いずれもわが国には当てはまりません。

私は今後、世界的な穀物危機を迎える可能性があると思っています。その都度、私たちにも影響が出るでしょう。しかし、その国際的穀物危機の処方箋は、農水省が言うような「食料安保」、言い換えればカロリー自給率の向上ではありません。

農水省の言う食料自給率の向上とは、単に飼料作物の国内生産を増加し、米の減反政策を維持し続けることに過ぎないからです。国産飼料用麦を増産するためには、その財源である輸入小麦の輸入を伸ばさねばならないとは逆説もいいところではないですか。

そのためには、前世紀の遺物と化した食料の国家統制を止めることを考えていかねばなりません。

■写真 早朝の雪の湖岸です。

■追記 コメントをいただいて、もう少し補足説明をしました。コメ欄と重複しますが転載します。

もう少し追加で説明いたします。

伝統的な中国の食風土との関係で考えてみようと思います。中国は伝統的に大豆を油糧作物として大量に使ってきました。

しかし1970年代までは中国が準鎖国体制にあったためにそのほとんどを自給してきました。しかし開放経済の発展と共に大豆の需要が急増しました。

それに伴って輸入量も急増し、91年には85万tだったものが、2004年には2190万tと実に25倍に増えています。中国国内の大豆生産量も同じく91年に972万tから、04年には1760万tにまで増えています。

この増加は大豆油とその絞りカスである大豆ミールの需要急増のふたつの増加要因が重なったためです。

つまり大豆油と食肉、特に豚肉の生産急増が原因で中国の大豆の輸入が急増したわけです。

そして、その大豆の輸入増加分はほぼすべてがブラジルからの輸入でまかなわれました。中国の大豆輸入量とブラジルの輸出を比べると見事なパラレルのグラフになります。

利根様がご指摘のようにトウモロコシも併用していることは間違いないでしょうが、大豆ミールを使うことが中国の食肉生産で重要だったことはその輸入量の圧倒的多さからみても間違いありません。

さて、世界の「畜産革命」が1970年代から80年代にかけて起きました。これは飼料要求率の極小化と短期飼育の定着、短期飼育用品種への転換、高蛋白飼料が容易にえられることが背景にあったわけです(ちなみに私はこれに批判的ですが)。

このために60年代には年間2億tだった世界の飼料穀物の消費量が、70年代には5億tへと増加したものの80年代以降はこの飼料用穀物の伸び率は鈍化しています。

この飼料の高蛋白化の主要原因は、やはりこの大豆ミールです。特に中華料理で多用する大豆油のいわばリサイクルで出来る大豆ミールは中国で重用されたようです。

利根様の「合理性がない」との仰せですが、私は彼らの食体系からみて充分に合理性があると思っていますが、いかがでしょうか。

一方わが国は伝統的に沿海のイワシなどを使った魚粉が養鶏の蛋白の主成分でした。これはわが国においては容易に得られて、大豆ミールより食味にコクが生まれることから利用され続けてきました。

これも日本の伝統的な食体系と無縁ではありません。世界の畜産飼料組成を研究したわけではありませんが、やはり置かれた地理的条件、伝統的な食体系と無縁ではありえないと思います。

わが国は米国を飼料基地とし、かつ飼育方法も大きな影響を受けたせいかトウモロコシを穀類のベースにしますが、欧州では伝統的に麦類を使っています。それは牧草と麦類の輪作体系という歴史的背景があるからです。

わが国においては、養鶏が卵黄色のカロチノノイド色素との関係でトウモロコシを欲しがるのは分かりますが、価格的なことがなければ麦類がベースとなったのではないでしょうか。

いずれにせよ、私が本日のブログで言いたかったことは、飼料用にせよ、食用にせよ、国際市場価格とかけ離れた価格で政府渡しにする構造自体がナンセンスだということです。

ましてや現在の食糧高騰の時期にしてはならないことを政府はしてきたことを批判して書いた次第です。

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農業への無知を晴らす中から 、平成の不平等条約・TPPを迎撃しよう!

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北海道様、ありがとうございます。非常にリアルなコメントでしたので、全面的に転載させていただきました。

私は、この間の記事をTPPをどう迎撃するかという流れの中で書いています。

そもそも9割の日本人は、昨年10月の菅首相の所信表明演説まで、TPPなどという単語自体を知りませんでした。ほとんど初耳。寝耳に水。民主主義とは相いれない手法です。

私たち農業者に至っては、FTAは民主党マニュフェストに出てきましたから議論の対象に大いにしたものですが、よもやその拡大バージョンをいきなりかまして来るとは思いもよりませんでした。

一種の脳震盪状態といっていいでしょう。村の友人はJAが組織した反対デモに行ったのですが、終わった後の飲み会で、「なんだ、てーてーぴーって?」といった有り様で、実感が湧かないというのが実態のようでした。

さてあれから3カ月間がたち、遅まきながら、私たち農業者にもTPPがかなるものかの全貌が見えてきました。

煎じ詰めれば、TPPは米国が主導する多国間自由貿易協定です。そもそも米国が、WTOのドーハ・ラウンドでの不調を棚に上げて、自国の利害のために身勝手に始めたことです。

菅首相は、横浜でのAPECで各国首脳を前に「世界の孤児にならない」、「日本は鎖国をしている」とまで述べました。普通このような外交的席上では、わが国はいかに開かれた国であるのか、WTOの優等生であるのかを力説するものですが、いきなり「わが国は鎖国している」と来たもんです。

たぶん軽い冗談なのだと思います。幕末に日米通商条約が結ばれた横浜の地をあえて選び、各国首脳、中でも米国大統領を前にして、「鎖国している」と自国を卑下してみせれば、それがどんな外交的メッセージなのかは明らかです。きっと受けを狙った笑えない冗句のつもりでしょう。

もちろん、首相の「鎖国」認識はまったくのでたらめです。わが国の関税率はOECD諸国の中でも低く、発展途上国に対しては膨大な品目を特恵関税扱いでゼロにしているほどです。

特恵関税を得ている諸国には、GDP世界第2位の「発展途上国」中国まで含まれています。

また、菅首相は今年の年頭所感で、「日本農業の開国」をぶち上げました。これも根本的に認識を間違えています。先日の記事で書いたように日本農業の平均関税率は11.7%にすぎません。OECD先進諸国の中で下から2番目の低関税国です。このどこをして、「日本農業は鎖国している」のでしょうか。

また、菅首相は歴史がお好きらしいとみえます。山口県出身の自らを「奇兵隊内閣」と呼んだことすらあった御仁です。ならば、1858年11月に横浜で結ばれた日米通商条約が、産声をあげたばかりの新生日本にとって、いかに大きな重圧だったかは知らないはずがありません。

関税自主権の放棄と治外法権という巨大な不平等条約を押しつけられた日本にとって、それを破棄することが明治国家の目標だったほどです。破棄に至る40年間、日本はしなくていい大きな犠牲を支払いました。

関税自主権の放棄とはそれほどまでに大きなことであり、それを薄っぺらな現状認識しか持っていない龍馬気取りの安っぽいロマンチストに簡単に「開国」されてはなりません。

考えてみれば、このていどの男が、このような時期に、このような席にいること自体が日本の不幸なのかもしれませんが。

かつての安政の開国は、ペリーによるあからさまな軍事的な圧力によってもたらされました。しかし、今の日本は当時の日本ではありません。

衰えたといえど世界経済の中枢的な地位におり、既に先進諸国の中で関税率が最も低い国に数え上げられるようになっています。農業生産においても世界有数の力をもっています。

そして今回、米国は日本に「開国」がらみで軍事的圧力をかけようとはしていません。それは不安定の弧の東の要が日本である戦略的位置によります。米国は日本をみずからの世界戦略上切れないのです。

民主党政権は、沖縄問題、尖閣問題、そして北方四島問題で連続的に外交をみずから揺るがせた反動で一気に米国にすがりつこうとしているにすぎません。

このような有利な諸条件がありながら、なぜ唐突にスーパーFTAとでもいうべきTPPをする必要があるのか、私には皆目見当がつきません。

ムード的に「平成の開国」と叫ぶのはやめたほうがいいと思います。なにがTPPであるのかがはっきりしないうちに「バスに乗り遅れるな」とばかりに走り出してはなりません。

TPPはすでに米国、カナダ、豪州、ニュージーランドが加盟しており、この先約事項に拘束されてしまいます。今、この時期で日本が最も遅れて加盟すると、日本が協議していないことまで先約決定事項とされて拘束されてしまいます。

まさに「平成の不平等条約」といっていいでしょう。

TPPはやる必要がない協定です。日本は既に充分「開国」しています。それで不足があると産業界が言うのなら個別の二国間交渉で詰めればいいのです。

現在のように二国間FTAすら満足な議論ができていないのに、多国間協定をいきなりもってくるというのは本末転倒です。

今、この形でやることに合意してしまえば大変な禍根を残すことになるでしょう。
ところでこの間、TPPに対して多くの意見が雑誌やウェッブで出されています。出来るだけ眼を通すようにしていますが、こと農業のこととなると立場は違っても悲惨の一語に尽きます。
例の自給率40%、食料輸入大国、穀物全量輸入、コメの高関税、高齢化などという視点からしか日本農業を見ていません。今までこんな嘘を垂れ流してきた農水省の毒により、日本農業のほんとうの姿が大きく歪められてしまっています。
この間違った日本農業観を基礎にして、一方は「日本農業の開国」を叫び、方や「日本農業の保護」を訴えているのです。
賛成するにしても、反対するにしても、こんな間違った日本農業像を一回叩き潰さねば私たち農業者にとって、いやわが国民にとっても本質的な議論となっていかないでしょう。
いい機会です。安易な日本農業保護論ではなく、自立をめざした論議をする中から、平成の不平等条約・TPPを迎撃しようと思います。
以下、「北海道」様の現場からの投稿を全文掲載しました。もし、可能ならでけっこうですが、「りぼん」様、養豚関係の声をお聞かせいただけないでしょうか。

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TPPに参加した場合の畜産(酪農と肉畜)の影響ですが、農業の周りにある農業機械や飼料など資材関係及びその地域のコミュニティなど様々な関連産業も当然影響を受けますが専門分野外ですので、個人的見解で答えます。

先ず、酪農関係ですが、国内の生乳生産は約800万トン弱ですが、乳製品の生乳換算需要は概ね1,200万㌧と言われています。

(国内生産量の50%相当が輸入されています)
その約800万㌧の内都府県での生産は約400万㌧でその大部分は飲用で消費され、一部バターやチーズにも使われています。

北海道は約50%の400万㌧弱生産しています。ちなみに平成21年度の生産量は3,824千㌧で、その用途別割合は

①バター・脱脂粉乳1,681千㌧(44%)
②生クリーム原料乳963千㌧(25.2%)
③飲用乳 746千㌧(19.5%)
④チーズ原料乳 433千㌧(11.3%)
となっています。
※飲用乳には、都府県での飲用の為の送乳を含んでいます。

この状況から言える事は、都府県の酪農家がそのまま存続し、生産量も現在と同じと仮定すると、北海道で生産している約400万㌧の生乳の内、フレッシュものとして輸入が厳しいと思われるのが、飲用乳の約75万㌧+生クリーム96万㌧+ソフト系チーズ若干程≒200万㌧ですから、単純に考えれば現在の生産量の半分の生産で間に合う事になります。

国内全体で考えれば飲用乳需要は約400万㌧、生クリームの大部分は北海道産なので約100万㌧合わせて500万㌧チョット程度あれば間に合います。

チーズ(主にハード系)及びバター・脱脂粉乳は全て輸入に置き換わるでしょう。
(一部国産にこだわる実需者が居れば少し上乗せされるかな?)

酪農での影響は牛乳だけではなく、生まれて来る「♂子牛」にも影響が出ます。雌雄判別精液を使わない限り53%前後は♂子牛であり、現在は哺育・育成・肥育して枝肉として消費されていますが、輸入牛肉とまともにバッティングしますので、採算は取れないでしょう。生まれた♂子牛は化成処理される事になります。

話を纏めると、酪農家は半減(戸数か生産量かはありますが)、北海道で主となっているホル♂肥育関係は壊滅、交雑種(ホル×黒毛和種)関係は黒毛和種に近いくらいの枝肉を作れる生産者1/3程度が残る・・・と言った感じかな?と思っています。

北海道では、酪農畜産農家は当然の事、畑作農家も危機感をもち、農業団体挙げて反対運動を展開している所です。(地域が壊滅すると言う危機感から市町村行政なども同じ考えで行動しています)

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連投ご容赦ください。
TPPの酪農畜産に関する影響は、大きなものがあると思っていますが、個人的には先に参加している国々がルールを決めてしまってからの参加は大きな不利益が生じると思っています。

WTOでもEPA・FTAでもいつまでも国際的な大きな流れに乗らず、国家が存続して行くとも思えません。

先々参加せざるを得ないのであれば、当初から参加し10年間の猶予(ルールの決め方によっては品目毎に延長もあるかも知れない)中に、国内農業の方法や方向も見定め、戦略を練る事も可能になると思います。

いつまで守りの農業に徹するのか?
攻撃的な農業は不可能なのか?

ただ単にデモをしたり、署名活動をすればよいと言うものではなく、攻撃的農業の戦略も政府や農水官僚に提案して行く事も重要だと思っています。

ただ、一部大臣や経団連会長等が何も分からず、GDPの1.5%発言をしている事には怒りを感じています。

TPP参加表明と同時に、国民の食糧確保の問題(異常気象が当たり前になっている状況の中で、輸出規制が為された時の対応)、投機資金が流入し価格が異常に高騰した場合の対応、自給率の問題(濱田様が仰るカロリーベースではなく、他国と比較できる数値)、農業の問題、地域やコミュニティの維持の問題、環境の問題、関連産業の問題等々の対応を国民に対して丁寧な説明が必要なのではないでしょうか?

単に所得補償すれば良い・・と言うものではないです。農業者は「物乞い」ではありません。

それと北海道の生乳品質は世界一と自負しています。
でも、狭い国土の中で集約的に生産して行くには、どうしても購入飼料にも頼らざるを得ません。コストがかかる事だけは、いかんともしがたい・・・と言うのが現状です。
(個体改良や自給飼料増産していくにも肥料等はどうしても掛かってしまいます)

                 ○o。+..:*○o。+..:*○o。+..:*

TPP “見切り発車”は許されない
琉球新報 2011年1月18日 

国家の政策は常に弱者の立場に配慮し、支援・強化策が先にあるべきだ。しかし、いま「強者の論理」が強行されようとしている。

 内閣改造を機にTPP(環太平洋連携協定)締結に急傾斜する菅内閣に、「農業や農民を切り捨てる暴挙」との批判と警戒感が高まっている。

 原因は「農政無策」ともいわれる日本の政治の脆弱(ぜいじゃく)さにある。
 県内の農家からも「ワクチンもないままに新型インフルが猛威を振るう社会に国民を放り込むようなもの」との批判の声が絶えない。

 農家や農業団体の懸念に、県議会は「地域経済に深刻な影響を及ぼすことが懸念される」として、協議に参加しないよう政府に求める意見書を可決している。

 TPPは、環太平洋諸国間で原則として関税を撤廃し、自由貿易協定を結ぶものだ。

 現状でも厳しい農家の経営環境の中で、関税撤廃と農産物の自由貿易化となれば、安い農産物が大量に流入し、国際競争力を持たない県の基幹作物のサトウキビや肉用牛、養豚、パイナップルなどが壊滅的な打撃を受けるのは確実だ。

 「TPP参加は日本農業の壊滅への道」との厳しい反対論に、政府はきちんと答える必要がある。

 「安い農産物は消費者にとって歓迎すべきこと」との賛成論もある。だが、中国産野菜の農薬汚染、米国産農産物の遺伝子組み換え問題など、「安さ」と引き換えに「安心・安全」を失うことへの懸念や警戒への政府の回答が先だ。

 菅政権の中には「GDPの1・5%しかない第1次産業が、他の98・5%の産業を犠牲にしている」との暴論を吐く外相もいる。

 思えば15年前、ウルグアイ・ラウンドで農水省は「一粒たりともコメは入れない」と反対していた。しかし、自由化は加速し、コメは減反を強いられ、農業総生産額はピーク時(7兆9377億円、1990年)の55%(4兆4295億円、2008年)に、主業農家は82万戸から36万戸まで激減した。

 農業人口の激減、耕作放棄地の増加、食料自給率の低下など、農政無策で農業を衰退させた「前科」に対する政府不信は根強い。

 TPP締結の前に、国内産業への影響に関する調査、影響に対する的確な対応策は不可欠だ。

 食糧安保の観点からも、“見切り発車”は、絶対に許されない。

■写真 旭日です。わが国の国旗を思い出します。

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社会主義統制経済を今どきやっている小麦輸入の仕組み

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まずは自給率(カロリーベース算定)のデーターを上げてみましょう。

■平成18年年度(2006年)自給率39%
果実:35%
大豆:25%
野菜:76%
魚介類:59%
砂糖類:
32%
小麦:13%
油脂類:4%
畜産物:16%
コメ:94%

これがカロリーベースの算定による自給率39%の内訳です。ではこれを41年前と比較します。

■昭和40年度(1965年)自給率:73%
果実:86%
大豆:41%
野菜:100%
魚介類:110%
砂糖類:31%
小麦:28%
油脂類:33%
畜産物:47%
コメ:100%

少し説明をしましょう。2006年度の米が94%と、100%を切っているのは、ミニマムアクセスで低品質の輸入米を買って、市場に出さずに保管しているからです。

よくフード・アクション・ジャパンというCMで「米を食べて自給率を向上させよう」と言います。また農水省がマスコミを通じて国産自給だと、「3食はイモまたイモになりますよ」と言ったイメージをバラまきます。

何度も言っていますが、この政府の宣伝はある種のレトリック、有体に言ってプロパガンダでしかありません。

このカロリーベース自給率40%ということを国民的常識にして、そこからすべての農政を作ろうとしています。たとえば、農家所得戸別補償制度などは、米から始まり、それを畑作にまで広げようとしています。

畑作といっても、野菜や果樹というわけではなく、麦やナタネの類です。なぜ、こんな日本農業の主力ともいえない作物に莫大な税金を投入しようとするのでしょうか?その答えが上の表です。

自給率50%と民主党政府は掲げました。自給率を上げようとすれば、低い自給率しかない作物をテコ入れすることです。つまり、麦類、油脂作物、大豆などです。コメは自給率向上にはなんの関係もありません。

小麦などの穀物の自給率ですが、28%とあります。これには裏があります。小麦には100%の補助金が与えられていての数字です。このことを大部分の消費者は知らないと思います。

では、この国産穀物生産に対する補助金は、なにを財源にしているのかご存じでしょうか?「麦等輸入納付金」がこの財源です。ではこの輸入交付金がかけられた結果、輸入小麦はどのような価格になったのかをみます。

小麦輸入は、政府が管理するというどこぞの社会主義国家のようなことをしています。まず農水省が買い上げて、民間に売り渡すという仕組みです。

農水省HPによれば、値上げ後の政府売り渡し価格は、69,120円/tです。実は国際相場が、3,7000円/tですので、実に2倍です。国際価格の2倍の小麦を国民は食べさせられているわけです。ではこの差額がどこに行くのかというと、その大部分は国産小麦への補助金に化けていたのです。

国産小麦の相場は、43,000円/tですが、これに100%の補助金を乗せると、86,000円となり、国際相場の約2.5倍となります。つまり、輸入小麦を国際相場の2倍とすることで、そのサヤを国産小麦の補助金に回すという方法を農水省はとっていたわけです。

農水省は輸入穀物を輸入を統制することで、パンやうどん、ラーメン、そして同時に輸入穀物に頼る畜産製品の諸物価値上げの原因を作り出しています。

社会主義的な統制経済をして小麦輸入を一手に握り、そしてもう片方の手で国産小麦などへの補助金に回す方法で国内自給率の「向上」をはかる方法をとっていたのです。

大部分の国民は、よもや小麦が国家統制されているとはおもってもいないはずです。それは農水省が沈黙し続けているからです。

このことを公表すると、「国内自給率の向上」が、皮肉にも国民生活への圧迫となりかねない構造となっていることに、国民が気がついてしまうのを恐れているのです。

では、逆に農家から見てこの麦の補助金政策は嬉しかったかと問われれば、冗談ではないと多くの農家は答えるでしょう。なぜなら、麦、大豆への転作は減反の見返りでしかありませんから。

もともと美味いコメを作っていた畑を、減反という国家カルテルを維持するために3~4割作るな、と農水省から言われてきました。ひと頃は青刈りという屈辱的な方法でしのいできましたが、今のトレンドは麦、飼料用米、菜種、大豆を作れに変わってきました。

コメの代わりに麦を作ると転作奨励金がもらえます。作るだけで貰える愚民化政策ですから反収を上げたり、品質を上げたりするようなメンドーなことは考えなくなりました。これこそが、農民自身が最も軽蔑する「捨て作り」です。

日本の小麦の反収(単収)は3.2t/10㌃です。これは麦作に向いた英国の6tの半分強にすぎません。砂漠の国サウジすらわが国を1.2t上回っているほどです。

また反収の収量の伸び率も驚くほど低いのです。サウジは1977年から2.7t伸ばしているのに対して、わが国はわずか0.4tしか伸びていません。

世界でも屈指の技術力を持つわが国の農民とも思えないダルな数字です。これはひとえに、なんの努力もせずとも転作症例が貰える、作れば国家が買ってくれる、市場調査も開拓も考えずに済む、というあたりまえの農家経営につきものの経営努力をしなくて済むからです。

国家は農民に捨て作りを奨励するが如きことを強制して、「自給率向上」に名を借りた減反政策を維持しようとしているわけです。

この転作奨励金だけで実に7兆円が投じられました。よく日本農業を批判する人たちが言う「補助金漬けの日本農業」とは、ここを指します。

では、この巨額な税金によって日本農業はすこしでも強くなったのでしょうか。あるいは、「守られた」のでしょうか?

いや、まったくそうではなく、一部の人と省益を守っただけでした。多くの嫌日本農業派の人々は、農水省の愚かな政策と、日本農業そのものをごっちゃにしてひとくくりで切り捨てています。

農水省の省益利権の農政で日本農業全体までとやかく言われては、たまったものではありません。

■写真 雪の朝。ひさしぶりに雪が降りました。北国の方からみれば小雪でしょが。

■このところPCが不機嫌で、昨日は一回アップしようとして記事が全部消えるという悲惨なことになり、今日は今日とてフォントが大きくなりっぱなしで修正がききません。霞が関からの妨害電波でしょうか。(u_u。) しくしく、ごめんなさいノースイ様

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日本農業は高関税ではない!

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日本の農産物のタリフライン(関税品目)が多く、障壁が高いので、実態として輸入ができないために、消費者は大きな不利益を被っている、日本農業は過保護なのだ、という声はうんざりするほど聞きます。

ことにこの「平成の開国」とやらのTPP(「トツゼン・パッと出た、プロジェクト」)がらみで、農業を日本経済の喉に突き刺さったトゲのように言う人はかならずと言っていいほどこの論法を採用しているようです。

わが国の菅首相もそのひとりだとみえて、誰から吹き込まれたのか(たぶん経産省でしょうが)正月早々に「開らかれた日本農業へ」とぶち上げていました。この人は理数系にもかかわらずデーターを調べないでしゃべるという悪癖をお持ちです。

日本の農業生産額を「世界80位」と言ってしまうレベルで、「農業の開国」をアジるのはやめていただきたいものです。正解は先進主要5カ国中で第2位です。

首相の代わりに、「閉ざされた日本農業」であげつらわれる品目を上げてはましょう。コメ778%、コンニャク1705%、落花生593%、バター482%、麦256%、砂糖325%、小麦249%、などとなります。

これに対して、単純関税率は、日本が12%、米国6%、EU20%ですから、ほら見ろ日本の農産物はバカ高い関税だと主張するわけです。どのような計算式を用いたのか、日本の農業関税は50%だという主張もあるようです。

日本農業への悪口を読みたい方はこちらからどうぞ。データー根拠も記載されていない軽薄な数字がずらーと並んでいます。( ^ω^)ワ,ハハ
http://unagi-kiken.seesaa.net/article/100505213.html

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そこで上の農産物関税を比較したグラフをご覧頂きたいと思います。出典はOECD1999です。(「現代の食糧・農業問題」(鈴木宣弘・東大教授 創森社より引用)です。ウルグアイラウンド終了時のもので、やや古いのですが、まぁ現在も大きな差異はないと思います。

これはタリフライン(関税品目)ベースです。有税品目というゼロ関税まで含んだ指標しか他に国際比較するものがないのです。

グラフを見れば一目で、日本がWTOの超優等生であることがわかりますね。唯一米国には負けています。

しかし、関税を語る場合、米国のような特異な輸入消費大国と比較するほうがおかしく、もしどうしても比べるのなら、国の面積や生活レベル、工業化水準が近いEUでしょう。

EUは、19.5%、日本は11.7%です。ノルウエーなど127%です。これでも日本の農産物関税が、関税が高いというなら、なにを見てそう言っているのか論拠のデーターを教えてほしいものです。

野菜、鶏卵、果樹などの主要農産物の多くは無関税か平均3%以下です。ほとんど関税に関してはノーガードだといっていいでしょう。

逆に高関税のほうが例外です。高関税品目には理由があります。

コメは減反政策という国家カルテルを維持するのが目的です。麦は国内産麦の補助金を捻出するために国が麦類の貿易を仕切るという愚かな社会主義国家まがいのことをしているためです。米と麦に関しては、別途詳述します。

輸入豚肉は「差額関税」というとんでもない制度を農水省は1971年から作っています。これはまず「基準輸入価格」というものを農水省が設定します。現在546円です。それより安い輸入豚肉は、この差額を関税として徴収する仕組みです。

一方基準輸入価格より高い輸入豚肉は一律4.3%の関税をかける仕組みです。

この差額を関税で徴収するというやり方をするとどうなるのでしょうか。豚肉には価格が高いヒレやロースなどの部位と、ももや肩肉などの安い部位があります。

安いモモなどはハムやソーセージにするために食品会社が輸入しています。この基準関税方式は、いわば差額関税ですから、安くても、高くても関税をかけられるという方式です。

食品会社は安い加工用肉をそのまま輸入してしまえば、差額関税をがっぽりかけられまてしまいますから、なんとか基準価格に近づいて関税を減らそうとして高い部位であるヒレ、ロース肉も一緒に輸入しています。この方法をコンビネーション輸入と呼び、どの食品会社もやっている方法です。

と、どうなるのでしょう?このコンビネーション輸入で仕方なく買った高い部位のヒレやロース肉は、ハムにするのはもったいないということで、一般市場に流します。しかも元を取ろうとダンピングまがいのことをしています。

これが一般のスーパーに並ぶ安い米国産などの豚肉の出所です。なんの国内豚肉の保護にもなっていないことがお分かりになると思います。まったく馬鹿な制度を作ったものです。

長くなりますから、またの機会にしますが、バターの高関税も農水省の天下り団体の「農業産業振興機構」がバター輸入を独占していることから発生しています。輸入業者は、2次関税を払った上に、いったん機構に輸入バターを伝票上買い上げてもらい、農水省の定めた806円/㎏の輸入差益を支払わねばなりません。

機構はこのトンネル差益だけで年間11億ももうけています。これは日本の畜産農家保護とはなんの関係もない、単なる農水省の天下り省益でしかありません。

日本の農産品高関税には必ずといってよいほど、農水省の利権がからまっています。私たち農家にはなんの関係もないことです。

日本農業は関税などによって守られてはいません。数少ない高関税は、農水省の省益にすぎません。ですから、「開かれた日本農業」などと言われると、笑ってしまいます。

■写真 父犬も4匹にジャレつかれてしんどいこと。しかしイヤな顔もしないでまとわりつかせているのはエライ。(o^-^o) おとうさん、がんばってね!

■追記 

いよいよ太平洋側にやってきました。

郡山・鳥インフル強毒性 59養鶏場、立ち入り検査へ

河北新報 1月20日(木)9時52分配信

 福島県郡山市水道局の貯水池(同市豊田町)で死んでいた渡り鳥キンクロハジロから検出された鳥インフルエンザウイルスについて、環境省と福島県は19日、強毒性だったことを明らかにした。県は半径10キロ圏内を監視区域に設定し、区域内の59の養鶏場を立ち入り検査する。強毒性の鳥インフルエンザウイルスが東北で確認されたのは、2008年4~5月の秋田、青森県以来になる。
 県によると、北海道大での検査によって、2羽から高病原性の「H5N1型」が検出され、遺伝子配列から強毒性と判明した。結果を受け、県と郡山市は19日、対策本部を設置し防疫の徹底を確認した。
 立ち入り検査では鶏の死亡率や産卵率を聞き、ウイルス感染の有無を詳しく調べる。県は既に県内251の養鶏場(100羽以上)に聞き取り調査を行い、異常がないことを確認している。
 環境省は監視区域内の野鳥の監視レベルを通常の「1」から最高の「3」に引き上げ、ふんなどを採取して調べる。
 鳥インフルエンザウイルスは濃厚な接触がない限り、人には感染しない。また、塩素で感染力を失うため水道水の安全性にも問題はないが、郡山市水道局は貯水池を通さない方法に変えた。
 キンクロハジロは今月4~10日、豊田浄水場の貯水池で計7羽が死んでいるのが見つかった。うち4羽からウイルスが検出された。国内では今冬、鹿児島県のナベヅルや島根県の鶏から、強毒性の鳥インフルエンザウイルスが検出されている。

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