トリインフルエンザ

熊本県でトリインフル発生 疑われる韓国からの「もらい」感染

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熊本県多良木(たらぎ)町の養鶏場で鳥インフルエンサ(トリインフル)が発生し、同じ所有者の養鶏場2カ所の11万2000羽が殺処分されました。
※農水省プレスリリース
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/douei/140413.html

同時に、家畜伝染病予防法に基づいて、「二つの養鶏場からそれぞれ半径3キロ圏内を鶏や卵の移動制限区域に設定。3~10キロ圏内を搬出制限区域とした。域内にある47戸の約44万1000羽が対象となる」(毎日新聞4月13日)

非常に早い処置で早期に家畜保健衛生所(家保)に届け出た養鶏農家と、迅速な処分をした熊本県家保に敬意を表します。

さて、わが農場にも家保の緊急点検が来るとのお達しで、全国の同業者の皆さんはピリピリしているはずです。

まだ、H5型としか発表されていないので断定的なことはいえませんが、高い確率で韓国由来のものだと思われます。

もし今後の検査てH5N8型ならば、韓国からの「もらい感染」ということになります。
※追記 H5N8型で、遺伝子的に韓国の同型ウイルスと99%同じだと発表されました。4月23日)

実は、今までもひんぱんに韓国経由の海外悪性伝染病を頂戴している九州や山口などでは、今年1月から警戒レベルを引き上げていました。

わが国がトリインフルを感染する場合、中国、台湾、韓国の3カ国が発生国となって、それが渡り鳥か人によって感染を持ち込みます

今回は中国、台湾は発生が伝えられておらず(あるかもしれませんが)、韓国での大発生が伝えられているのみです。したがって火元は韓国だと言っていいでしょう。

韓国では、その後もウイルス検出が20農場で相次ぎ、殺処分されたアヒルやニワトリなどは250万羽を超える」(産経2014年.2月.16日)

近年の韓国と日本の発生状況を見てみましょう。

2007年1月、韓国でH5N1型発生
同年2月、宮崎県清武町(現宮崎市)でH5N1型発生・16万羽殺処分

2010年12月、韓国でH5N1型発生 
2011年1月以降、宮崎県新富町、川南町、延岡市で感染が確認され、最終的に大分市、鹿児島県出水市にも広がり、九州の計15カ所で103万羽近くが殺処分。被害額は宮崎県だけで91億円 

2014年1月、韓国でH5N8型発生1090万羽殺処分(下図参照)
同年4月、熊本県でH5型発生11万2千羽殺処分(進行中)

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             (図 農水省・韓国の鳥インフルエンザ発生状況)

このように、わが国のトリインフルはほとんど法則的に韓国が発生するとその数か月後に発生していることが分かります。

原因は韓国が世界で最もひどい家畜伝染病大国だからてず。それに並ぶ国は、その隣の中国のみです。

2011年には、牛、豚の口蹄疫とトリインフルが同時発生し埋却処分された牛と豚だけで100万頭という途方もない数に登り、時価補償額だけで6000億ウォンを超えました。(※1ウォン=0.1円)

ワクチン接種費用だけで数十億ウォン、防疫装備とスタッフ動員にも数千億ウォンの費用がかかっています。

韓国政府関係者ですら、直接被害額は1兆ウォン、景気低迷など間接被害まで合わせれば金額はその数倍に増えるとみています。

にもかかわらず、その教訓が生かされず常に統御不能の大発生を繰り返しています。

防疫意識が低いと言えばひと言で済みますが、その原因として考えられることをあげてみます。

冬場特有の対策のとりにくさ。冬場は消毒液が凍結してしまう。消毒液は気温20度で使用を前提としているために、寒さで消毒液が散布できなくなってしまった。

また道路や車両のタイヤに消毒液を散布すると、スリップ事故を起こしやすくなる。また消石灰も散布後の積雪で、効果的が落ちてしまう。

②日本に伝播する春には感染症が苦手とする紫外線が強くなっているが、韓国の場合冬で日照時間が短く、積雪のために紫外線が地表に届かず、ウイルスの死滅がしにくい

ですから、いったん春になってウイルスは感染拡大を止めますが、実は各地に潜在して常在化しています。

もはや、口蹄疫、トリインフルなどは土着化ウイルスとなっているとみたほうがよさそうです。

家畜生体や糞の闇流通が存在しているために根絶が困難。

④韓国ではアヒルの水辺飼育が盛んで、ここから水鳥を経由して日本に伝播する。
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上の写真を見ると、日本の畜産家や防疫関係者のやめてくれーという悲鳴が聞こえます。このような飼い方は、中韓に特有で、わが国では見られません。

今回の韓国のトリインフルの発生の中心はアヒルでした。ここから水鳥を介してわが国に伝播したことは確実です。

「野鳥では16地点(クムガン河口地域の両岸2地点を含む)において10種(カイツブリ1件、トモエガモ10件、ヒシクイ4件、オオバン1件、マガモ5件、マガン2件、オオハクチョウ1件、コガモ2件、カルガモ1件、ダイサギ1件)および種不明の糞便、飼7件の35件で高病原性のH5N8亜型のウイルスが検出されている。」
(「韓国でのトリインフルエンザの状況について」日本野鳥の会2014年3月26日更新)
http://www.wbsj.org/activity/conservation/infection/influenza/infl20140131/

もちろん野鳥の会が言うように、野鳥は原因ではなく被害者です。

わが国もまた被害者です。韓国がいつまでも杜撰な家畜伝染病対策しかとっていないことにより、東アジアは世界有数の家畜伝染病地帯になってしまっています。

これだけ一定の地域で伝染病が繰り返し猖獗を極めた場合、ウイルスは農場内部のトリ類だけではなく、そこて飼われている豚や犬という哺乳類に感染します。

通常は、このような種を超えた感染はありえないのですが、変異したトリインフルは種の壁を飛躍し、ヒト感染をひき起こします。

中央日報(14年3月25日)によれば、。韓国でもそのような哺乳類への感染が確認されています。

「農林畜産食品部(農食品部)によると、鳥インフルエンザ発生農家を対象に犬・豚の感染について調べている中、扶余の農家で飼われている犬11匹に鳥インフルエンザ抗体(H5)が確認された。犬の体に抗体があるというのは、鳥インフルエンザに感染した後に治ったということだ」。
http://japanese.joins.com/article/368/183368.html

おそらく韓国では、中国と同じように哺乳類の豚、あるいは犬などを媒介にしてヒト感染が既に潜在していると考えたほうが自然でしょう。

今回の熊本への感染伝播は球磨川が近いところから、おそらくは水鳥が原因でしょう。しかしほんとうに怖いのは、ヒトによる持ち込みです。

野鳥は防鳥ネットで防げますが、ヒトは消毒しか防ぐ術がないからで、必ず相当数は防疫ラインをかいくぐるからです。

幸か不幸か、今、中韓とは距離がある関係なのが救いです。韓国さん、もう少し真剣に家畜防疫に取り組んで下さい。ほんとうに迷惑です。

                   ~~~~~~~~~~

多良木町で高病原性鳥インフルエンザ 県内初
熊本日日新聞
   2014年04月13日

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県は13日、多良木町の養鶏場で鶏が大量死し、このうち2羽から高病原性鳥インフルエンザウイルスH5型を検出したと発表した。国の機関で遺伝子型を詳しく検査する。国内の養鶏場での発生確認は2011年3月の千葉市以来3年ぶり、県内では初めてとなる。県は感染拡大を防ぐため、関係する養鶏場の鶏の殺処分と防疫対策を、自治体職員や自衛隊員ら約千人態勢で進めている。

 県によると、多良木町の養鶏場では肉用鶏(ブロイラー)5万6千羽を飼育。11日から13日朝までに約1100羽が死んでいるのが確認された。12日午後に通報を受けた県が簡易検査した結果、10羽のうち6羽が陽性で、その後の遺伝子検査でも2羽で陽性を確認した。

 このため県は13日、この養鶏場と、経営者が同じ相良村の養鶏場の2カ所で計11万2千羽の殺処分を開始。相良村分の5万6千羽は処分を終えた。多良木町分の処分も14日中に終える見通し。

 処分した鶏は敷地内に埋却し、16日までに作業を終える計画。両養鶏場から3キロ以内(5戸、4万3千羽)の区域では、鶏や卵の移動を全て禁止。10キロ以内(42戸、39万8千羽)の区域では、域外への搬出を禁止した。

 県は13日、防疫対策本部会議を開き、本部長の蒲島郁夫知事が「初動が最も大事。封じ込めに全力を挙げてほしい」と指示した。感染防止に向け、人吉球磨地域の11カ所に車両消毒ポイントを設置。100羽以上を飼育する県内養鶏場を調査し、14日午前の時点で異常がないことを確認した。

 農林水産省は小里泰弘政務官を熊本県に派遣。蒲島知事と会談した同政務官は、予算措置も含めて必要な支援を行う考えを伝えた。

 また県は14日未明、陸上自衛隊第8師団(熊本市)に災害派遣を要請。同師団の人員約200人が養鶏場への消石灰輸送や鶏の殺処分を支援している。

 H5型には低病原性もあるが、県は鶏が大量死したことなどから高病原性と判断した。

 県によると、県内の養鶏場(3月末現在)はブロイラー104戸(388万5千羽)、採卵鶏130戸(325万5千羽)。県は「感染した鶏の肉、卵が市場に出回ることはない。食べて鳥インフルエンザウイルスがヒトに感染することも報告されていない」としている。

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ワクチンなき悲劇 2005年茨城鳥インフル事件

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鳥インフルを考えるとき、なぜこんな簡単なことを「雲上人」は分からないのかと思う時があります。

高邁なことを聞いているのではありません。目先のことを聞いているのです。今、なにが必要なのかと世上に棲む農業者は悩みます。

それは「出さない」ことです。いや、まったく当たり前過ぎて自分でも笑ってしまいます。あまりにもシンプルで芸がないので、もうちょっと書き加えましょう。

仮に感染していても、劇症の症状を出さなければいいのです。劇症、つまり高病原性(HPAI)でさえなければ、そんなに怖くはない、違いますか?

だって多くの人は、ヒト感染するから鳥インフルの高病原性株を恐れているわけですよね。実際の話、東南アジアや中国のヒト感染は劇症のカモ類と直接タッチしてしまうことで感染しています。いわゆる濃厚接触です。

あ、私のプロフィールの写真のような状態ですね(笑)。あのように感染したニワトリを抱っこするとうつる場合があります。特にカモやガン類は10の6乗という濃厚なウイルスを排出していますから危ないわけです。

それに対してニワトリは10の4乗ていどと低く、しかもワクチン接種した場合、更にウイルス排出量はケタが落ちます。しかもそれは高病原性ではなく、低病原性(LPAI)です。

同じ鳥インフル・ウイルスといってもまったく違う。H5N2型などのいわば「人間が飼い馴らしたウイルス」です。このどこが危ないのでしょうか?

ヒトにとって劇症が出る高病原性株と、飼い馴らされた低病原性株のどちらが与しやすいのでしょう。考えてみるまでもありません。

かつて2005年の茨城トリインフル事件の時に、感染したトリを処理していた作業員の人たちに抗体検査でプラスが出たことがありました。茨城事件はH5N2型グアテマラ株という典型的なワクチン由来の感染拡大でした。

で、トリやましてやヒトに病人や症状が出る家畜が出たのかといえばないわけです。あくまで抗体検査をしたらプラスだったという「だけ」の話です。

感染したとされる作業員も鼻水ひとつ垂れるわけではなくピンピンしていましたし、第一感染をうつしたとされる「患畜」のニワトリもお顔ツヤツヤで産卵量低下すらみられなかったという話は現場で処分にあたった獣医師から直接に聞いた話です。

私たち畜産家からすれば、これでいいじゃないの、と思います。トリには抗体検査がプラスというと聞こえが悪いですが、言い換えれば「抗体が上がっただけ」じゃないですか。ヒト感染」といえばビビりますが、これも「抗体が上がっただけ」です。

免疫をつけたの、そうよかったね、はいこれで一件落着。めでたし、めでたしだったはずです。ただ、日本でワクチンが合法ならばの話ですが。

茨城鳥インフル事件は、経営者一族が獣医ばかりで防疫意識が高いA鶏園を中心に起きました。この会社は裁判にかけられました。

次いで日本で最高に防疫衛生レベルが高いことを自他ともに許すある企業系列でも軒並み抗体検査でプラスが出てしまいました。いずれもすべてが最新のウインドレス鶏舎です。

ところで農水省の立場は、ウインドレスがもっとも安全な形式だから、この方式をとりなさいというものです。

この茨城事件の時も、感染が未だ止まらない時点で早々と、「ウインドレスは安全性が高いから、殺処分しなくていいよ。おとり鳥をおくことで監視下に置いたってことにしよう」という太っ腹の対応をしました。

もっとも太っ腹はウインドレスだけで、他の農家の開放型鶏舎や平飼養鶏は全部処分されてしまいましたが。

このウインドレス鶏舎がどうして農水省ご推奨かといえば、それは作業が外部から隔絶しているからです。採卵や給餌、あるいは鶏糞の搬出などが全自動で行われるからで、人が介在しないからウイルス侵入が少ないというリクツです。

しかし、空気感染には非常に弱いのです。それは考えてみれば当たり前の話で、いくら陰圧をかけて外気が簡単に侵入できなくしたとしても、密室状態の鶏舎ですからいったん侵入を許せば一晩で数万羽が死ぬことになります。

Photo (*写真・宮崎県の鳥インフルの鶏舎内。宮崎県撮影・今年の事例ではありません。発生鶏舎内の写真は極めて珍しい)

ではどうやって防いでいるのか、といえばそれは皮肉なことにワクチンがあるからです。ワクチンの長足の進歩こそが、この農水省ご推奨のウインドレスの前提になっているのです。

ウインドレスという現代日本のいまや主流に躍り出た密閉式鶏舎はまさにワクチンがないと成立しない形式だったのです。

たぶんA鶏園などは獣医がひしめいているために、高病原性鳥インフルの恐ろしさを熟知しており、ワクチンの海外入手ルートを知っていたためにグアテマラ株メキシコ製の粗製ワクチンに手を出したあげく、ウイルスを野外に流出させてしまったのです。

私はあの事件の被災者のひとりですから、到底許す気にはなれませんが、彼らの心理は手にとるように判ります。

ワクチンがないと防げない伝染病なのに、ワクチンが非合法だという矛盾が彼らを反社会的行為に駆り立てたのでしょうね。いったん高病原性株に罹れば全滅か、殺処分で全羽殺処分。いずれにしても全滅です。

その意味で、2005年の茨城鳥インフル事件は「ワクチンなき悲劇」ともいえるのかもしれません。

低病原性株を使ったワクチンは、通常のワクチン費用なみの一羽につき20円ていどの低コストで済み、しかも確実に免疫を上げます。

ワクチネーションによって低病原性株に農場を支配させてしまえば、高病原性ウイルスは侵入が出来ず、仮に侵入したとしても弱毒株に変異してしまいます。いったん弱毒株になってしまえば、ヒト感染を仮に起こしたとしてもまったく安全なのです。

今必要なことは、ヒト感染する可能性がある高病原性の感染拡大を阻止することです。そのためには、仮にヒト感染しても安全無害な低病原性ワクチンを接種することしか方法はありません。

この事件以降、早急に鳥インフルワクチン禁止を見直し、ワクチンなくしては防疫が不可能なウインドレス鶏舎を感染から守ることです。雲上人になぜこんな簡単なことがわからないのか不思議でなりません。

■写真 霞ヶ浦の日暮れ。ミニ灯台ではなくて、湖岸の標識です。点滅してそれはロマンチックです。湖岸の若者のデートスポットです。陽が長くなりましたねぇ。

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この閉塞状況を打破できるのは政治主導しかないのかもしれない

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私は、去年の4月から宮崎口蹄疫から始まり、踵を接するように始まった鳥インフル事件を追いかけてこう思うようになりました。

そもそも「清浄国」という幻想自体がとうに破綻しており、それを取り繕いながら強権的に進めているだけではないか、と。

まず、口蹄疫では家伝法に定められたとおりの殺処分-埋却措置で初動対応しました。しかし、たちまち埋却は行き詰まり、待機患畜が列をなすようになると、もはやウイルスの拡散は防ぎようがない状況になりました。

特に第10例の県試の豚の発生は、一挙に狭い畜産農家が密集する地域の火薬庫に火を点けてしまう結果になりました。

では第10例の感染原因は何かといえば、シャワーイン・シャワーアウト((*農場の出入り口で消毒液を散布するシステム)を職員が励行していなかったということです。消毒施設はあったが、かんじんの身内が守っていなかったということになります。

他ならぬ指導機関がこれですから、シャレにもなりません。しかし、これが実態なのです。人間はミスを犯す、いくら報液指針を作っても、罰則強化してもヒューマン・エラーは不可避なのです。

むしろ、人は間違いを犯すものであるということを前提にして対象を考えるべきなのです。仮にヒトがミフっても、大丈夫なフェール・セーフ(*失敗しても大丈夫なセーフティシステムのこと)があって、初めて安心して生きていけるのです。これが、基本的なクライシス・コントロール(危機管理)の発想方法です。

ひとつのミスですべてが瓦解してしまうようなシステムは絶対に長続きしません。

ところで、ウイルスには壁はありません。国境すらないのです。ましておや、ヒト様が密集して畜産施設を建てている畜産団地など格好の標的でしょう。おしいごちそうの宿主様が大挙しておいでになる。

もはやすべてが感染の原因です。川南街ではシャワー・イン、シャ'ワー・アウト施設をフル稼働していた養豚農家も感染しました。空気感染です。空気に戸が立てられますか。農場をひとつひとつドームで覆いますか?

ある農場の侵入経路は、畜産関係の工事をする業者の工具だった節があります。業者はタイヤは消毒したが、工具に消毒液をかけるはずもない。電気工具など一発で壊れますからね。では、農場に出入りするたびに新しく買い換えろとでも?

2005年の茨城県水海道市の畜産団地での鳥インフル感染拡大の経路は、下水道でした。畜産団地は下水道網を共有していたのです。では、一軒一軒の農場が排水を自己完結型処理をしろとでも言いますか?

口蹄疫では、処分した家畜にたかる蠅や鳥までもが感染拡大の原因と疑われました。畜産農家につきものの蠅にもおびえるというわけです。

そしてとどのつまりは、今回の鳥インフルです。空飛ぶ野鳥が危ないと。こうなるともはや脱力感さえ襲います。

ヒト、車、靴、服、所持品、排水、野鳥、蠅、そして空気,、水。なんのことはない、人間界を取り巻くすべてじゃないですか!

これを防ぐことは不可能です。

このような不可能なことを私たちに命じておいて、いったん出よう者なら重箱の隅をつつくように社会的な糾弾をする。いわく「ネットに穴がひとつ開いていた」、「ネズミ穴があった」、「消毒槽が不備だった」、はいはいもう何でも言っとくれ。

農業者を犯人に仕立て上げて、ヒト感染するかもしれないと国民を不安に陥れ、しかし大丈夫、感染した肉や卵は食べても安全、とわけのわからない錯乱したことを平気で言っています。

そもそも不可能なことを命じておきながら、悪しき偶然の累積によりいったん発生すれば、その農場はもちろん近隣すべては殺処分で壊滅、そして半径10㌔(!)もの距離を移動禁止にしてしまい、事実上経営をさせなくさせる。

当然、こんな無理無体な防疫手段は現実に裏切られます。ワクチン接種国のメキシコの防疫は低病原性が常在するから失敗例だとあざ笑いながら、自分の国はと言えば、毎年のように高病原性鳥インフルエンザを出しています。

研究予算獲得で農水省に頭が上がらない研究者は、その都度わけのわからないリクツのためのリクツをひねり出します。

いわく「ワクチンにはアジュバントが入っているからダメ」、「野外株と識別できないからダメ」、「症状が抑制されてしまうから知らないで移動してしまうからダメ」・・・まだまだいくらでもダメな理由をひねり出してきます。

それらがことごとく現場の農業者に否定されると、感染が燃え盛っていようと最期に出すカードは決まっています。「清浄国だからダメだ」。

わが国の海外悪性伝染病の公式見解は、こんな結論が初めからあったシナリオだったわけです。なんのことはない、「わが国は清浄国だから、清浄国を守るためにワクチンは絶対に遣わせない」。これでは循環論法というものでしょう。

なにも知らない池上パパはダマせても、私たち現場は騙されませんよ。しかしここまで喜田教授や大槻教授が頑迷固陋だと、クライアントの農水省も困るのではないでしょうか。

実際、農水省は生産局を中心として、ここまで破壊型防疫をやられると後始末にかかる金のほうが補償やら、再建資金やらなんやらで、直接の被害額の数百倍かかるので頭を抱えているといいます。と言っても生産局には防疫の指揮権限はありませんが。

生産局ならずとも、どこの世界に直接の被害額より、防疫による被害額のほうがはるかに大きいなんて倒錯したこととが当たり前だなどということがあるでしょうか。この国はアリスの不思議の国のようです。

「青空」さんが現役の金融マンとしてシビアなことを仰せでした。金融機関はこのような大きな経営リスクがあるような畜産業には融資をしなくなるだろう。

まさにそうなのです。事態はそこまで来ています。金融機関は、年中火を吹いているような畜産業には融資をしなくなりつつあります。

自分が発生農場ならあきらめもつきますが、「もらい」で伝染したり、半径10㌔という途方もなく広範な距離で移動制限をかけられれでもしたらそれでアウト、なんていう産業に、誰がお金を貸しますか。

口蹄疫においては、幸い山田前大臣の勇断でワクチン接種を断行しました。あの決断がなければ、まちがいなく九州全域、いや全国化したかもしれません。山田氏はこの決断をするに当たって、養豚協会と密談をしています。

農水省内で面談せずに別な場所で官僚ぬきで陳情を受けています。山田氏がなにを恐れたのかは自明です。官僚と、いまやそのコントロールもきかなくなって独走する一部防疫学界の「権威」たちからです。

彼らに相談しようものなら、結論は決まっていました。「清浄国ですからワクチンは使えません」。だから彼らの頭越しで、秘密で決定し、強引とも思える政治主導をしたのです。

民主党政権は終末を迎えようとしています。私たち国民が民主党に期待したのは、この閉塞した状況を打破してほしいという願望だったはずです。この問題でいえば、官僚や学界主流のしがらみから自由になった現実に則した政治決断でした。

その片鱗を山田前大臣は見せました。あの決断を思い出してほしいと思います。鹿野大臣と、当時現地対策本部長だった篠原孝副大臣に勇気ある決断を期待します。これを打破できる力は、あなた方政治家しかもっていないからです。

■写真 もう春です。この雪がなごり雪となるのでしょうか。

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南北にしか移動しない渡り鳥が なぜ東西に感染を拡げているのか?

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■ トリインフルなどの感染症は自然宿主である渡り鳥が運ぶ
このブログをご覧の皆さんならご承知のように、伝染病にはいくつかの侵入経路があります。
ヒトの移動、自動車などの移動などがそうですが、鳥インフルにおいてはなにより大きい感染経路は渡り鳥だと言われています。これはウイルスというものがそもそも、ある特定の種類の特定の器官にのみしか生きられない習性があるからです。
鳥インフルの場合、鳥類の呼吸器系器官でしか生きられません。ですから鳥類、なかでも水鳥を自然宿主とします。そして水鳥には渡り鳥がとても多いため、この渡り鳥の飛行する回廊とトリインフルの感染経路はみごとに一致しています。
■ 渡り鳥は地軸方向にしか移動しない習性をもつ
つまり南北方向の動きしかない
ここで改めてトリインフルの2大発生源とも言われる地点を確認しておきましょう。
ひとつは中国青海省の青海湖、いまひとつはロシアのバイカル湖だと言われています。この地点から行き来する渡り鳥がウイルスを運びます。
青海湖とバイカル湖は、地球儀をみると南北の関係にあります。また、大きな発生を見たベトナムも南にあり、更にインドネシアも更に南にあります。
つまり、地球儀で赤いマーカーでライン書けば、ゆるやかな北から南のラインが描けるわけです。これは渡り鳥が地磁気を頼りに飛行するため南北の地軸の方向にしか移動しない習性によります。この他にも渡り鳥のルートは無数にありますが、南北アメリカ大陸のルートも縦断ルートです。
地球を東西に横断する飛行ルートはないようです。南西諸島から日本列島へと伸びるルートもありますが、一見東西ルートのように見えますが、これも良く見れば南北ルートの変形のようです。
話しはそれますが、2005年茨城鳥ウイルス株がグアテマラ株であったことは、これが人為的なウイルス感染拡大であったことを物語っています。グアテマラと日本を結ぶ渡り鳥の飛行ルートなどありえませんから。
■ ではなぜ、東西方向に拡がったのだろうか?
しかし、現実の感染ポイントを見れば、感染拡大は現実には東西方向に行っています。今回大きな発生をみた朝鮮半島も青海湖からはるかに東です。
青海湖と朝鮮半島を結ぶ渡り鳥の飛行ルートは存在しません。しかし、なんらかのルートを通して運び込まれたと思われます。しかし、これだけの長大な距離をどうやって?そしてなにより東西ルートを持たないはずの渡り鳥の習性との矛盾が出てしまいます。
■ これを解く鍵はアメリカにありました
西ナイルウイルスは東海岸から西海岸へ伝播した、ではなぜ?
この矛盾を解く鍵はなんとアメリカにありました。アメリカ東海岸、特にニューヨークを中心にブレークした感染症に西ナイルウイルスがあります。
これはアフリカを発生源とし、おそらくは航空機に乗った蚊によって北米に持ち込まれたと思われています。この西ナイルウイルスが実に奇妙な感染拡大をしています。まず、ニューヨークで発生し、拡大し、懸命の市当局の制圧作戦で下火になったものが、実に2年もの時間差をおいて今度は西海岸で発生が出たのです。
ね、おかしいでしょう。北米大陸を東から西へ移動する渡り鳥などいないのにもかかわらずです。答えはこの「2年」という時間差にありました。なぜ2年もの時間がかかったのかということに留意下さい。
■ 米西海岸にたどり着くまで、2年間もかかったのが鍵
人の移動が原因ならあまりにもゆっくりすぎる
なぜかと言うと、もし航空機などに乗ったヒトが持ち込んだのなら、逆に2年というタイムラグは大きすぎるのです。むしろ瞬時に西海岸に伝播していなければならないわけでしょう。2年などという速度は逆にゆっくり過ぎて、何らかの自然が媒介したとしか思えない時間なのです。
となると、感染拡大の原因としてまっさきに渡り鳥を疑うのが定石です。しかし、さきほどからくどいように言っていますように南北のアメリカ大陸を地軸方向で縦断する鳥はいても、東西ルートで飛来することは絶対にありえない、ここで、アメリカの防疫関係者と鳥類学者チームは頭を抱えてしまったんですね。
■ この秘密が解けた!
渡り鳥はいったん北のアラスカに飛び、そこで別の種類の渡り鳥に感染を移し、
別なルートで南下し、これを繰り返すうちに少しずつ西へ移動したのだ
これが最近になって解明されてきました。これは私にとって眼ウロコでした、こういうことです。
東海岸で宿主となった渡り鳥は、春、一旦北のアラスカへ戻るのです。そしてそこの保留地で他の渡り鳥グループに感染拡大をします。(ただし、ウイルス感染しても自然界のカモ類は発症しませんので念のため。)
そしてウイルスを移された他の渡り鳥グループが別なルートで南下し、やや西に移動する。そしてそこでまた別なルートの渡り鳥グループが北へ帰り、そこでまた別の渡り鳥グループに移し、、そして、以下略・・・このように何回もアラスカに行って、そこでウイルスの宿のバトンタッチをして南下し、それによって西進する。
この行ったり来たりに2年かけているわけです。南北に行ったり来たりして、ウイルスのバトンタッチをしながら、ジワジワ、ジグザグに地軸に対して横方向の西へと移動したというわけです。
■ このようなことは当然、アジアでも起こっていると思われる
青海省からバイカル、そして中国大陸内部でジグザグのルートを繰り返して
中国東北部、朝鮮半島、日本列島へとたどり着いたのだと思われる
このような現象は当然、アジア大陸でも行われていると思うのが自然です。
例えば、青海省から中国大陸内部、東北部、朝鮮半島を経て日本列島に来る、途中の中継地で別の渡り鳥に感染を拡大する、その鳥が北に帰る時には青海湖ではなく別な保留地に向かう、そしてまたそこでウイルス拡大をして、また別なルートが出現する。
こうして地軸に対して横方向のジグザグ転移を、宿主を複雑に変えながら数年規模で行っているのではないでしょうか。
この仮説が正しいとすると、仮に今年中国、北九州地方に上陸しても、そこから東へ移行するには、もう何回か春になって北へ帰って拡大する、冬に南下して拡大する、北へ帰って拡大する、南下して拡大するということを繰り返す必要があります。
というわけで、この説が正しいのなら、今年関東に1型トリインフルが来る可能性はやや低いということになります。そして、来るのなら、2年後くらいということになります。もちろん超楽観論です。
ただこれはあくまでも私の仮説なので、備えは厳重に敷いておかねばならないのは言うまでもありません。また、新型ウイルスに転換してしまった場合は、この限りではありません。ヒト-ヒトですから、もう自然界の動きとは無縁となり、ヒト間で増殖を繰り返すということになります。
         ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。
■写真 雪の朝、樹の間から輝かしい朝日が差し込みました。
■なぜかPCが不調で改行ができません。読みずらいので小見出しを入れたらいっそう読みにくくなりました。
いじるとかえって更におかしくなるのでごめんなさい。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。えーん、きっとノースイの悪口ばっいかり言っている祟りだよー
■TPPの閣内推進派の筆頭、前原外相が辞任しました。ややTPPが遠のいたかもしれません。

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平成14年養鶏協会鳥インフル・ワクチン専門家会議の要旨    宮崎県で第10例発生 声も出ず・・・

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日本養鶏協会が行った平成14年の鳥インフルエンザ・ワクチンについての議事録です。

本日は私のコメントなしで要約のみを掲載します。

       ゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

強毒型鳥インフルエンザ専門家会議の概要
(社) 日本養鶏協会
事  務  局
I.日 時 平成14年6月3日 13:30~17:00
   
II.場 所 馬事畜産会館 第2会議室
東京都千代田区神田駿河台1-2
 
III.出席者
 
農水省: 山本 洋一 農林水産省生産局畜産部畜産技術課課長補佐
  星野 和久 農林水産省生産局畜産部衛生課家畜衛生専門官
委 員: 大槻 公一 鳥取大学農学部獣医学科教授(家畜微生物学)
  喜田  宏 北海道大学獣医学部教授(微生物学)
  杉村 崇明 鹿児島大学農学部獣医学科教授(家畜微生物学)
  山口 成夫 (独)動物衛生研究所感染病研究部長
オブザーバー(各地域推薦)
  岩崎 正幸 北日本地域協議会
  齋藤 太洋 関東甲信越地域協議会
  中澤 廣司 中部地域協議会
  新延  修 中国四国地域協議会
  橋本 信一郎 九州地域協議会
事務局
  島田 英幸 (社)日本養鶏協会 専務理事
  武田 隆夫 (社)日本養鶏協会 事務局長
 
IV.会議の概要(要点のみ)
 
農林水産省生産局畜産部畜産技術課 山本課長補佐の挨拶の後、協会事務局から配付資料に基づき、具体的な検討に入るとして検討を行ったが、その概要については以下のとおりである。
   
1. ワクチン使用の件
 去る5月に都内某所で鳥インフルエンザに関する大きなシンポジウムがあり、この結果、出席者からはワクチンの有用性について再確認したとの話もあり、また本日の会議出席者の中には本シンポジウム出席者及び出席者からの説明を受けた方もいると聞いている。
 前回の当専門家会議においては鳥インフルエンザのワクチン使用は対策としては有用ではないとの結論となったが、今回、再びワクチン使用について検討を行った。主な意見は次の通りである。
(1) 当シンポジウムではイタリアの事例についてもワクチンの使用で成功したとの表現はしていない。公的機関の高い知識と責任で抗体のチェック方法を事前に確立し、SPF鶏もおとり鶏として配置し、かつ、限定した範囲でのみのテストケースとしてワクチン接種を実施したものである。なお、イタリアにおける対策ではとう汰鶏についての補償も実施している。
(2) メキシコの事例については、当シンポジウムではイタリアの場合ほどは明確な説明をしていない。また国はとう汰鶏についての補償をせず、民間の実施に委ね、バラバラにワクチン接種を行ない、抗体もバラバラとなり失敗の事例となっている。
(3) 鳥インフルエンザのようないつ侵入するか分らない病気に対してもワクチンを導入する必要があるのか。イタリアの場合でも摘発、とう汰(test and slaughter)が基本であり、ワクチン接種も病気発生のピークを過ぎてから実施したものである。
(4) 日本では、公的機関が鳥インフルエンザ診断技術を修得しておくことが必要であり、また弱毒型の診断は難しいものである。しかし、このことについては他の委員から、現在、県の機関でもウイルス分離が可能となっている旨の発言があった。
(5) 米国、イタリアには生鳥市場(live bird market)があるため、米国の例にみられるように検査を行なえば行うほど陽性鶏が検出されることとなる。
(6) ワクチン使用を一つの安心料として考えるのであれば理解はできるが、鳥インフルエンザ対策は、ワクチンを使用しないで防圧することが基本である。
(7) 米国ペンシルバニア州の場合には、5~10km範囲で殺処分することにより防圧している。米国では生鳥市場(live bird market)というウイルスの供給源があり、これにより感染が繰返されているため再発している。
(8) 国内にワクチンを用意することよりも、国内に鳥インフルエンザの有無を確認することが必要である。
(9) イタリアのシシリー島等の離島でも鳥インフルエンザの発生がみられているが、この場合の伝播は人の衣服によりウイルスが運搬されたものとされている。しかし、メキシコの場合についての侵入ルートは不明である。
(10) アメリカ東海岸部では、既に殆んどの地域で鳥インフルエンザが発生した状態となったが、これは生鳥市場(live bird market)の果たしている役割が一つのポイントである。
(11) 抗体検査による方法では非特異反応がある(約3%)。
   以上の諸議論を経て、当専門家会議では鳥インフルエンザワクチンの使用については前回と同様に必要なしとの意見が多かった。
   
2. モニタリングについて
(1) モニタリングはウイルスの抗原、抗体の両方について実施すべきである。
(2) 鶏(成鶏)をモニタリングの対象とするのは当然であるが、(鳥インフルエンザウイルスは野性の水禽類が本来的に保有しているため、殆んどの場合ウイルスを保有していることになる)渡り鳥をモニタリングの対象とするのではなく、(家禽化された水禽類では殆んど鳥インフルエンザウイルスを保有していないため)、家禽化された水禽類(家禽化アヒル、合鴨等)をモニタリングの対象とすべきである。(感染源としても危険な存在となるため)
(3) 検査は呼吸器スワブとクロアカスワブの両方について行うべきである。血清サンプルの対象は必ずしも同一個体である必要はない。
(4) サンプルの収集は、同一養鶏場(開放又は平飼鶏舎)による定点観測で、毎月10~20サンプル/動物種(species)/回で、全国5ブロックの各1ヶ所で継続実施すべきである。
   
3. 鳥インフルエンザに関する啓発用PRパンフレットの作成について
(1) 昨年9月に発生した牛のBSEの経験もあり、万が一に国内でに鳥インフルエンザが発生した場合に備えて、予めマスコミ、一般消費者及び養鶏生産者向け用に、一種の社会的パニック対策としての鳥インフルエンザに関する啓発用冊子を作成しておくべきである。
(2) 特に人間のインフルエンザと鳥インフルエンザが異なることについては理解を得ることが必要である。
   
4. 鳥インフルエンザ発生時の養鶏生産者等の留意事項等について
(1) 海外悪性伝染病が現実に発生した場合における国等の対応については、法に基づく「海外悪性伝染病防疫要領」に口蹄疫に準ずる形で定められている。すなわち、鳥インフルエンザは当該防疫要領には明記されていないが、現実に病気が発生した場合には、この要領に基づく対応がとられる。
(2) 鳥インフルエンザの最終発生年は、1925年(大正14年)であり殆んどの養鶏関係者に本病についての知見が不足しているため、現実に本病が発生した場合の養鶏関係者の不安感を最小限とするためにも、国等の公的機関による対応等の概要を一般的な知識としての留意事項等として予め養鶏関係者向けに作成しておくべきとの意見が多かった。
   
(1) 当該内容は、会議の概要を(社)日本養鶏協会事務局の理解のもとに独自に作成したものである。
(2) このため、各委員本人の趣旨、意図と齟齬(そご)をきたす可能性があることは予めご了知願いたい。
文責 : 社団法人 日本養鶏協会事務局

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<鳥インフル>宮崎で鶏10羽が感染 全国で22例目

毎日新聞 3月6日(日)0時15分配信

 宮崎県は5日、ブロイラー(肉用鶏)約3万3000羽を飼育する同県門川町の養鶏場で鶏が死に、生きた鶏を含む10羽すべてが鳥インフルエンザの簡易検査で陽性を示したと発表した。同日深夜、遺伝子検査による病性鑑定で確定した。養鶏場での発生は県内で13例目、全国で22例目。

 県によると、5日午後2時ごろ、農場から通報があった。4日に10羽、5日に30羽が死んだという。同県内での発生は、延岡市北浦町で確認された先月16日以来。門川町での発生は今季2例目で、県はこの農場を隔離し、半径10キロの移動・搬出制限区域を設定する。【石田宗久】

鳥インフル:多数の鶏が死にウイルス検出 奈良県五條市

 奈良県は28日、五條市六倉町の養鶏場で多数の鶏が死んでいるのが見つかり、遺伝子検査(PCR検査)の結果、高病原性鳥インフルエンザ「H5型」ウイルスが検出されたと発表した。県は対策本部を設置し、この養鶏場の半径10キロ以内を移動制限区域に指定し、鶏や卵の移動を禁止。この養鶏場で飼育している全約10万羽の殺処分を同日夜から始めた。家禽(かきん)の感染確認は昨年11月以降、全国で21例目。奈良県では初めて。

県によると、28日午前8時50分ごろ、この養鶏場から「鳥が30~40羽死んでいる」と通報があった。鶏舎5棟で採卵鶏約10万羽を飼育しており、県がこのうち1棟で67羽がまとまって死んでいるのを確認した。簡易検査で陽性反応があり、遺伝子検査でも陽性反応が出た。茨城県つくば市の動物衛生研究所に検体を送り、確定検査をする。

 五條市は2月に鳥インフルの感染が確認された和歌山県紀の川市の東約30キロ。半径10キロ圏は、奈良県五條市、御所市、下市町▽和歌山県橋本市▽大阪府河内長野市、千早赤阪村--の3府県6市町村にまたがる。

この圏内では感染例が出た養鶏場を除き、奈良県18戸、和歌山県11戸の養鶏農家が、鶏やアイガモなど計約47万5000羽を飼育している。和歌山県も対策本部のこの日、対策会議を開いた。

 五條市は、紀の川市での感染確認後、畜産関係車両の消毒などに取り組んできた。同市相谷町の養鶏農家、樫塚凱一さん(70)は「鳥よけのネットを張り、消毒して自主予防をしてきた。原因が分からない。これで防げないならどうすればいいのか」と話した。
(毎日新聞 2011年2月28日)

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鳥インフル:動物園での対策 環境省が指針作成へ

 環境省は21日、動物園で鳥インフルエンザが発生した場合の対策指針を今年度内にも作成する方針を明らかにした。動物園や公営の公園などで飼育されている動物に関しては、これまで国の対応が明確ではなかった。

 現在の鳥インフルエンザ対策は、野鳥は環境省、鶏など家きんは農林水産省がそれぞれ担当している。昨年10月以来、鳥インフルエンザが確認された17道県(21日夕現在)のうち、富山、兵庫、山口の3県は動物園などの飼育鳥類だった。野鳥でも家きんでもないため、施設が殺処分などを独自に決めており、日本動物園水族館協会が「国が指針を示してほしい」と要望していた。

 環境省は各動物園の感染症対策の実態を踏まえ、海外の動物園の対策も参考に指針を作る。飼育中の希少種などへの感染を防ぐため、感染動物の殺処分も認める一方、不必要な処分につながらないよう防疫体制の強化も併せて求める方針だ。【

■写真 わが家の長男坊主のモカ太郎君です。今はこの写真より大きくなっています。

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大挙して飛来した渡り鳥を考える

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さる2月28日午前7時40分頃、わが農場をかすめるようにして西から東の方向へ飛来したカモの大編隊が気になります。

カモ類の編隊移動を雁行(がんこう)と呼びますが、私の狭い知識では、いったん湖に到着した後は大規模な雁行をするものではないのです。ということは、新たな飛来ということになるのではないかと思われます。

私が見た2月28日朝の雁行は、おそらくは4編隊、1編隊がおおよそ10羽として50羽弱、それに縦列で約10羽が最後尾に続いていましたから、おおよそ6、70羽の規模でした。

Photo(写真  Wikipediaより引用 カオジロガンの雁行)

種類は、図鑑で調べているのですが、残念ながら特定できません。

私が気になるのは、たぶん東北地域からの移動だと思われる点です。おそらくは宮城県白石川近辺、あるいは同県の蕪栗沼の近辺からの飛来ではないでしょうか。

蕪栗沼は有名な渡り鳥の飛来地です。冬季には実に2万羽を超える渡り鳥が飛来して越冬します。

特にカモ類が多く、マガンだけで数万羽が飛来すると言われています。亜種のオオヒシクイなども多く飛来します。(蕪栗沼ぬまっこくらぶHPによる)

渡り鳥はこのような理由で渡ってくるとされています。

「寒い時期には暖かい場所へ、雨の降らない時期には雨の多い場所へ、子育てをする時期にはエサが豊富な場所へ、様々な理由から鳥たちは渡りをします。日本で見られる渡り鳥は寒さを避けるためと子育てのために渡りをする鳥たちです。

たとえば、日本で見られる水鳥たちの多くは夏の間シベリアで子供を育て、寒い冬を、日本や東南アジア、オーストラリアなどで過ごします。冬には凍りついてしまうシベリアも、夏の間は広大な湿原地帯が広がり、水鳥たちのエサになる植物や小動物が大量に発生するのです。」
(東アジア・オーストラリア地域渡り鳥水性重要棲息地ネットワークHPより引用)

さて、例年の渡り鳥の飛行ルートはシベリア方面から樺太経由で北海道に飛来し、一部の群は更に日本海側や東北に移動するとされています。

今年は例年より寒かったために、更に移動がひんぱんに行われました。これが今年鳥インフルが広範な範囲で発生した原因です。

冬の始まりである平成20年10月14日に北海道稚内市大沼で発見された渡り鳥からは既にH5N1が発見されていました。

今まではシベリアでは弱毒タイプで、渡った先で強毒に変異するものと言われていたのですが、既に初冬の時点で強毒性をもっいていたことが、関係者に衝撃を与えました。

つまり、シベリアも強毒タイプに変異しており、以後日本に飛来する渡り鳥は既に潜在的に強毒タイプの高病原性ウイルスを持つキャリヤーである可能性が高まったのです。

私はこれをもって、野鳥を不必要に警戒したりすることがいいとはまったく思いません。むしろそのような自然環境の中で経済活動をしているのだということを前提して対策を立てるべきです。

優美なコハクチョウを見て怯える、オオヒシクイが水辺に遊ぶ姿に恐怖する、愛嬌者のコガモが湖水を泳ぐ姿が怖い、そして一羽のパスファインダーに率いられて飛ぶカモたちの壮大な大編隊を呪わしく思う・・・誤っているのは私たち人間なのでしょうか、それとも野鳥なのでしょうか。

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警戒区分
  高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出された状況に応じて適切に対応するため、環境省の判断により設定されます。

レベル1 通常の状態です。
レベル2 警戒している状態です。近隣国で高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出された場合です。
レベル3 国内で高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出された場合です。
   ※平成23年2月1日現在の宮城県内全域の警戒レベルは、環境省の指示によりレベル2とされています。



高病原性鳥インフルエンザウイルスに対し感染リスクの高い日本の野鳥種(10科33種
カイツブリ科(3種) カイツブリ、ハジロカイツブリ、カンムリカイツブリ
ウ科(1種) カワウ
サギ科(5種) ゴイサギ、アマサギ、ダイサギ、コサギ、アオサギ
カモ科(9種) シジュウカラガン、マガン(天然記念物)、コブハクチョウ、オオハクチョウ、コハクチョウ、マガモ、オナガガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ
タカ科(5種) オオタカ、ノスリ、サシバ、クマタカ、チュウヒ
ハヤブサ科(2種) ハヤブサ、チョウゲンボウ
クイナ科(2種) バン、オオバン
カモメ科(1種) ユリカモメ
フクロウ科(2種) ワシミミズク、コノハズク
カラス科(3種) ハシブトガラス、ハシボソガラス、ミヤマガラス

(宮城県HPより引用)

鳥インフル:野鳥対策を強化 法改正案提出へ

 鳥インフルエンザが、感染した野鳥から養鶏などに広がるのを防ぐため、政府は、都道府県が発生地周辺の人や車両の通行を制限したり、消毒を実施する規定を家畜伝染病予防法に盛り込む方針を固めた。松本龍環境相が25日の閣議後会見で明らかにした。今国会に同法改正案を提出する。

 鳥インフルエンザ対策をめぐっては、農林水産省が家きん類、環境省が野鳥を担当。しかし、野鳥の鳥インフルエンザ発生が家きん類に及ばないための対策が不明確だった。

 政府は今季、養鶏場で、渡り鳥が原因とみられる鳥インフルエンザが多発したことを重視、野鳥対策も同法で対応することにした。改正案ではこのほか、野鳥の感染確認も都道府県職員が検査できることや、農相と環境相の連携も明記する。【江口一】

毎日新聞 2011年2月25日 

■写真 西浦(霞ヶ浦)から筑波山を見る。

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もうチキン・ゲームはこりごりだ!

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真っ白な消石灰をわが農場の入り口や鶏舎周りにぶちまけてから、他人が寄りつかなくなりました。今まで気軽に来ていた村の仲間や消費者の見学もパッタリとなくなり、いや平穏なこと。

おまけに家保から頂戴した立入禁止札も農場入り口に打ちつけておきましたから、いったいなんなのここはって感じです。もう竹矢来で、入り口をバッテンにしちゃおうかなどど女房殿と話しています。

車も石灰のはねでまだらとなり、わが家から出て行く車の轍が白く続きますから、車の出入りがよく分かります。

全国どこの養鶏場もこんなかんじでしょう。春の消石灰の雪景色を眺めつつ、カモが飛んで来ると空気銃でバーンと撃つ。当たりゃしないけど。ああ、春の雪見でカモ撃ちか、こりゃ風流だ。

養鶏場の子供も学校で変な目でみられるって話も聞こえてきました。季節性インフルエンザで学級閉鎖になどなろうものなら、まず養鶏場の子供がおかしな目でみられます。

去年、宮崎ナンバーで隣県に行くと白い目で見られたということを思い出してしまいました。宮崎の人たちの気持ちが肌で分かるようになりました。

鶏肉や鶏卵も消費がいっかな伸びません。通常はこれだけ各地の産地が軒並みに潰れているから供給量不足のはずのですが。

これは、養鶏に対する嫌悪感が消費者に深く刻まれてしまったからです。そりゃそうでしょう。毎日のように各地で大量殺戮をしている光景がお茶の間に飛び込んでくるんですから。

口蹄疫は宮崎だけの局地的な事件として封じ込められましたが、鳥インフルは全国化し、関東や近畿の大都市圏にいつ侵入するか、5月の渡り鳥がお帰りになる時までの文字どおりのチキン・ゲームです(←ああ悪いシャレ)。

池上パパが、意味「ヒトに伝染するとヤバイから殺処分しているんだ」って言っていましたが、それなら真っ先に養鶏農家から発病しますよ。毎日、イヤでも接しているんだから。

殺処分をする行政や自衛隊の人たちは、必ずインフルエンザ・ワクチンを接種して、タミフルもあらかじめ飲んでおきます。タミフルは、リエンザと並んで新型インフルの薬です。

家保も打て、打てといいますが、私はといえば。てやんでー、そんなもの可笑しくって打てるかって。発生源のトリに打てないのに、2次感染のヒトに打ったってしかたがないでしょうに。そう家保に言ったら、このひねくれ者という目で見られました。

家保も口にはしないが、こんな「竹槍と石」で鳥インフルを防御できるとは思っていないのです。こんな状況が続けば、続々と各地の体力がない養鶏場から休業、廃業に追い込まれていきます。農業現場にいるんだから。家保はそれを知っているはずです。

今の流れを見ていると、農水省防疫官僚たちの、ただひたすら防疫指針に則って粛々と殺しています、経済基盤を破壊し続けています、という話しか聞こえてきません。

一方、ワチクチンは口にするだけで感染が移ってしまうタブーのようですから、絶対にマスメディアも日本農業新聞ですら書かないわけです。特に日本農業新聞の沈黙ぶりは不可解極まります。唯一、業界紙の「鶏鳴新聞」のみが気を吐いている状況です。

まさに荒れ狂う感染拡大に対して、こちらはベタ凪。寂として声なし。

私もできるだけ各所に声をかけていますが、消費者はワクチンからの感染はありえない、というところから説明をしなければなりません。同業者は「こねぇことを祈るしかなかっぺよ。農水はなに言ってもムダだ」と沈黙します。

このブログで蟷螂の斧を構えるだけが私の武器です。

こうした閉塞状況は、2005年の茨城鳥インフルの時以上です。あの時は、違法ワクチン相手でしたから社会的な義憤がありました。

しかし今は、自分の農場に閉じこもって、立入禁止札をかけ、石灰で真っ白になって自分の農場に閉じ籠もり、タコ壺の中で怯えながら毎日を送るのです。こんな日があと何日続くのでしょうか。

喜田さん、大槻さん、そして農水省動物衛生課のお役人の皆さん、どうぞこのような農業現場に足をお運びになって下さい。それから得意の「ワクチン無用論」と「清浄国バンザイ論」を語るといい。

申し訳ない。今日は暗くなってしまいました。(ρ_;)うう

■写真 冬枯れの朝の菜の花です。

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ウイルスを飼い馴らす

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日本という不思議の国ではワクチンを使ってはなりません。いや、口に登らせることすら「不浄」なようです。

もちろん、ワクチンは日本バイオロジカル社製の国産ワクチンなどを「国家備蓄はしてあるが、その存在も口にしてはならないし、ましてや使うなどもっての他」なようです。

とんでもねぇ国のトリ飼いやってんな、私らは・・・!ひさしぶりに国外逃亡したくなりますよ。ニコバルかトラジャあたりで、ワクチン使いながら古米でも食わせてのんびりトリ飼っていたいな。

昨夜も池上パパがいつもの調子でまったく文春記事と同じことをしゃべっていました。まるで農水省のスポークスマンだね、あの人。

ところで、私はこの頃、ある意味畜産家にあるまじきこと思うのです。「ウイルスと一緒に暮らせばいいじゃないか」ってね。

私たちからみれば鳥インフルだって、しょせん同じニワトリの病気の一種にすぎません。要するにニワトリの風邪です。もちろん厳密には風邪とインフルは違いますが、対処の方法はそんなに変わるものじゃありません。

罹ると卵を生まなくなったり、死亡鶏が増えて経営がガタガタになりますから、当然予防に心がけます。

よく私たちのような平飼養鶏は「前近代的で不潔だ」という人がいますが、とんでもない言いがかりです。一切の薬剤、抗生物質を使用せずに、季節ごとのシビアな環境で育てている私たちのほうが、よほどワクチネーションをしっかりやっています。

だって、予防ワクチンくらいしか伝染病を防ぐ手だてがないからです。今の、私の鶏舎なんぞカーテンもビニールもなしのスースー。ただ二重の防鳥ネットがあるだけです。しかし、彼女たちは風邪などひきません。ガキの頃から鍛え上げていますからね。

しかし、予防ワクチンといえど効かない個体は当然でます。と、私たちはどうするのか?簡単です。淘汰します。極めて稀で、私自身数回しか経験がありませんが、感染初期に淘汰をかけます。鶏群全体に感染を拡げないためにはその方法が一番です。

特に冬場は鬼門で、私たちは鶏の鼻孔やくしゃみに細心の注意を払っています。クシュンなどという咳が出たら赤ランプです。

もちろん症状が顕在化しない個体もあるでしょうかから、その個体は隠れてしまうことになります。

「そんないいかげんでいいのか」と防疫学者は言うでしょうが、いいのです。なぜなら、症状が顕在化しないということは、抗体をもっていたわけですから、個体の産卵量は一次的に低下するでしょうが、群全体に対して感染拡大する可能性は低いのです。

なに?絶無じゃないだろうって。そんなこと当たり前じゃないですか。私たち畜産家はバイオ・ハザードの研究施設の中で養鶏やっているんじゃありませんから。一定の予測されたリスク環境の下で経営をやっているのです。

たしかにそのように指向する養鶏家もいますよ。ウインドレス(*無窓鶏舎・密閉した工場型鶏舎)が最善と思っている同業者も大勢います。いや、あちらのほうが主流で、私たち平飼は極小派か。

しかし、2005年の茨城トリインフルで軒並み大発生をしたのもウインドレス、今年も愛知などで大発生させたのもウインドレスです。平飼養鶏の発生は、過去現在ただの一件もありません。外部から隔離するなど夢想です。だから私は無窓鶏舎ではなく、夢想鶏舎と呼んでいます。

それはともかくとして、私は「ウイルスとを飼い馴らす」しかもうてはないのではないかと思い始めています。つまりさきほど言った不顕性感染を前提に、防疫を考えたほうがいいと思うのです。

どんなにバイオ・セキュリティのレベルを上げてある程度は出るよ。予防ワクチンをやっていても罹る個体は罹るよと思います。そう割り切って畜産経営をすべきなんじゃないでしょうか。

ところが、クロウトの皆さんは絶対にそう考えてはくれません。私はメキシコがモデルになるんじゃないかと思っていても、動衛研にかかるとこのように酷評されてしまいます。

「メキシコでは1994-1995年に発生したH5N2高病原性鳥インフルエンザ対策としてワクチン使用をした。その結果、強毒ウイルスの流行は沈静化されたが、H5N2弱毒ウイルスは存続し、ワクチンを使用しながらの防疫を継続しており、未だに清浄化は達成されていない。」
(動衛研HPより引用)

だからナンだって言うんだよ、と言いたくなりますね。N2型、つまりはワクチン由来の弱毒の低病原性(LPAI)じゃないですか。罹っても死亡鶏は絶無と言っていいほど出ないし、ましてやヒト感染を万が一しても不顕性感染ですから、ピンピンしています。茨城トリインフルでウイルスをもらった処理場作業員の方々と一緒です。

また池上さんの話で恐縮ですが、彼が記事で「鶏の中で感染を繰り返していくうちに変異してヒト感染型になる」ということを書いています。わかってないな。彼は根本的にワクチンがわかっていない。

ワクチンは、低病原性のAIワクチンを与えることで、ウイルス排出を抑えて高病原性株を制圧させたり、低病原性株に置き換えたりするのです。だからこのまま放置すれば、高病原性株の中でヒト感染型に変異してしまうことを事前に防げるのです。

動衛研自身も、「国際機関のワクチン使用への考え方」という文書の中で以下のように書いています。

  • 「1 ワクチンは鳥インフルエンザの防圧と清浄化に有用な手段である。
  • 2 ワクチンだけによる防疫では清浄化は困難と予想されるが、摘発淘汰及び適切なサーベイランスを併用することにより、短期間での清浄化が可能となるであろう。
  • 3 もし、ワクチン接種を適切なサーベイランスとの組み合わせで実施するなら、ウイルスの排泄量が減少し、ヒトへの暴露ウイルス量の減少が期待される。
  • 4 もしワクチンを使用するなら、OIEの基準に従って生産されたものでなければならない。」
    (動衛研HPより引用)
  • またEUの中ではイタリアはAIワクチン使用に踏み切っています。

    「イタリアでは2000年にH7N1による高病原性鳥インフルエンザの発生があり、ワクチンを使用せずに摘発淘汰で撲滅に成功したが、弱毒のH7N1ウイルスによる発生が継続したため、H7N3で作製したワクチンの使用が開始された。

    ここで、ワクチン株と野外流行株のNA亜型が異なることを利用して、ワクチン抗体と自然感染抗体を区別する識別システムが利用された。

    しかし、2002年から弱毒のH7N3の流行が始まり、今度はH7N1亜型のワクチンを使用することになった。さらに2005年には弱毒のH5N2ウイルスによる発生もあり、現在ではH5とH7の2価ワクチンを使用している。イタリアでは鳥インフルエンザワクチンを常在疾病ワクチンとして継続的に使用している。」
    (同上)

    そしてEUは鳥インフルワクチンの使用を許可し、その鶏肉のEU域内流通も許可しています。

    私たちシロウトの現場主義者は、予防ワクチンをしっかりと接種して、低病原性株で農場を制圧し、それでも万が一発症することがあるなら、摘発淘汰をかけることで抵抗性のある個体を選別できると考えています。

    それが池上氏が言う「鶏群内部での感染による新型インフルが出現する」ことを阻止するもっとも安価で(一羽たったの20円)、確実な道なのだと思います。

    ■写真 私の花の撮影ポイントはDIYです。店頭で店員にいぶかしがられながら、花盗人をしております。

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    日本の公衆衛生における伝染病対策の第一はワクチン 家畜衛生ではワクチン否定

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    昨日の朝、農場の頭上に壮大な雁行が見えました。三角形の編隊が4つほど通過した後に、直線の最後尾が続くというものでした。ざっとその数、百羽以上。

    遠くで西に旋回したのが見えましたから、たぶん北浦に向かっていたのだと思います。

    ああ、望遠レンズをはめたカメラが近くにあればとクソッーと思ったものですが、ふとわれに返り、おーこわ。私たちにとって鳥インフル最大のキャリアーが頭上を通過したんですから。

    そう考えると、まるでB29の襲来のように野鳥を見てしまっている自分がいるんですなぁ。私は里山や水辺で暮らしたかったから百姓になったというのにね。ああ、いやな渡世だなぁ。

    さて、池上彰氏の「週刊文春」最新号「ニワトリをなぜ全部殺処分?」という記事を批評しています。

    誤解されると困るのですが、私は池上氏をそれなりに高く評価しています。バイアスがかかっていないのがいいと思います。ですからいい意味で平坦に解説してくれます。

    ただし今回の記事は日本の防疫学界主流の言説そのままです。私が池上氏が現地取材をしていないと言ったのは、発生現地に行けば、もはや殺処分だけでどうにかなる状況をはるかに超えていることが分かったはずだからです。

    殺処分にかかる膨大な作業量、人員、経費、そして埋却地の決定的不足。いったん発生するとなると宮崎で既に102億円、鹿児島で4億円といった規模の経済損失が生まれるのです。しかもこれには処分にかかる税金投入は含まれていない。

    にもかかわらず、全国を飛び火し感染拡大を続けています。なぜでしょうか?殺処分すればウイルスの宿主であるトリを完全にいなくしてしまうわけですから、感染拡大の最大要因が消滅するのではなかったのですか。

    日本の公衆衛生における伝染病対策の第一はワクチンです。一方家畜衛生では、ワクチンの否定です。なんという矛盾でしょうか!

    ですから、同じH5N1インフルに対しての対策が、厚労省は新型インフル対策として徹底したヒト用ワクチンの接種に邁進し、その反面わが農水省は絶対にワクチンをさせないという真逆な方針となったのです。

    ですからトリ由来のインフルでありながら、発生源のニワトリには一切接種されないまま、ヒト接種ばかりが先行するという奇妙な逆転現象になってしまいました。

    ウイルス発生源となる可能性があるトリのワクチン接種がまず先だろうと考えるのが常識ではないでしょうか。

    こう考えるのは、私たち現場で日々鳥インフルの感染に怯える農業者です。ところが防疫学界主流派は頑としてワクチン敵視を止めません。

    その理由のひとつは、喜田宏北海道大学教授が言うようなサイレント・エピデミック(*「潜在的罹患」・一定の地域の感染症が通常の期待値を超えて潜在的に罹患すること)の問題です。ワクチンで症状が抑えられているので、ウイルスが付着した糞や畜産物で感染が拡大するだろうという懸念です。

    これは私たち現場の人間からみれば、当たり前のことだろうと思います。わが国でニューカッスル(ND)の強毒株が入っても感染拡大につながらないのは、ワクチン接種が徹底されているため基礎免疫が対抗的に出来上がっているからです。

    そもそも鳥インフル・ウイルスは、失敗作の遺伝子構造を持つウイルスなのです。発症もせずに宿主を殺してしまうわけですから、これでは急激な増殖はしても直ちに自己消滅してしまいます。これでは生き延びられません。

    まして弱毒株のN2やN7を使うワクチンにおいては、ウイルスは一カ所に2週間と生存できずに消滅します。野外株には絶対になりえないのです。よしんば何かに付着したとしても生存し続けることは不可能です。

    ですからワクチン接種による潜在的罹患は現実に起き得ないことをわれわれは知っています。ところが、学者は鳥取大学の研究室でされたような不思議なことを実験してみせるのです。

    それは、バイオ・ハザードを施したラボで、28経代もかけて弱毒を強毒に仕立ててみせて、これをもって弱毒株であるワクチンが強毒性に変異する証明だというのです。

    お暇なことよ。現実にはウイルスは生成と消滅と変異を繰り返しています。そしてその地の常在菌などによる拮抗関係の中で生きて、消滅していきます。28経代などという純粋培養された状況など初めからナンセンスな設定なのです。

    ところが、この弱毒から代を経て強毒株へ変異していくことはもはや防疫学界では「常識」となり、ワクチン接種に反対する大きな論拠になっています。弱い論拠が代を経て強い反対論の根拠に変異したんですね(笑)。

    そして、もうひとつのめぼしい反対論は、この池上さんの記事の中にもある「香港が殺処分で成功したから」というのがあります。池上氏はこの1997年の香港の成功事例が、「鳥インフルは直ちに処分することが国際的に確立した」と述べています。

    違いますよ、池上さん。香港はつい最近も鳥インフルを発生させていますぜ。しかもヒト感染させています。なにをして「成功」というのか分かりませんが、少なくともいったんは殺処分によって「排除」されたのかもしれないが、「根絶」はされていないのです。

    ウイルスの辞書には「根絶」という文字はないのです。必ず形を変えてどこかに生き残っています。

    かつてのスペイン風邪H1N1がい33%という死亡率を出しながら近年抑制されてきているのは、それは毎年のヒトへのワクチン接種で弱毒化しているからです。マイルドになっちゃったんですよ。

    これを薬剤だけでコントロールしようとするとどうなるのでしょうか。ウイルスは耐性をもってしまいかえって強毒化することが知られています。ワクチンには人体や家畜に無害な弱毒を接種して強毒株に置き換えてしまう働きがあるのです。

    ワクチン接種は、弱毒株で一定地域を制圧してしまうことです。そのことでホットハウスからクールハウスにしてしまうわけです。

    よく香港と対照的に言われるのがメキシコです。意外なようですが、メキシコは世界でもっとも鳥インフルの病理学的、実践的研究が進んでいる国です。はっきり言って、わが国など足元にも及びません。

    ではこのメキシコがどのような防疫をしているのかといえば徹底したワクチン接種戦略です。メキシコはもう10年以上もの長きに渡ってワクチン接種を徹底することで鳥インフルを防疫してきました。

    メキシコのスゴサは、はなから鳥インフルを「根絶」することを放棄していることです。つまり先進国の防疫陣にありがちな「清浄国」信仰を捨てていることです。ですから、とうぜん鳥インフル・ウルスは変異し続けて常在していると思われます。

    しかし、危険な株に変異することはないのです。だから家畜を殺すような大発生はありません。常在しているではないかと日本の防疫学者は批判しますが、そのウイルス株は弱毒のN2型です。罹患しても死亡することはまったくない安全なタイプです。

    おそらくは、メキシコにおいては、常に弱毒株が地場を支配しているために強毒株が侵入できない、というより強毒株も弱毒株に置き換わってしまうシフト現象が起きているのでしょう。

    それに対してワクチン接種がいいかげんな東南アジア諸国や中国ではしょっちゅう危険なヒト型感染を引き起こしています。

    池上氏もヒト感染の危険を指摘しており、だからさっさとニワトリを処分する方法が正しいとしているわけですが、これは間違いです。

    感染したキャリアーのカモ類は10の6乗でウイルスを増幅させます。感染したニワトリは10の4乗で排出します。ではワクチン接種したニワトリはというと、これよりはるかに少ない弱毒株を排出するのみです。どちからが危険なのかは明らかでしょう。

    現在なにが防疫の主眼となるべきなのでしょうか。それは家畜とヒト感染を防ぐことです。そしていかに経済損失を低くくしていくのかです。これが主題であって、清浄国から転落したら輸入肉が侵入するなどというのは別次元のことです。

    ワクチン接種はわずか1羽20円ていどのコストで、しかも100%の防御力がえられることは農水省薬事審議会自身もメキシコからの輸入ワクチンの審議で試験結果を明らかにしています。

    家畜を殺すだけではなんの解決にもならない。これが真実です。

    下の資料欄に2005年の茨城トリインフル事件のヒト感染の資料を載せました。これをどう読むかですが、私は茨城事件時のウイルス株が違法ワクチン使用による弱毒型N2であったことから、免疫抗体が上がったとみます。

    実際に一昨年の新型インフル時にも感染者の多くには抗体が生じていたとの報告もあります。当時京都大学が感染者が出たにもかかわらず、休校措置をとらなかったことが話題になりました。

    それは京大当局が、新型インフルは弱毒であり、軽く罹ってしまっても抗体が発生するだけだと見切ったからです。まったく正しい判断です。

    同じ論理が家畜においても適用できます。感染した学校の生徒を全部殺処分して埋めてしまえと言っているのが、今の防疫学界と農水省です。

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    ■資料1 茨城県及び埼玉県の鳥インフルエンザの抗体検査の結果について
    (茨城県健康局結核感染症課)

    結果の考察
    血清学的調査は、病原体を直接検出する方法ではなく間接的に病原体の感染による宿主
    の抗体応答を測定することによって感染を推測する方法である。病原体への曝露時と曝露
    後の厳密なペア血清を用いない時には、感染者群と非感染者群での抗体価の分布の比較に
    よって陽性判定値を設定して調査結果を解釈することになるが、ヒトを対象とした調査で
    は今回の場合も含めて明確な感染者群と非感染者群の検体を入手することは必ずしも容易
    ではない。従ってその調査結果には暫定的な側面があることに留意する必要がある。
    第1回採血時と第2回採血時のペア血清で有意な抗体価上昇が認められた者が15 例で、
    単一の抗体測定値により陽性と判定した62 例に比較すると4分の1程度であることから、
    仮にこれら陽性例がウイルスに感染していたとすると、第1回採血が実施された時には、
    既にウイルスに曝露を受け抗体を産生していた者の占める割合が高いことが示唆される。

    このことは養鶏場で鳥インフルエンザの感染が確認されたときには、多くの養鶏場で鶏よ
    りウイルスは分離されず抗体のみが検出されウイルス感染が終息していたことと矛盾しな
    い。

    感染した可能性のある者の大部分は養鶏場作業員であるが、これはウイルス感染を起こ
    した養鶏場では感染が確認される前より適切な感染防御手段をとらなかったために、ウイ
    ルスに汚染された鶏や糞尿などとの接触によって感染が成立したものと考えられる。

    一方、防疫従事者については、作業開始時に第1回採血が実施されており、防疫作業に
    よる感染を検出することは比較的容易である。防疫従事者ではペア血清で有意な抗体価の
    上昇があった者は認められず、少なくとも防疫作業への従事による感染はなかったと考え
    られる。第1回検査で5 名の陽性者が確認されているが、このうち3 名は過去に家禽など
    との接触歴がなかった。過去に家禽などとの接触歴のあった2 名は、防疫作業開始以前に感染した家禽などから感染した可能性が考えられる。残りの接触歴のない3 名については作業開始以前に何らかの類似したウイルスへの曝露や抗ウイルス剤服用による影響の可能性が考えられるが、現時点では明らかではない。

    今回、暫定的な基準を用いた血清学的調査では77 名の感染の可能性が示唆される陽性例が存在したが、調査時にはインフルエンザ様症状は確認されなかった。鳥インフルエンザには持続感染はなくH5N1 ウイルスでは潜伏期間は2日から7日間で、従ってこれらの感染の可能性がある者が今後発症することはないと考えられる。

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    資料2 鳥インフルエンザ 県内養鶏場関係者ら40人ウイルス感染か             
    茨城新聞2006/01/08

    ○2次感染恐れなし
     茨城県内の養鶏場関係者ら約四十人が、H5N2型の高病原性鳥インフルエンザに過去に感染していた可能性が強まり、厚生労働省と国立感染症研究所が、体内にできた抗体などの詳細な検査を進めていることが七日分かった。
    いずれも症状はなく、二次感染の恐れもない。同県内の養鶏場では、昨年六月から鶏への感染が相次いで判明したが、抗体検査の結果から関係者が感染した時期はそれより前の可能性があるという。
     茨城県内で流行したH5N2型は、アジアを中心に人への感染が広がり新型インフルエンザへの変異が懸念されるH5N1型より、毒性は弱い。
    しかし感染が確認されれば、鳥から人への感染報告がほとんどないH5N2型が、人へも予想以上に広がることを示す結果で、対策が課題となる。
     国内で鳥ウイルスの人への感染は、京都府の農場で二○○四年二月にH5N1型が発生した際、男性従業員(当時)で初めて確認された。今回、感染が確定すれば、それ以来。
     厚労省や茨城県などは、養鶏場の関係者や鶏の処分作業に当たった自治体職員らを対象に、ウイルス感染がないか調査を実施。鶏との接触状況や症状の聞き取り、のどなどの粘液を採取して行うウイルス検査のほか、感染研では血液で感染の有無を調べる抗体検査などを進めている。

    ○県、400人検査
     鳥インフルエンザの鶏への感染が昨年六月以降、四十養鶏場で相次いで発覚した茨城県では、新たな感染が確認される度に、県が養鶏場に職員を派遣し、従業員など約四百人を対象に体内にウイルスや抗体がないか検査を行ってきた。
     県保健予防課によると、調査対象には、養鶏場経営者や家族、従業員のほか、鶏を食肉処理する施設の従業員や、鶏の処分作業に当たった自治体職員も含まれる。
     問診のほか、のどの粘膜をぬぐって迅速診断キットでウイルスが存在するか調べる。
     しかし、迅速診断キットはウイルス量が比較的多くないと反応が出ない問題点があり「東南アジアでは感染者の50%程度しか引っ掛からなかった例もある」(同課)という。
     このため県は、ウイルスのDNAを増幅させるPCR検査も行っている。さらに約二カ月の間隔をおいて採血し、国立感染症研究所に送付、二度の採血の間に感染によって体内にできる抗体の上昇がないかも調べている。だが、検査期間の途中で養鶏場を辞め、二度目の採血ができない元従業員もいるという。

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    ■資料3 養鶏関係者の高病原性鳥インフルエンザ感染予防のための留意点

    (当時配布された家保通達 養鶏関係者のみ家畜保健衛生所から2006年2月下旬通達文書抜粋)
    1.(前略)発熱等の健康状態の以上が認められた場合には、速やかに医療機関を受診すること。
    2.鶏の異常死の生むの観察に努め、高病原性鳥インフルエンザが疑われるような異常が認められた際は、死亡鶏等への接触を避け、速やかに家保に連絡し、対応を相談すること。
    3.高病原性鳥インフルエンザの感染の生むが確認されるまでの間は、可能な限り鶏舎への立ち入りを控えることとし、どうしても立ち入らねばならない場合には、医療用マスク(N95推奨)、ゴーグル、頑丈なゴム手袋、防護服、長靴を着用するなど、必要な感染防御に努められたい。((後略)
    4.鶏の異常死が認められた養鶏場の従事者については、直ちに全員の健康状態の確認を行うこと。また、その方法については、保健所に相談されたい。
    家禽と接触がある者において、通常のインフルエンザに罹患した場合には、鳥インフルエンザとの混合感染を予防する観点からも、インフルエンザ罹患中に養鶏場での作業を避けること。

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    ■資料4 Journal of Epidemiology vol.18-(4)
    (疫学会HP)

    4)日本におけるヒトのH5N2鳥インフルエンザ感染とH5N2中和抗体価高値に関連する因子
    緒方剛(茨城県筑西保健所)、山崎良直、岡部信彦、中村好一、田代眞人、永田紀子、板村繁之、安井良則、中島一敏、土井幹雄、泉陽子、藤枝隆、大和慎一、川田諭一
            
    【背景】H5N2鳥インフルエンザウイルスのヒトへの感染はこれまで報告されたことはない。日本における最初の家禽のH5N2鳥インフルエンザの感染が茨城で発生した。

    【方法】対象は茨城県のH5N2ウイルスまたは抗体が鶏から検出された35養鶏場の従事者であった。対象にはインフルエンザの症状を示したものはいなかった。

    ぺア血清の1回目のサンプルと2回目のサンプルのH5N2中和抗体価が比較された。その上昇について可能性のある因子を調べるために、二回目のサンプルにおけるH5N2中和抗体価(40倍以上)を計算した。それらの因子のH5N2中和抗体陽性との関連を調べるために、ロジスティック回帰分析を実施した。

    【結果】257名の対象から得られたデータについてウィルコクソン符号付順位検定を実施し、ペア血清の2回目のサンプルのH5N2抗体価は1回目のそれより有意に高いことを確定した(p<0.001)。

    過去一年以内に通常のインフルエンザ予防接種の経験のない13名の対象で、ペア血清のH5N2抗体価が4倍以上増加していた。抗体陽性率は、予防接種歴のある対象(全対象の28%)では32%であり、予防接種歴のない対象では13%であった。

    H5N2中和抗体陽性の調整オッズ比は、40歳以上の者に対して4.6(95%信頼区間: 1.6-13.7)であり、過去一年以内の予防接種歴のある者に対して3.1(95%信頼区間: 1.6-6.1)であった。

    【結論】結果は家禽のトリインフルエンザH5N2のヒトへ最初の感染があったかもしれないことを示唆した。インフルエンザ予防接種歴がH5N2中和抗体陽性と関連しているかもしれなかった。

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  • 奈良県における高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜の確認について

    平成23年2月28日

    農林水産省

    2月28日夜、奈良県五條市六倉町の農場で飼養されている鶏について、疑似患畜であることを確認し、高病原性鳥インフルエンザ防疫対策本部で決定した対応方針に基づき、防疫措置を開始することにしました。
  • 当該農場は、簡易検査陽性の時点で飼養家きん等の移動を自粛しています。なお、家きん卵、家きん肉を食べることにより、鳥インフルエンザウイルスが人に感染することは世界的にも報告されていません。
  • 農場所在:奈良県五條(ごじょう)市六倉(むつくら)町

    飼養状況:採卵鶏 約10万羽

    (1)2月28日午後、奈良県から、五條市六倉町の養鶏場より死亡羽数の増加が確認されたとの通報を受け、A型インフルエンザの簡易検査を行ったところ、陽性が確認された旨連絡がありました。(平成23年2月28日公表)

    (2)28日夜、同県の家畜保健衛生所による遺伝子検査の結果、H5亜型陽性であることが判明しました。死亡鶏の状況等も合わせて考慮し、高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜と判定しました。

    ■写真 金魚と蓮です。ちょっと水彩画ふうに。

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    池上彰さん、農水省がリスク・コミュニケーションできていないことと、殺処分という防疫手段とは別の話です

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    池上彰氏の「ニワトリをなぜ全部殺処分にするのか」(週刊文春今週号)という記事についてふ~んとうなりながら読んでいます。

    池上氏の本領は要領よくまとめるという所にあります。たぶんネットを検索しまくっていくタイプじゃないんでしょうか。地味に現場取材するタイプではなさそうです。まさに子供ニュースの物知りパパのそのもののキャラ。パパは取材になんか行かないものね。

    さて、池上パパの影響力は今や大変なものですから、この記事をあっさりと見逃すわけにはいきません。というのは、鳥インフルの殺処分理由を防疫官僚の受け売りのまま記事化している雰囲気だからです。

    まず殺処分にする第1の理由は、「風評被害の防止」だそうで、これについては昨日、ちょっと違うと思いますよと書きました。もちろんその側面はありますが、それは農水省がリスク・コミュニケーションをしっかりやればいいだけのことです。

    Photo_2 (上図は「PIGジャーナル2010年9月号より転載いたしました。ありがとうございます)

    上の図は昨年の宮崎口蹄疫事件の時の口蹄疫についての新聞雑誌などで報道された件数の推移をみたグラフです。

    一目してわかるのは、4月の初動段階にまったく報道がなされていないことです。この時期に米国にいたある科学ライターは、かの地で「口蹄疫が出て大変なことになっていますね」と米国人に逆に心配されたそうです。

    皆さんもご承知のように、ネット界では大騒ぎになっていましたが、マスメディアの報道は極度に制限されており、というか民主党びいきのマスメディアが意識的にネグレクトしたのではないかと言われるほど報道皆無の状況でした。

    これがよく現れているのが上図の4月から5月GW開けまでの報道の実態でした。これが5月13日のエース級の種牛の非難や県の非常事態宣言などで一斉に報道に火が着きます。

    後はロクな消毒もしないで現地を走り回るわ、大変な状況の発生農家に取材に行こうとするわ、処分現場で作業者同士の声が聞き取れないほど低空でヘリを飛ばすわ、という呆れ果てた取材合戦が開始されたのは記憶に新しいと思います。

    これは報道機関に対して、必要な情報が提供されず、取材に対して国のコントロールがなされていない結果です。

    つまり、この重要な4月から5月初めの初動期に農水省はリスク・コミュニケーションを放棄していたのです。それにしても、農水大臣をカリブ海に物見遊山に行かせるわ、まともな宮崎県への支援はしないわ、一体この官庁はなにをしていたんでしょうね。

    さて、リスクコミュニケーションは普通以下のように定義されています。

    「リスクコミュニケーション (Risk Communication) とは社会を取り巻くリスクに関する正確な情報を、行政、専門家、企業、市民などのステークホルダーである関係主体間で共有し、相互に意思疎通を図ることをいう。合意形成のひとつ。

    リスクコミュニケーションが必要とされる場面とは、主に災害や環境問題、原子力施設に対する住民理解の醸成などといった一定のリスクが伴い、なおかつ関係者間での意識共有が必要とされる問題につき、安全対策に対する認識や協力関係の共有を図ることが必要とされる場合である。」
    (出典Wikipedia)

    4月の初動で段階で農水省というリスク・コントロールを主管する国家組織がせねばならなかった重要なタスクのひとつがリスク・コミュニケーションであったことは明白です。

    そりゃあ、プレスリリースで通り一遍の情報ていどはペラ一枚ていどはアップしたでしょうが、マスメディアに対して、言い換えれば国民消費者に対して伝えるべき情報をちゃんと出したのでしょうか。

    まず第1に、口蹄疫とはいかなる家畜伝染病であるのか。ヒト感染する可能性はあるのか。ないとすれば、どのような感染経路を辿るのか。

    第2に、食肉の安全性はどうなのか。仮に感染した牛肉や豚肉を食べてもヒトには異常がでないのか。

    第3に、出ないならば、どうして殺処分という手段で防疫をするのか。その理由は何か。

    第4に、防疫上、初動で必要な措置とは何か。どのようにして感染を確定ししているのか。確定が東京都小平の動衛研まで持ってこなければならないのはなぜか。

    第5に、家伝法上は防疫の主体は県であるが、国はいかなる支援策を取っているのか。

    第6に、防疫上、移動制限区域や消毒ポイントが設けられるが、それはどのようなことなのか。市民生活に対する影響と協力の要請。

    第7に、制限区域内の農家に対してのヘリを含むマスコミ取材のあり方に対しての諸注意。

    書き落としは沢山あるでしょうが、とりあえず、初動期でこのていどの農水省からのリスク・コミュニケーションがなされさえすれば、あのようなマスコミの醜態を見ずに済んだはずです。

    このように見てくると、池上パパは今回の鳥インフルにおける殺処分を、このリスク・コミュニケーションのあり方と混同していることが分かります。

    農水省がリスク・コミュニケーションができないからと言って、ニワトリを殺処分にせねばならない理由にはなりませんよ。いくらなんでも順番が違うでしょう。本末転倒もいいところです。

    風評被害対策は家畜伝染病においては言うまでもなく重要です。しかしそれはリスク・コミュニケーションを平時からしっかりと防疫指針の中に組み込んでおきさえすればいいことであって、防疫手段の問題そのものとすり替えてはなりません。

    ■写真 嵐の朝の空模様。不気味です。この後どどっと強風と大雨が襲来しました。こんな天気の日は、サラリーマンもよかったかな、と。

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