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2019年10月12日 (土)

デニー談合疑惑でヒビが入り始めた「オール沖縄」

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今回の談合疑惑について、野党は百条委員会による徹底究明を求めましたが、県政与党は態度保留のまま逃げるつもりのようです。
ひとことでいえば自信がないんでしょうね。
全会一致で百条委員会をする予定だった野党は、いったん設置について見送りました。

まぁ普通に考えれば、なんの問題もなければさっさと応じて潔白を晴らせばいいだけのことで、こんな対応をするということはまだなにか隠していることでもあるのかと思いますね。
たとえばあの前夜の会合で何が話題になったのかについては職員のヒアリング記録が提出されるでしょうから、複数の職員の記録を突き合わせれば、なにが当日の酒宴の目的だったのかわかるはずです。
万国津梁会議の契約とはなんの関係もなかったただの「私的な親睦会」だったのかどうか、はっきりさせましょう。

百条委員会といえば苦い記憶があります。
かつて仲井真氏が受け入れを容認した時など、老齢な上に病気で倒れていた知事を百条委員会で連日つるし上げたのはどこの誰でたっけ。
あの時、私は仲井真氏を殺すつもりかとすら思いました。
それをやったのはなにを隠そう、今県政与党に座って百条委員会を拒否している共産党、社大党、社民党の皆さんです。

デニー氏は仲井真氏とは違い、若くてピンピンしていますが、なにか百条委員会をやれない理由でもあるのでしょうか。
あるとすれば、当夜の参加者であり、かつ談合の当事者である徳森、鈴木両氏と連絡がつかないということでしょうか。

さて、共産党を筆頭とする「オール沖縄」陣営は、脇が甘いタレント知事に嫌気が指してきていることに疑う余地はありません。
そもそも「オール沖縄」の中心である共産党などが望んでいたのは、現場で身体を張って阻止にうごくような泥臭いタイプで、しかも「オール沖縄」のいうがままに操縦できる人物でした。

デニー知事の目玉政策の万国津梁会議など、数十年間反対運動をしてきた彼らからすれば、ただのインテリの遊びくらいにしか見えないはずです。
実際、県の「第1回米軍基地問題に関する万国津梁会議(令和元年5月30日開催)」 議事概要(PDF:137KB を見ると、柳沢協二氏やマイク・モチヅキ氏、孫崎氏など、人選が徳森氏が所属するND一色で染め上げられています。

その彼らインテリは、こんなことしか言わないのですよ。

「委員 米中の秩序を巡る争いに日本は巻き込まれざるを得ない。その文脈で中国を脅威と考えると、抑止力が崩れた場合、どこにミサイルが飛んでくるのか、米軍のいるところに飛んでくる。抑止イコール安全ではない。抑止力によって戦争の脅威が無くなるわけではない。戦争の恐怖から解放されることが積極的平和であれば、根元の国家間の問題をどのように解決するか」

要は、米中関係が改善されなければ沖縄の基地問題は解決できないですか。ため息が出ますね。
あたりまえじゃないですか。いっそう悪化する米中関係、韓国の自由主義陣営からの脱落を受けて、沖縄基地の役割がいま以上に重要になってきている時に、「国家間問題をどう解決するのか」なんて他人ごとのように言われてもねぇ。

こんなことを「提言」すれば、政府はその言葉をそのまま使って、「だから今、普天間移設を漂流することはできないのです。外交・安全保障案件に県は口ばしを入れないで欲しい」と返してくるでしょう。

知事選の焦点を移設反対に置いていたデニー氏は、たしか「移設問題の合理的解決方法があります」と言っていましたね。
1年たちましたが、ケチケチせずにどうぞ「合理的移設解決案」を見せて下さい。
デニー氏がやった初仕事は県民投票でした。
これについて翁長知事はさんざん「オール沖縄」からせっつかれながら重い腰をあげませんでした。

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https://www.asahi.com/articles/ASM2R52Z1M2RTPOB003...

で、デニー知事はやったわけですが、そもそも県民投票は反対の人だけが行くような性格にもかかわらず得票率52%、反対43万ですから、大田知事の基地反対の実績である59%、48万から減らしてしまったわけです。
県の税金を使って連日うるさいほどのコマーシャルをしても、来るのは5割ギリギリだったわけで、それの7割が反対ということは、見た目はスゴイですが、実は投票率5割のうちの7割にすぎませんから、純粋に反対した県民は全体のわずか37%ていどだったということになります。

こんな結果に驚いた野党・メディアは、このからくりには触れず「7割が反対」だけを強調してプロパガンダに使い回しました。
そもそもなんの法的拘束力もないのですから、宣伝に使うしかないのですよ。

つまるところ純粋に移設に反対している層は4割を超えず、県民の6割は容認しているか無関心だということを政府に教えてしまいました。
あーあ、あんなもんやらなきゃ、
「大多数の県民の反対を押し切って」なんて言えたものをね。

あとはなにかデニー氏がやったのでしょうか。う~ん、思い出せない。 

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出典不明

トークキャラバン以外に強いて取り上げるとすれば、今年3月にあった安倍首相との2回目の会談で、岩礁破砕訴訟を取り下げると言ってしまったことです。
これは翁長氏がしまくった乱訴のひとつで、なんどでも同じ事案を蒸し返し、その都度県の承認を求める遅滞戦術でした。
翁長氏としてもこれしかもうやることがなくなっていたのですが、やらなければ「オール沖縄」がついてこないからしていただけのことです。

その翁長氏の苦渋の戦術を、デニー氏はいともあっさりと独断で覆してしまいました。
さぁ、共産党の怒るまいことよ。

「これに対するする事前通告がなかったことに不信感を募らせた与党3会派の代表者らは19日夕、謝花喜一郎副知事を呼んで経緯の説明を求めた。謝花副知事は「昨年から弁護士と協議し、知事も上告を取り下げた方が良いと考えていた」と明かしたが、与党幹部は「我々の後ろには県民の闘いがあり、世論があり、選挙がある。重大なことを、なぜ相談しないのか」と反発した」(琉球新報3月20日)

この時、デニー氏はたぶんNDの意見に従ったはずです。
NDの代表の猿田氏は、かねてから移転問題を「国民の意見に耳を貸さない安倍政権」という言い方をしており、沖縄県と政府の対立をただ「話あいを求める沖縄県vs話あいに応ぜず工事を強行する政府」という薄っぺらな構図で捉えていたようです。
もちろん違います。これでは20年かけて移設候補地が迷走したことを説明できません。
迷走したのは、耳を傾けないどころか地元の意見に耳を傾けすぎて、利害が錯綜したからです。
国が強権でやっていれば、成田空港のように実力でさっさと移転を済ませられたのです。

政府はそんな対立の構図を作りたいデニー知事の意図なんかとっくに読み切っていましたから、頻繁に請われる都度こころよく会談してきたのです。
このようにデニー氏がやってきたことはことごとくスカなくせに、反対運動のプロを自認する「オール沖縄」に相談もしないでやってしまうことにほとほと愛想が尽きかけていたようです。

8

そうそう忘れていました。フジロックフェスで平和を歌ったなんて余興もありましたね。CCRとディランを歌ったとか。ああ歳が分かる(笑)。

「歌に先立つトークコーナーでは、ジャーナリストの津田大介氏、沖縄の人気バンド「ORANGE RANGE」のベースYOHさんらとステージに登り、米軍専用施設が沖縄に集中する現状を紹介。「辺野古は絶対に認められない。これ以上、子どもたちに米軍基地を押し付けることはできない」と強調。日米地位協定改定の必要性にも言及した」(東京7月29日写真も同じ)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201907/CK2019072902000124.html

ここでも愛知ナンジャラで虚名を売った金髪のアジテーターこと津田大介さんとのトークで、デニー氏は平和を訴えたようですが、だからナニ?
あなた知事という行政官で、反戦フォーク歌手(死語)じゃないのよ。
元本職のデニー氏に「アイ・シャル・ビ・リリースト」なんて謳わせるより、故翁長さんに鳥羽一郎の『兄弟船』でも歌わせたほうが迫力があったんですがね。

そして反対運動の目玉としてデニー氏が出してきたのが、この万国津梁会議 だったわけですが、たぶんなんの成果も出ないはずです。
元官僚というだけでまったく政府に影響力のない柳沢氏や孫崎氏のような人物が何を提言しようと、現実の反対運動にはなんの影響も与えないでしょうし、ましてや政府に至っては聞いてもいないでしょう。

インテリがなにかモゾモゾ言っているというくらいで、そもそもシンポジウムなんて実際の政策の装飾品みたいなもので、巫女さんのご託宣を頂戴して箔をつける性格のものなのですよ。
しかしその実際の政策が欠落しているのに、箔だけつけてどうすんの?

ひとつひとつ見るとわかりにくいのですが、こうして並べて流れをみると、NDが主導したということがよくわかるはずです。
それはひとことでいえば、いわゆる「意識高い系」イベントです。
トークキャラバンは徳森氏がやっていた高江キャラバンの延長、フジロックはいかにも彼ら好みの若者向け企画そのもので、そして万国津梁会議などは政策提言集団を自称するNDのオハコときています。
これは総決起集会、デモ、座り込み、ピケ、訴訟などと、半世紀まったく変わらない「オール沖縄」とは異質です。

この昭和の匂いがたちこめる「オール沖縄」からすれば、デニーよ、お前の仲間は真面目に反対運動やる気があんのかと内心思っているでしょう。
自分を当選させた「オール沖縄」には最低限の挨拶しかしないくせに、翁長氏のやったことをぶち壊しやがって、何をしたいのかと思ったらガキ相手のお遊びかい、言葉は悪いですが、「オール沖縄」のオジさんたちがそう考えていることは想像に難くありません。

そのうえに岩礁訴訟を取り下げたので、今後類似のイヤガラセ訴訟を起こしにくくなります。
唯一政府が嫌がったのはこういうネチネチしたけちつけ訴訟で、政府からすれば勝つのは分かっていても時間と手間をかけさせられるので作戦としてはそれなりに実効性があるのです。
その武器を自分で捨ててどーすんの、といったところでしょうか。

たぶんデニー氏は気がついていないでしょうが、「オール沖縄」からすれば、軒を貸して母屋を乗っ取られたような気分だったことでしょうね。
誰に乗っ取られたって?もちろん外来者のNDにです。
その挙げ句、徳森氏らを近づけすぎてとうとう談合疑惑までやらかしやがって、もう知らんわ、勝手にさらせ、2期めはないと思え、と思っておられることでありましょう。

というわけで、どこまで「オール沖縄」がデニーさんを守るのかぬるく見守りましょう。

 

 

2019年10月11日 (金)

デニー知事と徳森氏の談合疑惑

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昨日の記事に投稿していただいたコメントが反映されずに申し訳わけありませんでした。
ニフティから障害が出たとレポートが来ていますが、こちらで復旧するしかないようです。
一部は私が復元しましたが、山路さんなどのものがスパム扱いとなったままです。まったく、もう。

記事として反映させていただきます。山路さんのコメントです。

「県総務部長は「会食には利害関係者はいなかった」と答弁しています。これは明らかな虚偽答弁です。委員会では与党(オール沖縄)側の二名が退席する事により、徳森・鈴木両名の参考人招致が決定しています。
ところが、議会事務局が参考人招致すべく二人に連絡するのですが、徳森氏は連絡がとれず、9/30日に請負した業者は徳森が沖縄の責任者であるにもかかわらず「退職した」として、居所も不明としています。 全く、奇々怪々としか言いようがありません。先の委員会で退席した与党議員についてですが、事実上招致に賛成している事から、様々な点でオール沖縄に亀
裂が入っていて、それが顕在化したとの見方をする向きは少なくありません」

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/478485

さて、山路さんも指摘されていますが、県総務部長の「担当部署ではないから倫理規定違反には当たらない」などというとぼけた答弁は知事をヒラメのように忖度したもので許せません。
こんなスチャラカ答弁をしたら、かえって油に火を注ぐようなものだとわからないのでしょうか。
それを報じる沖タイ(10月10日)です。

「玉城デニー知事が「万国津梁会議」の支援業務を受託した業者側と会食をしていた問題を巡り、金城弘昌総務部長は9日、県議会会派の沖縄・自民(島袋大代表)が求めていた県職員への聞き取り調査の結果を回答した。人事課は知事公室の職員が同席していたことに「職員倫理規程の違反行為には当たらない」との見解を示した」

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https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191007-004806...

総務部長、なにを言っているのですか。担当部署じゃなかったから職務規定違反じゃなかった、ですって。馬鹿か。
そもそも今問題となるのは、県職員の職務規定ウンヌンなんてせせこましいことじゃありません。

知事の側近である徳山りま女史が企画したのが万国津梁会議でしたが、それを受託したのがその関係者だったのです。
しかも応募したのは一社、競争なしで落札。その会社は公募の少し前に県外から移転したばかりのペーパーカンパニー。
まさに典型的な談合の構造です。
その疑惑を上書きするように、知事はこの側近や受託業者と契約日前夜に祝宴を開いていたのです。

デニー知事は「知らなかった」と記者会見でいい、それと口裏を合わせるようにして総務部長も「契約日前夜であったことを知事に教えていなかった」などと見え透いたことを言っています。
馬鹿いいなさんな。ありえません。

あの酒席には、側近でこの疑惑の中心人物であるこの徳森女史自身が顔を出していたのですよ。
徳森女史は言わずと知れたデニー知事の最側近。受託業者の鈴木理恵氏とは同じNDの理事仲間の間柄です。
ND(外交イニシャチブ)は提言集団という装いをしていますが、実態はいまや政治団体です。
つまりはなんのことはない、同じ政治団体関係者間で3400万の公金をころがしていたわけです。
それをデニー知事が知らないわけはありません。

その鈴木氏が新規開設した法人名からして「万国津梁会議設置等支援業務スタートチーム」ですから、まるで公職名のようです。
これを見ただけで、初めから「スタートチーム」に納まる予定で設置された法人だとわかります。

官庁の公募にはいくつか種類がありますが、今回は官庁調達関連ですので、会計法第29条の3第1項に基づいて一般競争入札だと思われます。
この公募を県外者が知ることは至難です。
県の官報をしょっちゅう閲覧している県外者なんてそうざらにいませんからね。
ですから事前に公募があるということを何らかの方法で選考側関係者から聞いたとかんがえるのが自然です。
推測ですが、徳森女史あたりから、鈴木氏に「あなたのところに落したいんで、県事業だからいちおう公募書類を出しておいてね」、なんて言われてやったことでしょう。

この受託した団体は県内ではなく、徳森女史と同じNDの理事をしている鈴木理恵氏がやっている山形の「子ども被災者支援基金」という名称の法人で、とうぜんのことながら県内活動実績はゼロでした。
登録されたのは公募の2カ月前ですから、受託団体が県内の活動してこの公募を知って応じたのではなく、逆に公募を知って県事務所を作ったのです。
ちなみに徳森女史はこの鈴木氏が作った山形の基金の沖縄代表もしています。
鈴木氏は徳森女史の沖縄事務所に同居し、一方徳山側は鈴木氏の団体の理事も勤めるというわけで、まるで金太郎飴です。、
とうぜんのこととして、この鈴木氏の沖縄事務所は活動しておらず、ただのトンネル会社の疑いが濃厚です。

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/479607

整理しておきましょう。
徳森氏は、デニー知事の選挙戦において、番外扱いで名も出なかったデニー氏に着目し、革新陣営の候補者選考に押し込んだ立役者でした。
当時、翁長氏の急死によって後継候補を自力で立てることができなくなっていた反基地陣営は、この徳森女史のデニー案に飛びつきました。
デニー氏は選挙にも強いし、タレントとしての知名度もある明るいキャラで、翁長氏のように何を考えているかわからない人物と違って、神輿となんとかはかるいほうがいい、という選択でした。
そこで軽いデニー氏に箔をつけるために考えたのが、あの怪しさムンムンの「翁長遺言」でした。
今となると、ありゃフェークでしょうな。

ここで徳森女史が県政に登場することになります。
女史は知事就任以後も、トークキャラバンやフジロックフェスなどの若者向きの企画を作り続けました。
徳森女史はいままでも市民運動家でしたが、ここで初めて県の権力と結びつき、そのカネを動かすことを覚えます。

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沖縄タイムス

彼女の関わったトークキャラバンには県の公金が1043万を支出されています。
今、問題となっている
万国津梁会議も企画段階から立ち上げたメンバーであって、実質この企画の責任者の役割をしていました。
ここにも2400万の公金が県から出され、ND関係者は都合3400万を得ています。

徳森女史はとうぜんのこととしてこの万国会議の事務方として、スタッフ公募があるこを知り得る立場でした。
女史がその立場を利用して、公募情報を鈴木氏に事前に教えたと思われます。
それはNDの「同志」だったからです。
だとすると、これは
関係者による利益誘導、ないしは談合と呼ばれてしまいます。

県が運動家とかかわることは違法ではありません。
行政ができないこともあり、逆に運動サイドができないこともあるからです。
しかし県のカネに関わることには一線を画さねばなりません。
タクスペイヤーたる県民に対して、常に説明で可能な透明性が要求されるからです。

今回のように特定の政治団体の関係者で公金をやりとりするようなやり方は、談合ではないかという批判を受けて当然です。
ましてや契約前夜に「酒宴」を開いては、談合疑惑を自分で証明しているようなものでシャレにもなりません。

このような疑惑を晴らす説明義務がデニー知事と徳森氏にはあります。

 

※  大幅に加筆して改題しました。すいません。

 

2019年10月10日 (木)

デニー知事、尻尾を出す

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デニー知事は就任以来、なにもしていません。元タレントだけあってなにかと笑顔をふりまくのはいいのですが、なにかしたのかと言われれば、実効性のあることをこつこつ積み上げるというよりも、彼の取り巻きたちとの間で楽しく遊んでいるとしかみえない風情です。

たとえば全国キャラバンです。
「We love OKINAWA デニー知事キック・オフシンポジウム~沖縄の声を聞き、皆で考えてみませんか?~」と、従来の左翼陣営なら移転阻止総決起集会なんて昭和の香りでいくところを、なんか今風にやりたいという気分だけは伝わってきますが、なんのことはないただのトークショーにすぎません。

宜野湾くれない丸さんも書いておられましたが、定員の規模が東京ですら100名ていどと小規模な上に、何をしたいのか趣旨が見えてきません。
実のある
反対運動の拡大につなげるというより、オレ、やってますからというアリバイ作りの臭いが濃厚です。
関連記事「宜野湾くれない丸氏寄稿 デニー知事のキック・オフシンポジウム」
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2019/07/post-2fe652.html

余計なお世話ですが、こんな出張トークショーなんてしている間に、どんどんと埋立は進み、既成事実は積み重なっていくわけです。
仮に政府がここで工事を止めたとしても、原状回復には膨大なコストがかかってしまうのに、今更「キックオフ」してどうするんですか。
要はデニーさんには本気で止める気はないし、止める能力も元々なかった、ということです。
ちなみに
このキャラバンはデニー氏の自腹でやったなら文句はいえないのですが、県の支援事業として1000万が支出されています。

そんなデニーさんを動かしているのは本土のND(新外交イニシアチブ)と名乗る集団です。
このNDは猿田佐世氏という女性弁護士が率いるヒダリ方向の人たちが集まった団体です。

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上のNDのHPを見ると、評議員として鳥越俊太郎氏、山口二郎氏と並んだだけでそうとうにゲンナリしますが、それに沖縄からは元沖タイの論説委員だった屋良朝博と後述する市民運動家の徳森りえ氏と鈴木理恵も評議員に並んでいます。
そしてスタッフとして、ハンガーストライキをした「辺野古県民投票の会」代表の元山仁士郎氏が加われば、この団体が目指す方向は特に説明の必要はないでしょう。

このNDの代表の猿田氏は、2018年に鳩山由紀夫元首相や枝野幸男立憲民主党代表の訪米を企画・同行した」と記しているのですが、同じように昨年11月の玉城知事の初訪米にも同じ役割を果たしたとみられています。
また
NDはデニー知事の訪米のみならず、 「駐米沖縄大使館」の設置にも関わっていて、ワシントンでのロビー活動に助言を与えています。
就任直後からデニー氏の影には猿田氏とNDが見え隠れしているわけです。

いやそもそも元々革新知事候補として番外扱いだったデニー氏を、いきなり本命に引き上げたのが、NDの創設期からの理事だった市民運動家・徳森りま氏です。

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徳森りま氏

徳森氏は朝日の「論座」でこのように述べています。

「大学院を修了後、「島ぐるみ会議」という沖縄の市民団体に事務局スタッフとして関わり、名護市・辺野古へ座り込みに行く市民らの支援や、故・翁長雄志前県知事が国連人権理事会へ参加した際の随行サポートを行った。
機動隊に力づくで市民が排除されていく抗議活動の現場に毎日通い、21世紀の日本で起きている国家的暴力を目の当たりにした」
https://webronza.asahi.com/journalism/articles/2019061800003.html?page=2

そして左翼政党間の揉め事で候補者が決まらない革新陣営にしびれを切らして、候補にも登っていなかったデニー氏を「市民候補」として担ぎ上げようと元山氏らと動きます。

「翁長知事が亡くなって数日が過ぎた後も、知事選の候補者選考は一向にまとまらず県民は気を揉んでいた。そうした中、「辺野古」県民投票の会代表の元山仁士郎さんやSEALDs RYUKYUで活動していた後輩から、一緒に会って話をしたいと声をかけられた。
実は、2018年春に翁長知事のがんが明らかになった時に、市民の間では後継者候補として当時衆議院議員だった玉城デニー氏の名前がささやかれていた。しかし、政党や組織からなる「調整会議」の人選関係者の間で彼の名前が議論されることはなかった。そのことが頭の片隅にあった私は、集まりの中で事情を話してみた」(徳森前掲)

つまり、デニー氏を見つけ出したのは、彼ら徳森氏や元山氏などのNDがらみの人たちやSEALDs RYUKYUの人たちであって、翁長氏の「遺言」ではなかったようです。
現在、
この徳森氏は就任した後も、デニー氏の「私設秘書」とよばれるほどの側近となっています。

このNDが企画したのが、今問題となっている「万国津梁(ばんこくしんりょう)会議」でした。
ここに県の受託事業として本年度予算から約2400万円が計上されています。

彼らの企画が政治的に実効性があるかと問われれば、たぶんに気分的なフワフワした綿菓子のようなものでしょう。
たとえばトークキャラバンはデニー知事の本業のDJの延長でしかありませんし、フジロックフェスへの登場など売名行為の匂いすらあります。
皆、いわゆる市民運動にいる若者が思いつきそうな安易な企画ばかりでした。
この流れから、実際にはシンポジウムくらいしかやることのない
万国津梁会議がでてきます。

デニー県政からNDに対して1043万の委託契約が結ばれており、さらに彼らが企画した万国津梁会議には2400万円もの公金が支出されています。

どうやらデニー知事や徳森氏にはわかっていないようですが、市民運動と県政とは一線を画さねばなりません。
徳森氏や元山氏といった運動家が、何を考えてどう活動しようがまったく自由です。
ただし、その活動に県を関わらせて、そこに県の公金を支出させるとなると違う次元となります。
つまり、ただの玉城デニー氏個人と徳森氏とのプライベートな関係ではなく、予算を要求した時点から県と受託事業者との関係に変容しているわけです。

県は4月に万国津梁会議のスタッフを公募し、1カ月後に締め切ったのですが、初めから出来レースで1社しか名乗りを上げず、それも県外で活動してこの1月に沖縄に事務所を開設したばかりの鈴木理恵氏を代表とする団体でした。
この団体には実態がなく、トンネル会社の疑いがもたれています。
この鈴木氏の団体は初めから万国津梁会議開設でスタッフを募集すること知って県外から来訪し、これに応募したことは明らかです。
想像をたくましくするまでもなく、公募に対して1社しか応募していないのでは、徳森氏らデニー知事の側近の誰かから事前に公募情報を漏らされたからとしかかんがえようがありません。
なんのことはない、これではただの出切れレース。やらせ、県政の私物化です。

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上の写真は県職員のフェースブックからのものですが、知事の右横にいる「受託業者」と書いてある人物が徳森氏です。
元来が万国津梁会議は初めから徳森氏らNDが持ち込んだ企画で、さらには自分たちで運営を牛耳るために鈴木氏らスタッフ要員までも引き込んだのだと思われます。
呆れたことには、この鈴木氏の沖縄事務所とNDの沖縄事務所の住所は一緒です。

つまり、デニー知事を作ったのはこのNDと名乗る政治団体で、就任以後はトークキャラバンやフジロックフェス出演を企画し、さらには万国津梁会議の企画を持ち込み、スタッフも独占したわけで、それにデニー県政は税金をつぎ込んでいるわけです。
だとするならば、一政治団体に対して県から都合3400万もの公金が流れた事になります。
これでは特定政治団体に対する地方自治体の支援と批判されてもいたしかたありません。
自分を知事にしてくれたNDに対する「デニーの恩返し」なのでしょうか。

県政は公金支出がからむ事業者に対して、必要以上の便宜を計ってはならないのはあたりまえで、今回のことは県政の私物化以外の何者でもありません。
それを象徴するが、上の写真の「接待」風景です。
県知事が契約日前夜に自分の息のかかった受託業者からこんな
「接待」を受けてしまっては、まさに官業癒着の構図そのものです。
デニー氏側は契約の前夜だと知らなかったと言っていますが、自分の最側近の徳森氏が同席しており、彼女がこの万国津梁会議プランの実際の責任者であるのに、そんなわきゃありませんって。

デニー知事はNDとの関係を県民に明らかにし、1043万もの税金が何に使われたのか、今後2400万が何に使途されるのか、そして契約前日に彼らと祝杯を上げていた理由を県民に明確に説明すべきです。

 

 

2019年4月 6日 (土)

岩屋毅防衛相、愚行を演ず

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岩屋大臣が困った決定をしてくれました。

まずはそれを報じる毎日です。

「先月26日に新設された陸上自衛隊宮古島駐屯地(沖縄県宮古島市)に、事前に地元への具体的な説明がなかった多目的誘導弾や迫撃砲弾が搬入されていたことが判明した。岩屋毅防衛相は2日の記者会見で「説明が不十分だった。おわび申し上げたい」と謝罪し、弾薬を一時的に島外に搬出する考えを示した。
 宮古島では島中央部のゴルフ場跡地に駐屯地が設けられ、警備部隊が配備された。島東部の保良(ぼら)地区に弾薬庫や射場を整備した上で地対艦、対空ミサイル部隊も配備する計画になっている。
 防衛省は駐屯地について「警備に必要な小銃弾や発煙弾などを保管する」としか住民に説明していなかった。しかし、実際には対小型船舶や対戦車用のミサイルである中距離多目的誘導弾や迫撃砲弾も配備されたことが地元紙の報道などで判明。住民から反発の声が上がっていた。
 防衛省幹部は「『など』の中に警備部隊の通常装備である多目的誘導弾なども含まれると考えていたが、明示的には説明していなかった」と釈明。誘導弾や迫撃砲弾は、島東部の弾薬庫が整備された後に改めて島内に搬入し、地対艦、対空ミサイルと合わせて保管するという」(毎日4月3日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190403-00000000-mai-soci

この毎日の記事では、防衛省が住民を騙して中距離多目的誘導弾や迫撃砲弾を配備したことが問題だといわんばかりです
おそらくこの「住民」とは、いわゆる「市民団体」と称する反基地派の運動団体だと容易に想像がつきます。

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琉球弧の軍事基地化に反対するネットワーク より引用
http://ryukyuheiwa.blog.fc2.com/

ちなみにこの「保管庫は弾薬庫だった」と大騒ぎを演じたのは、反対運動サイトによればあの東京新聞の望月イソコ女史だそうです。
本土紙の「衝撃の暴露」を受けて沖縄地元紙が騒ぎ、運動団体が抗議し、それをまた本土メディアが「地元怒りの声」と報じるというループ構造です。
オスプレイの時も同じ構造でした。

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                             上写真と同じサイトより引用

「明示的に説明を受けていない」というのは、言いがかりに等しいもので、そもそもこの陸自の宮古駐屯地の設置目的は地対艦・地対空ミサイルの基地であることは再三再四に渡って政府から「明示」されていたはずです。
その設置目的のミサイルを搬入することが、「明示されていないから」といって騒ぐほうの神経のほうがおかしいのです。

これではたとえば航空基地に航空機を搬入したら「明示」項目になかったからといって騒ぐようなものです。
対艦ミサイル基地にミサイルが貯蔵されるのはあたりまえすぎて常識以前のことです。
だから自衛隊が「など」としたのはあたり前で、整備用スパナ何個、脚立何個とまで書き出せばコノヒトたちは満足するのでしょうか。
いや、満足しません。なぜならこの団体は自衛隊駐屯地の設置に、いや自衛隊そのものに反対だからです。

こういう言いがかりがあたりまえに通って、抗議さえすれば自分たちの目的を国に強制できるとわかってしまったのですから、やがて国はトラブル回避のために情報を開示しなくなるかもしれません。

このような団体がこんなことを言うのは平常運転で、自衛隊や米軍が何をしようと必ずディスりにきます。
今回問題にしたいのは、むしろそれに対応した岩屋大臣の側です。
岩屋大臣はこともあろうに、駐屯地と弾薬庫を別に設置すると言い出しました。軍事的うんぬんというより、非常識もいいところです。

結果、このような馬鹿げたことになりました。

「防衛省は今後、島内で駐屯地とは別の場所に、今年度末にも配備される地対空・地対艦ミサイル部隊の弾薬庫を建設する予定。完成し次第、島外に撤去した迫撃砲などの弾薬も保管する方針だ。ただ、使用する警備部隊との間に距離が生じることから、初動対処の任務に影響が生じることは避けられない。」(産経4月2日)https://www.sankei.com/politics/news/190402/plt1904020029-n1.html

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    岩屋防衛大臣 当該の記者会見とは違います。https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2019/02/05a.ht...

それはそうです、弾薬やミサイルを置かない基地、いざ有事となれば遠くの弾薬庫までミサイルや迫撃砲などの武器を取りにいかねばならない「ミサイル基地」。間違いなく世界で唯一の軍事施設でしょうな。
考えるまでもなく、確実に初動が大幅に遅れることが分かりきっています。あたふたと遠く離れた弾薬庫に肝心のミサイルを取りに言っている間に占領されてしまっているかもしれません。
呆れてものが言えません。さきほどの航空基地でいえは、スクランブルごとに飛行機を遠くの駐機場に取りにいかねばならない航空基地を作ってしまったというわけです。

この岩屋大臣という人は、この宮古島になぜ陸自の駐屯地を設置するのかその目的を分かっていてこんな決定をしたのでしょうか。
分かってやっていたなら防衛大臣として異常、分かっていなかったらただの馬鹿です。

そもそも、この陸自宮古駐屯地は、南西諸島というあまりに長い「防衛の空白」を埋めるためのささやかな一石でした。
この防衛の真空地帯は九州南端から与那国まで続き、その距離は実に本州と同じ距離に及びます。
何度か書いてきていますが、この南西諸島のラインは中国の第1列島線と平行しており、宮古海峡は中国艦隊・空軍の太平洋への出口に当たっています。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-4c8e.html

それは中国軍の動向をみればわかります。すべてが宮古海峡に集中しているのがわかるはずです。
黄色の矢印で示されているのが、中国海軍のメーンルートで、空軍のルートも同様です 

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この間に唯一防衛拠点としてあるのは那覇だけで、それ以外まったく手つかずでした。
これでは政府が沖縄県の防衛を放棄したと批判を受けても頷かざるを得ません。
政府は沖縄の反基地感情を刺激したくないからというだけの理由で、腰が引けた態度を続けていました。

その裏には、米海兵隊が居てくれるさというあなた任せの本心があったからです。
米軍はいつ何どき世界情勢の変化で撤収するかもわからないのに、国民の生命財産を守ることが責務の国としては、あまりにも恥ずかしいかぎりです。
県民はこのことをもっと怒っていいのです。

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産経

さて「ミサイル」と聞いただけで、北朝鮮のノドンなどを連想する人もいるでしょうが、ミサイルの種類が違います。
この宮古駐屯地に配備される対艦ミサイルは、尖閣を含む先島諸島に武装集団が進入した場合に、外国の侵攻軍を載せた侵攻艦艇を迎撃して押し返すためのものです。
いうまでもなく他国を攻撃するためのものでないことは、その射程距離を見ればわかることで、純粋に防衛目的のものです。
このような抑止力を宮古に持つことで、侵略しようとする気持を外国に持たせないことができます。

このような重要な防衛拠点に、その抑止力の中核を担う対艦ミサイルや対空ミサイルを置けないということはありえないことです。
このような地元団体の抗議に対して、十分にその設置目的を説明する能力を持つことが防衛大臣の資質のはずではないでしょうか。

これができないでズルズルとこんな言いがかりに屈してしまうような人物は、防衛大臣としての適格性に欠けます。小野寺氏に替えるべきです。

 

 

 

2019年3月27日 (水)

デニー知事「代替案を出す」と言い出す

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デニー知事が方針転換すると言いだしました。それを報じる朝日です。

「米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐり、沖縄県の玉城デニー知事は、新年度から辺野古移設に代わる案の検討を始める。県政課題に関する諮問会議の中で、政府OBら専門家に協議してもらう。「代替案は政府が考えるもの」としていた前県政の方針を転換する。
 2月の県民投票で辺野古の埋め立て反対が7割を超えたが、安倍政権は辺野古移設に固執し、工事を進め続けている。県幹部は「政府と交渉するための意見をまとめたい」と話す。
玉城知事が4月に立ち上げる諮問会議は「万国津梁(ばんこくしんりょう)会議」。基地問題もテーマで、辺野古移設問題も議論する。県幹部によると、協議内容は米海兵隊の運用や移転先などを想定。議論を進める中で、辺野古移設の代替案を検討する考えだ」(朝日3月27日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190327-00000002-asahi-pol

デニー知事が移設反対派の基本戦略だった、反対は大声で叫ぶが、具体的に普天間基地の移設先は政府が考えるものだという奇妙なタブーを破ったことは、率直に評価します。
この方針転換は何らかの変化の兆しと捉えてよいのか迷うところですが、悪くはないトライアルです。

デニー知事がこの方針転換に踏み切った背景には、自分が主導した県民投票が思惑をはずれてしまったことにあります。
おそらくデニー氏は投票率6割程度を確保し、うち反対票が8割を超えるていどを目指していたと思いますが、如何せん投票率が5割を切りきりかねない危険ラインでした。
税金を1億5千万突っ込み、あれだけ連日テレビをつければうるさいほどの大宣伝、公職選挙法が適用されたなら違反だらけの官製「選挙」をして、このていたらくです。
そしてなんのことはない、さきほど引用した朝日を代表にいくらメディアが県外に対して「反対が7割に達した」とタイコを叩いてみても、県民には反対派の実態が7割どころかわずか37%だとバレてしまいました。

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週刊金曜日最新号表紙

そしてもひとつ県民投票によって白日の下にさらけ出されたのは、反対派の最大の弱点であった「普天間基地をこのままにしておいてよいのか」というメーンテーマについて、県民が認識することになってしまったことです。
これは反対派にとっては大いに痛かったはずです。痛かったので、なおさら「7割の民意」というフェークを強く言うようになっています。

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沖縄タイムス2016年12月12日

というのは、移設反対派は普天間移設と辺野古移設を切断して、まるで別個な問題であるかのように見せかけるのが基本戦略だったからです。
もちろん別な問題どころか、普天間基地の行く先を決めるためにSACO(日米特別行動委員会)が設けられたのですし、名護市が受け入れに当たって徹底して地元自治体や関係業者の意見を取り入れて辺野古移設現行案が決まったわけです。

よく強権的に海を埋め立てているという人がいますが、とんでもない。腰が引けた政府が沖縄をまるで腫れ物に触るように扱った結果、20年間も空費してしまっただけのことです。
これは普天間基地が確保されていて十全に機能しているから、ことさら動きたくはないという海兵隊の思惑にも合致していました。
政府は腰が引け、海兵隊の本音も動きたくない、だから国策でありながら20年以上も引っ張ったのです。

このような経過を一切無視して、「普天間は危険だから移設しろ」という要求と、本来はそれと切り離すことができないはずの「辺野古移設にも反対」、その上に「代替案は政府が考えろ」では話にならないではありませんか。
これでは事実上、普天間移設についての国と県が真面目に協議をしないと言っているに等しいのです。

しかし皮肉にも、切り札として出したはずの県民投票において、賛成反対の2択に絞ってしまったことによって、移設反対派が実は何を隠して来たのか、どうして隠したいのかを暴露してしまう結果になってしまいました。

このまま県が代替案すら拒んだまま推移すると、政府は「これでは移設が浮遊してしまう」(岩屋防衛相)というしごく当然の理由で埋立を続行することになります。
あるいは県の主張を取り入れるならば、普天間基地移設は白紙化されて終了となります。
どちらも地獄だ、ということにやっとデニー知事は気がついたのかもしれません。

憶測ですが、官邸サイドは頻繁にデニー知事と面談することによって、反対のための反対なら膠着したままで工事を続行するしかありませんが、具体的協議ならば歓迎しますよ、というシグナルを伝えたと思われます。
とまれ、移設反対派の知事から公式に「代替案」がでてくるということは、なんらかのたたき台が登場するということですから、反対のための反対よりは百倍はましです。

ただし、哀しくや彼ら移設反対派の陣営内でまとまらないでしょうね。
まず移設反対派は県内代替案は完全拒否のはずだからです。あらゆる県内候補はSACOで検討しつくされて却下されてきています。
あえて言えば、ハンセン陸上案(小川案)や勝連沖合案(エルドリッヂ案)、あるいは嘉手納統合案などがあることはありますが、県内案であるかぎりオール沖縄に拒否されてお終いです。

ま、残念ながら無理でしょう。

仮に万国津梁会議とやらでこのような県内代替案が出たとしても、カリスマ性からほど遠いデニー氏が一本にまとめきれるとは思えません。
故翁長氏はそれがわかっていたからこそ、得意の腹芸を封印し、一貫して代替案を口にしなかったのです。

となると現時点で唯一の具体的代替案らしきものは、小川和久氏をして「情報格差」とまでいわしめた前泊博盛氏の長崎県案ていどしかなくなります。
これは既に本土ではとっくに相手にされなくなっているレトロな軍事知識の産物にすぎません。
こんな浅薄な案がもっともらしく通用するのは県内だけで、政府は軽く一蹴するでしょう。

とまれ、結果まで考えるとどうしても悲観的にならざるをえないのですが、デニー知事にいささかの合理的思考が残っていたことは嬉しい限りです。

 

 

2019年3月25日 (月)

デニー知事が蒸し返した一国二制度

 


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さほどの皮肉でもなく、この人面白いですね。いやなにデニー知事のことてす。慎重に一線を超えなかった故翁長氏とはえらい違いです。

応援団の朝日新聞系だという気安さから、デニー知事はアエラ(3月5日)で、おいおい知事の立場でこんなこと言っていいのかと心配するくらい軽快にしゃべりまくっています。
https://dot.asahi.com/aera/2019030400061.html?page=1



「多くの県民が望むのは、政府から『これだけの財源と権限で沖縄の行政をしっかりやって下さい』と任される一国二制度です。沖縄の地理的優位性を生かして、アジアに向けた日本の玄関口、日本の中のアジアのフロントランナーとしての位置づけを明確にしたい」
 中国からも東南アジアからも近い沖縄を経済や文化交流の中心にする──。玉城知事はさらに続ける。
「例えば沖縄にいる自衛隊が、アジア各地の災害に真っ先に駆けつけるという存在になれば、諸外国から信頼と安心感を持って受け止められるでしょう。独特な歴史、文化、地理的特性をもっている沖縄だからこそ、一国二制度に移行すれば日本にとっても沖縄にとっても将来展望がより広がると思います」(アエラ3月5日)


なんだデニーさん、やっぱり一国二制度を言っているじゃありませんか(苦笑)。


「玉城氏が今年(2018年)5月の衆院内閣委員会で、安倍晋三首相に質疑を行った際の一場面だ。玉城氏は次の言葉で質問を締めくくった。 「最後に総理に要望を申しつけたいと思います。
沖縄を『一国二制度』にして関税をゼロにし、消費税をゼロにする。そのぐらい大胆な沖縄の将来を見越したそういう提案もぜひ行っていただきたい」(ZAKZAK有本香2018年9月28日)https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180928/soc1809280011-n1.html


選挙戦時には、デニー陣営は必死にこれを打ち消していて、デマだとまで言っていましたが、国会議事録にも乗っているようですし、知事になって口が軽くなったのか、アエラでやらかしてしまいました。

選挙戦の時は、アレもデマ、コレもデマと決めつけていましたが、知事になったとたんこれですから脇が甘いことです。

まぁ口の軽さが彼の「魅力」でもあり、反面命とりにもなるような気がします。

「一国二制度」を定義すればこのようなことです。

 


一国の中に、政治制度・経済制度の 根本的に異なる地域が複数ある状態」 、
日本に引きつければ

日本国の主権下にありながら、政治制度と経済的独立を持つ一定「領土」と「国民」を持つ沖縄地域

この一国二制度自体は、とりたてて新しい思いつきではありません。それどころか1997年に香港が中国に施政権が委譲されて以来、さんざん中国政府のいいように使われていた陳腐なプランでしかありません。

今どき、世界でもこんなシロモノをさも新しげに引っ張りだすのは、デニー氏くらいなものです。

 


「国際関係及び軍事防御以外の全ての事柄において高度な自治権を有することを規定している。なおこの自治権は中国中央指導部の委任・承認に基づき地方を運営する権限であり、完全な自治権、地方分権的なものではないとされる(2014年6月10日中国国務院白書)」Wikipedia香港

 


内実は「高度の自治」どころか、中国共産党が香港の完全支配を完了するまでの眼くらましとして考えられたプランにすぎません。

 


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雨傘革命  http://com21.jp/archives/21988

雨傘運動は、中国政府による香港市民の政治的自由を制限しようとする抗議行動として始まりました。その期間は実に2014年9月から79日間も続き、その間の逮捕者は、955人に達しました。また事後逮捕も、指導的人物らが48人が逮捕されています。


立法議会への立候補者は、中国共産党の実質的支配下にある香港行政府が事前審査し、立候補資格を決定します。

ですから、中国政府の対香港政策を批判したりするような言辞をする候補は、そもそも選挙にすら出馬できません。

 


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立候補を認めないとする選管の通知書を手にする民主派候補https://withnews.jp/article/f0181220000qq000000000...



ある女性候補は「香港の将来の政治体制は独立を含めて香港人が決める」という立場をとっていました。これは自分たちが将来を決める立場なことからから「自決」と呼ばれ、香港の若者の間では多くの支持を得ています。


「香港の選管は10月中旬、劉さんの立候補を認めないという決定をしました。「劉さんは香港独立を選択肢の一つにしており、香港は中国の一部という規定を受け入れていない」と判断したからです。劉さん自身は立候補の直前、香港独立を支持しないと明言しましたが、それでも過去の主張が問題視されました」(益満雄一郎2018年12月20日)

 


これは一般的に日本人が考えてしまうような親中派か反中派かというレベルの問題ではなく、民主主義の根幹である自由選挙制度を守るか否かの戦いでした。

このような香港での一国二制度の現実を知ってか知らずか、こんな制度を日本に導入しろ、というのがデニー知事の提案のようです。日頃「沖縄の自決権」とか「琉球独立」などと言っている人たちが、この中国発祥の制度のシンパサイザーであることは皮肉です。


 


いや待てよ、デニー知事はこうも言っているではないかという声も聞こえます。

「一方で、日本からの独立は全く頭にないという。「我々はウチナーンチュであると同時に、日本人なのです」(アエラ前掲)


デニーさん、あたりまえのことをもったいぶって言いなさんな。沖縄県民が日本人でなければ、いったいなんなのです。

なるほど、デニー知事が提唱する一国二制度の受け皿は、現在は日本国である以上、中国と違って民主的諸権利は確保されています。

したがって、デニー氏はこう言いたいようです。

「本土の皆さんが危惧するような琉球独立は考えていませんよ。沖縄全県を特別区にしてほしいだけです、その手始めに消費税の免除なんかいかがでしょうか」と聞こえるようにしゃべっています。

ほんとうにそうでしょうか?

お米の炊き方ではありませんが、初めチョロチョロ、中パッパ、赤子泣いても蓋とるなではありませんが、初めは消費税減免程度で本土政府の顔色をうかがって、しばらくすれば法外な要求をすることになるのは目に見えています。

というのは、現時点でのデニー知事の一国二制度には原型があるからです。かつての民主党が政権交代直前に出した、2008年「民主党・沖縄ビジョン」がデニー氏の元ネタです。

この「沖縄ビジョン」には、当時民主党沖縄県連の有力国会議員だったデニー氏が強く関与していました。

そこには、狭い地域一都市ではなく、一県丸ごと自由化特区にするということが書き込まれています。

そしてアジア情勢とは無関係に、米軍基地を一方的縮小することを提唱しています。

今回、デニー氏はこんなことを言っています。


 


「例えば沖縄にいる自衛隊が、アジア各地の災害に真っ先に駆けつけるという存在になれば、諸外国から信頼と安心感を持って受け止められるでしょう。独特な歴史、文化、地理的特性をもっている沖縄だからこそ、一国二制度に移行すれば日本にとっても沖縄にとっても将来展望がより広がると思います」」(アエラ前掲)

 



やれやれ、こんなていどの安全保障の理解度で国会議員やっていたのですからね。真面目に対応するのがばかばかしくなります。

自衛隊が沖縄に配備されている一義的目的は、沖縄の安全保障を守ることにあります。

アジアの災害に真っ先に駆けつけることは、自衛隊に余裕がある状況における付帯任務でしかありません。

そもそも海外の災害派遣といっても沖縄の部隊が対応するという決めはなく、全国でそれに適した部隊が命じられます。たとえば輸送には小牧のC130部隊、捜索・復旧には各旅団の施設科中隊が送られることになるでしょう。

しかしそれもあくまでも国防が主であって、救援隊は従です。

デニー氏が言う「諸外国からの信頼と安心感」は、災害援助をして初めて得られるのではなく、アジアの安全保障環境の一角を担って安定させているからこそ得られるのです。

そんなことは、沖縄の隣の島国の台湾やフィリピンに行けばすぐにわかることです。

これでわかるようにデニー氏は、自衛隊という国防組織を、国の安全保障をアジアの視野で捉えておらず、「大戦中に悪行を働いた日本が、自衛隊を災害派遣することで贖罪できる」とでも考えているようです。

このような安全保障に対する幼稚な考え方は、野党に共通のものですが、共産党の自衛隊違憲解体論と五十歩百歩です。

それはさておき、民主党沖縄ビジョンは、米軍基地の一方的縮小や移民の大量導入、外国人参政権付与、ビザの免除による東アジアとの人的交流の促進、中国語の学習の活発化などをうたっています。

デニー氏は「アジアに向けた日本の玄関口」という言い方をしますが、ここで想定しているのはもちろん中国です。 沖縄ビジョンでは中国から大量の移民に門戸開放すると書かれています。

沖縄の人口は約130万人。しかも大量の失業者、半失業者がいるこの狭い島に中国を中心として年間3000万人受け入れようというのですから、正気の沙汰ではありません。

民主党政権時に、この一国二制度が実施されていたら、現況で7千人から1万人以上と言われる中国人居住者はその数十倍に膨れ上がり、この狭い島は事実上「中国人の島」と化していたことでしょう。

そして民主党は同時に外国人参政権を推進しようとしていました。デニー氏はこの推進派のひとりでした。

沖縄ビジョンが実体化して大量移民が実現してしまい、さらにはその移民に参政権が与えられた場合、米国に実例があるように中国人は自らの議員を各級議会に送り出し、さらには知事の椅子に座らせたことになったかもしれません。

言い換えれば、かつての民主党沖縄ビジョンは、中国人による沖縄乗っ取り推進案とでも言うべき性格をもっていたわけです。

民主党が3年半で政権から転がり落ちたことは、沖縄にとってまことに幸いでした。

と思っていたら、デニー知事がまたぞろ民主党沖縄ビジョンの亡霊を蘇らせようと言い出したのですから、まったくやれやれです。

 


この一国二制度もまた、政府が呑む可能性はゼロです。

しかしかデニー氏個人がいかに自分は「日本人だ」と考えていても、ひとたびこのような制度的枠組みを作ってしまえば、枠組み自体は残ります。

その場合、県条例がそのまま沖縄県の内政そのものとなるような「高度の自治権」の前段階に到達することになります。

今までどおり財政基盤は本土政府にべったり依存しながら、好き放題の「内政」をすることが可能なのですから、こたえられません。

たとえば、アイヌ新法をより過激化させた沖縄民族先住民法などを県条例で作って施行することも、県民直接投票を現状のように法的裏付けをもたない形から、行政化できるような法改正も自由自在に出来るようになります。

本来の一国二制度は、国防と外交は国の専管事項で県は関与出来ない建前ですが、現状でも米国との安保協議に沖縄を加えろと言ってみたり、在米沖縄大使館まで作ってしまっているていたらくですから、なにをかいわんやです。

ただし、カネだけは今までどおりに出せよ、というのですからそのダブスタぶりには呆れます。

世界で独立を目指す地域はスコットランドやカタルーニャ、あるいはクルドにしても、しっかりした経済基盤を持った地域です。

だから中央政府から独立しようと望むのであって、経済的自立にほど遠い沖縄が独立国の夢を見てどうするのかと思います。

こんなハンパな「独立国」は、やがて中国圏へと急速に引き込まれ、日本ではなく中国による一国二制度の支配に置かれるようになることでしょう。

現状では、例によってデニー知事の一国二制度案は机上の空論にすぎません。

いや机上ですらありません。県政与党の議論のテーブルにすら登っていないからです。

私たちとしては、この愚論がどのように県政与党に受け止められていくのか、慎重に観察するとにいたしましょう。

               

2019年3月23日 (土)

デニー知事の乱れ撃ち

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どうもこの人物は考えが足りないようです。
着々と進む移設事業に対して、数撃ちゃ当たるとでも思っているのか、ともかく練れていないから困ります。 パッと作って思い立ったらすぐに口にして、それをいきなり政府に向かって生煮えのまま投げつけてくるという按配で、このあたりは前任者の故翁長氏がやるやるといっていっかな腰を上げなかったこととは大違いです。
たとえば山路さんもふれておられましたが、県が上告を断念する代わりに、国は工事を一時中断しろというものです。
「玉城デニー沖縄県知事は19日に官邸で行われた安倍晋三首相との会談で、上告中の辺野古海域の岩礁破砕を巡る訴訟を取り下げる考えを伝えた。辺野古新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問うた県民投票で示された反対の民意を背に、異例の頻度ともいえる今月2回目となった会談で、まずは県側から“譲歩”のカードを出した。同時に工事をいったん中止するよう安倍首相に再考を迫ったが明確な回答はなく、土砂投入が止まるのかは不透明なままだ」(琉球新報3月20日)https://ryukyushimpo.jp/news/entry-891153.html
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                     日刊ゲンダイ
思わずこのご仁どうかしちゃったんじゃないと思いました。こんな提案が、政府と県政の双方から拒否されるのはわかりきったことです。
政府は最高裁判決という動かない判例の裏付けに基づいて、県がいくら乱訴しようとことごとく勝利して当然だと思っています。
多少心配が残るとすれば、主文で国の言い分を認めた後に、裁判官の見解としておかしな妥協案を添付してくることくらいでしょうか。
負ける可能性が限りなくゼロの裁判沙汰に、工事中断という代償を支払う必要などありえない以上、岩屋防衛大臣はにべもなくこう述べています。
「この問題が仮に再び漂流するということになれば、普天間飛行場は間違いなく固定化する」と答弁した。行き着く先が辺野古移設か普天間固定化しかないとの考えを色濃くにじませた」(琉新前掲)
岩屋さんはいい得て妙です。まさに「漂流することになれば普天間基地は固定化される」のです。政府が妥協する余地は、候補地が決まる時点でとっくに終了しています。
せいぜいが故翁長氏との「和解」期間だけが、あるいはひょっとしてと思わせる最後のチャンスでした。
それも県側の新たな現実的提案があってのことです。
一方県政与党、つまり共産党などはふざけるなといたくお怒りのようです。
「これに対するする事前通告がなかったことに不信感を募らせた与党3会派の代表者らは19日夕、謝花喜一郎副知事を呼んで経緯の説明を求めた。謝花副知事は「昨年から弁護士と協議し、知事も上告を取り下げた方が良いと考えていた」と明かしたが、与党幹部は「我々の後ろには県民の闘いがあり、世論があり、選挙がある。重大なことを、なぜ相談しないのか」と反発した」(琉新前掲)
まぁ「我らの後ろには世論がある」といっても、たかだか県民投票の反対票37%程度ですがね。
それはともかくこの怒りももっともで、誰がタレント政治家でしかないデニー氏を知事の椅子に座らせたんだ、オレらではないか、その恩人に一言の相談もなく、こんな大事を政府に提案するのか、バカヤロー、と言ったところです。
県政与党としては、思いどおりに動いてくれずに、余計なことばかりするこのパペットに苛立ちを隠せないようです。
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      デニー知事と謝花副知事  時事
政府はデニー知事の意図を見抜いています。それはデニー側の政治的意図が、「話あいを求める沖縄県vs話あいに応ぜず工事を強行する政府」という構図を作りたいのだと見破っています。
琉新も分かっているのか、デニー知事の意図を政府関係者の口を借りて妙に突き放して伝えています。
「首相が対話に応じないことを目立たせるカードとして使った方が有効だと判断したんだろう」(琉球新前掲)
まぁそのとおりで、首相はまめにデニー知事との面談に応じることで沖縄県との対話の扉はいつでも開かれていますが、できないことはできませんよ、と言っているだけのことです。
その上で、政治の素人同然のデニー氏が、県政与党陣営から愛想を尽かされて、やがてじんわりと旧オール沖縄陣営から浮き上がるのを待っているように思われます。
あまりそうは思われていなようですが、安倍氏は本質的に「待ち」の政治家です。
とくになにかを仕掛けるではなく、淡々と決められたことをこなしながら、当たりよくデニー知事と対応しつつ、なんの理念も展望もないデニー知事をオール沖縄陣営から引きはがそうとしているようにも見えます。
ただし、当人も自覚できないほど時間をかけてゆっくりとですが。
それはさておき、同時期にデニー知事はこんな提案もしています。
SACOの焼き直しに沖縄県を加えたSACWO(SACO With Okinawa)作れということのです。これも、県政与党とどこまて詰めた話なのかはなはだ疑問です。これもおそらくは練れていません。
Sacwo
「沖縄県の玉城デニー知事が提案した協議機関「SACO With Okinawa(SACWO)」。SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)に、沖縄県を加えた話し合いの場として機能する新しい機関として期待される。提案が日米の専門家から支持される中、現政権での設置に懸念の声も出ている」
(アエラ2019年3月13日 図版も同じ)
https://dot.asahi.com/aera/2019031200044.html?page=1
SACO(沖縄に関する特別行動委員会)を押えておきましょう。
「Special Action Committee on Okinawa 沖縄の米軍基地の整理・縮小等を協議した日米両国政府による委員会。1995年設置、1996年12月に最終報告を取りまとめた。沖縄に関する特別行動委員会」(コトバンク)
普天間基地の移設を決めたことでSACOは1996年に最終報告を出して過去の遺物になっていますが、その埃を払って新たに沖縄県を加えた協議会を作れということのようです。
政府がこの案に同意することはありえません。
それは国家の専管事項である国防問題に、県が協議の場に出る事自体がありえないことだからです。仮にハト氏のような人物がこの枠組みに沖縄県を招いたとしても、米国政府と米軍は拒否するでしょう。
このような移設合意の枠組みに地方自治体を参加させることは、必ず混乱を招くが故に悪しき前例にしかならないからです。
そのうえにこれはデニー氏の個人的パーフォーマンス以上でも以下でもないことは、県政与党も分かっています。
1997~2000年に外務省から沖縄県に出向していた山田文比古・東京外国語大学教授は県政与党の胸の内をこう述べています。

「仮に官邸や外務省・防衛省の高官、駐日大使、在日米軍トップなどが加わるハイレベルの協議会設置が実現した場合も、「日米両政府は従来の県内移設という基本方針を変えて臨むとは考えにくい」とし、「下手をすると、沖縄側もその枠内に引き込まれてしまうのでは」と危惧する」(アエラ前掲)
つまりは政府からも県政与党野どちらからも拒否されて、いっそうデニー・謝花コンビは孤立を深めるということになりそうです。
もう一点、デニー知事はアエラで一国二制度も口にしているのですが、これら二つ以上にお菓子系発言なので、別の機会に回します。
                                                            ~~~~~~~~~
■ニフティが完全に復旧していません。時々画面がまったくちがうものになったり、接続ができないことがあります。
スマホ版もおかしなものが続いています。とくに写真ノアスペトク比が異常です。
制作では改行が出来ない状態が続き、そのうえにコピペができないという異常事態が修復されていない状況です。そのためにベタ打ちとなっていますが、ご了承下さい。
だましだましやっているというのが現状ですが、なにとぞご理解のほどを。
■コメントが入らない、スパムとされてしまうという声が多くでています。もうしわけありません。できるだけの努力をしております。

2019年3月21日 (木)

デニー知事恥をかく

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ニフティの事故はやっと落ち着いたようですが、切断は実に60時間近くに及び、PCが復旧した後もスマホ版の復旧は更に遅れるという堂々たる大事故に発展しました。まったくやれんぞな。

ご心配をおかけしましたが、なんとかやっていきます。ただ書き込む画面がまったく別物になってしまったために、馴れるまでけっこう時間を食いそうです。なんせ旧画面は11年使ってきましたからね。(涙)。

さて気を取り直して、書きたいことは溜まっているのですが、昨日デニー知事が首相面会したそうですが、とんだマヌケを演じたことからいきます。 なにをしに行ったのかといえば、もちろんアレです。

「会談で、玉城知事は普天間基地の移設計画への賛否を問う県民投票の結果などを改めて伝え、1か月程度、土砂の投入など工事を中止して協議に応じるよう要請しました。(略)
玉城知事は、国の天然記念物のジュゴン1頭が沖縄本島北部の今帰仁村の沖合で死んでいるのが見つかったことを伝え、安倍総理大臣は「残念だ。これからも折りをみて話し合いをさせてもらいたい」と述べ、引き続き県側との話し合いに応じる考えを示しました」(NHK 2019年3月19日)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190319/k10011853131000.html

いつもの飽きるほど聞いたことで、初めはざっとこのNHKの記事を読んだ時にはスルーしてしまおうかと思ったていどのことです。

ただ、ふたつばかり注目すへきことを言っています。ひとつはお得意のジュゴンです。

そもそもジュゴンは母親とその子が3頭いることはかなり前から知られたことで、今更のことです。

死んだ死んだと言っているようですが、死んだのは母親で、工事地区の工事をしている大浦湾の反対海岸である運天漁港とのことです。泳げば90㎞近くあります。 このジュゴンは古宇利島周辺海域が生息場所でしたから、工事とは無関係だとかんがえるのが常識的判断です。

大浦湾の工事区域は厳重に土砂が外洋に流出しないような遮蔽壁が設けられていて、今までの赤土流れ出したい放題のズサンな沖縄の土木工事とは一線を画しています。

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ジュゴンは長い回遊をする海洋哺乳類で、大浦湾は食物を採取するために立ち寄るルートの一部にすぎません。

突如、過敏な自然保護論者になってしまった今の沖縄県ですが、実のところジュゴンの保護などまったく念頭にありませんでした。

沖縄の海岸線を覆い尽くさんばかりに埋め立てが進行しても、むしろそれを率先していたのが沖縄県だったからです。

あまり知られていないようですが沖縄は毎年膨張し続けています。復帰後の37年間だけで2400ヘクタール、国土地理院によれば埋立面積は既に東京ドーム約500個分だそうです。

これは普天間基地が5個入る面積で、辺野古の埋め立て面積160ヘクタール(護岸を含む)の15倍にも達します。

埋め立て地の県面積に対する率は0.3%(2000年から07年間)となり、ダントツで全国一の埋め立て大好き自治体となっています。

「国土地理院は31日、都道府県の市町村別面積を発表した。沖縄県の面積は2012年10月2日~13年10月1日の1年間で0・08平方キロ増加し、2276・72平方キロだった。公有水面の埋め立てによる増加で、全国で7番目に大きかった。沖縄の埋め立て面積は過去25年で最も小さい。
 国土地理院沖縄支所によると、1年間の増加面積は那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇の約3個分。県内市町村で面積の増加が最も大きいのは竹富町の0・04平方キロ、次いで沖縄市の0・03平方キロ、糸満市の0・01平方キロと続いた。
 県の面積は1988年からの25年間で13・91平方キロ増加し、北谷町とほぼ同じ面積が増加していることになる。」
(2014年2月2日琉球新報)

特に発展が加速した本島南部・中部では埋め立てラッシュが続きました。

 

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          (「沖縄の埋め立てと埋め立て計画-沖縄の渚の現状-)http://www.ne.jp/asahi/awase/save/jp/data/higatagenjyou/index.htm

たとえば、あまり売れていないということで、計画の杜撰さか問題になっていますが、那覇から国道58号線を下ると、ベッドタウンの豊見城には、巨大な豊崎タウンが500億円かけて埋め立て造成されていています。
http://www.toyosakitown.jp/?page_id=17

また中部の沖縄市では、南西諸島随一の天然の海草や貝が育つ泡瀬干潟て゛大型干拓事業が進んでいて、反対運動も起きています。これを主導したのは左派系市長でした。

故翁長氏には知られたくない過去が沢山ありますが、そのひとつが「新基地」建設の推進に伴う大規模埋立工事でした。

自分のお膝元の那覇市にあった米軍の那覇軍港を移設して、お隣の浦添市の牧港補給しょうの沖合を埋め立てて「新基地」を作ってしまおうというプランでした。

29nahaport                     (写真 那覇港湾施設 沖縄県HP) 

実はこの時も辺野古は移設候補地に登場します。

浦添市は猛反発します。まぁ、そりゃそうでしょう。今大きな補給施設がある上に「新基地」が移転されてはたまったもんじゃない、これは当然です。

13makiminatoservicearea                  (写真 牧港補給地区 沖縄県HP)

それに対して政府は、那覇市と浦添市に軍港と補給施設は全面返還することを説明し、代替として新軍港と14ヘクタールの物資集積場を沖合に新たに作ることを提案しました。

既存の地面部分は全面返還して、国道58号の真横の那覇軍港を、浦添市の海岸に移しかえますということです。

これにより、今までの35ヘクタールから49ヘクタールに拡大します。この部分が普天間飛行場の移設と違うところです。

拡大しても浦添の場合は、沖合の埋め立て地なので地元への影響は少ないからご容赦下さいということです。もちろん、進行予算のおまけや民間港湾施設の整備などにたっぷり予算を弾みますという条件でした。

この時に、浦添に「新基地」を押しつけた故翁長雄志氏はこう言ってのけています。

「決断に敬意を表する。今後、那覇港は県、那覇市、浦添市の三者が一体となって国際流通港湾として整備・管理することになる。振興発展を担う中核施設として整備されるように努力を重ねたい」(琉球新報01年11月13日)

故人には失礼ながら、改めて読んで吹き出してしまいました。まったく浦添移設と同じ構造なのですから、翁長氏は普天間飛行場の移設についてもこう言うべきでした。

「移設の決断に敬意を表する。今後、沖縄県は県、那覇市、浦添市の三者が一体となって普天間跡地は中部経済の振興発展を担う中核地域として整備されるように努力を重ねたい」

こういうことをやっておきながら翁長氏は、こと普天間になるとダブスタの権化となって「銃剣とブルドーザーで土地を強奪されて基地を作られた」などという時代錯誤のことを言い出すからイヤになるのです。

それはさておき、沖縄県は一貫して海洋汚染については無頓着でした。それが突然いままで何の保護対策もしてこなかったジュゴンが一頭死ぬと、首相面談案件にジュゴンをもちだす鉄面皮ぶりがたまりません。

そんなにジュゴンが大事ならば、はっきりと普天間基地周辺のニンゲンの安全よりも、ジュゴンのほうが大事だと言うべきてす。 それをデニー知事はこんな矛盾したことを一国の首相に面と向かっていうのですからたいしたものです。

「普天間基地の固定化につながりかねない辺野古の工事はやめ、話し合いの期間を作ってほしい」

おいおいデニーさん、あなた頭の中で妖精が合唱していません?金星人が、宇宙船で迎えに来るから一緒に宇宙旅行しようよなんて言っていませんか。 交渉当事者がいまさらこんな交渉の大前提で間違ったことを言い出されては困りますね。

私は必ずしもそうは思いませんが、メディアが「世界一危険な飛行場」と呼び習わしている普天間飛行場の危険を除去する目的で辺野古に移設するのは、今更いう必要もない常識の中の常識です。

普天間飛行場を固定化させたくないなら、移設するしかないなんてわかりきったことで、「普天飛行場を固定化させないために移転は反対」ですって、なんじゃこりゃ。

デニー県政が、「普天間飛行場はイヤだが、移設もイヤだ」というなら、もはや当事者能力が欠落しているとみなされても仕方がありません。

なぜならその解決方法は共産党の主張どおり、「どっちも反対」「全部反対」ですから、すなわち「全基地撤去・安保廃棄」のことだからです。

このことのダシにジュゴンを持ち出すならば、7億、8億と言われる「辺野古基金」という巨大基金をどうぞ思うぞんぶん可愛いジュゴン保護にお使い下さい。 

2019年3月 5日 (火)

現実的な辺野古代替案はこの世に存在しない

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初めは山路氏2回目のリードでしたが、長くなりましたので移しかえました。山路さんの論考はもう一本のほうです。ぜひお読み下さい。

この私も含めてですが、「辺野古疲れ」のようなものが生まれています。

いくら論破しても、ゾンビよろしくいつまでも同じことを同じ論法で、語彙まで一緒に果てることなく言い募る移転反対派には、心底うんざりさせられます。

そのような中で、彼らを批判してきた論陣の中からも、いったんここで移転阻止運動を終息させたるために辺野古移設の断念もありえるのではないか、という意見が出始めました。

私も一部この意見に同意する部分がありました。

最も大きな理由は、 エルドリッヂ氏が再三指摘するように辺野古が候補地として妥協の産物にすぎないために、肝心な軍用飛行場としての軍事的要件を満たさないからです。

正味1300mの短い滑走路は一般的固定翼機にはあまりにも短すぎるもので、これではオスプレイとヘリにしか使用できない中途半端なものになってしまいます。

また、工事は当初から言われてきたように水深が深く困難を予想されています。

エルドリッヂ氏は、手厳しくこれを批判をし続けていて、県民投票にも賛成しています。

一方篠原章氏は県民投票には厳しい意見ですが、今の辺野古案はサンクコストと考えて白紙化すべきだと考えておられるようです。

サンクコストとは埋没費用と訳されていて、既に支出された費用が、今後いかなる手段でも回収不可能で、かえって損害を拡げると判断した場合、切り捨てることを意味します。

小川和久氏も辺野古案には当初から否定的で、同様の意見を述べられています。

私も偽らざる意見を言えば同様に、なにもこんな所にこんなハンパなものを・・・、というのが本音でした。

ですから翁長氏と政府の「和解期間」に、県が実現可能な代替案を出すことを最後の望みとしていたわけです。

しかし、辺野古移設を撤回するとしたら、誰がそれを言い出すのでしょうか。

政府は、ハト氏のような人物が再び首相にでもならない限り絶対にありえません。

では、沖縄県でしょうか?それも9割9分ありえません。

今日の論考でも山路氏が触れているように、県民投票までするに至った移転阻止運動は、もはや技術的解決が不可能なイデオロギー対立の域に達しているからです。

したがって、政府と県の関係を根本的に変えてしまう可能性がある妥協は、政府にはできません。

つまり双方とも政治的に引っ込みがつかないのです。

代替案をだすなら山路氏も言うように移設候補を絞っている時期しかなく、あえてつけ加えるなら先ほど述べた「和解期間」しかなかったと思われます。

小川氏も翁長氏の腹芸に期待を抱いていたようです。

しかし、なにひとつ事態は動きませんでした。なぜでしょうか?

それはこの代替案は共産党を説得できて初めて可能なことだからです。ここが最大のネックです。

現状において、県政最大与党である共産党の意志は明確に「すべての県内移設反対」であり、代替案がでる隙間は一分もありません。彼らは「解決」を望んでいません。

というのは共産党にとって移設阻止は大きな彼らの考えのごく一部にすぎず、あらゆる米軍基地に反対であり、日米同盟にも反対です。

究極的には、自衛隊も解体して丸腰国家にすべきだと思っています。

彼らが移設反対派の最大勢力である以上、彼らの意志を無視しての解決はありえません。

デニー知事個人は共産党員ではなく、翁長氏のようなカリスマ性もなく、怪しげな「遺言」で決められたフロック候補にすぎませんでした。

性格は山路氏が指摘するように、争いごとには不向きで、元来は移設問題に無関心だったように見えます。現に民主党政権時代は移設容認派でした。

それも自分で考えてそう決めたというより、党が決めたから従ったていどのことです。要は定見がない人なのです。

そしてなるべくして今は望むと望まざるとに関わらず、県政与党の意志のまま動かざるをえないパペットと化しています。

県民投票という反基地イデオロギーの儀式の司祭を務めるに至ったデニー氏には、もうこの座から降りることはかなわないのです。

このように考えてくると、理屈のうえでは辺野古移設案の撤回もありえますが、現実的には誰からも言い出さない以上、この世に存在しないのと一緒なのです。

※扉写真をまたすげ替えました。すいません。なかなか気に入ったものがなくて。

2019年3月 4日 (月)

山路敬介氏寄稿 沖縄を縛る自己決定権イデオロギー その1

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山路氏から寄稿を賜りました。ありがとうございます。
 

タイトルは編者がつけさせて頂きました。 

                                          ~~~~~~~
                           ■沖縄を縛る自己決定権イデオロギー  その1
                                                                                 山路敬介
 

デニー知事は「対案」を出せないし、傀儡で終わるしかない
 
 県民投票は「圧倒的民意」はおろか、その投票率の低さから「過半」も達成出来ない結果となりました。
 

こう言うと、「「反対」への投票率が7割以上を占めたではないか」と反発を言う人もいるでしょうが、国会議員や首長・地方議員たちを選ぶ選挙とは違います。 

法律に基づかない今回の県民投票の趣旨と目的はあくまで「民意を測る」ための手段なので、絶対得票率で結果を見なければなりません。 

もし、「投票しなかった人々は県民でない」とするならば別ですが、考慮する分母は全有権者数とならざるを得ないのです。 

そうすると、県民投票の結果が示すところは「全県的にみて、辺野古移設反対者は37.5%であった」と正確に言われなければなりません。 

そして、この結果は前回県民投票の53%に比較するならば、さらに「米軍基地問題への県民の関心は薄らいだ」と言わざるを得ないでしょう。 

新聞はもちろんの事、テレビを付ければテレビから、街中を歩けば掲示物だらけで、だれも来なそうな農道を行ってもノボリが列を成して立ってる。 

ネットを開けても、YouTubeを視聴してさえも動画前CMで「県民投票へ行こう!」のオンパレード。家に帰ればチラシが毎日ポストに入っているし、夜は夜でわずかな伝手を頼って本島からの知らない人の来訪を度々受け、私のまわりは反対派の主張だらけでした。まさに「寝ても起きても」です。 

どれだけ潤沢なのか知りもしませんが、県の金庫から大枚かけて明けても暮れてもうんざりするほどの「県民投票へ行こう」の過剰宣伝と反対派の主張のなか、それでも約半数が投票に行かなかった事の意味はきわめて重いものです。 

マスコミや県当局はその事の意味を徹底的に精査・解読すべきであって、議員たちはそこにこそ政治の光を当てるべきです。 

ようは、勝者は「それですらも、もの言わぬ県民」だったのであり、県民投票のそのような結果をふまえるならば、政府が政策変更するような局面とは「ほど遠い」と言わざるを得ません。 

宜野湾の松川市長にして、「投票率が五割ほどで、民意を測れたのかは疑念がある」や、「普天間の危険性の除去に触れられておらず、このような結果になるのが自然」と言わしめたのは当然です。 

しかも、あのように設問自体に前提を欠いた「欠陥アンケート」であるにもかからわらず、意外な事に「賛成者」を11万人以上も出してしまったのです。 

二紙によれば「世界が注目する県民投票」だったらしいのですが、これではその「世界」とやらも内心ではズッコケる他ないでしょう。 

くわえて今回の県民投票では自民党をほとんど沈黙させる事に成功していて、一般市民でも例えばヒジャイさん(又吉康隆氏)のように、その知性や理性的の判断から当然の帰結として、「断固たる信念」でボイコットを言い続けた人もあります。 

大きな声で言えませんし、私の個人的な見解として受け止めて頂きたいですが、わが宮古島市の下地市長ですらも投票に行った形跡がありません。 

投票運動は予想どおり、「反対派による、反対派のための、反対派による投票」に終始しました。 くわえて、「どちらでもない」は目論見どおり5万票あまりと押さえられたのです。 

あらかじめ普天間移設を「問い」から外す事も、マスコミとの全面的な共闘もでき、なおかつ自民党のドタバタもあり、反対派には追い風しか吹いていませんでした。 

それにしては、明らかになった37.5%しか反対者がいない結果は、運動側にとって、真実を前にした「致命的なマイナス」だったのではないでしょうか。

デニー知事の目論見ははずれた 

投票結果を受けた記者会見でのデニー知事は笑顔もなく、私には浮かない表情に見えました。 

記者から「六割が「反対」に投じなかった事実をどうみるか?」と問われ、「そのような事は考えていない」といい、「四分の一超が「反対」であり、そのことが重要」と返しました。 

「結果をうけて「再撤回」を考えているか?」との質問には直接答えず、今現在の状況が撤回中である旨を言うのみでした。 

巷での「民意はしめされた」と凱歌をあげていた連中はともかく、どうも結果はデニー知事の考える目論見を肝心なところで下回った事は間違いないように思えます。 

ところで今回の「撤回」では、既に分かっている事なので、県は来る高裁での訴訟において県民投票の結果も「多数の民意」としての主張はせざるを得ないのではないかと思います。 

ただ、六割以上が「辺野古反対」の意思を示さない中ではやはり主張としては少し弱く、まして県が次に想定していた「民意による公益撤回(再撤回)」の可能性は、高裁での主張をせざるを得ない以上、一般常識的には「ほぼ閉ざされた」と言っていいと思います。 

しかし、沖縄県の「非常識」によって、デニー知事は今回の撤回訴訟での敗訴確定後には民意による「再撤回」を試みる愚行に走らざるを得なくなるものと考えます。 

現在の「撤回」はデニー知事の判断ではなく、選良ですらない謝花副知事の判断によるものです。デニー知事は訴訟よりも政府との「話し合いによる解決」を常々言っており、それが達成可能な最良の解決方法であると本気で信じているのかも知れない、いわゆる「政治的平和主義者」でもあります。 

県民感情をいたずらに利用したり、さほどありもしない自らの情緒性を過剰演出したりする翁長氏と根本的に違い、デニーさんは腹に一物おけない、分かりやすい「いい人」でもあります。 

反面、リーダーシップが乏しく、本来的に争い事に向かない政治家です。 

そのような政治家は妥協が身上なので、この「妥協」こそは「沖縄からの全軍撤退」を目指す共産党や核心的辺野古反対主義者が嫌い、また警戒するところでもあります。 

彼らの特殊な歴史観でいえば、これまで「話し合い」という名の妥協によって本土に巻かれ、後退し続けた結果が、今ある「沖縄の現在」の姿なのであって、その危険性と疑念を翁長知事に対しても当然持っていたし、デニー知事に対しても同様の懸念がありました。 

そうであれば、あらかじめ現知事には特に「縛り」をかけて、知事の政治的自由度を失わしめ、安倍政権との妥協を防ぐ狙いが県民投票にはあったという事は前回の記事で申したとおりです。 

狡猾に県民投票を避け続けた翁長知事ならば、交渉テクニックとして政府に「妥協の余地はあるかも」と思わせて別のものを引っ張り出す妙手とすることが出来たのに、やはり二代目はダメです。 

これでは3月1日に安倍さんと会ったところで「子供の使い」にもならないし、何ものも引き出せない結果に終わるでしょう。 

「SACWOの設置」だとか、名前だけ粋につけてみたところで内容は翁長知事がさんざん要望してきたところの二番煎じです。既にそうした二元外交的な案は相手にされるハズのない事柄なので、提案の名に値しません。 

                                                                                                   (続く)

 

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