父の土いじり好き
風が吹いて炊いてたくさんの椿が散ってしまいました。この椿の樹は、私の神奈川の実家を父母が亡くなって解体した時に植え替えて持ってきたものです。
父は園芸が好きな人で、毎週の日曜日ともなると必ず庭に出て、ここをちょん切り、あそこを植え替え、芝を刈りとひねもす土いじりをしていました。
ただし、何も考えないで植えるもので、せっかく大きくなった庭樹がたちまちギチギチになる始末。今の私からみれば、こうレクチャーしてあげたい。
・・・お父さん、野菜や樹には適切な定植の間隔ってものがあるのですよ、これを株間といいましてね、密植すると根が干渉し合って土壌に空気がかよわなくなるだけではなくて、幹の風通しも阻害されるので蒸れて病気に掛かりやすくなるんですよ・・・
また六畳間ほどの猫の額の裏庭には、各種の野菜の種を蒔き、夏ともなると・・・やっている方はわかりますよね。野菜のドド降りです。
料理好きな母の各種野菜料理から始まって、最後のとどめはビューンとジューサーで野菜ジュースを飲まされるんです。母はこれにひと頃凝りましてね、ニンジン、ほうれんそう、小松菜、トマト、各種の豆まで入れてビューンとやるわけです。
ああ、高校生だった私はイヤダったな。今でいう青汁ですよ。いちおうハチミツなども入ってはいるのですが、あのニオイ・・・う、ごかんべん。ひと頃は、朝二階で寝ている時に、階下の台所からビューンの音が聞こえるたびにアーメンを10回唱えたものです。
これを毎日学校に行く前にバカでかいコップで飲まされるのです。オチョコでいいのに。完全に飲まないと母親が哀しそうな顔をするのです。私はこれに弱い。悔しいので、通学の途中でゲーッとやってやろうかとも思いますが、健康な胃袋にはそんな芸当はできないんです。う~クソ早く学校に行って、購買部で焼きそばパンでも食って口直しをしなきゃ。親の心子知らず。
おまけに楽しい日曜日に遊びに出かけようとすると、父親がやれ芝刈りをしろだの、畑を耕せだの、虫を取れだのとやられるのだからたまらない。バッカじゃない、と思って内心毒づいていました。
それがそれから十余年。よもや本職の農家になろうとは!私の中の父親の遺伝子情報が突如ビックバンしちゃったんですかね。時折、若き日の父と今の私が並んで畑を耕している姿を夢想することがあります。
・・・あ、お父さん、だめだめもっと株間をあけないと!定植おわったら畑を眺めながらビールでも飲もうや・・・
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