沖縄問題

退屈な劇が退屈に進行する

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退屈な劇が退屈に進行しています。

劇中の登場人物は変わったものの、一方から見れば、相手変われど主変わらずといったところです。

背景も道具立も、なんの工夫もないまま臆面もなく使い回しているのですから、当然ではあります。

石井国交大臣が、承認撤回の効力を差し止めました。

「石井啓一国土交通相は30日、沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄県による埋め立て承認撤回の効力を一時的に止める執行停止を決定した。不服を申し立てていた沖縄防衛局は近く工事を再開し、年内に土砂投入に踏み切る構えだ。
一方、玉城デニー知事は執行停止決定を不服として、第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出る意向を示した。法廷闘争に発展する可能性が高い」(沖タイ10月31日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/337795

特に感想はありません。

ルーキーのデニー知事はともかくとして、謝花副知事がこの国交省決定に、真に驚いて怒ったというなら、熱はありませんかとオデコに触りたくなります。

しかし劇中の人物である以上、、ここは一番、怒りに燃えて抗議せねばなりません。

退屈で当然。前回の翁長時代と同じことをしているのですから、同じようになるというだけのことです。

次は「国地方係争処理委員会」に訴えて、そこでも決着かつかずに、訴訟という見飽きたリプレイとなります。 

おそらく100%、県は訴訟沙汰に持ち込むでしょう。それしか県には取る道がないからです。 

一方、承認撤回の法的効力が停止したので、国は今週にでも工事を再開します。 

前回と少し違うのは、地裁の審理が前回ほどかからないことくらいでしょうか。既に最高裁判例が出ていますから、下級審レベルでこれを覆すことは困難です。 

皮肉にも翁長氏が、唯一この移転問題に残したことは、この移転反対派にとって致命的ともいえるような最高裁判例だけなのです。 

裏読みすると、彼はこの最高裁判例を出してもらいたくて奮闘したようにすら見えます。もちろん違うでしょうけど。 

それはさておいて、県は県民投票まで時間が欲しいので、結果は度外視して引っ張るためだけに上告するかもしれません。 

逆に考えにくいですが、県が勝った場合も国は即時抗告して最高裁で争うことでしょう。

するとどちらでも、結局、最高裁までいくことになりますから、最高裁が自らの判例を覆すという前代未聞のことが起きない限り、県は再び敗訴します。

日本が韓国と違って法治国家であるかぎり、当然の展開です。 

なんやかんやで、こんな時間潰しをしていると年を跨ぐかもしれません。工事は今日再開されるようですし、国は年内に土砂投入をすると予告しています。

2https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/285782

いったん土砂投入がなされれば、復旧は不可能です。

私は個人としてはあの海をよく知っているので胸が痛みますが、いたしかたありません。

湾全体を埋め立てるわけではなく、上の写真の堤防内の工事なのが、いささかの気休めです。 

デニー知事が最終兵器と考えているらしい県民投票は早くても来春4月と予想されていますから、その時には争う理由が半ば消滅していることになります。

つまり、既に埋め立てが半ば完成しかかっているものの是非を争う、という間の抜けたことになるわけです。

自民党はせめて県民投票において、無意味なイエスノーの2択の設問を止めさせる意地くらいみせて下さい。

私としては土砂投入の前に、デニー知事がハンセン陸上案(小川案)、あるいは、勝連海上案(エルドリッヂ案) などの別の候補地を提起するていどの柔軟性が欲しいのですが、まったく期待していません。 

県政の表裏を知り尽くした翁長知事にできなかったことを、共産党に首ねっこを押えられた軽量級知事にできるはずもないからです。 

まぁ訴訟沙汰など、どうぞ勝手にやって下さいとしかいいようがありませんが、時間と税金が無駄に消えていきます。

徴用工問題は明日にまわしました。

私には、大衆の感情におもねって人治主義と県民感情至上主義に軸足を置くデニー氏が、ムン・ジェインとだぶって見えてしまいます。

 

 

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那覇市長選大敗 負けるべくして負けた沖縄自民

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消化試合のようだった那覇市長選が終わり、とりあえずこれで沖縄の選挙の季節は終わりました。 

「任期満了に伴う那覇市長選は21日投開票され、共産党や社民党などの支援を受ける現職の城間幹子氏(67)(無)が、新人の前沖縄県議・翁長(おなが)政俊氏(69)(無=自民・公明・維新・希望推薦)を破り、再選を果たした。
 城間氏は9月の知事選で初当選した玉城デニー知事の支援を受けた。与党などが翁長氏を支えており、知事選と同様の構図だった。知事選、同県豊見城(とみぐすく)市長選(今月14日)に続き、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する勢力が3連勝する形となった」(読売10月21日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181021-00050071-yom-pol 

Photohttp://jin115.com/archives/52236404.html

ひとことで感想を言ってしまえば、負けるべくして負けたということです。 

篠原章氏がこのようにツィートしていますが、私も似たような感想です。

「那覇市長選。現職の城間幹子氏が約8万票、対する翁長政俊氏が4.2万票。ほぼダブルスコア。選挙前からから敗色濃厚だった那覇市長選に県議の椅子を捨てて出馬した翁長氏の勇気と運動員の方々の努力には敬意を表したい。ただ、県知事選に続いて那覇市長選も「普通の首長選挙」になったことは評価したい。」

翁長政俊氏とその陣営の皆さんの奮闘には拍手を送ります。

当初から敗色濃厚な後退戦に、県議の職をなげうって出馬した政俊氏は、自民県連の最後の意地をみせてくれました。
※翁長氏と書くと故翁長氏が強烈ですので、「政俊」氏と表記します。

一方、城間氏は立場は違えど優秀な政治家であることは確かで、知事にも擬せられた人物でした。

仮に知事候補となっていたら,、お菓子系候補のデニー氏よりよほど手ごわい相手となったことでしょう。 

私は内心、城間氏が出馬しなかったことを残念に思ったほどで、城間氏が相手ならば、佐喜真氏ももう少しまともな政策論議ができたかもしれません。 

彼女に勝利するには、自民の選挙体制の見直しと再構築が必要でしたが、今の沖縄県連にそのような力があるはずもありません。 

知事選のタガがはずれような組織状況のまま、首長選挙に臨んでしまったようです。

敗北を受けて、県連会長の国場氏が辞任するそうです。あたりまえです。遅すぎるくらいです。 

自民党沖縄県連会長の国場幸之助衆院議員は21日、先の県知事選敗北などの責任を取って、会長を辞任する意向を示した。那覇市で記者団に「責任は私が一番背負っている」と語った」(時事10月21日)
https://news.nifty.com/article/domestic/government/12145-109290/

Photo_2国場幸之助氏  共同通信 

国場氏だけがこの間の三連敗の敗因とはいいませんが、氏の指揮官としての不適格さがこの事態を招いたことは明らかです。

選挙期間中に文春に、こんなスキャンダルを書かれる始末で、これで正俊陣営の士気が上がるはずがありません。

自民党の沖縄県連会長を務める国場幸之助衆院議員(45)。2012年に初当選し、以来3回連続当選の「魔の3回生」である国場氏が、既婚女性に対し、〈キスしたい〉などのLINEを送っていたことが「週刊文春」の取材で分かった」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181017-00009366-bunshun-pol

しかもご丁寧にも2回目です。

1回目は、県連会長に就任した4月28日の夜に那覇市内の路上で、連れていた妻以外の女性と口論になり、それを止めようとした観光客を、あろうことか殴ってしまったという愚かな武勇伝の持ち主です。 

沖縄知事選という天王山を控えた時期に、無関係な観光客と暴力汰を起こしたわけで、この段階で自民党は県連会長はおろか県連からも追放すべきでした。 

しかも笑えることには、返り討ちにあって入院(失笑)。

肝心要の知事選候補選定過程には、ずっと不在というのですから、これでは県連会長なんていてもいなくても同じようなものです。

結局、保守系候補の選考過程の不透明さが後々まで響きました。

そのうえに今回2回目のスキャンダルです。相手の女性は1回目の路上暴力事件の時に居合わせた人だったようです。

やれやれ、くだらない。

デニー氏もやっているじゃないか、などといっても始まりません。デニー氏は政治家になる前の話。国場氏は現職の県連会長就任後(というか、その当日)のことです。

痴話喧嘩を暴力沙汰にするような人物に、天王山の采配をとる指揮官としての資格はありません。この時点で自民党中央は国場氏を解任すべきでした。

良きにつけ悪しきにつけ、戦後沖縄を作ってきたた国場一族も、ここまで劣化した後継者が出てしまっては、もう長くないかもしれませんね。

県連会長辞任はあたりまえ、離党するのも当然、議員も辞職しなさい。

県連は国場氏を選挙の責任をとって辞めさせたりしてはいけません。しっかりとこの間続いた不祥事の責任を追及し、県民に事実を明らかにすべきです。

そのていどのことをしないと、ここまで堕ちた沖縄自民は再生できないことでしょう。

こんな会長の破廉恥2連発をウヤムヤにするようなら、沖縄自民はあってなきが如しの存在となったということです。

選挙の季節も一巡したことですし、沖縄自民は一から真摯に沖縄における保守とは何かから考え始めることをお勧めます。

 

 

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朝日は沖縄にも「県民感情法」を作るべきだというのか

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今回の防衛省の不服申請について、出るだろうなと思っていたら案の定です。 

昨日も少しふれた朝日ですが、そのタイトルがふるっています。 

辺野古工事、政府が奇策再び 知事会談からわずか5日後
政府が米軍
普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事再開に向けた手続きに入った。移設に反対する玉城デニー氏の当選からわずか半月。安倍晋三首相と新知事との会談は1回だけで、強硬措置に踏み切った。沖縄の怒りはおさまらない」
(朝日10月17日)

https://www.asahi.com/articles/ASLBK4K6VLBKUTFK00G.html 

昨日は「奇手」と書きましたが、正しくは「奇策」ですので修正しておきますが、奇策とはこんな意味です。

「人の予想もしない奇抜なはかりごと。奇計。「奇策を講じる」「奇策妙案」」
奇策(きさく)の意味 - goo国語辞書

「人の思いもつかない」ですか、ほー。朝日はご丁寧にも前回2015年との経過比較を載せていますが、いかがなものでしょうか。前回と較べて、どこがどう「奇策」なんでしょう。 

Photo_2岩屋毅防衛大臣 https://www.jiji.com/jc/p?id=20181017155542-0028600169 

2015年のケース
・10月14日 防衛省が国交省に゙不服申請
・10月27日 国交相が県の承認撤回の効力停止
・10月29日 政府が埋め立ての本体工事に着手
2018年(今回)のケース
・10月17日 防衛省が国交相に行政不服不服審査請求と承認撤回の効力を申し立て
・10月18日 国交省、県に25日までに県の意見書の提出を要請。提出され次第審査開始。
 

2015年時は不服申請から国交省の効力停止、つまり県の訴えが退けられるまで15日間。

今回はまだ結論は出ていませんが、25日に県の意見書をもらってから1週間として11月の初めには結論が出ると見て、15、6日間といったところです。 

たぶん、国交省によって県の撤回の効力停止となった場合(99.9%そうなりますが)、直ちに工事が再開されることになります。

まったく同じタイムスケジュールです。

政府は新たに何か新しい「奇策」で臨んでいるのではなく、まったく同じスタンス、同じテンポで淡々と対応しているにすぎないのです。

ここのどこが「人の予想もつかないはかりごと」なんでしょう、朝日さん、教えてたもれ。 

そもそも行政不服審査法は、国民の行政行為に対する不服を扱うもので、国と県という行政機関同士が争うものではありません。 

地方自治法は、国と自治体が係争するという事態を想定しないのです。

そりゃそうでしょう。普天間移設は国防が国の専権事項だからなんて言う前に、米国との条約に準じる国家間合意事項です。 

移設問題のもうひとりの主役は沖縄県ではなく米国政府です。つまりは外交事案なのです。

それがいつのまにやら、まるで国内問題のように争われていますが、それはただの錯覚にすぎません。

あくまでも普天間移設問題は、本来、外交案件です。

ここを押えないから初めのボタンを掛け違ってしまい、外交権を持つはずがない沖縄県が介入するからおかしくなったのです。

故翁長氏が愛好した県外交などはその最たるものでした。

Photo_3
デニー氏も訪米するとか、多額の税金使って翁長氏のように国務省のロビーをさまようのでしょうか。まったくもう・・・。

したがって、外交案件であり、なおかつ安全保障案件である移設問題に県が介入すること自体が、「違法」とまでは言いませんが、地方自治法からの逸脱です。 

なにか深い誤解がデニー知事にはあるようですが、県は移設するしないについての権限はありません。 

何度も書いてきましたが、県知事の権限はしょせん、公水面の埋め立てに対して、環境配慮がなされているか、海を汚すような工法は取っていないか、承認時と異なった工法をしていていかなどという、極めて限定された事案に対しての技術的審査に限定されます。 

ですから朝日が「奇策」というのは、「政府が常識的にはありえないトリッキーなことをしている」という印象に導く報道です。 

それを「奇策」とまで書くのは、「強硬措置に踏み切った。沖縄の怒りはおさまらない」(前掲)からだそうです。 

朝日流にいえば、「県民感情」さえがあれば、正当な法に基づいた行政執行は無視できる、いや積極的に無視すべきだということになります。 

Photo_4朝日新聞の社旗を掲げて進む自衛艦ではない

既視感があるなぁ。先だっての韓国の国際観艦式をつい思い出してしまうからです。 

韓国は、ハーグ陸戦条約や国際海洋法といった国際法を無視して、海自に対して軍艦旗(自衛艦旗)の掲揚をするなと言ってきました。 

理由は韓国の「国民感情」を逆撫でするからだそうです。 

「韓国海軍は、済州国際観艦式に艦艇を送る日本など14カ国に対して、海上査閲の際には自国の国籍旗と太極旗(韓国の国旗)を掲げるよう要請した。
また李洛淵(イ・ナクヨン)首相は1日、「旭日旗が韓国人の心にどのような影響を与えるか、日本は細かく考慮すべき」と語った」(朝鮮日報10月5日)
 

朝日は、韓国政府とまったく同じロジックを使っていることに気がつきましたか。 

「民族感情」や「県民感情」がありさえすれば、正当な法執行をしてはならないという情緒優先主義です。 

これでは法治国家は成立しません。

デニー知事が、朝日が煽るような「沖縄の心」とか、「沖縄県民の情緒」で対決する限り、政府は逆に、韓国に対する対応と同様に普通の二者間関係にシフトしていく速度を速めることでしょう。

朝日は、韓国よろしく「県民感情法」でも作れとでもいうのでしょうか。

■[お断り ]  タイトルと本文末尾を「情緒」から「感情」に差し替えました。そのほうが意味がとおる思います。いつもすいません。

 

 

 

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デニーさんの勘違いとは

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これといって感慨もわかないことですが、デニー知事の承認撤回表明、首相との会談を経て、これにて儀式の終了ということで、次のステージに移りました。 

なんか予定調和、いや予定不調和の出来の悪いリメイクドラマでも見せられている気分です。 

防衛大臣による国交大臣に対しての効力停止の申したてがありました。朝日は「奇手」なんてことを言っていますが、本気でそう思っているならアホです。

奇手どころか、オーソドックスな法手続きの開始にすぎません。

奇手なのは、いまさらですが、権限のない日米同盟の決め事を、地方自治体が介入することのほうです。

したがって、前回の翁長氏の時と寸分違わぬ展開がまたリセットされたにすぎません。 

「米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐり、埋め立て承認を撤回した沖縄県への対抗措置として、防衛省が石井啓一国土交通相に対して、承認撤回の効力停止などを申し立てた。
8月の承認撤回によって止まったままの埋め立て工事を再開するための措置で、行政不服審査法に基づく。
辺野古移設反対を掲げて沖縄県知事選に初当選した玉城(たまき)デニー知事は12日、安倍晋三首相に対して翻意しない姿勢を示した。
 そうである以上、防衛省の申し立ては妥当だ。速やかに工事が再開されることを期待したい」(産経2018年10月18日)

この後にどのような展開になるのかはわかりきった話で、国交省が防衛省から要請された承認撤回の効力無効を認め、それを受けて県が裁判に持ち込むということになります。 

前回は、ここから県の口頭弁論があり、地裁判決から高裁判決、そしていわゆる「和解期間」をはさんで最高裁判決というらせん階段を昇ることになりました。 

今回はこの地裁で終わりです。

だって、既に同じ案件に関して最高裁判決がでていますから、下級審はその判例に準じて判決を出すしかありません。 

主文以外で県に配慮したことは述べるでしょうが、法の立て付けがそうなっている以上、動くことはありえません。 

どんなに遅くとも、年内には承認撤回は封じられます。 

となると、後は延々と県外の砂利がどうのとか、アンカーがどうしたというような小技を繰り出してくるしか手はないわけです。 

謝花副知事はそのいやがらせのエキスパートですから、豊富にネタをお持ちのことでしょう。 

あまりしつこいと、かねてから言ってきたように、政府は県による工事の悪意ある遅滞に対する損害賠償請求をほのめかすかもしれません。 

少なくとも、振興予算の減額ていどの「報復」は覚悟するのですね。まだ首相か「沖縄の心に寄り添う」などといっているうちが花です。 

Photo_2https://www.fnn.jp/posts/00403042CX

そういえば先日首相と会談したデニー氏が、いきなり「振興予算の増額」を言ったのが、本土では話題になりました。 

何を勘違いしているのでしょうか、この人。 

公約で「沖縄経済の自立」を言っていたから驚いたわけではありません。あれは耳に快いことを選挙向けに言っただけのことです。 

私が驚いたのは、この人が彼我の力関係を読み間違えているということです。 

さてこの間、沖縄県知事で予算に関して圧倒的に強い立場にあった知事は誰だとおもわれるでしょうか。 

仲井真知事です。 

歴史をちょっと見バックします 

2011120300003_1出典不明 

上の写真は首相就任のご挨拶に沖縄県庁を訪れた野田首相の時のものですが、知事はかりゆしルックで起立すらせずに出迎えています。 

もう一枚お見せしましょう。これは鳩山首相が仲井真知事を訪れた時のものです。 

Img4bfa0d23957d8出典不明 

まるで仲井真校長に呼び出された中坊です。知事応接室は校長室かって。 

しかし、ハト氏は謝りに来るのに、ずいぶんとラフな格好ですな。まぁ、大富豪の息子で、選挙以外で他人に頭を下げたことなんかない人だからな(ぬるい笑い)。 

ハト氏は、就任前の2008年から「国外・最低でも県外」ということを述べていましたが、さすがはハト氏、自分が日米同盟を揺るがすことをやっているという自覚もなければ、もちろん一片の「腹案」があったわけでもありません。 

突如、地元に根回しのひとつもしないで「ボク、徳之島に決めちゃったもん」と言い出して、地元から大反対を受けることになったことなど、今は懐かしく思い出します(←遠い眼)。 

結局、「あそこだ、ここにするんだ」と、首相の仕事を放り出して狂瀾怒濤のダッチロールの挙げ句、わずか半年でギブアップ。 

その間に、オバマからLoopy(脳タリン)と呼ばれたことは、教科書にも乗っています(うそ)。 

で、5月23日にすごすごと県庁にやってきて、仲井真知事に「ボク、頑張ったんですけど、全部ダメでしたんで、やっぱり辺野古移設にしました。ごめんなさーい」と泣きを入れに来たのが上の写真です。 

この時期、ハト氏は「抑止力を学んだ」とか言っていましたから、この人、首相になりながら国家間合意も知らず、抑止力という概念も知らなかったようですから、確かにこりゃLoopyといわれるはずです。

それはともかくハト氏は、5月28日に日米両政府が辺野古崎地区とこれに隣接する水域を移設先とする共同声明発表し、ハト氏は訪沖後1週間後の6月4日に首相退陣と相成りました。 

いま、この移設呪縛から解き放たれたハト氏は、のびのびと「オール沖縄」と一緒に反対運動にいそしんでいらっしゃいます。 

首相として謝罪に来る時はアロハで、私人として反対運動する時は背広というアンバランスが光ります。

Photo_3出典不明 

この後に、菅直人政権が移設はやはり辺野古となって、野田氏の平謝りの写真へと続くのは、ご承知のとおりです。 

ここで歴代の民主党政権の首相のみっともない姿をお見せしたのは、ひとつにはデニー氏がこの時期他ならぬ民主党沖縄県連の一員だったことをお忘れになっているようなので、記憶回復の一助にというのがひとつです。

民主党政権として当時、彼らが決めたTPP参入表明、消費増税法、辺野古移設など、抵抗野党として都合の悪いことは、一切合切「ありません、ありません」の引き出しにしまい込んでしまいました。

デニー氏におかれましても、同様にご都合主義的記憶喪失になったようです。

それはさておき、もうひとつは仲井真知事の傲慢にすら見える様子の理由が何かです。 

仲井真氏が時の首相にこの態度をとれるのは、沖縄県の立場が政府なんぞより圧倒的に強い力関係だ、という大前提があるからです。  

「民主党さん、一回ハトさんがちゃぶ台返ししたのは、謝ったくらいでは原状復帰は出来ませんぞ」と言っているわけです。 

要は、「ハトのチャブ代返しの以前の合意水準より、いっそう要求ハードルを高くしますよ、覚悟しなさい」というボディランゲージなのです。  

実際、以後の本土政府との交渉は、一貫して「沖高政低」の気圧配置で展開されました。この力関係を作ったのは仲井真氏です。  

よく、左の人たちは「沖縄をいじめまくる本土政府」と言いたがりますが、とんでもない。2人の首相を、這いつくばらせたのは仲井真さんです。 

では、ハト氏だけがちゃぶ台返しをしただけかというとちがいます。これには延々と前史があります。

この移設問題は、実に14年間の間、あーでもないこーでもない、拒否、合意、拒否、合意という定期的波動を繰り返していました。 

その波動がいったん収束したのが、麻生政権時の2007年10月のことです。  

今まで事務処理を拒んでいた仲井真知事は「環境アセス手続きの一つとして受け取らざるを得ない」として、方法書の受け取り保留を解除を決めたのです。  

この時点の名護市長は島袋氏で、市長も苦悩の末に合意に達していましたから、この段階で、なんと初めて政府-沖縄県-名護市-辺野古現地の4者が、惑星直列に達したわけです。 

Photo_4http://sciencejournal.livedoor.biz/archives/517100...

まさに五目並べか、惑星直列かという奇跡の一瞬でした。 

簡単に経緯を整理しておきます。

・2007年10月 麻生政権-名護市移設で合意
・2009年12月 鳩山政権「国外・最低でも県外」公約
・2010年5月  鳩山氏撤回し、県に謝罪
・同年6月   鳩山氏移設についての日米合意
・同年6月   菅首相、合意継承
・2013年12月 仲井真知事埋めたて事務承認
・2014年12月 翁長知事移設反対
・2015年3月  コンクリートブロックの作業停止を指示
・同3月     農水大臣、知事指示効力停止

 ところが、2009年12月、これをたったひとりで、一瞬にしてぶっ壊したのが、先述したとおり自称「友愛の使徒」、実は破壊神であらせられた鳩山氏でした。  

そして2013年12月27日、仲井真知事は沖縄防衛局の移転に関する環境評価証明を承認しました。 

ハト破壊神が移設合意体系というガラス細工を破壊してから、ちょうど丸4年後のことです。 

当時、首相に復帰した安倍氏と仲井真氏の会談の様子が、下の写真です。

Photo出典不明 

なんだ仲井真さん背広持っているじゃないの、しかも立ってる、と新鮮な驚き(笑い)。

確認しておきますが、この時防衛局が提出した埋め立て申請は、先ほど述べたように既に2010年5月28日に、他ならぬ鳩山政権時の日米合意表明に基づいています。 

つまり、ほんとうはこの時点において、既に政治決着済みであって、あとは沖縄県内部の「県内政治」にすぎません。 

それを仲井真氏は熟知しながら、実に3年間も言を左右にしてゴネまくって、本土から妥協を取りつけたというわけです。 

これは圧倒的に強い「沖高政低」の力関係が続いていたからです。 

では、今、デニー知事がこの力関係を背負っているのかといえば、ノーでしょうな。

翁長氏の延長戦でしかない、政治手腕が未知、というかたぶんまったく期待できないデニーさんを政府が恐れる理由はまったくありません。

それが、今の力関係です。

予算編成期であるのは、かつての仲井真-安倍会談と同じですが、果たして安倍・菅両氏が、かつての仲井真氏に感じたようなものをかんじるかどうか、ご判断下さい。

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移設問題の「冷凍保存」はありえません

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HN「守口」氏からこのようなコメントを頂戴しました。 

「まともなら総理よりも知事の方が任期が長いのだから、総理にとって沖縄は「優先順位」からかなり下がったと思う。基地は、いや沖縄は冷凍保存されて次世代に先送りになるのだろう。もっとも原発再稼働すら決められない内閣のことだから、沖縄に何らかの決断をするとはハナから思ってはいなかったけど」 

そうですか。「決断せずに冷凍保存」ですか。 

つまり,現況のまま埋め立ての外周堤防だけの状態で、次のステップである土砂投入をしないままで放置してしまうということですね。 

ないと思います。なぜならそれが意味するものは、事実上の移転白紙化だからです。 

「凍結」というと聞こえはいいですが、県の言い分である、埋め立て工事の承認条件に国が不当な変更を加えたから工事を差し止めよ、という主張を全面的に国が認めたことになります。 

それは国が自らの環境対策の不備を認めて、県の言い分に屈したことです。 

というか、県は何もしないで勝ったわけですから不戦勝ですか。

そもそも承認撤回などというものは、当該の技術部局である県の土木課がはずされた席で、「オール沖縄」の延命のために政治的に作られたものにすぎません。 

こんなものを認めてしまったら、「次の総理」に渡すもクソもありません。 ここでジ・エンドです。 

そういう表現をするかどうかは別にして、それは実態として移設問題の先送りではなく、白紙撤回です。

そしていったん国が白紙撤回と決めた以上、それを「解凍」して再度覆すことは不可能です。 

したがって「次の総理」の出番はありません。

そもそも論でいえば、前々から政権が責任を引き受けずに、なぁなぁまぁまぁで「冷凍保存」していたのを、初めてまともに解決に向けて取り組んだからこそ、今のようなことになったのです。

しんどくて恨みばかり買うようなことを、安倍氏が退任した後の3年後に誰があえてするでしょうか。 

安倍氏ができるのは、安定した支持基盤をもった長期政権だからです。

そんなことを、誰でもいいですが、岸田さんがしますか?石破さんがしますか?

安倍氏はこれから「決断をする」しないではなく、既に「決断をした」からこそ、今、頭から泥をかぶっているのですよ。

移設に真剣に取り組めば、「沖縄の心を踏みにじった」「民意に背いた」と批判され、普天間飛行場の現況を放置すれば、「住民の危険にさらしたままなのか」となじられます。

成功しても失敗しても、褒められることがありません。

私は総理の政策には必ずしもすべて賛成ではありませんが、その為政者としての姿勢は称賛に値するとおもっています。

総理になる前から、口あたりのいいことばかり言っている後継候補たちが、そんなことをするわけはありません。

ですから、いくら「冷凍保存」しても無意味なのです。 今、この時期に解決しておかねばならないのです。

さて、こちらのほうが重要な意味を持つのですが、ここで工事再開を断念すれば、それは普天間飛行場の固定化を認めたと同じことになってしまいます。 

実は、それもそれで一定の合理的判断ではあるのです。 

何度も書いて来ましたが、軍事的には、「辺野古飛行場」は不完全な施設です。 

Photo_2

 出典不明

小川和久氏はこのように述べています。
国際変動研究所『NEWSを疑え!』第611号 2017年8月24日号 

「①辺野古は普天間の38%の広さしかない。
②辺野古は滑走路が短すぎて、輸送機や戦闘機が飛べず、運用できるのはオスプレイとヘリコプターだけである。つまり、平時から使いものにならず、海外災害派遣にも使えない。
③有事には、滑走路が短いことだけでなく、全体が狭すぎることが問題となる。有事には米本土などから海兵隊の航空機が沖縄に集結し、たとえば普天間関係だけでも300機といった数を収容しなければならない。
辺野古は膨れあがる航空機を受け入れることも、兵員や物資を集積させておくこともできない。つまり、有事にも使いものにならない」

計画案では有事は想定されておらず、しかもC-17やC-130といった中・大型輸送機も運用できない、ヘリやオスプレイの平時運用「だけ」のものなのです。
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http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/08/post-386c.html 

平時においても、米本土などからの大型貨物を「辺野古飛行場」にC17などを使って直接搬入することは出来ず、いったん嘉手納に降ろしてから、陸上輸送することになります。

今の普天間飛行場はC17の離発着が可能なので、グレードダウンです。

こんなハンパなものになったのは、「辺野古飛行場」が、国と米国、県、地元自治体、地元土木業者との間でもみくちゃにされて出来上がった妥協の産物だからです。 

妥協の産物が故に、できあがったのはどこかをいじれば、どこかが壊れてしまうといったガラス細工でした。 

私が最善の案だと思うハンセン敷地内案(小川案)をとれば、今までの各方面との合意を白紙にして一から積み上げることになります。 

そもそもどこに作ろうと、「あらゆる移転に反対」というのが、共産党・社民党・社会大衆党の立場ですから、反対されてまた20年間の繰り返しとなります。 

ですから、軍事的に非合理的であろうとなかろうと、先に進むしかないのです。 

普天間移設について詳細な著作がある森本敏元防衛大臣が、「移設は政治的に決定された」というのはそのような意味です。 

「決断」の余地を探すとすれば、それは普天間飛行場をそのまま使い続けるという前提での白紙撤回です。 

政府は、米国に対して「地元の理解がえられない状況に至った」と説明し、移設候補地の再検討を要請することです。 

今の安倍-トランプ関係なら、ひょっとしてと思わなくもありませんが、常識的にはそんなことをしてくれる道理がありません。 

このようにデニー知事を選んだということは、普天間飛行場の固定化を選んだことと同義ですから、県民に自分の選択の意味を理解してもらうためには、いいことなのかもしれません。

なお、「守口」氏のいう原発再稼働について、総理は規制委員会に丸投げしています。

総理は原発再稼働について、政治的判断を差しはさむまないのが基本方針のようです。

たぶん国にとってのプライオリティ(優先順位)が低く、現況でも徐々に再稼働施設が増えていくと思っているのかもしれません。

後の代にこのまま引き渡すというつもりでしょうか。

それはそれとして私は問題だと思いますが、日米同盟という相手国があり、かつ安全保障政策の基幹に抵触する移設問題と再稼働問題とはまったく別次元であって、一緒にするべきではないと思います。

 

 

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沖縄両陣営に「冬の時代」到来

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観光問題、有意義な討論でしたね。またやりましょう。

さて、せっかく明るい雰囲気になりかかったのに水を差しますが、あと最低で4年間、沖縄には「冬の時代」が到来します。

移設反対のみが「民意」の総取りをし、佐喜眞氏に一票を投じた31万6千の声はまるでなかったかの如く扱われます。

保守にかぎらず、現実主義的意見を持つ人にとっては、翁長時代に増す逆風の時代となります。

デニー県政は、従来の中国の領空・領海侵犯の見て見ぬふりから一歩進んで、中国から資本投資を受けるなどの具体的中国の影響圏内へ接近する動きを見せるでしょう。

大量の中国人観光客の落すインバウンドという首根っこを押さえられた県は、中国の意志に逆らうことができなくなります。

県のあらゆる行政機関が、今まで以上に左翼カラーに染め上げられるのを見ることになるでしょう。 

それは行政のみならず、司法、警察にまで及びます。警察は反基地派を野放しにし、検問すら放棄するでしょう。 

司法は反対運動に有利な判決ばかり出すようになります。 

そして移設反対以外の意見を公の場で発言すること自体が、勇気のある行動となっていくことでしょう。

に残された民主主義はあと4年間、この厳冬の時代を生き抜かねばなりません。

一方、実は勝利した革新側も同じです。

今は勝利の美酒に酔い痴れている「オール沖縄陣営」は、もうしばらくすると本土政府が知事選の敗北にいささかも揺らいでいないことに驚くはずです。 

よく勘違いされているようですが、移設は安倍政権が始めたわけではありません。

20年前の橋本政権から始まり、いたずらに時間とコストをかけて何も決まりませんでした。 

オギャーと生まれた赤子が成人式になってもまだ移設が完了していないのですから、国策とは思えません。 

よく反対派は、国が全体重をかけて「新基地」建設に邁進してきたという言い方をしますが、冗談ではありません。 

国策なら、成田のように強制代執行をかけて大量に機動隊を導入してまでも、実力で反対派を排除し、あっというまに仕上げてしまいます。

20年もかけて決まらなかったのは、政府、県ともどもいささかも本気ではなかったからです。 

稲嶺恵一元沖縄県知事はこう述べています。 

「その時々の首相、外務大臣、防衛大臣の言うことが違うわけです。(略)
こうした政治情勢に翻弄され、それが今なお、基地問題の混乱に拍車をかけているのです」(IRONNA10月1日)
 
https://ironna.jp/article/10825 

それは事実ですが、では当時容認の先駆けとなった1998年の稲嶺案を潰したのは誰だったのでしょうか。 

この稲嶺案は10年間軍用に供して、その後民間空港にするという折衷案でしたが、軍民共用ならば現実性があったわけです。 

このプランを作ったのは、稲嶺氏の右腕だった翁長氏、そしてこの折衷案的容認論を覆したのも、翁長氏その人でした。 

Photo出典不明

ただし、翁長氏には「含み」がありました。

「その認識の背景には、翁長雄志前知事時代の「実績」がある。翁長氏は辺野古移設に反対して政府と激しく対立したが、工事はこれまでと比較できないほど進んだ。27年10月に本体工事、29年4月に護岸工事に着手し、今年8月17日には埋め立てを開始できるところまでこぎ着けた」(産経10月7日)
https://www.sankei.com/politics/news/181007/plt1810070015-n3.html

翁長氏時代に、移設工事は一気に進んでいるのです。

また基地縮小計画も大幅に進んでいます。

「翁長知事時代に進んだ米軍基地の整理・縮小は、辺野古移設だけではない。
27年3月にキャンプ・瑞慶覧(ずけらん)の西普天間住宅地区(宜野湾市)の返還が実現した。
28年12月に返還された北部訓練場(国頭村など)の面積約4千ヘクタールは、本土復帰後最大規模だ。いずれも日米両政府が8年に沖縄に関する日米特別行動委員会(SACO)で合意した計画に盛り込まれているが、実現まで20年かかった」(前掲)

翁長氏は口では「あらゆる手段を使って反対」と言いながら、実は実効性のあることは何一つせずに、建設の時間的余裕を4年間も差し出したともいえます。 

そのうえ、裁判所の「和解」提案に乗って、移設反対派にとって致命傷ともいえる最高裁判決まで引き出してしまいました。

最高裁まで争うというのは一見戦闘的な姿勢にみえますが、必ず負けるのは見えていたはずで、あえてそこまで踏み込んだ翁長氏の腹は、いまや闇の中です。

ただ反原発派が高裁どまりで上告をしない戦術をとっていることを見ると、最高裁まであえて争った翁長氏には、隠れたなんらかの意図があったのではないかと、今になると思えるのは確かです。

翁長氏を神格化するのはけっこうですが、翁長氏ほど本気で反対する気のなかった県知事はいなかったのです。 

これは翁長氏が、安倍政権の本音を心得ていたからです。 

それは安倍氏が本気だということを、翁長氏が知っていたことです。 本気というのは自分の政権の代で紛争は終わりにするという意味です。

安倍氏が移設について新たに始めたことはなにもありません。移設先の辺野古にしても、埋め立て方式にしてもなにからなにまですべて過去の政権からの引き継ぎでした。

第1次安倍政権が日本政府として引き継いだことはことごとく、今、しゃらっとして過去の言動を忘れたかのようなデニー氏以下の旧民主党政権から引き継いだことばかりなのです。

ですから、安倍氏の腹心である菅官房長官が、「できることはすべてやる」と言えば、よくある政治家の政治的ポーズではなく、そのまま額面どおりに受け取ってかまわないのです。 

翁長氏は、意図したのかどうかわかりませんが、両陣営に対して緩衝材として振る舞いました。 

革新陣営には、身体を張ってあらゆる抵抗をしていますよと言い、一方、政府には実際たいしたことはできはしないんだから、振興予算を上積みしてくれと要請しました。 

片足で基地反対派に推されながら、振興予算と基地との腐れ縁を、最も知り抜いていた翁長氏でなければできない芸当です。 

この「芸当」の舞台裏で東京との密使をしたのが、安慶田副知事でしたが、それを嫌われて追い落されたとも聞きます。

とまれこの奇妙な「蜜月」は、デニー知事の誕生で完全に終わりました。

本土政府は今までのような保守系知事や、反対派の仮面をつけた保守派の翁長氏に対してのような手ぬるい配慮は無用となります。

保守系知事に対しては、彼らの存立基盤を崩すことになりかねなかっために、手ぬるい対応となりました。

たとえば保守系の稲嶺氏や仲井真氏がいくら反対を口にしても、政府はなだめて振興予算を上積みしてみせました。

それは政府が彼ら保守系知事の苦衷を察する立場だったからです。

しかし、これが表も赤く、中身も赤い知事ならば、そのような配慮は一切無用です。

以後、本音でやる気のデニー知事と、同じく本気でやる気の安倍氏がガチンコでぶつかることになります。

すぐに対話拒否などという幼稚な手段はとらないでしょが、遠からず「オール沖縄」陣営は翁長時代を懐かしむようになるはずです。

菅氏は、「完成すれば沖縄にいる米軍28,000人のうち9,000人の国外移転が決定。普天間も閉鎖して返ってくる」と桜井よし子氏に言ったそうです。

しかしこの移転計画はかなり前から存在した移転計画のことであって、あくまでも普天間基地の移設がスムーズにいった場合という前提つきの話です。

したがって、この普天間移設という大前提が頓挫した場合、沖縄の基地縮小・県外移動計画は暗礁に乗り上げます。

いや、対中関係がきな臭くなった今、部隊の去就の条件そのもの自体が大きく変化しつつあります。

移設がスムーズに進展すれば、海兵隊のグアム移転も終了していたものを、反対運動があったばかりに延び延びとなり、やがてアジア情勢の変化で沙汰止みになるかもしれないとは、なんとも皮肉な話です。

ひとつ確かなことは、米国は日本側が移転を断念したと申し出れば、二度と同様の交渉の席に座ることはないたとです。

その時、安倍氏ではなく、石破氏のように米国大統領と個人的信頼関係を築けていない人物が首相ならば、日米同盟は崩壊の淵にたたされるでしょう。

どちらが、本気で沖縄の米軍基地の縮小・移動をやる気か、口先なのか本気なのか、やがてそれが分かってくるはずです。

 

 

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よく似たハワイと沖縄の違いとは

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やや旧聞となりますが、観光客数において沖縄が海洋リゾートとして世界的な観光地であるハワイと肩をならべました。

「2017年に沖縄を訪れた観光客(前年比9・1%増の939万6200人)が、同時期にハワイを訪れた観光客を約1万3200人上回った。
沖縄の観光客は1972年の本土復帰当時ハワイの約5分の1にすぎなかったが、近年は沖縄と国内外を結ぶ直行便の就航や東アジアからのクルーズ船寄港の増加が進み、初めてハワイを超えた」(沖タイ2018年2月2日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/204012

Photo沖タイ同上より引用 

これによる観光収入は、年間約4000億円であり、沖縄県内総生産の10分の1ほどを占めており、沖縄経済は多分に海洋観光に依存しているといえます。 

ただし沖タイも指摘するように、ハワイとはその内実にそうとうに大きな開きがあります。 

観光客の滞在日数が短く、したがって落とす購買単価が低いことです。

「観光客数は沖縄が上回ったものの、平均滞在日数は沖縄3・78日(16年度)に対してハワイ8・95日(17年)。
観光客1人当たりの滞在期間中の平均消費額は沖縄7万5297円(16年度)に対してハワイは約2・6倍の1787・9ドル(17年、約19万6669円)。依然として大きな差がある」(前掲)

沖縄とハワイには似た要素があって、比較すると興味深いものがあります。

●沖縄とハワイの共通点

・人口(沖縄県 143万人、ハワイ州 142万人)
・ほぼ同緯度の亜熱帯気候
・主な農作物(サトウキビ、パイナップル、バナナ、マンゴーなど)
・本土から遠く離れた島
・併合前は歴史ある王国
・基地の占める割合が高い(オアフ島の22%は基地)

・基幹産業は観光業とそれに関連するサービス業
(琉球経営コンサルティング)

http://ryukyuconsulting.com/2017/08/08/%E6%B2%96%E7%B8%84%E3%81%A8%E3%83%8F%E3%83%AF%E3%82%A4/ 

Photo_2http://manaoki.seesaa.net/article/456709269.html 

上の図を見ると、巷間いわれる沖縄が貧しいのは、基地の重圧で苦しんでいるからだという言辞はハワイと比べると、必ずしもそうではないことがわかります。

沖縄の米軍基地面積は約10%、ハワイは22%、軍人数でハワイは沖縄の2倍強です。

基地だけを貧しいことの原因にしてしまうと、ハワイが沖縄の2倍弱のGDPがを持つ理由を説明できなくなります。

ちなみに、よくいわれる74%という数字は全国に対する比率ですから念のため。

Photo_3パールハーバー米海軍基地 出典不明

もちろん自国軍と外国軍とでは違いますが、とまれ、本土から遠隔地にあり、かつて独自の王国を持っていた歴史まで含めてよく似ており、基地のハンディまでもがそっくりだといってよいでしょう。

強いて違いをいえば、観光客の眼にどう写るかわかりませんが、沖縄には日常的光景となった反基地デモや集会と、その人たちが推す知事が座っていることくらいでしょう。 

ではどこが決定的に違うかといえば、沖タイも述べているように、ハワイの観光業は沖縄のそれと比べ圧倒的に生産性が高いのです。 

それは下のグラフをみれば一目瞭然です。 

Gdp1024x768(琉球経営コンサルティング 前掲) 

この原因は、沖タイも言うように観光客の滞在日数が短く、わーっとマスで来て、わーっとマスで帰るからです。 

1024x768png2前掲

沖縄への特徴的なアクセスとして、大型外航客船があり、那覇港、石垣港への大型観光船の入港数は激増しています。

Photo_5http://ovs.jp/news/1024.php

両港とも年間70隻を超え、国内トップクラスの旅客船港で、その観光客の多くは台湾経由で、1隻当たり1500人もの台湾観光客を迎い入れています。 

これは沖縄がアジアの中心都市だからで、その理由は米軍基地がある理由と重なります。

那覇と東京の距離は約1500キロであり、那覇を基点に同じ長さの半径の円を描くと、マニラ、ソウル、上海なども円内に入ります。

Photo_4https://www.oag.com/jp/blog/uncovering-the-aviatio...

これが沖縄が将来的にアジアのハブ(拠点)空港、ハブ港になり得る潜在力があると言われるゆえんです。

同じ理由で、ハワイには行けないが、海洋リゾートとして気軽に行ける沖縄が、アジア全域の観光客を集める理由でもあります。

しかし、この膨大な観光客を長く引き止めておくだけの魅力が、今の沖縄にはないのです。

ゴタゴタしてまとまりに欠ける那覇の国際通り、琉球王国のたたずまいを活かしきっていない南部、美しい海岸線に混み合うように建てられた高層ホテル群、どこも同じようなモール、同工異曲のマリンレジャー・・・。

これでは本土の温泉街の発想となんら変わりません。国際的観光地にしていこうというトータルな戦略が欠落しています。

やんばるの旧北部訓練場跡は、希有な手つかずの亜熱帯原生林でありながら、その跡地利用を官民で練るのではなく、高江紛争の地にしてしまいました。

ここなどコスタリカのエコツアーのような知恵が欲しいところです。

残念ですが今のままでは、沖縄は巨大な観光資産を持ちながら、観光客が1週間くらいゆったりと滞在してみたいと思わせるだけの魅力がないのです。

このように沖縄は全国人気度ランキングで常に3位以内に入る人気スポットでありながら、いまひとつ国際的観光地に突き抜けられない印象があります。

アジア全域からの集客能力も高いにかかわらず、その内実においてハワイのGDPの2分の1に甘んじている原因を考えて行かねばなりません。

その理由は、単に基地があるからだけではないのです。

デニー知事、いや玉城知事には、移設にではなく、ぜひ沖縄をハワイに比肩する観光地にすることに身体を張っていただきたいものではあります。

 

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沖縄は海底資源の宝庫だ

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今回の選挙について、篠原章氏は総括の文章を書いています。これがなんとも暗い。 

読んだ私のほうが、ただでさえ暗澹たる気分でいたところに、さらに危うく暗黒面に滑り落ちそうになったほどです(笑い)。
http://app.cocolog-nifty.com/t/app/weblog/post?__mode=edit_entry&id=90033238&blog_id=610475 

「基地がなくなれば豊かになる」が幻想であることは再三指摘してきましたが、基地の跡地利用計画についても事実上白紙同然です。流通や観光など既存の産業を拡大すればいいという見方もありますが、ショッピングモールやホテルが乱立しても、その行く末は知れています。
テーマパークの新設も、よほどの工夫と競争力がなければ、香港のディズニーランドのように集客に苦しむだけです。広大な普天間基地の跡地にテーマパークやカジノを造るくらいなら、防災空き地として活用したほうがまだマシでしょう。
要するに沖縄は「自立」どころか自律的な経済も十分発達していないのです。誤解を恐れずにいえば、沖縄は「他律経済」の要素が強すぎ「自律経済」もまだ道半ばなのです」
 

では、どうすればいいのでしょうか。 

篠原氏は「伝統的・慣習的な制約と補助金に縛られて、沖縄には自律的に脈動する経済が十分機能していない」、「消費者市場、労働市場、不動産市場、建設市場、資本市場にも多くの硬直的な要素が存在」する、という沖縄の社会的経済的体質そのものに根本原因があるとしています。 

私はこの一節を読みながら、では今回の選挙というリアルな現実の中で、いったいどうしたらよかったのか、とつぶやいていました。 

氏のいうことは正鵠をえていますが、それを改善するには百年河清をまつことになりはしまいか、と思ったわけです。 

さて、私は、今回、知事選でとり上げられていないことの方の中のほうに、今後の沖縄の未来を照らす何かが眠っていたように思います。 

そのひとつが資源です。 

沖縄水域の資源について、東海大学海洋学部教授・山田吉彦氏の論説があります。
(産経9月19日)

https://www.sankei.com/politics/news/140919/plt1409190002-n5.html 

よくある沖縄理解のひとつに、「資源に乏しい沖縄」というイメージがあります。 

これは復帰前の俗に言う「イモ裸足」論が典型ですが、イモを喰い、裸足で靴も買えない沖縄だから、復帰して日本に戻るのだということになります。 

ここから米軍基地に依存するしかないではないかという現実肯定的姿勢と、いや、米軍基地があるからいっそう貧しく危険なのだという反基地闘争派が生まれました。 

いずれも、「日本一貧しい沖縄」という揺るぎないイメージが、その根にあります。 

では、ほんとうにそうなのでしょうか。 

山田氏は海洋資源の観点から、まったくそれは間違っていると断言します。 

山田氏は、日本が海洋国家としての最大の生長点にあると指摘し、同時に中国のほうがいち早くそれに気がついて、さまざまな手を打ってきているとしています。 

Photo_2Google Earth 伊是名島 

沖縄近海の資源分布には驚くべきものがあります。 

「沖縄近海には魅力的な海底資源も眠っている。石油天然ガス・金属鉱物資源機構は昨年3月、沖縄本島北西約100キロの伊是名海域に金、銀、銅などの資源量が340万トンを超える海底熱水鉱床が存在していると報告した。
この海域に眠る資源を地金換算すると約5兆円になると推定される」(前掲)
 

また、伊平屋周辺海域には大規模な熱水鉱床があることが分かっています。 

Photo_3Google Earth 伊平屋 

「今年7月には、海洋研究開発機構が、その50キロほど北の伊平屋沖に大規模な熱水鉱床があると発表した。このほかにも沖縄ではいくつかの海底熱水鉱床が発見されている((前掲) 

熱水鉱床とはこのような海底資源です。

「地下の火成活動がもたらす揮発性成分に富む高温の熱水溶液が,岩石の空隙内に沈殿した鉱床,あるいは母岩の一部を交代して生成した鉱床。金,銀,銅,鉛,亜鉛,水銀,その他重要金属鉱石がこの熱水鉱床より産出する例が多い。地質構造,母岩の性質,熱水溶液の温度などにより鉱床の形態と規模は一様でない」
熱水鉱床(ねっすいこうしょう)とは - コトバンク

「金、銀、銅、鉛、亜鉛、水銀やその他重要金属」を産出する海底資源スポットが、沖縄本島から手を伸ばせば届く場所に眠っているわけです。 

かねてから知られているように、尖閣諸島周辺海域には埋蔵量豊富な油田が存在しますが、日本が日中関係を考慮して試掘を手控えているうちに、中国が既得権益を主張してしまいました。 

Photo_4出典不明

このような海底資源のみならず、沖縄は魚種によっては全国第3位の水揚げ高を誇る水産王国です。 

「沖縄県は、クロマグロ、キハダマグロ、メバチマグロの3種類に関して全国第3位の水揚げ高を誇る。希少価値のあるマグロを水揚げする県としての経済的価値の維持、資源量の保護など水産分野でも対処すべき課題は多い」(前掲) 

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http://www.okinawa-churaumimaguro.jp/maguro/

いうまでもなく、美しい珊瑚礁など観光資源は無尽蔵といっていいぼどあるのはご承知のとおりです。

田氏によれば、「沖縄は海底資源の宝庫」といっていいのだそうです。 

ただし、山田氏も指摘するように、海底重要資源はいまだ手つかずであり、漁業資源は経済価値の維持が不十分です。

同様に観光にもハワイを凌ぐ観光客を招いていながら、いまだ多くの観光インフラが整備されているとは言い難い状況です。

そのうえに、近年、その重要性に気がついた中国がの手が伸び始めようとしていますが、それは次回とします。

 

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火薬庫の上で昼寝をしている沖縄

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先日来の「ちゃあがんじゅう」氏が、こんなことを言っていました。今回は特に反論というわけでもなく、考える手がかりとして書いてみます。 彼はこう書きます。

「南シナ海で全面的な両軍の軍事衝突しても不思議ではないと煽られる。しかし、現在、沖縄県で争われている辺野古の是非とは、無関係と考えます」 

なぜ「無関係か」といえば、別の所でこう述べています。 

「自衛隊や米軍を相手にしてまでも中国がわざわざ沖縄を攻めてくるとおっしゃるのですか?全面戦争やるんですか?
デニー県知事誕生で、そのような事態99%ないでしょう」
 

おいおい、この人他人のことを「煽り」だなんだって言う前に、全面戦争って概念を知って使っているのかな。

「全面戦争」とは、尖閣だけではなく、北京も東京も、いや世界中いたるところが攻撃対象になるという意味で使われます。

要は、世界戦争のことです。
全面戦争(ぜんめんせんそう)とは - コトバンク

手段を選びませんから、核兵器や生物化学兵器も使用されます。

ですからこの人が言うような「沖縄に攻めてくる」というのは、局地戦にすぎません。

らに尖閣をめぐってならば、戦争ではなく「戦闘」です。概念を勝手に膨らませないように。

で、結局いずれにしても、米軍が沖縄を「守って」くれているから中国が攻めてこられないってわけですか。 

そうか、考えてみれば、沖縄で反基地主義を鼓吹できるのは、実は米軍がいるからでしたっけね。

Photohttps://jp.sputniknews.com/opinion/201802084554816...

沖縄の安全ベルト役の米軍に口では出て行けと言いつつ、米軍がいるから中国は攻めて来られないんだと本心では思っている、そういう矛盾した存在なんでしたっけね。

少し解説しておきましょう。 

まず米軍は沖縄を守るためにだけ駐留しているわけではありません。 

彼らが沖縄にいる理由は、東シナ海、南シア海、インド洋にかけての海洋とアジア全域の平和秩序安定のためにいるのです。 

もっとはっきり言えば、米国の「権益」の確保の為です。 

米国の権益とは、自由貿易の保証と自国民の生命・資産の保護のことです。

31http://www.kanji.okinawa.usmc.mil/units/Mef.html

具体的には、シュワブと普天間基地に駐屯する第31海兵遠征隊(31MEU)は、朝鮮半島やアジアの有事の緊急対応のためにいます。 

具体的には、自国民を戦火から脱出させ、かつ後続する陸軍のために橋頭堡を築くことが任務です。 

沖縄にいねばならないのは、有事が想定される朝鮮半島や台湾に短時間で到着できる唯一の米軍基地からです。 

312_2防衛省

また沖縄には、陸上部隊のキャンプとそれを運ぶ航空基地、そして有事の際には航空優勢を確保できる空軍がワンセットで揃っています。

県外、つまりは本土に移転しろという意見をよく聞きますし、かつて橋下徹氏が大阪市長の時に具体的検討を命じたことがありました。 

橋下氏の男気は買いますが、現実には不可能です。 

なぜなら今書いたように、①海兵隊駐屯地②それを輸送する航空基地③空軍基地の三点セットが存在するのは沖縄だけだからです。 

県外、つまり本土へ移動するとなると、空軍基地はともかくとしてシュワブ・ハンセン・普天間の三つを同時に移動させねばなりません。

そんな代替地はありえません。 

日本にとっては、米軍に「そこにいる存在感」だけで大きな意味を持ちます。

それはいみじくも「ちゃあがんじゅう」氏が言うように、中国が米軍を恐れて侵攻しないからです。 

これが「同盟関係を結ぶことによる抑止力」という安全保障の根本概念です。

「ちゃあがんじゅう」氏は辺野古移転と南シナ海での軍事摩擦は無関係と言っています。

なるほど確かに「無関係」です。

辺野古移設はあくまでも日本側がいいだしたことで、米国の「権益」からすればマイナスだからです。

辺野古移設は、本来、宜野湾市街地という過密地帯から、過疎の地に移して日米同盟を安定させようとする思惑から始まりました。

橋龍の親切心という説と、少女レイプ事件に驚愕したからとする説がありますが、どちらでも日本側からの要請だということは一緒です。

本来、移設問題は米軍にとっては軍事的にはどうでもいいことであって、エルドリッヂさんが良く言うように「辺野古に移動したいと思うマリーンはひとりもいない」のです。

ですから、米国は移設問題を反米闘争のシンボルとされていることを迷惑に思っています。

県民投票をかけてまでノーと言われるくらいなら、米軍は普天間に居続けることを言い出す可能性もないわけではないと思っています。

問題は、そのことによって20年間積み重ねてきたSACO合意による縮小計画が頓挫しかねないこと、そして普天間基地が市街地に残りづけることをどう考えるかという問題です。

もっと大きな立場では、日米の信頼関係がゆらぐこともありえないことではありません。

しかし県民が県民投票によって、「県民の総意」として移設反対を掲げた場合、政府にはふたつしか選択肢がなくなることになります。

ひとつは、「民意」を押し切って建設を続行するのか、あるいは白紙化して普天間固定に戻るのかのいずれかです。

どちらもノーなどというのは答えになりませんから、ふたつにひとつです。私にもどちらとも言えません。

私は私見ですが、後者の道、即ち移設を白紙化して普天間固定化しかないと思うようになってきています。これについては、機会を変えて詳述します。

沖縄県民はデニー知事の誕生させることによって強力に移転反対を正当化させてしまったのであって、県民投票がこれに追い打ちすれば、いかに法的正当性があろうと太刀打ちするのは、民主政体には難しいということです。

したがってデニー知事によって、普天間基地の永久固定が一気に現実味を帯びたということです。

さて、沖縄が知事選ですったもんだしている9月30日に、米中があわや衝突する寸前となりました。

「BREAKING: U.S. defense official confirms to that photos showing a close encounter between the USS Decatur and a Chinese Navy warship in the South China Sea "are legitimate," but were not released by the U.S. Navy. 

米国防総省の関係者は、南シナ海の米海軍艦艇であるUSSディケーターと中国海軍艦艇が密接な遭遇を示す写真があることは事実だと確認した。なお米海軍はリリースしていない」 

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これを報じる日経新聞(10月2日)です。 

「中国政府の発表や米CNNの報道によると米軍駆逐艦「ディケーター」は30日、「航行の自由」作戦として南沙(英語名スプラトリー)諸島ガベン礁付近で12カイリ以内の海域を航行した。
南シナ海の主権を主張する中国側は駆逐艦がディケーターの前方約41メートルまで接近し、海域から離れるよう警告した。
海軍筋によると他国の軍艦を警戒・監視する場合は2キロ弱の距離を取る。「41メートルは両艦とも衝突を覚悟せざるを得ない距離だ」。
そこで浮上しているのは、中国軍が設定していた進入を許さないラインに米軍艦が近づいたため、中国軍艦は接近のリスクを冒してでも進行方向をふさぎにかかったとの見方だ」

この記事にもあるように、中国は南シナ海に軍事要塞を作ってしまったために、防衛線が沿岸部から海洋の真ん中にまで延長されてしまいました。

その結果、中国軍の基本戦略である「接近阻止・領域拒否」(Anti-Access/Area Denial, A2/AD)ラインが、延びきった形になっています。
接近阻止・領域拒否 - Wikipedia

米国にとって、この絶海に浮かぶ軍事要塞島の補給線を断つことなど簡単なことです。

中国は日米と違って、本格的な海洋における軍事作戦をした歴史的経験が皆無なので、こんなものを作っちゃうんですね。

米海軍の「航行の自由作戦」は、それを誇示するために行っているという側面もあります。日経記事にもあるように、現地軍は司令部からここから先に入れるなという命令を受けていたようです。

しかし、本気で撃ってしまったらエライことになるわ、やらなけりゃ叱られるわでパニくってぶつけようとしたのでしょう。

危ないことを・・・。偶発的戦闘はえてして、こういう愚行から始まります。

もしこの時に、中国艦が米艦に激突したとしたら、とうぜん米国はこれを軍事攻撃があったと受け取るでしょう。

中国が領海と勝手に宣言している海域は、国際海図上はただの公海にすぎず、いかなる船舶にも航行の自由が認められている以上、米国は「公海上で軍事攻撃を受けた」と主張できます。

したがって公海上での不当な軍事挑発に対して、米軍は正当防衛する権利を有します。

ただし米軍がここで現実に反撃するかどうかは、トランプによる「高度な政治的判断」が必要です。

仮にここで戦闘が勃発しても、両軍とも制限をかけて全面戦争を回避する努力をする思われます。

通常の海軍同士なら有事のホットライン(海上連絡メカニズム)を使って、双方の司令部に攻撃する意志を確認し、局地的な戦闘で収めようと計るでしょう。
自衛隊幹部学校対中軍事危機管理(信頼醸成)メカニズムの現状 ―日米の視点から -

「ちゃあがんじゅう」氏がいうように、戦闘が始まったら即全面戦争というほど国際的危機管理体制は単純にできていないのです。 

尖閣はただの岩礁だという人がいますが、中国から見ればあそこに南シナ海に作ったような航空基地と軍港を備えた軍事要塞を作りたいことでしょう。 

すでに中国は「東シナ海合同作戦指揮センター」を設置し、空海合同作戦を展開する準備を開始しました。 

また尖閣から300㎞北西にある逝江省の島しょう部には数基の最新鋭レーダー施設を持つ航空基地さえ建設されました。 

これが実用化されれば、空自の那覇基地から尖閣まで400㎞ですから、中国は空自より早く探知し、素早く侵出することが可能となります。 

これは中国が、南シナ海に継いで、東シナ海における空海の支配権を得る意図があるとみられています。

とまれこのように今のアジア情勢は、いつ爆発してもおかしくない火薬庫の上にいるようなものだ、ということは覚えておいたほうがいいと思います。

これを「煽り」というのは勝手ですが、火薬庫の上で昼寝をしているのが今の沖縄です。

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過激なプロパガンダは諸刃の刃

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「ちゃあがんじゅう」氏という人から、こんなコメントをもらっています。 

「小澤の工作だという妄想よりも サキマ陣営は我那覇真子とそのお友達の工作活動なんとかした方がいいんじゃないの?」 

コメント欄で返そうかとも思いましたが、今回の敗因のひとつとしてSNS問題も取り上げるべきだと思っていたところなので、記事とします。 

まず、私の書いている翁長氏の「遺作」としての今回の選挙戦略の中心に小澤氏があったことは、「妄想」と決めつけるのは自由ですが、疑いようもないことです。

我那覇さんと戦後政界を動かしてきた小澤氏を同列に比較してどうするんですか。小澤さん、市民運動家と一緒にされたなんて聞いたら怒りますよ(苦笑)。

私は妄想で言っているのではなく、背後関係を押えた上で推論しているのです。妄想と推論は本質的に別物です。 

もし翁長氏がデニー氏の後ろに小澤氏がいることを知らなかったとしたら、そのほうが驚きです。

翁長氏に対しての濃密な批判者だった私からみれば、彼が徒手空拳のままデニー氏を推すことはありえないと感じました。 

翁長氏が選挙で必要なのは、デニー氏のスマートな女心をつかむような「表紙」であって、中身ではないからです。 

中身ではないと言い切ることができるのは、「自己決定権」とか「一国二制度」といった危険視されても致し方がないことを、あえて選挙戦の真っ最中に軽く言ってしまえるような不用意さがあるからです。 

慎重な政治家ならば、こんなデリケートなことは、知事となって時期が到来してから口にします。 

選挙戦で候補者が安易に言っていいことではありません。

私はこれを見て、ああこの人マスコミに甘やかされて育ったんだろうな、って思いました。

地元紙はとうぜんのこととして、全国紙もNHKもその意味を報じませんもんね。

翁長氏が存命していたら、こんな危ないことを軽いノリで口にしてしまえるデニー氏をたしなめたことでしょう。 

翁長氏は独立については、難しいと常に口を濁していました。

唯一、その口が緩んだのが国連人権委演説の時でしたが、それすらもその後、県議会で攻撃される材料を与える結果になりました。

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 「自己決定権」( right to self-determination)は、ただ住民自治を大事にしろという生易しいことではなく、「民族自決権」のことです。 

さらに民族自決権とは、帰属していた国家からの独立する権利を意味します。

そしてさらにこの概念が、「一国二制度」という概念と組み合わされると、「混ぜて使うな・危険」という言葉に発展していきます。

というのは、「一国二制度」とは、中国が民主主義諸国の主権下にある他国領土を奪うために使っている政治的レトリックだからです。 

いったん奪取してしまえば、「二制度」で保障したはずの民主主義政体を維持する約束は反故にされます。 

それは香港で露骨なまでに明らかになりました。香港の人たちは今や自らの地域代表は、北京政府の選んだ候補の中から投票するしかないありさまです。 

そして中国は、沖縄を領土であるとしています。 

つまり、デニー氏は中国と国境を接する沖縄が「独立」することを志向し、かつ、中国の影響下に入りたいという考えを持っていることになります。

牽強付会ではなく、そうとしか考えられません。

ぜひデニー氏、いや、玉城知事におかれましては、強くそれを否定されんことを希望します。 

さもないと、その口の軽さが命取りになりますよ、とご忠告しておきます。

さて、このようなデニー氏の問題視されるべき発言について、本土の右派は過激に反応しました。 

曰く「売国奴」、「反日」などなど。いつもどおりのレッテル貼りです。 

私は一貫して、デニー氏の隠し子スキャンダルについてくだらないとしてきましたし、別荘問題についても無関係という立場をとってきました。 

私は、デニー氏のナイーブすぎる安全保障観については強く批判しましたが、「反日」、あるいは「売国」というレッテルを張ったことは一度もありません。 

そのようなレッテルを貼ることで、デニー発言の中身についての批判が浅くなるからです。 

この右派のプロパガンダに対して、デニー陣営は巧みに返したと思います。 

それについて篠原章氏はこう述べています。 

「玉城陣営からも、これに対抗するようなSNS発信が行われたが、トータルでいえば玉城陣営のほうがクリーンだったといえよう。
玉城陣営からSNSで発信されるテキスト、画像、動画なども有権者の心をつかむような効果的なものが多く、これもまた玉城氏の勝利に寄与した」(IRONNA10月1日)
https://ironna.jp/article/10824?p=3 

私自身SNSで発信している者のひとりとして、今回の惨敗の一部に右派の過激なSNSのプロパガンダにあったことは事実だと思います。

一部の保守系サイトの、特にコメント欄に良く見かける、読むに耐えないような下卑た言葉を使って騒ぐ体質を改めない限り、また返す刀で「保守陣営はこんな汚い選挙をしている」という実証例にされて無党派層を逃がしてしまうことでしょう。

私はそれを危惧します。 

SNSで発信する人たちには、裏がとれない情報は流さない、個人攻撃は控えるていどのわきまえが必要です。 

特に無党派層の動向が結果を左右する昨今の選挙においては、なおさらそうです。

過激なプロパガンダは諸刃の刃です。

言っている者の鬱屈を発散するだけのような発信を続ければ、また足をすくわれてしまいます。

自重して下さい。

 

 

 

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